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JP3675187B2 - 車両用ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用ブレーキ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用ブレーキ制御装置としては、特開平9−254752号公報に記載のものが挙げられる。これは、ブレーキ操作部材の操作量からドライバの減速要求量を算出し、実際の車両減速度がこれに一致するようにブレーキ油圧指令値を決定し、さらに、実際に計測されたブレーキ油圧が指令値に一致するように、油圧制御用電磁弁の電流がフィードバック制御されるものである。
この油圧制御用電磁弁は、アキュムレータ(ポンプにより高圧を確保)とリザーバタンク(低圧)とに接続され、油圧を車輪の回転を抑制するために必要なレベルに調整してホイルシリンダに供給する。
なお、油圧制御用電磁弁は、増圧用電磁弁と減圧用電磁弁との2つで構成される場合と、それらの機能を1つに集約した増減圧用電磁弁を用いた場合とがある。(図2は、本発明実施の形態1の構成を示す図であるが、油圧制御用電磁弁の構成は上記従来例の場合と同一である。)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の車両用ブレーキ制御装置にあっては、油圧制御用電磁弁が有する、電流値に対する流量特性の不感帯が、油圧制御の過渡特性に大きく影響を及ぼしてしまう。油圧制御用電磁弁は、通常、スプリング力、電磁力、および流体力の関係上、ある程度の電流を流さないと、弁が開かず油が実際に流れないという不感帯特性を有する。特に廉価で小型な設計をした電磁弁ほどこの不感帯が大きくなる傾向にある(図7参照)。
圧力センサで実際のホイルシリンダ圧を計測して、油圧指令値と仕較し、電磁弁の電流値を制御するような油圧フィードバック制御システムを構成したとしても、前述の不感帯があるので、増圧から減圧、減圧から増圧に制御が反転した際に、フィードバック制御器が有する積分特性により、電磁弁の電流指令値が、不感帯を越える値に積算されるまで、実際に油が流れず油圧が指令値に全く追従しない。つまり、油圧フィードバック制御系において、油圧指令値反転時に、不必要なむだ時間が生じることになる。
これは、油圧制御用電磁弁として、ON/OFF的な電磁弁(電流/流量特性が急峻)を用いた場合、あるいは比例的な電磁弁(電流/流量特性が比較的に緩やか)を用いた場合にも共通して発生する問題点である。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、油圧指令値反転時のむだ時間を短縮して油圧制御用電磁弁の制御応答性を高めることにより、ドライバの意志に沿った制動を行うことができる車両用ブレーキ制御装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明請求項1記載の車両用ブレーキ制御装置は、図1のクレーム対応図に示すように、ドライバによるブレーキ操作部材の操作量等に基づいて、車輪の回転を抑制するブレーキに作用する油圧の指令値を算出するブレーキ油圧指令値演算手段aと、車輪の回転を抑制するブレーキに作用する油圧の実際値を計測するブレーキ油圧計測手段bと、前記ブレーキ油圧指令値にブレーキ油圧計測値を一致させるために、双方の値を入力して、線形フィードバック制御理論を用いて、油圧制御用電磁弁への電流指令値を算出する油圧フィードバック制御演算手段cと、算出された電流指令値に基づいて電流制御を行う油圧制御電磁弁用電流制御手段dと、を有した車両用ブレーキ制御装置において、前記ブレーキ油圧指令値とブレーキ油圧計測値との比較結果に基づいて、増減圧の反転切替えを判断する増減圧反転切替え判定手段eと、増減圧切替えを判定した時に、油圧フィードバック制御演算手段cの状態内部変数を初期化する状態変数初期化手段fと、を有することを特徴とする。
請求項2記載の車両用ブレーキ制御装置では、請求項1記載の発明において、前記油圧フィードバック制御演算手段cが、積分器を陽に有し、前記状態変数初期化手段fが、増減圧切替えを判定した時に前記積分器を初期化することを特徴とする。
請求項3記載の車両用ブレーキ制御装置では、請求項1記載の発明において、前記油圧フィードバック制御演算手段cが、増減圧の反転切替えを判定した時にブレーキ油圧計測値を記憶して、次の判定切替えを判定するまでの間、記憶値とブレーキ油圧指令値の差分と、記憶値とブレーキ油圧計測値の差分とを、フィードバック制御の入力として用いることを特徴とする。
請求項4記載の車両用ブレーキ制御装置では、請求項1記載の発明において、車両の駆動輪につながる電動機の回生ブレーキ可能量と、ドライバによるブレーキ操作部材の操作量との双方に基づいて、電動機への回生ブレーキトルク指令値を算出する回生ブレーキトルク指令値演算手段を有し、前記ブレーキ油圧指令値演算手段aが、車両の駆動輪につながる電動機の回生ブレーキ可能量と、ドライバによるブレーキ操作部材の操作量との双方に基づいて、車輪の回転を抑制するブレーキに作用する油圧の指令値を算出することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明実施の形態1の構成図である。これは、交流同期モータにより回生ブレーキトルク制御する間、ブレーキ油圧を減圧制御することで、回生エネルギを効率的に回収する「回生協調ブレーキ制御システム」に本発明の車両用ブレーキ制御装置を応用したものである。
【0006】
構成を説明すると、1はドライバが操作するブレーキペダルであり、2の油圧ブースタ、3のマスタシリンダ(以下、マスタシリンダをM/CYLと称す)に連結している。油圧ブースタ2は、ポンプによってアキュムレータに蓄積された高圧(圧力スイッチによりシケンス制御されている)を用いて、ブレーキ圧を倍力してM/CYL3に供給する。また、この高圧は、油圧フィードバック制御の元圧としても利用される。4,6は、油経路切替え用電磁弁であり、両弁は同期して制御される。図は非通電時の状態であり、M/CYL3の油がそのままホイリシリンダ7に供給される(通常モード)。
【0007】
通電時には、M/CYL3は、5のストロークシミュレータ(ホイルシリンダ7と同等の油負荷)に連結され、通常モードと同じブレーキペダルフィーリングを確保する。同時に、油圧制御用電磁弁である増圧用電磁弁10,減圧用電磁弁11にホイルシリンダ7(以下、ホイルシリンダをW/CYLと称す)が連結され、M/CYL3とは遮断される。増圧用電磁弁10は、上記高圧ラインとW/CYL7との間に位置して、W/CYL7に流入する油量を調節する。減圧用電磁弁11は、W/CYL7とリザーバ(低圧)との間に位置して、W/CYL7から流出する油量を調節する。これら1組の増圧用電磁弁10と減圧用電磁弁11を用いて、W/CYL7の油圧が制御される。8はM/CYL圧力(ドライバの制動要求量)を計測するM/CYL圧力センサである。9はW/CYL圧力(フィードバック制御用)を計測するW/CYL圧力センサである。12は、ブレーキコントローラであり、CPU、ROM、RAM、デジタルポート、A/Dボート、および各種タイマ機能を内臓するワンチップマイコン(あるいは同機能を実現する複数チップ)と、高速通信用回路、各アクチュエータ駆動用回路によって構成されていて、本発明のクレーム対応図(図1)の各機能はこのブレーキコントローラ12が果たす。なお、図2は、W/CYL7の1輪分に関して構成を示しているが、他の3輪も同様であり図示を省略している。
【0008】
15は、車両の駆動輪に減速機構を介して連結された交流同期モータであり、駆動トルク制御や、回生ブレーキ制御による車両運動エネルギのバッテリヘの回収を行なうものである。14は、直流交流変換用電流制御回路であり、直流バッテリと交流同期モータ15との間に位置して、13のモータコントローラからの3相PWM信号に基づいて、交流電流と直流電流との変換を行なう。13のモータコントローラは、12のブレーキコントローラから、通信によって受信した回生ブレーキトルク指令値に基づいて、回生ブレーキトルクを制御する。また、駆動時には交流同期モータ15による駆動トルク制御を行なう。さらに、バッテリの充電状態、温度等できまる最大許容回生トルク値を算出して、通信を介して、ブレーキコントローラ12ヘ送信する。
【0009】
図3は、ブレーキコントローラ12のマイコンが行う制御動作を示し、同図のルーチンは一定周期(例えば5msec)ごとに実施される。
S1では、マイコン内蔵のA/D変換器を用いて、M/CYL圧力センサ8の信号を計測し、所定の物理単位に変換してM/CYL圧Pmcを算出する。
S2では、マイコン内蔵のA/D変換器を用いて、W/CYL圧力センサ9の信号を計測し、所定の物理単位に変換してW/CYL圧Pwcを算出する。
【0010】
S3では、モータコントローラ13との間の高速通信受信バッファから、最大許容回生モータトルクTmmaxを読み込む。
S4では、M/CYL圧Pmcと、予めROMに記憶した車両諸元定数K1とを用いて、ドライバ制動トルク要求値Tbdemを算出する。
【0011】
Tbdem=Pmc×定数K1
定数K1=W/CYL面積×ブレーキパッド面積×ブレーキロータ有効半径×ブレーキ摩擦係数
【0012】
S5では、アンチスキッド制御可能か否かを判別し、アンチスキッド中であればS14に進み、回生協調を中止する。また、S5でNで、S6でNの時もS14に進む。S5でN、S6でYの時、S7に進みブレ−キトルクとモ−タトルクの配分を演算する。
M/CYL圧Pmc≧定数K2 かつ、
最大許容回生モータトルクTmmax≧定数K3
【0013】
S7では、ドライバ制動トルク要求値Tbdemを、油圧ブレーキトルク指令値Tbcomと回生ブレーキトルク指令値Tmcomとに配分演算する。
Tbdem≧Tmmaxの場合
Tbcom=Tbdem−Tmmax,Tmcom=Tmmax
Tbdem<Tmmaxの場合
Tbcom=0,Tmcom=Tbdem
【0014】
さらに、油圧ブレーキトルク指令値Tbcomと車両諸元定数K1とを用いて、ブレーキ油圧指令値Pcomを算出する。
Pcom=Tbcom÷定数K1
定数K1=W/CYL面積×ブレーキパッド面積×ブレーキロータ有効半径×ブレーキ摩擦係数
【0015】
S8では、ブレーキ油圧指令値Pcomと、ブレーキ油圧計測値(W/CYL圧)Pwcとを比較して、大小関係が過去の状態と反転したか否かを判定する。例えば、少なくとも一定期間(サンプリング周期Ts×N)、大小関係が同一であり、今回その関係が反転した場合、状態が反転したと判断してS9へ進む。そうでない場合は、S10へ進む。
【0016】
S9では、油圧制御用の線形フィードバック補償器の内部状態変数(後述する状態内部変数y1、y2、y3、y4、y5およびその過去値)をゼロクリアして初期化する。また、同フィードバック補償器用入力値の基準値P0を学習記憶する。
P0=Pwc
【0017】
S10では、ブレーキ油圧指令値Pcom、ブレーキ油圧計測値(W/CYL圧)Pwcの各々と基準圧P0との偏差を、線形フィードバック補償器用入力変数として再定義する。
PCOM=Pcom−P0,PWC=Pwc−P0
S11では、ブレーキ油圧指令値PCOMにブレーキ油圧計測値PWCを一致させるために、公知の線形フィードバック制御手法を用いて、油圧制御用電磁弁用電流指令値ICOMを算出する。
【0018】
本実施の形態では、「ロバストモデルマッチング制御手法」を用いた場合のデジタルフィルタ演算の方法を示す。まず、概要をパルス伝達関数を用いて説明する。制御対象の伝達特性をパルス伝達関数P(z-1)でおくと、制御器は図4のようになる。
【0019】
-1は遅延演算子であり、z-1を乗ずると1サンプル周期前の値となる。C1(z-1),C2(z-1)は外乱補償器を構成しており、外乱やモデル化誤差による影響を抑え、制御対象の応答特性を、ノミナルモデルP(z-1)に一致させる。また、C3(z-1)はモデルマッチング補償器であり、制御対象の応答特性を規範モデルH(z-1)の特性に一致させる。規範モデルH(z-1)は、設計者の所望の過渡特性である。
【0020】
油圧制御用電磁弁用電流指令値ICOMを入力、ブレーキ油圧計測値PWCを出力とする部分を制御対象とおくと、P(z-1)は下に示す積分要素P1(z-1)とむだ時間要素P2(z-1)=z-nとの積で近似する。
P1(z-1)=(Ka・Ts・z-1)/(1−z-1
但し、Ts:サンプル周期(5msec)
Ka:電磁弁の定常特性ゲイン (Kaは差圧に影響される)
【0021】
この時、C1(z-1)、C2(z-1)は下式になる。
Figure 0003675187
但し、γ=exp(−Ts/Tb)である。
【0022】
制御対象のむだ時間を無視して、規範モデルを時定数Taの1次のローパスフィルタとするとC3(z-1)は下記の定数となる。
C3(z-1)=K=(1−α)/Ka/Ts、
但し、γ=exp(−Ts/Ta)である。
【0023】
次に、漸化式を用いて実際にマイコンで行なう演算を示す。
モデルマッチング補償器に相当する下記演算を行う。y(k−1)は1サンプル周期前のy(k)を示す。
y4(k)=K・{PCOM(k)−PMC(k)}
外乱推定器の一部である補償器C1(z-1)に相当する下記演算を行う。
y2(k)=(1−γ)・y5(k−1)+γ・y2(k−1)
外乱推定器の一部である補償器C2(z-1)に相当する下記演算を行う。
Figure 0003675187
【0024】
上記のy2、y3、y4からy1を求める。y2(k−2)はy2(k)の2サンプル周期前のデータである。
y1(k)=y4(k)−y3(k)+y2(k−2)
y1(k)を上下限値(±Imax)で制限してy5(k)を求め、油圧制御用電磁弁用電流指令値ICOM(k)とする。
【0025】
この値を、増圧用電磁弁用電流指令値Icom1と減圧用電磁弁用電流指令値Icom2とに配分する。
ICOM(k)≧0の場合
Icsb1=ICOM(k),Icsd1=0
ICOM(k)<0の場合
Icsb1=0,Icsd1=−ICOM(k)
【0026】
S12では、差圧による電磁弁流量特性の差異(モデルP(z-1)における定常ゲインKaの差異)による影響を排除するために、差圧に応じた補正係数を各電流指令値(Icsb1,Icsd1)を乗算する。
Icsb2=Kcsb×Icsb1
Kcsbは差圧(Pmc−Pwc)でテーブルデータを表引きして算出。
Icsd2=Kcsd×Icsd1
Kcsdは差圧(Pwc−P大気)でテーブルデータを表引きして算出。
なお、電磁弁不感帯のばらつき幅が把握できている場合には、所定値の電流オフセットが有効である。
Icsb2=Kcsb×Icsb1+所定値(増圧弁不感帯の下限値)
Icsd2=Kcsd×Icsd1+所定値(減圧弁不感帯の下限値)
【0027】
S13では、回生協調制御時(つまり油圧フィードバック制御時)に行なう出力処理である。
油路切替え用電磁弁4,6をONするようにポート出力を行い、増圧用電磁弁(CSB)10と減圧用電磁弁(CSD)11の各電流指令値を各電流制御回路へ出力するためにD/A出力を行い、回生モータトルク指令値を高速通信を用いて、モータコントローラ13ヘ送信するための送信処理を行なう。
【0028】
S14では、回生協調停止時(つまり油圧フィードバック制御停止時)に行なう出力処理である。
油路切替え用電磁弁4,6をOFFするようにポート出力を行い、増圧用電磁弁(CSB)10と減圧用電磁弁(CSD)11の各電流指令値(=0)を各電流制御回路へ出力するためにD/A出力を行い、回生モータトルク指令値(=0)を高速通信を用いて、モータコントローラ13ヘ送信するため送信処理を行なう。
【0029】
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2としては、油圧フィードバック制御演算に用いる線形フィードバック制御手法として、最も古典的でオーソドックスなPI制御を用いた場合の例を示す。
【0030】
フィードバック補償器の構成は、図5に示されるものとなる。油圧偏差y1(k)を用いて、比例項y2(k)と積分項y3(k)との和を算出して油圧制御用電磁弁用電流指令値ICOM(k)を算出する。
y1(k)=PCOM(k)−PWC(k)
y2(k)=Kp×y1(k)
y3(k)=Ki×{y3(k−1)+Ts・y1(k−1)}
ICOM(k)=y2(k)+y3(k)
但し、Ts:サンプル周期(5msec)である。
【0031】
増減圧反転判断時には、実施の形態1と同様に、フィードバック制御器の内部変数(y1、y2、y3および過去値)を初期化する。但し、PI補償器の場合には、入力のオフセット処理(基準圧の学習とオフセット演算)は必要ない。
【0032】
次に、実施の形態における作用および効果を説明する。
実施の形態1,実施の形態2ともに、定常偏差を残さないために内部に積分要素を1つ有する1型のサーボコントローラを用いて油圧フィードバック制御を構成している。したがって、油圧制御用電磁弁10,11の電流/流量特性に不感帯特性があったとしても、定常的には、積分器が作用して油圧ブレーキ指令値に、ブレーキ計測値が一致する。さらに、たとえば、増圧方向にすでに、油圧制御用電磁弁10,11の不感帯を穴埋めするための電流分が積分器に蓄積されている状態であっても、ブレーキ油圧指令値が変化して、減圧方向に反転した時には、増減圧判定部がそれを検出して、フィードバック制御コントローラの内部状態変数を全てクリアする。したがって、完全な初期応答となるので、それまでに内部に蓄積された増圧方向の積分補正値(または外乱補償値)に影響されることなく、減圧方向の積分補正(または外乱補償値)が行われるので、線形フィードバック制御の特徴を最大限に生かした制御が可能である。つまり、増圧から減圧に転じた時に生じる応答遅れ(むだ時間)を最小限に抑えることが可能である。減圧から増圧に反転した時も同様である。この様子を簡単に机上シミュレーションした結果を図6に示す。6段表示しているデータは上から、増圧用電磁弁用電流値、減圧用電磁弁用電流値、増圧用電磁弁流量、減圧用電磁弁流量、M/CYL圧、M/CYL圧計測値とその目標値(二点鎖線)である。従来例を▲1▼、実施の形態(電流オフセットなし)を▲2▼、実施の形態(電流オフセットあり)を▲3▼として各結果を重ね書きしている。本実施の形態の方が、増減圧方向反転時に応答遅れ(むだ時間)が短縮されていることが確認できる。
【0033】
また、本実施の形態にように交流同期モータ15を用いた回生協調ブレーキシステムにおいて、従来の油圧制御系と本実施の形態の性能差をより明確に比較できる。油圧ブレーキ指令値に対する応答遅れ(むだ時間)が短縮されることで、回生モータトルクと油圧ブレーキとの切替え時のような過渡時においても、常に、ドライバの意志に沿った総制動力を確保することができる。つまり、従来例のようにむだ時間が大きいと、総制動力として、ドライバの意志に沿わないようなスパイク状の制動力変化が生じる可能性があるが、本実施の形態では最小限に抑えることが可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の車両用ブレーキ制御装置においては、油圧指令値反転時のむだ時間を短縮して油圧制御用電磁弁の制御応答性を高めることにより、回生モータトルクと油圧ブレーキとの切替え時のような過渡時においても、常にドライバの意志に沿った制動を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図である。
【図2】本発明実施の形態1の構成を示す図である。
【図3】実施の形態のブレーキコントローラのマイコンが行う制御動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1の油圧フィードバック補償器の構成例を示す図である。
【図5】実施の形態2の油圧フィードバック補償器の構成例を示す図である。
【図6】実施の形態の効果を示す図である。
【図7】従来の油圧制御用電磁弁の不感帯特性を示す図である。
【符号の説明】
a ブレーキ油圧指令値演算手段
b ブレーキ油圧計測手段
c 油圧フィードバック制御演算手段
d 油圧制御電磁弁用電流制御手段
e 増減圧反転切替え判定手段
f 状態変数初期化手段
1 ブレーキペダル
2 油圧ブースタ
3 マスタシリンダ
4 油経路切替え用電磁弁
5 ストロークシミュレータ
6 油経路切替え用電磁弁
7 ホイルシリンダ
8 マスタシリンダ圧力センサ
9 ホイルシリンダ圧力センサ
10 増圧用電磁弁(油圧制御用電磁弁)
11 減圧用電磁弁(油圧制御用電磁弁)
12 ブレーキコントローラ
13 モータコントローラ
14 直流交流変換用電流制御回路
15 交流同期モータ

Claims (4)

  1. ドライバによるブレーキ操作部材の操作量等に基づいて、車輪の回転を抑制するブレーキに作用する油圧の指令値を算出するブレーキ油圧指令値演算手段と、
    車輪の回転を抑制するブレーキに作用する油圧の実際値を計測するブレーキ油圧計測手段と、
    前記ブレーキ油圧指令値にブレーキ油圧計測値を一致させるために、双方の値を入力して、線形フィードバック制御理論を用いて、油圧制御用電磁弁への電流指令値を算出する油圧フィードバック制御演算手段と、
    算出された電流指令値に基づいて電流制御を行う油圧制御電磁弁用電流制御手段と、を有した車両用ブレーキ制御装置において、
    前記ブレーキ油圧指令値とブレーキ油圧計測値との比較結果に基づいて、増減圧の反転切替えを判断する増減圧反転切替え判定手段と、
    増減圧切替えを判定した時に、油圧フィードバック制御演算手段の状態内部変数を初期化する状態変数初期化手段と、を有することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。
  2. 前記油圧フィードバック制御演算手段が、積分器を陽に有し、
    前記状態変数初期化手段が、増減圧切替えを判定した時に前記積分器を初期化することを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキ制御装置。
  3. 前記油圧フィードバック制御演算手段が、増減圧の反転切替えを判定した時にブレーキ油圧計測値を記憶して、次の判定切替えを判定するまでの間、記憶値とブレーキ油圧指令値の差分と、記憶値とブレーキ油圧計測値の差分とを、フィードバック制御の入力として用いることを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキ制御装置。
  4. 車両の駆動輪につながる電動機の回生ブレーキ可能量と、ドライバによるブレーキ操作部材の操作量との双方に基づいて、電動機への回生ブレーキトルク指令値を算出する回生ブレーキトルク指令値演算手段を有し、
    前記ブレーキ油圧指令値演算手段が、車両の駆動輪につながる電動機の回生ブレーキ可能量と、ドライバによるブレーキ操作部材の操作量との双方に基づいて、車輪の回転を抑制するブレーキに作用する油圧の指令値を算出することを特徴とする請求項1記載の車両用ブレーキ制御装置。
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