JP3672581B2

JP3672581B2 - Polyester film

Info

Publication number: JP3672581B2
Application number: JP12842593A
Authority: JP
Inventors: 豊馬場; 泰弘西野; 重次小長谷
Original assignee: Toyobo Co Ltd
Current assignee: Toyobo Co Ltd
Priority date: 1993-04-30
Filing date: 1993-04-30
Publication date: 2005-07-20
Anticipated expiration: 2020-07-20
Also published as: JPH06313052A

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリエステルフィルムに関し、より詳しくは平坦易滑性、走行耐久性、耐スクラッチ性に優れた磁気記録媒体用ポリエステルフィルムに関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般にポリエステルはその優れた物理的及び化学的諸特性のために、繊維用、成形品用のほか磁気テープ用、フロッピーディスク用、写真用、コンデンサー用、包装用ならびにレントゲンフィルム及びマイクロフィルムなどのフィルム用としても多種の用途で広く用いられている。特に磁気記録媒体用ベースフィルムとして必要不可欠のものとなっている。
【０００３】
近年磁気記録媒体の改良が急速な勢いで行われており、これに伴いベースフィルムに対する要求も一段と厳しいものとなってきている。例えば、滑り性及び耐摩耗特性はフィルムの製造工程及び各用途における加工工程の作業性の良否を左右する大きな要因となっている。特にポリエステルフィルム表面に磁性材料を塗布した磁気テープとして用いる場合には、磁性材料塗布時におけるコーティングロールとフィルム表面との摩擦及びこれによるフィルムの摩耗が極めて激しく、フィルム表面へのしわ及び擦り傷が発生し易い。
【０００４】
さらに生産性を高めるために、塗布工程及びカレンダー工程でのフィルムの送り速度を早くすると、磁気記録信号の欠落、すなわちドロップアウトが増加する。また磁性層塗布後のフィルムをスリットして、オーディオ、ビデオまたはコンピュータ用テープなどに加工した後でも、リールやカセットなどからの引き出しや巻き上げその他の操作の際に、多くのガイド部、再生ヘッドとの間に摩擦及び摩耗が著しく生じる。その結果、擦り傷、歪みの発生さらにはポリエステルフィルム表面の削れ等による白粉状物質が析出し、ドロップアウトなどの原因となることが多い。
【０００５】
また、近年需要が増加してきたソフト用ビデオテープの場合、マスターテープからの高速ダビングする工程で、ガイドピンによりテープにスクラッチが入り白粉が発生する。その結果、Ｓ／Ｎ比が低下し画質が悪化するという問題もでてきている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これら従来の問題点を解消し、平坦易滑性を損なうことなく耐スクラッチ性に優れた高品質のポリエステルフィルムを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、少なくとも一つの最表層が、ポリエステル、周期律表第ＩＩ族の原子を含む化合物とリン化合物、少なくとも３種類の不活性粒子ａ、ｂ、ｃからなる組成物を主成分とするポリエステルフィルムであって、
粒子ａは平均粒径が０．０５〜１．０μｍの炭酸カルシウム、球状シリカ、または球状架橋ポリスチレンであり、粒子ｂは平均粒径が０．０５〜１．０μｍのカオリン、硫酸バリウム、またはクレーであり、粒子ｃは平均粒径が０．０５〜０．３μｍであって、他の粒子よりも粒径が小さい、アルミナ、球状シリカ、または酸化チタンであり、
前記の周期律表第ＩＩ族の原子を含む化合物がＭｇ原子を含む化合物であり、該化合物の含有量がＭｇ原子に換算して１０ｐｐｍ〜２００ｐｐｍであり、リン化合物中のＰに対するＭｇのモル比（Ｐ／Ｍｇ）が０．５〜１．０であり、
さらに、前記フィルムは表面突起密度が０．１〜０．５個／μｍ^２であり、かつ該突起の円相当平均径が０．０５〜０．４μｍであって、これらの突起の内、全体の突起数の３０〜８０％が０．２５μｍ以下の円相当径をもつ微小突起であることを特徴とするポリエステルフィルムである。
【０００８】
本発明のフィルムの製造に用いられるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレートなどの結晶性ポリエステルであり、特に限定はされない。なかでも、その繰り返し単位の８０モル％以上がエチレンテレフタレートからなるポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【０００９】
ポリエステルの製造方法は、芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる、いわゆる直接重合法、芳香族カルボン酸のジメチルエステルとグリコールとをエステル交換反応させるいわゆるエステル交換法など任意の製造法を適用することができる。
【００１０】
本発明のフィルムにおいて少なくとも一つの最表層に使用される不活性粒子としては、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、カーボンブラック、アルミナ、クレー、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、硫酸バリウム等の無機粒子、架橋ポリスチレン、架橋ポリメチルメタクリレート、ポリイミド等の有機粒子等があげられる。これらは合成品でも、天然品でも良い。また粒子の形状も限定されないが、球状、ライス型、板型、無定型等が好ましい。さらに平均粒径もいちがいに限定されないが、好ましくは０．０１〜１．５μｍ、さらに好ましくは０．０５〜１．０μｍの微粒子が用いられる。
【００１１】
本発明者らは１種あるいは２種の粒子では、易滑性、走行耐久性、耐削れ性及び耐スクラッチ性を良好に維持できないことを見いだしている。本発明では粒子は少なくとも３種類以上用いられ、それぞれの粒子の硬度、形状、量、粒径、粒度分布をコントロールすることにより各粒子の能力を発揮させることができる。例えば易滑性は、粒子の形状が球に近く粒度分布がシャープであるものが優れる。効果が期待される粒子として合成炭酸カルシウム、球状シリカ、球状架橋ポリスチレンなどが挙げられる。また削れ性を維持するには板状粒子で硬度の低いものが良く耐スクラッチ性にも効果がある、例えば、カオリン、硫酸バリウム、クレーなどである。さらに耐スクラッチ性には他の特性を維持するための粒子より粒径を小さくし、微小突起を形成させることが必要である。特に限定されないがアルミナ、球状シリカ、酸化チタン等の無機粒子がある。このようにそれぞれの要求品質に対して効果の期待できる粒子を添加することができる。
【００１２】
ここでいう突起とは、反射型電子顕微鏡（ＳＥＭ）日立製作所（株）製Ｓ−２５００を用い観察し、得られた像を画像処理装置にて定量した結果を用いる。観察条件
加速電圧２０ｋｖ
試料傾斜３０°
観察倍率６０００
観察視野数３０
【００１３】
得られたデータより表面突起密度が０．１〜０．５個／μｍ² であり、かつ該突起の円相当平均径が０．０５〜０．４μｍであることが、良好な易滑性を維持しつつ、耐削れ性、耐スクラッチ性に優れる。ここでいう突起の円相当径が０．４μｍ以上であると、通常表面中心線平均粗さ（Ｒａ）で０．０２０μｍを越え磁気記録媒体に加工した際、電磁変換特性が悪化する。また、表面突起密度が０．１個／μｍ² 未満であると、易滑性、耐スクラッチ性が劣ることを見いだしている。
【００１４】
さらに、表面突起を上記範囲にするには、フィルム表面に微小突起を形成させることにより達成できる。この微小突起は、円相当径で０．２５μｍ以下をさし全表面突起数の３０〜８０％の範囲、より好ましくは、４０〜８０％の占有率で存在させることにより上記範囲の表面を形成させることができる。
ここで突起の円相当径とは、突起の投影断面積を求め、それと同じ面積を持つ球の直径を意味する。
これらの微小突起が３０％未満の場合耐スクラッチ性が劣り、８０％を越えると易滑性が劣る。
【００１５】
フィルム表面に上記した微小突起を発生させかつ該突起の数を上記範囲にコントロールする一つの手段として、微細でかつ粒度分布のシャープな不活性微粒子を少なくとも１種添加することが挙げられる。
詳しくは、平均粒径が０．０５〜０．３μｍで、かつ遠心沈降式粒度分布計によって得られた粒度分布を用いて粒径の小さい方から積算して、重量分布が１０％と７５％の粒径の差が０．１０μｍ以下、好ましくは０．０６μｍ以下の不活性粒子が好適である。このような微粒子を得る手段の一つとして、特開平２−１７８３２１に記載された特殊分散法、すなわちポリエステル製造工程で不活性微粒子含有混合物を連続密閉式攪拌装置を用いて分散させる方法、等の適用が一層効果的である。また該不活性微粒子として粒子の１０％変形強度が、１０ｋｇｆ／ｍｍ² のものを選択することが、本発明で意図する微小突起を発生せしめるのに有効である。
【００１６】
さらにポリエステル中に周期律表第ＩＩ族の原子を含む化合物とリン化合物とを含有させておくことで、ポリエステル中での粒子の分散性を向上させ、フィルム表面に本発明で規制した微小突起を好適に得ることができる。周期律表第ＩＩ族の原子を含む化合物の例として酢酸マグネシウムや酢酸カルシウム等が挙げられる。また、リン化合物の例として、リン酸、リン酸トリエステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステル等が挙げられる。周期律表第ＩＩ族の原子を含む化合物の含有量は、Ｍｇ原子に換算して１０ｐｐｍ〜２００ｐｐｍで、そのモル比、すなわちリン化合物中のＰに対するＭｇのモル比（Ｐ／Ｍｇ）は０．５〜１．０、好ましくは０．６５〜０．８５にする。またリン化合物の含有量は１０ｐｐｍ〜２００ｐｐｍが好ましい。
【００１７】
それぞれの不活性微粒子の添加量としては、ポリエステルに対し０．０５〜１．５重量％であり、好ましくは０．１〜１．５重量％、さらに好ましくは０．２〜１．０重量％である。それぞれの添加量が０．０５重量％未満では、本発明の微小突起数を得られず、逆に、添加量が１．５重量％を越えると、ポリエステル中での微粒子の凝集により粗大突起が発生し、電磁変換特性やドロップアウトの悪化原因になるので好ましくない。また不活性微粒子の全添加量はポリエステルに対し０．１〜１．６重量％であり、好ましくは０．２〜１．０重量％、さらに好ましくは０．３〜１．０重量％である。添加量が０．１重量％未満では滑り性や耐摩耗性を良好に保てず、１．６重量％を越えると電磁変換特性が悪化する。
【００１８】
本発明のフィルムは、たとえば下記の方法によって製造される。
最表層を構成する原料として、ポリエステル原料と不活性微粒子の混合物からポリエステル組成物を製造する。このポリエステル組成物を十分乾燥した後、その他の層を構成するポリエステルと共に多層押し出し機に供給し、ろ過後スリット状口金から溶融押し出しし、冷却固化せしめて未延伸原反を得る。このとき押し出し機の中で、ポリマーにせん断応力が強く働く方法、もしくはせん断速度が速い方法が微小突起を本発明の範囲内にするのに有効である。特に限定されないが、フィルターメッシュを５〜２０μｍの範囲にし、２軸押し出し機の使用が有効である。
【００１９】
溶融押し出しされた実質的に未配向のポリエステルフィルムは、ロール間でまたはステンタで長手方向または幅方向に２．５〜５倍、好ましくは３〜４．５倍延伸する。通常の逐次２軸延伸法によるフィルムの延伸において、はじめの１軸目の延伸は８０〜９０℃の範囲で行われるのが一般であるが、本発明においては、上記の１軸目の長手方向または幅方向の延伸を９５℃以上１３０℃以下の範囲で行う必要があり、特に好ましくは１０５℃以上１２５℃以下の範囲である。ひき続きフィルム面内で１軸目と垂直な方向に２．５〜４．０倍、好ましくは３〜４倍、延伸温度９０〜１３０℃で延伸し、さらに１８０〜２３０℃の温度で２〜７秒間熱処理すると、本発明の規定要件を満たす２軸配向ポリエステルフィルムを得ることができる。
【００２０】
【実施例】
以下、本発明のポリエステルフィルムを実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されない。
実施例及び比較例で得られたフィルムの物性、不活性粒子の粒径およびポリエステルの極限粘度の測定方法を示す。
(1) 不活性粒子の平均粒径
エチレングリコールスラリー中で十分に分散して得られた微粒子の粒度分布を光透過型遠心沈降式粒度分布測定機（ＳＡ−ＣＰ３型：島津製作所製）を用いて測定し、重量分布の積算が５０％となる値を用いた。
(2) フィルムの耐スクラッチ性
幅１２．７ｍｍに裁断したポリエステルフィルムを硬質クロムメッキ金属ピン（直径６ｍｍ、表面粗さ３Ｓ）に張力５０ｇ、巻き付け角９０度、走行速度１．３ｍ／秒で摩擦させつつ走行させる。次いで、走行後のフィルムにアルミニウム蒸着を施し、実体顕微鏡にて観察し傷の量を目視判定し、以下のようにランク分けした。
１‥‥傷がまったく認められない
２‥‥微かに傷が認められるが極めて微量である
３‥‥少量の傷が認められる
４‥‥多量に傷が認められる
得られたポリエステルフィルムがランク１及び２であれば、実用上差し支えない。
(3) 極限粘度
粘度溶媒としてフェノール／テトラクロロエタン＝６／４に調合したものを用い、３０℃の恒温槽内にてウベローゼ型粘度管で測定した。
(4) 表面粗度（平坦性）
サーフコム３００Ａ型表面粗さ計（東京精密製）を用いて、針径１μｍ、荷重０．０７ｇ、測定基準長０．８ｍｍ、カットオフ０．０８ｍｍの条件で測定した時の中心線平均粗さ（Ｒａ：μｍ）で表した。
(5) 易滑性
ＡＳＴＭＤ−１８９４−６３に準拠し、スレッド式ストリップテスターを用い、２３℃、６５ＲＨ％の環境条件下でフィルム／フィルム間の静摩擦係数を測定した。
【００２１】
実施例１
平均粒径０．５μｍの炭酸カルシウム粒子１．４８重量部、エチレングリコール１４．８重量部及び、０．１Ｍのトリポリリン酸ナトリウム０．００２９６重量部を混合し、ホモジナイザーで攪拌処理し１６．３重量部のスラリーを得た。他方、テレフタル酸８６．４重量部、エチレングリコール６４．６重量部、三酸化アンチモン０．０３重量部、トリエチレンアミン０．１６重量部及び酢酸マグネシウム４水和物０．０８８重量部を加え、２４０℃、３．５ｋｇ／ｃｍ² の圧力下でエステル化を行った。
エステル化終了後、この溶液にトリメチルホスフェート０．０４重量部を加えて常圧下２６０℃で攪拌を行った。３０分後、前記スラリー１１．０重量部を加えてさらに３０分攪拌を行った。その後、真空下で重縮合反応を行い、ポリエチレンテレフタレートを得た。（ポリエステルＡ）
【００２２】
上記ポリエステルＡの製造において、炭酸カルシウムの代わりに平均粒径０．４μｍのカオリンを添加すること以外は同様にして、ポリエチレンテレフタレートを得た。（ポリエステルＢ）
【００２３】
上記ポリエステルＡの製造において、炭酸カルシウムの代わりに平均粒径０．０７μｍ、１０％変形強度１０ｋｇｆ／ｍｍ² 以上の酸化アルミニウムを添加すること以外は同様にして、ポリエチレンテレフタレートを得た。（ポリエステルＣ）
【００２４】
平均粒径０．２μｍの球状シリカ粒子１．４８重量部、エチレングリコール１４．８重量部及び、０．１Ｍの水酸化ナトリウム０．００２９６重量部を混合し、ホモジナイザーで攪拌処理し１６．３重量部のスラリーを得た。
他方、テレフタル酸８６．４重量部、エチレングリコール６４．６重量部、三酸化アンチモン０．０３重量部、酢酸マグネシウム４水和物０．０８８重量部を加え、反応缶の温度が８０℃まで冷却されるのを待った。８０℃に到達後、前記スラリーを生成ポリエステルに対して球状シリカが１重量部となる量だけエステル化反応缶に仕込み、５分後加圧昇温を行い、２４０℃、３．５ｋｇ／ｃｍ² の圧力下でエステル化を行った。その後トリメチルホスフェートを０．０３４重量部仕込み、３０分後に反応物を重合缶に移送し、その後攪拌しながら昇温減圧をして２８５℃、０．１ｍｍＨｇで３時間重縮合反応を行い、ポリエチレンテレフタレートを得た。（ポリエステルＤ）
【００２５】
上記ポリエステルＡの製造において、無機粒子を含まないポリエチレンテレフタレートを得た。（ポリエステルＥ）
【００２６】
上記の不活性無機粒子が表１に示した濃度となるように、得られた上記ポリエステルＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅを所定の重量比で混合、乾燥し、押し出し機に供給し、２８０℃で溶融し、３０℃の冷却ドラム上にキャスティングすることにより厚さ２２０μｍの未延伸フィルムを得た。次いでこのフィルムを１１０℃に加熱したロール、および表面温度６００℃の赤外線ヒーター（フィルムから２０ｍｍ離れた位置に設置）を用いて加熱した後、低速ロールと高速ロールとの間で縦方向に３．３倍延伸した。さらにこのフィルムをテンター内で１００℃で横方向に４．０倍延伸した。テンター中では、横方向に引き続いて熱処理、再横延伸および横方向の緩和を行い、厚さ１５μｍの２軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの表面突起密度は０．３個／μｍ² で表面突起の円相当平均径は０．２２μｍであった。このフィルムの微小突起は全体の突起数の６０％を占めていた。耐スクラッチ性、表面粗度および表面易滑性を表１に示す。各評価結果は良好であることが確認された。
【００２７】
実施例２〜３、比較例１〜３
ポリエステルに添加する不活性粒子の種類、平均径、量を変えた以外は、実施例１と同様にして２軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムについて、耐スクラッチ性、表面粗度および表面易滑性を実施例１と同様に測定した。結果を表１に示す。
表１に示すように、微小突起の占有率を３０〜８０％、表面突起の密度および円相当平均径を本発明の請求の範囲内に設定することにより表面易滑性も耐スクラッチ性も良好であった。しかし、微小突起の占有率、突起密度、円相当平均径が範囲外のものは、平坦性および易滑性は維持しているものの耐スクラッチ性は不良であった。また不活性粒子の種類が１種あるいは２種の場合は表面粗度、易滑性を良好に保てないことも確認された。
【００２８】
【表１】

【００２９】
【表２】

【００３０】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフィルムは、フィルムの平坦性および易滑性を維持しつつ、表面に一定量の微小突起を形成させ表面突起の密度、円相当平均径をある範囲内にコントロールすることにより、耐スクラッチ性に優れるポリエステルフィルムが得られる。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to a polyester film, and more particularly to a polyester film for magnetic recording media excellent in flat slipperiness, running durability, and scratch resistance.
[0002]
[Prior art]
Polyesters are generally used for fibers, molded articles, magnetic tape, floppy disks, photographs, capacitors, packaging, and X-ray films and microfilms because of their excellent physical and chemical properties. It is widely used for various purposes. In particular, it is indispensable as a base film for magnetic recording media.
[0003]
In recent years, magnetic recording media have been improved at a rapid pace, and the demand for a base film has become more severe. For example, slipperiness and wear resistance are major factors that determine the quality of workability of the film manufacturing process and the processing process in each application. In particular, when used as a magnetic tape with a polyester film surface coated with a magnetic material, the friction between the coating roll and the film surface when applying the magnetic material and the resulting film wear are extremely severe, causing wrinkles and scratches on the film surface. Easy to do.
[0004]
Further, in order to increase the productivity, if the film feeding speed is increased in the coating process and the calendar process, the loss of the magnetic recording signal, that is, the dropout increases. Also, after slitting the film after coating the magnetic layer and processing it into audio, video or computer tape, etc., many guide sections, playback heads and There is significant friction and wear during As a result, white powdery substances are often deposited due to the occurrence of scratches, distortions, and scraping of the surface of the polyester film, which often causes dropouts.
[0005]
Further, in the case of software video tapes for which demand has been increasing in recent years, scratches enter the tape by the guide pins and white powder is generated in the high-speed dubbing process from the master tape. As a result, the S / N ratio is lowered and the image quality is deteriorated.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to solve these conventional problems and to provide a high-quality polyester film excellent in scratch resistance without impairing flat slipperiness.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
That is, in the present invention, at least one outermost layer is mainly composed of a composition comprising polyester, a compound containing a group II atom of the periodic table and a phosphorus compound, and at least three kinds of inert particles a, b, and c. A polyester film,
Particle a is calcium carbonate, spherical silica, or spherical crosslinked polystyrene having an average particle size of 0.05 to 1.0 μm, and particle b is kaolin, barium sulfate, or clay having an average particle size of 0.05 to 1.0 μm. And the particles c are alumina, spherical silica, or titanium oxide having an average particle size of 0.05 to 0.3 μm and a smaller particle size than the other particles,
The compound containing an atom of Group II of the periodic table is a compound containing Mg atom, the content of the compound is 10 ppm to 200 ppm in terms of Mg atom, and the molar ratio of Mg to P in the phosphorus compound (P / Mg) is 0.5 to 1.0,
Further, the film has a surface protrusion density of 0.1 to 0.5 pieces / μm ² and a circular equivalent average diameter of the protrusions of 0.05 to 0.4 μm. The polyester film is characterized in that 30 to 80% of the number of protrusions is a minute protrusion having an equivalent circle diameter of 0.25 μm or less.
[0008]
The polyester used for the production of the film of the present invention is a crystalline polyester such as polyethylene terephthalate and polyalkylene naphthalate, and is not particularly limited. Especially, the polyethylene terephthalate which 80 mol% or more of the repeating unit consists of ethylene terephthalate is preferable.
[0009]
The polyester production method employs any production method such as a so-called direct polymerization method in which an aromatic dicarboxylic acid and glycol are directly reacted, or a so-called transesterification method in which a dimethyl ester of an aromatic carboxylic acid and a glycol are transesterified. be able to.
[0010]
As the inert particles used in at least one outermost layer in the film of the present invention, inorganic particles such as titanium oxide, silica, calcium carbonate, kaolin, carbon black, alumina, clay, calcium phosphate, barium phosphate, barium sulfate, Examples thereof include organic particles such as crosslinked polystyrene, crosslinked polymethylmethacrylate, and polyimide. These may be synthetic or natural products. The shape of the particles is not limited, but a spherical shape, a rice shape, a plate shape, an amorphous shape or the like is preferable. Further, the average particle diameter is not particularly limited, but fine particles of preferably 0.01 to 1.5 μm, more preferably 0.05 to 1.0 μm are used.
[0011]
The present inventors have found that one or two kinds of particles cannot maintain good slipperiness, running durability, abrasion resistance and scratch resistance. In the present invention, at least three kinds of particles are used, and the ability of each particle can be exhibited by controlling the hardness, shape, amount, particle size, and particle size distribution of each particle. For example, the slipperiness is excellent when the particle shape is close to a sphere and the particle size distribution is sharp. Examples of particles that are expected to be effective include synthetic calcium carbonate, spherical silica, and spherical cross-linked polystyrene. Further, in order to maintain the machinability, plate-like particles having low hardness are good and effective in scratch resistance, such as kaolin, barium sulfate, clay and the like. Furthermore, for scratch resistance, it is necessary to make the particle size smaller than the particles for maintaining other characteristics and to form fine protrusions. Although it does not specifically limit, there exist inorganic particles, such as an alumina, spherical silica, a titanium oxide. In this way, particles that can be expected to have an effect on each required quality can be added.
[0012]
The term “projection” as used herein refers to a result obtained by observing using a reflection electron microscope (SEM) S-2500 manufactured by Hitachi, Ltd. and quantifying the obtained image using an image processing apparatus. Observation condition acceleration voltage 20 kv
Sample tilt 30 °
Observation magnification 6000
Number of viewing fields 30
[0013]
From the obtained data, the surface protrusion density is 0.1 to 0.5 pieces / μm ² and the circular equivalent average diameter of the protrusions is 0.05 to 0.4 μm. While maintaining, it excels in abrasion resistance and scratch resistance. When the equivalent circle diameter of the protrusions here is 0.4 μm or more, the electromagnetic conversion characteristics deteriorate when processed into a magnetic recording medium with a surface centerline average roughness (Ra) exceeding 0.020 μm. Further, it has been found that if the surface protrusion density is less than 0.1 / μm ² , the slipperiness and scratch resistance are inferior.
[0014]
Furthermore, the surface protrusions can be controlled within the above range by forming micro protrusions on the film surface. These microprotrusions have a circle equivalent diameter of 0.25 μm or less and form a surface in the above range by being present in a range of 30-80% of the total number of surface protrusions, more preferably 40-80%. Can be made.
Here, the equivalent circle diameter of the protrusion means the diameter of a sphere having the same area as the projected sectional area of the protrusion.
When these fine protrusions are less than 30%, the scratch resistance is inferior, and when they exceed 80%, the slipperiness is inferior.
[0015]
One means for generating the fine protrusions on the film surface and controlling the number of the protrusions within the above range is to add at least one kind of fine fine particles having a sharp particle size distribution.
Specifically, the average particle size is 0.05 to 0.3 μm and the particle size distribution obtained by the centrifugal sedimentation type particle size distribution meter is used to integrate from the smaller particle size, and the weight distribution is 10% and 75%. Inert particles having a particle size difference of 0.10 μm or less, preferably 0.06 μm or less are suitable. As one means for obtaining such fine particles, a special dispersion method described in JP-A-2-178321, that is, a method in which a mixture containing inert fine particles is dispersed in a polyester production process using a continuous closed stirrer, etc. Application is more effective. Further, it is effective to select the inert fine particles having a 10% deformation strength of 10 kgf / mm ² in order to generate the minute projections intended in the present invention.
[0016]
Further, by adding a compound containing a group II atom in the periodic table and a phosphorus compound in the polyester, the dispersibility of the particles in the polyester is improved, and the fine protrusions regulated in the present invention on the film surface. It can be suitably obtained. Examples of compounds containing Group II atoms in the periodic table include magnesium acetate and calcium acetate. Examples of the phosphorus compound include phosphoric acid, phosphoric acid triester, acidic phosphoric acid ester, phosphorous acid, phosphorous acid ester and the like. The content of the compound containing Group II atoms in the periodic table is 10 ppm to 200 ppm in terms of Mg atoms, and the molar ratio thereof, that is, the molar ratio of Mg to P (P / Mg) in the phosphorus compound is 0. 5 to 1.0, preferably 0.65 to 0.85. The phosphorus compound content is preferably 10 ppm to 200 ppm.
[0017]
The addition amount of each inert fine particle is 0.05 to 1.5% by weight, preferably 0.1 to 1.5% by weight, more preferably 0.2 to 1.0% by weight, based on the polyester. It is. If the addition amount is less than 0.05% by weight, the number of microprojections of the present invention cannot be obtained. Conversely, if the addition amount exceeds 1.5% by weight, coarse projections are formed due to aggregation of fine particles in the polyester. This is not preferable because it causes generation of electromagnetic conversion characteristics and deterioration of dropout. The total addition amount of the inert fine particles is 0.1 to 1.6% by weight, preferably 0.2 to 1.0% by weight, more preferably 0.3 to 1.0% by weight, based on the polyester. . If the addition amount is less than 0.1% by weight, the slipperiness and wear resistance cannot be kept good, and if it exceeds 1.6% by weight, the electromagnetic conversion characteristics deteriorate.
[0018]
The film of the present invention is produced, for example, by the following method.
As a raw material constituting the outermost layer, a polyester composition is produced from a mixture of a polyester raw material and inert fine particles. After sufficiently drying this polyester composition, it is supplied to a multilayer extruder together with the polyester constituting the other layers, and after filtration, melt extruded from a slit die, cooled and solidified to obtain an unstretched original fabric. At this time, in the extruder, a method in which a shear stress acts strongly on the polymer or a method in which the shear rate is high is effective for bringing the microprojections within the scope of the present invention. Although not particularly limited, it is effective to use a twin screw extruder with a filter mesh in the range of 5 to 20 μm.
[0019]
The melt-extruded substantially unoriented polyester film is stretched 2.5 to 5 times, preferably 3 to 4.5 times in the longitudinal direction or width direction between rolls or with a stenter. In the stretching of the film by the usual sequential biaxial stretching method, the first first-axis stretching is generally performed in the range of 80 to 90 ° C. In the present invention, the longitudinal direction of the first axis is as described above. Alternatively, stretching in the width direction needs to be performed in the range of 95 ° C. or higher and 130 ° C. or lower, and particularly preferably in the range of 105 ° C. or higher and 125 ° C. or lower. Subsequently, the film is stretched 2.5 to 4.0 times, preferably 3 to 4 times in the direction perpendicular to the first axis in the film plane, at a stretching temperature of 90 to 130 ° C., and further at a temperature of 180 to 230 ° C. When heat-treated for 7 seconds, a biaxially oriented polyester film that satisfies the specified requirements of the present invention can be obtained.
[0020]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although the polyester film of this invention is demonstrated in detail by an Example, this invention is not limited at all by these Examples.
The measuring method of the physical property of the film obtained by the Example and the comparative example, the particle size of an inert particle, and the intrinsic viscosity of polyester is shown.
(1) Average particle size of inert particles The particle size distribution of fine particles obtained by sufficiently dispersing in an ethylene glycol slurry is measured using a light transmission type centrifugal sedimentation type particle size distribution analyzer (SA-CP3 type: manufactured by Shimadzu Corporation). The value at which the cumulative weight distribution was 50% was used.
(2) Scratch resistance of the film Polyester film cut to a width of 12.7 mm is rubbed against a hard chrome-plated metal pin (diameter 6 mm, surface roughness 3S) with a tension of 50 g, a winding angle of 90 degrees, and a running speed of 1.3 m / sec. While running. Subsequently, aluminum vapor deposition was given to the film after driving | running | working, it observed with the stereomicroscope, the amount of the damage | wound was visually determined, and it ranked as follows.
1 Scratch is not recognized at all 2 Slightly scratched but very small amount 3 Small amount of scratch is observed 4 Polyester film obtained with a large amount of scratch is ranked 1 and 2 is practically acceptable.
(3) Using an intrinsic viscosity / viscosity solvent prepared with phenol / tetrachloroethane = 6/4, the viscosity was measured with a Ubbelose type viscosity tube in a thermostatic bath at 30 ° C.
(4) Surface roughness (flatness)
Using a Surfcom 300A type surface roughness meter (manufactured by Tokyo Seimitsu), centerline average roughness when measured under the conditions of a needle diameter of 1 μm, a load of 0.07 g, a measurement reference length of 0.8 mm, and a cutoff of 0.08 mm ( (Ra: μm).
(5) Sliding property In accordance with ASTM D-1894-63, a static friction coefficient between films was measured using a thread type strip tester under an environmental condition of 23 ° C. and 65 RH%.
[0021]
Example 1
1.48 parts by weight of calcium carbonate particles having an average particle size of 0.5 μm, 14.8 parts by weight of ethylene glycol, and 0.00296 parts by weight of 0.1M sodium tripolyphosphate are mixed, and stirred with a homogenizer to make 16.3 weights. Part slurry was obtained. On the other hand, 86.4 parts by weight of terephthalic acid, 64.6 parts by weight of ethylene glycol, 0.03 parts by weight of antimony trioxide, 0.16 parts by weight of triethyleneamine and 0.088 parts by weight of magnesium acetate tetrahydrate were added, Esterification was performed at 240 ° C. under a pressure of 3.5 kg / cm ² .
After completion of esterification, 0.04 part by weight of trimethyl phosphate was added to this solution and stirred at 260 ° C. under normal pressure. After 30 minutes, 11.0 parts by weight of the slurry was added and stirred for another 30 minutes. Thereafter, a polycondensation reaction was performed under vacuum to obtain polyethylene terephthalate. (Polyester A)
[0022]
In the production of polyester A, polyethylene terephthalate was obtained in the same manner except that kaolin having an average particle diameter of 0.4 μm was added instead of calcium carbonate. (Polyester B)
[0023]
In the production of polyester A, polyethylene terephthalate was obtained in the same manner except that aluminum oxide having an average particle size of 0.07 μm, 10% deformation strength of 10 kgf / mm ² or more was added instead of calcium carbonate. (Polyester C)
[0024]
1.48 parts by weight of spherical silica particles having an average particle size of 0.2 μm, 14.8 parts by weight of ethylene glycol, and 0.00296 parts by weight of 0.1M sodium hydroxide were mixed and stirred with a homogenizer to obtain 16.3 parts by weight. Part slurry was obtained.
On the other hand, 86.4 parts by weight of terephthalic acid, 64.6 parts by weight of ethylene glycol, 0.03 part by weight of antimony trioxide and 0.088 part by weight of magnesium acetate tetrahydrate were added, and the temperature of the reaction vessel was cooled to 80 ° C. I waited for you. After reaching 80 ° C., the slurry was charged into an esterification reaction can in an amount such that 1 part by weight of spherical silica with respect to the produced polyester was added, and after 5 minutes, the pressure was increased, and 240 ° C., 3.5 kg / cm ^2. The esterification was carried out under the pressure of Thereafter, 0.034 parts by weight of trimethyl phosphate was charged, and after 30 minutes, the reaction product was transferred to a polymerization vessel, and then the temperature was reduced while stirring and a polycondensation reaction was carried out at 285 ° C. and 0.1 mmHg for 3 hours. Got. (Polyester D)
[0025]
In the production of polyester A, polyethylene terephthalate containing no inorganic particles was obtained. (Polyester E)
[0026]
The obtained polyesters A, B, C, D, and E were mixed and dried at a predetermined weight ratio so that the concentration of the above-described inert inorganic particles was as shown in Table 1, and supplied to an extruder. An unstretched film having a thickness of 220 μm was obtained by melting at 30 ° C. and casting on a cooling drum at 30 ° C. Next, the film was heated using a roll heated to 110 ° C. and an infrared heater having a surface temperature of 600 ° C. (installed at a position 20 mm away from the film), and then vertically between the low-speed roll and the high-speed roll. The film was stretched 3 times. Further, this film was stretched 4.0 times in the transverse direction at 100 ° C. in a tenter. In the tenter, heat treatment, re-lateral stretching, and relaxation in the transverse direction were subsequently performed in the transverse direction to obtain a biaxially oriented polyester film having a thickness of 15 μm. The film obtained had a surface protrusion density of 0.3 pieces / μm ² and a circle-equivalent mean diameter of the surface protrusions of 0.22 μm. The fine protrusions of this film accounted for 60% of the total number of protrusions. Table 1 shows scratch resistance, surface roughness and surface slipperiness. Each evaluation result was confirmed to be good.
[0027]
Examples 2-3 and comparative examples 1-3
A biaxially oriented polyester film was obtained in the same manner as in Example 1 except that the kind, average diameter, and amount of inert particles added to the polyester were changed.
About the obtained film, scratch resistance, surface roughness, and surface slipperiness were measured in the same manner as in Example 1. The results are shown in Table 1.
As shown in Table 1, the surface slipperiness and scratch resistance are good by setting the occupation ratio of microprojections to 30 to 80%, the density of surface projections and the circle equivalent average diameter within the scope of the present invention. Met. However, when the occupation ratio, projection density, and circle equivalent average diameter of the fine projections were out of the range, the flatness and the slipperiness were maintained, but the scratch resistance was poor. It was also confirmed that the surface roughness and the slipperiness could not be kept good when the kind of the inert particles was one or two.
[0028]
[Table 1]

[0029]
[Table 2]

[0030]
【The invention's effect】
As described above, the film of the present invention controls the density of the surface protrusions and the circle-equivalent mean diameter within a certain range by forming a certain amount of fine protrusions on the surface while maintaining the flatness and slidability of the film. Thus, a polyester film having excellent scratch resistance can be obtained.

Claims

At least one outermost layer is a polyester film mainly composed of a composition comprising polyester, a compound containing a group II atom in the periodic table and a phosphorus compound, and at least three kinds of inert particles a, b, and c. ,
Particle a is calcium carbonate, spherical silica, or spherical crosslinked polystyrene having an average particle size of 0.05 to 1.0 μm, and particle b is kaolin, barium sulfate, or clay having an average particle size of 0.05 to 1.0 μm. And the particles c are alumina, spherical silica, or titanium oxide having an average particle size of 0.05 to 0.3 μm and a smaller particle size than the other particles,
The compound containing an atom of Group II of the periodic table is a compound containing Mg atom, the content of the compound is 10 ppm to 200 ppm in terms of Mg atom, and the molar ratio of Mg to P in the phosphorus compound (P / Mg) is 0.5 to 1.0,
Further, the film has a surface protrusion density of 0.1 to 0.5 pieces / μm ² and a circular equivalent average diameter of the protrusions of 0.05 to 0.4 μm. A polyester film characterized in that 30 to 80% of the number of protrusions is a minute protrusion having an equivalent circle diameter of 0.25 μm or less.