JP3671745B2 - 車間制御装置及び記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自車を先行車に追従させて走行させるための車間制御装置などに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車の走行安全性を向上させると共に、運転者の操作負担を軽減するための技術として、自車を先行車に自動的に追従させる車間制御装置が知られている。その追従のさせ方は、自車と先行車との実車間距離と予め設定された目標車間距離との差である車間偏差がなくなるように制御する手法である。具体的には、この車間偏差と相対速度(先行車速度に対する自車速度)とに基づいて目標加速度を算出し、自車の加速度がその目標加速度となるように、加速装置や減速装置を制御するのである。
【0003】
なお、車間距離そのものではなく、例えば車間距離を自車の車速で除算した値(以下「車間時間」と称す)を用いても同様に実現できる。また、実際には、レーザ光あるいは送信波などを先行車に対して照射し、その反射光あるいは反射波の受けるまでの時間を検出して車間距離を算出しているため、その検出された時間そのものを用い、実時間と目標時間にて同様の制御を実行してもよい。このように車間距離に相当する物理量であれば実現可能なため、これらを含めて「車間物理量」と記すこととする。また、上述した目標加速度も、「車間制御量」の一具体例であり、それ以外にも加速度偏差(目標加速度−実加速度)や、目標トルク、あるいは目標相対速度としてもよい。但し、以下の説明中、理解を容易にする目的で、必要に応じて「車間物理量」の例として車間距離、「車間制御量」の一例として目標加速度を用いる場合がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、目標車間距離が固定されていることにより、状況によっては以下に示すように運転フィーリングが悪化することが考えられる。
まず、車間制御中に、自車線よりも交通の流れが速い車線に自車を車線変更して新たな先行車(自車よりも高速で走行している)に追従する場合が挙げられる。つまり、車線変更後の車間距離が目標車間距離より短いと、目標車間距離に合わせようとして自車は一旦減速してしまい、車間距離を開けてから加速して追従する。しかしながら、先行車は自車よりも高速走行しているため、自車が一旦減速することによって、先行車から一時的に取り残されたり、後続車に減速を余儀なくさせる可能性がある。このように、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう。
【0005】
同様に、車間制御中に、運転者がオーバライド(運転者がアクセルなどの加速装置を操作することにより、制御で発生しようとする加速度以上で加速すること)操作をして先行車に近付く場合もこれに該当する。この場合は、オーバライドによって目標車間距離より短くなるため、オーバライド後は目標車間距離に合わせようとして自車は一旦減速してしまい、車間距離を開けてから加速して追従することとなる。運転者が意図的に先行車に近づこうとしているにもかかわらず先行車から一時的に取り残されてしまう。また、加速した後で減速することとなるため、後続車両には違和感を与えてしまう。このように、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう。
【0006】
さらに、スイッチ操作などで決まる目標車間距離より短い車間距離で、車間制御を開始した場合にも同様の状況が生じる。つまり、目標車間距離に合わせようとして自車は一旦減速してしまい、車間距離を開けてから加速して追従することとなる。このため、先行車から一時的に取り残されたり、後続車両に減速を余儀なくさせる可能性がある。このように、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう。
【0007】
これらの問題点は、車間制御の際の減速手段としてアクセルオフやシフトダウンなど緩減速装置のみを持つ場合でも運転フィーリングの悪化が若干存在していた。さらにブレーキ装置などのように、減速度がより大きい減速装置を併せ持つようになると、運転フィーリングの悪化は増大してしまう。
【0008】
そして、上述したいずれの場合も、運転者自らの操作によって生じた状況であり、それ以外の状況、例えば運転者の意図しない原因で生じた場合と同様に減速させる必要性が薄い。そして、減速せずにむしろ加速状態となっても好ましい状況も多い。
【0011】
そこで、本発明は、車両運転者が自らの操作で先行車に近付くような状況において実行する車間制御においては、通常の制御の場合とは異なり、より運転者の感覚に合致した車両挙動となるようにして、運転フィーリングを向上させた制御を実行することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の車間制御装置は、車間制御手段が、自車と先行車との実車間距離に相当する物理量である実車間物理量と、自車と先行車との目標車間距離に相当する物理量である目標車間物理量との差である車間偏差、及び自車と先行車との相対速度に基づいて車間制御量を算出し、その算出された車間制御量に基づき加速手段及び減速手段を駆動制御することによって、自車を先行車に追従させて走行させることを前提とする。
【0014】
なお、実車間物理量としては、例えばレーザ光あるいは送信波などを先行車に対して照射し、その反射光あるいは反射波の受けるまでの時間を検出する構成を採用した場合には、その検出した時間そのものを用いてもよいし、車間距離に換算した値を用いてもよいし、さらには、車速にて除算した車間時間を用いてもよい。また、車間制御量としては、目標加速度や加速度偏差(目標加速度−実加速度)、あるいは目標トルクや目標相対速度などが考えられる。
【0015】
このような車間制御を実行する上で、本発明の車間制御装置は、制御実行中に車両運転者による操作により実車間物理量が目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいは車両運転者による操作が実車間物理量を目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、前記車間偏差がなくなるように制御する通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行する。この「車両運転者による操作により実車間物理量が目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいは車両運転者による操作が実車間物理量を目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合」としては、例えば請求項2に示すように、自車線よりも交通の流れが速いことが交通法規上想定されている車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させるような車両運転者による操作により実車間物理量が目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいはそのような車両運転者による操作が実車間物理量を目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合であることが考えられる。例えば、高速道路においていわゆる走行車線から追い越し車線に車線変更するような場合である。具体的に、例えば自車が80Km/hで走行している状態から追い越し車線に車線変更し、100Km/hで走行している先行車に追従する場合を想定する。通常の車間制御では、車線変更後の車間物理量が目標車間物理量より小さいと、目標車間物理量に合わせようとして自車は一旦減速してしまい、車間物理量を大きくしてから(例えば車間距離を開けてから)加速して追従することとなるが、先行車は自車よりも高速走行しているため、自車が一旦減速することによって、先行車から一時的に取り残されたり、後続車に減速を余儀なくさせる可能性がある。つまり、通常の車間制御では、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう可能性がある。
【0016】
それに対して、本発明の車間制御装置のように、通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行すれば、先行車から一時的に取り残されることがなくなるか、あるいはその度合いが少なくなる。
そして、本発明の車間制御装置によれば、「通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御」として、車間制御における目標車間物理量について、車両運転者による操作に基づいて実車間物理量が目標車間物理量より小さくなった時点で、相対速度が負の所定下限値以上であり且つ0近傍の所定上限値以下の範囲において、相対速度が小さいほど設定された目標車間物理量に近く、相対速度が大きいほど実車間物理量に近く設定し、時間経過に応じて順次長くしていき、最終的には設定された目標車間物理量まで戻していきながら実行する制御を行う。そのため、例えばオーバライド状態、あるいは目標車間物理量より小さい実車間物理量の状態で車間制御を開始した各状況においても、先行車の接近度合いによっては目標車間物理量を本来設定された目標車間物理量付近に設定するため、確実に減速制御を実行することができる。さらに、車線変更の状況においても、先行車が自車よりも高速であるか低速であるかの判断結果に対応して連続的に目標車間物理量を設定することになるため、より確実な目標車間物理量の設定が可能である。
なお、前記0近傍の所定上限値としては、0そのものを用いることもできる。その場合の一例を、車間物理量として車間時間を採用したマップである図5(a)を参照して説明する。この図5(a)においては縦軸を目標車間時間(s)、横軸を相対速度(km/h)で表している。相対速度が負の所定下限値Vr1以上且つ0以下の範囲において、相対速度が負の所定下限値Vr1の場合には設定された目標車間時間とし、相対速度が0の場合には実車間時間とすると共に、それら2点間をリニアに変化させたものである。なお、このマップでは、相対速度が負の所定下限値Vr1未満の領域では一律に設定目標車間時間とし、相対速度が0よりも大きな領域では一律に実車間時間としている。
また、前記0近傍の所定値としては、請求項2に示すように、正の所定上限値を用いてもよい。その場合の一例を、図5(b)に示す。この場合には、相対速度が負の所定下限値Vr1の場合には設定された目標車間時間とし、相対速度が正の所定上限値Vr2の場合には実車間時間とすると共に、それら2点間をリニアに変化させたものである。なお、このマップでも、相対速度が負の所定下限値Vr1未満の領域では一律に設定目標車間時間とし、相対速度が正の所定上限値Vr2よりも大きな領域では一律に実車間時間としている。
但し、この場合には、「自車線よりも交通の流れが速いことが交通法規上想定されている車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させるような前記車両運転者による操作により実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいはそのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合」に採用することが望ましい。これは、車線変更した場合には、車両運転者の安全感覚をより重視した方が好ましいと考えられるからである。つまり、図5(b)の場合には、相対速度が正の所定上限値Vr2よりも大きい場合には、実車間時間が目標車間時間となるため車間制御において減速がなされないが、相対速度が正であっても、正の所定上限値Vr2以下の領域においては、微減速することとなる。つまり、先行車が自車から離れている状態であっても、その程度が小さい場合には、安全感覚に沿うように、微減速させているのである。
一方、前記0近傍の所定値としては、請求項3や4に示すように、負の所定上限値を用いてもよい。その場合の一例を、図5(c)に示す。この場合には、相対速度が負の所定下限値Vr1の場合には設定された目標車間時間とし、相対速度が負の所定上限値Vr3の場合には実車間時間とすると共に、それら2点間をリニアに変化させたものである。なお、このマップでも、相対速度が負の所定下限値Vr1未満の領域では一律に設定目標車間時間とし、相対速度が負の所定上限値Vr3よりも大きな領域では一律に実車間時間としている。
但し、この場合には、「車両運転者による前記加速手段に対するオーバライド操作によ り前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいはそのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合」や「実車間物理量が予め設定された前記目標車間物理量よりも小さい状態での制御開始が車両運転者によって指示されたことにより前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいはそのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合」に採用することが望ましい。なぜなら、図5(c)の場合には、相対速度が0以上の範囲ではもちろんのこと、0未満の負の領域に入っても負の所定上限値Vr3までの範囲では、実車間時間が設定され、先行車と微接近している状態であっても、通常よりも減速度合いが抑制された車間制御を実行することとなるからである。つまり、オーバライドや制御開始時においては、車両運転者は通常制御よりも先行車に近づく状態が生じることを認識した上でこれらの操作を行っているため、その操作した車両運転者の感覚に応じた車間制御を実行する上では、先行車への微接近が生じる状況においても減速度合いが抑制された車間制御を実行した方が好ましいからである。
他にも、車間制御が、自車の加速度を、目標車間物理量に対応して算出された目標加速度に制御するものであることを前提としている場合には、加速度の下限値を制限するように目標加速度を調整するようにしても、通常時の制御よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行できる。つまり、請求項5に示すように、目標加速度の下限値を暫定的に零(0)近傍の小さな値に設定し、時間経過に応じて加速度下限値を引き下げていき、最終的には減速度合いを抑制しない場合の加速度下限値まで戻すのである。
この場合には、例えば請求項6に示すように、自車線よりも交通の流れが速いことが交通法規上想定されている車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させるような前記車両運転者による操作がされた場合に、前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであると判断することが考えられる。
【0017】
また、例えば請求項7に示すように、車両運転者による前記加速手段に対するオーバライド操作がされた場合に、前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであると判断することも考えられる。オーバライドは、アクセルなどの加速手段を操作することによって、加速手段が車間制御手段による駆動制御に基づいて発生するよりも大きな加速度を発生することであるが、これも車両運転者が自らの意志で操作することで、自車を先行車に近づかせている。このように運転者が意図的に先行車に近づこうとしているにもかかわらず、単に実車間物理量が目標車間物理量より小さくなったということで、オーバライド後に目標車間物理量に合わせようとして自車は一旦減速し、実車間物理量が目標車間物理量付近となってから加速して追従するため、先行車から一時的に取り残されてしまう。また、加速した後で減速することとなるため、後続車両には違和感を与えてしまう。このように、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう。
【0018】
なお、このオーバライドの場合には、運転者が行うオーバライド操作の終了時点で既に実車間物理量が目標車間物理量より小さくなっている場合だけでなく、オーバライド操作の終了時点では未だ実車間物理量が目標車間物理量より小さくなってはいないが、そのままでは(近い)将来に実車間物理量が目標車間物理量より小さくなってしまう状況にも対処する。つまり、目標車間付近まで接近した状態でオーバライドを解除すると、相対速度が先行車への接近側になっており、従来制御では急減速してしまう。しかし、車両運転者が自らの意志で操作するオーバライドであるので、目標車間物理量よりも小さい状態があってもその後、目標車間物理量に落ち着けば何ら問題ない。したがって、急減速するのではなく、減速度合いを抑制することで運転フィーリングは向上する。
【0019】
さらに、請求項8に示すように、実車間物理量が予め設定された目標車間物理量よりも小さい状態で、車間制御手段による制御の開始が車両運転者によって指示された場合に、実車間物理量が目標車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が実車間物理量を目標車間物理量より小さくするものであると判断することが考えられる。この場合も目標車間物理量に合わせようとして自車は一旦減速してしまい、実車間物理量が目標車間物理量付近となってから加速して追従するため、先行車から一時的に取り残されたり、後続車両に減速を余儀なくさせる可能性がある。このように、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう。
【0020】
上述したいずれの場合も、運転者自らの操作によって生じた状況であり、それ以外の状況、例えば運転者の意図しない原因で生じた場合と同様の減速を実行させる必要性が薄い。そして、多くの場合は、先行車の相対速度が自車よりも大きいことが想定されるため、減速せずにむしろ加速状態となっても好ましい状況も多い。したがって、通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行すれば、先行車から一時的に取り残されることがなくなるか、あるいはその度合いが少なくなる。そのため、より運転者の感覚に合致した車両挙動となるようにして、運転フィーリングを向上させた制御を実行することができる。
【0021】
なお、これらの車間制御において「通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行する」場合に、さらに先行車の相対速度も加味して、「通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行する」かしないかを判断しても良い。すなわち、請求項9に示すように、自車に対するその新たな先行車の相対速度が所定値よりも車間が離れる側に大きい状況が生じたことを判断した場合には、通常制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行するのである。この所定値としては0を含む0近傍の値とすることが考えられる。
【0022】
例えば、上述した車線変更の場合で言えば、高速道路において一般的に交通の流れが速い追い越し車線から流れの遅い走行車線に戻るような場合には、減速度合いを抑制した制御を実行するのではなく、通常通りの制御を行う設定にすることもできる。
【0023】
ところで、「通常時の制御よりも減速度合いを抑制した車間制御」を実行するに際しては、種々の方法が採用できるが、例えば請求項5に示すように、車間制御における目標車間物理量について、車両運転者による操作に基づいて実車間物理量が目標車間物理量より小さくなった時点の実車間距離あるいはその近傍の値を暫定的な目標車間物理量として設定し、時間経過に応じて順次長くしていき、最終的には設定された目標車間物理量まで戻していきながら実行することが考えられる。この目標車間物理量まで戻していく際には、減速制御し過ぎない変化勾配で目標車間物理量を復帰させる。この方法によれば、上述した車線変更、オーバライド、あるいは目標車間物理量より小さい実車間物理量の状態で車間制御を開始した各状況において、強い減速をせずに追従することができる。
【0024】
なお、車線変更の場合には、上述したように追い越し車線から走行車線への変更もあるため、相対速度が接近側、つまり先行車の方が自車よりも低速である場合は目標車間物理量を調整しないようにできる。これにより、減速が必要な場面で目標車間物理量を小さくしてしまい減速が遅れることがないようにする。また、例えば先行車が自車よりも高速で走行していても、車線変更後の車間物理量が目標車間物理量より大きい場合は、従来の制御で問題なく追従できるため、やはり目標車間物理量を調整しない。
【0025】
なお、車速によって目標車間距離を可変にする場合であって車速にほぼ比例して目標車間距離を設定する場合は、目標車間距離を調整する代わりに目標車間時間(目標車間距離を車速で除算したもの)を調整するようにしても同等の効果を得ることができる。つまり、車間制御における目標車間時間について、車両運転者による操作に基づいて実車間時間が目標車間時間より小さくなった時点の実車間時間あるいはその近傍の時間を暫定的な目標車間時間として設定し、時間経過に応じて目標車間時間を順次長くしていき、最終的には設定された目標車間時間まで戻す。この際、減速制御し過ぎない変化勾配で目標車間時間を復帰させる。
【0026】
なお、実車間時間あるいはその近傍の値を目標車間時間として設定する際、所定の下限値未満の目標車間時間を設定しないことが望ましい。これは、運転者の意図により発生した状況であったとしても、危険をもたらす可能性のある目標車間時間を設定すべきでないからである。
【0034】
また、これまでは車間制御についての問題点を挙げたが、実車間距離が所定の警報距離よりも短くなった場合に警報音などを鳴らして車両運転者に注意を喚起する際にも同様の問題が生じる。つまり、警報距離が固定されていることにより、状況によっては無用な警報がなされてしまい、運転フィーリングが悪化するのである。例えば、車間制御中あるいは(車間制御は実行せず)車両運転者自身による運転中に、自車線よりも交通の流れが速い車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従する場合には、車線変更後の車間距離が警報距離より短いと警報処理がなされてしまう。しかしながら、先行車は自車よりも高速走行しているため、車両運転者の感覚としては警報の必要はない。また、上述した車間制御中に運転者がオーバライド操作をして先行車に近付く場合や、スイッチ操作などで決まる目標車間距離より短い車間距離で車間制御を開始した場合にも、実車間距離が警報距離よりも短いと同様の状況が生じる。
そのため、車両運転者が自らの操作で先行車に近付くような状況において実行する車間警報においては、通常の警報の場合とは異なり、より運転者の感覚に合致した警報処理が実行されるようにして、運転フィーリングを向上させた制御を実行することも望ましい。そこで、上述の車間制御に加えて、このような適切な車間警報も実行できるようにしたのが請求項10記載の車間制御装置である。本車間制御装置の警報手段は、実車間物理量が所定の警報車間物理量よりも小さくなった場合は、車両運転者に対する警報処理を実行することを基本としている。
【0035】
なお、警報車間物理量とは、警報が必要な、あるいは警報をすべき車間物理量を意味し、上述した実車間物理量に応じて、時間の単位でもよいし、距離の単位でもよい。つまり、実車間物理量と比較するため、同じ概念の物理量とする。
しかし、車間制御手段による制御実行中に車両運転者による操作により実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいは車両運転者による操作が実車間物理量を警報車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、警報車間物理量について、車両運転者による操作に基づいて実車間物理量が警報車間物理量より小さくなった時点の実車間物理量あるいはその近傍の値を暫定的な警報車間物理量として設定し、時間経過に応じて順次長くしていき、最終的には元々設定された警報車間物理量まで戻していく。
【0036】
この「車両運転者による操作により実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいは車両運転者による操作が実車間物理量を警報車間物理量より小さくするものであることを判断した場合」としては、上述した車間制御の場合と同様の状況が考えられる。つまり、請求項14に示すように、自車線よりも交通の流れが速いことが交通法規上想定されている車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させるような前記車両運転者による操作がされた場合に、前記実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記警報車間物理量より小さくするものであると判断する場合や、請求項16に示すように、車両運転者によるオーバライド操作がされた場合に、実車間物理量が警報車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が実車間物理量を警報車間物理量より小さくするものであると判断する場合や、さらには、請求項17に示すように、実車間物理量が予め設定された警報車間物理量よりも小さい状態で、車間制御手段による制御の開始が車両運転者によって指示された場合に、実車間物理量が警報車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が実車間物理量を警報車間物理量より小さくするものであると判断する場合などが考えられる。
これらの状況は、実車間物理量が警報車間物理量よりも小さくはなっていても、車両運転者が意識的に行った結果としてその時点あるいは近い将来に生じるものであるため、実質的には警報する必要がないと考えられる。
【0037】
したがって、本発明の車間制御装置では、このような状況が生じた時点での実車間物理量あるいはその近傍の値を暫定的な警報車間物理量として設定し、時間経過に応じて順次長くしていき、最終的には元々設定された警報車間物理量まで戻していく。そのため、不要な警報処理がなされることを防止でき、より運転者の感覚に合致した警報が実現され、運転フィーリングの向上が図られる。
【0038】
なお、車線変更の場合には、上述したように追い越し車線から走行車線への変更もあるため、相対速度が接近側、先行車の方が自車よりも低速である場合は警報車間物理量を調整しない(請求項15参照)。これにより、警報が必要な場面で警報車間物理量を小さくしてしまい警報発生が遅れることがないようにする。
【0039】
また、警報発生の必要性を、車間制御の状態も考慮して判断することにより、「車間制御装置だけでは対処できないような状況」においてのみ警報発生できるようにして、警報の実効性を向上させるという観点からは請求項11に示すようにしてもよい。すなわち、実車間物理量が所定の警報車間物理量よりも小さくなった場合は、車両運転者に対する警報処理を実行可能な警報手段を備えており、車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達している場合に限り、警報手段による警報処理の実行を許可する。但しその前提として、車間制御手段は、自車を減速させる際、個別に駆動制御した際に発生可能な減速度の異なる複数種類の減速手段の内から1つあるいは複数を選択して駆動制御するよう構成されている。
【0040】
そのため、車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達していることは、例えば請求項12あるいは13に記載する手法で判定できる。
請求項12に示す場合には、減速度の異なる複数種類の減速手段の内で最大減速度を発揮可能な手段が選択、あるいは最大減速度を発揮可能な複数の減速手段の組合せが選択されている状態であることによって判定する。「減速度の異なる複数種類の減速手段」としては、例えば、ブレーキ装置のブレーキ圧を調整して行うもの、内燃機関に燃料が供給されるのを阻止するフューエルカット制御、前記内燃機関に接続された自動変速機がオーバードライブのシフト位置となるのを禁止するオーバードライブカット制御、前記自動変速機を高位のシフト位置からシフトダウンさせるシフトダウン制御、前記内燃機関の点火時期を遅らせる点火遅角制御、前記自動変速機が備えたトルクコンバータをロックアップ状態にするロックアップ制御、前記内燃機関からの排気の流動抵抗を増加させる排気ブレーキ制御およびリターダ制御を実行して行うものなどが考えられる。
【0041】
多くの車両では、ブレーキ装置を駆動して行う減速手段に、フューエルカット制御、オーバードライブカット制御、シフトダウン制御それぞれによる減速手段を加えた4つ程度は備えており、通常は、ブレーキ装置を駆動して行う減速手段が「最大減速度を発揮可能な手段」であることが多い。したがって、ブレーキ装置を駆動して行う減速手段が選択されている場合には、上述した条件の内の「減速度の異なる複数種類の減速手段の内から1つを選択」している状態となる。
【0042】
また、複数の減速手段を同時に駆動制御することができるのであれば、最大減速度を発揮可能な減速手段だけを駆動制御する場合(例えばブレーキ装置による場合)よりも、それに加えて他の減速手段も駆動制御する場合(例えばブレーキ装置+シフトダウン制御など)の方がより大きな減速度が得られる可能性があるため、そのような組み合わせでもよい。
【0043】
さらには、例えばトラックなどの大型車両にあっては、減速手段として排気ブレーキ制御およびリターダ制御を同時に実行して行うものもあり、その組合せによる減速制御が「最大減速度を発揮可能な複数の減速手段の組合せ」となる。そのため、必ずしもブレーキ装置を含む組合せが「最大減速度を発揮可能な複数の減速手段の組合せ」となるとは限らない。
【0044】
一方、請求項13に示す場合には、車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達していることを、車間制御量が許容範囲内で減速側に最大の値であることによって判定する。すなわち、車間制御量としての目標減速度や目標減速トルクなどが、当該制御システムにおいて許容されている範囲内で取り得る最大の減速側制御値となっているかどうかで判定するのである。このような車間制御量に基づけば、結果的に、請求項11に示した「減速度の異なる複数種類の減速手段の内で最大減速度を発揮可能な手段が選択、あるいは最大減速度を発揮可能な複数の減速手段の組合せが選択」されることとなり、「車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達していること」が推認できるからである。
このように、警報処理の実行に際して、他方の処理である車間制御における作動状況を考慮することで、全体のシステムとしては不適切な作動状況の発生を防止して、車間制御及び警報の実効性をより向上させることができる。つまり、この場合には、車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達していない限り、警報処理が実行されないため、「最大減速度を発生する減速手段であるブレーキ装置が選択されずに減速制御している状態で警報発生条件が成立し、警報を発生したが、その後にブレーキ装置が選択されて減速制御が実行され、警報発生条件が非成立となってしまい、警報が解除されてしまう」といった不都合は生じない。これは、「車間制御装置による制御だけでは対処できないような状況」となったことを判断して初めて警報許可をしているからである。したがって、車間制御装置だけで対処できる状況では警報しないため、警報の実効性が向上する。そして、車両運転者としては、警報があった場合には、例えばブレーキペダルを踏んでブレーキ装置を駆動させて強制的に自車速を減速させたり、あるいはステアリング操作によって車両の進行方向を変えて回避走行をしたりすることができる。
【0048】
なお、請求項1〜9のいずれか記載の車間制御装置の車間制御手段、または請求項10〜17のいずれか記載の車間制御装置の車間制御手段及び警報手段をコンピュータシステムにて実現する機能は、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、FD、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができる。この他、ROMやバックアップRAMをコンピュータ読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMあるいはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いても良い。
【0049】
【発明の実施の形態】
図1は、上述した発明が適用された車間制御用電子制御装置2(以下、「車間制御ECU」と称す。)およびブレーキ電子制御装置4(以下、「ブレーキECU」と称す。)を中心に示す自動車に搭載されている各種制御回路の概略構成を表すブロック図である。
【0050】
車間制御ECU2は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、現車速(Vn)信号、操舵角(str-eng ,S0)信号、ヨーレート信号、目標車間時間信号、ワイパスイッチ情報、アイドル制御やブレーキ制御の制御状態信号等をエンジン電子制御装置6(以下、「エンジンECU」と称す。)から受信する。そして、車間制御ECU2は、この受信したデータに基づいて、車間制御演算や車間警報演算をしている。
【0051】
レーザレーダセンサ3は、レーザによるスキャニング測距器とマイクロコンピュータとを中心として構成されている電子回路であり、スキャニング測距器にて検出した先行車の角度や距離等、および車間制御ECU2から受信する現車速(Vn)信号、カーブ曲率半径R等に基づいて、車間制御装置の一部の機能として先行車の自車線確率を演算し、相対速度等の情報も含めた先行車情報として車間制御ECU2に送信する。また、レーザレーダセンサ3自身のダイアグノーシス信号も車間制御ECU2に送信する。
【0052】
なお、前記スキャニング測距器は、車幅方向の所定角度範囲に送信波あるいはレーザ光をスキャン照射し、物体からの反射波あるいは反射光に基づいて、自車と前方物体との距離をスキャン角度に対応して検出可能な測距手段として機能している。
【0053】
さらに、車間制御ECU2は、このようにレーザレーダセンサ3から受信した先行車情報に含まれる自車線確率等に基づいて、車間距離制御すべき先行車を決定し、先行車との車間距離を適切に調節するための制御指令値として、エンジンECU6に、目標加速度信号、フューエルカット要求信号、ODカット要求信号、3速シフトダウン要求信号、ブレーキ要求信号を送信している。また警報発生の判定をして警報吹鳴要求信号を送信したり、あるいは警報吹鳴解除要求信号を送信したりする。さらに、ダイアグノーシス信号、表示データ信号等を送信している。なお、この車間制御ECU2は、車間制御手段に相当する。
【0054】
ブレーキECU4は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、車両の操舵角を検出する操舵角検出手段としてのステアリングセンサ8、車両旋回検出手段としてヨーレートを検出するヨーレートセンサ10、および各車輪の速度を検出する車輪速センサ12から操舵角やヨーレートを求めて、これらのデータをエンジンECU6を介して車間制御ECU2に送信したり、ブレーキ力を制御するためにブレーキ油圧回路に備えられた増圧制御弁・減圧制御弁の開閉をデューティ制御するブレーキアクチュエータ25を制御している。またブレーキECU4は、エンジンECU6を介する車間制御ECU2からの警報要求信号に応じて警報ブザー14を鳴動する。
【0055】
エンジンECU6は、マイクロコンピュータを中心として構成されている電子回路であり、スロットル開度センサ15、車両速度を検出する車速検出手段としての車速センサ16、ブレーキの踏み込み有無を検出するブレーキスイッチ18、クルーズコントロールスイッチ20、クルーズメインスイッチ22、およびその他のセンサやスイッチ類からの検出信号あるいはボデーLAN28を介して受信するワイパースイッチ情報やテールスイッチ情報を受信し、さらに、ブレーキECU4からの操舵角(str-eng,S0 )信号やヨーレート信号、あるいは車間制御ECU2からの目標加速度信号、フューエルカット要求信号、ODカット要求信号、3速シフトダウン要求信号、警報要求信号、ダイアグノーシス信号、表示データ信号等を受信している。
【0056】
そして、エンジンECU6は、この受信した信号から判断する運転状態に応じて、駆動手段としての内燃機関(ここでは、ガソリンエンジン)のスロットル開度を調整するスロットルアクチュエータ24、トランスミッション26のアクチュエータ駆動段に対して駆動命令を出力している。これらのアクチュエータにより、内燃機関の出力、ブレーキ力あるいは変速シフトを制御することが可能となっている。なお、本実施形態の場合のトランスミッション26は5速オートマチックトランスミッションであり、4速の減速比が「1」に設定され、5速の減速比が4速よりも小さな値(例えば、0.7)に設定された、いわゆる、4速+オーバードライブ(OD)構成になっている。したがって、上述したODカット要求信号が出された場合、トランスミッション26が5速(すなわち、オーバードライブのシフト位置)にシフトしていた場合には4速へシフトダウンする。また、シフトダウン要求信号が出された場合には、トランスミッション26が4速にシフトしていた場合には3速へシフトダウンする。その結果、これらのシフトダウンによって大きなエンジンブレーキが生じ、そのエンジンブレーキにより自車の減速が行われることとなる。
【0057】
また、エンジンECU6は、必要な表示情報を、ボデーLAN28を介して、ダッシュボードに備えられているLCD等の表示装置(図示していない。)に送信して表示させたり、あるいは現車速(Vn)信号、操舵角(str-eng,S0 )信号、ヨーレート信号、目標車間時間信号、ワイパスイッチ情報信号、アイドル制御やブレーキ制御の制御状態信号を、車間制御ECU2に送信している。
【0058】
次に、図2〜図25を参照して、車間制御ECU2にて実行される処理について説明する。
図2及び図3は、メイン処理を示すフローチャートである。
まず、最初のステップS110において現在制御中かどうかを判断し、現在制御中でなければ(S110:NO)、制御開始スイッチがセットされたかどうかを判断する(S140)。クルーズコントロールスイッチ20がON操作されていれば制御開始スイッチがセットされている状態である。そして、制御開始スイッチがセットされていなければ(S140:NO)、S900へ移行して、制御開始直後フラグをリセットし、その後、目標車間非制御処理(S1000)及び加減速装置非制御時出力(S1100)を実行し、さらに警報車間非制御処理(図3のS2800)及び警報器吹鳴停止(図3のS2900)を実行してから、本メイン処理を終了する。S1000での目標車間非制御処理、S1100での加減速装置非制御時出力及びS2800での警報車間非制御処理の詳細については後述する。
【0059】
また、制御中でなく(S110:NO)、制御開始スイッチがセットされたのであれば(S140:YES)、制御開始直後フラグをセットし(S150)、目標車間及び車間復帰タイマのイニシャル化(S160)、警報車間及び警報復帰タイマのイニシャル化(S165)を行い、さらに、前回オーバライドフラグをリセットしてから(S170)、S130へ移行する。なお、S160でのイニシャル化では、目標車間A,B,Cをそれぞれ設定車間とし、車間復帰タイマA,B,Cをそれぞれ0とする。設定車間とは、スイッチ操作などで決める制御の基本となる目標車間のことである。この設定車間は、車速に依存して補正するようにしてもよい。また、S165でのイニシャル化では、警報車間A,B,Cをそれぞれ非補正警報車間とし、車間復帰タイマD,E,Fをそれぞれ0とする。非補正警報車間とは、予め設定され補正がされない状態の警報車間であり、警報処理の基本となる車間のことである。以下、車間物理量として車間時間を想定する。
【0060】
一方、現在制御中であれば(S110:YES)、制御開始直後フラグをリセットし(S120)、その後S130へ移行する。
S130では、制御終了スイッチがセットされたかどうかを判断する。クルーズコントロールスイッチ20がOFF操作されていれば制御終了スイッチがセットされている状態である。制御終了スイッチがセットされていれば(S130:YES)、S900へ移行して制御開始直後フラグをリセットし、目標車間非制御処理(S1000)及び加減速装置非制御時出力(S1100)を実行し、さらに警報車間非制御処理(図3のS2800)及び警報器吹鳴停止(S図3のS2900)を実行してから、本メイン処理を終了する。
【0061】
また、制御終了スイッチがセットされていなければ(S130:NO)、車線変更時目標車間調整(S200)、オーバライド時目標車間調整(S300)、制御開始時目標車間調整(S400)、目標車間選択(S500)、目標加速度演算(S600)、加減速制御(S700)及び加減速装置駆動出力(S800)の車間制御に関する各処理を実行し、さらに、車間警報の基本となる警報車間(非補正警報車間)を演算した後(図3のS2100)、車線変更時警報車間調整(S2200)、オーバライド時警報車間調整(S2300)、制御開始時警報車間調整(S2400)、警報車間選択(S2500)、警報判定演算及び警報器出力(S2600)の車間警報に関する各処理を実行してから、本メイン処理を終了する。
【0062】
以上は処理全体についての概要説明であったので、続いて、S200〜S800及びS1000,S1100、S2200〜S2600及びS2800の処理内容を詳細に説明する。なお、以下の説明においては、車間制御に関する各処理(S200〜S800及びS1000,S1100)についてのサブルーチンを図4〜図17に示し、車間警報に関する各処理(S2200〜S2600及びS2800)についてのサブルーチンを図18〜図25に示した。順番に説明していく。
【0063】
まず、S200での車線変更時目標車間調整サブルーチンについて、図4のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS201においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。先行車を認識中でなければ(S201:NO)、設定車間を目標車間Aとし(S215)、さらに車間復帰タイマAを0として(S217)、本サブルーチンを終了する。
【0064】
一方、先行車を認識中であれば(S201:YES)、その認識対象の先行車が入れ替わったかどうかを判断する(S203)。そして、先行車が入れ替わっていれば(S203:YES)、車線変更直後であることが想定されるので、続くS205において、相対速度が正であるかどうかを判断する。ここで相対速度とは、相対速度=先行車速度−自車速度と定義され、相対速度が正であるということは、自車に対して先行車が遠ざかる状況を指す。
【0065】
S205にて肯定判断、すなわち先行車が自車よりも高速走行している場合には、S207へ移行して、現在の車間を目標車間Aとする。但し、このS207においては、目標車間A≦設定車間という上限ガードが設けられており、現在の車間が設定車間よりも大きい場合であっても設定車間よりも大きくなることはない。また、目標車間A≧下限車間という下限ガードが設けられており、下限ガードよりも小さくなることはない。
【0066】
なお、図5(a)に示すマップを用い、その時の相対速度に応じて目標車間Aを現在の車間と設定車間との間の値としてもよい。図5(a)は縦軸を目標車間時間(s)、横軸を相対速度(km/h)で表しており、相対速度が負の所定下限値Vr1以上且つ0以下の範囲において、相対速度が負の所定下限値Vr1の場合には設定された目標車間時間とし、相対速度が0の場合には実車間時間とすると共に、それら2点間をリニアに変化させたものである。そして、相対速度が負の所定下限値Vr1未満の領域では一律に設定目標車間時間とし、相対速度が0よりも大きな領域では一律に実車間時間としている。
【0067】
また、図4のフローチャートに示す目標車間調整は車線変更時のものであるため、図5(b)に示すマップを用いてもよい。この場合には、相対速度が負の所定下限値Vr1の場合には設定された目標車間時間とし、相対速度が正の所定上限値Vr2の場合には実車間時間とすると共に、それら2点間をリニアに変化させたものである。なお、このマップでも、相対速度が負の所定下限値Vr1未満の領域では一律に設定目標車間時間とし、相対速度が正の所定上限値Vr2よりも大きな領域では一律に実車間時間としている。
【0068】
この図5(b)の場合は、相対速度が正の所定上限値Vr2よりも大きい場合に、実車間時間が目標車間時間となるため車間制御において減速がなされないが、相対速度が正であっても、正の所定上限値Vr2以下の領域においては、微減速することとなる。つまり、先行車が自車から離れている状態であっても、その程度が小さい場合には、安全感覚に沿うように、微減速させることとなる。車線変更した場合には、車両運転者の安全感覚をより重視した方が好ましいと考えられるため、このような制御も好ましい。なお、これらの処理を実施する場合には、S205,S207の代わりに「目標車間A←マップ算出値」とする。
【0069】
S207の処理後はS209へ移行し、車間復帰タイマAをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
また、S203にて否定判断、すなわち先行車の入れ替わりがない場合、あるいはS205にて否定判断、すなわち先行車の速度が自車以下である場合には、S211へ移行する。
【0070】
S211では、目標車間Aとして、前回の値に車間増加ステップを加算したものを設定する。この際、上述のS207と同様に、目標車間A≦設定車間という上限ガードが設けられている。続くS213では、車間復帰タイマAとして、前回の値に減少ステップを加算したものを設定する。この際、車間復帰タイマA≧0という下限ガードが設けられている。
【0071】
次に、S300でのオーバライド時目標車間調整サブルーチンについて図6のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS301においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。先行車を認識中でなければ(S301:NO)、前回オーバライドフラグをリセットし(S323)、設定車間を目標車間Bとし(S325)、さらに車間復帰タイマBを0として(S327)、本サブルーチンを終了する。
【0072】
一方、先行車を認識中であれば(S301:YES)、現在オーバライド中であるかどうかを判断する(S303)。そして、オーバライド中でなければ(S303:NO)、前回オーバライドフラグがセットされているかどうかを判断する(S305)。
【0073】
前回オーバライドフラグがセットされていた場合には(S305:YES)、オーバライド解除直後であることとなるので、続くS307において前回オーバライドフラグをリセットした後、S309へ移行して、現在の車間を目標車間Bとする。但し、目標車間B≦設定車間という上限ガードが設けられており、現在の車間が設定車間よりも大きい場合であっても設定車間よりも大きくなることはない。また、目標車間B≧下限車間という下限ガードが設けられており、下限ガードよりも小さくなることはない。
【0074】
なお、上述した車線変更の場合と同様に、図5(a)に示すマップを用い、その時の相対速度に応じて目標車間Bを現在の車間と設定車間との間の値としてもよい。
また、図6のフローチャートに示す目標車間調整はオーバライド時のものであるため、図5(c)に示すマップを用いてもよい。この場合には、相対速度が負の所定下限値Vr1の場合には設定された目標車間時間とし、相対速度が負の所定上限値Vr3の場合には実車間時間とすると共に、それら2点間をリニアに変化させたものである。なお、このマップでも、相対速度が負の所定下限値Vr1未満の領域では一律に設定目標車間時間とし、相対速度が負の所定上限値Vr3よりも大きな領域では一律に実車間時間としている。
【0075】
この図5(c)の場合には、相対速度が0以上の範囲ではもちろんのこと、0未満の負の領域に入っても負の所定上限値Vr3までの範囲では、実車間時間が設定され、先行車と微接近している状態であっても、通常よりも減速度合いが抑制された車間制御を実行することとなる。つまり、オーバライド時においては、車両運転者は通常制御よりも先行車に近づく状態が生じることを認識した上でこれらの操作を行っているため、その操作した車両運転者の感覚に応じた車間制御を実行する上では、先行車への微接近が生じる状況においても減速度合いが抑制された車間制御を実行することも好ましいと考えられる。なお、これらの処理を実施する場合には、S309において「目標車間B←マップ算出値」とする。
【0076】
S309の処理後はS311へ移行し、車間復帰タイマBをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
また、S305にて否定判断、すなわち前回オーバライドフラグがセットされていない場合には、オーバライド解除直後ではないため、S313へ移行し、目標車間Bとして、前回の値に車間増加ステップを加算したものを設定する。この場合も、目標車間B≦設定車間という上限ガードが設けられている。続くS315では、車間復帰タイマBとして、前回の値に減少ステップを加算したものを設定する。この際、車間復帰タイマB≧0という下限ガードが設けられている。S315の処理後は、本サブルーチンを終了する。
【0077】
一方、S303にて肯定判断、すなわちオーバライド中である場合には、S317へ移行して、前回オーバライドフラグをセットした後、S319へ移行して、現在の車間を目標車間Bとする。但し、目標車間B≦設定車間という上限ガードが設けられている。前述のような図5に示すマップを用いる場合は、S319において「目標車間B←マップ算出値」とする。S319の処理後はS321へ移行し、車間復帰タイマBをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
【0078】
次に、S400での制御開始時目標車間調整サブルーチンについて図7のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS401においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。先行車を認識中でなければ(S401:NO)、設定車間を目標車間Cとし(S413)、さらに車間復帰タイマCを0として(S415)、本サブルーチンを終了する。
【0079】
一方、先行車を認識中であれば(S401:YES)、制御開始直後フラグがセットされているかどうかを判断する(S403)。そして、制御開始直後フラグがセットされていれば(S403:YES)、制御開始直後であるので、S405へ移行して、現在の車間を目標車間Cとする。但し、目標車間C≦設定車間という上限ガードが設けられており、現在の車間が設定車間よりも大きい場合であっても設定車間よりも大きくなることはない。また、目標車間C≧下限車間という下限ガードが設けられており、下限ガードよりも小さくなることはない。
【0080】
なお、上述したオーバライド時の場合と同様に、図5(a)に示すマップを用い、その時の相対速度に応じて目標車間Cを現在の車間と設定車間との間の値としてもよい。
また、図7のフローチャートに示す目標車間調整は制御開始時のものであるため、上述したオーバライド時の場合と同様に、図5(c)に示すマップを用いてもよい。上述したように、図5(c)の場合には、0未満の負の領域に入っても負の所定上限値Vr3までの範囲では、実車間時間が設定され、先行車と微接近している状態であっても、通常よりも減速度合いが抑制された車間制御を実行することとなる。つまり、制御時においても、車両運転者は通常制御よりも先行車に近づく状態が生じることを認識した上でこれらの操作を行っているため、その操作した車両運転者の感覚に応じた車間制御を実行する上では、先行車への微接近が生じる状況においても減速度合いが抑制された車間制御を実行することも好ましいと考えられる。なお、これらの処理を実施する場合には、S405において「目標車間C←マップ算出値」とする。
【0081】
S405の処理後はS407へ移行し、車間復帰タイマCをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
また、S403にて否定判断、すなわち制御開始直後フラグがセットされていない場合には、S409へ移行し、目標車間Cとして、前回の値に車間増加ステップを加算したものを設定する。この際、目標車間C≦設定車間という上限ガードが設けられている。続くS411では、車間復帰タイマCとして、前回の値に減少ステップを加算したものを設定する。この際、車間復帰タイマC≧0という下限ガードが設けられている。
【0082】
次に、S500での目標車間選択サブルーチンについて図8のフローチャートを参照して説明する。
この処理は、S200での車線変更時目標車間調整にて設定された目標車間A、S300でのオーバライド時目標車間調整にて設定された目標車間B、S400での制御開始時目標車間調整にて設定された目標車間Cの内の、最も小さな値のものを目標車間として選択する処理である。
【0083】
具体的には、最初のステップS501において目標車間A<目標車間Bであるかどうかを判断し、目標車間A<目標車間Bであれば(S501:YES)、S503において目標車間A<目標車間Cであるかどうかを判断する。そして、目標車間A<目標車間Cであれば(S503:YES)、目標車間Aが最も小さいので、S505にて、目標車間Aを目標車間として選択設定する。また、目標車間A≧目標車間Cであれば(S503:NO)、目標車間Cが最も小さいので、S507にて、目標車間Cを目標車間として選択設定する。
【0084】
一方、S501にて否定判断、すなわち目標車間A≧目標車間Bであれば、S509において目標車間B<目標車間Cであるかどうかを判断する。そして、目標車間B<目標車間Cであれば(S509:YES)、この場合は目標車間Bが最も小さいので、S511にて、目標車間Bを目標車間として選択設定する。また、目標車間B≧目標車間Cであれば(S509:NO)、目標車間Cが最も小さいので、S513にて、目標車間Cを目標車間として選択設定する。
【0085】
S505,S507,S511,S513のいずれかにて目標車間が選択設定された後は、本サブルーチンを終了する。
次に、S600での目標加速度演算サブルーチンについて図9(a)のフローチャートを参照して説明する。
【0086】
最初のステップS601においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。先行車を認識中でなければ(S601:NO)、先行車を未確認の場合の値を目標加速度として(S609)、本サブルーチンを終了する。
一方、先行車を認識中であれば(S601:YES)、S603へ移行して車間偏差を演算する。この車間偏差は、現在車間から目標車間を減算して得る。さらに、続くS605にて相対速度を演算する。
【0087】
そして、このように車間偏差と相対速度が得られたら、S607において、それら両パラメータに基づき、図9(b)に示す制御マップを参照して目標加速度を得る。その後、本サブルーチンを終了する。
次に、S700での加減速制御サブルーチンについて図10のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
この加減速制御は、スロットル制御(S710)、アクセルオフ制御(S720)、シフトダウン制御(S730)及びブレーキ制御(S740)を順番に行って終了する。各制御について説明する。
まず、S710のスロットル制御サブルーチンについて、図11のフローチャートを参照して説明する。本スロットル制御においては、加速度偏差にスロットル制御ゲインK11を乗算した値を、前回スロットル開度指示値に加算して、今回のスロットル開度指示値とする(S711)。なお、加速度偏差とは、目標加速度から実加速度を減算した値である。
【0089】
次に、S720のアクセルオフ制御サブルーチンについて、図12のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS721において加速度偏差が参照値Aref11よりも小さいかどうか判断し、加速度偏差<Aref11であれば(S721:YES)、アクセルオフの作動を指示して(S722)、本サブルーチンを終了する。
【0090】
一方、加速度偏差≧Aref11であれば(S721:NO)、S723へ移行し、加速度偏差が参照値Aref12よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref12であれば(S723:YES)、アクセルオフの作動解除を指示して(S724)、本サブルーチンを終了するが、加速度偏差≦Aref12であれば(S723:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0091】
次に、S730のシフトダウン制御サブルーチンについて、図13のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS731において加速度偏差が参照値Aref21よりも小さいかどうか判断し、加速度偏差<Aref21であれば(S731:YES)、シフトダウンの作動を指示し(S733)、さらにアクセルオフの作動指示をしてから(S735)、本サブルーチンを終了する。
【0092】
一方、加速度偏差≧Aref21であれば(S731:NO)、S737へ移行し、加速度偏差が参照値Aref22よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref22であれば(S737:YES)、シフトダウンの作動解除を指示して(S739)、本サブルーチンを終了するが、加速度偏差≦Aref22であれば(S737:NO)、そのまま本サブルーチンを終了する。
【0093】
次に、S740のブレーキ制御サブルーチンについて、図14のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS741において加速度偏差が参照値Aref31よりも小さいかどうか判断する。そして、加速度偏差<Aref31であれば(S741:YES)、ブレーキの作動を指示し(S743)、さらにアクセルオフの作動指示をしてから(S745)、S751へ移行する。
【0094】
一方、加速度偏差≧Aref31であれば(S741:NO)、S747へ移行し、今度は加速度偏差が参照値Aref32よりも大きいかどうか判断する。そして、加速度偏差>Aref32であれば(S747:YES)、ブレーキの作動解除を指示してから(S749)、S751へ移行するが、加速度偏差≦Aref32であれば(S747:NO)、そのままS751へ移行する。
【0095】
S751では、ブレーキ作動指示が継続中であるかどうかを判断する。そして、ブレーキ作動指示中であれば(S751:YES)、S753へ移行して、加速度偏差にスロットル制御ゲインK21を乗算した値を、前回ブレーキ圧指示値に加算して、今回のブレーキ圧指示値とする。一方、ブレーキ作動指示中でなければ(S751:NO)、S755へ移行し、ブレーキ圧指示値を0とする。
【0096】
S753あるいはS755の処理後は、本サブルーチンを終了する。
なお、ブレーキ圧指示値には上限値があり、その最大値によってブレーキ装置を駆動した場合に生じる最大減速度は、ブレーキ装置を車両運転者が制動操作して生じる最大減速度よりも小さく設定されている。これは、システムによって自動的に減速制御をする場合には、いわゆる急ブレーキ状態とならないように考慮したためである。したがって、ドライバがいわゆる急ブレーキ操作をすれば、当然ながらシステムにより自動的に減速制御する場合よりも大きな減速度を付与することができる。
【0097】
次に、図2のS800における加減速装置駆動出力サブルーチンについて図15のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS801では、アクセルオフの作動指示がされているかどうかを判断し、アクセルオフの作動指示がされていなければ(S801:NO)、ブレーキ解除のための駆動出力(S803)、シフトダウン解除のための駆動出力(S805)、そしてスロットル開度のフィードバック駆動出力(S807)を順次行ってから、本サブルーチンを終了する。
【0098】
一方、アクセルオフの作動指示がされていれば(S801:YES)、シフトダウンの作動指示がされているかどうかを判断する。シフトダウンの作動指示がされていなければ(S809:NO)、ブレーキの作動指示がされているかどうかを判断する(S811)。
【0099】
そして、ブレーキの作動指示がされていなければ(S811:NO)、ブレーキ解除のための駆動出力(S813)、シフトダウン解除のための駆動出力(S815)、スロットルを全閉させるための駆動出力(S817)を順次行ってから、本サブルーチンを終了する。また、ブレーキの作動指示がされていれば(S811:YES)、スロットルを全閉させるための駆動出力(S819)、シフトダウン解除のための駆動出力(S821)、ブレーキ圧のフィードバック駆動出力(S823)を順次行ってから、本サブルーチンを終了する。
【0100】
一方、S809にて肯定判断、すなわち、アクセルオフの作動指示があり(S801:YES)、かつシフトダウンの作動指示があった場合(S809:YES)には、S825へ移行し、ブレーキの作動指示がされているかどうかを判断する。
【0101】
そして、ブレーキの作動指示がされていなければ(S825:NO)、ブレーキ解除のための駆動出力(S827)、スロットルを全閉させるための駆動出力(S829)、シフトダウン駆動出力(S831)を順次行ってから、本サブルーチンを終了する。また、ブレーキの作動指示がされていれば(S825:YES)、スロットルを全閉させるための駆動出力(S833)、シフトダウン駆動出力(S835)、ブレーキ圧のフィードバック駆動出力(S837)を順次行ってから、本サブルーチンを終了する。
【0102】
次に、S1000での目標車間非制御処理サブルーチンについて図16のフローチャートを参照して説明する。
この処理は、目標車間について制御しない場合の処理であるので、S1001,S1003,S1005において、それぞれ目標車間A,B,Cとして設定車間を設定する処理を行う。その後、本サブルーチンを終了する。
【0103】
次に、S1100での加減速装置非制御時出力サブルーチンについて図17のフローチャートを参照して説明する。
この処理は、加減速装置に対して制御しない場合の処理であるので、S1101ではスロットルを全閉させるための駆動出力、S1103ではシフトダウン解除のための駆動出力、そしてS1105ではブレーキ解除の駆動出力を順次行って、本サブルーチンを終了する。
【0104】
次に、車間警報に関する各処理(S2200〜S2600及びS2800)について説明していく。
まず、S2200での車線変更時警報車間調整サブルーチンについて、図18のフローチャートを参照して説明する。
【0105】
最初のステップS2201においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。先行車を認識中でなければ(S2201:NO)、非補正警報車間を警報車間Dとし(S2215)、さらに車間復帰タイマDを0として(S2217)、本サブルーチンを終了する。
【0106】
一方、先行車を認識中であれば(S2201:YES)、その認識対象の先行車が入れ替わったかどうかを判断する(S2203)。そして、先行車が入れ替わっていれば(S2203:YES)、車線変更直後であることが想定されるので、続くS2205において、相対速度が正であるかどうかを判断する。
【0107】
S2205にて肯定判断、すなわち先行車が自車よりも高速走行している場合には、S2207へ移行して、現在の車間から所定値αを減算したものを警報車間Dとする。但し、このS2207においては、警報車間D≦非補正警報車間という上限ガードが設けられており、現在の車間が非補正警報車間よりも大きい場合であっても非補正警報車間よりも大きくなることはない。S2207の処理後はS2209へ移行し、車間復帰タイマDをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
【0108】
また、S2203にて否定判断、すなわち先行車の入れ替わりがない場合、あるいはS2205にて否定判断、すなわち先行車の速度が自車以下である場合には、S2211へ移行する。
S2211では、警報車間Dとして、前回の値に車間増加ステップを加算したものを設定する。この際、上述のS2207と同様に、警報車間D≦非補正警報車間という上限ガードが設けられている。続くS2213では、車間復帰タイマDとして、前回の値に減少ステップを加算したものを設定する。この際、車間復帰タイマD≧0という下限ガードが設けられている。
【0109】
次に、S2300でのオーバライド時警報車間調整サブルーチンについて図19のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS2301においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。先行車を認識中でなければ(S2301:NO)、前回オーバライドフラグをリセットし(S2323)、非補正警報車間を警報車間Eとし(S2325)、さらに車間復帰タイマEを0として(S2327)、本サブルーチンを終了する。
【0110】
一方、先行車を認識中であれば(S2301:YES)、現在オーバライド中であるかどうかを判断する(S2303)。そして、オーバライド中でなければ(S2303:NO)、前回オーバライドフラグがセットされているかどうかを判断する(S2305)。
【0111】
前回オーバライドフラグがセットされていた場合には(S2305:YES)、オーバライド解除直後であることとなるので、続くS2307において前回オーバライドフラグをリセットした後、S2309へ移行して、現在の車間から所定値αを減算したものを警報車間Eとする。但し、警報車間E≦非補正警報車間という上限ガードが設けられており、現在の車間が非補正警報車間よりも大きい場合であっても非補正警報車間よりも大きくなることはない。S2309の処理後はS2311へ移行し、車間復帰タイマEをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
【0112】
また、S2305にて否定判断、すなわち前回オーバライドフラグがセットされていない場合には、オーバライド解除直後ではないため、S2313へ移行し、警報車間Eとして、前回の値に車間増加ステップを加算したものを設定する。この場合も、警報車間E≦非補正警報車間という上限ガードが設けられている。続くS2315では、車間復帰タイマEとして、前回の値に減少ステップを加算したものを設定する。この際、車間復帰タイマE≧0という下限ガードが設けられている。S2315の処理後は、本サブルーチンを終了する。
【0113】
一方、S2303にて否定判断、すなわちオーバライド中である場合には、S2317へ移行して、前回オーバライドフラグをセットした後、S2319へ移行して、現在の車間から所定値αを減算したものを警報車間Eとする。但し、警報車間E≦非補正警報車間という上限ガードが設けられている。S2319の処理後はS2321へ移行し、車間復帰タイマEをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
【0114】
次に、S2400での制御開始時警報車間調整サブルーチンについて図20のフローチャートを参照して説明する。
最初のステップS2401においては、先行車を認識中であるかどうかを判断する。先行車を認識中でなければ(S2401:NO)、非補正警報車間を警報車間Fとし(S2413)、さらに車間復帰タイマFを0として(S2415)、本サブルーチンを終了する。
一方、先行車を認識中であれば(S2401:YES)、制御開始直後フラグがセットされているかどうかを判断する(S2403)。そして、制御開始直後フラグがセットされていれば(S2403:YES)、制御開始直後であるので、S2405へ移行して、現在の車間から所定値αを減算したものを警報車間Fとする。但し、警報車間F≦非補正警報車間という上限ガードが設けられており、現在の車間が非補正警報車間よりも大きい場合であっても非補正警報車間よりも大きくなることはない。S2405の処理後はS2407へ移行し、車間復帰タイマFをセットしてから、本サブルーチンを終了する。
【0115】
また、S2403にて否定判断、すなわち制御開始直後フラグがセットされていない場合には、S2409へ移行し、警報車間Fとして、前回の値に車間増加ステップを加算したものを設定する。この際、警報車間F≦非補正警報車間という上限ガードが設けられている。続くS2411では、車間復帰タイマFとして、前回の値に減少ステップを加算したものを設定する。この際、車間復帰タイマF≧0という下限ガードが設けられている。
【0116】
次に、S2500での警報車間選択サブルーチンについて図21のフローチャートを参照して説明する。
この処理は、S2200での車線変更時警報車間調整にて設定された警報車間D、S2300でのオーバライド時警報車間調整にて設定された警報車間E、S2400での制御開始時警報車間調整にて設定された警報車間Fの内の、最も小さな値のものを警報車間として選択する処理である。
【0117】
具体的には、最初のステップS2501において警報車間D<警報車間Eであるかどうかを判断し、警報車間D<警報車間Eであれば(S2501:YES)、S2503において警報車間D<警報車間Fであるかどうかを判断する。そして、警報車間D<警報車間Fであれば(S2503:YES)、警報車間Dが最も小さいので、S2505にて、警報車間Dを警報車間として選択設定する。また、警報車間D≧警報車間Fであれば(S2503:NO)、警報車間Fが最も小さいので、S2507にて、警報車間Fを警報車間として選択設定する。
【0118】
一方、S2501にて否定判断、すなわち警報車間D≧警報車間Eであれば、S2509において警報車間E<警報車間Fであるかどうかを判断する。そして、警報車間E<警報車間Fであれば(S2509:YES)、この場合は警報車間Eが最も小さいので、S2511にて、警報車間Eを警報車間として選択設定する。また、警報車間E≧警報車間Fであれば(S2509:NO)、警報車間Fが最も小さいので、S2513にて、警報車間Fを警報車間として選択設定する。
【0119】
S2505,S2507,S2511,S2513のいずれかにて警報車間が選択設定された後は、本サブルーチンを終了する。
次に、S2600での警報判定、警報器出力処理サブルーチンについて図22のフローチャートを参照して説明する。
【0120】
最初のステップS2601では、現在の車間が警報車間よりも短くなっているかどうかを判断する。そして、現在車間<警報車間であれば(S2601:YES)、警報器を吹鳴させる(S2603)。一方、現在車間≧警報車間であれば(S2601:NO)、警報器吹鳴を停止させる(S2605)。なお、このS2601での判断に用いる警報車間がS2500にて選択されたものであるため、車線変更時やオーバライド時あるいは制御開始時などにおいては、補正しない場合の警報距離よりも短くなっている可能性がある。
【0121】
また、S2600の警報判定、警報器出力処理の別の実施形態として、図23あるいは図24に示すような方法を採用しても良い。なお、図23,24においては、図22と同じ内容のステップについては同じ番号(S2601,S2603,S2605)を付している。
【0122】
図23に示す場合には、最初のステップS2601では、現在の車間が警報車間よりも短くなっているかどうかを判断する。そして、現在車間<警報車間であれば(S2601:YES)、ブレーキ作動指示中であるか否かを判断する(S2607)。そして、ブレーキ作動指示中であれば(S2607:YES)、警報器を吹鳴させる(S2603)。一方、現在車間≧警報車間であるとき(S2601:NO)、あるいは、現在車間<警報車間であっても、ブレーキ作動指示中でない場合(S2607:NO)は、警報器吹鳴を停止させる(S2605)。ここで、図23のS2607のブレーキ作動指示中であるかどうかの判断の代わりに、図24のS2609に示すように、目標加速度が最大減速状態であるか否かを判断するようにしてもよい。この場合には、目標加速度が最大減速状態である場合(S2609:YES)にのみ、警報器を吹鳴させる(S2603)。
【0123】
これら図23,24に示す方法では、車間制御において最大減速状態となる減速制御が実行される状態であることを判断し、その状態に限って警報器の吹鳴を許可しているので、不要な警報を確実に除去でき、警報の実効性を向上させることができる。
【0124】
次に、S2800での警報車間非制御処理サブルーチンについて図25のフローチャートを参照して説明する。
この処理は、警報車間について制御しない場合の処理であるので、S2801,S2803,S2805において、それぞれ警報車間D,E,Fとして非補正警報車間を設定する処理を行う。その後、本サブルーチンを終了する。
【0125】
なお、上述した本実施形態における図12〜図14のフローチャートの説明中に用いた参照値Aref11,Aref12,Aref21,Aref22,Aref31,Aref32について、補足説明しておく。これらの参照値は、以下に示すようなしきい値となっている。
これらのしきい値の大小関係は、以下のようになる。
(1)作動指示しきい値/作動解除しきい値の関係
アクセルオフ制御:Aref11<Aref12
シフトダウン制御:Aref21<Aref22
ブレーキ制御:Aref31<Aref32
このような関係は、作動指示と作動解除指示のチャタリングが発生しないために必要である。
(2)各減速手段間の作動指示しきい値の関係
0>Aref11≧Aref21≧Aref31
これは、より発生減速度の小さな手段が先に作動されることが望ましいからである。
(3)各減速手段間の作動解除しきい値の関係
Aref12≧Aref22≧Aref32>0
これは、より発生減速度の大きな手段が先に解除されることが望ましいからである。
【0126】
以上は本実施形態のシステムによる車間制御及び車間警報の処理内容について説明したので、続いて、その処理実行による効果を、車線変更時、オーバライド時、制御開始時の3つの具体的状況を挙げて説明する。
(1)車線変更時
これは、例えば、自車線よりも交通の流れが速いと想定される車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させた際、その先行車が自車よりも高速走行している状況である。例えば、高速道路においていわゆる走行車線から追い越し車線に車線変更するような場合である。具体的には、図26において(1A)〜(1D)で車両状況を時系列で示すように、例えば自車が80Km/hで走行している状態から追い越し車線に車線変更し、100Km/hで走行している先行車に追従する場合を想定する。従来の制御ロジックに基づく車間制御では、車線変更後の車間が目標車間より短いと、目標車間に合わせようとして自車は一旦減速してしまい(1C参照)、車間を開けてから加速して追従することとなる(1D参照)。
【0127】
この従来制御ロジックの場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図27に示した。図27の車間の時間変化を示す図からも判るように、目標車間が固定値である設定車間のままであるため、車線変更直後には、相対速度は正(つまり先行車の方が高速走行している)であるが、車間偏差が負となってしまい、その結果、制御マップ上に見た加減速は車線変更直後を示す(1C)の状態では負の目標加速度となってしまう。
【0128】
しかし、上述したように先行車は自車よりも高速走行しているため、自車が一旦減速することによって、先行車から一時的に取り残されたり、後続車に減速を余儀なくさせる可能性がある。つまり、通常の車間制御では、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう可能性がある。したがって、この場合は、減速せずに加速し、自車よりも速い先行車に追いつきながら追従して欲しい状況であると考えられる。
【0129】
そこで、本実施形態のシステムによる車間制御では、図28において(2A)〜(2D)で車両状況を時系列で示すように、車線変更した直後に、目標車間を一時的に短縮することによって、加速制御を実行することができる。当然ながら、自車が80Km/hから加速制御していっても、先行車が100Km/hで走行していれば、徐々に実車間は大きくなって来る。したがって、(2D)に示すように、目標車間を徐々に戻すことによって、先行車から一時的に取り残されることがなくなり、さらに交通の流れに乗った適切な制御を実行することができる。つまり、運転者の感覚に合致した車両挙動となり、運転フィーリングの向上が図られるのである。
【0130】
この本実施形態による制御ロジックの場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図29に示した。図27の従来制御ロジックの場合の車間時間変化を示す図では、目標車間が固定値である設定車間のままであったが、図29に示す場合には、車線変更直後には、目標車間を実車間まで小さくしている。したがって、その時点での車間偏差は0となる。そして、相対速度は正であるため、制御マップ上に見た加減速は車線変更直後を示す(2C)の状態において正の加速度を取ることとなる。
【0131】
また、本実施形態のシステムによる車間警報では、車線変更した直後に、警報車間を一時的に短縮しているため、不要な警報処理がなされることを防止でき、より運転者の感覚に合致した警報が実現され、運転フィーリングの向上が図られる。
【0132】
(2)オーバライド時
このオーバライドは、車両運転者がアクセルなどの加速手段を操作することによって、加速手段が車間制御手段による駆動制御に基づいて発生するよりも大きな加速度を発生することであるが、これも車両運転者が自らの意志で操作することで、自車を先行車に近づかせている。図30において(3A)〜(3D)で車両状況を時系列で示すように、例えば自車及び先行車が共に80Km/hで走行している状態(3A参照)で、運転者がオーバライド操作をしたため自車が90Km/hに増速して先行車に近づいた(3B参照)。その後、運転者がオーバライド操作を解除して再度80Km/hに戻った場合、先行車との実車間が設定車間よりも短くなっている(3C参照)。従来の制御ロジックに基づく車間制御では、車間が目標車間より短いと、目標車間に合わせようとして自車は一旦減速(例えば70Km/hに減速)してしまい、車間を開けてから加速して追従することとなる(3D参照)。
【0133】
この従来制御ロジックの場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図31に示した。図31の車間の時間変化を示す図からも判るように、目標車間が固定値である設定車間のままであるため、オーバライドによって増速した自車が先行車に近づくため、オーバライドが終了した時点では、車間偏差が負となってしまい、その結果、制御マップ上に見た加減速は車線変更直後を示す(3C)の状態では負の目標加速度となってしまう。
【0134】
しかし、自車が減速して70Km/hになると80Km/hで走行している先行車に対して相対的に低速となり、先行車から一時的に取り残されたり、あるいは80Km/hで走行している後続車に対しても減速を余儀なくさせる可能性がある。つまり、通常の車間制御では、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう可能性がある。したがって、運転者の意志に基づいてオーバライドし、車間を詰めた状態でオーバライドを解除した場合には、強い減速はせず車間を開け過ぎずに追従して欲しい状況であると考えられる。
【0135】
そこで、本実施形態のシステムによる車間制御では、図32において(4A)〜(4D)で車両状況を時系列で示すように、オーバライドが解除された時点で目標車間を一時的に短縮することによって、等速あるいは微減速で走行させる制御を実行することができる。例えば、自車を80Km/hから78Km/hに微減速させて走行すれば、実車間が徐々に大きくなっていくため、目標車間も徐々に戻す。これによって、先行車から一時的に取り残されることがなくなり、交通の流れに乗った適切な制御を実行することができる。つまり、運転者の感覚に合致した車両挙動となり、運転フィーリングの向上が図られるのである。
【0136】
この本実施形態による制御ロジックの場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図33に示した。図31の従来制御ロジックの場合の車間時間変化を示す図では、目標車間が固定値である設定車間のままであったが、図33に示す場合には、オーバライド解除直後には、目標車間を実車間まで小さくしている。したがって、その時点での車間偏差は0となり、その後、負の値が微増していく。相対速度は0であるため、制御マップ上に見た加減速はオーバライド前の(4A)の値と同じ0の加速度となるか、あるいは微小の車間偏差を設定することによって、負の小さな加速度を取らせるようにしてもよい。微減速させる意図は、オーバライド解除後に、慣性によって自車が先行車に接近し過ぎないようにするためである。
【0137】
また、本実施形態のシステムによる車間警報では、オーバライドが解除された時点で警報車間を一時的に短縮しているため、不要な警報処理がなされることを防止でき、より運転者の感覚に合致した警報が実現され、運転フィーリングの向上が図られる。
【0138】
(3)制御開始時
図34の(5A)に示すように、自車と先行車が共に80Km/hで走行している状況を想定する。この際、車間制御は実行されておらず、自車と先行車との車間は考慮されない。そして、(5B)に示すように、自車と先行車との実車間が予め設定された目標車間(設定車間)よりも短い状態で、ドライバが制御開始のためのセット操作を行うと、その時点での先行車との実車間は設定車間よりも短いため、従来の制御ロジックに基づく車間制御では、設定車間に合わせようとして自車は一旦減速(例えば70Km/hに減速)してしまい、車間を開けてから加速して追従することとなる(5C参照)。
【0139】
この従来制御ロジックの場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図35に示した。図35の車間の時間変化を示す図からも判るように、制御開始時点での実車間が目標車間(=設定車間)よりも小さい状態である。したがって、車間偏差が負の値として生じた状態から制御が開始されてしまうので、その結果、制御マップ上に見た加減速は制御開始直後を示す(5B)の状態では負の目標加速度となってしまう。
【0140】
しかし、自車が減速して70Km/hになると80Km/hで走行している先行車に対して相対的に低速となり、先行車から一時的に取り残されたり、あるいは80Km/hで走行している後続車に対しても減速を余儀なくさせる可能性がある。つまり、通常の車間制御では、交通の流れに乗ることができず運転フィーリングの悪化を招来させてしまう可能性がある。したがって、このように車間を詰めた状態で車間制御を開始した場合は、強い減速をせず車間を開け過ぎずに追従して欲しい状況であると考えられる。
【0141】
そこで、本実施形態のシステムによる車間制御では、図36において(6A)〜(6C)で車両状況を時系列で示すように、制御が開始された時点で、目標車間を一時的に短縮することによって、等速あるいは微減速で走行させる制御を実行することができる。例えば、自車を80Km/hから78Km/hに微減速させて走行すれば、実車間が徐々に大きくなっていくため、目標車間も徐々に戻す。これによって、先行車から一時的に取り残されることがなくなり、交通の流れに乗った適切な制御を実行することができる。つまり、運転者の感覚に合致した車両挙動となり、運転フィーリングの向上が図られるのである。
【0142】
この本実施形態による制御ロジックの場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図37に示した。図35の従来制御ロジックの場合の車間時間変化を示す図では、目標車間が固定値である設定車間のままであったが、図37に示す場合には、制御開始直後には、目標車間を実車間まで小さくしている。したがって、その時点での車間偏差は0となり、その後、負の値が微増していく。相対速度は0であるため、制御マップ上に見た加減速は0か、あるいは車間偏差を微小に設定することで、負の小さな加速度を取ることとなる。
【0143】
また、本実施形態のシステムによる車間警報では、制御が開始された時点で警報車間を一時的に短縮しているため、不要な警報処理がなされることを防止でき、より運転者の感覚に合致した警報が実現され、運転フィーリングの向上が図られる。
【0144】
このように、以上説明した、車線変更時、オーバライド時、制御開始時の3つの状況は、いずれの場合も、運転者自らの操作によって生じた状況であり、それ以外の状況、例えば運転者の意図しない原因で生じた場合と同様の減速を実行させる必要性が薄い。そして、いわゆる追い越し車間への車線変更時においては、先行車の相対速度が自車よりも大きいことが想定されるため、減速せずにむしろ加速状態となっても好ましい状況も多い。したがって、通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行すれば、先行車から一時的に取り残されることがなくなるか、あるいはその度合いが少なくなる。そのため、より運転者の感覚に合致した車両挙動となるようにして、運転フィーリングを向上させた制御を実行することができるのである。
【0145】
また、運転者自らの操作によって実車間が非補正警報車間よりも短くなったとしても、その状態は運転者は把握しているため警報による注意喚起がなくてもよい。したがって、非補正時よりも短くした警報車間を用いることで、不要な警報処理がなされることを防止でき、より運転者の感覚に合致した警報が実現され、運転フィーリングの向上が図られる。
【0146】
以上、本発明はこのような実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得る。
(1)例えば、上記実施形態においては、目標車間を一時的に実車間にまで短縮した後、設定車間まで徐々に復帰させていくと説明したが、この復帰のさせ方については、いくつか考えられる。図38の(A)に示すように直線的に復帰させてもよいし、(B)に示すように示すように、略曲線的な復帰をさせてもよいし、あるいは、(C)に示すように、上述の例で言えば車線変更直後、オーバライド解除直後、制御開始直後に実車間にまで短縮した状態を所定時間ホールドした後、直線的に復帰させてもよい。もちろん、これ以外の復帰方法でもよい。
【0147】
(2)また、上記実施形態では「車間物理量」として車間時間を用いていたが、この他の車間物理量として、検出された実時間と目標時間にて同様の制御を実行してもよいし、また他の物理量として車間距離と目標車間距離にて同様の制御を実行してもよい。なお、車速によって目標車間距離を可変にする場合であって車速にほぼ比例して目標車間距離を設定する場合は、目標車間距離を調整する代わりに上記目標車間時間を用いることにより同等の効果を得ることができる。
【0148】
他にも、車間制御が、自車の加速度を、目標車間に対応して算出された目標加速度に制御するものであることを前提としている場合には、加速度の下限値を制限するように目標加速度を調整するようにしても、通常時の制御よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行できる。つまり、目標加速度の下限値を暫定的に0近傍の小さな値に設定し、時間経過に応じて加速度下限値を引き下げていき、最終的には減速度合いを抑制しない場合の目標加速度下限値まで戻すのである。このようにすれば、車間偏差に応じて算出された目標加速度が負の大きな値であったとしても、下限値が0近傍の小さな値であるため、不適切な減速がなされなくなる。
【0149】
なお、このように目標加速度下限値を制限して目標加速度を調整する手法を採用する場合には、次のような状況での車間制御に有効である。それは、オーバライド操作の終了時点では未だ実車間が目標車間より短くなってはいないが、そのままでは(近い)将来に実車間が目標車間より短くなってしまうような状況である。上記実施形態においては、オーバライド操作の終了時点で既に実車間が目標車間より短くなっている場合について言及したが、オーバライド操作の終了時点では未だ実車間が目標車間より短くなってはいない場合であっても、例えば図39に示すように、目標車間付近まで接近した状態でオーバライドを解除すると(3C−2参照)、相対速度が先行車への接近側(80km/h−90km/h=−10km/h)になっており、従来制御では急減速してしまう。
【0150】
この従来制御ロジックの場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図40に示した。図40の自車加速度の時間変化を示す図からも判るように、オーバライド終了後に実車間が目標車間を下回ってしまうと、急減速してしまう。そこで、図41において(4A−2)〜(4D−2)で車両状況を時系列で示すように、オーバライドが解除された時点で目標加速度下限値を一時的に大きくして急減速を防止することによって、等速あるいは微減速で走行させる制御を実行することができる。この場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を図42に示した。図40の従来制御ロジックの場合の自車加速度変化を示す図では、オーバライド解除された後に急激に減速しているが、図42に示す場合には、オーバライド解除直後に目標加速度下限値を大きくしたため、加速度(この場合には減速方向の加速度)がその目標加速度下限値未満にはならず、結果として緩やかに減速していくこととなる。
【0151】
なお、図42の目標自車加速度の時間変化を示す図からも判るように、オーバライド解除直後に一時的に大きくした目標加速度下限値は元の下限値まで徐々に復帰させている。この復帰のさせ方については、いくつか考えられる。図43(A)に示すように直線的に復帰させてもよいし、(B)に示すように示すように、略曲線的な復帰をさせてもよいし、あるいは、(C)に示すように、オーバライド解除直後に一時的に短縮した状態を所定時間ホールドした後、直線的に復帰させてもよい。もちろん、これ以外の復帰方法でもよい。
【0152】
(3)上記実施形態にて説明した警報処理は、車間制御を前提として実行するものであった。つまり、オーバライド時や制御開始時の調整は車間制御を実行することを前提としないと成立しないからである。しかし、車線変更の場合には、車間制御を前提としなくても成立し得る。つまり自車と先行車との実車間が所定の警報車間よりも短くなった場合に警報処理を実行する車間警報装置として実現することもできる。この場合の警報処理については、上記実施形態における車線変更時の警報処理と同様であるので、ここでは繰り返さない。
【0153】
(4)例えば、上記実施形態においては、ブレーキ作動指示が出されていることを警報許可条件としたが、例えば、ブレーキ作動指示に加えて3速シフトダウン指示が出されていることを警報許可条件としたり、さらにフューエルカット指示も含めた3つの指示が出されていることを警報許可条件としてもよい。これは、個別に駆動制御した際に発生可能な減速度としてはブレーキ装置を駆動する場合が最大減速度を発揮可能であるとしても、それに加えて3速シフトダウンやフューエルカット制御をした方がより大きな減速度が得られる可能性があるため、より厳格に、システムとして最大減速度を発揮可能な状態となっていることを警報許可条件とする趣旨である。
【0154】
(5)また、より確実に最大減速状態に達していることを判定するために、次のような判定手法を用いてもよい。つまり、警報判定、警報器出力処理の別態様として、図23ではブレーキ作動指示が出されている状態(S2607:YES)、図24では目標加速度が下限値(つまり最大減速値)が設定されている状態(S2609:YES)をそれぞれ「最大減速状態」と判定したが、それら2つの条件が共に満たされている場合、すなわち、ブレーキ作動指示が出されており、且つ目標加速度として最大減速値が設定されている場合に限って「最大減速状態」と判定するのである。これは、最大減速度度を発揮可能な減速手段(例えばブレーキ装置)が選択されていても、車間制御量としての目標加速度が最大減速値でなければ、まだ最大減速状態にはなっていないと判定することで、より確実に最大減速状態に達していることを判定しようとする趣旨である。
【0155】
(6)また、乗用車の場合には、ブレーキ装置を駆動して行う減速手段に、フューエルカット制御、オーバードライブカット制御、シフトダウン制御それぞれによる減速手段を加えた4つ程度は備えており、通常はブレーキ装置を駆動して行う減速手段が「最大減速度を発揮可能な手段」であることが多い。したがって、上述した各実施形態のような制御にて対応できる。
【0156】
それに対して、例えばトラックなどの大型車両にあっては、減速手段としてブレーキ装置を駆動する代わりに排気ブレーキ制御およびリターダ制御を同時に実行して行うものもあり、その組合せによる減速制御が「最大減速度を発揮可能な複数の減速手段の組合せ」となることが多い。そのため、必ずしもブレーキ装置を含む組合せが「最大減速度を発揮可能な複数の減速手段の組合せ」となるとは限らないことを付言しておく。
【0157】
(7)前述した減速手段の具体例も含め、減速手段として採用可能なものを挙げておく。ブレーキ装置のブレーキ圧を調整して行うもの、内燃機関に燃料が供給されるのを阻止するフューエルカット制御、前記内燃機関に接続された自動変速機がオーバードライブのシフト位置となるのを禁止するオーバードライブカット制御、前記自動変速機を高位のシフト位置からシフトダウンさせるシフトダウン制御、前記内燃機関の点火時期を遅らせる点火遅角制御、前記自動変速機が備えたトルクコンバータをロックアップ状態にするロックアップ制御、前記内燃機関からの排気の流動抵抗を増加させる排気ブレーキ制御およびリターダ制御を実行して行うものなどである。
【0158】
(8)また、上記実施形態においては、車間制御量を求めるのに車間時間偏差を用いていたが、車間時間偏差を目標車間時間で除算した車間時間偏差比を用いても同様に実現できる。つまり、相対速度と車間時間偏差比をパラメータとする目標加速度の制御マップを準備しておき、制御時には、その時点での相対速度と車間時間偏差比に基づいて目標加速度を算出し、車間制御を実行するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の車間制御装置のシステムブロック図である。
【図2】 車間制御のメイン処理の前半を示すフローチャートである。
【図3】 車間制御のメイン処理の後半を示すフローチャートである。
【図4】 メイン処理中で実行される車線変更時目標車間調整サブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】 目標車間設定のためのマップを示す説明図である。
【図6】 メイン処理中で実行されるオーバライド時目標車間調整サブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】 メイン処理中で実行される制御開始時目標車間調整サブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】 メイン処理中で実行される目標車間選択サブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】 (a)はメイン処理中で実行される目標加速度演算サブルーチンを示すフローチャート、(b)は制御マップの説明図である。
【図10】 メイン処理中で実行される加減速制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】 加減速制御中で実行されるスロットル制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】 加減速制御中で実行されるアクセルオフ制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】 加減速制御中で実行されるシフトダウン制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図14】 加減速制御中で実行されるブレーキ制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【図15】 メイン処理中で実行される加減速装置駆動出力サブルーチンを示すフローチャートである。
【図16】 メイン処理中で実行される目標車間非制御処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図17】 メイン処理中で実行される加減速装置非制御時出力サブルーチンを示すフローチャートである。
【図18】 メイン処理中で実行される車線変更時警報車間調整サブルーチンを示すフローチャートである。
【図19】 メイン処理中で実行されるオーバライド時警報車間調整サブルーチンを示すフローチャートである。
【図20】 メイン処理中で実行される制御開始時警報車間調整サブルーチンを示すフローチャートである。
【図21】 メイン処理中で実行される警報車間選択サブルーチンを示すフローチャートである。
【図22】 メイン処理中で実行される警報判定演算及び警報器出力処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図23】 警報判定演算及び警報器出力処理サブルーチンの別実施形態を示すフローチャートである。
【図24】 警報判定演算及び警報器出力処理サブルーチンの別実施形態を示すフローチャートである。
【図25】 メイン処理中で実行される警報車間非制御処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図26】 車線変更時の従来ロジックによる制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図27】 車線変更時の従来ロジックによる制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図28】 車線変更時の本実施形態による制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図29】 車線変更時の本実施形態による制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図30】 オーバライド時の従来ロジックによる制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図31】 オーバライド時の従来ロジックによる制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図32】 オーバライド時の本実施形態による制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図33】 オーバライド時の本実施形態による制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図34】 制御開始時の従来ロジックによる制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図35】 制御開始時の従来ロジックによる制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図36】 制御開始時の本実施形態による制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図37】 制御開始時の本実施形態による制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図38】 目標車間時間の復帰軌跡の態様を示す説明図である。
【図39】 オーバライド時の第2の事例における従来ロジックによる制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図40】 オーバライド時の第2の事例における従来ロジックによる制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図41】 オーバライド時の第2の事例における別実施形態でのロジックによる制御結果を時系列に見た車両状況を示す説明図である。
【図42】 オーバライド時の第2の事例における別実施形態でのロジックによる制御の場合の車間の時間変化及び制御マップ上に見た加減速を示す説明図である。
【図43】 別実施形態における目標加速度下限値の復帰軌跡の態様を示す説明図である。
【符号の説明】
2…車間制御用電子制御装置(車間制御ECU)
3…レーザレーダセンサ
4…ブレーキ電子制御装置(ブレーキECU)
6…エンジン電子制御装置(エンジンECU)
8…ステアリングセンサ
10…ヨーレートセンサ
12…車輪速センサ
14…警報ブザー
15…スロットル開度センサ
16…車速センサ
18…ブレーキスイッチ
20…クルーズコントロールスイッチ
22…クルーズメインスイッチ
24…スロットルアクチュエータ
25…ブレーキアクチュエータ
26…トランスミッション
28…ボデーLAN
Claims (18)
- 自車両を加減速させる加速手段及び減速手段と、
自車と先行車との実車間距離に相当する物理量である実車間物理量と、自車と先行車との目標車間距離に相当する物理量である目標車間物理量との差である車間偏差、及び自車と先行車との相対速度に基づいて車間制御量を算出し、その算出された車間制御量に基づき前記加速手段及び減速手段を駆動制御することによって、自車を先行車に追従させて走行させる車間制御手段と、
を備える車間制御装置において、
前記車間制御手段は、
制御実行中に車両運転者による操作により前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいは車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、
前記車間偏差がなくなるように制御する通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御として、
車間制御における目標車間物理量について、車両運転者による操作に基づいて前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなった時点で、相対速度が負の所定下限値以上であり且つ0近傍の所定上限値以下の範囲において、相対速度が小さいほど設定された目標車間物理量に近く、相対速度が大きいほど実車間物理量に近く設定し、時間経過に応じて順次長くしていき、最終的には設定された目標車間物理量まで戻していきながら実行する車間制御を実行すること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項1記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段は、
自車線よりも交通の流れが速いことが交通法規上想定されている車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させるような前記車両運転者による操作により前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいはそのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、前記0近傍の所定値として、正の所定値を用いること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項1記載の車間制御装置において、
前記加速手段は車両運転者による加速操作によって動作され得るものであり、
前記車間制御手段は、
前記車両運転者による前記加速手段に対するオーバライド操作により前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいはそのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、前記0近傍の所定値として、負の所定値を用いること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項1記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段は、
前記実車間物理量が予め設定された前記目標車間物理量よりも小さい状態での制御開始が車両運転者によって指示されたことにより前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいはそのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、前記0近傍の所定値として、負の所定値を用いること、
を特徴とする車間制御装置。 - 自車両を加減速させる加速手段及び減速手段と、
自車と先行車との実車間距離に相当する物理量である実車間物理量と、自車と先行車との目標車間距離に相当する物理量である目標車間物理量との差である車間偏差、及び自車と先行車との相対速度に基づいて車間制御量を算出し、その算出された車間制御量に基づき前記加速手段及び減速手段を駆動制御することによって、自車を先行車に追従させて走行させる車間制御手段と、
を備える車間制御装置において、
前記車間制御手段は、
制御実行中に車両運転者による操作により前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいは車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、
自車の加速度を、前記目標車間物理量に対応して算出された目標加速度に制御することにより、前記車間偏差がなくなるように制御する通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御として、
前記目標加速度の下限値を暫定的に零(0)近傍の小さな値に設定し、時間経過に応じて前記加速度下限値を引き下げていき、最終的には減速度合いを抑制しない場合の加速度下限値まで戻していきながら実行する制御を実行すること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項5記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段は、
自車線よりも交通の流れが速いことが交通法規上想定されている車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させるような前記車両運転者による操作がされた場合に、前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであると判断するよう構成されていること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項5記載の車間制御装置において、
前記加速手段は車両運転者による加速操作によって動作され得るものであり、
前記車間制御手段は、
前記車両運転者による前記加速手段に対するオーバライド操作がされた場合に、前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであると判断するよう構成されていること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項5記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段は、
前記実車間物理量が予め設定された前記目標車間物理量よりも小さい状態で、前記車間制御手段による制御の開始が車両運転者によって指示された場合に、前記実車間物理量が前記目標車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記目標車間物理量より小さくするものであると判断するよう構成されていること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項6〜8のいずれか記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段は、
自車に対する先行車の相対速度が所定値よりも車間が離れる側に大きい状況が生じたことを判断した場合には、前記通常の制御時よりも減速度合いを抑制した車間制御を実行すること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項1〜9のいずれか記載の車間制御装置において、
さらに、
前記実車間物理量が所定の警報車間物理量よりも小さくなった場合は、車両運転者に対する警報処理を実行可能な警報手段を備えており、
当該警報手段は、前記車間制御手段による 制御実行中に車両運転者による操作により前記実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなったことを判断した場合、あるいは車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記警報車間物理量より小さくするものであることを判断した場合には、前記警報車間物理量について、車両運転者による操作に基づいて前記実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなった時点の実車間物理量あるいはその近傍の値を暫定的な警報車間物理量として設定し、時間経過に応じて順次長くしていき、最終的には元々設定された警報車間物理量まで戻していくこと、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項5〜9のいずれか記載の車間制御装置において、
さらに、
前記実車間物理量が所定の警報車間物理量よりも小さくなった場合は、車両運転者に対する警報処理を実行可能な警報手段を備えており、
前記車間制御手段は、自車を減速させる際、個別に駆動制御した際に発生可能な減速度の異なる複数種類の前記減速手段の内から1つあるいは複数を選択して駆動制御するよう構成されており、
さらに、
前記車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達している場合に限り、前記警報手段による警報処理の実行を許可する警報許可手段を備えること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項11記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達していることを、前記減速度の異なる複数種類の減速手段の内で最大減速度を発揮可能な手段が選択、あるいは最大減速度を発揮可能な複数の減速手段の組合せが選択されている状態であることによって判定すること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項11記載の車間制御装置において、
前記車間制御手段による減速制御が最大減速状態に達していることを、前記車間制御量が許容範囲内で減速側に最大の値であることによって判定すること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項10〜13のいずれか記載の車間制御装置において、
前記警報手段は、
自車線よりも交通の流れが速いことが交通法規上想定されている車線に自車を車線変更して新たな先行車に追従させるような前記車両運転者による操作がされた場合に、前記実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記警報車間物理量より小さくするものであると判断するよう構成されていること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項14記載の車間制御装置において、
前記警報手段は、自車に対する前記車線変更による新たな先行車の相対速度が負である場合には、前記実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなった時点の実車間物理量あるいはその近傍の値を暫定的な警報車間物理量として設定する処理を実行しないこと、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項10〜13のいずれか記載の車間制御装置において、
前記警報手段は、
前記車両運転者による前記加速手段に対するオーバライド操作がされた場合に、前記実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記警報車間物理量より小さくするものであると判断するよう構成されていること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項10〜13のいずれか記載の車間制御装置において、
前記警報手段は、
前記実車間物理量が予め設定された前記警報車間物理量よりも小さい状態で、前記車間制御手段による制御の開始が車両運転者によって指示された場合に、前記実車間物理量が前記警報車間物理量より小さくなったことを判断し、また、そのような車両運転者による操作が前記実車間物理量を前記警報車間物理量より小さくするものであると判断するよう構成されていること、
を特徴とする車間制御装置。 - 請求項1〜9のいずれか記載の車間制御装置の車間制御手段、または請求項10〜17のいずれか記載の車間制御装置の車間制御手段及び警報手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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