JP3670786B2 - 光学素子用フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子の配向を固定化した光学素子用フィルムおよび該フィルムを利用した液晶表示素子用補償フィルム並びに該フィルムを組み込んだツイステッドネマチック型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
TFT素子あるいはMIM素子などを用いたアクティブ駆動のツイステッドネマチック型液晶表示装置(以下TN−LCDと略称する)は、薄型、軽量、低消費電力というLCD本来の特長に加えて、正面から見た場合CRTに匹敵する画質を有するために、ノートパソコン、携帯用テレビ、携帯用情報端末などの表示装置として広く普及している。しかしながら、従来のTN−LCDにおいては、液晶分子の持つ屈折率異方性のため斜めから見たときに表示色が変化するあるいは表示コントラストが低下するという視野角の問題が本質的に避けられず、その改良が強く望まれており、改良のための様々な試みがなされている。
一つの画素を分割してそれぞれの画素への印可電圧を一定の比で変える方法(ハーフトーングレースケール法)、一つの画素を分割してそれぞれの画素での液晶分子の立ち上がり方向を変える方法(ドメイン分割法)、液晶に横電界をかける方法(IPS法),垂直配向させた液晶を駆動する方法(VA液晶法)、あるいはベンド配向セルと光学補償板を組み合わせる方法(OCB法)などが提案され、開発・試作されている。
しかしながらこれらの方法は一定の効果はあるものの、配向膜、電極、液晶配向などを変えなければならず、そのための製造技術確立および製造設備の新設が必要となり、結果として製造の困難さとコスト高を招いている。
【0003】
一方TN−LCDの構造は一切変えず、従来のTN−LCDに光学補償フィルムを組み込むことで視野角を拡大させる方法がある。この方法はTN−LCD製造設備の改良・増設が不要でコスト的に優れており、簡便に使用できる利点があるため注目されており多くの提案がある。 ノーマリーホワイト(NW)モードのTN−LCDに視野角問題が発生する原因は、電圧を印可した黒表示時のセル中の液晶の配向状態にある。この場合液晶はほぼ垂直配向しており光学的に正の一軸性となっている。したがって視野角を広げるための光学補償フィルムとしては,液晶セルの黒表示時の正の一軸性を補償するために,光学的に負の一軸性を示すフィルムを用いる提案がなされている。またセル中の液晶が、黒表示時においても、配向膜界面付近ではセル界面と平行もしくは傾いた配向をしていることに着目し、光学軸が傾いた負の一軸性のフィルムを用いて補償することによって、さらに視野角拡大効果を高める方法も提案されている。
【0004】
例えば特開平4−349424,6−250166号公報にはらせん軸が傾いたコレステリックフィルムを用いた光学補償フィルムおよびそれを用いたLCDが提案されている。しかしながららせん軸が傾いたコレステリックフィルムを製造することは困難であり、実際にもこれら公報中にはらせん軸を傾けるための方法がまったく記載されていない。
また特開平5−249547、6−331979号公報には光軸が傾いた負の一軸補償器を用いたLCDが提案されており、具体的な実施様態としては多層薄膜補償器を用いている。
さらに特開平7−146409、8−5837号公報などにおいて光軸が傾いた負の一軸性補償フィルムとしてディスコチック液晶を傾斜配向させた光学補償フィルム及びそれを用いたLCDが提案されている。しかしながらディスコチック液晶は化学構造が複雑であり合成が煩雑である。また低分子液晶であるためにフィルム化する場合光架橋などの複雑なプロセスを必要とし、工業的製造に困難が伴い結果的にコスト高となる。
【0005】
補償フィルムの他の形態としては正の一軸性を有する液晶性高分子を用いた配向フィルムも提案されている。
例えば特開平7−140326号公報において、ねじれチルト配向した液晶性高分子フィルムからなるLCD用補償板が提案されており、LCDの視野角拡大に用いられている。該液晶性高分子フィルムは、二官能性のモノマー単位からなる液晶性高分子化合物(組成物)を用いているが、工業的規模で製造されている二官能性のモノマーの入手には制限があり、またチルト配向に加えてねじれ配向を同時に導入することは工業的には容易ではない。
また特開平7−198942、7−181324号公報には、類似技術として,ネマチック液晶性高分子を光軸が板面と交差するように配向させたフィルムからなる視角補償板及びそれを用いたLCDが提案されている。しかしながらこの場合も光軸を単純に傾斜させた補償板を用いているため、視野角拡大効果が十分とは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記従来技術の課題点に鑑み,液晶化合物の原料の入手が容易であり、フィルムの原料となる液晶化合物の製造およびフィルム自体の製造が簡単な液晶性高分子に着目した。さらに液晶性高分子からなる従来の光学補償フィルムの欠点であった,性能をあげるためのねじれの導入などの煩雑さを避け、かつ単純な傾斜配向フィルムでは得られない視野角拡大効果を実現するために、鋭意検討を重ねた結果遂に本発明を完成した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の第1は、一官能性の構造単位を高分子鎖の片末端または両末端に有し、かつ光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子から実質的に形成され、該液晶性高分子が液晶状態において形成したネマチックハイブリッド配向を固定化せしめたことを特徴とする光学素子用フィルムに関する。
また本発明の第2は、一官能性の構造単位を高分子鎖の片末端または両末端に有し、かつ光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子から実質的に形成され、該液晶性高分子が液晶状態において形成したネマチックハイブリッド配向を固定化せしめたことを特徴とする液晶表示素子用補償フィルムに関する
さらに本発明の第3は、電極を備えた一対の透明基板とネマチック液晶とからなる駆動用液晶セルと、該基板の上下に配置された上側偏光板、下側偏光板を少なくとも備えたツイステッドネマチック型液晶表示装置であって、該基板と上側もしくは下側偏光板のうちどちらか一方の間または該基板と上側および下側偏光板のそれぞれの間に請求項2記載の液晶表示素子用補償フィルムを少なくとも1枚組み込んだことを特徴とするツィステッドネマチック型液晶表示装置に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の補償フィルムは、TN−LCDの視野角依存性を大幅に改良するものである。まず、補償の対象となるTN−LCDについて説明する。
TN−LCDは駆動方式で分類すれば、単純マトリクス方式、能動素子を電極として用いるTFT(Thin Film Trasistor)電極、MIM(Metal Insulator Metal、あるいはTFD;Thin Film Diode)電極を用いるアクティブマトリクス方式等のように細分化できる。本発明の補償フィルムはいずれの駆動方式に対しても効果を有する。
尚、公知の技術であるハーフトーングレースケール方式(画素分割方式),ドメイン分割方式は,LCDの視野角拡大を液晶セル側から行おうという試みで考えられたものである。このような視野角がある程度改善されたLCDに対しても本発明の補償フィルムは、有効に作用し更なる視野角拡大効果が可能となる。
【0009】
本発明の液晶表示素子用補償フィルムは、ネマチックハイブリッド配向状態を固定化したものである。本発明でいうネマチックハイブリッド配向とは、液晶性高分子がネマチック配向しており,このときの液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面のなす角がフィルム上面と下面とで異なった配向形態を言う。したがって、上面界面近傍と下面界面近傍とで該ダイレクターとフィルム平面との成す角度が異なっていることから、該フィルムの上面と下面との間では該角度が連続的に変化しているものといえる。
【0010】
また本発明の補償フィルムは、ネマチックハイブリッド配向状態を固定化したフィルムであるがため、液晶性高分子のダイレクターがフィルムの膜厚方向のすべての場所において異なる角度を向いている。したがって本発明の補償フィルムは、フィルムという構造体として見た場合、もはや光軸は存在しない。
次いで、本発明の液晶性高分子の必須構造単位である一官能性の構造単位について説明する。 本発明で言う一官能性の構造単位とは、炭素数3〜20の長鎖アルキル基または炭素数2〜15の長鎖フルオロアルキル基などを有し、モノアルコール、モノカルボン酸などの官能性部位を一つ有する化合物から誘導される単位を言う。
該構造単位を一般式で表すと次のようになる。
【0011】
【化1】
【0012】
上記一般式において、R1およびR2は同一または異なっていても良い。R1およびR2は、炭素数3〜20の長鎖アルキル基または炭素数2〜15の長鎖フルオロアルキル基を表す。具体的には、
【0013】
【化2】
【0014】
などを好ましいものとして例示することができる。またXは、水素、フッ素、塩素などのハロゲンなどである。またiは、0または1である。またjは、0または1である。またkは、0または1である。さらにaは0または1、bは0または1である。但しa+b≠0である。
上記のモノアルコール、モノカルボン酸およびこれらの機能性誘導体より形成される本発明の一官能性構造単位として、
【0015】
【化3】
【0016】
などを好ましい該単位として例示することができる。
上記に例示した一官能性の構造単位から選ばれる1種または2種によって高分子鎖の片末端または両末端を構成する。なお両末端に該構造単位を有する際には、両末端の単位が同一である必要はない。
上記一官能性の構造単位は、本発明の液晶表示素子用補償フィルムにとって重要である。補償フィルムにとって、任意の光学パラメーターに設定することが重要となるが、本発明の補償フィルムでは該構造単位の種類、組み合わせなどによってその光学パラメーターを所望の値に設定することができる。この特性によって本補償フィルムは、TN−LCDに対して従来にない優れた視野角補償効果を発現するものである。
【0017】
本発明の液晶性高分子についてさらに説明する。
本発明の一官能性の構造単位を有し、かつ光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子は、液晶相としてネマチック相を持つものである。さらに配向基板上において液晶転移点を越える温度では、ネマチックハイブリッド配向を形成し、該配向形態を損なうことなくガラス状態で固定化できるものであることが必須である。
【0018】
上記の如き性質を有する液晶性高分子として、
▲1▼ 片末端または両末端に1種もしくは2種の先に説明した一官能性の構造単位を有し、かつ光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子、具体的には、該構造単位を有するホメオトロピック配向性の主鎖型液晶性高分子化合物または少なくとも1種の該液晶性高分子化合物を含有する液晶性高分子組成物、
▲2▼ 該構造単位を有する1種または複数種のホメオトロピック配向性の液晶性高分子と、該液晶性高分子とは異なる液晶性高分子を1種もしくは複数種および/または液晶性を示さない高分子を1種または複数種を少なくとも含有する組成物、
などが挙げられる。以下、順に説明する。
【0019】
先ず、片末端または両末端に1種もしくは2種の一官能性の構造単位を有し、かつホメオトロピック配向性を示す液晶性高分子について説明する。ホメオトロピック配向とは、ダイレクターが基板平面に略垂直な配向状態をいう。このホメオトロピック配向性液晶性高分子が、本発明のネマチックハイブリッド配向を実現するための必須成分である。
液晶性高分子がホメオトロピック配向性であるか否かの判定は、基板上に液晶性高分子層を形成し、その配向状態を判定することで行う。この判定に用いることのできる基板としては特に限定はないが、例としてはガラス基板(具体的には、ソーダガラス、カリガラス、ホウ珪酸ガラスあるいはクラウンガラス、フリントガラスといった光学ガラスなど)、液晶性高分子の液晶温度において耐熱性のあるプラスチックフィルムまたはシート、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォンなどを挙げることができる。
上記に例示した基板は、酸、アルコール類、洗剤などで表面を清浄にした後に用いる。さらに上記の該配向性の判定は、シリコン処理、ラビング処理、一軸延伸処理などの表面処理を施していない基板上において行わねばならない。
【0020】
本発明に用いる片末端または両末端に1種もしくは2種の一官能性の構造単位を有し、かつホメオトロピック配向性を示す液晶性高分子とは、これら適当な表面処理を施していない基板上に液晶性高分子の膜を形成し、該液晶性高分子が液晶状態を示す温度で熱処理したとき、これら例示した基板の内少なくともどれか1種類の基板上でホメオトロピック配向するものを該液晶性高分子と本発明では定義する。ただし、液晶性高分子によっては液晶−等方相転移点付近の温度で特異的にホメオトロピック配向するものがある。したがって通常、上記の如き熱処理操作は、液晶−等方相転移点より15℃以下、好ましくは20℃以下の温度で行うことが望ましい。
片末端または両末端に1種もしくは2種の一官能性の構造単位を有し、かつホメオトロピック配向性を示す液晶性高分子について具体的に説明する。本発明に用いることができる該液晶性高分子としては、片末端または両末端に1種もしくは2種の一官能性の構造単位を有し、かつ上記の如き性質を有するものであれば特に制限されない。本発明に用いられる液晶性高分子がホメオトロピック配向性を示すためには、上述にて説明した一官能性の構造単位を有すること、および分子量が適当なことが重要である。
【0021】
具体的な液晶性高分子としては,上述した一官能性の構造単位を有する例えばポリエステル,ポリイミド,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリエステルイミド等の主鎖型液晶性高分子である。これらの中でも特に合成の容易さ,フィルム化の容易さおよび得られたフィルムの物性の安定性などから液晶性ポリエステルが好ましい。該液晶性ポリエステルの主鎖形成成分としては、ジカルボン酸単位、ジオール単位およびオキシカルボン酸単位などの二官能性構造単位や該単位以外の多官能性の構造単位など特に制限はない。しかしながら本発明の如く液晶表示素子用補償フィルムとして用いる場合には、該主鎖中にオルソ置換芳香族単位を構造単位として有する液晶性ポリエステルがより好ましい。具体的には次に示すようなカテコール単位、サリチル酸単位、フタル酸単位、2,3−ナフタレンジオール単位、2,3−ナフタレンジカルボン酸単位およびこれらのベンゼン環に置換基を有するものなどを挙げることができる。
【0022】
【化4】
【0023】
(Yは水素、Cl、Brなどのハロゲン、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基tert−ブチル基またはフェニル基を示す。またkは0〜2である。)
以下に本発明に用いられるホメオトロピック配向性を示す液晶性高分子の具体的な構造例を示す。
【0024】
【化5】
【0025】
m+n=k/2+l
k/l=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0026】
【化6】
【0027】
l=k/2+m+n
k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0028】
【化7】
【0029】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/o=20/10〜0/10)好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0030】
【化8】
【0031】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0032】
【化9】
【0033】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0034】
【化10】
【0035】
n+o=k/2+m
k/m=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/(n+o)=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0036】
【化11】
【0037】
m+n=k/2+l
k/l=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0038】
【化12】
【0039】
m=k/2+n
k/n=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0040】
【化13】
【0041】
l=k/2+m+n
k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0042】
【化14】
【0043】
l+m=k/2+n
k/n=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0044】
【化15】
【0045】
n+o=k/2+m
k/m=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/(n+o)=20/10〜0/10、好ましくは15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0046】
【化16】
【0047】
m+n=k/2+o
k/o=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/(m+n)=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
iは2〜12の整数を示す。
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0048】
【化17】
【0049】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0050】
【化18】
【0051】
m+n=k/2+o
k/o=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/(m+n)=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0052】
【化19】
【0053】
l+m=k/2+n+o
k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0054】
【化20】
【0055】
n+o=k/2+m
k/m=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0056】
【化21】
【0057】
l+m=k/2+7
k/7=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0058】
【化22】
【0059】
n+o=k/2+l+m
k/(l+m)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0060】
【化23】
【0061】
m=k/2+n+o
k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0062】
【化24】
【0063】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0064】
【化25】
【0065】
n+o=k/2+l+m
k/(l+m)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
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【化26】
【0067】
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k/(n+o)=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
iは2〜12の整数を示す。
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0070】
【化28】
【0071】
o=k/2+n
k/n=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
(l+m)/o=20/10〜1/10、好ましくは 15/10〜5/10k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0072】
【化29】
【0073】
o=k/2+l/2+m+n
(k+l)/(m+n)=80/60〜2/99、
好ましくは 40/80〜10/95
k/l=100/0〜0/100、好ましくは 90/10〜10/90
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0074】
【化30】
【0075】
o+p=k/2+l/2+n
(k+l)/n=80/60〜2/99、好ましくは 40/80〜10/95
k/l=100/0〜0/100、好ましくは 90/10〜10/90
o/p=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
m/n=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,o,pはそれぞれモル組成比を示す。
【0076】
上記の中でも特に、〔構造式1〕、〔構造式3〕、〔構造式4〕、〔構造式9〕、〔構造式11〕、〔構造式16〕、〔構造式20〕、〔構造式22〕、〔構造式23〕および〔構造式25〕の液晶性ポリエステルが好ましい。
以上説明したホメオトロピック配向性の液晶性高分子は、1種単独または少なくとも1種の該液晶性高分子を含有する組成物として本発明に用いることができる。なお組成物として用いる際、構造単位の異なった該液晶性高分子を複数種含有した組成物であっても、上述の性質を有する組成物であれば何ら問題なく本発明に用いることができる。
良好なホメオトロピック配向性を示すためには先に述べたように該液晶性高分子の分子量も重要である。
該液晶性高分子の分子量は、各種溶媒中、たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40(重量比))混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が通常0.04〜1.5が好ましく、さらに好ましくは0.06〜1.0の範囲である。対数粘度が0.04より小さい場合、補償フィルムの機械的強度が弱くなり好ましくない。また、1.5より大きい場合、ホメオトロピック配向性が失われる恐れがある。また液晶状態において粘性が高くなりすぎる恐れがあり、ホメオトロピック配向したとしても配向に要する時間が長くなる可能性がある。
【0077】
上記の液晶性高分子の合成法は、特に制限されるものではない。当該分野で公知の重合法で合成することができる。例えば液晶性ポリエステル合成を例に取れば,溶融重合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用いる酸クロライド法で合成することができる。
【0078】
本発明の液晶性高分子を合成する際において、一官能性の構造単位は、先に説明したモノアルコール、モノカルボン酸化合物およびこれらの機能性誘導体、具体的にはアセチル化物、ハロゲン化物などとして重合反応に供される。該一官能性構造単位の液晶性高分子、具体的には液晶性ポリエステルに占める含有率は、ヒドロキシカルボン酸構造単位を除いた残りの構成成分量中、モル分率で2/201から80/240の範囲である。より好ましくは、10/205から20/220の範囲である。一官能性構造単位の含有率が、2/210(モル分率)より小さい場合には、液晶性ポリエステルがホメオトロピック配向性を示さない恐れがある。また、一官能性構造単位の含有率が80/240より大きい場合には、液晶性ポリエステルの分子量が所望の値まで上がらない恐れがある。また補償フィルムを作製した場合、該フィルムの機械的強度が弱くなり好ましくない。なお、一官能性の構造単位の含有率は、モノマー成分の仕込み量に応じたものである。
【0079】
また本発明では、上述したホメオトロピック配向性の液晶性高分子に,他の液晶性高分子化合物(または組成物)または液晶性を示さない高分子化合物(または組成物)を加えた液晶性高分子組成物を用いることもできる。該組成物を用いることにより,
▲1▼ 組成比の調節でネマチックハイブリッド配向の平均チルト角を自在に制御することができる、
▲2▼ ネマチックハイブリッド配向の安定化を図ることができる、
などの利点がある。なお組成物として用いる際には、上記にて説明したホメオトロピック配向性の液晶性高分子を5重量%以上含有することが望ましい。5重量%より少ないと、本発明のネマチックハイブリッド配向が得られない恐れがある。
【0080】
ホメオトロピック配向性の液晶性高分子に加える高分子化合物(または組成物)としては、液晶性を示さない各種の高分子を用いることもできるが、ホメオトロピック配向性液晶性高分子との相溶性の観点から、同じく液晶性高分子を用いることが好ましい。用いられる液晶性高分子の種類としては、主鎖型の液晶性高分子、例えばポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルイミド等があげられる。また側鎖型の液晶性高分子、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリマロネート等も例示できる。ホメオトロピック配向性液晶性高分子との相溶性を有するものならば特に限定されないが、なかでも先に例示した(〔化4〕)オルソ置換芳香族単位を主鎖に有する液晶性ポリエステルが最も好ましい。さらにこれら液晶性高分子は、ホモジニアス、チルト配向またはそれ以外の配向性など、いずれの配向性を示すものであっても特に構わないが、なかでもホモジニアス配向性の液晶性高分子(組成物)がより好ましい。ホモジニアス配向性の判定は、ホメオトロピック配向性の判定と同様に、シリコン処理、ラビング処理、一軸延伸処理などの表面処理を施していない該基板を用いて行う。該基板上に液晶性高分子層を形成し、その配向状態によってホモジニアス配向性を示すか否かの判定を行う。
以下にホモジニアス配向性を示す液晶性高分子の具体的な構造例を示す。
【0081】
【化31】
【0082】
k=l+m
l/m=80/20〜20/80、好ましくは 75/25〜25/75
k,l,mはそれぞれモル組成比を示す。
【0083】
【化32】
【0084】
o=m+n
(k+l)/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜0/10m/n=100/0〜0/100、好ましくは 98/2〜2/98
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0085】
【化33】
【0086】
n=l+m
k/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜0/10
k,l,m,n,はそれぞれモル組成比を示す。
【0087】
【化34】
【0088】
k+l=m+n
k/l=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
m/l=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0089】
【化35】
【0090】
k+l=m+n
k/l=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0091】
【化36】
【0092】
l=m+n
k/l=15/10〜0/10、好ましくは 10/10〜0/10
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0093】
【化37】
【0094】
m+n=k/2+l
k/l=40/80〜0/100、好ましくは 20/90〜0/100
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0095】
【化38】
【0096】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは20/90〜0/100
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0097】
【化39】
【0098】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは20/90〜0/100
m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0099】
【化40】
【0100】
l=k/2+m+n
k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは20/90〜0/100
n/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,nはそれぞれモル組成比を示す。
【0101】
【化41】
【0102】
m=k/2+n+o
k/(n+o)=40/80〜0/100、好ましくは20/90〜0/100
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/m=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0103】
【化42】
【0104】
o=k/2+m+n
k/(m+n)=40/80〜0/100、好ましくは20/90〜0/100m/n=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
l/o=20/10〜0/10、好ましくは 15/10〜5/10
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0105】
【化43】
【0106】
n+o=k/2+l+m
k/(l+m)=40/80〜0/100、好ましくは20/90〜0/100
l/m=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
n/o=100/0〜0/100、好ましくは 95/5〜5/95
k,l,m,n,oはそれぞれモル組成比を示す。
【0107】
これらの分子量は、各種溶媒中、たとえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40(重量比))混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が通常0.05から3.0が好ましく、さらに好ましくは0.07から2.0の範囲である。対数粘度が0.05より小さい場合、補償フィルムの機械的強度が弱くなる恐れがある。また、3.0より大きい場合、ホメオトロピック配向を阻害する、あるいは液晶形成時の粘性が高くなりすぎ、配向に要する時間が長くなる、といった恐れがあるので望ましくない。
上記の液晶性高分子の合成法は、特に制限されるものではない。本発明に用いることができる液晶性高分子は、当該分野で公知の重合法で合成することができる。例えばポリエステル合成を例にとれば,溶融重合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用いる酸クロライド法で合成することができる。
以上説明した片末端または両末端に1種もしくは2種の一官能性の構成単位を有し、かつ正の一軸性を示す液晶性高分子を用いて、配向基板上で均一にネマチックハイブリッド配向し、該配向形態を固定化せしめた本発明の光学素子用フィルムを得るには、以下に説明する配向基板および各工程を踏むことが本発明において好ましい。
【0108】
先ず、配向基板について説明する。
本発明の如く、該液晶性高分子を用いてネマチックハイブリッド配向を得るためには、該液晶性高分子層の上下を異なる界面で挟むことが望ましく、上下を同じ界面で挟んだ場合には、該液晶性高分子層の上下界面における配向が同一となってしまい、本発明のネマチックハイブリッド配向を得ることが困難となってしまう。
具体的な態様としては、一枚の配向基板と空気界面とを利用し、正の一軸性の液晶性高分子層の下界面を配向基板に、また該液晶性高分子層の上界面を空気に接するようにする。上下に界面の異なる配向基板を用いることもできるが、製造プロセス上、一枚の配向基板と空気界面とを利用する方が望ましい。
【0109】
本発明に用いることのできる配向基板は、液晶分子の傾く向き(ダイレクターの配向基板への投影)を規定できるように、異方性を有していることが望ましい。配向基板が、全く液晶の傾く向きを規定できない場合には、無秩序な方位に傾いた配向形態しか得ることができない(ダイレクターを該基板へ投影したベクトルが無秩序になる)。
【0110】
本発明に用いることのできる配向基板として、具体的には面内の異方性を有しているものが望ましく、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などのプラスチックフィルム基板および一軸延伸プラスチックフィルム基板、表面にスリット状の溝を付けたアルミ、鉄、銅などの金属基板、表面をスリット状にエッチング加工したアルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、フリントガラスなどのガラス基板、などである。
【0111】
本発明においては上記プラスチックフィルム基板にラビング処理を施したラビングプラスチックフィルム基板、またはラビング処理を施したプラスチック薄膜、例えばラビングポリイミド膜、ラビングポリビニルアルコール膜などを有する上記各種基板、さらに酸化珪素の斜め蒸着膜などを有する上記各種基板なども用いることができる。
上記各種配向基板において、本発明の液晶性高分子をネマチックハイブリッド配向に形成せしめるのに好適な該基板としては、ラビングポリイミド膜を有する各種基板、ラビングポリイミド基板、ラビングポリエーテルエーテルケトン基板、ラビングポリエーテルケトン基板、ラビングポリエーテルスルフォン基板、ラビングポリフェニレンサルファイド基板、ラビングポリエチレンテレフタレート基板、ラビングポリエチレンナフタレート基板、ラビングポリアリレート基板、セルロース系プラスチック基板を挙げることができる。
【0112】
本発明の光学素子用フィルムは、該フィルムの上面と下面とでは、正の一軸性の液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面とのなす角度が異なる。該基板側のフィルム面は、その配向処理の方法や正の一軸性の液晶性高分子の種類によって0度以上50度以下または60度以上90度以下のどちらかの角度範囲に調節できる。通常、配向基板に接したフィルムの界面近傍の該液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面とのなす角度を0度以上50度以下の角度範囲に調整する方が製造プロセス上望ましい。
本発明の光学素子用フィルムは、上記の如き配向基板上に均一に正の一軸性の液晶性高分子を塗布し、次いで均一配向過程、配向形態の固定化過程を経て得られる。該液晶性高分子の配向基板への塗布は、通常正の一軸性の液晶性高分子を各種溶媒に溶解した溶液状態または該液晶性高分子を溶融した溶融状態で行うことができる。製造プロセス上、正の一軸性の液晶性高分子を溶媒に溶解した該溶液を用いて塗布する、溶液塗布が望ましい。
【0113】
溶液塗布について説明する。
本発明の液晶性高分子を溶媒に溶かし、所定濃度の溶液を調製する。フィルムの膜厚(正の一軸性の液晶性高分子より形成される層の膜厚)は、該液晶性高分子を基板に塗布する段階で決まるため、精密に濃度、塗布膜の膜厚などの制御をする必要がある。
【0114】
上記溶媒としては、正の一軸性の液晶性高分子の種類(組成比など)によって一概には言えないが、通常はクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、べンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素など、およびこれらの混合溶媒、例えばハロゲン化炭化水素類とフェノール類との混合溶媒などが用いられる。
【0115】
溶液の濃度は、用いる正の一軸性の液晶性高分子の溶解性や最終的に目的とする補償フィルムの膜厚に依存するため一概には言えないが、通常3〜50重量%の範囲で使用され、好ましくは7〜30重量%の範囲である。
上記の溶媒を用いて所望の濃度に調整した正の一軸性の液晶性高分子溶液を、次に上述にて説明した配向基板上に塗布する。塗布の方法としては、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法などを採用できる。
塗布後、溶媒を除去し、配向基板上に膜厚の均一な液晶性高分子の層を形成させる。溶媒除去条件は、特に限定されず、溶媒がおおむね除去でき、正の一軸性の液晶性高分子の層が流動したり、流れ落ちたりさえしなければ良い。通常、室温での乾燥、乾燥炉での乾燥、温風や熱風の吹き付けなどを利用して溶媒を除去する。
この塗布・乾燥工程の段階は、先ず基板上に均一に液晶性高分子の層を形成させることが目的であり、該液晶性高分子は、まだネマチックハイブリッド配向を形成していない。次の熱処理工程により、モノドメインなネマチックハイブリッド配向を完成させる。
【0116】
熱処理によってネマチックハイブリッド配向を形成するにあたって、正の一軸性の液晶性高分子の粘性は、界面効果による配向を助ける意味で低い方が良く、従って熱処理温度は高い方が望ましい。また液晶性高分子によっては、得られる平均チルト角が熱処理温度により異なることがある。その場合には、目的に応じた平均チルト角を得るために熱処理温度を設定する必要がある。例えば、あるチルト角を有する配向を得るために比較的低い温度で熱処理を行う必要が生じた場合、低い温度では液晶性高分子の粘性が高く、配向に要する時間が長くなる。そのような場合には、一旦高温で熱処理し、モノドメインな配向を得た後に、段階的、もしくは徐々に熱処理の温度を目的とする温度まで下げる方法が有効となる。いずれにせよ、用いる正の一軸性の液晶性高分子の特性に従い、ガラス転移点以上の温度で熱処理する事が好ましい。熱処理温度は、通常50℃から300℃の範囲が好適で、特に100℃から260℃の範囲が好適である。
また配向基板上において、正の一軸性の液晶性高分子が十分な配向をするために必要な熱処理時間は、用いる該液晶性高分子の種類(例えば組成比など)、熱処理温度によって異なるため一概にはいえないが、通常10秒から120分の範囲が好ましく、特に30秒から60分の範囲が好ましい。10秒より短い場合は配向が不十分となる恐れがある。また120分より長い場合は、生産性が低下する恐れがあり望ましくない。
このようにして、まず液晶状態で配向基板上全面にわたって均一なネマチックハイブリッド配向を得ることができる。
【0117】
なお、本発明においては上記の熱処理工程において、正の一軸性の液晶性高分子をネマチックハイブリッド配向させるために磁場や電場を利用しても特に構わない。しかし、熱処理しつつ磁場や電場を印加した場合、印加中は均一な場の力が液晶性高分子に働くために、該液晶のダイレクターは一定の方向を向きやすくなる。すなわち、本発明の如くダイレクターがフィルムの膜厚方向によって異なる角度を形成しているネマチックハイブリッド配向は得られ難くなる。一旦ネマチックハイブリッド配向以外、例えばホメオトロピック、ホモジニアス、チルト配向またはそれ以外の配向を形成させた後、場の力を取り除けば熱的に安定なネマチックハイブリッド配向を得ることができるが、プロセス上特にメリットはない。
【0118】
こうして正の一軸性の液晶性高分子の液晶状態において形成したネマチックハイブリッド配向を、次に該液晶性高分子の液晶転移点以下の温度に冷却することにより、該配向の均一性を全く損なわずに固定化できる。一般的にネマチック相より低温部にスメクチック相または結晶相を持っている液晶性高分子を用いた場合、液晶状態におけるネマチック配向は冷却することによって壊れてしまう恐れがある。本発明においては、
▲1▼ ネマチック相を示す温度領域より下の温度においてスメクチック相または結晶相を全く有しない、
▲2▼ 潜在的に結晶相またはスメクチック相を有していても冷却時にはスメクチック相または結晶相が現れない性質を持ち、
かつ
▲3▼ 光学素子用フィルムの使用温度範囲において流動性がなく外場や外力を加えても配向形態が変化しない、
といった性質を有する液晶性高分子を用いるため、スメクチック相あるいは結晶相への相転移による配向形態の破壊は起こらず、完全にモノドメインなネマチックハイブリッド配向を固定化できる。
【0119】
上記冷却温度は、液晶転移点以下の温度であれば特に制限はない。たとえば液晶転移点より10℃低い温度において冷却することにより、均一なネマチックハイブリッド配向を固定化することができる。冷却の手段は、特に制限はなく、熱処理工程における加熱雰囲気中から液晶転移点以下の雰囲気中、例えば室温中に出すだけで固定化される。また、生産の効率を高めるために、空冷、水冷などの強制冷却、除冷を行ってもよい。ただし正の一軸性の液晶性高分子によっては、冷却速度によって得られる平均チルト角が若干異なることがある。このような該液晶性高分子を使用し、厳密にこの角度を制御する必要が生じた際には、冷却操作も適宜冷却条件を考慮して行うことが好ましい。
【0120】
次いで、本発明においてネマチックハイブリッド配向のフィルム膜厚方向における角度制御について説明する。本補償フィルムでは、フィルム界面近傍における正の一軸性液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面との成す角度の絶対値が、該フィルムの上面または下面の一方においては、0度以上50度以下の範囲内、また当該面の反対面では60度以上90度以下の範囲である。使用する正の一軸性液晶性高分子の種類(組成など)、配向基板、熱処理条件などを適宜選択することにより所望の角度にそれぞれ制御することができる。また、ネマチックハイブリッド配向を固定化した後でも、例えばフィルム表面を均一に削る、溶剤に浸してフィルム表面を均一に溶かす、などといった方法を用いることにより所望の角度に制御することができる。なおこの際に用いられる溶剤は、正の一軸性液晶性高分子の種類(組成など)、配向基板の種類によって適宜選択する。 以上の工程によって得られる本発明の光学素子用フィルムは、ネマチックハイブリッド配向という配向形態を均一に配向・固定化したものである。また、該配向を形成しているので、該フィルムの上下は等価ではなく、また面内方向にも異方性がある。したがって該フィルムを液晶表示素子用補償フィルムとして利用し、該フィルムをLCDに配置することによって様々な特性を引き出すことが可能となる。
【0121】
以下に光学素子用フィルムを液晶表示素子用補償フィルムとして用いる方法にについて詳細に説明する。
本発明の補償フィルムを実際にツイステッドネマチック型液晶セルに配置する場合、該フィルムの使用形態として
▲1▼上述の配向基板を該フィルムから剥離して、補償フィルム単体で用いる、
▲2▼配向基板上に形成したそのままの状態で用いる、
▲3▼配向基板とは異なる別の基板に補償フィルムを積層して用いる、
ということが可能である。
フィルム単体として用いる場合には、配向基板を補償フィルムとの界面で、ロールなどを用いて機械的に剥離する方法、構造材料すべてに対する貧溶媒に浸漬した後機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去する方法などによって、フィルム単体を得る。剥離性は、用いる正の一軸性液晶性高分子の種類(組成など)と配向基板との密着性によって異なるため、その系に最も適した方法を採用すべきである。なお補償フィルム単体で用いる場合、膜厚によっては自己支持性のないことがあるが、その際には光学性質上好ましい基板、例えばポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロースなどのプラスチック基板上に接着剤または粘着剤を介して固定して用いるほうが、補償フィルムの強度、信頼性などのために望ましい。
【0122】
次に、配向基板上に形成した状態で補償フィルムを用いる場合について説明する。配向基板が透明で光学的に等方であるか、あるいは配向基板がTN−LCDにとって必要な部材である場合には、そのまま目的とする補償素子としてTN−LCDに組み込むことができる。
さらに配向基板上で正の一軸性の液晶性高分子を配向固定化して得られた本発明の補償フィルムを該基板から剥離して、光学用途により適した別の基板上に積層する。すなわち、該フィルムと配向基板とは異なる別の基板とから少なくとも構成される積層体を補償素子としてTN−LCDに組み込むことができる。
【0123】
例えば、使用する配向基板がネマチックハイブリッド配向を得るために必要なものではあるが、TN−LCDに対して好ましくない影響を与えるような該基板を用いた場合、その基板を配向固定化後の補償フィルムから除去して用いることができる。具体的には次のような方法を採ることができる。
目的とするTN−LCDに組み込む液晶表示素子に適した基板(以下、第2の基板という)と配向基板上の補償フィルムとを、例えば接着剤または粘着剤を用いて貼りつける。次いで、配向基板を本発明の補償フィルムとの界面で剥離し、補償フィルムを液晶表示素子に適した第2の基板側に転写して補償素子を得ることができる。
転写に用いられる第2の基板としては、適度な平面性を有するものであれば特に限定されないが、ガラス基板や透明で光学的等方性を有するプラスチックフィルムが好ましく用いられる。かかるプラスチックフィルムの例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロースあるいはエポキシ樹脂などをあげることができる。なかでもポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、トリアセチルセルロースなどが好ましく用いられる。また光学的に異方性であっても、TN−LCDにとって必要な部材である場合には、光学的異方性フィルムも用いることができる。このような例としては、ポリカーボネートやポリスチレンなどのプラスチックフィルムを延伸して得られる位相差フィルム、偏光フィルムなどがある。
【0124】
さらに、用いられる第2の基板の例として液晶セルそのものを挙げることができる。液晶セルは、上下2枚の電極付きガラスまたはプラスチック基板を用いており、この上下いずれか、あるいは両面のガラスまたはプラスチック基板上に本発明の補償フィルムを転写すれば、本補償フィルムの組み込みがすでに達成されたことになる。また液晶セルを形成するガラスまたはプラスチック基板そのものを配向基板として本補償フィルムを製造することももちろん可能である。 以上説明した第2の基板は、正の一軸性の液晶性高分子の配向制御能を実質的に持つ必要はない。また、第2の基板と該フィルムとの間に配向膜などは必要としない。
転写に用いられる第2の基板と、本発明の補償フィルムとを貼り付ける接着剤または粘着剤は、光学グレードのものであれば特に制限はないが、アクリル系、エポキシ系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ゴム系、ウレタン系、およびこれらの混合系などを用いることができる。また接着剤としては、熱硬化型、光硬化型、電子線硬化型などのいずれの接着剤でも光学的等方性を有していれば問題なく使用することができる。
【0125】
本発明の補償フィルムを液晶表示素子に適した第2の基板への転写は、接着後配向基板を該フィルムとの界面で剥離することにより行える。剥離の方法は、上述でも説明したが、ロールなどを用いて機械的に剥離する方法、構造材料すべてに対する貧溶媒に浸漬したのち機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板と該フィルムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離する方法、配向基板そのもの、または配向基板上の配向膜を溶解除去する方法などを例示することができる。剥離性は、用いる正の一軸性液晶性高分子の種類(組成など)と配向基板との密着性によって異なるため、その系にもっとも適した方法を採用すべきである。
また本発明の補償フィルムは、表面保護、強度増加、環境信頼性向上などの目的のために透明プラスチックフィルムなどの保護層を設けることもできる。
【0126】
このようにして得られた補償フィルムは、TN−LCDに対して特に優れた視野角補償効果をもつ。本補償フィルムが、各種TN−LCDに対してより好適な補償効果を発現するための該フィルムの膜厚は、対象とするTN−LCDの方式や種々の光学パラメーターに依存するので一概には言えないが、通常0.1μm以上20μm以下の範囲であり、より好ましくは0.2μm以上10μm以下の範囲、特に好ましくは0.3μ以上5μm以下の範囲である。膜厚が0.1μm未満の時は、十分な補償効果が得られない恐れがある。また膜厚が20μmを越えるとディスプレーの表示が不必要に色づく恐れがある。
ただし、本発明の補償フィルムの性能をより高く引き出すためには、補償フィルムの光学パラメーターや軸配置をさらに詳細に考慮することが望ましい。以下個々に説明する。 先ず、フィルムの法線方向から見た場合の面内の見かけのリターデーション値について説明する。ネマチックハイブリッド配向したフィルムでは、ダイレクターに平行な方向の屈折率(以下neと呼ぶ)と垂直な方向の屈折率(以下noと呼ぶ)が異なっている。neからnoを引いた値を見かけ上の複屈折率とした場合、見かけ上のリターデーション値は見かけ上の複屈折率と絶対膜厚との積で与えられる。この見かけ上のリターデーション値は、エリプソメトリー等の偏光光学測定により容易に求めることができる。本発明の補償フィルムの見かけ上のリターデーション値は、550nmの単色光に対して、通常5nmから500nmの範囲、より好ましくは10nmから300nmの範囲、特に好ましくは15nmから150nmの範囲である。見かけのリターデーション値が5nm未満の時は、実質的にホメオトロピック配向と何ら変わることはなく十分な視野角拡大効果が得られない恐れがある。また、500nmより大きい場合は、斜めから見たときに液晶ディスプレーに不必要な色付きが生じる恐れがある。
【0127】
次いでダイレクターの角度について説明する。
ネマチックハイブリッド配向のフィルムの膜厚方向におけるダイレクターの角度範囲は、フィルム界面での正の一軸性の液晶性高分子のダイレクターと該ダイレクターのフィルム界面への投影成分がなす鋭角側の角度が、フィルムの上面または下面の一方においては、通常60度以上90度以下の角度をなし、当該面の反対面においては、通常0度以上50度以下である。より好ましくは一方の角度の絶対値が80度以上90度以下、他方の角度の絶対値が0度以上30度以下である。
【0128】
次いで平均チルト角について説明する。
本発明においては、正の一軸性の液晶性高分子のダイレクターと該ダイレクターの基板平面への投影成分とのなす角度の膜厚方向での平均値を平均チルト角と定義する。平均チルト角は、クリスタルローテーション法を応用して求めることができる。本発明の補償フィルムの平均チルト角は、10度から60度範囲にあり、好ましくは20度から50度の範囲にある。平均チルト角が10度より小さい場合、あるいは60度より大きい場合には、一定の視野角拡大効果は認められるが満足できる効果が得られない恐れがある。
【0129】
次に、本発明の補償フィルムをTN−LCDの視野角拡大のために用いるときの配置について具体的に説明する。本補償フィルムの配置位置は偏光板と液晶セルとの間であればよく、1枚または複数枚の補償フィルムを配置することができる。本発明では、1枚または2枚の補償フィルムを用いて視野角補償を行うことが実用上好ましい。3枚以上の補償フィルムを用いても、視野角補償は可能であるが、コストアップに繋がるためあまり好ましいとはいえない。具体的な配置位置を例示すると以下のようになる。ただし、これらはあくまで代表的な配置位置であり本発明はこれらに限定されるものではない。
【0130】
まず本補償フィルムの上面と下面とを次のように定義する。
光学的に正の一軸性を示す液晶性高分子のダイレクターとフィルム平面との成す角度が鋭角側で60度以上90度以下の角度を成している面をb面とする。該角度が鋭角側で0度以上50度以下の角度を成している面をc面とする。
次いで本補償フィルムのチルト方向をを以下のように定義する。
補償フィルムのb面から液晶層を通してc面を見た場合、ダイレクターとダイレクターのc面への投影成分がなす角度が鋭角となる方向でかつ投影成分と平行な方向を本補償フィルムのチルト方向と定義する。
次いで液晶セルのプレチルト方向を以下のように定義する。
通常液晶セル界面では、駆動用の低分子液晶はセル界面に対して平行ではなくある角度もって傾いている。これをプレチルト角と言う。セル界面の液晶のダイレクターとダイレクターの界面への投影成分とがなす角度が鋭角である方向で,かつダイレクターの投影成分と平行な方向を液晶セルのプレチルト方向と定義する。
【0131】
上記の定義に基づいて本補償フィルムを1枚をTN−LCDに用いる場合について説明する。補償フィルムは偏光板と液晶セルの間に配置し、セルの上面側でも良いし下面側でも良い。なお、補償フィルムのチルト方向と隣接しない液晶セル界面でのセルの液晶のプレチルト方向がおおむね一致することが好ましい。チルト方向とプレチルト方向のなす角度は0度から15度の範囲が好ましく、より好ましくは0度から10度の範囲であり、特に好ましくは0度から5度の範囲である。両者のなす角度が15度以上のの場合十分な視野角補償効果が得られない恐れがある。
次に、本補償フィルム2枚をTN−LCDに用いる場合について説明する。2枚の補償フィルムは、上下一対の偏光板に挟まれた液晶セルの上面または下面に配置する。配置する際は、2枚の補償フィルムが同じ側にあっても良いし、上下に各1枚づつあっても良い。また2枚の補償フィルムは、同一のパラメータで合っても良いし、異なるものでも良い。
【0132】
本発明において、2枚の補償フィルムを液晶セルの上下に分けて配置する場合、それぞれの補償フィルムを上述の1枚のみを使用する場合と同様の配置にすることが好ましい。すなわち、それぞれの補償フィルム中の液晶性高分子のチルト方向と隣接しない液晶セル界面でのセル液晶のプレチルト方向がおおむね一致することが好ましい。チルト方向とプレチルト方向のなす角度は0度から15度の範囲が好ましく、より好ましくは0度から10度の範囲であり、特に好ましくは0度から5度の範囲である。
また2枚の補償フィルムを液晶セルの上面あるいは下面のどちらか一方に配置する場合、液晶セルに近い側の補償フィルムを1枚の補償フィルムを用いる場合と同様の配置にする。すなわち、補償フィルムのチルト方向と隣接しない液晶セル界面でのネマチック液晶のプレチルト方向がおおむね一致するように配置することが好ましい。チルト方向とプレチルト方向のなす角度は0度から15度の範囲が好ましく、より好ましくは0度から10度の範囲であり、特に好ましくは0度から5度の範囲である。2枚目の補償フィルムは1枚目の補償フィルムと偏光板の間に配置することになるが、1枚目の補償フィルムに隣接した液晶セル界面でのネマチック液晶のプレチルト方向と2枚目の補償フィルムのチルト方向がおおむね一致するように配置することが好ましい。
【0133】
さらに本発明の補償フィルムはネマチックハイブリッド配向をもつために、補償フィルムの上下は等価ではない。したがって該補償フィルムを液晶セルに装着する場合、どちらの面を液晶セルに近い方にするかによって補償効果に多少の違いが見られる。本発明の補償フィルムを実際にTN−LCDに組み込む際には、液晶性高分子のダイレクターがフィルム平面となす角がより大きい面(該角度が60度以上90度以下である面)を液晶セルに近く、偏光板から遠くなるように配置する方がより望ましい。
最後に偏光板の配置について説明する。通常、TN−LCDでは上下偏光板の透過軸が互いに直交するように配置する場合と平行になるように配置する場合がある。さらに、上下偏光板の透過軸が互いに直交する場合は、偏光板の透過軸と偏光板に近側の液晶セルのラビング方向が平行な場合または垂直な場合または45度の角度をなす場合がある。本発明の補償フィルム上に偏光板を装着する場合、偏光板の配置は上記のどの配置であっても視野角拡大効果は得られるが、上下偏光板の透過軸が互いに直交しかつ偏光板の透過軸と偏光板に近い側の液晶セルのラビング方向が平行になる配置が最も好ましい。
【0134】
本補償フィルムは、TFT素子あるいはMIM素子を用いたTN−LCDの視野角改善に絶大な効果が有り、他のモードのLCD、すなわちSTN(Super Twisted Nematic)−LCD、ECB(Electrically Controlled Birefringence)−LCD、OMI(Optical Mode Interference)−LCD、OCB(Optically Compensated Birefringence)−LCD、HAN(Hybrid Aligned Nematic)−LCD、IPS(In Plane Switching)−LCDなどの色補償あるいは視野角特性改良にも有効である。また、液晶化合物の原料の入手し易さ、フィルムの原料となる液晶化合物の製造およびフィルム自体の製造が簡単であることから、その工業的利用価値は非常に大きい。
【0135】
【実施例】
以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお実施例で用いた各分析法は以下の通りである。
(1)液晶性高分子の組成の決定
ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフルオロ酢酸に溶解し、400MHzの1H−NMR(日本電子製JNM−GX400)で測定し決定した。
(2)対数粘度の測定
ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロエタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定した。
(3)液晶相系列の決定
DSC(Perkin Elmer DSC−7)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。
(4)屈折率の測定
アッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)により屈折率を測定した。
(5)偏光解析
(株)溝尻光学工業製エリプソメーターDVA−36VWLDを用いて行った。(6)膜厚測定
SLOAN製SURFACE TEXTURE ANALYSIS SY−STEM Dektak 3030STを用いた。また、干渉波測定(日本分光(株)製 紫外・可視・近赤外分光光度計V−570)と屈折率のデータから膜厚を求める方法も併用した。
【0136】
実施例1
4−n−ヘキシル安息香酸10mmol、テレフタル酸95mmol、ヒドロキノンジアセテート50mmol、3−メチルカテコールジアセテート50mmol、および酢酸ナトリウム100mgを用いて窒素雰囲気下、270℃で12時間重合を行った。次に得られた反応生成物をテトラクロロエタンに溶解したのち、メタノールで再沈殿を行って精製し、液晶性ポリエステル(式(1))22.0gを得た。この液晶性ポリエステルの対数粘度は0.15、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は240℃、ガラス転移点は75℃であった。 この液晶性ポリエステルを用い10wt%のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)溶液を調製した。この溶液を、ソーダガラス板上に、バーコート法により塗布し、乾燥し、190℃で30分熱処理したのち、室温下で冷却・固定化した。膜厚15μmの均一に配向した液晶性フィルムを得た。コノスコープ観察したところ高分子液晶は正の一軸性構造を持つことがわかり、このポリマーがホメオトロピック配向性を持つことがわかった。
【0137】
次に、式(1)の液晶性ポリエステルの8wt%テトラクロロエタン溶液を調製し、ラビングポリイミド膜を有するガラス上にスピンコート法により塗布し、乾燥し、190℃で20分間熱処理したのち、空冷し固定化した結果、光学素子用フィルムを得た。得られた基板上のフィルムは透明で配向欠陥はなく均一で膜厚は1.55μmであった。
図1、図2に示した光学測定系を用いて、該フィルムを基板のラビング方向に傾けていき、リターデーション値を測定した。その結果、図3のような左右非対称でかつリターデーション値が0になる角度がない結果が得られた。この結果から、液晶性ポリエステルのダイレクターが基板に対して傾いており均一チルト配向(ダイレクターと基板表面のなす角が膜厚方向で一定な配向状態)ではないことが分かった。
【0138】
次いで基板上の該フィルムを5枚に切り分け、それぞれ一定時間クロロホルムを3wt%含むメタノール溶液に浸漬し、液晶層上面より溶出させた。浸漬時間を15秒、30秒、1分、2分、5分とした場合に、溶出せずに残った液晶層の膜厚は、それぞれ1.35μm、1.10μm、0.88μm、0.56μm、0.37μmであった。図1、図2の光学系を用いてθ=0度の場合のリターデーション値(正面リターデーション値)を測定し、図4の膜厚とリターデーション値の関係を得た。図4から分かるように膜厚とリターデーション値は直線関係にはなく、このことからも均一チルト配向ではないことが分かった。図中の点線は均一チルト配向したフィルムのおいて観測される直線である。
次に、式(1)の液晶性ポリエステルをラビングポリイミド膜を有する高屈折率ガラス基板(屈折率は1.84)上に、上記と同様な方法を用いて配向・固定化し、補償フィルムを作製し、これを用いて屈折率測定を行った。屈折計のプリズム面にガラス基板が接するように置き、補償フィルムの基板界面側が空気界面側より下にくるように配置した場合、フィルム面内の屈折率には異方性が有りラビング方向に垂直な面内の屈折率は1.55、平行な面内の屈折率は1.70であり、膜厚方向の屈折率は試料の方向によらず1.55で一定であった。このことから、ガラス基板側では液晶性ポリエステルを構成する棒状の液晶分子が基板に対して平行に平面配向していることが分かった。次に屈折率計のプリズム面に光学素子用フィルムの空気界面側が接するように配置した場合、面内の屈折率には異方性がなく屈折率は1.55で一定で、膜厚方向の屈折率は試料の方向によらず1.70で一定であった。このことから、空気界面側では液晶性ポリエステルを構成する棒状の液晶分子が基板平面に対して垂直に配向していることが分かった。
以上のことより、正の一軸性の液晶性高分子より形成された光学素子用フィルムがネマチックハイブリッド配向を形成し、ラビングによる基板界面の規制力および空気界面の規制力により、図5に示したように配向していることが判明した。
【0139】
次に、基板界面でのダイレクターの方位の角度をより正確に求めるため、以下の操作を行った。 上記のラビングポリイミド膜を有する高屈折ガラス基板上に形成された光学素子用フィルムの上に、もう一枚ラビングポリイミド膜を有するガラス基板をかぶせ密着させた。すなわち補償フィルムを2枚のラビングポリイミド膜で挟んだ構成にした。この時、上下のラビング膜のラビング方向が互いの180度になるように配置した。この状態で190℃で30分間熱処理した。こうして得られた試料について屈折率測定および偏光解析を行った。屈折率測定の結果、光学素子用フィルムの上下に関して同じ値が得られ、該フィルム面内の屈折率はラビング方向に垂直な面内では1.55で平行な面内では1.70、該フィルムの膜厚方向では1.55であった。このことから基板の界面付近では補償フィルムの上下ともにダイレクターが基板平面に対して略平行であることが分かった。さらに偏光解析の結果、屈折率構造はほぼ正の一軸性であり、クリスタルローテーション法に基づき詳細な解析を行った結果、基板界面付近では、わずかにダイレクターの傾きがあり、基板平面とダイレクターのなす角度は約3度であった。また、ダイレクターの傾く向きはラビング方向と一致していた(光学素子用フィルムのチルト方向とラビング方向とは一致する)。以上のことより、基板界面におけるダイレクターの方位は、液晶性高分子と配向基板界面の相互作用によってほぼ決まると考えると、前述の一枚の配向基板上に形成された光学素子用フィルムのネマチックハイブリッド配向における基板界面でのダイレクターの方位は3度であると推定される。
【0140】
【化44】
【0141】
実施例2
実施例1と同様の方法により式(2)の液晶性ポリエステルを合成した。該液晶性ポリエステルの対数粘度は、0.16、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は220℃、ガラス転移点は100℃であった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、この液晶性ポリエステルがホメオトロピック配向性を示し正の一軸性であることがわかった。
式(2)のポリマーの7wt%のクロロホルム溶液を調製した。溶液をラビングポリイミド膜を有するガラスにスピンコート法により塗布し、乾燥し、250℃で30分間熱処理したのち、冷却し固定化した。基板上の補償フィルムは透明で配向欠陥はなく均一で膜厚は0.40μm、膜厚方向の平均チルト角は45度でった。各光学素子の軸配置は図6に示した配置で、補償フィルムの空気界面側が液晶セルに近い側になるように、液晶セルの上下に液晶性光学フィルムを各1枚づつ配置した。使用した液晶セルは液晶材料としてZLI−4792を用い、セルパラメータはセルギャップ4.8μm、ねじれ角90度(左ねじれ)、プレチルト角4度である。液晶セルに対して、300Hzの矩形波で電圧を印加した。白表示0V、黒表示6Vの透過率の比(白表示)/(黒表示)をコントラスト比として、全方位からのコントラスト比測定を浜松ホトニクス(株)製FFP光学系DVS−3000を用いて行い、等コントラスト曲線を描いた。その結果を図7に示す。
図6の配置において白表示と黒表示の透過率の差を8等分するような電圧を液晶セルに印加し横方向(0度−180度方向)での階調特性について(株)トプコン社製色彩輝度計BM−5を用いて測定した。結果を図8に示す。
【0142】
【化45】
【0143】
比較例1
実施例2と同じTN型液晶セルを用いて、補償フィルムを装着しない状態で偏光板液晶セルに対するの配置は図6と同じにし、実施例2と同様な方法により全方位でのコントラスト比測定、横方向(0度−180度方向)での階調特性の測定を行った。結果を図9、図10に示す。
【0144】
実施例3
式(3)、式(4)の液晶性ポリエステルを合成した。式(3)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.12、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は200℃、ガラス転移点は90℃であった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式(3)の液晶性ポリエステルがホメオトロピック配向性を示し、正の一軸性であることが分かった。
式(4)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.15、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は300℃以上であった。該液晶性ポリエステルの10wt%のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)溶液を調製し、各種配向性試験用基板に、スクリーン印刷法により塗布したのち乾燥し、230℃で10分間熱処理を行った。基板として、ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルムを用いたが、いずれの基板上でも液晶相の顕微鏡観察によりシュリーレン組織がみられ、このポリマーがホモジニアス配向性であることがわかった。
式(3)、式(4)の液晶性ポリエステルを20:80の重量比で含有する液晶性ポリエステルの5wt%テトラクロロエタン溶液を調製した。実施例2と同一の条件で塗布、乾燥、熱処理を行い補償フィルムを得た。該補償フィルムの膜厚0.50μmであった。このフィルムの膜厚方向の平均チルト角は30度であった。実施例2と同様の方法により全方位からのコントラスト比測定を行った。その結果を図11に示す。
【0145】
【化46】
【0146】
【化47】
【0147】
実施例4
式(5)、式(6)の液晶性ポリエステルを合成した。式(5)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.15、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は220℃、ガラス転移点は100℃であった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式(5)の液晶性ポリエステルがホメオトロピック配向性を示し、正の一軸性であることが分かった。
式(6)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.18、液晶相としてネマチック相をもち、等方相−液晶相転移温度は200℃であった。実施例3と同様の配向性試験を行った結果、式(6)の液晶性ポリエステルが、ホモジニアス配向性であることがわかった。
式(5)、式(6)の液晶性ポリエステルを25:75の重量比で含有する液晶性ポリエステルの5wt%テトラクロロエタン溶液を調製した。実施例2と同一の条件で塗布、乾燥、熱処理を行い補償フィルムを得た。該補償フィルムの膜厚0.48μmであった。このフィルムの膜厚方向の平均チルト角は28度であった。実施例2と同様の方法により全方位からのコントラスト比測定を行い、実施例3と同様の結果を得た。
【0148】
【化48】
【0149】
【化49】
【0150】
実施例5
式(7)、式(8)の液晶性ポリエステルを合成した。式(7)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.20、液晶相としてネマチック相をもち等方相−液晶相転移温度は220℃であった。式(8)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.21、液晶相としてネマチック相をもち等方相−液晶相転移温度は190℃であった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式(7)、式(8)の液晶性ポリエステルはともにホメオトロピック配向性を示し、光学的に正の一軸性であることが分かった。式(7)、式(8)のポリマーを90:10の重量比で含有するの4wt%のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)溶液を調製した。ラビング処理した幅40cmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にロールコート法により長さ10mにわたって塗布し、120℃の熱風で乾燥したのち、180℃で20分間熱処理を行い冷却、固定化した。得られた補償フィルムの表面に粘着剤を有するトリアセチルセルロースフィルムを該粘着剤を介して貼り合わせ、次いでポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、補償フィルムをトリアセチルセルロースフィルムに転写した。補償フィルムの膜厚は0.60μm、膜厚方向の平均チルト角は35度であった。各光学素子の軸配置は図6に示した配置で、液晶性光学フィルムのトリアセチルセルロースフィルムが液晶セルに近い側にくるように、液晶セルの上下に補償フィルムを各一枚づつ配置した。実施例2と同様の方法により全方位でのコントラスト比測定を行った。結果を図12に示す。
【0151】
【化50】
【0152】
【化51】
【0153】
実施例6
式(9)、式(10)の液晶性ポリエステルを合成した。式(9)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.10、液晶相としてネマチック相をもち等方相−液晶相転移温度は180℃であった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、式(9)の液晶性ポリエステルが、ホメオトロピック配向性を示し、光学的に正の一軸性であることが分かった。
式(10)の液晶性ポリエステルの対数粘度は0.18、液晶相としてネマチック相をもち、等方相一液晶相転移温度は300℃以上であった。実施例3と同様の配向性試験を行った結果、式(10)の液晶性ポリエステルが、ホモジニアス配向性であることがわかった。
式(9)、式(10)のポリマーを50:50の重量比で含有するの8wt%のN−メチル−2−ピロリドン溶液を調製した。ラビング処理した幅40cmのポリエーテルエーテルケトン上にダイコート法により長さ10mにわたって塗布し、120℃の熱風で乾燥したのち、220℃で10分間熱処理を行い冷却、固定化した。得られた補償フィルムの表面に粘着剤を有するトリアセチルセルロースフィルムを該粘着剤を介して貼り合わせ、次いでポリエーテルエーテルケトンフィルムを剥離し、補償フィルムをトリアセチルセルロースフィルムに転写した。補償フィルムの膜厚は0.62μm、膜厚方向の平均チルト角は37度であった。各光学素子の軸配置は図6に示した配置で、液晶性光学フィルムのトリアセチルセルロースフィルムが液晶セルに近い側にくるように、液晶セルの上下に補償フィルムを各一枚づつ配置した。実施例2と同様の方法により全方位でのコントラスト比測定を行い、実施例5と同様の結果を得た。
【0154】
【化52】
【0155】
【化53】
【0156】
実施例7
式(11)の液晶性ポリエステルを合成した。該液晶性ポリエステルの対数粘度は0.25、液晶相としてネマチック相をもち等方相−液晶相転移温度は190℃であった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、該液晶性ポリエステルがホメオトロピック配向性を示し、光学的に正の一軸性であることが分かった。該液晶性ポリエステルの15wt%のクロロホルム溶液し、ダイコート法によりラビングポリイミド膜を有する40cm幅のポリアリレートフィルム上に長さ10mにわたって塗布し、100℃の熱風乾燥を行い、200℃で5分間熱処理を行い補償フィルムを得た。該補償フィルムの膜厚は0.62μm、膜厚方向の平均チルト角は35度であった。 Sony製液晶カラーテレビXTL−610の偏光板を剥がし、補償フィルムの空気界面側が液晶セルに近い側に来るように、液晶セルの上下に各1枚づつ補償フィルムを貼り合わせた。その後、偏光板を上下1枚ずつポリアリレートフィルムに貼り合わせた。各光学素子の軸配置は図6に示した配置と同じなるようにした。実施例2と同様な方法により全方位でのコントラスト比を測定した。その結果を図13に示す。
【0157】
【化54】
【0158】
比較例2
実施例7のSony製液晶カラーテレビXTL−610に補償フィルムを装着していない場合の全方位でのコントラスト比を測定した。結果を図14に示す。
【0159】
実施例8
式(12)の液晶性ポリエステルを合成した。該液晶性ポリエステルの対数粘度は0.21、液晶相としてネマチック相をもち等方相−液晶相転移温度は180℃であった。実施例1と同様の配向性試験を行った結果、該液晶性ポリエステルがホメオトロピック配向性を示し、光学的に正の一軸性であることが分かった。該液晶性10wt%のフェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(6/4重量比)溶液を調製し、ロールコート法によりによりラビング処理した幅40cmのポリイミドフィルムに長さ10mにわたって塗工し、120℃の熱風乾燥、220℃で5分間熱処理を行い補償フィルムを得た。次いで、紫外線硬化型接着剤を補償フィルムの表面に塗り、接着剤を介してポリビニルアルコールフィルムを貼り合わせた。紫外線を照射し接着剤を硬化させたのち、ポリイミドフィルムを剥離しポリビニルアルコールフィルムに補償フィルムを転写した。該補償フィルムの膜厚は0.58μm、膜厚方向の平均チルト角は35度であった。
Casio製液晶カラーテレビVM−101偏光板を剥がし、補償フィルムの空気界面側が液晶セルに近い側に来るように、液晶セルの上下に各1枚づつ補償フィルムを貼り合わせた。その後、偏光板を上下1枚ずつポリエーテルスルフォンに貼り合わせた。各光学素子の軸配置は図6示した配置と同じになるようにした。実施例2と同様な方法により全方位でのコントラスト比を測定した。その結果を図15に示す。
【0160】
【化55】
【0161】
比較例3
実施例7のCasio製液晶カラーテレビVM−101に補償フィルムを装着していない場合の全方位でのコントラスト比を測定した。結果を図16に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補償フィルムのチルト角測定に用いた光学測定系の配置図を示す。
【図2】本発明の補償フィルムのチルト角測定に用いた光学測定系の試料および偏光板の軸方位の関係を示す。
【図3】実施例1において、基板のラビング方向に沿って傾けて測定した見かけのリターデーション値と試料の傾き角の関係を示す。
【図4】実施例1において、補償フィルムの浸漬後の膜厚と試料の正面での見かけのリターデーション値の測定結果を示す。
【図5】本発明の補償フィルムの配向構造の概念図である。
【図6】実施例2において、各光学素子の軸配置を示す。
【図7】実施例2の等コントラスト曲線を示す。
【図8】実施例2の横方向での階調特性の測定結果を示す。
【図9】比較例1の等コントラスト曲線を示す。
【図10】比較例1の横方向での階調特性を示す。
【図11】実施例3の等コントラスト曲線を示す。
【図12】実施例5の等コントラスト曲線を示す。
【図13】実施例7の等コントラスト曲線を示す。
【図14】比較例2の等コントラスト曲線を示す。
【図15】実施例8の等コントラスト曲線を示す。
【図16】比較例3の等コントラスト曲線を示す。
Claims (3)
- 液晶表示素子用補償フィルムである請求項1記載の光学素子用フィルム。
- 電極を備えた一対の透明基板とネマチック液晶とからなる駆動用液晶セルと、該基板の上下に配置された上側偏光板、下側偏光板を少なくとも備えたツイステッドネマチック型液晶表示装置であって、該基板と上側もしくは下側偏光板のうちどちらか一方の間または該基板と上側および下側偏光板のそれぞれの間に請求項2記載の液晶表示素子用補償フィルムを少なくとも1枚組み込んだことを特徴とするツィステッドネマチック型液晶表示装置。
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