JP3661197B2 - 半導電性ロール - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機やプリンターにおいて、帯電ロール等として好適に用いられる半導電性ロールに関するものである。
【0002】
【背景技術】
電子写真方式による複写機やプリンター等においては、従来から、感光体の帯電にコロナ放電器を用いて帯電するコロナ放電方式が採用されている。しかしながら、このコロナ放電方式は、(1)高電圧の印加が必要である、(2)高濃度のオゾンが発生する、(3)電力使用量に対する帯電効率が悪い等の問題点を有するところから、近年では、接触帯電方式、特に帯電ロールを用いたロール帯電方式が利用されるようになってきている。
【0003】
ところで、このロール帯電方式における帯電ロールとして用いられる半導電性ロールにあっては、その要求される特性として、(1)低い硬度を有すること、(2)半導電性であること、(3)高い破壊電圧を有すること、(4)感材汚染性が無いこと等が挙げられるが、これらの要求される特性を満たす半導電性ロールとしては、特開平2−311868号に示される如き、所定の導電性軸体の外周面上に導電性弾性体層、抵抗調整層、保護層が順次積層されて成るものが知られている。また、前記抵抗調整層を形成する半導電構成材料としては、特開平2−198470号に示される如く、繰り返しエーテル結合を有する高分子化合物をマトリックスとし、イオン導電剤として過塩素酸塩が含有せしめられたものが知られている。
【0004】
そして、このイオン導電剤が含有せしめられた半導電性ロールにおいて、その電気抵抗は、抵抗調整層内のイオン導電剤が解離したイオン性物質の量に依存しており、使用に際して、ロールに電圧が印加せしめられると、イオン性物質は徐々に消費され、それに伴い、半導電性ロールの電気抵抗が徐々に増加するのである。即ち、かかる半導電性ロールは使用されるに連れて、その導電性が低下するという問題を内在しているのである。
【0005】
一方、近年では、かかる半導電性ロールにおいて、低速、短寿命のものから高速、長寿命のものへと、その性能に対する要求が高まって来ているところから、それらの要求を満たす構成として、抵抗調整層にイオン導電剤を過剰に添加せしめて、一部を未解離の形態で抵抗調整層に存在させ、また前記マトリックス成分の極性(例えば、繰り返しエーテル成分を有している場合は、エーテル比率等)を調整するものが考えられている。
【0006】
しかし、このような構成とされた半導電性ロールにあっては、未解離状態のイオン導電剤が存在する抵抗調整層の上に形成される保護層には、通常、N−メトキシメチル化ナイロン等の親水性樹脂が用いられているところから、この半導電性ロールが高温、高湿度の条件下において使用されると、かかる抵抗調整層に含有せしめられたイオン導電剤が、保護層を構成する親水性樹脂を透過した水分に溶解して、保護層表面に移行するようになり、これによって所謂ブルーム現象やブリード現象等が惹起せしめられることとなる。そして、それに起因して、画像流れ等の画像欠陥や帯電ムラによる画像ムラを生じるのである。
【0007】
このため、これらの問題を解消するために、本発明者らは、かかる保護層形成材料として、疎水性であり且つイオン導電剤等が滲出しないフッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合樹脂を用いて、目的とする半導電性ロールを構成したところ、該半導電性ロールの表面には、その抵抗調整層中からの過塩素酸塩の滲み出しが無いことが確認された。しかしながら、かかる構成の半導電性ロールでは、ブリード現象やブルーム現象が発生する等の問題は解決されるものの、帯電ロールとして実機に取り付けて、製品耐久性をテストすると、1000枚程度で黒スジによる画像不具合が発生するという新たな問題が生じることが明らかとなったのである。
【0008】
そこで、更に種々の検討を重ねた結果、かかる黒スジ現象は、前記半導電性ロールの保護層を形成しているフッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体の硬度が高いところから、使用の際に、感光体と半導電性ロールとの間にトナー凝集塊等の硬い粗大粒子が入り込むと、保護層の局所的変形のみでは、該粗大粒子の形状を吸収し得ず、感光体の表面に押圧力が作用して、該表面が傷付けられるために、惹起されるものであることが、判明した。即ち、粗大粒子等が、感光体の表面を傷つけ、そこにトナー微細粉等が付着して、感光体表面の当該部分が絶縁性となるために、帯電が不良となり、結果として黒スジが発生するようになるのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景として為されたものであって、その課題とするところは、半導電性ロールの長寿命化に際して惹起せしめられる画像欠陥や画像ムラ等の発生を抑制し、且つ黒スジの発生をも防止し、以て製品耐久性の向上に好適な半導電性ロールを提供することにある。
【0010】
【解決手段】
そして、上記の課題を解決するため、本発明にあっては、導電性軸体の外周面上に、導電性弾性体若しくは導電性発泡体からなる基層を所定厚さで設け、更に該基層の外周面上に、所定の抵抗調整層を設けてなる半導電性ロールにおいて、該抵抗調整層の外周面上に、ショアー硬さ(D形)が65°以下の、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの三元共重合体からなるフッ素樹脂を用い、これに導電性フィラーが配合されてなる樹脂組成物にて、所定厚さの保護層を形成せしめたことを特徴とする半導電性ロールを、その要旨とするものである。
【0011】
なお、かかる本発明に従う半導電性ロールの望ましい態様によれば、前記フッ素樹脂としては、架橋剤にて架橋されたフッ素樹脂が用いられることとなる。更に、本発明にあっては、必要に応じて、前記保護層を形成する樹脂組成物には、帯電防止剤が配合されることとなる。更にまた、本発明の一つの有利な態様によれば、前記基層と前記抵抗調整層との間に、軟化剤移行防止層が設けられることとなる。
【0012】
加えて、本発明にあっては、導電性軸体の外周面上に、弾性体若しくは発泡体からなる基層を所定厚さで設け、更に該基層の外周面上に、導電性の軟化剤移行防止層を設け、且つ該軟化剤移行防止層を前記導電性軸体に電気的に接続せしめると共に、該軟化剤移行防止層の外周面上に、所定の抵抗調整層を設けてなる半導電性ロールにおいて、該抵抗調整層の外周面上に、ショアー硬さ(D形)が65°以下の、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの三元共重合体からなるフッ素樹脂を用い、これに導電性フィラーを配合してなる樹脂組成物にて、所定厚さの保護層を形成せしめたことを特徴とする半導電性ロールをも、その要旨とするものである。
【0013】
【作用・効果】
このように、本発明に従う半導電性ロールにあっては、所定の導電性軸体の外周面上に、導電性弾性体若しくは導電性発泡体からなる基層が設けられ、更にその上に抵抗調整層、保護層が順次設けられた構成を有するものであって、そこでは、導電性弾性体若しくは導電性発泡体からなる基層によって、低硬度乃至は柔軟性と良好な導電性が付与されているのであり、また抵抗調整層によって、優れた耐電圧性(耐リーク性)が具備せしめられている。
【0014】
そして、かかる抵抗調整層の上には、ショアー硬さ(D形)が65°以下の所定のフッ素樹脂を用い、これに導電性フィラーを配合してなる樹脂組成物にて、保護層が形成せしめられているところから、そのようなフッ素樹脂の疎水性に基づいて、ロール内部からオイル等の軟化剤及び加硫促進剤、帯電防止剤等が抜け出し難くなり、ブリード現象及びブルーム現象が発生する等の問題が極めて効果的に改善され得ているのである。それに加えて、半導電性ロールが吸湿し難くなり、高温、高湿度の条件下での電気抵抗の低下が防止されるので、電気抵抗の環境依存性も効果的に改善され得るのである。また、高温、高湿度の条件で保護層が剥離する様な問題も、大幅に改善されるのである。
【0015】
しかも、このように、保護層を構成するフッ素樹脂の硬さが、ショアー硬さ(D形)で65°以下とされていることから、トナー凝集塊等の硬い粗大粒子が半導電性ロールと感光体との間に入り込んだ場合においても、半導電性ロール表面の局所的変形により、換言すれば前記保護層が凹凸変形することにより、感光体に作用する押圧力が充分に緩和されることとなり、感光体の表面に傷が付くという問題、延いては画像上に黒スジが発生するという問題が有利に回避せしめられ得るのである。
【0016】
更にまた、かかる保護層を与えるフッ素樹脂は、タックが小さく、離型性に優れるため、トナーや紙粉の付着が少なくなり、トナー付着による使用時の画像信頼性が大幅に向上せしめられ得るのであり、場合によっては、ロールのクリーニング機構をなくすことも可能となるのである。
【0017】
なお、かかる保護層を形成するフッ素樹脂が架橋剤にて架橋される場合には、保護層の外周面に亀裂が生じ難くなるという利点がある。また、保護層を形成するフッ素樹脂組成物に、帯電防止剤が配合されている場合には、半導電性ロールにおける電気抵抗のバラツキを効果的に抑制することができるのである。更に、保護層を形成する基層と抵抗調整層との間に、軟化剤移行防止層が設けられている場合には、基層からのオイル等の軟化剤のブリード現象が、有利に防止され得るのである。
【0018】
さらに、本発明に従う半導電性ロールにおいて、軟化剤移行防止層を導電性軸体に電気的に接続する構成を採用することにより、基層を形成する弾性体若しくは発泡体として、絶縁性のものを用いることが可能となる。そして、これにより、基層の導電化のために金属粉末、カーボンブラック、カーボン繊維等の導電性フィラーが添加せしめられる必要がないところから、弾性体若しくは発泡体の硬度の上昇が有利に抑制され得て、より効果的に半導電性ロールの低硬度化が図られ得ることとなるのである。
【0019】
【具体的構成】
ところで、図1には、本発明に従う半導電性ロールの一例が示されている。この半導電性ロールは、金属製の導電性軸体(芯金)10の外周面上に、順次、基層12、抵抗調整層14、保護層16が所定厚さで積層形成されて、構成されている。
【0020】
より具体的には、基層12は、導電性弾性体若しくは導電性発泡体にて形成されている。そして、そのような導電性弾性体を与える弾性体材料としては、通常、従来から公知のEPDM、SBR、NR、ポリノルボルネンゴム等のゴム材料が用いられる。また、導電性発泡体を与える発泡体材料としては、ヘタリ等を防止して、半導電性ロールに求められる特性を満たすものであれば、その材質は特に限定されず、ゴム発泡体や樹脂発泡体を与える公知の各種発泡材料の何れもが用いられ得るのである。そして、そのような弾性体材料若しくは発泡体材料に、導電性フィラーとして、金属粉、カーボンブラック、カーボン繊維等の導電性粉体や導電性繊維が配合されて、体積抵抗率が103 Ωcm以下に調整されると共に、プロセスオイル、液状ポリマー等の軟化剤が多量に配合されて、硬度が30°(Hs:JIS A)程度の基層12を与えるように調整された状態で用いられる。それによって、半導電性ロールに、低硬度乃至は柔軟性と導電性とが付与せしめられているのである。
【0021】
また、前記抵抗調整層14も、従来から用いられている材料にて形成される。例えば、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体ゴム等に、イオン導電剤や帯電防止剤等が配合されて、体積抵抗率が105 〜109 Ωcm、好ましくは107 Ωcm程度に調整された材料が使用される。なお、イオン導電剤としては、トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩、または過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウム等の構造電荷特異性陰イオン等の中から適宜選択され、重量基準で、0.05%〜3.5%の割合で、好ましくは0.1%〜2.5%の割合で用いられることとなる。更に、通常、かかる材料は、所定の溶剤に溶解されて、コーティング液として調製される。このような材料を用いることにより、半導電性ロールの電気抵抗を制御して、耐電圧性(耐リーク性)を高めることができる。
【0022】
そして、抵抗調製層14の上に設けられる保護層16は、フッ素樹脂を用いて形成されることとなるが、そのようなフッ素樹脂は、ショアー硬さ(D形)が65°以下のものでなければならない。何故なら、そのような硬度を示すフッ素樹脂に導電性フィラーを所定の割合で配合せしめた導電性材料を用いて、保護層16を形成して初めて、本発明の目的が有利に達成され得るからである。なお、そのようなフッ素樹脂としては、溶剤可溶性のフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体の中より、その組成や重合度等に従って、ショアー硬さ(D形)が65°以下となったものが選択され、用いられることとなるのである。
【0023】
また、本発明においては、かかるフッ素樹脂を架橋剤にて架橋せしめてなるものを用いて、保護層16を形成することも、有利に採用され、これによって保護層16の膜強度が効果的に高められ得て、保護層16の表面に亀裂が生じ難くなるのである。このようなフッ素樹脂を架橋せしめる架橋剤としては、従来より公知のものが適宜選択されて用いられることとなるが、好ましくはヘキサメチレンジアミンカルバメート、N,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、4,4′−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメート、ヘキサメチレンジアミン等のアミン系架橋剤が用いられる。
【0024】
さらに、かかる特定硬度のフッ素樹脂に配合せしめられる導電性フィラーとしては、金属粉、カーボンブラック、カーボン繊維等の導電性粉末や導電性繊維を始めとして、公知の各種のものが使用され得るが、好ましくはマグネタイト等の酸化鉄系フィラーまたはチタンブラック等の酸化チタン系フィラーが有利に用いられることとなる。何故なら、それらの導電性フィラーは、カーボンブラック、グラファイト等に比して、体積抵抗率が高く、導電性が比較的低いものであるところから、導電性材料の体積抵抗率を制御しやすいといった利点を有しており、以てかかる導電性フィラーを配合した導電性材料を用いて、保護層16を形成する場合には、半導電性ロールの電気抵抗のバラツキを効果的に低減させることが出来るからである。
【0025】
なお、このような導電性フィラーを、フッ素樹脂に対して所定の割合で配合することによって、保護層形成用の導電性材料が得られるのであるが、そのようなフッ素樹脂に対する導電性フィラーの配合割合は、保護層16の体積抵抗率が107 〜1010Ωcm程度となるように、適宜に決定されるものであって、通常、使用する導電性フィラーの体積抵抗率にもよるが、3〜20容量%程度とされるのである。また、そのような保護層形成用材料は、一般に、メチルエチルケトンやアセトン等の所定の溶剤に溶解せしめられて、コーティング液として調製されることとなる。
【0026】
また、本発明においては、かかる保護層形成用の導電性材料に対して、望ましくは、帯電防止剤が配合されて、形成される保護層16内に含有せしめられることとなる。何故なら、それによって、半導電性ロールにおける電気抵抗のバラツキが効果的に低減されるからである。なお、この配合せしめられる帯電防止剤として、具体的には、テトラアルキルアンモニウム塩、リン酸エステル、脂肪族アルコールサルフェート塩、脂肪族多価アルコール、BN錯体等がある。また、その配合量は、通常、フッ素樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部程度とされる。
【0027】
ところで、図1に示される半導電性ロールを作製するに際しては、上述した各形成材料を用いて、先ず、金型成形等の公知の成形手法によって、軸体10の外周面上に導電性弾性体若しくは導電性発泡体にて構成される基層12を形成し、その後、該基層12の外周面上に、ディッピング等の公知のコーティング手法により、抵抗調整層14、保護層16をそれぞれ所定厚さにおいて順次積層形成するのであり、これによって目的とする半導電性ロールが得られるのである。
【0028】
なお、かかる半導電性ロールの各層の厚みは、半導電性ロールの用途により、適宜に決定されるところであるが、通常、基層12は2〜10mm程度の厚さで形成される。また、抵抗調整層14は50〜300μm程度の厚さで、更に保護層16は3〜50μm程度の厚さで、形成されることとなる。そして、例えば、帯電ロールとして具体化する場合には、基層12は3mm程度の厚さで、抵抗調整層14は160μm程度の厚さで、保護層16は10μm程度の厚さで、それぞれ形成されるのである。
【0029】
このような構成を有する半導電性ロールにあっては、軸体10上に、基層12−抵抗調整層14−保護層16が順次設けられた構成により、該基層12にて低硬度乃至は柔軟性と良好な導電性とが付与されており、且つ抵抗調整層14にて優れた耐電圧性(耐リーク性)を備えているのである。そして、保護層16がフッ素樹脂をベース樹脂とするところから、半導電性ロール内部からロール表面への軟化剤及びフィラーの移行が抑制され、ブリード現象及びブルーム現象が発生する等の問題が極めて効果的に改善されることとなるのである。更に、保護層16が疎水性のフッ素樹脂を用いて形成されていることにより、かかる半導電性ロールの吸湿が抑制されて、吸湿に伴う電気抵抗の変化が抑えられるところから、電気抵抗の環境依存性が効果的に改善され得るのである。
【0030】
加えて、ショアー硬さ(D形)が65°以下のフッ素樹脂を用いて、保護層16が形成されていることにより、感光体と半導電性ロールとの間にトナー凝集塊等の硬い粗大粒子が入り込んでも、そのような半導電性ロールの保護層16の凹凸変形に基づく局所的な吸収作用にて、感光体の表面が傷つけられることも無くなり、画像上の黒スジの発生が効果的に抑制される特徴を有しているのである。更には、かかる保護層16を与えるフッ素樹脂は、タックが小さく、離型性に優れるため、トナーや紙粉の付着が少なくなると共に、半導電性ロールの感光体に対する固着が良好に防止され得ることとなるのであり、また該保護層16が抵抗調整層14の外周面上に設けられていることによって、半導電性ロールの耐電圧性が良好に維持されている特徴も有しているのである。
【0031】
また、図2には、図1の半導電性ロールにおいて、基層12と抵抗調整層14との間に、軟化剤移行防止層18が設けられた具体例が示されている。この軟化剤移行防止層18の形成材料には、従来と同様のものが使用され、例えば、N−メトキシメチル化ナイロン等のナイロン系の材料にカーボンブラックや金属粉等の電子導電剤が配合されて、その体積抵抗率が10〜105 Ωcm、望ましくは102 Ωcm程度に調整された材料が使用される。また、軟化剤移行防止層18の厚さは、通常、3〜20μm程度とされ、例えば、帯電ロールでは、10μm程度の厚さで形成されることとなる。
【0032】
このような構成を有する半導電性ロールにあっても、上述した各種の効果が悉く得られるのであり、更に、軟化剤移行防止層18の存在によって、基層12からのオイル等の軟化剤のブリード現象を、より効果的に防止することができるのである。
【0033】
更にまた、図3には、図2と同様に軟化剤移行防止層18が設けられている半導電性ロールにおいて、軟化剤移行防止層18が、ロール軸方向の両端部において軸体10に向かって延びる接続部20、20を有し、この接続部20、20にて、導電性軸体10に電気的に接続せしめられた具体例が示されている。このような構成の半導電性ロールにあっては、前記した如き効果を有しているだけでなく、軟化剤移行防止層18と導電性軸体10とが導通しているところから、基層22が絶縁性とされても、何等差し支えないのである。即ち、基層22には、電子導電剤であるカーボンブラックやカーボン繊維等が添加配合せしめられる必要がないため、前記弾性体若しくは発泡体の硬度の上昇が効果的に抑制せしめられることとなる。
【0034】
なお、軟化剤移行防止層18と導電性軸体10との電気的な接続手段は、図3においては、軟化剤移行防止層18と一体的に形成した接続部20、20にて構成されているが、このような一体的なものに限定されるわけではなく、それらが電気的に導通され得るものであれば、別部材として形成されていても、何等差し支えないのである。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の幾つかの実施例を示すこととするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0036】
先ず、供試ロールの作製のために、基層形成材料、軟化剤移行防止層形成材料、及び抵抗調整層形成材料を、次に示す配合に従って、調製した。即ち、基層形成材料は、ポリノルボルネンの100重量部に対して、ケッチェンブラックの50重量部とナフテン系オイルの400重量部を配合せしめることにより、また軟化剤移行防止層形成材料は、N−メトキシメチル化ナイロンの100重量部に対して、カーボンブラックの15重量部を配合することにより、それぞれ調製した。更に、抵抗調整層形成材料は、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体の100重量部に対して、過塩素酸塩(トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート)の0.1〜2.5重量部を配合することにより、調製した。そして、軟化剤移行防止層形成材料及び抵抗調整層形成材料については、メチルエチルケトンに溶解して、それぞれ、所定粘度のコーティング液に調製した。
【0037】
次いで、上記の各形成材料を用いて、先ず、金型成形により、芯金(直径:8mm)の外周面上に4mm厚さの導電性弾性体層としての基層を形成した後、ディッピング手法により、厚さ5μmの軟化剤移行防止層を形成し、更に同じくディッピング手法により、厚さ160μmの抵抗調整層を形成して、供試ロールを作製した。
【0038】
その後、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン(TFE−HFP−VdF)共重合体の100重量部に対して、チタンブラックの50重量部を配合せしめることにより、保護層形成材料を調製した。また、そのような保護層形成材料に、アミン系架橋剤としてN,N′−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンの15重量部を添加せしめたものも、調製した。そして、これらの配合材料をメチルエチルケトンに溶解して、保護層形成用のコーティング液を調製した。そして、このコーティング液を用いて、前記供試ロールの外周面上(抵抗調整層の外周面上)に、厚さ10μmの保護層を形成し、目的とする半導電性ロールを得た。
【0039】
一方、上記と同様にして、比較のための保護層を形成した。なお、保護層形成材料としては、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン(VdF−TFE)共重合体の100重量部にチタンブラック50重量部を配合したもの、及びN−メトキシメチル化ナイロンの100重量部にカーボンブラック・金属酸化物の70重量部とクエン酸の2重量部を配合せしめたものを用いた。そして、それらの配合材料を、前記と同様にして、前記供試ロールにコーティングせしめて所定の保護層を形成し、目的とする半導電性ロールを得た。
【0040】
かくして得られた半導電性ロールのそれぞれについて、その保護層を与えるポリマー硬度(ショアーD硬度)及びポリマー強度を測定し、その結果を、下記表1に示した。また、各半導電性ロールを帯電ロールとして、実機に取り付け、製品耐久性の試験を行なった。なお、評価方法としては、6万枚の印刷を行ない、画像上の黒スジ、白抜けの発生及び半導電性ロール表面の状態について調べた。6万枚まで良好であったものを○、やや良いものを△、不良であったものを×として、下記表1に併せ示した。なお、表中の括弧内の数字は、不具合が発生した時点における印刷枚数を示している。更に、各半導電性ロールを40℃×90%RHの高温・高湿度の条件下に放置した後に、その表面の状態を観察し、またそれを実機に装着して、画像の状態を調べた。結果は、良好であったものを○、ロール表面に滲み出しはしているが、画像としては実用範囲内であったものを△、不良であったものを×として、表1に併せ示した。そして、それらの総合評価を、下記表1の最下段に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
かかる表1の結果より明らかなように、保護層が本発明に従うフッ素樹脂で形成されている実施例1〜3の半導電性ロールにあっては、白抜けの発生がなく、優れた製品耐久性を有しており、また高温、高湿度の条件下に30日間放置した場合でも、ブリード現象やブルーム現象の発生は、効果的に抑制されていることが理解され、更には、保護層を与えるフッ素樹脂のショアー硬さ(D形)が65°以下とされているそれら実施例では、画像上の黒スジの発生も有利に抑制されていることが確認された。
【0043】
これに対して、比較例では、白抜け現象により製品耐久性が悪くなるという問題を解決すると、ブリード現象やブルーム現象が惹起され、これを抑制すると、却って黒スジ現象が発生して製品耐久性が悪くなる等の問題を生じるのであり、何れにしても長期使用における製品耐久性が不良であるという問題を内在していることが理解されるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う半導電性ロールの一例を示す横断面説明図である。
【図2】本発明に従う半導電性ロールの異なる例を示す横断面説明図である。
【図3】本発明に従う半導電性ロールの更に異なる例を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
10 導電性軸体 12、22 基層
14 抵抗調整層 16 保護層
18 軟化剤移行防止層 20 接続部
Claims (5)
- 導電性軸体の外周面上に、導電性弾性体若しくは導電性発泡体からなる基層を所定厚さで設け、更に該基層の外周面上に、所定の抵抗調整層を設けてなる半導電性ロールにおいて、
該抵抗調整層の外周面上に、ショアー硬さ(D形)が65°以下の、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの三元共重合体からなるフッ素樹脂を用い、これに導電性フィラーを配合してなる樹脂組成物にて、所定厚さの保護層を形成せしめたことを特徴とする半導電性ロール。 - 前記保護層が、架橋剤にて架橋されたフッ素樹脂にて構成されている請求項1に記載の半導電性ロール。
- 前記保護層を形成する樹脂組成物に、帯電防止剤が配合されている請求項1または請求項2に記載の半導電性ロール。
- 前記基層と前記抵抗調整層との間に、軟化剤移行防止層が設けられている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の半導電性ロール。
- 導電性軸体の外周面上に、弾性体若しくは発泡体からなる基層を所定厚さで設け、更に該基層の外周面上に、導電性の軟化剤移行防止層を設け、且つ該軟化剤移行防止層を前記導電性軸体に電気的に接続せしめると共に、該軟化剤移行防止層の外周面上に、所定の抵抗調整層を設けてなる半導電性ロールにおいて、
該抵抗調整層の外周面上に、ショアー硬さ(D形)が65°以下の、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとフッ化ビニリデンの三元共重合体からなるフッ素樹脂を用い、これに導電性フィラーを配合してなる樹脂組成物にて、所定厚さの保護層を形成せしめたことを特徴とする半導電性ロール。
Priority Applications (1)
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- 1994-03-31 JP JP6311494A patent/JP3661197B2/ja not_active Expired - Lifetime
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