JP3659994B2 - 坂道発進補助装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動車に利用する。本発明はブレーキ状態を保持する装置の改良に関する。本発明は、車両が坂道に停車した状態から発進する場合に、運転者がブレーキペダルから足を離しても自動的にブレーキが保持され、クラッチペダルが設定された解除点を越えたときに、自動的にブレーキを解放させる装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
坂道路上に停止した自動車を発進させるときには、運転者はいったんパーキング・ブレーキを引いて車両に制動力を与え、変速ギヤを発進ギヤに選択し、クラッチを緩やかにつなぎながらアクセル・ペダルを踏み込みエンジンの出力を大きくするとともに、パーキング・ブレーキを緩めるという複雑な操作を行うことが必要である。このような操作は自動車の運転操作では基本事項であるが、トラックやバスなどでは積載荷重によってその操作が大きく異なるなど、エンストあるいは車両後退を起こしやすい。
【0003】
このような運転操作を補助するための装置として、特開昭60−11719号公報、あるいは特開平4−244462号公報などに開示された坂道発進補助装置が知られている。
【0004】
従来の坂道発進補助装置は、ブレーキ圧力が一定値を越えて車速が零になったとき、すなわち車両が走行状態を経て停車したときに、運転者がブレーキ・ペダルから足を離しても自動的にブレーキ圧力を保持するように構成されている。この状態で、運転者が変速レバーを発進ギヤ(具体例では、ロー・ギヤ、セカンド・ギヤである)に設定し、クラッチを繋ぎ、アクセル・ペダルを踏み込んだときに、装置がそれを自動的に検出して、最も適切なタイミングで自動的にそのブレーキ圧力を解放するように構成されている。このような坂道発進補助装置を装備した車両では、運転者はパーキング・ブレーキの操作を伴うことなく坂道発進操作を行うことができる。
【0005】
車両の走行方向に勾配がない場合でも、走行状態から停車したときにブレーキ圧力を保持するように構成しておくと、信号待ちなどの停車時にもブレーキ圧力が自動的に保持されて便利な場合があり、そのようにも利用されている。
【0006】
実用に供されている坂道発進補助装置は、ブレーキ圧力が自動的に保持された後に、クラッチがいったん深く踏まれてから設定された解除点を通過するときにブレーキ圧力を解放するが、その解除点の設定は運転者の操作により変更することができるようになっている。すなわち、この解除点の最適位置はクラッチの摩耗状態によって変わるものであるし、運転者の好みにより変わることもあるし、さらに、積荷の重量によっても変わることもある。
【0007】
具体的な例では、運転席に坂道発進補助装置の操作表示パネルが設けられ、クラッチ操作をしながらその操作表示パネルの表示をみて、その操作表示パネルに設けた操作ボタンを操作することにより、わずかずつその解除点を変更することができるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような装置では、あらゆる運転者がその解除点の設定を適切に行うとは限らないし、操作が繁雑である。この解除点の設定を正確に行うには、車両をいったん適当な坂道に停車させることなどが必要であり、実際に積荷を積載した状態で運行中にはこのような解除点の設定変更の操作を行う適当な場所は見つけられない。したがって、解除点の位置が違っていることに気付くと、坂道発進補助装置の動作そのものを停止させて運転することになる。また、解除点を変更するとしても適当に1ステップだけ変更してみるなどの操作が行われ、現実にはその1ステップだけ変更する方向を間違える場合もある。
【0009】
本発明は、このような背景に行われたものであって、解除点を自動的にかつ最適に設定することができる装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブレーキ保持動作を解除するクラッチストロークの解除点を自動的かつ最適に設定することを特徴とする。
【0011】
すなわち、車両が停止状態であり、パーキングブレーキが解除されたときにブレーキ圧を保持し、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に設定された解除点を越えて接続されたことを条件に前記ブレーキ圧を解放させる制御手段を備えた坂道発進補助装置において、前記制御手段に前記解除点の設定変更のための自動設定モードを設け、前記制御手段は、この自動設定モードでは、車両が停止状態であり、パーキングブレーキが解除され、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に接続方向に操作されているときに内燃機関の回転速度が設定された所定値pだけ低下した点を基準にクラッチが開放される方向に設定された距離αだけ移動した位置を解除点として自動的に解除点を設定する手段を備えたことを特徴とする。前記所定値pは30ないし100rpmに設定され、αはペダルのストロークで5ないし10mmに設定されることが望ましい。
【0012】
【作用】
本発明は、実用的な車両について繰り返し試験を行った結果から得られたものであって、クラッチペダルを緩やかに抜きながら、クラッチが接続しはじめ内燃機関の回転速度がわずかに低下したことが検出されたときに、そのときのクラッチストロークよりわずかにクラッチの切断側に設定することが、クラッチの摩耗を少なくするとともに、円滑な坂道発進を行うことができる最適点であることを認識したものである。
【0013】
このような自動設定は多くの試験を行った運転者には評判がよかった。一部の運転者はこれは適当でないとの評価であったが、このような自動設定を行った後に、坂道発進を行うときに車両が逆進するような現象が発生すると、運転者は当然にブレーキ圧力の解除点を手動操作により変更するであろうから、最初の解除点の設定を本発明のように行うことには実用上の問題はない。
【0014】
【実施例】
次に、本発明実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明実施例の要部の構成を示すブロック図である。本発明実施例は、クラッチ油圧スイッチ1と、ストップランプ・スイッチ2と、クラッチ・センサ3と、パーキングブレーキ・スイッチ4と、回転センサ(車速センサ)5と、変速レバーのニュートラルを示すニュートラル・スイッチ6と、勾配センサ7とを備え、ブレーキ・ペダル11が解放されても制御信号にしたがって一時的にブレーキ圧力を保持する制御弁9と、前記各センサの出力を入力とし前記制御信号を制御弁9に送出するプログラム制御回路10とを備え、このプログラム制御回路10には、ストップランプ・スイッチ2の出力が制動状態を示し車速が零であるときに、制御弁9に対してブレーキ圧力を保持させるための制御信号を送出する手段と、この手段によりブレーキ圧力が保持された状態で、前進発進位置もしくは後退位置を示し、クラッチ・センサ3が所定のストロークを検出したときに、ブレーキ圧力を解除するための制御信号を送出する手段とが備えられる。
【0015】
また、プログラム制御回路10に操作入力を行うコントロールユニット20と、プログラム制御回路10からの警報出力にしたがって警報を発生する警報装置25とが備えられ、コントロールユニット20には、本装置への電源供給の開閉を行うメインスイッチ21と、操作入力時の数字を表示するデシマル・ポイント26付きの7セグメント表示器22と、解除点を調整するときに操作される解除点調整スイッチ23と、初期調整時に操作される初期調整スイッチ24とが設けられ、警報装置25には、音響により警報を発生する警報ブザー25aと、点灯することにより警報を発生する警報ランプ25bとが設けられる。
【0016】
さらに、本発明の特徴として、プログラム制御回路10に、解除点の自動設定モードが備えられ、この自動設定モードでは、車速センサの出力が実質的に零であり、パーキングブレーキが解除され、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に接続方向に操作されているときに内燃機関の回転速度が所定値pだけ低下した点を基準にクラッチが開放される方向に距離αだけ移動した位置を解除点として設定する手段が備えられる。前記所定値pは30ないし100rpmに設定され、αはペダルのストロークで5ないし10mmに設定される。
【0017】
次に、このように構成された本発明実施例の動作について説明する。図2は本発明実施例の解除点自動設定モードにおける制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0018】
プログラム制御回路10は回転センサ(車速センサ)5の検出出力を取込み、車速が実質的に零であれば、パーキングブレーキ・スイッチ4がオフ状態にあるか否かを確認し、オフ状態にあればパーキングブレーキが解除されているものとして装置の故障の有無を確認する。故障状態にあれば警報装置25に警報信号を送出し、警報ブザー25aから警報音を発生させるとともに、警報ランプ25bを点灯させて故障状態にあることを通報する。
【0019】
異常がなければニュートラル・スイッチ6がオフ状態にあるか否かを確認し、オフ状態にあれば変速機が発進ギヤ(後退ギヤも含む)に投入された状態にあるので、クラッチ・センサ3からの検出出力を取込み、クラッチがいったん切断されたか否かを確認する。クラッチがいったん切断された後であれば、クラッチが接続方向に操作されたか否かを確認し、接続方向に操作されているときには、図3に示すように、内燃機関の回転速度が所定値p(この例ではp=50rpm)低下した距離Aの位置を基準点としてクラッチが開放される方向に距離α(5ないし10mm)だけ移動した位置を解除点として設定する。
【0020】
このように、クラッチが接続しはじめて内燃機関の回転速度がわずかに低下したことを検出したときに、そのときのクラッチストロークよりわずかに切断側よりに解除点を設定することにより、クラッチのひきずりを少なくすることができるので、クラッチの摩耗を少なくするとともに、円滑な坂道発進を行うに最適な解除点を自動的に得ることができる。
【0021】
ここで、本発明実施例における坂道発進補助装置によって行われるブレーキ保持動作およびブレーキ解除動作について説明する。図4は本発明実施例におけるブレーキ保持動作の流れを示すフローチャート、図5は本発明実施例におけるブレーキ解除動作の流れを示すフローチャートである。
【0022】
まず、ブレーキ保持動作は、図4に示すように、プログラム制御回路10がストップランプ・スイッチ2からの出力を取り込み、ブレーキが踏まれたか否かを判定する。ブレーキが踏まれていなければ制動により停車した状態ではないので制御弁9への制御信号の送出を禁止して坂道発進の補助動作を停止する。ブレーキが踏まれている場合は回転センサ5からの出力を取り込み車速が零であるか否かを判定する。車速が零でなければ車両は走行しているので、制御弁9への制御信号の送出を禁止し坂道発進の補助動作を停止する。
【0023】
車速が零である場合は勾配センサ7からの出力を取り込み、現在の勾配センサ7の出力が設定された所定値Sを越えているか否かを判定する。勾配センサ7の出力が所定値Sを越えている場合は、車両が動いているものとして、制御弁9への制御信号の送出を禁止し補助動作を停止する。所定値Sを越えていなければ車両が停止しているものとして制御弁9に制御信号を送出し、制御弁9を駆動してブレーキ・バルブ12を動作させ坂道発進の補助動作を実行する。
【0024】
次に、ブレーキ解除動作について説明する。車両が坂道でブレーキ保持状態にあるときにクラッチ・センサ3およびニュートラル・スイッチ6からの出力を取り込みクラッチが踏み込まれてギヤが前進発進位置(ローまたはセカンド)あるいは後退の位置に設定されたか否かを判定する。
【0025】
クラッチが踏み込まれギヤが発進状態に設定された場合には、クラッチ・センサ3の出力からあらかじめ設定された所定ストローク以下になったか否かを判定する。所定ストローク以下になったときには発進が行われるものとして、制御弁9への制御信号の送出を禁止しブレーキを解除する。ギヤが発進状態に設定されていなく、もしくはクラッチの踏み込み量が所定ストローク以上である場合は、制御弁9への制御信号の送出を継続しブレーキ保持状態を維持する。
【0026】
ブレーキの解除位置(クラッチペダルの踏み込みストロークの値)設定は、運転者による好みおよびクラッチの摩耗による変化に適応し任意に行うことができる。設定されたクラッチペダルの踏み込みストロークの値は再設定されるまで保持される。クラッチペダルの踏み込みストロークがその設定された基準値を越えていれば発進補助動作を継続する。メインスイッチ21をオフ状態にすると装置への電源供給が停止され発進補助動作は行われない。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ブレーキ保持動作を解除するクラッチストロークの解除点を自動的にかつ最適に設定することができるので、発進時におけるクラッチのひきずりをなくすことができ、クラッチを不用意に摩耗させることを防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の要部の構成を示すブロック図。
【図2】本発明実施例の解除点設定モードにおける制御動作の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明実施例における解除点の変更を説明する図。
【図4】本発明実施例におけるブレーキ保持動作の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明実施例におけるブレーキ解除動作の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 クラッチ油圧スイッチ
2 ストップランプ・スイッチ
3 クラッチ・センサ
4 パーキングブレーキ・スイッチ
5 回転センサ
6 ニュートラル・スイッチ
7 勾配センサ
9 制御弁
10 プログラム制御回路
11 ブレーキ・ペダル
12 ブレーキ・バルブ
20 コントロールユニット
21 メインスイッチ
22 7セグメント表示器
23 解除点調整スイッチ
24 初期調整スイッチ
25 警報装置
25a 警報ブザー
25b 警報ランプ
26 デシマル・ポイント
【産業上の利用分野】
本発明は自動車に利用する。本発明はブレーキ状態を保持する装置の改良に関する。本発明は、車両が坂道に停車した状態から発進する場合に、運転者がブレーキペダルから足を離しても自動的にブレーキが保持され、クラッチペダルが設定された解除点を越えたときに、自動的にブレーキを解放させる装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
坂道路上に停止した自動車を発進させるときには、運転者はいったんパーキング・ブレーキを引いて車両に制動力を与え、変速ギヤを発進ギヤに選択し、クラッチを緩やかにつなぎながらアクセル・ペダルを踏み込みエンジンの出力を大きくするとともに、パーキング・ブレーキを緩めるという複雑な操作を行うことが必要である。このような操作は自動車の運転操作では基本事項であるが、トラックやバスなどでは積載荷重によってその操作が大きく異なるなど、エンストあるいは車両後退を起こしやすい。
【0003】
このような運転操作を補助するための装置として、特開昭60−11719号公報、あるいは特開平4−244462号公報などに開示された坂道発進補助装置が知られている。
【0004】
従来の坂道発進補助装置は、ブレーキ圧力が一定値を越えて車速が零になったとき、すなわち車両が走行状態を経て停車したときに、運転者がブレーキ・ペダルから足を離しても自動的にブレーキ圧力を保持するように構成されている。この状態で、運転者が変速レバーを発進ギヤ(具体例では、ロー・ギヤ、セカンド・ギヤである)に設定し、クラッチを繋ぎ、アクセル・ペダルを踏み込んだときに、装置がそれを自動的に検出して、最も適切なタイミングで自動的にそのブレーキ圧力を解放するように構成されている。このような坂道発進補助装置を装備した車両では、運転者はパーキング・ブレーキの操作を伴うことなく坂道発進操作を行うことができる。
【0005】
車両の走行方向に勾配がない場合でも、走行状態から停車したときにブレーキ圧力を保持するように構成しておくと、信号待ちなどの停車時にもブレーキ圧力が自動的に保持されて便利な場合があり、そのようにも利用されている。
【0006】
実用に供されている坂道発進補助装置は、ブレーキ圧力が自動的に保持された後に、クラッチがいったん深く踏まれてから設定された解除点を通過するときにブレーキ圧力を解放するが、その解除点の設定は運転者の操作により変更することができるようになっている。すなわち、この解除点の最適位置はクラッチの摩耗状態によって変わるものであるし、運転者の好みにより変わることもあるし、さらに、積荷の重量によっても変わることもある。
【0007】
具体的な例では、運転席に坂道発進補助装置の操作表示パネルが設けられ、クラッチ操作をしながらその操作表示パネルの表示をみて、その操作表示パネルに設けた操作ボタンを操作することにより、わずかずつその解除点を変更することができるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような装置では、あらゆる運転者がその解除点の設定を適切に行うとは限らないし、操作が繁雑である。この解除点の設定を正確に行うには、車両をいったん適当な坂道に停車させることなどが必要であり、実際に積荷を積載した状態で運行中にはこのような解除点の設定変更の操作を行う適当な場所は見つけられない。したがって、解除点の位置が違っていることに気付くと、坂道発進補助装置の動作そのものを停止させて運転することになる。また、解除点を変更するとしても適当に1ステップだけ変更してみるなどの操作が行われ、現実にはその1ステップだけ変更する方向を間違える場合もある。
【0009】
本発明は、このような背景に行われたものであって、解除点を自動的にかつ最適に設定することができる装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ブレーキ保持動作を解除するクラッチストロークの解除点を自動的かつ最適に設定することを特徴とする。
【0011】
すなわち、車両が停止状態であり、パーキングブレーキが解除されたときにブレーキ圧を保持し、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に設定された解除点を越えて接続されたことを条件に前記ブレーキ圧を解放させる制御手段を備えた坂道発進補助装置において、前記制御手段に前記解除点の設定変更のための自動設定モードを設け、前記制御手段は、この自動設定モードでは、車両が停止状態であり、パーキングブレーキが解除され、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に接続方向に操作されているときに内燃機関の回転速度が設定された所定値pだけ低下した点を基準にクラッチが開放される方向に設定された距離αだけ移動した位置を解除点として自動的に解除点を設定する手段を備えたことを特徴とする。前記所定値pは30ないし100rpmに設定され、αはペダルのストロークで5ないし10mmに設定されることが望ましい。
【0012】
【作用】
本発明は、実用的な車両について繰り返し試験を行った結果から得られたものであって、クラッチペダルを緩やかに抜きながら、クラッチが接続しはじめ内燃機関の回転速度がわずかに低下したことが検出されたときに、そのときのクラッチストロークよりわずかにクラッチの切断側に設定することが、クラッチの摩耗を少なくするとともに、円滑な坂道発進を行うことができる最適点であることを認識したものである。
【0013】
このような自動設定は多くの試験を行った運転者には評判がよかった。一部の運転者はこれは適当でないとの評価であったが、このような自動設定を行った後に、坂道発進を行うときに車両が逆進するような現象が発生すると、運転者は当然にブレーキ圧力の解除点を手動操作により変更するであろうから、最初の解除点の設定を本発明のように行うことには実用上の問題はない。
【0014】
【実施例】
次に、本発明実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明実施例の要部の構成を示すブロック図である。本発明実施例は、クラッチ油圧スイッチ1と、ストップランプ・スイッチ2と、クラッチ・センサ3と、パーキングブレーキ・スイッチ4と、回転センサ(車速センサ)5と、変速レバーのニュートラルを示すニュートラル・スイッチ6と、勾配センサ7とを備え、ブレーキ・ペダル11が解放されても制御信号にしたがって一時的にブレーキ圧力を保持する制御弁9と、前記各センサの出力を入力とし前記制御信号を制御弁9に送出するプログラム制御回路10とを備え、このプログラム制御回路10には、ストップランプ・スイッチ2の出力が制動状態を示し車速が零であるときに、制御弁9に対してブレーキ圧力を保持させるための制御信号を送出する手段と、この手段によりブレーキ圧力が保持された状態で、前進発進位置もしくは後退位置を示し、クラッチ・センサ3が所定のストロークを検出したときに、ブレーキ圧力を解除するための制御信号を送出する手段とが備えられる。
【0015】
また、プログラム制御回路10に操作入力を行うコントロールユニット20と、プログラム制御回路10からの警報出力にしたがって警報を発生する警報装置25とが備えられ、コントロールユニット20には、本装置への電源供給の開閉を行うメインスイッチ21と、操作入力時の数字を表示するデシマル・ポイント26付きの7セグメント表示器22と、解除点を調整するときに操作される解除点調整スイッチ23と、初期調整時に操作される初期調整スイッチ24とが設けられ、警報装置25には、音響により警報を発生する警報ブザー25aと、点灯することにより警報を発生する警報ランプ25bとが設けられる。
【0016】
さらに、本発明の特徴として、プログラム制御回路10に、解除点の自動設定モードが備えられ、この自動設定モードでは、車速センサの出力が実質的に零であり、パーキングブレーキが解除され、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に接続方向に操作されているときに内燃機関の回転速度が所定値pだけ低下した点を基準にクラッチが開放される方向に距離αだけ移動した位置を解除点として設定する手段が備えられる。前記所定値pは30ないし100rpmに設定され、αはペダルのストロークで5ないし10mmに設定される。
【0017】
次に、このように構成された本発明実施例の動作について説明する。図2は本発明実施例の解除点自動設定モードにおける制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0018】
プログラム制御回路10は回転センサ(車速センサ)5の検出出力を取込み、車速が実質的に零であれば、パーキングブレーキ・スイッチ4がオフ状態にあるか否かを確認し、オフ状態にあればパーキングブレーキが解除されているものとして装置の故障の有無を確認する。故障状態にあれば警報装置25に警報信号を送出し、警報ブザー25aから警報音を発生させるとともに、警報ランプ25bを点灯させて故障状態にあることを通報する。
【0019】
異常がなければニュートラル・スイッチ6がオフ状態にあるか否かを確認し、オフ状態にあれば変速機が発進ギヤ(後退ギヤも含む)に投入された状態にあるので、クラッチ・センサ3からの検出出力を取込み、クラッチがいったん切断されたか否かを確認する。クラッチがいったん切断された後であれば、クラッチが接続方向に操作されたか否かを確認し、接続方向に操作されているときには、図3に示すように、内燃機関の回転速度が所定値p(この例ではp=50rpm)低下した距離Aの位置を基準点としてクラッチが開放される方向に距離α(5ないし10mm)だけ移動した位置を解除点として設定する。
【0020】
このように、クラッチが接続しはじめて内燃機関の回転速度がわずかに低下したことを検出したときに、そのときのクラッチストロークよりわずかに切断側よりに解除点を設定することにより、クラッチのひきずりを少なくすることができるので、クラッチの摩耗を少なくするとともに、円滑な坂道発進を行うに最適な解除点を自動的に得ることができる。
【0021】
ここで、本発明実施例における坂道発進補助装置によって行われるブレーキ保持動作およびブレーキ解除動作について説明する。図4は本発明実施例におけるブレーキ保持動作の流れを示すフローチャート、図5は本発明実施例におけるブレーキ解除動作の流れを示すフローチャートである。
【0022】
まず、ブレーキ保持動作は、図4に示すように、プログラム制御回路10がストップランプ・スイッチ2からの出力を取り込み、ブレーキが踏まれたか否かを判定する。ブレーキが踏まれていなければ制動により停車した状態ではないので制御弁9への制御信号の送出を禁止して坂道発進の補助動作を停止する。ブレーキが踏まれている場合は回転センサ5からの出力を取り込み車速が零であるか否かを判定する。車速が零でなければ車両は走行しているので、制御弁9への制御信号の送出を禁止し坂道発進の補助動作を停止する。
【0023】
車速が零である場合は勾配センサ7からの出力を取り込み、現在の勾配センサ7の出力が設定された所定値Sを越えているか否かを判定する。勾配センサ7の出力が所定値Sを越えている場合は、車両が動いているものとして、制御弁9への制御信号の送出を禁止し補助動作を停止する。所定値Sを越えていなければ車両が停止しているものとして制御弁9に制御信号を送出し、制御弁9を駆動してブレーキ・バルブ12を動作させ坂道発進の補助動作を実行する。
【0024】
次に、ブレーキ解除動作について説明する。車両が坂道でブレーキ保持状態にあるときにクラッチ・センサ3およびニュートラル・スイッチ6からの出力を取り込みクラッチが踏み込まれてギヤが前進発進位置(ローまたはセカンド)あるいは後退の位置に設定されたか否かを判定する。
【0025】
クラッチが踏み込まれギヤが発進状態に設定された場合には、クラッチ・センサ3の出力からあらかじめ設定された所定ストローク以下になったか否かを判定する。所定ストローク以下になったときには発進が行われるものとして、制御弁9への制御信号の送出を禁止しブレーキを解除する。ギヤが発進状態に設定されていなく、もしくはクラッチの踏み込み量が所定ストローク以上である場合は、制御弁9への制御信号の送出を継続しブレーキ保持状態を維持する。
【0026】
ブレーキの解除位置(クラッチペダルの踏み込みストロークの値)設定は、運転者による好みおよびクラッチの摩耗による変化に適応し任意に行うことができる。設定されたクラッチペダルの踏み込みストロークの値は再設定されるまで保持される。クラッチペダルの踏み込みストロークがその設定された基準値を越えていれば発進補助動作を継続する。メインスイッチ21をオフ状態にすると装置への電源供給が停止され発進補助動作は行われない。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ブレーキ保持動作を解除するクラッチストロークの解除点を自動的にかつ最適に設定することができるので、発進時におけるクラッチのひきずりをなくすことができ、クラッチを不用意に摩耗させることを防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の要部の構成を示すブロック図。
【図2】本発明実施例の解除点設定モードにおける制御動作の流れを示すフローチャート。
【図3】本発明実施例における解除点の変更を説明する図。
【図4】本発明実施例におけるブレーキ保持動作の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明実施例におけるブレーキ解除動作の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 クラッチ油圧スイッチ
2 ストップランプ・スイッチ
3 クラッチ・センサ
4 パーキングブレーキ・スイッチ
5 回転センサ
6 ニュートラル・スイッチ
7 勾配センサ
9 制御弁
10 プログラム制御回路
11 ブレーキ・ペダル
12 ブレーキ・バルブ
20 コントロールユニット
21 メインスイッチ
22 7セグメント表示器
23 解除点調整スイッチ
24 初期調整スイッチ
25 警報装置
25a 警報ブザー
25b 警報ランプ
26 デシマル・ポイント
Claims (2)
- 車両が停止状態であり、パーキングブレーキが解除されたときにブレーキ圧を保持し、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に設定された解除点を越えて接続されたことを条件に前記ブレーキ圧を解放させる制御手段を備えた坂道発進補助装置において、
前記制御手段に前記解除点の設定変更のための自動設定モードを設け、
前記制御手段は、この自動設定モードでは、車両が停止状態であり、パーキングブレーキが解除され、変速機が発進ギヤに投入された状態にあり、クラッチがいったん切断された後に接続方向に操作されているときに内燃機関の回転速度が設定された所定値pだけ低下した点を基準にクラッチが開放される方向に設定された距離αだけ移動した位置を解除点として自動的に解除点を設定する手段を備えた
ことを特徴とする坂道発進補助装置。 - 前記所定値pは30ないし100rpmに設定され、前記距離αはペダルのストロークで5ないし10mmに設定された請求項1記載の坂道発進補助装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26985494A JP3659994B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 坂道発進補助装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26985494A JP3659994B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 坂道発進補助装置 |
Publications (2)
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JPH08133031A JPH08133031A (ja) | 1996-05-28 |
JP3659994B2 true JP3659994B2 (ja) | 2005-06-15 |
Family
ID=17478129
Family Applications (1)
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JP26985494A Expired - Fee Related JP3659994B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 坂道発進補助装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3659994B2 (ja) |
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