JP3659582B2 - 燃料循環式燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料循環式燃料電池システムに関する。より詳細には、燃料電池システムにおける水素の循環機構に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムにおいて燃料電池内での凝縮水を排出させるために水素および空気を燃料電池が消費する以上に供給しなければならない。水素は車載されたボンベ等の貯蔵設備から供給されるために、消費されなかった水素を大気中に放出すると水素の燃費を著しく悪化させる原因となる。そのために消費されなかった水素をポンプ等で循環させるシステムが考案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池で消費されなかった水素を再利用する方法には大きく2種類がある。
1種類目は、回転、摺動などを行う作動部により燃料を取り込み送り出す燃料ポンプを用いて水素の循環を行う方法である(以下、「燃料ポンプ方式」と言う)。しかし、この方法では、燃料ポンプが大型化してしまい、かつ燃料ポンプを稼動させるために多大な電力を消費し、燃料電池車の燃費を悪化させるという問題点があった。
また、燃料ポンプ方式では、高圧水素タンク内の水素の圧力を有効に利用できないという問題点があった。
【0004】
2種類目は、ジェットポンプの一種であるエゼクタを用いて水素の循環を行う方法である(以下、「エゼクタ方式」という)。この方法は、高圧水素タンクの圧力エネルギを利用して循環を行うために、燃料ポンプ方式のように電力を消費することがない。
しかし、エゼクタ方式では燃料電池で水素が消費されない限り循環が行われないために、燃料電池の出力が絞られた場合には水素の循環量が低下するという問題がある。さらにエゼクタでは流速を生むためのノズルが挿入されているために急激に燃料電池の出力が増加するとエゼクタのレスポンス遅れが生じて、循環量が目標値に達しないという問題点がある。
【0005】
エゼクタ方式の有する問題点について図20を用いて詳述する。図20は、エゼクタのみを用いた一般的な水素循環システムのブロック図である。
このシステムでは、高圧水素タンク101より供給された水素はレギュレータ102により調圧され、エゼクタ103より噴射され燃料電池スタック104に供給される。燃料電池スタック104には、前記のように凝縮水を排出するために過剰の水素が供給されており、燃料電池スタック104で消費されなかった水素は水素循環路106を経由してエゼクタ103に合流し、高圧水素タンク101より供給される水素とともにシステム内を循環する。
また、このシステムは、燃料電池スタック104の出力が増加するとともに、燃料電池スタック104に掛かる水素圧が増加するように構成されている。
【0006】
このシステムにおいて、燃料電池スタック104に対して、急加速指令がなされた場合、燃料電池スタック104では急激に多量の水素が消費されるために、燃料電池スタック104中の水素圧力が減少する。それに見合うだけの水素がエゼクタ103よりただちに供給されれば問題はないが、燃料電池スタック104中での圧力低下が水素流通路107を通じてエゼクタ103に到達するまでにはタイムラグがあり、エゼクタ103が燃料電池スタック104の圧力低下に反応するまでの時間に遅れが生じる。さらに、水素は、エゼクタの細く絞られたノズルを通過して供給されるために、燃料電池が要求する水素供給量となるまでに、所定の時間を要してしまう。
【0007】
この様子を図21(a)に示した。この図は、燃料電池スタック104に対して急加速命令がなされた時に、燃料電池スタック104が要求する水素供給量(破線)とエゼクタ103を通じた実際の水素供給量(実線)を示したものである。
この図によれば、急加速指令が発せられた後、燃料電池スタック104が要求する水素供給量は急増するが、実際にエゼクタ103より供給される水素量はそれに追いついておらず、水素欠乏状態(ヘジテーション)が発生する。ヘジテーションは燃料電池に対して電解膜の破損等のダメージを与え、最悪の場合燃料電池は破壊に至る。
【0008】
また、燃料電池スタック104に対して急減速指令が発せられた場合には、燃料電池スタック104に掛かる水素圧を所定値まで減少するような制御がなされなければならない。そのためには高圧水素タンク101から燃料電池スタック104への水素の供給を止め、燃料電池スタック104で水素を消費させるのであるが、水素の供給を止めると、エゼクタ103に水素が導入されないために、水素を循環させることができなくなるという問題点が発生する。水素が円滑に循環されないと、燃料電池スタック104中に凝縮水が蓄積することによりセル電圧が低下し、最悪の場合には燃料電池スタック104の破損につながる。
【0009】
この様子を図21(b)に示した。この図は、燃料電池スタックに対して急減速指令がなされた時に、燃料電池スタック104が要求する水素供給量(破線)とエゼクタ103を通じた実際の水素供給量(実線)を示したものである。
急減速指令がなされると、燃料電池スタック104は破線で示しただけの水素循環を必要とするが、実際には、エゼクタ103が停止してしまうため、水素の循環力が失われてしまい、系内に水素が滞留する状態となる。この状態においては、燃料電池スタック104で発生する凝縮水を除去することは不可能であり、燃料電池スタック104には凝縮水が蓄積していく。
さらに、燃料電池システムの状態は常に変化しているために、状況に見合った制御を行わないと水素循環系がシステムにとって最適な運転とならないという問題がある。
【0010】
本発明は、燃料電池に対して急加速又は急減速指令がなされた場合に、水素循環系内を循環する水素が一時的にシステムの要求量を下回るという事態を解消することが可能な燃料循環式燃料電池システムを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するために次のように構成した。即ち、請求項1に記載の発明は、燃料と酸化剤とを供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池から排出される燃料を再び前記燃料電池に供給するための燃料循環路と、前記燃料循環路中に配置され、回転機により駆動されて前記燃料を循環させる燃料ポンプとを備えた燃料循環式燃料電池システムにおいて、前記燃料循環路に新たな燃料を供給するとともに、前記燃料循環路中の燃料を循環させるエゼクタと、前記燃料電池に対する出力指令値に応じて前記燃料ポンプを制御することにより、前記燃料循環路中の燃料の循環量を調整する燃料電池制御装置とを備えたことを特徴とする燃料循環式燃料電池システムである。
また、請求項3に記載の発明は、燃料と酸化剤とを供給されて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池から排出される燃料を再び前記燃料電池に供給するための燃料循環路と、前記燃料循環路中に配置され、回転機により駆動されて前記燃料を循環させる燃料ポンプとを備えた燃料循環式燃料電池システムにおいて、前記燃料電池に対する出力指令値に応じて前記燃料ポンプを制御することにより、前記燃料循環路中の燃料の循環量を調整するとともに、前記燃料電池の状態量を監視する燃料電池制御装置をさらに備え、前記燃料電池制御装置は、前記出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定するとともに、前記状態量と前記出力指令値又は前記状態量に基づき回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を前記回転補正係数で補正して前記燃料ポンプを制御することを特徴とする燃料循環式燃料電池システムである。
【0012】
従来のエゼクタのみを用いた燃料循環系を有する燃料電池システムにおいては燃料電池に対して急加減速指令がなされた場合に、燃料の循環量が燃料電池の要求する水準よりも小さくなってしまうという問題点があった。しかし、請求項1・請求項3に記載の発明によれば、燃料電池に対して急加減速指令がなされた場合であっても、燃料電池制御装置が、出力指令値を用いて、燃料電池が必要とする燃料の循環量を評価して、燃料の循環量を増量する制御を行うことができ、このため、燃料循環路に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。なお、本願の[発明が解決しようとする課題]の欄で燃料ポンプ方式を説明したが、本願は、「(燃料電池の)出力指令値に応じて燃料ポンプを制御する」という点において、従来の燃料ポンプ方式とは異なるものである。この点は、後記する[発明の実施の形態]において、第1実施形態(請求項3に対応)として示す。
【0013】
なお、本発明では、燃料循環路中に設けられ、電力を供給することにより燃料の循環力を生み出す燃料ポンプを単独で用いるか(請求項3、後記する第1実施形態)、又は、高圧燃料タンク等に貯蔵されている燃料を新たに燃料循環路に供給するとともに、高圧燃料タンクの高圧を利用して燃料の循環力を生み出すエゼクタと組み合わせて用いることとした(請求項1・請求項10、後記する第2実施形態等)。
【0014】
この構成により、燃料電池制御装置が、燃料電池の急加減速時であっても、燃料電池に対しての出力指令値に応じて、燃料ポンプの回転速度を増加するように制御することで、燃料循環路に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。また、請求項1・請求項10のように、燃料ポンプとエゼクタとを組み合わせて用いた場合、燃料電池の急減速時に見られるように、エゼクタが燃料噴射を行わず、従って、エゼクタによる燃料の循環が行われない状況であっても、燃料電池制御装置が、燃料ポンプの回転速度を上げることで、燃料循環路に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記燃料電池制御装置が前記燃料電池の状態量を監視する機能を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料循環式燃料電池システムである。
請求項2に記載の発明によれば、燃料電池制御装置が、例えば、セル電圧、燃料電池入口における燃料の露点等の燃料電池の状態量を監視するので、これらの状態量を燃料の循環量の制御に反映させ、よりきめ細かい制御を行うことが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記燃料電池制御装置が、前記出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定するとともに、前記状態量と前記出力指令値又は前記状態量に基づき回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を前記回転補正係数で補正して前記燃料ポンプを制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料循環式燃料電池システムである。
【0017】
請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、燃料電池制御装置は、燃料電池の出力ではなく、その指令値に基づいて燃料ポンプの回転速度が目標回転速度となるように制御している。燃料電池の出力変化を制御に用いないのは、燃料電池の出力変化は出力指令に対して遅れて応答するためであり、この応答遅れを制御に乗せないために、出力指令値に基づいて燃料の循環量を制御している。
【0018】
燃料電池制御装置には、予め出力指令値と目標回転速度(燃料循環量)との関係を示す制御MAP等が記憶されていても良く、この制御MAPを用いれば、燃料電池が要求する燃料循環量を瞬時に評価し燃料ポンプの目標回転速度を決定し、燃料電池制御装置が燃料ポンプの回転速度を制御することが可能となるので、急加減速時に燃料循環路に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。
【0020】
請求項3及び請求項4に記載の発明では、前記のとおり燃料ポンプの目標回転速度は出力指令値に基づいて決定されるとともに、さらに、燃料電池の状態(セル電圧、露点等)を勘案して、回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を回転補正係数で補正して燃料ポンプの回転速度を回転速度指令値となるように燃料ポンプを制御する点が特徴である。
【0021】
例えば、セル電圧がセル中の生成水、凝縮水などの影響により規定範囲よりも減少している場合には、回転補正係数を大きくして、燃料ポンプを割増回転させ、燃料の循環量を増やすことでセル中の凝縮水等を取り除き、セル電圧を規定範囲に復帰させるとともに、最終的に出力指令値で要求される燃料循環量(目標回転速度)に収束させていくことが可能となる。
【0022】
また、燃料電池の状態量と出力指令値の両者を勘案して回転補正係数を算出すれば、よりきめ細かい燃料循環量の制御が可能となり、燃料電池の急加減速時であっても、燃料循環路に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、前記状態量が燃料電池のセル電圧又は燃料電池入口における燃料の露点であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料循環式燃料電池システムである。請求項5に記載の発明によれば、セル電圧又は燃料電池入口における燃料の露点により燃料電池の状態を把握しながら、燃料循環路に循環させる燃料の量を調整することが可能となる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、前記燃料電池制御装置は、前記出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定するとともに、前記出力指令値の時間変化率である出力増減率を求め、この出力増減率と前記出力指令値又は前記出力増減率に基づき回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を前記回転補正係数で補正して前記燃料ポンプを制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料循環式燃料電池システムである。
【0025】
請求項6に記載の発明は、出力指令値により燃料ポンプの目標回転速度を決定する点は請求項3及び請求項4に記載の発明と同様であるが、さらに、燃料電池の出力時間変化率の大小により回転補正係数を算出する点が特徴である。燃料電池の出力時間変化率が大きいとは、「燃料電池の出力が短時間の内に大きく変動する」との意味であるので、この場合には、回転補正係数を大きく設定する。逆に、燃料電池の出力時間変化率が小さいときには、回転補正係数を小さく設定する。
【0026】
また、燃料電池の出力時間変化率と出力指令値の両者を勘案して回転補正係数を算出すれば、よりきめ細かい燃料循環量の制御が可能となる。
このようにして回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を回転補正係数で補正して回転速度指令値を算出し、燃料ポンプの回転速度を回転速度指令値となるように燃料ポンプを制御することにより、燃料電池の急加減速時に燃料循環路中に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、前記燃料電池制御装置は、前記出力指令値及び出力増減率に基づき前記燃料ポンプの実行時間を算出し、前記燃料ポンプを制御することを特徴とする請求項6に記載の燃料循環式燃料電池システムである。
請求項7に記載の発明によれば、燃料電池制御装置が出力増減率に基づき、燃料ポンプが割増回転を行う実行時間を決定し、燃料ポンプを制御する。このような制御を行うことで、出力増減率が大きく変化する場合には、実行時間を大きく設定し、出力増減率の変化が小さい場合には、実行時間を小さく設定することで、燃料電池の急加減速時に燃料循環路中に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。
ここで、「割増回転」とは、請求項6に記載された発明において算出された回転補正係数が1よりも大きく、燃料ポンプに対する回転速度指令値が目標回転速度よりも大きい場合を意味する。
【0028】
請求項8に記載の発明は、前記燃料循環路は、前記燃料ポンプをバイパスするバイパス路と、このバイパス路上に配置され、前記状態量に基づき前記燃料電池制御装置によりその開閉が制御されるバイパス弁を備え、前記状態量が規定範囲内の場合には前記バイパス弁を開弁し、前記状態量が規定範囲外の場合には前記バイパス弁を閉弁し前記状態量の値に応じた回転速度で前記燃料ポンプを回転させることを特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の燃料循環式燃料電池システムである。
【0029】
請求項8に記載の発明によれば、燃料ポンプを迂回するバイパス路を設け、このバイパス路中に燃料電池制御装置が開閉を制御するバイパス弁を設けた。
この構成により、燃料ポンプを必要な場合にのみ作動させることが可能となる。つまり、燃料電池が定常運転状態にあるときには、燃料ポンプを停止して、燃料をバイパス路を流通させ、エゼクタのみにより燃料を循環させる。また、燃料電池に急加減速指令が発せられた場合及び燃料電池の状態量が規定範囲を外れた場合にのみ、バイパス弁を閉弁し燃料ポンプを運転させ、燃料の循環量を一時的に増加する。
【0030】
このようにすることで、燃料電池の急加減速時に限らず、燃料電池の状態量が規定範囲を外れた場合には、その状態量の値に応じた回転速度で燃料ポンプを回転させることで、燃料循環路中の燃料の循環量を増加し、燃料電池の状態を規定範囲内に復帰することが可能となる。
また、この構成によれば、燃料電池の状態量が規定範囲外となった場合及び燃料電池の急加減速時にのみ燃料ポンプを回転させるので、燃料ポンプを稼動する電力を節約することが可能となる。
【0031】
請求項9に記載の発明は、前記燃料電池制御装置は、前記状態量が規定範囲内の場合には、前記燃料ポンプを停止又はアイドル状態とすることを特徴とする請求項2ないし請求項8のいずれか1項に記載の燃料循環式燃料電池システムである。請求項9に記載の発明によれば、エゼクタと燃料ポンプとを併用しているハイブリッドシステムにおいて、燃料電池の状態量(セル電圧、露点等)が規定範囲内であるときには、燃料ポンプを停止又はアイドル状態として、燃料ポンプで消費される電力を抑えることができるので、システム全体のエネルギ効率を高めることができる。
なお、請求項10に記載の発明は、前記したとおり、請求項3に記載の発明にエゼクタを付加したものである。
また、請求項11に記載の発明は、前記燃料電池制御装置が、燃料電池に対する出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料循環式燃料電池システムである。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明はこの実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の技術的思想を具現化する種々の変更が可能である。
【0033】
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態の燃料循環式燃料電池システムを示したものである。この実施の形態は燃料ポンプ方式の循環システムを採用しており、請求項3に記載された発明に対応するものである。また、この実施形態は、本発明の最も基本的な構成を示している。
【0034】
燃料電池スタック1には、高圧水素タンク等より燃料の水素がレギュレータ2により調圧された上で供給される。レギュレータ2より供給される水素は、結合部7において燃料電池スタック1より排出された水素と混合され、燃料循環路6aを通って燃料電池スタック1のアノード側に供給される。
【0035】
アノードにより消費されなかった水素は、燃料電池スタック1中の凝縮水と共に燃料循環路6bを通って排出され、燃料循環路6bの経路中に配置された燃料ポンプ3により循環力を付与された上で、結合部7に至り、再びレギュレータ2より供給される水素と合流し再び燃料電池スタック1に供給される。
尚、図示はしていないが、燃料電池スタック1のカソード側には、酸化剤として空気が導入されている。これは、後記する第2〜第6実施形態でも同様である。
【0036】
今、この燃料循環式燃料電池システムにおいて、例えば、燃料電池車両の場合では、アクセルペダルの踏み込み量に相当する加減速値に応じた燃料電池1に対する出力指令値が発せられる。ECU4は、予め内部に記憶された出力指令値と目標回転速度(燃料循環量)との関係を示す制御MAP(図2(b))(以下、「出力−回転速度MAP」と称する)を参照し、出力指令値に対応する燃料ポンプ3の目標回転速度を求め、燃料ポンプ3の回転速度を目標回転速度に制御し、燃料循環式燃料電池システムが必要とする燃料の循環量を確保する。
【0037】
図2(b)は縦軸が燃料ポンプ3の回転速度(燃料循環量)を示し、横軸が出力指令値を示しており、出力指令値と1対1の関係で、燃料電池の必要とする燃料循環量(燃料ポンプ3の回転速度)が定められている。
【0038】
第1実施形態の燃料循環式燃料電池システムにおいては、急加減速指令が発せられたとしても、その出力指令値に基づきECU4が出力−回転速度MAP(図2(b))を参照して瞬時に燃料電池スタック4が必要とする燃料の循環量を評価し、燃料ポンプ3を目標回転速度に制御するので、燃料循環路6に燃料電池が要求するだけの燃料を循環させることが可能となる。
【0039】
次に、第1実施形態における制御フローを図2(a)により説明する。
ECU4に対して出力指令がなされると(S11)、ECU4は、予め記憶されている出力−回転速度MAP(図2(b))を参照し(S13)、それにより出力指令値に対する燃料ポンプ3の目標回転速度を決定する(S12)。
続いて、ECU4は燃料ポンプ3の回転速度を目標回転速度に制御し(S14)、処理が終了する(S15)。
【0040】
尚、第1実施形態においては、特許請求の範囲で言うところの「燃料電池制御装置」が「ECU4」に対応する。
【0041】
〔第2実施形態〕
図3は本発明の第2実施形態の燃料循環式燃料電池システムの装置構成を示したものである。この実施の形態においては、燃料ポンプとエゼクタを併用した循環システムを採用しており、これも、請求項1等、かつ請求項10に記載された発明に対応するものである。また、この実施形態は、燃料循環路内に燃料ポンプとエゼクタとを併用したハイブリッドシステムの最も基本的な実施形態である。
【0042】
第2実施形態の燃料循環式燃料電池システムにおいては、燃料循環路6中にエゼクタ5が設けられており、エゼクタ5の後記するノズル5aは、レギュレータ2を介して高圧水素タンクに接続されており、高圧水素タンクの圧力を利用して燃料電池スタック1に新たな燃料を供給することが可能である。また、燃料循環路6bには燃料ポンプ3が設けられており、エゼクタ5とは独立して、燃料の循環力を発生することが可能である。また、燃料循環路6bは、エゼクタ5の後記する吸引室5c(図4)に接続されており、エゼクタ5がノズル5a(図4)から新たな燃料を噴射している場合には、量の大小はともかくもエゼクタ5のみで燃料循環路6中に燃料を循環させることが可能である。
【0043】
ここでエゼクタ5について図4を用いて説明する。エゼクタ5は、一種の真空ポンプであり、圧力エネルギを物質を輸送するためのエネルギに変換する作用を有する。エゼクタ5はノズル5a、ディフューザ5b及び吸引室5cとから構成されている。尚、吸引室5cは、燃料循環路6bと接続されている。
【0044】
高圧水素タンク等よりレギュレータ2を経て調圧された水素は、エゼクタ5の細く絞られたノズル5aより高速で噴射される。ノズル5aより噴射される水素は、燃料循環路6bから吸引室5cに供給され、燃料電池スタック1で消費されなかった水素を巻き込みながらディフューザ5bに移動するのでノズル5aより新たな水素が噴射されることによって、水素は水素循環路6中を循環する。
【0045】
このように、第2実施形態においては、水素を水素循環路6内で循環させるための燃料送出手段としてエゼクタ5及び燃料ポンプ3を併用している点が特徴である。
【0046】
従来のエゼクタ5のみで燃料を循環するシステム(図20)では、急加減速指令が発せられた際に、水素の供給に応答遅れが生じたり(急加速時)、水素の循環が停止してしまう(急減速時)という問題が発生した(図21)。
しかし、第2実施形態の燃料循環式燃料電池システムにおいては、水素を循環させるためにエゼクタ5の他に、ECU4が制御可能な燃料ポンプ3を設けているので、急加減速指令が発せられ、エゼクタ5が適切に対応できない場合であっても、ECU4が、出力−回転速度MAP(図2(b))を参照して燃料ポンプ3の回転速度を目標回転速度に制御するので、燃料循環式燃料電池システムが必要とする燃料の循環量を適切に確保することが可能となる。
【0047】
尚、第2実施形態における制御フローは実質的に第1実施形態(図2(a))と同様であるのでその説明を省略する。
尚、特許請求の範囲で言うところの「燃料電池制御装置」が「ECU4」に相当する。
【0048】
〔第3実施形態〕
図5は本発明の第3実施形態の燃料循環式燃料電池システムを示したものである。この実施の形態においては、燃料ポンプ3とエゼクタ5を併用した循環システムを採用しており、請求項2等、かつ請求項10に記載された発明に対応するものである。
【0049】
第3実施形態の装置構成は、第2実施形態(図3)と同様であるが、ECU4が燃料電池のセル電圧を電圧計10により監視している点が異なっている。
燃料電池は、ある規定範囲のセル電圧において稼動するように設計されている。しかし、燃料電池スタック1に生成水、凝縮水が蓄積する等の原因によりセル電圧が規定範囲よりも低くなってしまうことがある。本実施の形態は、このような状況で、燃料電池に対して出力指令が下された場合であっても、セル電圧の復帰を行いながら、出力指令で要求された出力を速やかに生み出すとともに、燃料電池が要求する水素循環量を常に満たすことができる燃料循環式燃料電池システムである。
【0050】
第3実施形態の制御フロー(図6)を参照しながら説明を行う。ECU4に対して加減速値が入力されるとECU4はこの加減速値に応じて燃料電池スタック1へ出力指令値を発する(S61)。この際、ECU4は、出力−回転速度MAP(図2(b))を参照して(S63)、燃料ポンプ3の目標回転速度を決定する(S62)。続いて、ECU4は燃料電池スタック1の状態を把握するために、燃料電池スタック1に設置された電圧計10を介して燃料電池のセル電圧を測定する(S64)。
【0051】
ECU4は、セル電圧単独又はセル電圧と前記出力指令値とを入力として回転補正係数決定ルーチンにより回転補正係数を算出する(S65)。この際、回転補正係数決定ルーチンは、ECU4内に予め備えられた回転補正MAPを参照する(S66)。尚、回転補正係数決定ルーチン及び回転補正MAPによる回転補正係数の決定方法には種々の方式が存在し、詳しくは後記する。
【0052】
続いて、ステップS62で求められた目標回転速度とステップS65で求められた回転補正係数との積として、燃料ポンプ3に対する回転速度指令値が算出される(S67)。
続いて、ECU4は燃料ポンプ3の回転速度が前記回転速度指令値となるように燃料ポンプ3を制御して(S68)処理が終了する(S69)。
【0053】
尚、この制御フローにおいて、ステップS68の後に、燃料ポンプ3の回転速度を検出し、その速度が回転速度指令値に達したかどうかを判断するための処理を設け、燃料ポンプ3の回転速度が回転速度指令値に達していない場合、再びステップS64に戻るようなフィードバック制御を行うことも可能である。
このようにフィードバック制御を行うことにより、時々刻々変化するセル電圧に応じて回転補正係数を更新することが可能となり、燃料ポンプ3の回転速度の制御にセル電圧をより反映することが可能となる。
【0054】
ここで、回転補正係数とは、セル電圧が規定範囲を下回っていた場合に、セル電圧を規定範囲に復帰させるために必要な燃料ポンプ3の割増回転分を定めるものであり、セル電圧が規定範囲であるときに回転補正係数は1となり、セル電圧が規定範囲を下回れば下回るほど値が大きくなるような性質を有する。
【0055】
次に、回転補正係数決定ルーチン(S65)及び回転補正MAP(S66)による回転補正係数決定のための種々の方式について説明する。
【0056】
(1)第1の方式
第1の方式においては、回転補正係数決定ルーチン(S65)はセル電圧を唯一の入力値として回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S65)は、回転補正MAPとして、図7(a)を参照する。
図7(a)は、縦軸が回転補正係数、横軸がセル電圧であり、セル電圧に対する回転補正係数の関係を示す右下がりの補正係数直線が描かれている。この補正係数直線と横軸との交点が、セル電圧の規定値であり、通常の場合、燃料電池はこの規定値付近(規定範囲)で稼動するように設計されている。
ステップS64で計測されたセル電圧を図7(a)の回転補正MAPに当てはめることで回転補正係数を求めることが可能となる。例えば、ステップS64で評価されたセル電圧がaの場合、回転補正係数はKaであることがMAPより直ちに求められる。
【0057】
(2)第2の方式
第2の方式においては、回転補正係数決定ルーチン(S65)はセル電圧及び出力指令値を入力として回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S65)は、回転補正MAPとして、図7(b)を参照する。
第2の方式の特徴点は、回転補正係数を求めるに当たって、ステップS61で入力された出力指令値をセル電圧とともに用いることである。
【0058】
第1の方式においては、出力指令値の大小に関わらず、回転補正係数がセル電圧より一義的に定められた。第1の方式を用いることで、燃料電池のセル電圧を回復させながら、燃料電池の出力を出力指令値まで変化させることが可能となった。第2の方式においては、さらに、セル電圧とともに出力指令値の大きさを勘案して回転補正係数を決定することで、燃料電池の出力が出力指令値となるまでの時間を短縮することが可能となる。つまり、燃料電池に求められる出力(出力指令値)が大きい場合(燃料ポンプ3が高速回転)には、回転補正係数を大きくし、燃料電池に求められる出力(出力指令値)小さい場合(燃料ポンプ3が低速回転)には、回転補正係数を小さくすることで、より、燃料電池の状態に則した制御を行うことが可能となる。
【0059】
図7(b)は、出力指令値毎にそれぞれ補正係数直線が描かれている。図7(b)においては、その内、出力指令値がA,B,Cの場合の3本のみを代表として示してある。これらの補正係数直線は、出力指令値が大きくなるほど傾斜が急になり、横軸のセル電圧の規定値で一点に交わっている。これら出力指令値C、出力指令値B、出力指令値Aの直線はそれぞれ前記燃料電池スタック1の出力が最大〜大の範囲、大〜中の範囲、中〜小の範囲の際に用いるように予め定めておくものである。
第2の方式においては、ECU4は、出力指令値に対応する補正係数直線を選択し、更に、その補正係数直線上で現在のセル電圧に対応する回転補正係数を決定し燃料ポンプ3を制御する。
【0060】
(3)第3の方式
第3の方式においては、回転補正係数決定ルーチン(S65)はセル電圧のみを入力として回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S65)は、回転補正MAPとして、図7(d)を参照する。
【0061】
第3の方式における特徴点は、セル電圧の降下度を連続的ではなく段階的に評価することである。この点について図7(c)を用いて説明する。図7(c)は、燃料電池スタック1に水素を循環させない場合のセル電圧の時間変化を表したグラフである。このように水素を循環させないと、セル電圧は徐々に減少していく。第3の方式においては、セル電圧の降下度について閾値を用いて管理しており、例えば、図7(c)では、セル電圧の降下度が範囲1の場合にはセル電圧を閾値1で代表させ、範囲2の場合にはセル電圧を閾値2で、範囲3の場合にはセル電圧を閾値3で代表させる。
【0062】
ECU4はステップS64において測定されたセル電圧が前記したどの閾値に対応するのかを判断し、図7(d)に示した回転補正MAPを参照して、回転補正係数を定める。図7(d)より判るように、セル電圧の降下度が大きくなればなるほど回転補正係数が大きくなる。尚、セル電圧が、規定範囲内に収まっている場合(図7(c)の閾値1よりもセル電圧が高い範囲)には、燃料ポンプ3の回転補正は必要ないので、図7(d)において、回転補正係数=1が選択される(図7(d)の縦軸と横軸の交点)。
【0063】
第3の方式においては、セル電圧を幾つかの閾値で代表させるので、ECU4は、図7(a)、図7(b)のように、セル電圧と回転補正係数とが1対1で対応するような詳細な回転補正MAPを記憶する必要が無いため、ECU4が記憶しなければならないデータ量を減少させることが可能となる。
尚、前記した説明では、便宜的に3つの閾値によりセル電圧の降下度を評価しているが、閾値の設定数はこれに限定されない。
【0064】
(4)第4の方式
第4の方式は、第3の方式のようにセル電圧の降下度を閾値を用いて評価するとともに、第2の方式の要素を取り入れ、出力指令値を加味して燃料ポンプ3の回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S65)は、回転補正MAPとして、図8(a)を参照する。
【0065】
図8(a)は、横軸が、閾値の値(電圧)であり、縦軸が回転補正係数を示している。それぞれの閾値(閾値1〜閾値3)において、出力指令値(A〜C)毎に回転補正係数が定まっている。
尚、図8(a)に描かれた出力指令値A〜Cは、説明のために代表値を示したものであり、実際のシステムにおいては、出力指令値はより細かいステップで設定されていても良い。
【0066】
このように、セル電圧の降下度を幾つかの閾値で管理することで、ECU4が記憶するデータ量を減少させることができる。さらに、第4の方式では、回転補正係数を定めるに当たって出力指令値を加味しているので、第2の方式同様に、燃料電池の出力が出力指令値となるまでの時間を短縮することが可能となる。
尚、前記した説明では、便宜的に3つの閾値によりセル電圧の降下度を評価しているが、閾値の設定数はこれに限定されない。
【0067】
(5)第5の方式
第5の方式は、第3の方式と同様にセル電圧の降下度を閾値を用いて評価するものである。第3の方式と相違している点は、回転補正係数を求めるために参照する回転補正MAPである。
【0068】
第5の方式においては、図8(b)に示すような回転補正マップを用いる。図8(b)は縦軸が回転補正係数であり、横軸が燃料循環式燃料電池システムに発せられた出力指令値である。図中には、図7(c)で示した閾値(閾値1〜閾値3)に対応した3本の補正係数直線が描かれている。
ECU4は、ステップS64で測定されたセル電圧より、セル電圧がどの閾値に対応するのかを判断して、回転補正係数を求めるために使用する補正係数直線を選択する。さらに、選択された補正係数直線において、ステップS61で入力された出力指令値に対応する回転補正係数を読み出す。
【0069】
尚、ステップS64において測定されたセル電圧が規定範囲である場合には、回転補正係数=1が選択される。
尚、前記した説明では、便宜的に3つの閾値によりセル電圧の降下度を評価しているが、閾値の設定数はこれに限定されない。
【0070】
〔第4実施形態〕
第4実施形態における燃料循環式燃料電池システムの装置構成は、第2実施形態(図3)と同じものであるので、装置構成の図面は省略する。第4実施形態においては、出力−回転速度MAP(図2(b))を用いて燃料ポンプ3の目標回転速度を決定するとともに、ECU4がその内部に備えたタイマーにより算出した出力指令値の時間変化率(以下、「出力増減率」と言う)を用いてECU4が燃料ポンプ3の回転速度を制御することが特徴である。尚、第4実施形態は、請求項6に記載された発明に対応するものである。
【0071】
第4実施形態の制御フローを図9を用いて説明する。
ECU4に対して加減速値が入力されるとECU4はこの加減速値に応じて燃料電池スタック1へ出力指令値を発する(S91)。その際ECU4は、出力−回転速度MAP(図2(b))を参照して(S93)、燃料ポンプ3の目標回転速度を決定する(S92)。続いて、ECU4は出力指令値の時間変化率である出力増減率(dI/dt)を計算する(S94)。
【0072】
ECU4は、出力増減率単独又は出力増減率と出力指令値とを入力として回転補正係数決定ルーチンにより回転補正係数を算出する(S95)。この際、回転補正係数決定ルーチンは、ECU4内に予め備えられた回転補正MAPを参照する(S96)。尚、回転補正係数決定ルーチン及び回転補正MAPによる回転補正係数の決定方法には種々の方式が存在し、詳しくは後記する。
【0073】
続いて、ステップS92で求められた目標回転速度とステップS95で求められた回転補正係数との積として、燃料ポンプ3に対する回転速度指令値が算出される(S97)。
続いて、ECU4は燃料ポンプ3の回転速度が前記回転速度指令値となるように燃料ポンプ3を制御して(S98)処理が終了する(S99)。
【0074】
尚、出力増減率(dI/dt)とは、ステップS91において燃料循環式燃料電池システムに加えられた出力指令値の時間変化率のことであり、燃料電池車の場合を例にとると、アクセルの踏み込み方の違いであり、アクセルをすばやく踏んだ場合には出力増減率(dI/dt)は大きく、アクセルをゆっくり踏んだ場合には出力増減率(dI/dt)は小さくなる。
【0075】
次に、回転補正係数決定ルーチン(S95)及び回転補正MAP(S96)による回転補正係数決定のための種々の方式について説明する。
【0076】
(1)第1の方式
第1の方式においては、回転補正係数決定ルーチン(S95)は出力増減率(dI/dt)を唯一の入力として回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S95)は、回転補正MAPとして、図10(a)を参照する。
【0077】
図10(a)は、縦軸が回転補正係数であり、横軸がステップS94で計算された出力増減率である。回転補正係数は、出力増減率(dI/dt)が0の場合に最低値1となり、出力増減率(dI/dt)の絶対値が大きくなるほど大きな値を取る。
【0078】
尚、出力増減率(dI/dt)がプラスの場合もマイナスの場合も回転補正係数は大きくなるが、これは、図21(a),(b)で見たように燃料電池システムにおいて、加速時及び減速時のどちらの場合においても、燃料循環路6中を循環する水素の量が一時的に不足する状態が発生するためである。
【0079】
また、出力増減率(dI/dt)の絶対値が大きいとは、いわばアクセルが急激に操作されたことに相当し、短時間の内に燃料電池の出力を出力指令値に制御しなければならないことを意味する。そのため、短時間の内に燃料ポンプ3の回転速度を所定値とするために、回転補正係数は大きな値となる。
それに対し、出力増減率(dI/dt)の絶対値が小さいとは、いわばアクセルが緩やかに操作されたことに相当し、この場合には、燃料ポンプ3の回転速度を緩やかに制御すればよいので回転補正係数は小さな値となる。
【0080】
(2)第2の方式
第2の方式においては、回転補正係数決定ルーチン(S95)は出力増減率(dI/dt)と出力指令値を入力として回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S95)は、回転補正MAPとして、図10(b)を参照する。
【0081】
図10(b)は縦軸が回転補正係数であり横軸が出力増減率である。図中には、ステップS91(図9)で入力された出力指令値毎に補正係数グラフが描かれている。図10(b)においては、その内、出力指令値がA,B,Cの場合の3本を代表として示している。この出力指令値A,B,Cの考え方は、前記した図7(b)と同様であるので、ここでは説明を割愛する。
【0082】
第2の方式においては、ECU4は、ステップS91で入力された出力指令値に対応する補正係数グラフを選択し、更に、その補正係数グラフ上で現在の出力増減率に対応する回転補正係数を決定する。
第2の方法によれば、出力指令値を考慮して回転補正係数を決定するので、燃料ポンプ3の回転速度をすばやく回転速度指令値に制御することが可能となる。
【0083】
(3)第3の方式
第3の方式においては、回転補正係数決定ルーチン(S95)は出力増減率(dI/dt)を唯一の入力として回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S95)は、回転補正MAPとして、図10(d)を参照する。
【0084】
第3の方式における特徴点は、出力増減率の絶対値を算出し、さらにその絶対値の大きさを段階的に評価する点である。
図10(a)、(b)の回転補正係数グラフは、出力増減率=0の直線に対してほぼ対称な形状である。これは、加速の場合も減速の場合も一時的に燃料循環路6中を循環する水素の量が減少するために、燃料ポンプ3の回転速度を増加させる必要があるからである。このように、回転補正係数グラフは、出力増減率=0の直線に対してほぼ対称な形状であるので、出力増減率の絶対値(以下|dI/dt|と記す)を算出し、その絶対値を段階的に評価することにより、回転補正係数を決定することが可能となる。
【0085】
この点について図10(c)を用いて説明する。図10(c)は、縦軸が|dI/dt|である。第3の方式においては、|dI/dt|を閾値を用いて管理しており、例えば、図10(c)では、|dI/dt|が範囲1の場合には|dI/dt|を閾値1で代表させ、範囲2の場合には|dI/dt|を閾値2で、範囲3の場合には|dI/dt|を閾値3で代表させる。
【0086】
ECU4はステップS94で評価された出力増減率がどの閾値に対応するのかを判断し、図10(d)の回転補正MAPを参照し、回転補正係数を定め、ステップS97において、燃料ポンプ3の目標回転速度にこの回転補正係数を掛け合わせた値を回転速度指令値として燃料ポンプ3を制御する。
【0087】
この第3の方式によれば、ECU4は第1及び第2の方式のように、回転補正係数と出力増減率との関係を示すMAPを記憶する必要がなく、|dI/dt|の閾値とそれに対応する回転補正係数のみを記憶すればよいので、ECU4の記憶すべきデータ量を大幅に減少させることが可能となる。
また、第3の方式においては、|dI/dt|を3つの閾値で管理しているが、閾値の設定数はこれに限られない。
【0088】
(4)第4の方式
第4の方式は、第3の方式のように、|dI/dt|を閾値を用いて管理するととともに、第2の方式の要素を取り入れ、出力指令値を加味して燃料ポンプ3の回転補正係数を決定する。この際、回転補正係数決定ルーチン(S95)は、回転補正MAPとして図11(a)を参照する。
【0089】
図11(a)は、横軸が、|dI/dt|の閾値であり、縦軸が回転補正係数を示している。それぞれの閾値(閾値1〜閾値3)において、出力指令値(A〜C)毎に回転補正係数が定まっている。
尚、図11(a)に描かれた出力指令値A〜Cは、説明のために代表値を示したものであり、実際のシステムにおいては、出力指令値はより細かいステップで設定されていても良い。
【0090】
このように、|dI/dt|を幾つかの閾値で管理することで、ECU4が記憶するデータ量を減少させることができる。さらに、第4の方式では、回転補正係数を定めるに当たって出力指令値を加味しているので、第2の方式同様に、燃料電池の出力が出力指令値となるまでの時間を短縮することが可能となる。
尚、図11(a)においては便宜的に3つの閾値により|dI/dt|を評価していたが、閾値の設定数はこれに限定されない。
【0091】
(5)第5の方式
第5の方式は、第3の方式と同様に|dI/dt|を閾値を用いて評価するものである。第3の方式と相違している点は、回転補正係数を求めるために参照する回転補正MAPである。
【0092】
第5の方式においては、図11(b)に示すような回転補正マップを用いる。図11(b)は縦軸が回転補正係数であり、横軸が燃料循環式燃料電池システムに発せられた出力指令値である。図中には、図10(c)で示した閾値(閾値1〜閾値3)に対応した3本の補正係数直線が描かれている。
【0093】
ECU4は、ステップS94で測定された出力増減率より、|dI/dt|がどの閾値に対応するのかを判断して、回転補正係数を求めるために使用する補正係数直線を選択する。さらに、選択された補正係数直線において、ステップS91で入力された出力指令値に対応する回転補正係数を読み出す。
尚、前記した説明では、便宜的に3つの閾値により|dI/dt|を評価しているが、閾値の設定数はこれに限定されない。
【0094】
(6)第6の方式
第3実施形態においては、燃料電池スタック1のセル電圧を用いて燃料ポンプ3の回転補正係数を決定していた。そのため、第3実施形態では、燃料電池の状態を燃料ポンプ3の制御に反映することが可能であった。
【0095】
しかし、第4実施形態においては、燃料電池システムに対する出力増減率を用いて燃料ポンプ3の制御を行うことから、燃料電池システムの状態(例えばセル電圧)等を把握して制御に反映することができない。そこで、第6の方式においては、出力増減率を用いて燃料ポンプ3の回転補正係数を決定するとともに、燃料ポンプ3が割増回転を行う実行時間をも制御することで、燃料電池システムをより安定して運転することを可能にする。尚、本方式は、請求項7に対応する実施形態である。
【0096】
ここで、「割増回転」とは、燃料ポンプ3の回転速度を回転速度指令値(=目標回転速度×回転補正係数)に制御する際に、回転補正係数が1よりも大きい場合を意味する。
【0097】
第6の方式における制御フローを図12に示す。
図12の制御フローにおいて、ステップS121〜S127までは、図9に示した第4実施形態の制御フローのステップS91〜S97と同様であるためにその説明を省略する。また、ステップS125及びS126において燃料ポンプ3の回転補正係数を決定するためには、前記した第1の方式〜第5の方式の中から任意のものを採用することができる。
【0098】
第6の方式における特徴点は、ステップS128以降である。ステップS128においてECU4は、燃料ポンプ3をステップS127で決定された回転速度指令値で回転させる時間(実行時間指令値)を決定する。この際、実行時間決定ルーチン(S128)は、実行時間MAP(S129)を参照する。
【0099】
ここで、実行時間MAPの一例を図13に示す。図13は縦軸が燃料ポンプ3を回転速度指令値で回転させる実行時間を示す実行時間指令値であり、横軸が出力増減率である。また、図13には、出力指令値の一例として、出力指令値A〜Cごとに3本のグラフが描かれている。図13では、出力指令値が大きく、出力増減率の絶対値が大きいほど実行時間指令値が大きく、つまり、燃料ポンプ3の割増回転時間が大きくなるように設定されている。
【0100】
ECU4は、この実行時間MAPを参照して、燃料ポンプ3を割増回転させるための実行時間指令値を決定する。
このようにして決定された実行時間指令値と回転速度指令値に従い燃料ポンプ3がその時間内において制御される(S131)。
【0101】
尚、実行時間指令値で指定された時間が経過した後は燃料ポンプ3は、ステップS122で決定された目標回転速度で回転することとなる。
このように第6の方式では、燃料ポンプ3が回転補正係数で与えられる割増回転を行う実行時間をも制御するので、燃料電池システムをより安定して運転することが可能となる。
【0102】
〔第5実施形態〕
図14は、本発明の第5実施形態の燃料循環式燃料電池システムを示したものである。
この実施の形態においては、燃料ポンプとエゼクタを併用した循環システムを採用しており、請求項2等、かつ請求項10に記載された発明に対応するものである。
【0103】
第5実施形態の装置構成は第2実施形態(図3)と同様であるが、燃料循環路6aに加湿器11が備えられており、さらに燃料循環路6aの燃料電池スタック1の直前に、循環する水素の露点を測定するための露点検出器12を備え、ECU4がその露点を監視している点が異なっている。
【0104】
燃料循環式燃料電池システムにおいては、燃料電池スタック1に対して、所定量の水蒸気を含んだ水素を供給する必要があり、そのために燃料循環路6aには加湿器11が備えられている。しかし、燃料電池システムに急加速指令が発せられた際、一時的に加湿器の発生水蒸気量が、必要量に追いつかなくなる場合がある。また、水素の循環量の制御が行われない状態で燃料電池システムに急加減速指令が発せられた場合、燃料循環路6を循環する水素の循環量が一時的に不足する現象が発生する(図21)。このような状況においては、加湿器の運転量を増加して発生する水蒸気量を増したとしても、水蒸気を運ぶための水素の循環量が減少するために、燃料電池スタック1が必要とする水蒸気量を満たすことができない。
【0105】
ところで、燃料電池スタック1より排出される水素は燃料電池スタック1中の生成水、凝縮水等を取り込んでいるために、常に水蒸気で飽和している。従って、燃料電池システムの急加減速時には、燃料循環路6中の水素の循環量を増して、燃料電池システムから排出される水蒸気飽和水素を燃料循環路6aに循環させれば、燃料電池システムが必要とする水蒸気を循環させることが可能となり、さらに加湿器11が燃料の循環流から水分を得るものである場合には、その一時的な水分不足を補うことになる。
【0106】
すなわち、第5実施形態においては、燃料電池の水素の露点を監視することで、燃料電池システムに急加減速指令が発せられた際であっても、燃料循環路6を循環する水素量及び水蒸気量を確保することができる燃料循環式燃料電池システムを例示する。
【0107】
図15に、第5実施形態の燃料循環式燃料電池システムの制御フローを示す。
燃料循環式燃料電池システムに対して出力指令がなされると(S151)、ECU4は、出力−回転速度MAP(図2(b))を参照して(S153)、燃料ポンプ3の目標回転速度を決定する(S152)。続いて、ECU4は燃料電池スタック1の直前の燃料循環路6aに配置された露点検出器12を介して水素の露点を測定する(S154)。
【0108】
ECU4は、ステップS154で測定された水素の露点を用いて回転補正係数決定ルーチンにより回転補正係数を算出する(S155)。この際、回転補正係数決定ルーチンは、ECU4内に予め備えられた回転補正MAP(図16)を参照する(S156)。
【0109】
図16は、縦軸が回転補正係数であり、横軸が水素の露点を示している。露点検出器12で測定された水素の露点が低い場合には、回転補正係数を大きくして、燃料ポンプ3の回転速度を上げ、燃料電池スタック1より排出される水蒸気飽和水素の循環量を増す。
続いて、ステップS152で求められた目標回転速度とステップS155で求められた回転補正係数との積として、燃料ポンプ3に対する回転速度指令値が算出される(S157)。
【0110】
続いて、ECU4は燃料ポンプ3の回転速度が前記回転速度指令値となるように燃料ポンプ3を制御して(S158)処理が終了する(S159)。
【0111】
尚、本実施の形態においては、燃料循環路6aに配置された露点検出器12を用いて水素の露点を検出していたが、システムによっては、加湿器11後の水素が水蒸気で飽和している場合もあるので、このような場合には、露点検出器12に代えて温度計を用いることで本実施の形態の制御を行うことも可能である。
【0112】
尚、露点により回転補正係数を決定する方法には、第3実施形態や第4実施形態で述べたような、出力指令値を加味する方法、露点を閾値により管理する方法等を応用することが可能である。
【0113】
〔第6実施形態〕
図17に本発明の第6実施形態の燃料循環式燃料電池システムを示した。尚、この実施形態は請求項8に対応するものである。
第6実施形態の装置構成における特徴点は、燃料循環路6に、燃料ポンプ3を迂回するバイパス路13を設け、このバイパス路13中にECU4が開閉制御可能なバイパス弁14を設けた点である。それ以外の点は第3実施形態(図5)と同様である。
【0114】
第6実施形態では、燃料電池システムが定常運転状態にある場合には、燃料ポンプ3の運転を停止、又は、低出力状態(アイドル状態)のまま待機させておき、バイパス弁14を開き、バイパス路13により燃料ポンプ3を迂回してエゼクタ5に水素を循環させる。水素は、エゼクタ5により循環力を付与されて燃料循環路6を循環させる。
【0115】
燃料電池システムに急加減速指令が発せられたり、燃料電池システムの状態量(例えばセル電圧等)が規定範囲よりも減少してしまったりした場合に、ECU4はそれを監視して、バイパス弁14を閉じるとともに、燃料ポンプ3を所定回転速度で回転させることで、燃料循環路6に循環させる水素の量を増やし、出力指令に対応したり、燃料電池の状態量を規定範囲に復帰させる。
尚、第6実施形態では、燃料電池の状態量としてセル電圧を用いているが、水素の露点等を評価しても良い。
【0116】
図18を用いて第6実施形態の制御フローを説明する。
まず、燃料電池スタック1に設けられた電圧計10によりセル電圧が測定される(S181)。続いて、このセル電圧が規定範囲かどうかが判断され(S182)、セル電圧が規定範囲であると判断された場合には(Y)バイパス弁14に対して開弁指令がなされ(S183)、燃料ポンプ3は停止される(S184)。しかし、ステップS182において、セル電圧が規定範囲を下回っていると判断された場合には、バイパス弁14を閉じ、燃料ポンプ3を所定の回転速度で回転させるための処理が行われる(S185〜S194)。
【0117】
まず、ステップ185において、燃料電池システムに加減速指令等の出力指令がなされているかどうかが判断される。出力指令がなされている場合には(Y)、出力指令値に応じて、ステップS187において、燃料ポンプ3の目標回転速度が決定される。
【0118】
それに対して、出力指令がなされていない場合には、ステップ187において燃料ポンプ3の目標回転速度を決定することができないために、現在の燃料電池システムの出力を出力指令値とする(S186)。
続いて、出力−回転速度MAP(図2(b))を参照して(S189)、出力指令値に対応する燃料ポンプ3の目標回転速度が決定される。
【0119】
さらに、ステップS181で計測されたセル電圧に基づき、例えば、図7(a)、図7(b)、図7(d)、図8(a)に示したような、回転補正MAPを参照する(S191)ことにより、回転補正係数決定ルーチン(S190)が燃料ポンプ3の割増回転分である回転補正係数を求める。
【0120】
その後、目標回転速度と回転補正係数との積として回転速度指令値が算出され(S192)、バイパス弁14が閉弁され、水素を燃料ポンプ3に流通可能とするとともに、燃料ポンプ3をステップ192で算出された回転速度指令値に制御する(S194)。その後制御はS181に戻り、再びセル電圧が評価される。
【0121】
より具体的に第6実施形態の燃料循環式燃料電池システムの水素循環量の制御動作について図19により説明する。
図19は、第6実施形態の燃料循環式燃料電池システムのセル電圧の変化とシステム内の水素循環量の変化を同時に示したタイムチャートである。
【0122】
燃料電池のセル電圧はA点までは、規定範囲内にあるものとする。このとき、図17の燃料電池システムにおいては、燃料ポンプ3は停止等され、バイパス弁14が開弁され、エゼクタ5のみで燃料循環路6中の水素循環が行われている。A点において例えば、燃料電池スタック1中の凝縮水の影響等によりセル電圧が閾値1を下回ると、ECU4は図18に示した制御フローに従い、バイパス弁14が閉弁し、燃料ポンプ3に対してステップS192で算出された回転速度指令値で動作せよとの指示を出し、燃料ポンプ3の回転速度が増加する。それに伴い、水素循環路6中を循環する水素量が増加する。
【0123】
しかしながら、この例においては、燃料電池のセル電圧は規定範囲に復帰せず、B点において更に閾値2を下回ったとする。すると、ECU4は、図18に示した制御フローに従い燃料ポンプ3の回転速度をさらに増加させ、システムを循環する水素量を更に増加させる。その後、C点及びD点を経るにつれて燃料電池のセル電圧が規定範囲に復帰するとECU4は、バイパス弁14を開弁し、燃料ポンプ3を停止等し、再びエゼクタ5のみで水素循環を行う。
【0124】
このように第6実施形態においては、セル電圧等の燃料電池の状態量が規定範囲を下回った場合や、出力指令がなされた場合に燃料ポンプ3を稼動させて、燃料循環路6中の水素循環量を増加させ、それ以外の場合には燃料ポンプ3を停止やアイドル状態としているので、常時燃料ポンプ3を稼動させる必要が無く、エネルギの節約をすることが可能となる。
さらに、この第6実施形態のバイパス通路・バイパス弁の構成に拘わらず、燃料電池スタック1の状態量が規定範囲内にあり、エゼクタのみでシステムに必要な水素を循環できる場合には、燃料循環路6中の燃料ポンプを停止又はアイドル状態とすることで、燃料循環式燃料電池システムのエネルギ効率を高めることができる。
【0125】
【発明の効果】
本発明は、前記のように構成したので、次のような顕著な効果を奏する。請求項1及び請求項3に記載の発明によれば、燃料電池に対する出力指令値に応じて、回転機により駆動される燃料ポンプが燃料循環路中を循環する燃料の量を制御するので、燃料電池に急加減速指令が発せられたとしても、燃料電池に循環する燃料の量が不足することがない。
このうち、請求項1に記載の発明によれば、エゼクタをさらに備えるため、例えば、高圧水素タンクのような高圧燃料タンクに貯蔵された燃料ガスの圧力エネルギを有効に活用して燃料ガスを循環することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、出力指令値に基づいて燃料ポンプの回転速度を決定し、さらに回転速度を補正するので、燃料ガスの循環量の不足を未然に防止することができる。
【0126】
また、請求項10に記載の発明によれば、請求項3の発明において、エゼクタをさらに備えるため、例えば、高圧水素タンクのような高圧燃料タンクに貯蔵された燃料ガスの圧力エネルギを有効に活用して燃料ガスを循環することができる。
【0127】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明において、燃料電池制御装置が、燃料電池の状態量を監視する機能を有しているので、例えば、燃料電池のセル電圧や燃料の露点等を監視して、その情報を燃料循環路を循環させる燃料の量に反映させることが可能となる。
【0129】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2の発明において、燃料電池制御装置が燃料電池の状態量(セル電圧、燃料の露点等)を加味して燃料の循環量を制御するので、燃料電池の状態量が規定範囲より外れているような場合には、燃料循環量を割増することで、状態量の復帰を行いながら、出力指令値で要求される燃料循環量を確保することが可能となる。
【0130】
請求項5に記載の発明によれば、燃料電池の状態量として、セル電圧又は、燃料電池入口における燃料の露点を採用しているので、これらの状態量により燃料電池の状態を把握しながら燃料の循環量を制御することが可能となる。
【0131】
請求項6に記載の発明によれば、燃料電池制御装置が出力増減率を加味して燃料の循環量を制御するので、燃料電池に対して急加減速指令が発せられたとしても、その出力増減率に応じて燃料ポンプの割増回転が行われるので、燃料電池が要求する燃料循環量を確保することが可能となる。
【0132】
請求項7に記載の発明によれば、燃料電池制御装置が出力増減率に基づき、燃料ポンプが割増回転を行う実行時間を決定するので、出力増減率の大小に応じただけの燃料を燃料循環路中に循環させることが可能となる。
【0133】
請求項8に記載の発明によれば、燃料循環路中に、燃料ポンプをバイパス可能なバイパス路及びバイパス弁を設けたので、運転するために電力を必要とする燃料ポンプを必要な時のみ作動させることが可能となった。燃料ポンプを出力指令が発せられたとき及び燃料電池の状態量が規定範囲から外れている時にのみ運転させることで、燃料ポンプを稼動させる電力を節約することが可能となる。
【0134】
請求項9に記載の発明によれば、燃料電池の状態量が規定範囲内の場合には、燃料ポンプを停止又はアイドル状態とするので、燃料循環式燃料電池システムのエネルギ効率を高めることが可能となる。
請求項10に記載の発明(エゼクタ)については、既に説明したとおりである。
請求項11に記載の発明によれば、請求項1及び請求項2の発明において、燃料電池制御装置が出力指令値に基づいて燃料ポンプの目標回転速度を決定するので、燃料電池の出力に基づいて燃料ポンプの回転速度を制御する場合と異なり、燃料循環量に制御遅れが発生することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の燃料循環式燃料電池システムの装置構成を示す模式図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の制御フロー(図2(a))及び出力−回転速度MAP(図2(a))である。
【図3】 本発明の第2実施形態の燃料循環式燃料電池システムの装置構成を示す模式図である。
【図4】 エゼクタの断面図である。
【図5】 本発明の第3実施形態の燃料循環式燃料電池システムの装置構成を示す模式図である。
【図6】 本発明の第3実施形態の制御フローである。
【図7】 本発明の第3実施形態で用いる回転補正MAPである。
【図8】 本発明の第3実施形態で用いる回転補正MAPである。
【図9】 本発明の第4実施形態の制御フローである。
【図10】 本発明の第4実施形態で用いる回転補正MAPである。
【図11】 本発明の第4実施形態で用いる回転補正MAPである。
【図12】 本発明の第4実施形態の第6の方式における制御フローである。
【図13】 本発明の第4実施形態の第6の方式で用いる実行時間MAPである。
【図14】 本発明の第5実施形態の燃料循環式燃料電池システムの装置構成を示す模式図である。
【図15】 本発明の第5実施形態の制御フローである。
【図16】 本発明の第5実施形態で用いる回転補正MAPである。
【図17】 本発明の第6実施形態の燃料循環式燃料電池システムの装置構成を示す模式図である。
【図18】 本発明の第6実施形態の制御フローである。
【図19】 本発明の第6実施形態の燃料循環式燃料電池システムの制御動作を説明するためのタイムチャートである。
【図20】 従来の燃料循環式燃料電池システムの装置構成を示す模式図である。
【図21】 従来の燃料循環式燃料電池システムの問題点を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 レギュレータ
3 燃料ポンプ
4 ECU
5 エゼクタ
6、6a、6b 燃料循環路
7 結合部
10 電圧計
11 加湿器
12 露点検出器
13 バイパス路
14 バイパス弁
Claims (11)
- 燃料と酸化剤とを供給されて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池から排出される燃料を再び前記燃料電池に供給するための燃料循環路と、
前記燃料循環路中に配置され、回転機により駆動されて前記燃料を循環させる燃料ポンプと
を備えた燃料循環式燃料電池システムにおいて、
前記燃料循環路に新たな燃料を供給するとともに、前記燃料循環路中の燃料を循環させるエゼクタと、
前記燃料電池に対する出力指令値に応じて前記燃料ポンプを制御することにより、前記燃料循環路中の燃料の循環量を調整する燃料電池制御装置とを備えたこと
を特徴とする燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料電池制御装置が前記燃料電池の状態量を監視する機能を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 燃料と酸化剤とを供給されて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池から排出される燃料を再び前記燃料電池に供給するための燃料循環路と、
前記燃料循環路中に配置され、回転機により駆動されて前記燃料を循環させる燃料ポンプと
を備えた燃料循環式燃料電池システムにおいて、
前記燃料電池に対する出力指令値に応じて前記燃料ポンプを制御することにより、前記燃料循環路中の燃料の循環量を調整するとともに、前記燃料電池の状態量を監視する燃料電池制御装置をさらに備え、
前記燃料電池制御装置は、前記出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定するとともに、前記状態量と前記出力指令値又は前記状態量に基づき回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を前記回転補正係数で補正して前記燃料ポンプを制御すること
を特徴とする燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料電池制御装置が、前記出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定するとともに、前記状態量と前記出力指令値又は前記状態量に基づき回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を前記回転補正係数で補正して前記燃料ポンプを制御すること
を特徴とする請求項2に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 前記状態量が燃料電池のセル電圧又は燃料電池入口における燃料の露点であること
を特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料電池制御装置は、前記出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定するとともに、前記出力指令値の時間変化率である出力増減率を求め、この出力増減率と前記出力指令値又は前記出力増減率に基づき回転補正係数を算出し、前記目標回転速度を前記回転補正係数で補正して前記燃料ポンプを制御すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料電池制御装置は、前記出力指令値及び出力増減率に基づき前記燃料ポンプの実行時間を算出し、前記燃料ポンプを制御すること
を特徴とする請求項6に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料循環路は、前記燃料ポンプをバイパスするバイパス路と、このバイパス路上に配置され、前記状態量に基づき前記燃料電池制御装置によりその開閉が制御されるバイパス弁を備え、前記状態量が規定範囲内の場合には前記バイパス弁を開弁し、前記状態量が規定範囲外の場合には前記バイパス弁を閉弁し前記状態量の値に応じた回転速度で前記燃料ポンプを回転させること
を特徴とする請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料電池制御装置は、前記状態量が規定範囲内の場合には、前記燃料ポンプを停止又はアイドル状態とすること
を特徴とする請求項2ないし請求項8のいずれか1項に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料循環路に新たな燃料を供給するとともに、前記燃料循環路中の燃料を循環させるエゼクタを備えたこと
を特徴とする請求項3に記載の燃料循環式燃料電池システム。 - 前記燃料電池制御装置が、燃料電池に対する出力指令値に基づき前記燃料ポンプの目標回転速度を決定すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料循環式燃料電池システム。
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