JP3656736B2 - 耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート、及びその製造方法 - Google Patents
耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート、及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は特に建築物、構築物などに好適に用いられる繊維布帛を含む耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート及び、その製造方法に関する。更に詳しく述べるならば、本発明は、耐酸性雨性、耐候性、及び難燃性に優れ、かつ高周波融着が可能で接合部強度が強固であって、テント用膜材、シート倉庫用膜材、建築現場用養生シート、建築現場用遮音シートなどの用途に適した、耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テント用膜材、シート倉庫用膜材、建築現場用養生シート、建築現場用遮音シートなど、特に建築物、構築物などの部材として使用される産業資材シートは、建築物や構築物と見なされるため消防法に規定される防炎性能を有することが必要とされている。現在、これらの用途に使用され、防炎性能を有する産業資材シートとしては、繊維織物にポリ塩化ビニル樹脂を表面被覆したシート製品がその主流を占めている。しかし最近食品用途や日用雑貨、玩具などのような、建築物以外の用途では、ポリ塩化ビニル樹脂製品中に可塑剤として含まれるフタル酸エステル類に対してホルモン攪乱物質の疑いが論議され、またフタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニル樹脂製品は燃焼時にダイオキシン誘導体を発生する危険の可能性に対して強い関心が持たれている。特にダイオキシン問題に関してはポリ塩化ビニル樹脂製品のみならず合成樹脂加工製品全般の野焼きなどの廃棄が禁止され、また火災に際しては避難安全性の観点からこれら合成樹脂加工品全般の有毒な燃焼ガス発生抑制が社会的な要求となっている。このような社会的背景から使い捨ての用途では極力ポリ塩化ビニル樹脂製品を削減する方策が種々展開され、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂を使用した製品が広く普及し始めている。
【0003】
この様な社会的要求が強まる中で、特に例えばテント、シート倉庫、建築現場養生シート、建築現場用遮音シートなどの建築物及び構築物向けの用途に適した膜材には、合成繊維織物を芯材としてその表面にポリ塩化ビニル樹脂層を形成した繊維織物補強シートが使用されている。これらの繊維織物補強シートは、塩化ビニル樹脂組成物層を繊維織物にコーティングあるいは、ラミネートして形成させた帆布及びターポリンなどである。ポリ塩化ビニル樹脂は、それ自体が高度な難燃性を有しているため、これらの建築用の帆布やターポリンはポリ塩化ビニル樹脂に、三酸化アンチモン及び/又は水酸化アルミニウムなどの難燃剤を、5〜20重量部という少ない使用量で添加することにより、消防法に定められている防炎規格(消防法施工規則第4条:JIS規格L−1091)に適合する樹脂被覆シートを得ることが可能である。しかし、これらの帆布やターポリンの構成樹脂を、ポリオレフィン系樹脂により置き換えた場合には、ポリオレフィン系樹脂自体が易燃性であり、更に可燃性の合成繊維織物を含むために、十分な難燃性が容易に得られないという問題がある。従って、これらを難燃化してその実用性を向上させる必要がある。
【0004】
一般にポリオレフィン系樹脂の難燃化には、市販の難燃剤又は難燃性樹脂が用いられている。例えば難燃剤として有機塩素化物、有機臭素化物などのハロゲン化物が特に効果的であり、例えば電線やケーブル用途では、絶縁材、及び外部被覆材としてポリオレフィン系樹脂に有機塩素化物、有機臭素化物などのハロゲン化物を配合して難燃化する方法が以前から用いられている(特開昭51−132254号公報、特開昭56−136862号公報、特開昭61−254646号公報、特開昭62−225541号公報)。これらの方法により確かに難燃化されたポリオレフィン系樹脂組成物を得ることが可能であるが、このような難燃化樹脂は、耐候性に劣り短期間の屋外使用でも変色し易いという欠点を有している。この耐候性の悪さは地下埋設の電線用途や黒着色の製品に対しては問題とならないが、屋外で使用するシート、特に色彩性が重要視されるテントなどの用途に対しては大きな問題となる。またこれらのハロゲン化物はNOx ガス変色を起こす問題がある。
【0005】
近年、火災時の安全避難性の観点から有毒な燃焼ガス抑制の要求が高まるに連れ、難燃剤として、特に水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、二酸化チタンなどの金属酸化物が使用されている(特開昭63−20348号公報、特開昭63−61055号公報、特開昭63−128038号公報、特開昭63−154760号公報、特開平3−20342号公報など)。これらの金属水酸化物及び/又は金属酸化物を用いる方法の場合、ポリオレフィン系樹脂に充分な難燃性を付与するためには、金属水酸化物及び/又は金属酸化物が100〜300重量部という多量に配合されるため、ポリオレフィン樹脂組成物中に含まれるこれら金属水酸化物及び、金属酸化物の割合が50%以上を占める製品が少なくない。通常この様な多量の難燃剤を配合する組成物では、これを効率良く加工するために、難燃剤粒子の表面を、脂肪酸化合物または、不飽和脂肪酸化合物などにより表面処理することによって粒子の濡れ性を改善して樹脂中に均一分散させている。またさらにカップリング剤で表面処理した難燃剤粒子を使用することによって難燃剤の多量配合系における難燃剤粒子とポリオレフィン系樹脂との親和性と密着性とを向上させ、得られる難燃樹脂成形物の強度低下を少なくするなどの技術が従来から行われている。また表面処理された難燃剤を使用することによって難燃樹脂成形物の耐水性を向上させることも可能である。
【0006】
最近では、自動車の排気ガスを一因とする窒素酸化物(NOx ガス)硫黄酸化物(SOx ガス)が大気中で雨に溶け込んで発生する酸性雨が、環境上の問題となっている。酸性雨自体は強酸ではないが、雨水の乾燥に伴って酸性成分が濃縮され、それによって強酸性化するという厄介な性質を持っている。従って酸性雨による樹木、植物、農作物などの枯死被害、コンクリート建造物、鉄骨建造物、家屋などの腐食被害、雨濡れ洗濯物、雨濡れ衣類などの変色被害などが報告されるなど、根本的解決が困難な問題として知られている。ところで、この様な酸性雨の多発する環境下において、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、二酸化チタンなどの金属化合物を多量に含有するポリオレフィン系樹脂組成物から得られた繊維複合シートを日除けテント、テントハウスなどの長期用途に使用した場合、ポリオレフィン系樹脂組成物に難燃剤として含まれる金属化合物が徐々に酸性雨(乾燥時に濃縮されて残留する強酸)による腐食を受けることによって次第に難燃性を失活させていくという問題、また同時に難燃剤の粒子が腐食で痩せる(体積が減少する)ことによって、ポリオレフィン系樹脂と粒子との間に微細な隙間を生じ、樹脂被覆層の強度を著しく低下させるという問題、更に、酸性雨によってシートの外観が白化するなどの多くの問題を引き起こしている。この問題は、表面処理した難燃剤を使用した従来の難燃化ポリオレフィン系樹脂組成物によって、初期レベルにおける改善がある程度可能になるが、屋外において長期にわたり使用された場合には、表面処理の耐候劣化によって耐水性が失われ、その結果、酸性雨(乾燥時に濃縮されて残留する強酸)による腐食を受け、1〜2年でシートが劣化して使用できなくなるという問題を生じている。
【0007】
また、これらの問題以外に、ポリオレフィン系樹脂の誘電損率が低過ぎるために、ポリ塩化ビニル樹脂製のシートの縫製に使用する高周波融着機が使用できないという不便がある。また特殊な熱融着機を用いてこれらのシートを縫製しても、防炎規格(消防法施工規則第4条:JIS規格L−1091)に適合相当量の多量のハロゲン非含有難燃剤を含有することによってポリオレフィン系樹脂フィルムの強度が設計段階から著しく低いという問題とともに、合成繊維織物との密着性も十分に得られないために、縫製接合部の糸抜け破壊を生じ易いという欠点を有するものであった。またポリオレフィン系樹脂にこれらのハロゲン非含有難燃剤を配合したコンパウンドは、その混練時において、方法従来の一括混練法を用いた場合、ハロゲン非含有難燃剤粉体がバンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機の中に沈降、凝集して残り、このためポリオレフィン系樹脂に対してハロゲン非含有難燃剤を定量分散することが困難となり、従って消防法に定められる防炎規格に安定して適合できないという不都合があった。
【0008】
従ってハロゲン非含有難燃剤を配合することによって難燃化して得られる防炎シート製品は存在しても、十分な酸性雨に対する耐性を有し、その結果、屋外長期間安定した難燃性を維持可能なポリオレフィン系樹脂製の帆布シートやターポリンシートは未だに開発されていない。そして、高周波ウエルダー融着が可能で、接合部強度に優れ、しかも耐光性にも優れたハロゲン非含有のポリオレフィン系樹脂製の帆布シート及び、ターポリンシートなども未だ開発されていないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来のハロゲン非含有の難燃化ポリオレフィン系樹脂シートでは成し得なかった酸性雨に対する耐性と、屋外長期間安定した難燃性とを有し、かつ高周波ウエルダー融着性にも優れ、テント、シート倉庫、建築現場養生シート、建築現場用遮音シートなどの産業資材用シートの用途に適したポリオレフィン系樹脂シートを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートは、繊維布帛を含む基布と、前記基布の少なくとも1面を被覆しているポリオレフィン系樹脂被覆層とを有し、
前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が、
(A)100重量部のポリオレフィン系樹脂ブレンドと、
(B)20〜200重量部の、難燃剤からなる粒子本体、及びその表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含む表面被覆層を有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
を含み、
前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)が、
(a)メタロセン系触媒の存在下で、エチレンと、少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂と、
(b)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体から選ばれた少なくとも1種からなるエチレン系共重合体樹脂と、
を含み、
前記共重合体樹脂(b)に含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計量が、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)の合計重量に対して、5〜30重量%の範囲内にある、
ことを特徴とするものである。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が前記基布の表面を被覆しており、さらに、前記基布の裏面が、熱可塑性樹脂層により被覆されていて、前記熱可塑性樹脂層が、
(D)100重量部の熱可塑性樹脂と
(B)20〜200重量部の、難燃剤からなる粒子本体、及びその表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含む表面被覆層とを有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
を含むことが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層に含まれる前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、及びジアリルフタレート樹脂から選ばれた1種以上を含み、かつその被覆率が、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子の重量に対し、2〜15重量%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層用熱硬化性樹脂に、更に金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物及びシリコーン系化合物から選ばれた1種以上の添加剤が混合されていて、この添加剤の混合量が、熱硬化性樹脂の重量に対して、1〜30重量%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層中に含まれる前記耐光安定剤の含有量が、前記表面被覆層の重量に対して0.05〜3.0重量%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記耐光安定剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体が、リン含有化合物、窒素含有化合物、無機系化合物の1種以上を含むことが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用リン含有化合物が、赤リン、(金属)リン酸塩、(金属)有機リン酸塩、ポリリン酸アンモニウムから選ばれることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用窒素含有化合物が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用無機系化合物が、金属酸化物、金属水酸化物、金属複合酸化物、金属複合水酸化物から選ばれることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記基布用繊維布帛が、フィラメント糸条からなり、かつその空隙率が5〜40%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が、さらに、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド100重量部に対し、0.05〜3.0重量部の耐光安定剤を含んでいてもよい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記基布用繊維布帛が、繊維形成時に難燃剤を練り込み或いはドーピングすることにより、又は、繊維形成後に後処理により難燃化処理されているものであることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂製造用メタロセン系触媒が、シクロペンタジエニル誘導体、及びインデニル誘導体の少なくとも1種を含有する有機遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを含むことが好ましい。
裏面熱可塑性樹脂層を有する本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記裏面熱可塑性樹脂層用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
裏面熱可塑性樹脂層を有する本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、前記裏面熱可塑性樹脂用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた少なくとも1種と、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂及びアリルフタレート系樹脂から選ばれた少なくとも1種とのブレンドを含むものであってもよい。
【0011】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法は、前記本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートを製造するために、
(1)前記エチレン系共重合体樹脂(b)中に、前記難燃剤粒子本体と、その表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含むハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の少なくとも1種を高濃度で含む1種以上の(b)+(B)ペレットを製造し、
(2)前記(b)+(B)ペレットの全種と、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(a)及び前記耐光安定剤とを混合して被覆用樹脂コンパウンドを調製し、
(3)前記樹脂コンパウンドを、カレンダー成形又はT−ダイ押出成形に供して、ポリオレフィン系樹脂フィルムを成形し、
(4)前記ポリオレフィン系樹脂フィルムを、前記基布の少なくとも1面に積層・貼着する、
ことを特徴とするものである。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記基布の表面に前記ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層貼着する工程と、さらに、前記基布の裏面に、熱可塑性樹脂層を形成する工程とを含み、
前記熱可塑性樹脂層が、
(D)100重量部の熱可塑性樹脂と
(B)20〜200重量部の、難燃剤粒子本体、及びその表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含む表面被覆層を有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
を含み、
前記熱可塑性樹脂層の形成工程において、
(a′)熱可塑性樹脂(D)の水性エマルジョン及び水性ディスパージョンから選ばれた少なくとも1種からなる水系の樹脂液、
あるいは、
(b′)熱可塑性樹脂(D)を有機溶剤中に溶解して得られた溶液、
の中に、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)を含有させて塗布液を調製し、この塗布液を基布の裏面に塗布し、乾燥する、ことが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)が、その難燃剤粒子本体の組成、及び/又はその表面被覆層の組成において異る2種以上からなり、
前記(b)+(B)ペレット製造工程において、前記2種以上のハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の全種を、前記エチレン系共重合体樹脂(b)中に混合して単1種の(b)+(B)ペレットを製造してもよい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)が、その粒子本体の組成及び/又はその表面被覆層の組成において異る2種以上からなり、
前記(b)+(B)ペレット製造工程において、前記2種以上のハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の少なくとも1種と、前記エチレン系共重合体樹脂(b)とを混合して少なくとも2種の(b)+(B)ペレットを製造し、
前記被覆用樹脂コンパウンド調製工程において、前記2種以上の(b)+(B)ペレットの全種と、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(a)及び前記耐光安定剤(C)とを混合して被覆用樹脂コンパウンドを調製してもよい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層に含まれる前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、及びジアリルフタレート樹脂から選ばれた1種以上の熱硬化性樹脂を含み、かつその被覆率が、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子の重量に対し、2〜15重量%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層用熱硬化性樹脂に、更に金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物及びシリコーン系化合物から選ばれた1種以上の添加剤が混合されていて、この添加剤の混合量が、熱硬化性樹脂の重量に対して、1〜30重量%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層中に含まれる前記耐光安定剤の含有量が、前記表面被覆層の重量に対して0.05〜3.0重量%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記耐光安定剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体が、リン含有化合物、窒素含有化合物、無機系化合物の1種以上を含むことが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用リン含有化合物が、赤リン、(金属)リン酸塩、(金属)有機リン酸塩、ポリリン酸アンモニウムから選ばれることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用窒素含有化合物が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用無機系化合物が、金属酸化物、金属水酸化物、金属複合酸化物、金属複合水酸化物から選ばれることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記基布用繊維布帛が、フィラメント糸条からなり、かつその空隙率が5〜40%であることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が、さらに、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド100重量部に対し、0.05〜3.0重量部の耐光安定剤を含んでいてもよい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記基布用繊維布帛が、繊維形成時に難燃剤を練り込み或いはドーピングすることにより、又は、繊維形成後に後処理により難燃化処理されているものであることが好ましい。
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の製造用メタロセン系触媒が、シクロペンタジエニル誘導体、及びインデニル誘導体の少なくとも1種を含有する有機遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを含むことが好ましい。
裏面熱可塑性樹脂層を有する本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記裏面熱可塑性樹脂層用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
裏面熱可塑性樹脂層を有する本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法において、前記裏面熱可塑性樹脂用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた少なくとも1種と、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂及びアリルフタレート系樹脂から選ばれた少なくとも1種とのブレンドを含むものであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートは、ポリオレフィン系樹脂被覆層が繊維布帛からなる基布の少なくとも1面に設けられている積層シートであって、前記ポリオレフィン系樹脂被覆層は、
(A)100重量部のポリオレフィン系樹脂ブレンドと
(B)20〜200重量部の、難燃剤からなる粒子本体、及びその表面に形成されかつ熱可塑性樹脂と耐光安定剤とを含む表面被覆層を有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
を含み、
前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)は、
(a)メタロセン系触媒の存在下で、エチレンと、少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂と、
(b)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂から選ばれた少なくとも1種からなるエチレン系共重合体樹脂と、
を含み、
前記共重合体樹脂(b)に含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計量は、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)の合計重量に対して、5〜30重量%の範囲内にある。
基布用繊維布帛は、ケイ素化合物含有組成物により前処理がされていてもよい。本発明において用いられる(メタ)アクリル酸(エステル)とは、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルを包含するものである。
【0013】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層のポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)に使用される直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(a)としては、メタロセン系触媒の存在下でエチレンと、好ましくは炭素原子数3〜18の1種以上のα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂である。このエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(a)は、エチレンモノマーと、好ましくは炭素原子数3〜18のα−オレフィンモノマーとを、メタロセン系均一触媒の存在下、気相法、スラリー液相法、または高圧法によって重合することにより得られる。α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、及びオクタデセン−1などが用いられるが、炭素原子数4〜10のα−オレフィンが特に好ましい。また、これらのα−オレフィンを1種または2種以上用いて、これらをエチレンモノマーと共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を使用してもよい。これらのエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(a)は、1種のみならず、2種以上のエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂をブレンドして併用することもでき、これらのエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の単一体及び、ブレンド体のメルトインデックスは、0.3〜20g/10min であることが好ましい。メルトインデックスが、0.3g/10min 未満であると、ハロゲン非含有難燃剤粒子(b)との混練性と成形性が不十分になることがあり、またそれが、20g/10min よりも高いと、得られる耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの強度及び耐熱性が不十分になることがあるだけでなく、粘着性を増してブロッキングを生ずることがある。
【0014】
本発明に使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(a)の重合に使用できるメタロセン系触媒としては、シクロペンタジエニル誘導体、及びインデニル誘導体の少なくとも1種を含有する有機遷移金属化合物の1種以上からなる触媒成分と、1種以上のアルキルアミノキサンを含む助触媒とを含むものであることが好ましい。シクロペンタジエニル誘導体、及び/又はインデニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物の遷移金属は、原子周期律表第IVB族から選ばれることが好ましい。例えばジルコニウム、チタニウム、ハフニウムであることが好ましい。シクロペンタジエニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物の具体例としては、ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(1−メチル−3−n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、1−メチル−1エチリデン(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライドなどが例示できる。
【0015】
インデニル誘導体を含有する有機遷移金属化合物の具体例としてはエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、1,2−エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、などが例示できる。前者のシクロペンタジエニル誘導体を含有するメタロセン系触媒はシンジオタクシティが高く、また後者のインデニル誘導体を含有するメタロセン系触媒はアイソタクシティが高く、これらのメタロセン系触媒を使い分けることによってエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の立体規則性をコントロールして得ることができる。
【0016】
本発明に使用するエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(a)の重合には、前述のようにメタロセン系触媒系用助触媒としてアルキルアルミノキサンを併用すると、重合活性効率を向上させることができる。上記アルキルアルミノキサンとしてはメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、及びイソブチルアルミノキサンなどが例示できる。例えば、アルキルアルミノキサンはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウムと水との縮合によって得られる−(Al(CH3 )−O−)n −縮合物が使用できる。アルキルアルミノキサンの添加量はメタロセン系触媒に対して金属原子数比(アルミニウム原子/メタロセン系触媒の遷移金属原子)が100〜1000であることが好ましく、また重合系内に使用されるメタロセン系触媒量としては、重合系の容積1リットルに対して1×10-8〜1×10-3グラム原子の量で使用されることが好ましい。また、必要に応じて重合活性を高める目的で、従来公知のプロトン酸、ルイス酸、ルイス酸性化合物を触媒系中に併用してもよい。プロトン酸、ルイス酸、ルイス酸性化合物の種類には特に限定はないが、ホウ素系化合物を好ましく使用できる。
【0017】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層用ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)に使用できるエチレン系共重合体樹脂(b)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及び/又はエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂を含み、これらは、ラジカル重合法により製造された共重合体樹脂であることが好ましい。エチレンモノマーとラジカル重合し得るモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸、そのエステル化物や酸無水物及び酢酸ビニルが挙げられる。不飽和カルボン酸のエステル化物としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。これらのモノマーは、1種のみならず2種以上用いるとができる。
【0018】
また具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂としては、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとの重合によって得られるもの、エチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂としては、エチレンモノマーとアクリル酸モノマーとの重合によって得られるエチレン−アクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーとアクリル酸エステルモノマーとの重合によって得られるエチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂、エチレンモノマーとメタアクリル酸モノマーとの重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸共重合体樹脂、エチレンモノマーとメタアクリル酸エステルモノマーとの重合によって得られるエチレン−メタアクリル酸エステル共重合体樹脂など、及びこれらの2種類以上の混合物が挙げられる。
【0019】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)に使用されるエチレン系共重合体樹脂として、好ましくは、酢酸ビニル成分含有量が5〜60重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、もしくは、(メタ)アクリル酸(エステル)成分含有量が5〜60重量%のエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂が用いられる。またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂と(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂とのブレンドにおいては、酢酸ビニル成分と(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計含有量が5〜60重量%であることが好ましい。これらのエチレン系共重合体樹脂(b)のメルトインデックスは、0.3〜20g/10min のものが本発明に適して使用できる。メルトインデックスが、0.3g/10min 未満であるとハロゲン非含有難燃剤の混練性と成形性が不十分になることがあり、また、それが20g/10min よりも高いと、得られる耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの強度及び耐熱性が不十分になることがあり、また、粘着性を増してブロッキングを生ずることがある。
【0020】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)において、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂)(a)と、上記エチレン系共重合体樹脂(b)とのブレンド(a)において、成分(a)と(b)との重量比は100:10〜100:100であることが好ましい。このポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)の合計重量に対して、エチレン系共重合体樹脂(b)中の酢酸ビニル成分と、及び(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計量の重量比が5〜30重量%である。前記重量比が100:10未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂シートの高周波ウエルダー融着性及び、難燃性、柔軟性が不十分となり好ましくなく、またそれが100:100を越えると得られるポリオレフィン系樹脂シートの被膜樹脂強度が不十分となり擦り傷が付き易くなるなどの不都合を生ずる。また同時にポリオレフィン系樹脂ブレンド層に含まれる酢酸ビニル成分と、(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計含有量は5〜30重量部、最適には8〜20重量部であることが好ましい。酢酸ビニル成分と、(メタ)アクリル酸(エステル)成分の合計含有量が5重量%未満だと得られるポリオレフィン系樹脂膜材の高周波ウエルダー融着性、及び難燃性、柔軟性が不十分となり好ましくなく、30重量%を越えると得られるポリオレフィン系樹脂シートの被膜樹脂強度が不十分となり擦り傷が付き易くなり好ましくない。また耐熱クリープ性が不十分となり好ましくない。
【0021】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層に使用されるエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂(a)と、エチレン系共重合体樹脂(b)の上記ブレンド(A)成分の密度は、0.913〜0.938g/cm3 であることが好ましく、特に0.916〜0.933g/cm3 の範囲であることがより好ましい。密度が0.938g/cm3 を越えると得られる樹脂ブレンドの結晶化度が大きくなると同時に風合いが硬くなることがあり、またハロゲン非含有難燃剤粒子(b)及び、耐光安定剤がポリオレフィン系樹脂シートの表面にブルームして外観を曇らせることがある。また密度が0.913g/cm3 未満では、耐ブルーム性は良好となるが、フィルム強度と耐熱性が低下して十分な摩耗強度が得られなくなることがあり、また高周波ウエルダー融着性が不十分になることがある。
【0022】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層には、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(a)の他に、耐衝撃強度改善及び樹脂摩耗強度の改善などのために、メタロセン触媒の存在下、プロピレンモノマーの自己重合によって得られるアイソタクティックポリプロピレン樹脂、及び/又はシンジオタクティックポリプロピレン樹脂5〜10重量%程度を添加してもよい。
【0023】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層には、有機系顔料及び/又は無機系顔料によって着色されていてもよい。有機系及び無機系顔料としては従来公知のものが使用でき、特に制限はない。
【0024】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層に含まれる粒子状ハロゲン非含有難燃剤(B)は、難燃剤からなる粒子本体、及びその表面を被覆し、かつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含む表面被覆層を有し、粒子本体用難燃剤としては、リン含有化合物、窒素含有化合物、無機系化合物のいずれか1種以上が用いられることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)100重量部に対し、ハロゲン非含有難燃剤粒子(b)を20〜200重量部配合して使用される。
【0025】
前記リン含有化合物としては、赤リン、(金属)リン酸塩、(金属)有機リン酸塩、ポリリン酸アンモニウムが挙げられる。赤リンとしては、黄リンを不活性ガス雰囲気下、250〜350℃の加熱によって赤リンに転化された平均粒子径5〜25μmの粉末状の赤リンが使用できる。また、本発明に使用する赤リンとしては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、ジアリルフタレート樹脂の熱硬化性樹脂から選ばれた1種以上により表面被覆された平均粒子径5〜25μmの粉末状の赤リン粒子を使用することが好ましい。
【0026】
金属リン酸塩としてはリン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの金属塩が挙げられる。リン酸と塩を形成する金属としてはNa、K、Li、Ca、Ba、Mg、Al、Znなどが挙げられる。有機リン酸塩としては、(亜)リン酸モノアルキルエステルの金属塩、(亜)リン酸ジアルキルエステルの金属塩が挙げられる。有機リン酸と塩を形成する金属としてはNa、K、Li、Ca、Ba、Mg、Al、Znなどが挙げられる。ポリリン酸アンモニウム系化合物としては、オルソリン酸アンモニウムと含窒素化合物との縮合物である縮合系リン酸塩化合物を用いることができる。縮合系リン酸塩化合物としては、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンなどが使用できる。ポリリン酸アンモニウム(NH4 PO3 )n としては、重合度nが200以上のものが好ましく用いられる。ポリリン酸アンモニウムの重合度nが200未満であると、ポリリン酸アンモニウムが水溶性となり、水に溶出してしまうことにより難燃化効果の持続性が失われるなどして降雨に晒される用途には不適切となる。本発明の難燃化耐光性ポリオレフィン系樹脂シートに使用できる縮合リン化合物としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂などの窒素含有熱可塑性樹脂で表面被覆処理された重合度nが600〜1200のポリリン酸アンモニウムが好ましく使用できる。
【0027】
ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体に用いられる前記窒素含有化合物としては、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物及びこれらの誘導体化合物から選ばれた1種以上であることが好ましい。具体的に窒素含有化合物としては、トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌレート誘導体、及びこれらの(イソ)シアヌレート誘導体とメラミン系化合物との複合物、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート誘導体、メラミン(シアヌル酸アミド)、グアナミン、ベンゾグアナミン、硫酸メラミン、トリメチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、シアヌル酸モノアミド、シアヌル酸ジアミド、及び1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリオキシ−1,3,5−トリアジンなどのシアヌル酸誘導体、またイソシアヌル酸モノイミド、イソシアヌル酸ジイミド、イソシアヌル酸トリイミド、トリメチルジシアナミド、トリエチルジシアナミド、トリカルボイミド、及びジシアナミドの3量体(メロン)などのイソシアヌル酸誘導体、またジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、及びジグアニドなどのグアニジン誘導体、尿素、チオ尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及び燐酸グアニル尿素などの尿素系化合物、及びこれらの窒素含有化合物の複合物が挙げられる。またこれらの窒素含有化合物とポリリン酸との複合物、例えばポリリン酸とメラミンの複合物、ポリリン酸とメラミンの2量体との複合物などが挙げられる。その他の窒素含有化合物として、ピロール類、インドール類、オキサゾール類、オキサジン類、チアジン類、ピリダジン類などの複素環式化合物なども使用することができる。
【0028】
ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体として用いられる前記無機系化合物としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属複合酸化物、金属複合水酸化物などが挙げられる。これらは具体的に、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化アンチモンなどの金属酸化物、及びホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、ジルコニウム−アンチモンなどの金属複合酸化物などが挙げられる。また水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの金属水酸化物、及びドロマイト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシスズ酸亜鉛、酸化スズの水和物、ホウ砂などの金属複合水酸化物、これらの無機系化合物粒子の粒径は、化合物の種類によって異なるが例えば平均粒径が、20μm以下、好ましくは10μm以下であるものが加工性、分散性のうえで好ましく、またこれらの無機系化合物は、1種または2種以上併用することもできる。
【0029】
これら前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層は、熱硬化性樹脂から選ばれた1種以上と耐光安定剤とを含み、上記ハロゲン非含有難燃剤に対し2〜15重量%、最適量としては3〜10重量%の被覆率で形成される。ハロゲン非含有難燃剤の被覆率が2重量%未満であると得られるシートの耐水性と酸性雨による耐腐食性が不十分になることがあり、また被覆率が15重量%を越えると、ハロゲン非含有難燃剤の表面被覆処理工程で、難燃剤粒子が凝集し、ポリオレフィン系樹脂への分散性と加工性を悪くすることがあり、また得られるシートの機械的強度を低下させることがある。
【0030】
表面被覆層に使用できる前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂としてはフェノール類、またはアルコール類とエピクロルヒドリン(ECH)との重縮合によって得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、例えばビスフェノールAとECHとの重縮合によって得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。特にフェノール誘導体としてフェノールノボラックを使用した多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが3次元編目構造を生成するため好ましく使用できる。その他、カルボン酸類とECHとの重縮合によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、アミン類または、シアヌル酸類、または、ヒダントイン類などとECHとの重縮合によって得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、及び脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。またこれらのエポキシ樹脂にはポリアミン、変性ポリアミン、酸無水物、イソシアネート、ポリメルカプタン及び有機酸などの重付加型硬化剤、3級アミン、イミダゾール、ルイス酸、ブレンステッド酸塩などの触媒型硬化剤、レゾール型フェノール樹脂、メチロール基含有尿素樹脂、メチロール基含有メラミン樹脂などの縮合型硬化剤などを併用してさらに樹脂を硬化させることができる。
【0031】
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、不飽和二塩基酸を含む二塩基酸と二価アルコールとの重縮合によって得られ、不飽和結合をビニルモノマーで架橋したものが挙げられる。不飽和二塩基酸としては無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられ、二塩基酸としては無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ヘット酸などが挙げられる。また多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。また架橋用のビニルモノマーとしてはスチレン、ビニルトルエン、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、メタクリル酸メチルなどが挙げられる。その他、不飽和ポリエステル樹脂としてビニルエステル樹脂を使用することもできる。
【0032】
前記フェノール樹脂としては、フェノールまたは、フェノール誘導体とホルムアルデヒドとの酸性触媒存在下での縮合によって得られるノボラック型樹脂をヘキサメチレンテトラミンのような架橋剤と共に加熱して硬化させたもの、あるいはフェノールまたは、フェノール誘導体とホルムアルデヒドとの塩基性触媒存在下での縮合によって得られるレゾール型樹脂を酸触媒または加熱によって硬化させたものが挙げられる。フェノール誘導体としては(o−,m−,p−)クレゾール、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシレノール、レゾルシノールなどが挙げられ、フェノールと併用することにより得られるフェノール樹脂の特性をコントロールすることができる。
【0033】
前記メラミン樹脂としては、メラミンまたは、メラミン誘導体とホルムアルデヒドとの付加によって得られるメチロール化メラミンを縮合したもの、尿素樹脂としては、尿素または、尿素誘導体とホルムアルデヒドとの付加によって得られるメチロール化ユリアを縮合したもの、トリアジン樹脂としては、グアナミンまたは、グアナミン誘導体とホルムアルデヒドとの付加によって得られるメチロール化グアナミンを縮合したものなどが挙げられる。またメチロール化においてメラミン、尿素、グアナミン及び、これらの誘導体を2種以上用いて付加させて共縮合樹脂させた物であっても良い。
【0034】
前記ジアリルフタレートとしては、アリルクロライドと無水フタル酸との付加体であるジアリルオルソフタレートまたは、アリルクロライドとイソフタル酸との付加体であるジアリルイソフタレートを線上にラジカル重合させたプレポリマーを、熱硬化、または紫外線硬化させたものが挙げられる。
【0035】
更に本発明に使用されるハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層には、前記熱硬化性樹脂と、後記耐光安定剤の他に、金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物、シリコーン系化合物から選ばれた1種以上の添加化合物が含有されることが好ましい。これらの添加化合物は前記熱硬化性樹脂に対し、1〜30重量%含有されることが好ましい。上記添加化合物が表面被覆層中に均一分散して含まれる場合には、前記熱硬化性樹脂に対する含有量が1〜10重量%であることが好ましく、またハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面を上記添加化合物で表面処理したものに、前記熱硬化性樹脂で表面処理被覆したもの、あるいはハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面を前記熱硬化性樹脂及び耐光安定剤含有表面処理被覆したものに上記添加化合物でさらに表面処理したものなどの場合には、前記熱硬化性樹脂に対する上記添加化合物の含有量が10〜30重量%であることが好ましい。
【0036】
前記金属アルコキシド化合物としては、M(OH)n の金属水酸化物の水酸基をアルコキシ基(OR:−OCH3 、−OC2 H5 、−OC3 H7 、−OC4 H9 などで置換した有機金属化合物M(OR)n である。金属Mとしては、Ba、Y、Cu、Zr、Nb、Ta、In、Sn、Fe、Si、Ga、Sr、W、Mn、Co、Zn、Ni、Al、La、Tiなどが挙げられる。これらは具体的に、ジエトキシバリウム、ジ−i−プロポキシバリウム、ジ−n−ブトキシバリウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、テトラエトキシシリコン、テトラ−i−プロポキシシリコン、テトラ−n−ブトキシシリコンなどである。これらの金属アルコキシドは、公知のゾル−ゲル法、または、加水分解沈殿法によって加水分解させ、重縮合して用いることができる。
【0037】
前記有機シラン化合物としては、一般式:XR−Si(Y)3 で表される分子中に2個以上の異なった反応基を有するシランカップリング剤で、例えば、X=アミノ基、ビニル基、エポキシ基、クロル基、メルカプト基など(R=アルキル鎖)、Y=メトキシ基、エトキシ基などである。またこれらの加水分解物、及びアルコキシシラン化合物との共加水分解化合物なども使用できる。具体的に有機シラン化合物としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの有機シラン化合物は1〜5重量%濃度で使用し、加水分解させて使用することができる。また有機シラン化合物として、変性ジメチルポリシロキサンを使用することができる。
【0038】
前記有機チタネート化合物としては、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタンポリマー、テトラ−n−ブトキシチタンポリマーなどのチタニウムアルコキシド化合物、トリ−n−ブトキシチタン・ステアレート、イソプロポキシチタン・トリステアレートなどのチタニウムアシレート化合物、ジ−i−プロポキシチタン・ビスアセチルアセトナト、ジ−i−プロポキシチタン・ビスエチルアセトアセタトなどのチタニウムキレート化合物、イソプロポキシチタン・トリイソステアレート、イソプロポキシチタン・ジメタクリレート・イソステアレート、イソプロポキシチタン・トリスジオクチルホスフェート、ビスジオクチルホスフェート・エチレングリコラトチタン、ジ−n−ブトキシ・ビストリエタノールアミナトチタンなどのチタンカップリング剤が挙げられる。有機チタネート化合物は1〜3重量%濃度で使用し、加水分解させて使用することができる。
【0039】
前記アルキルフルオロ基含有化合物のうち、フッ素系化合物としては炭素原子数が4〜20、好ましくは6〜12のパーフルオロアルキル基(Cn F2n+1)と親水性基とを有する化合物であって、水溶液中での表面張力が10〜15 dyn/cmであることが好ましい。このようなフッ素系化合物としては、例えば、フルオロアルキル(C4 〜C10)カルボン酸、N−パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−〔フルオロアルキル(C6 〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3 〜C4 )スルホン酸ナトリウム、3−〔ω−フルオロアルカノイル(C6 〜C8 )−N−エチルアミノ〕−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−〔3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル〕−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸、パーフルオロアルキル(C7 〜C13)カルボン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、パーフルオロアルキル(C4 〜C12)スルホン酸塩(Li,K,Na)、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6 〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6 〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩(K)、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキル(C6 〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。これらのフッ素系化合物はエマルジョン化されたものであってもよい。前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層に用いられるフッ素系化合物は、100℃前後の予備乾燥が施された後、150〜180℃で熱処理されることが好ましくこのようにすると、パーフルオロ基の配向が整列される。
【0040】
前記シリコーン系化合物としては、メチルクロロシラン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン類、フッ素変性ポリシロキサン類、ポリエーテル変性ポリシロキサン類、アルコール変性ポリシロキサン類、アミノ変性ポリシロキサン類、エポキシ変性ポリシロキサン類、フェノール変性ポリシロキサン類、カルボキシ変性ポリシロキサン類、メルカプト変性ポリシロキサン類などが挙げられる。これらのシリコーン化合物のうち、変性ポリシロキサンとしては、その変性部位が側鎖変性体であるもの、両末端変性体であるもの、及び片末端変性体であるものなどが挙げられる。また特にメチルハイドロジエンポリシロキサンまたは、メチルハイドロジエンポリシロキサンと、水酸基両末端ジメチルポリシロキサンとの併用物が好ましく使用できる。またメチルハイドロジエンポリシロキサン分子間にシロキサン(Si−O−Si)架橋生成を促進させる触媒として2−エチルヘキシル酸または酢酸などの有機酸の金属塩を使用してもよく、前記ハロゲン非含有難燃剤に対する固着性を高めるためにアミノプラスト系樹脂を併用することもできる。前記ハロゲン非含有難燃剤に処理されたシリコーン系化合物は100℃前後の予備乾燥が行われた後、150〜180℃で熱処理されることがシロキサン架橋形成を促進するため好ましい。
【0041】
前記リン含有化合物、前記窒素含有化合物、及び/又は前記無機系化合物などからなる難燃剤粒子本体を含むハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面処理被覆に使用する熱硬化性樹脂としては、前記熱硬化性樹脂、即ちエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、及びジアリルフタレート樹脂から選ばれた何れであってもよいが、特にメラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂を使用すると表面被覆処理が簡便になるので好ましい。前記リン含有化合物としては特にポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミンが好ましく、これらの粒子をメラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂で表面被覆したものが特に好ましく使用できる。
【0042】
また前記難燃剤粒子本体用窒素含有化合物としては特に(イソ)シアヌル酸誘導体、(イソ)シアヌレート誘導体などが好ましく、これらをメラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂などの熱硬化性樹脂で表面被覆したものが好ましく使用できる。またこれらの表面被覆層にはアルキルフルオロ基含有化合物、シリコーン系化合物などの添加化合物含むことが好ましく、これらの表面被覆層には更に耐光安定剤が含まれることが好ましい。
【0043】
ポリオレフィン系樹脂被覆層においてポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)100重量部に対し、表面被覆層を有するハロゲン非含有難燃剤粒子(B)20〜200重量部の重量比で配合して使用される。またこの時、難燃剤粒子(B)の凝集を防止する目的と、樹脂中への分散性を向上させる目的で、これらのハロゲン非含有難燃剤粒子(B)には、オレイン酸、ラウリン酸、ミスチリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、及びこれらの高級脂肪酸の金属塩による表面改質処理がさらに施されていてもよい。
【0044】
また、ハロゲン非含有難燃剤粒子の難燃剤粒子本体が無機系化合物からなる場合、表面被覆層形成のために熱硬化性樹脂に併用される金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物、シリコーン系化合物などの添加化合物のうち、特に金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物を用いることが好ましい。この金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物から選ばれた1種以上の添加化合物は、前記熱硬化性樹脂中に均一に分散して表面被覆層を形成してもよく、またあるいは、この金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物から選ばれた1種以上の添加化合物によって無機系化合物粒子の表面を処理し、その上に熱硬化性樹脂による表面被覆を行ってもよい。前記無機系化合物としては、特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどを用いることが好ましく、これらの表面被覆層には更に耐光安定剤を含んでいてもよい。
【0045】
本発明に使用するハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層の形成方法は、用いられるハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の粒子本体、及び表面被覆層の形成に用いられる上記熱硬化性樹脂の性状及び形態に応じて、気相法、液相法、マイクロカプセル法、オートクレーブ法、スプレー法、メカノケミカル法などの公知の方法から適宜選択することができる。ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の粒子本体の表面被覆は、ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)用粒子本体を熱硬化性樹脂及び耐光安定剤含有処理液中に分散・接触させて行う方法が簡便で好適である。この時、熱硬化性樹脂溶液としては、有機溶剤中に溶解した溶液、またはエマルジョン、或は熱硬化性樹脂前駆体を有機溶剤中に溶解させた溶液、または熱硬化性樹脂前駆体の水溶液、の何れであってもよい。またこの時、金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物、シリコーン系化合物などの化合物、特に金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物から選ばれた1種以上の添加化合物と、さらに耐光安定剤を含有して用いることができる。
【0046】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層に含まれるハロゲン非含有難燃剤粒子において、その難燃剤粒子本体上に形成される表面被覆層中には、耐光安定剤が含まれ、必要によりポリオレフィン系樹脂被覆層中に、ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)100重量部に対し、0.05〜3.0重量部含有されている。ハロゲン非含有難燃剤粒子及びポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)に添加する耐光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジtert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(4’−オクトキシ−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(2−フェニルイソプロピル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3'',4'',5'',6''−テトラヒドロフタロイド−メチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物などが挙げられる。
【0047】
前記ベンゾフェノン系化合物としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。また前記シアノアクリレート系化合物としてはエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどが挙げられる。サリシレート系化合物としてはフェニルサリシレート、4−t−ブチル−フェニルサリシレート、4−t−オクチル−フェニルサリシレート、ビスフェノールA−ジサリシレートなどが挙げられる。
【0048】
前記ヒンダードアミン系化合物としてはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル]ブチルマロネート、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、N,N’,N'',N''' −テトラキス[4,6−ビス〔ブチル(N−メチル−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ〕トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキソ−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,10−ジアザ−20(2,3−エポキシプロピル)ジスピロ[5.1.11.2]−ヘネイコサン−21−オンの重縮合物、プロパンジオン酸[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペラジニル)エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド−N,N’−ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペラジニル)、ポリ[〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕]、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物などが挙げられる。
【0049】
ポリオレフィン系樹脂ブレンド(a)に添加する耐光安定剤としては上記化合物から選ばれた2種以上を組み合わせて使用することもできる。特にこれらの化合物の融点が150℃以下のものがポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)との混練時、分散性が良好であるので好ましく、またヒンダードアミン系化合物としては、ピペリジル基のN位水素がメチル基などのアルキル基で置換されたもの、メトキシ基などのアルコキシ基で置換されたものが、より安定性に優れているため特に好ましい。耐光安定剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)100重量部に対して0.05〜3.0重量部である。添加量が0.05未満だと耐光性が満足に得られず、またそれが3.0重量部を越えて添加した場合には、耐光性は十分なものとなるが、添加量の増量に見合う耐光性の向上が得られず、反対に耐光安定剤のブルームのトラブルを引き起こすことがあり好ましくない。
【0050】
また前記耐光安定剤は、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層中に、さらに含有されている。この場合、上記耐光安定剤は、前記熱硬化性樹脂と、必要により添加された前記金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物、シリコーン系化合物から選ばれた1種以上の添加化合物とからなる表面被覆層に対し、0.05〜3.0重量%であることが好ましく、0.1〜1.5重量%の配合量であることがより好ましい。上記耐光安定剤の前記配合量が0.05%に満たないと、ハロゲン非含有難燃剤粒子の表面処理被覆層に含まれる熱硬化性樹脂が光劣化し、降雨中に含まれる窒素酸化物、及び硫黄酸化物による腐食を受けることによって次第に難燃性を失活させる問題と、同時に難燃剤粒子が腐食によって痩せる(体積減少する)ことによって、得られるシートの強度が低下することがある。また上記耐光安定剤の配合量が3.0%を越えると、熱硬化性樹脂から耐光安定剤がブルームするのみならず、得られるシートの難燃性を低下させることがある。
【0051】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層形成用フィルムは、従来公知の成型加工方法、例えばT−ダイス押出法、インフレーション法、カレンダー法などによって形成することができる。ポリオレフィン系樹脂被覆層形成用コンパウンドを、例えば、バンバリーミキサー、ニーダーで溶融混練後にカレンダー成型する方法によって、また二軸混練機などを用いて溶融混練後、単軸押出機、二軸押出機などで溶融混練造粒してからT−ダイス押出成型、インフレーション成型などの方法によってフィルムに成型されてもよい。本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムは、1種以上のハロゲン非含有難燃剤粒子(B)を一括して高濃度で含有させたポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)とから造粒されたペレット、または2種以上の難燃剤粒子(B)を、それぞれ別々に高濃度で含有させたポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)を造粒したペレットを予め製造しておき、これをポリオレフィン系樹脂被覆層を形成するためのコンパウンド組成樹脂の一部として配合してバンバリーミキサー、ニーダーなどで溶融混練し、この混練物をカレンダー法によりフィルム成型してもよく、この方法はハロゲン非含有難燃剤を効率よく定量分散できるので好ましい。従来の一括混練法では、これらのハロゲン非含有難燃剤の粒子がバンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機の中に沈降、凝集して残ることがあり、このためポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)に対してハロゲン非含有難燃剤粒子(B)を定量分散することが不十分であって、この結果消防法に定められる防炎規格(消防法施工規則第4条:JIS規格L−1091)に不適合となることがある。上記これらの造粒ペレットにはハロゲン非含有難燃剤粒子(B)以外に有機系顔料、無機系顔料などの着色剤、及び耐光安定剤(C)などを溶融混練造粒されていてもよい。
【0052】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムは、上記コンパウンドを用いてT−ダイ押出法、インフレーション法、カレンダー法などの加工技術によって製造することができるが、特に有機系顔料、無機系顔料などによって着色されたフィルムの製造、あるいは色替え作業の多い加工には、カレンダー法を用いると、コンパウンドロスが少なく簡便である。本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムはカレンダー法によって100〜200℃の温度範囲でフィルムに成型加工されることが好ましく、成型時の加工性とフィルム外観を向上させる目的でリン酸エステル系、脂肪族アミド系、モンタン酸系の滑剤を添加することが好ましい。カレンダー法により得られるポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムの厚さは、80〜500μm、であることが好ましく特に130〜300μmであることがより好ましい。厚さがこの範囲よりも薄いと成型加工が困難な上に基布にラミネートした時に、基布用繊維布帛の織交点部上において、フィルムの頭切れを起こし、防水性を損ない、シートの耐久性が低下することがある。本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの厚さに制限はないが、80〜500μmのポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを、1〜4枚用いて基布上にラミネートすることが好ましい。特に130〜300μmのポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを2枚用いて基布の両面に積層貼着することが好ましい。
【0053】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの基布に使用できる繊維布帛としては、織布、編布のいずれでもよく、織布としては平織、綾織、繻子織などが挙げられるが、特に平織織布を用いると得られるポリオレフィン系樹脂シートの経・緯物性バランスが優れている。繊維布帛の経糸・緯糸の糸条は合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維またはこれらの2種以上から成る混用繊維のいずれによって製織されても良いが、加工性と汎用性を考慮するとポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリエステル繊維、ナイロン繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維などの糸条が好ましく使用できる。また、これらの繊維糸条は、マルチフィラメント糸条、短繊維紡績糸条、モノフィラメント糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状でも使用できるが、マルチフィラメント糸条が最も好ましい。また無機繊維としてはガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維などのマルチフィラメント糸条が使用できる。本発明の高周波融着性ポリオレフィン系樹脂シートの基布に使用される繊維織布としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、及びこれらの混用繊維からなるマルチフィラメント繊維糸条による平織織布であることが好ましい。これらの繊維布帛としては、必要に応じて難燃化処理された繊維布帛及び、予め難燃化された繊維によって製織された布帛を使用することもできる。難燃化処理された繊維布帛としては、繊維の種類に応じて、リン酸エステル系化合物難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系化合物難燃剤、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物難燃剤、シアナミド系化合物難燃剤、尿素系化合物難燃剤、硫黄系化合物難燃剤から選ばれた1種以上を水または有機系溶剤、あるいはエマルジョン及び、ラテックスなどを分散媒体として用い、難燃剤を分散して、あるいは溶解して含む難燃化処理剤を上記繊維布帛に含浸させ、乾燥、熱処理して得られるものが挙げられる。また、予め難燃化された繊維としては、糸をポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂から紡糸を行う段階で上記難燃剤から選ばれた1種以上をブレンドして溶融紡糸することによって得られた難燃繊維、あるいは、熱可塑性樹脂を合成する段階で原料モノマーの一部をリン酸エステル含有モノマーや、ハロゲン含有モノマーと置換して重縮合して得られたポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などから溶融紡糸された難燃繊維が挙げられる。
【0054】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの基布用繊維布帛に使用されるマルチフィラメント糸条としては125〜2000デニールのもの、特に250〜1000デニールのマルチフィラメント糸条が使用できる。マルチフィラメント糸条が125デニール未満では得られるシートの引裂強力に劣り、また2000デニールを超えると破断強力及び引裂強力は向上するが、糸の径が太くなりそれに伴って、シートが厚くなると同時に、繊維布帛の織交点により生ずる凹凸が大きくなり平滑性に劣り好ましくない。また本発明のポリオレフィン系樹脂シートに使用する繊維布帛は目抜け平織であることが好ましい。繊維布帛の経糸及び緯糸の打込み本数に特に限定はないが、125〜2000デニールのマルチフィラメント糸条を、経糸・緯糸1インチ当たり8〜38本打込んで得られる織布、例えば500デニールのマルチフィラメント糸条の場合1インチ当たり14〜24本の打ち込み本数で得られる平織織布、1000デニールのマルチフィラメント糸条の場合1インチ当たり12〜22本程度の打込みで得られる平織織布が例示できる。
【0055】
また、これらの繊維布帛の空隙率(目抜け)は、5〜40%のものが好ましく適している。空隙率が5%未満であると糸密度が込みすぎて得られるシートのフレキシブル性が不十分であることがあり、また繊維布帛の表裏面に貼着される2枚のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルム相互のブリッジ融着性を低下させ、動的耐久性を悪くすることがあるため好ましくない。また、空隙率が40%を越えるとフレキシブル性とフィルムのブリッジ融着性は向上するが、経緯方向の繊維糸条の含有量が少なくなりすぎて得られるシートの寸法安定性が不十分になり、シートの引裂き強度が低下して実用性が悪化することがある。空隙率は繊維布帛の単位面積中に占める繊維糸条の面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。空隙率は経方向10cm×緯方向10cmを単位面積として求めることが好ましい。
【0056】
また、本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの基布に使用する繊維布帛はケイ素化合物含有組成物によって下処理されていてもよい。ケイ素化合物含有組成物としては、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、シランカップリング剤から選ばれた1種以上からなる組成物、及び合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、シランカップリング剤から選ばれた1種以上と熱可塑性樹脂との組成物が挙げられる。これらのケイ素化合物のうち合成非晶質シリカとしては、1000℃以上の高温加熱または焼成による乾式法によって生成するシリカ粒子表面の吸着水及び、水酸基の含有量の少ない無水シリカ、ケイ素ナトリウムと鉱酸からシリカゲルを生成させ、シリカゲル中の水分をアルコールのような有機溶媒で置換したオルガノゾルを乾燥させるエアロゲル法によって得られるシリカ、ケイ酸ナトリウムと鉱酸及び、塩類を水溶液中で反応させる湿式法により得られるシリカなどが使用できる。これらのシリカ粒子は平均粒子径が1〜20μm程度のものが好ましく使用できる。前記繊維布帛の下処理は合成非晶質シリカを水中に均一分散させたSiO2 含有濃度10〜30重量%のシリカ水溶液浴中に繊維布帛を浸漬し、浴から引上げると同時にニップロールを通過させ、余分なシリカ水溶液を除去し、水分を乾燥させて行うことができる。また繊維布帛に対する付着率としては特に限定はないが、付着率が3〜10重量%であることが好ましい。この時、合成非晶質シリカとシランカップリング剤とを併用することが好ましい。
【0057】
前記コロイダルシリカとしては、ケイ酸ナトリウム溶液を陽イオン交換することによって得られるBET平均粒子径10〜50nmの水分散媒コロイド状のシリカゾル(SiO2 )または、有機系溶剤を分散媒とするBET平均粒子径10〜50nmのコロイド状シリカゾル(SiO2 )が使用できる。前記繊維布帛の下処理はSiO2 含有濃度5〜30重量%のコロイダルシリカ浴中に繊維布帛を浸漬し、浴から引上げると同時にニップロールを通過させ、余分なコロイダルシリカを除去し、水分または有機系溶剤を乾燥させて行うことができる。また繊維布帛に対する付着率としては特に限定はないが、付着率が3〜10重量%であることが好ましい。この時コロイダルシリカとシランカップリング剤とを併用することが好ましい。
【0058】
前記シランカップリング剤としては、一般式:XR−Si(Y)3 で表される分子中に2個以上の異なった反応基を有する化合物で、例えば、X=アミノ基、ビニル基、エポキシ基、クロル基、メルカプト基など(R=アルキル鎖)、Y=メトキシ基、エトキシ基などである。またこれらの加水分解物、及びアルコキシシラン化合物との共加水分解化合物なども使用できる。具体的にシランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるが、特にエポキシ系シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤は1〜5重量%濃度で使用し、蟻酸、酢酸などの酸を用いてpH3〜5の条件に調整されることが好ましい。前記繊維布帛の下処理はシランカップリング剤水溶液浴中に繊維布帛を浸漬し、浴から引上げると同時にニップロールを通過させ、余分なシランカップリング剤水溶液を除去し、水分を乾燥させて行うことができる。この時、合成非晶質シリカまたはコロイダルシリカとを併用することが好ましく、繊維布帛に対する付着率としては特に限定はないが、付着率が3〜10重量%であることが好ましい。
【0059】
前記ケイ素化合物と共に用いられる熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂のエマルジョン、ディスパージョンなどの水分散体の形態、または有機系溶剤中に可溶化させた形態のものが使用でき、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂などが使用できる。特にメタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、無水イタコン酸、無水マレイン酸、N−メチルマレイミドなどによって変性されたエチレン系共重合体樹脂、及びアクリル系共重合体樹脂であることが好ましい。また必要に応じてフェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、アリルフタレート系樹脂などの熱硬化性樹脂をブレンドして使用することもできる。前記繊維布帛の下処理はこれらの熱可塑性樹脂エマルジョンまたはディスパージョン中に前記ケイ素化合物を混合した水系処理液浴中に繊維布帛を浸漬し、浴から引上げると同時にニップロールを通過させ、余分なケイ素化合物含有組成物を除去し、水分を乾燥させて行うことができる。また溶剤系熱可塑性樹脂の場合も同様の方法によって下処理を行うことができる。熱可塑性樹脂固形分とケイ素化合物の固形分重量比に特に制限はないが、熱可塑性樹脂:ケイ素化合物(合成非晶質シリカ)/10〜50:90〜50重量%程度であることが好ましい。
【0060】
これらケイ素化合物含有組成物によって下処理された繊維布帛からなる基布には前記合成非晶質シリカを3〜25重量%含有するポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)を含む組成物から形成されたフィルムを積層貼着することが好ましく、本発明においては、さらには上記熱可塑性樹脂:ケイ素化合物/10〜50:90〜50重量%からなるケイ素化合物含有組成物が少なくともシランカップリング剤を含み、かつ、前記合成非晶質シリカを3〜25重量%含有するポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)含有組成物からなるフィルム層が積層されていることが好ましい。
【0061】
本発明の耐酸性雨難燃化ポリオレフィン系樹脂シートにおいて、上記繊維布帛、難燃化した繊維布帛、ケイ素化合物含有組成物によって下処理された繊維布帛、及び、ケイ素化合物含有組成物によって下処理された難燃化繊維布帛などの基布に対するポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムの積層形態は、これらの繊維布帛の両面にポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムが積層されていることが特に好ましいが、用途によっては片面だけに積層された形態であってもよい。また、積層の方法として、ポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムと上記基布との間に接着剤層を設けて積層してもよいし、あるいは接着剤層なしで積層してもよい。特に基布の片面のみにポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムを積層する形態が必要な場合には、使用する基布は難燃化されていることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムの積層方法は、ポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムの成型加工と同時に基布に熱ラミネートするカレンダートッピング法、またはT−ダイ押出ラミネート法、を用いてもよく、あるいはカレンダー法、T−ダイ押出法、またはインフレーション法などによりポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムを一担成型加工により作製した後に、ラミネーターを使用して、ポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムを、基布面上に熱圧着して積層を行う方法などが挙げられる。本発明の難燃化耐光性ポリオレフィン系樹脂シートの製造には、カレンダー法によって成型加工されたポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムと基布との熱圧着による製造方法が、効率的かつ経済的であり好ましい。このとき、基布用繊維布帛の目抜け空隙部を介して、その表と裏の2枚のポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムが、熱溶融ブリッジする。このために、特別な接着剤の塗布及び余分な工程を必要とせずに良好な密着性と耐久性が得られる。
【0062】
また、基布の表面にポリオレフィン系樹脂被覆用フィルムを積層し、基布の裏面を熱可塑性樹脂層により被覆してもよい。この熱可塑性樹脂層は、
(D)100重量部の熱可塑性樹脂と
(B)20〜200重量部の、粒子本体と、その表面に形成された表面被覆層とを有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
(C)0.05〜3.0重量部の耐光安定剤と
を含むものであって、前記熱可塑性樹脂層を形成するには、
(a′)熱可塑性樹脂(D)の水性エマルジョン及び水性ディスパージョンから選ばれた少なくとも1種からなる水系の樹脂液、
あるいは、
(b′)熱可塑性樹脂(D)を有機溶剤中に溶解して得られた溶液、
の中に、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)と、前記耐光安定剤(C)とを含有させて塗布液(コート液)を調製し、この塗布液を、基布の裏面に塗布し乾燥する。これらの熱可塑性樹脂としては、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂などの少なくとも1種を含むものが使用できる。また必要に応じ上記熱可塑性樹脂の1種以上にフェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、アリルフタレート系樹脂などの少なくとも1種の熱硬化性樹脂をブレンドして使用することもできる。
【0063】
本発明の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの接合は、高周波ウエルダーによる融着によって容易に行うことができる。高周波ウエルダー接合法としては、具体的には、2枚以上の本発明のポリオレフィン系樹脂シートまたは、本発明のポリオレフィン系樹脂シートと、それと熱融着しうる他の熱可塑性樹脂成型物の一部とを重ね合わせ、2個の電極(一方の電極は、ウエルドバーである)間に置き、接合する部分にウエルドバーを加圧しながら電極に高周波(1〜200MHz )で発振する電位差を印加し、ウエルドバーで加圧、印加した部分に発生する熱可塑性樹脂の分子摩擦熱により、これらの重ね合わせ部分を熱融着して接着、シールする。この場合、熱可塑性樹脂の誘電損率すなわち、誘電率(ε)と誘電正接(tanδ)との積量(ε.tanδ)が高周波で発振する内部分子摩擦熱の大きさに関係している。誘電正接は、熱可塑性樹脂により吸収された高周波電磁放射線エネルギーが熱に変換される部分の関数であり、誘電損率は少なくとも0.01以上であることが好ましい。高周波ウエルダー融着機としては市販の機種、例えば、山本ビニター(株)のYC−7000FT、YF−7000など、精電舎電子工業(株)のKM−5000TA、KA−7000TEなど、クインライト電子精工(株)のLW−4000W、LW−4060Sなどが使用できる。
【0064】
【実施例】
本発明を下記実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
下記実施例、及び比較例において本発明のポリオレフィン系樹脂シートの防炎性の評価、耐光性の評価、加工性の評価、及び高周波ウエルダー融着性の評価、接合部強度の評価など試験方法は以下の通りである。
【0065】
(I)ポリオレフィン系樹脂シートの防炎性の評価
消防法施工規則第4条(JIS L−1091:A−2法区分3:2分加熱)に従い試験し、下記の判定基準により評価した。
○:炭化面積40cm2 以下、残炎時間5秒以下、
残じん時間20秒以下、炭化距離20cm以下である。
×:炭化面積、残炎時間、残じん時間、炭化距離の項目の
1項目以上が規格数値を超えている。
(II)ポリオレフィン系樹脂シートの耐酸性の評価
ポリオレフィン系樹脂コンパウンドを140℃に設定した2本ロールで5分間均一に溶融混練し、次に東洋精機制作所(株)製のプレス機(2段自動式ラボプレス:15ton )を用い、温度150℃×圧縮圧100 kgf/cm2 ×(加熱圧縮時間3min +水冷圧縮時間2min )の成型条件で表面が平滑な1.0mm厚×150mm×150mmサイズのポリオレフィン系樹脂プレスシートを得た。このプレスシートと、プレスシートよりJIS K−6301に規定の3号型試験片を採取し、1規定(N)濃度の硝酸水溶液と0.1規定(N)濃度の硫酸水溶液との混合水溶液中に20℃、24時間浸漬した後、これを室温で自然乾燥させ、そのまま6日間放置した。この浸漬−乾燥を1サイクルとして、5サイクルの試験を行い、試験片の限界酸素指数(JIS K−7231)及び、残存強度(JIS K−6301)を測定した。
○:80%以上の限界酸素指数保持率と、80%以上の残存強度保持率を有する。
△:80%以上の限界酸素指数保持率または、80%以上の残存強度保持率を有する。
×:限界酸素指数保持率、残存強度保持率ともに80%に満たない。
【0066】
(III )ポリオレフィン系樹脂シートの耐光性の評価
供試試料に対してサンシャインカーボンウエザーメーターによる耐光促進試験(JIS L−0842)を1000時間行い、促進前の試料を基準とし、供試試料の表面の変退色度合いを、色差ΔE(JIS Z−8729)を測定として数値化し、下記の判定基準にて耐光性を評価した。
ΔE=0〜2.9:○=変色がなく良好。初期の状態を維持している。
ΔE=3〜7.9:△=多少変色があるが、問題ない。
ΔE=8〜 :×=変色が、著しく目立ち実用性に問題がある。
また、耐光促進試験1000時間後の試料を、上記試験(II)の耐酸性試験に供し、その限界酸素指数(JIS K−7231)及び、残存強度(JIS K−6301)を測定した。
○:80%以上の限界酸素指数保持率と、80%以上の残存強度保持率を有する。
△:80%以上の限界酸素指数保持率または、80%以上の残存強度保持率を有する。
×:限界酸素指数保持率、残存強度保持率ともに80%に満たない。
【0067】
(IV)高周波ウエルダー融着性の評価
2枚のポリオレフィン系樹脂シートの端末を4cm幅で直線状に重ね合わせ、4cm×30cmのウエルドバー(歯形:凸部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm、凸部高さ0.5mm:凹部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm、凹部深さ0.5mm)を装着した高周波ウエルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いて融着接合を行った。この接合体から4cm重ね合わせ接合部を含む3cm幅×30cmの試料を採取し、接合部の剪断試験(JIS L−1096)を行い、接合部の破壊状態を下記の判定基準によって評価した。
<高周波融着性>
○:融着が容易である。
※ウエルダー融着条件:融着時間5秒、冷却時間5秒
陽極電流0.8A、ウエルドバー温度40〜50℃
△:融着条件を強く、かつ長くすることで融着可能である。
※ウエルダー融着条件:融着時間10秒、冷却時間5秒
陽極電流1.0A、ウエルドバー温度40〜60℃
×:融着条件を強く、かつ長く設定しても融着しない。
※ウエルダー融着条件:融着時間10秒、冷却時間5秒
陽極電流1.3A、ウエルドバー温度40〜60℃
【0068】
(V)接合部強度の評価
(IV)のウエルダー融着シートより重ね合わせ幅4cmを含む、試験片幅3cm、試験片長30cmの試験片を採取し、引張試験機(東洋精機製作所(株)製:ストログラフV10型)を使用して試験片が破壊するまで引張した。
○:接合部以外で破壊した。
△:接合部で一部糸抜け破壊した。
×:接合部の糸抜け破壊した。
【0069】
(VI)加工性の評価
ロール間ギャップを1mmに設定した140℃設定の6インチ径の2本ロール(テストロール)に、ポリオレフィン系樹脂コンパウンドを100g投入し、コンパウンドの混練を5分間行った。次に混練で得られた1mm厚のシートを用いてJIS K−7231に規定される限界酸素指数を測定した。
○:混練が容易で5分以内に完了した。得られたコンパウンドの酸素指数は設計値の±2%以内であった。
△:5分以内では完全な混練が困難で、ロールの下に粉体がこぼれ落ちていた。得られたコンパウンドの酸素指数は設計値の±2〜5%であった。
×:5分以内では完全な混練が困難で、ロールの下に粉体がこぼれ落ちていた。得られたコンパウンドの酸素指数は設計値の±5%以上であった。
【0070】
(VII)シートのブルーム(ブリード)性の評価
(VI)のシートから10cm×10cmサイズの試料を採取し、これを0℃の冷蔵庫中に24時間静置し、次に40℃に設定したギアーオーブン中に24時間静置した。これを1サイクルとして、0℃→40度→0度→40℃→0度の環境温度変化を連続させて5サイクル目の試料の表面を目視観察した。
○:ブルームが確認されない(外観がたもたれている)
△:わずかにブルームが認められる(外観が曇っている)
×:ブルームが著しい(表面が白くなっている)
【0071】
〔実施例1〕
メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:MFR2.0:密度0.898:日本ポリケム(株))30重量部と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−1)(商標:エバテートK2010:MFR3.0:VA含有量25重量%:住友化学工業(株))40重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンド70重量部に対し、下記表面被覆を施した無機系化合物粒子(B−1)100重量部を配合してコンパウンドを調製した。
このコンパウンドを2軸押出し機(サーモ・プラスティックス工業(株):TPP−20F:ホットカットペレタイジング装置)を用いて無機系化合物粒子(B−1)を58.8重量%濃度で含有する3.5mm角立方体状のペレットを造粒した。
次に得られた無機系化合物(1−a)含有の造粒ペレット170重量部に対し、メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:MFR2.0:密度0.898:日本ポリケム(株))30重量部と、耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール:共同薬品(株))を0.5重量部、耐光安定剤(C−2)(商標:チヌビン765:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を0.5重量部と、リン酸エステル系滑剤(商標:LTP−2:川研ファインケミカル(株))1.0重量部と、着色顔料として〔(有機系顔料カラードペレット:商標:HCM1617ブルー:シアニンブルー(α)含有率20重量%:大日精化工業(株))1重量部+無機系顔料カラードペレット:商標:HCM2060ホワイト:二酸化チタン(R)60重量%:大日精化工業(株)〕2重量部〕3重量部とを配合したコンパウンドを調製した。
このコンパウンドを150℃に設定したテストロール(西村製作所(株):6インチ径2本ロール)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.17mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を10重量%含有し、LOI値28.4の、ポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを作製した。
次に得られたフィルムを、ポリエステル平織織布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸20本/2.54cm×緯糸21本/2.54cm:空隙率20%:質量55g/m2 )の両面に、140℃に設定した熱ロールと圧着ロール対、及び赤外線ヒーターを有するラミネーターで貼り合わせ、厚さ0.45mm、質量485g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0072】
<表面被覆層付き無機系化合物粒子(B−1)>
i)蒸留水400重量部とメタノール100重量部との合計500部量に、有機シラン化合物(商標:SH6040:γ−グリシドキシプロピル・トリメトキシシラン:分子量236:有効量100%:東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)3重量部を添加して、30分間撹拌した後、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:平均粒子径1.2μm:神島化学工業(株))100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、無機系化合物粒子(B−1’)100.6gを得た。
【0073】
ii)次に蒸留水500重量部に、メラミン樹脂(商標:ポリフィックスLF11:変性メラミン:固形分55重量%:昭和高分子(株)20重量部と、耐光安定剤(商標:サンライフLPS−700:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:固形分30重量%:日華化学(株))0.5重量部を加えて撹拌し、前記工程i)で得られた無機系化合物粒子(B−1’)100.6gを加えて10分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有する無機系化合物粒子(B−1)104.58gを得た。無機系化合物粒子本体に対する表面被覆層の被覆率は4.38%であり、メラミン樹脂に対する有機シラン化合物の含有量は13.1重量%であった。また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.27重量%であった。
【0074】
〔実施例2〕
メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−2)(商標:エボリューSP2020:MFR1.7:密度0.917:三井化学(株))20重量部と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−2)(商標:エバフレックスP1905:MFR2.5:VA含有量19重量%:三井デュポンポリケミカル(株))50重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンド70重量部に対し、下記表面被覆を施した無機系化合物(B−2)100重量部を配合したコンパウンドを調製した。このコンパウンドを2軸押出し機(実施例1と同一)を用いて無機系化合物(B−2)を58.8重量%濃度で含有する3.5mm角立方体状のペレットを造粒した。次に得られた無機系化合物(B−2)含有の造粒ペレット170重量部に対し、メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−2)(商標:エボリューSP2020:MFR1.7:密度0.917:三井化学(株))30重量部と、耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール:共同薬品(株))0.5重量部と、耐光安定剤(C−2)(商標:チヌビン765:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5重量部と、リン酸エステル系滑剤(商標:LTP−2:川研ファインケミカル(株))1.0重量部と、着色顔料として〔(有機系顔料カラードペレット:商標:HCM1617ブルー:シアニンブルー(α)含有率20重量%:大日精化工業(株))1重量部+無機系顔料カラードペレット:商標:HCM2060ホワイト:二酸化チタン(R)60重量%:大日精化工業(株)〕2重量部〕3重量部とを配合してコンパウンドを調製した。このコンパウンドを150℃に設定したテストロール(実施例1と同一)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.17mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を10重量%含有するLOI値29.3のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。次に得られたフィルムをポリプロピレン平織織布(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント:糸密度経糸19本/2.54cm×緯糸20本/2.54cm:空隙率18%:質量65g/m2 )の両面に140℃に設定した赤外線ヒーターを有するラミネーターで熱圧着して貼り合わせ、厚さ0.46mm、質量490g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0075】
<表面被覆層付き無機系化合物粒子(B−2)>
i)メタノール400重量部と蒸留水100重量部との合計500部量に、金属アルコキシド化合物(商標:テトラ−n−ブトキシシリコン:有効量100%:住友セメント(株)5重量部を添加して、30分間撹拌した後、無機系化合物粒子本体(2)(商標:B−315:水酸化アルミニウム:平均粒径15μm:アルコア化成(株))100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、無機系化合物粒子(B−2’)100.6gを得た。
【0076】
ii)次に蒸留水500重量部に、ベンゾグアナミン樹脂(商標:ポリフィックスPG−251:変性ベンゾグアナミン:固形分54重量%:昭和高分子(株)20重量部と、耐光安定剤(商標:サンライフLPS−700:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:固形分30重量%:日華化学(株))0.5重量部を加えて撹拌し、前記工程i)で得た無機系化合物粒子(B−2’)100.6gを加えて10分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有する無機系化合物(B−2)104.52gを得た。無機系化合物粒子本体(2)に対する表面被覆層の被覆率は4.32%であり、ベンゾグアナミン樹脂に対する金属アルコキシド化合物の含有量は13.3重量%であった。また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.29重量%であった。
【0077】
〔実施例3〕
メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)30重量部と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−1)40重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンド70重量部に対し、下記表面被覆を施した無機系化合物(B−3)粒子50重量部と、下記表面被覆を施した窒素含有化合物粒子30重量部とを配合したコンパウンドを調製した。このコンパウンドを2軸押出し機(実施例1と同一)を用いて無機系化合物(B−3)と窒素含有化合物との合計量を53.3重量%濃度で含有する3.5mm角立方体状のペレットを造粒した。次に得られた造粒ペレット150重量部に対し、メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(1)30重量部と、耐光安定剤(C−1)0.5重量部と、耐光安定剤(C−3)(商標:チヌビン114:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル]ブチルマロネート:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5重量部と、リン酸エステル系滑剤(実施例1と同一)を1.0重量部と、着色顔料として(顔料カラードペレット:実施例1と同一)3重量部とを配合したコンパウンドを調製した。このコンパウンドをテストロール(実施例1と同一)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.17mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を10重量%含有するLOI値32.6のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次に得られたフィルムを実施例1と同一のポリエステル平織織布(250デニールポリエステルマルチフィラメント)の両面に実施例1と同様にラミネーターで貼り合わせ、厚さ0.46mm、質量485g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0078】
<表面被覆層付き無機系化合物(B−3)>
i)イソプロピルアルコール500重量部に、有機チタネート化合物(商標:B−1:テトラ−n−ブトキシチタン(TBT):分子量340:有効量100%:日本曹達(株))5重量部を添加して、30分間撹拌した後、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:平均粒子径1.2μm:神島化学工業(株)100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、無機系化合物粒子(B−3’)100.6gを得た。
【0079】
ii)次に蒸留水500重量部に、尿素樹脂(商標:ポリフィックスLF20:高縮合尿素:固形分55重量%:昭和高分子(株)20重量部と、耐光安定剤(商標:サンライフLPS−700:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:固形分30重量%:日華化学(株))0.5重量部を加えて撹拌し、前記工程i)で得た無機系化合物粒子(B−3’)100.6gを加えて10分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有する無機系化合物粒子(B−3)104.52gを得た。無機系化合物粒子本体に対する表面被覆層の被覆率は4.32%であり、尿素樹脂に対する有機チタネート化合物の含有量は15.3重量%であった。また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.27重量%であった。
【0080】
<窒素含有化合物粒子の表面被覆>
蒸留水500重量部に、エポキシ樹脂(商標:デナキャストEM−101:変性ビスフェノールA型エポキシエマルジョン:エポキシ当量520:固形分濃度50重量%:ナガセ化成(株))20重量部と、触媒としてトリエタノールアミン0.5重量部、耐光安定剤(商標:サンライフLPS−700:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:固形分30重量%:日華化学(株))0.5重量部とを添加して、5分間撹拌した後、窒素含有化合物粒子本体(商標:MC−610:メラミン・シアヌレート:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有する窒素含有化合物104.78gを得た。窒素含有化合物に対する表面被覆層の被覆率は4.56%であり、また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.47重量%であった。
【0081】
〔実施例4〕
メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−2)20重量部と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−2)50重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンド70重量部に対し、下記表面被覆を施した無機系化合物粒子(B−4)50重量部と、下記表面被覆を施したリン含有化合物粒子を30重量部配合したコンパウンドを調製した。このコンパウンドを2軸押出し機(実施例1と同一)を用いて無機系化合物粒子(B−4)とリン含有化合物粒子とを53.3重量%濃度で含有する3.5mm角立方体状のペレットを造粒した。次に得られた造粒ペレット150重量部に対し、メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−2)30重量部と、耐光安定剤(C−1)0.5重量部と、耐光安定剤(C−3)(商標:チヌビン114:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル]ブチルマロネート:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5重量部と、リン酸エステル系滑剤(実施例1と同一)1.0重量部と、着色顔料として(顔料カラードペレット:実施例1と同一)3重量部とを配合したコンパウンドを調製した。このコンパウンドをテストロール(実施例1と同一)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.17mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を10重量%含有するLOI値33.5のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。次に得られたフィルムを実施例2と同一のポリプロピレン平織織布(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント)の両面に実施例2と同様にラミネーターで熱圧着して貼り合わせ、厚さ0.47mm、質量512g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0082】
<表面被覆層付き無機系化合物(B−4)>
i)蒸留水400重量部とメタノール100重量部との合計500部量に、有機シラン化合物(商標:SH6040:γ−グリシドキシプロピル・トリメトキシシラン:分子量236:有効量100%:東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)3重量部を添加して、30分間撹拌した後、無機系化合物粒子本体(2)(商標:B−315:水酸化アルミニウム:平均粒径15μm:アルコア化成(株))100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、無機系化合物(B−4’)100.6gを得た。
【0083】
ii)次に蒸留水500重量部に、フェノール樹脂(商標:タマノル720:レゾール型フェノール樹脂水溶液:固形分45重量%:荒川化学(株))20重量部と、耐光安定剤(商標:サンライフLPS−700:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:固形分30重量%:日華化学(株))0.5重量部を加えて撹拌し、前記工程i)で得た無機系化合物粒子(B−4’)100.6gを加えて10分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有する無機系化合物粒子(B−4)104.46gを得た。無機系化合物粒子本体に対する表面被覆層の被覆率は4.27%であり、フェノール樹脂に対する有機シラン化合物の含有量は15.5重量%であった。また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.34重量%であった。
【0084】
<リン含有化合物粒子の表面被覆>
蒸留水500重量部に、ベンゾグアナミン樹脂(商標:ポリフィックスPG−251:変性ベンゾグアナミン:固形分54重量%:昭和高分子(株))20重量部と、耐光安定剤(商標:サンライフLPS−700:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:固形分30重量%:日華化学(株))0.5重量部とを添加して、5分間撹拌した後、リン含有化合物粒子本体(商標:エクソリットAP422:ポリリン酸アンモニウム(NH4 PO3 )n 、n=1000:リン含有量31〜32重量%:平均粒度分布40μm以下:クラリアント・ジャパン(株))100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有するリン含有化合物粒子104.65gを得た。リン含有化合物粒子本体に対する表面被覆層の被覆率は4.44%であり、また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.29重量%であった。
【0085】
〔実施例5〕
メタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)50重量部と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−1)20重量部からなるポリオレフィン系樹脂ブレンド70重量部に対し、下記表面被覆を施した窒素含有化合物粒子(商標:MC−610:メラミン・シアヌレート:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30重量部と、下記表面被覆を施したリン含有化合物粒子30重量部を配合したコンパウンドを調製した。このコンパウンドを2軸押出し機(実施例1と同一)を用いて窒素含有化合物とリン含有化合物とを46.1重量%濃度で含有する3.5mm角立方体状のペレットを造粒した。次に得られた造粒ペレット130重量部に対し、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(商標:アクリフトWH206:MFR2.0:MMA含有量20重量%:住友化学工業(株))30重量と、耐光安定剤(C−1)0.5重量部と、耐光安定剤(C−2)0.5重量部と、リン酸エステル系滑剤(実施例1と同一)1.0重量部と、着色顔料として(顔料カラードペレット:実施例1と同一)を3重量部とを配合したコンパウンドを調製した。このコンパウンドをテストロール(実施例1と同一)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.17mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の合計として11重量%含有し、LOI値32.2のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。次に得られたフィルムをポリエステル平織織布(500デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸20本/2.54cm×緯糸21本/2.54cm:空隙率19%:質量75g/m2 )の両面に140℃に設定した熱ロールと圧着ロール対を有するラミネーターで貼り合わせ、厚さ0.48mm、質量515g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
<窒素含有化合物粒子本体の表面被覆>……実施例3と同一
<リン含有化合物粒子本体の表面被覆>……実施例4と同一
【0086】
〔実施例6〕
実施例5の表面被覆を施した窒素含有化合物粒子30重量部を、下記表面被覆を施した無機系化合物粒子(B−5)50重量部に変更し、実施例5と同様にコンパウンドをテストロール(実施例1と同一)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.20mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.20mmの酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の合計として11重量%含有し、LOI値32.1のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。次に得られたフィルムをポリエステル平織織布(750デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸19本/2.54cm×緯糸20本/2.54cm:空隙率22%:質量95g/m2 )の両面に140℃に設定した熱ロールと圧着ロール対を有するラミネーターで貼り合わせ、厚さ0.52mm、質量545g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0087】
<表面被覆層付き無機系化合物粒子(B−5)>
i)メタノール400重量部と蒸留水100重量部との合計500部量に、金属アルコキシド化合物(商標:テトラ−n−ブトキシシリコン:有効量100%:住友セメント(株)5重量部を添加して、30分間撹拌した後、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:平均粒子径1.2μm:神島化学工業(株))100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、無機系化合物粒子(B−5’)100.6gを得た。
ii)次にメチルエチルケトン500重量部に、ジアリルフタレート樹脂(商標:イソダップ:イソフタル酸ジアリルエステルの重合体:大阪曹達(株))10重量部と、耐光安定剤(A−1)(商標:バイオソーブ510:2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール:共同薬品(株))を0.15重量部を加えて撹拌し、前記工程i)で得た無機系化合物粒子(B−5’)100.6gを加えて10分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有する無機系化合物(B−5)104.55gを得た。無機系化合物粒子本体に対する表面被覆層の被覆率は4.35%であり、ジアリルフタレート樹脂に対する金属アルコキシド化合物の含有量は15.2重量%であった。また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.29重量%であった。
<リン含有化合物粒子本体の表面被覆>……実施例4と同一
【0088】
〔実施例7〕
実施例5のハロゲン非含有難燃剤の組成を、表面被覆を施した窒素含有化合物粒子20重量部、表面被覆を施したリン含有化合物粒子20重量部、下記表面被覆を施した無機系化合物粒子(B−6)30重量部に変更した。また実施例5の耐光安定剤(C−2)0.5重量部を耐光安定剤(C−3)0.5重量部に変更したこと以外は実施例5と同一とした。このコンパウンドをテストロール(実施例1と同一)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.17mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の合計として11重量%含有し、LOI値34.3のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。次に得られたフィルムを実施例5と同一のポリエステル平織織布(500デニールポリエステルマルチフィラメント)の両面に140℃に設定した熱ロールと圧着ロール対を有するラミネーターで貼り合わせ、厚さ0.48mm、質量515g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0089】
<表面被覆層付き無機系化合物粒子(B−6)>
i)イソプロピルアルコール500重量部に、有機チタネート化合物(商標:B−1:テトラ−n−ブトキシチタン(TBT):分子量340:有効量100%:日本曹達(株))5重量部を添加して、30分間撹拌した後、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:平均粒子径1.2μm:神島化学工業(株))100重量部を加え、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、無機系化合物粒子(B−6’)100.6gを得た。
【0090】
ii)蒸留水500重量部に、エポキシ樹脂(商標:デナキャストEM−101:変性ビスフェノールA型エポキシエマルジョン:エポキシ当量520:固形分濃度50重量%:ナガセ化成(株))20重量部と、触媒としてトリエタノールアミン0.5重量部、耐光安定剤(商標:サンライフLPS−700:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:固形分30重量%:日華化学(株))0.5重量部とを添加して、5分間撹拌した後、前記工程i)で得た無機系化合物粒子(B−6’)100.6gを加えて、更に30分間撹拌した。これを濾過して120℃で2時間乾燥し、表面被覆層を有する無機系化合物粒子(B−6)104.50gを得た。無機系化合物粒子本体に対する表面被覆層の被覆率は4.30%であり、エポキシ樹脂に対する有機チタネート化合物の含有量は15.4重量%であった。また表面被覆層に対する耐光安定剤の含有量は1.33重量%であった。
<窒素含有化合物粒子本体の表面被覆>……実施例3と同一
<リン含有化合物粒子本体の表面被覆>……実施例4と同一
【0091】
〔実施例8〕
実施例6のハロゲン非含有難燃剤の組成を、表面被覆を施したリン含有化合物20重量部、表面被覆を施した無機系化合物粒子(B−1)40重量部、表面被覆を施した無機系化合物粒子(B−2)40重量部に変更した。また実施例6の耐光安定剤(C−2)0.5重量部を耐光安定剤(C−3)0.5重量部に変更したこと以外は実施例6と同一とした。このコンパウンドをテストロール(実施例1と同一)で5分間混練した後、テストロールのロール間隔を0.20mmに調整し、カレンダー圧延により厚さ0.20mmの酢酸ビニル成分とメチルメタアクリレート成分の合計として11重量%含有するLOI値31.7のポリオレフィン系樹脂ブレンドフィルムを得た。次に得られたフィルムを実施例6と同一のポリエステル平織織布(750デニールポリエステルマルチフィラメント)の両面に140℃に設定した熱ロールと圧着ロール対を有するラミネーターで貼り合わせ、厚さ0.52mm、質量545g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
<無機系化合物粒子本体(1)の表面被覆:(B−1)>…実施例1と同一
<無機系化合物粒子本体(2)の表面被覆:(B−2)>…実施例2と同一
<リン含有化合物粒子本体の表面被覆>…実施例4と同一
【0106】
〔実施例9〕
実施例1と同一のポリオレフィン系樹脂被覆フィルムを、下記難燃処理を施したポリエステル平織織布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸20本/2.54cm×緯糸21本/2.54cm:空隙率20%:質量55g/m2 )の片面に140℃に設定した熱ロールと圧着ロール対、及び赤外線ヒーターを有するラミネーターで貼り合わせ、片表面にポリオレフィン系樹脂被覆フィルムを有する、厚さ0.38mm、質量325g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
<難燃化処理剤組成>
K−19A:明成化学工業(株):環式ホスホン酸エステル
(有効成分100%) 12重量部
希釈蒸留水 100重量部
上記難燃化処理剤の浴中にポリエステル平織織布を浸漬し、織布を引き上げると同時にニップロールで絞り、(wet付着質量30g/m2 )次いで100℃の熱風炉中2分間の乾燥、次いで180℃の熱風炉中1分間の熱処理を行った。難燃化処理によって得られたポリエステル平織織布の質量は58g/m2 であった。
【0107】
〔実施例10〕
実施例1のポリオレフィン系樹脂シートにおいて、裏面に積層するポリオレフィン系樹脂被覆フィルム層を下記組成からなる熱可塑性樹脂層に変更したこと以外は実施例1と同一とし、片面にポリオレフィン系樹脂被覆フィルム層を有し、その裏面に裏面熱可塑性樹脂層を有する厚さ、0.43mm、質量404g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
<熱可塑性樹脂層組成>
商標:スミカフレックスs−951:住友化学工業(株):
エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン
(固形分55重量%) 70重量部
商標:リカボンドBE−1502:中央理化工業(株):
エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン
(固形分50重量%) 30重量部
実施例1と同一の表面被覆(1−a)を有する無機系化合物(1) 40重量部
K−19A:明成化学工業(株):環式ホスホン酸エステル
(有効成分100%) 5重量部
商標:カルボジライトV−02:日清紡(株):
カルボジイミド化合物(固形分40重量%) 3重量部
商標:リュウダイ−W69ホワイト:大日本インキ化学工業(株):
水性顔料(白)(固形分50重量%) 4重量部
商標:リュウダイ−WブルーGLK:大日本インキ化学工業(株):
水性顔料(青)(固形分50重量%) 1.5重量部
商標:ULS−383MG:一方社油脂工業(株):
ベンゾフェノン系高分子エマルジョン(固形分30重量%) 4重量部
ポリエステル平織織布の片面にポリオレフィン系樹脂被覆フィルム層を有する積層体の裏面に上記組成からなる熱可塑性樹脂エマルジョン組成物(固形分65.8重量%)を3mm厚のドクターナイフを用いて塗布し、100℃の熱風乾燥炉で3分間乾燥させて、裏面被覆層を形成した。塗工によって形成された裏面被覆層の質量は82g/m2 であった。
【0108】
実施例1〜8のポリオレフィン系樹脂シートの構成及び性能を表1に示す。
実施例9及び10のポリオレフィン系樹脂シートの構成及び性能を表2に示す。
実施例1〜8のポリオレフィン系樹脂シートに用いられたハロゲン非含有難燃剤粒子の組成を表3に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】
【0112】
実施例1〜実施例10のポリオレフィン系樹脂シートに用いたポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムは、特定の熱硬貨性樹脂及び耐光安定剤によって表面被覆したハロゲン非含有難燃剤粒子を用いることによって何れも高度の酸素指数値を有しながら、しかも1規定(N)濃度の硝酸水溶液と0.1規定(N)濃度の硫酸水溶液との混合水溶液中に20℃、24時間浸漬した後、室温で自然乾燥させ、その状態で6日間放置し、シートの樹脂内部に酸を濃縮させる過酷な試験において、90%以上の限界酸素指数保持率と、90%以上の残存強度保持率を示すなど、優れた耐酸性をも有するものであった。
また、実施例1〜実施例10のポリオレフィン系樹脂シートで同一の耐酸試験を実施したところ、フィルムと同様に良好な耐酸性を有し、しかも消防法に適合可能な防炎性を有しているものであった。更に実施例1〜実施例10のポリオレフィン系樹脂シートに用いたポリオレフィン系樹脂層のフィルムをカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターで1000時間の耐候促進試験を実施し、その外観の色差を測定した結果、色差ΔEは全て2.0以下であった。また、この1000時間耐候促進したフィルムの耐酸試験を行った結果、(試験II)80%以上の限界酸素指数保持率と、85%以上の残存強度保持率を示すなど、耐候試験後にも優れた難燃性と耐酸性をも有するものであった。
また、高周波ウエルダー性に関しては、ポリ塩化ビニル樹脂専用の従来の高周波ウエルダー機での融着接合が容易に可能であった。(陽極電流値が0.8A、融着時間5秒、冷却時間5秒、ウエルドバー温度40〜50℃条件)また、実施例1〜8及び実施例10の接合部の剪断破壊の状態は糸抜け破壊を伴って本体破壊までには至らなかったが、本体破壊強度の85%以上を有しているため実用的には全く問題のないものであった。
特にこれら実施例1〜実施例10のポリオレフィン系樹脂シートは、製造時の加工性に優れていて、窒素含有化合物、リン含有化合物、及び、無機系化合物などのハロゲン非含有難燃剤を予め高濃度化した予備造粒を行うことによって、ポリオレフィン系樹脂への混練性が容易で効率的であった。そしてしかも、その混練が極めて正確に実施可能なため得られるシートの防炎性にバラツキがなく、防炎性に信頼がおけるものであった。
【0113】
〔比較例1〕
実施例1のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:日本ポリケム(株))60重量部を、チーグラー・ナッタ系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα・FZ2203−0:MFR2.0:密度0.932:住友化学工業(株))90重量部に変更し、またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−1)(商標:エバテートK2010:VA含有量25重量%:住友化学工業(株))の配合量40重量部を10重量部に変更した。またさらに耐候安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更し、耐光安定剤(C−1)(商標:チヌビン765:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更した。上記組成の変更以外は実施例1と同一の配合としたが、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:神島化学工業(株))の表面被覆処理を省略した。また、比較例1では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロール(西村製作所(株):6インチ径2本ロール)で5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を2.5重量%含有するLOI値29.4のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例1と同様の手順に従ってポリエステル平織織布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸20本/2.54cm×緯糸21本/2.54cm:空隙率17%:質量55g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.45mm、質量485g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0114】
〔比較例2〕
実施例2のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−2)(商標:エボリューSP2020:三井化学(株))の配合量50重量部を90重量部に変更し、またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−2)(商標:エバフレックスP1905:VA含有量19重量%:三井デュポンポリケミカル(株))の配合量50重量部を10重量部に変更した。またさらに耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更し耐光安定剤(C−2)(商標:チヌビン765:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更した。上記組成の変更以外は実施例2と同一の配合としたが、無機系化合物粒子本体(2)(商標:B−315:水酸化アルミニウム:アルコア化成(株))の表面被覆処理を省略した。また、比較例2では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロール(西村製作所(株):6インチ径2本ロール)で5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を2重量%含有するLOI値30.3のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例2と同様の手順に従ってポリプロピレン平織織布(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント:糸密度経糸19本/2.54cm×緯糸20本/2.54cm:空隙率18%:質量65g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.46mm、質量488g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0115】
〔比較例3〕
実施例3のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:日本ポリケム(株))60重量部を、チーグラー・ナッタ系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα・FZ203−0:MFR2.0:密度0.932:住友化学工業(株))10重量部に変更し、またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−1)(商標:エバテートK2010:VA含有量25重量%:住友化学工業(株))の配合量40重量部を90重量部に変更した。またさらに耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))、耐光安定剤(C−3)(商標:チヌビン114:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))の配合量の配合を全て省略した。上記組成変更以外は実施例3と同一の配合としたが、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:神島化学工業(株))の表面被覆処理と、窒素含有化合物粒子本体(商標:MC−610:メラミン・シアヌレート:日産化学(株))の表面被覆処理を省略した。また、比較例3では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロールで5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を22重量%含有するLOI値31.4のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例1と同様の手順に従ってポリエステル平織織布(250デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸20本/2.54cm×緯糸21本/2.54cm:空隙率17%:質量55g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.46mm、質量484g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0116】
〔比較例4〕
実施例4のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−2)(商標:エボリューSP2020:三井化学(株))の配合量50重量部を10重量部に変更し、またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b−2)(商標:エバフレックスP1905:VA含有量19重量%:三井デュポンポリケミカル(株))の配合量50重量部を90重量部に変更した。またさらに耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))、耐光安定剤(C−3)(商標:チヌビン114:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))の配合を全て省略した。上記組成変更以外は実施例4と同一の配合としたが、無機系化合物粒子本体(2)(商標:B−315:水酸化アルミニウム:アルコア化成(株))の表面被覆処理と、リン含有化合物粒子本体(商標:エクソリットAP422:ポリリン酸アンモニウム(NH4 PO3 )n 、n=1000:リン含有量31〜32重量%:クラリアント・ジャパン(株))の表面被覆処理とを省略した。また比較例4では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロールで5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を18重量%含有し、LOI値31.7のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例2と同様の手順に従ってポリプロピレン平織織布(340デニールポリプロピレンマルチフィラメント:糸密度経糸19本/2.54cm×緯糸20本/2.54cm:空隙率18%:質量65g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.47mm、質量514g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0117】
〔比較例5〕
実施例5のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:日本ポリケム(株))50重量部をチーグラー・ナッタ系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα・FZ203−0:MFR2.0:密度0.932:住友化学工業(株))50重量部に変更した。またポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムの組成において、耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更し、耐光安定剤(C−2)(商標:チヌビン765:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))の配合を全て省略した。上記組成変更以外は実施例5と同一の配合としたが、窒素含有化合物粒子本体(商標:MC−610:メラミン・シアヌレート:日産化学(株))と、リン含有化合物粒子本体(商標:エクソリットAP422:ポリリン酸アンモニウム(NH4 PO3 )n 、n=1000:リン含有量31〜32重量%:クラリアント・ジャパン(株))の表面被覆処理を省略した。また比較例5では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロールで5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を11重量%含有し、LOI値33.5のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例5と同様の手順に従ってポリエステル平織織布(500デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸20本/2.54cm×緯糸21本/2.54cm:空隙率19%:質量75g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.48mm、質量513g/m2 のポリイレフィン系樹脂シートを得た。
【0118】
〔比較例6〕
実施例6のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:日本ポリケム(株))50重量部をチーグラー・ナッタ系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα・FZ203−0:MFR2.0:密度0.932:住友化学工業(株))50重量部に変更した。またポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムの組成において耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更し、耐光安定剤(C−2)(商標:チヌビン765:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))の配合を全て省略した。上記組成変更以外は実施例6と同一の配合としたが、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:神島化学工業(株))の表面被覆処理(1−c)と、リン含有化合物粒子本体(商標:エクソリットAP422:ポリリン酸アンモニウム(NH4 PO3 )n 、n=1000:リン含有量31〜32重量%:クラリアント・ジャパン(株))の表面被覆処理を省略した。また比較例6では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロールで5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.20mmの酢酸ビニル成分を11重量%含有し、LOI値32.7のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例6と同様の手順に従ってポリエステル平織織布(750デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸19本/2.54cm×緯糸20本/2.54cm:空隙率22%:質量95g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.52mm、質量542g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0119】
〔比較例7〕
実施例7のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:日本ポリケム(株))50重量部を、チーグラー・ナッタ系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα・FZ203−0:MFR2.0:密度0.932:住友化学工業(株))50重量部に変更した。またポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムの組成において、耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更し、耐光安定剤(C−3)(商標:チヌビン114:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))の配合を全て省略した。上記組成変更以外は実施例7と同一の配合としたが、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:神島化学工業(株))の表面被覆処理と、リン含有化合物粒子本体(商標:エクソリットAP422:ポリリン酸アンモニウム(NH4 PO3 )n 、n=1000:リン含有量31〜32重量%:クラリアント・ジャパン(株))及び、窒素含有化合物粒子本体(商標:MC−610:メラミン・シアヌレート:日産化学(株))の表面被覆処理を省略した。また比較例7では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロールで5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.17mmの酢酸ビニル成分を11重量%含有し、LOI値33.8のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例7と同様の手順に従ってポリエステル平織織布(500デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸20本/2.54cm×緯糸21本/2.54cm:空隙率19%:質量75g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.48mm、質量515g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0120】
〔比較例8〕
実施例8のメタロセン系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a−1)(商標:カーネルKF360:日本ポリケム(株))50重量部を、チーグラー・ナッタ系触媒の存在下重合された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(商標:スミカセンα・FZ203−0:MFR2.0:密度0.932:住友化学工業(株))50重量部に変更した。またポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムの組成において、耐光安定剤(C−1)(商標:バイオソーブ510:共同薬品(株))の配合量を0.5重量部から1.5重量部に変更し、耐光安定剤(C−3)(商標:チヌビン114:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を全て省略した。上記組成変更以外は実施例7と同一の配合としたが、無機系化合物粒子本体(1)(商標:マグシーズN−3:水酸化マグネシウム:神島化学工業(株))の表面被覆処理と、無機系化合物粒子本体(2)(商標:B−315:水酸化アルミニウム:アルコア化成(株)の表面被覆処理及び、リン含有化合物粒子本体(商標:エクソリットAP422:ポリリン酸アンモニウム(NH4 PO3 )n 、n=1000:リン含有量31〜32重量%:クラリアント・ジャパン(株))の表面被覆処理を省略した。また比較例7では上記配合コンパウンドを一括投入により150℃に設定したテストロールで5分間混練(5分間で練りきれない配合資材は配合系から除外とした)した。次にこのコンパウンドからカレンダー圧延により厚さ0.20mmの酢酸ビニル成分を11重量%含有するLOI値28.6のポリオレフィン系樹脂被覆層用フィルムを得た。これ以外は実施例8と同様の手順に従ってポリエステル平織織布(750デニールポリエステルマルチフィラメント:糸密度経糸19本/2.54cm×緯糸20本/2.54cm:空隙率22%:質量95g/m2 )の両面に上記フィルムが積層された、厚さ0.52mm、質量547g/m2 のポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0121】
比較例1〜8のポリオレフィン系樹脂シートの構成及び性能を表4に示す。
比較例1〜8のポリオレフィン系樹脂シートに用いられたハロゲン非含有難燃剤粒子の組成を表5に示す。
【0122】
【表4】
【0123】
【表5】
【0124】
〔比較例1〕〜〔比較例8〕
比較例1と比較例2では直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(a)の配合比率を90重量%としたため、高周波ウエルダー融着性が不十分となった。また比較例1、比較例2では耐光安定剤(C−1)、(C−2)の配合量を増量したため、製造から3日目にはシートの表面にこれら耐光安定剤がブルーム(粉ふき)していた。比較例3、比較例4ではエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(b)の配合比率を90重量%に増量したため、高周波ウエルダー融着性は十分であったが耐摩耗性が悪いものとなった。また比較例1〜比較例8のポリオレフィン系樹脂シートのフィルムの防炎性は、消防法に適合可能な防炎性能を初期的に有していたが、耐酸試験の結果、1規定(N)濃度の硝酸水溶液と0.1規定(N)濃度の硫酸水溶液との混合水溶液中に20℃、24時間浸漬した後、室温で自然乾燥させ、その状態で6日間放置し、シートの樹脂内部に酸を濃縮させる過酷な試験において、限界酸素指数は15〜25%低下し、残存強度は30〜50%低下するなど耐酸性に劣るものであった。
また比較例3〜比較例8の耐光安定剤を含まないポリオレフィン系樹脂層のフィルムをカーボンアーク式サンシャインウエザーメーターで1000時間の耐候促進試験を実施し、その耐酸試験を行った結果、残存強度保持率は、その保持率が16〜21%でしかなかった。また樹脂の劣化に伴って、酸性溶液が、ポリオレフィン系樹脂フィルム内部にまで浸透することによってハロゲン非含有難燃剤が腐食されて限界酸素指数値が更に低下するなど、酸性雨を前提とした環境下では、これらの比較例1〜8の難燃化ポリオレフィン系樹脂シートは全く使用できるレベルのものではなかった。また比較例1〜比較例8ではシートの製造方法、特にポリオレフィン樹脂とハロゲン非含有難燃剤(無機系化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物)との混練方法を一括混練としたために、極めて混練効率が悪く、しかも混練設定時間の5分間以内にハロゲン非含有難燃剤を樹脂中に完全に練り込むことができず、テストロールのロール下にはこれらのハロゲン非含有難燃剤が多量にこぼれ落ちた状態であった。従ってハロゲン非含有難燃剤を規定量含むことができない比較例1〜比較例8のシートの防炎性試験は不安定で一部不適合となる例が存在した。また確認のためロール下にこぼれ落ちたこれらの化合物を回収して再度テストロール混練を続けたが、それでも尚ロール下にはこれらの化合物がこぼれ落ちていた。この動作を繰り返すことによってやがてこれらのハロゲン非含有難燃剤を樹脂中に混練することができたが、この動作の繰り返しの間にこれらのハロゲン非含有難燃剤が飛散して大きなロスを生じる結果となった。この結果は表4、表5に示したとおりであった。
【0125】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐光性と耐酸性を有し、かつ高周波融着可能であるポリオレフィン系樹脂製シート及び、高周波融着部の破壊強度と耐熱クリープ性に優れた難燃化ポリオレフィン系樹脂シートを容易に得ることができる。従って本発明の方法及び製造方法により得られるポリオレフィン系樹脂製シートは、テント用膜材、シート倉庫用膜材、建築現場用養生シート、建築現場用遮音シートなど、屋外で酸性雨に晒される用途に適しており、しかも屋外で長期間防炎性能の維持が可能な新規の産業資材用耐酸性雨性難燃化シートとして極めて有用なものである。
Claims (34)
- 繊維布帛を含む基布と、前記基布の少なくとも1面を被覆しているポリオレフィン系樹脂被覆層とを有し、
前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が、
(A)100重量部のポリオレフィン系樹脂ブレンドと、
(B)20〜200重量部の、難燃剤からなる粒子本体、及びその表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と、耐光安定剤とを含む表面被覆層を有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
を含み、
前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)が、
(a)メタロセン系触媒の存在下で、エチレンと、少なくとも1種のα−オレフィンとを共重合して得られた直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂と、
(b)エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体樹脂から選ばれた少なくとも1種からなるエチレン系共重合体樹脂と、
を含み、
前記エチレン系共重合体樹脂(b)に含まれる酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸(エステル)の合計重量が、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド(A)の合計重量に対して、5〜30重量%の範囲内にある、
ことを特徴とする、耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。 - 前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が前記基布の表面を被覆しており、さらに、前記基布の裏面が、熱可塑性樹脂層により被覆されていて、前記熱可塑性樹脂層が、
(D)100重量部の熱可塑性樹脂と
(B)20〜200重量部の、難燃剤からなる粒子本体、及びその表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含む表面被覆層を有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
を含む、
請求項1に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。 - 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層に含まれる前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、及びジアリルフタレート樹脂から選ばれた1種以上を含み、かつその被覆率が、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子の重量に対し、2〜15重量%である、請求項1又は2に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層用熱硬化性樹脂に、更に金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物及びシリコーン系化合物から選ばれた1種以上の添加剤が混合されていて、この添加剤の混合量が、熱硬化性樹脂の重量に対して、1〜30重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層中に含まれる前記耐光安定剤の含有量が、前記表面被覆層の重量に対して、0.05〜3.0重量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記耐光安定剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物から選ばれた1種以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体が、リン含有化合物、窒素含有化合物、無機系化合物の1種以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用リン含有化合物が、赤リン、(金属)リン酸塩、(金属)有機リン酸塩、ポリリン酸アンモニウムから選ばれる、請求項7に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用窒素含有化合物が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれる、請求項7に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用無機系化合物が、金属酸化物、金属水酸化物、金属複合酸化物、金属複合水酸化物から選ばれる、請求項7に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記基布用繊維布帛が、フィラメント糸条からなり、かつその空隙率が5〜40%である、請求項1又は2に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド100重量部に対し、0.05〜3.0重量部の耐光安定剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記基布用繊維布帛が、繊維形成時に難燃剤を練り込み或いはドーピングすることにより、又は、繊維形成後に後処理により難燃化処理されている、請求項1,2及び11のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂製造用メタロセン系触媒が、シクロペンタジエニル誘導体、及びインデニル誘導体の少なくとも1種を含有する有機遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを含む、請求項1又は2に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記裏面熱可塑性樹脂層用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項2に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 前記裏面熱可塑性樹脂用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた少なくとも1種と、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂及びアリルフタレート系樹脂から選ばれた少なくとも1種とのブレンドを含む、請求項2に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シート。
- 請求項1に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートを製造するために、
(1)前記エチレン系共重合体樹脂(b)中に、前記難燃剤粒子本体と、その表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含むハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の少なくとも1種を高濃度で含む1種以上の(b)+(B)ペレットを製造し、
(2)前記(b)+(B)ペレットの全種と、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(a)とを混合して被覆用樹脂コンパウンドを調製し、
(3)前記被覆用樹脂コンパウンドを、カレンダー成形又はT−ダイ押出成形に供して、ポリオレフィン系樹脂フィルムを成形し、
(4)前記ポリオレフィン系樹脂フィルムを、前記基布の少なくとも1面に積層・貼着する、
ことを特徴とする耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。 - 前記基布の表面に前記ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層貼着する工程と、さらに、前記基布の裏面に、熱可塑性樹脂層を形成する工程とを含み、
前記熱可塑性樹脂層が、
(D)100重量部の熱可塑性樹脂と、
(B)20〜200重量部の、難燃剤からなる粒子本体、及びその表面に形成されかつ熱硬化性樹脂と耐光安定剤とを含む表面被覆層を有する少なくとも1種のハロゲン非含有難燃剤粒子と、
を含み、
前記熱可塑性樹脂層の形成工程において、
(a′)前記熱可塑性樹脂(D)の水性エマルジョン及び水性ディスパージョンから選ばれた少なくとも1種からなる水系の樹脂液、或は、
(b′)前記熱可塑性樹脂(D)を有機溶剤中に溶解して得られた溶液、
の中に、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)を含有させて調製された塗布液を前記基布の裏面に塗布し、乾燥する、請求項17に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。 - 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)が、その難燃剤粒子本体の組成、及び/又はその表面被覆層の組成において異る2種以上からなり、
前記(b)+(B)ペレット製造工程において、 前記2種以上のハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の全種を、前記エチレン系共重合体樹脂(b)中に混合して単1種の(b)+(B)ペレットを製造する、請求項17又は18に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。 - 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)が、その難燃剤粒子本体の組成及び/又はその表面被覆層の組成において異る2種以上からなり、
前記(b)+(B)ペレット製造工程において、前記2種以上のハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の少なくとも1種と、前記エチレン系共重合体樹脂(b)とを混合して少なくとも2種の(b)+(B)ペレットを製造し、
前記被覆用樹脂コンパウンド調製工程において、前記2種以上の(b)+(B)ペレットの全種と、前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂(a)とを混合して被覆用樹脂コンパウンドを調製する、請求項17又は18に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。 - 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層に含まれる前記熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂、及びジアリルフタレート樹脂から選ばれた1種以上を含み、かつその被覆率が、前記ハロゲン非含有難燃剤粒子の重量に対し、2〜15重量%である、請求項17〜20のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層用熱硬化性樹脂に、更に金属アルコキシド化合物、有機シラン化合物、有機チタネート化合物、アルキルフルオロ基含有化合物及びシリコーン系化合物から選ばれた1種以上の添加剤が混合されていて、この添加剤の混合量が、熱硬化性樹脂の重量に対して、1〜30重量%である、請求項17〜21のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の表面被覆層中に含有されている前記耐光安定剤の含有量が、前記表面被覆層の重量に対して0.05〜3.0重量%である、請求項17〜22のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記耐光安定剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物、ヒンダードアミン系化合物から選ばれた1種以上を含む請求項17〜23のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体が、リン含有化合物、窒素含有化合物、無機系化合物の1種以上を含む、請求項17〜24のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用リン含有化合物が、赤リン、(金属)リン酸塩、(金属)有機リン酸塩、ポリリン酸アンモニウムから選ばれる、請求項25に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用窒素含有化合物が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれる、請求項25に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記ハロゲン非含有難燃剤粒子(B)の難燃剤粒子本体用無機系化合物が、金属酸化物、金属水酸化物、金属複合酸化物、金属複合水酸化物から選ばれる、請求項25に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記基布用繊維布帛が、フィラメント糸条からなり、かつその空隙率が5〜40%である、請求項17又は18に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記ポリオレフィン系樹脂被覆層が、前記ポリオレフィン系樹脂ブレンド100重量部に対して、0.05〜3.0重量部の耐光安定剤をさらに含む、請求項17〜29のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記基布用繊維布帛が、繊維形成時に難燃剤を練り込み或いはドーピングすることにより、又は、繊維形成後に後処理により難燃化処理されている、請求項17,18,29及び30のいずれか1項に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂製造用メタロセン系触媒が、シクロペンタジエニル誘導体、及びインデニル誘導体の少なくとも1種を含有する有機遷移金属化合物と、アルキルアルミノキサンとを含む、請求項17又は18に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記裏面熱可塑性樹脂層用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた1種以上を含む、請求項18に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
- 前記裏面熱可塑性樹脂用熱可塑性樹脂(D)が、アイオノマー樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びこれらの変性体樹脂から選ばれた少なくとも1種と、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂及びアリルフタレート系樹脂から選ばれた少なくとも1種とのブレンドを含む、請求項18に記載の耐酸性雨性難燃化ポリオレフィン系樹脂シートの製造方法。
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