JP3654477B2 - パラメトリックガスクロマトグラフィーによる気体のバルク分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパラメトリックガスクロマトグラフィーによる気体のバルク分離方法に関するものであり、さらに詳しくは、例えば空気より酸素と窒素を分離生産するなど、難吸着成分(A)と易吸着成分(B)を含む原料混合ガスを吸着剤カラムの入口端から出口端へ通して出口端部から一定周期毎に、難吸着成分(A)と易吸着成分(B)が分離されて交互に出てくるようにした、少ない動力消費と高い総合効率で、難吸着成分(A)と易吸着成分(B)を分離生産できる気体のバルク分離方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、酸素、窒素の工業的生産は主として空気液化分離法(深冷法と略す)で行われ、パイプラインまたは液酸輸送等の手段により、主として酸素は鉄鋼冶金方面へ、窒素はLSI製造の雰囲気ガスなどとして電子工業へ供給、使用されている。
また、中小規模用途の一部は空気より公知のオンサイト圧力スイング吸着法(Pressure Swing Adsorption 、以下PSAと称す)を用いて酸素と窒素を分離してパイプライン供給されている。
【0003】
深冷法は、高純度酸素と高純度窒素を大量に併産できる現行唯一の方法であるが、装置構成が複雑かつ高級材料を使用するため装置価格が割高な点が問題である。この深冷法は1900頃に発明された技術で、1955頃迄に工業装置として基本的なことは完成の域に達しており、現在も、構成装置部品や機械の効率向上、低価格化、精留塔の改善等、部分的改良は続けられているが、基本的な効率向上は期待できない状況にある。
【0004】
それに対してPSAは簡単な構成の装置と常温操作で90〜95%の酸素を製造する方法であり、深冷法が経済的に引合わないような中小規模の用途、例えば電炉、廃水処理、パルプ漂白、オゾナイザー付加装置等として使われている。
このPSAは1957頃に発明された技術で、当初より最近に至る迄、省エネ改善努力が続けられ、多数の特許が出願されてきた。また特に近年傾向として吸着剤生産性[リットル(酸素)/kg−(吸着剤)(H)](PSAにおける省資材の指標となるもの)が大幅に改善されてきた。
また、最近、従来の吸着剤であるMS−5Aゼオライトより吸着性能の優れたLiX型ゼオライトの採用及び/またはプロセスの高速化等により、総合効率の高められた新しいPSAが提案されている(例えば、特開平2−68111号公報、特開平7−185247号公報、特開平3−52615号公報、特開平6−55027号公報など)。
【0005】
近年、エネルギー、環境問題の高まりとともに、省エネ、省資材を追究した新発電システムや新製鉄法の工業化を目指して各種開発プロジェクトが進行中である。これらの開発プロジェクトの例としては、例えば、石炭ガス化複合発電、高温燃料電池、酸素高炉法、溶融還元製鉄法等があり、実用システムにおいては大量の酸素や窒素が消費される。
従って、省エネと省資材(もしくは、簡単な構成、低価格の装置など)を総合した総合効率の高い酸素・窒素製造装置や酸素・窒素製造方法に対する期待は大きいものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
吸着分離システム(装置)の評価尺度について述べる。
次の▲1▼と▲2▼の2つの指標値の小さいもの程よい吸着分離システムである。他の混合ガスでも同様であるが、酸素製造を例にとって説明する。
▲1▼酸素原単位=KWH/m3 (NTP)(酸素)→ 省エネ尺度
▲2▼酸素製造能力当たりの装置価格
装置価格/m3 (NTP)(酸素)/H → 省資材尺度
結局、上記の▲1▼、▲2▼をひっくるめた酸素製造原価[円/m3 (酸素)]の小さい程よい。上記の▲1▼、▲2▼が共に小さい場合に総合効率が高いと定義し以下に用いる。
【0007】
現在の“空気分離方法”を代表する深冷法は、−200℃近傍の超低温プロセスを主とするもので、長年、省エネが追究され、装置部品や機械類の改良は略限界に到達しており、大幅な総合効率の向上は期待し難い。
他方のPSAは、開発初期は収率向上(省エネ)、最近は“吸着剤生産性”[リットル(90%酸素)/kg(吸着剤)H](省資材)[1kgの吸着剤で1時間に何リットルが生産できるか、の値でこの値が大きい程、製置がコンパクト(省資材)になる。PSAの省資材的尺度として専ら使用されている。]の向上が追究され、省エネ、省資材が進んだ。PSAは40年近い開発で略完成の域に到達しているが、尚、次の検討課題がある。
▲1▼酸素の純度は、深冷法が99.5%以上であるのに対して、PSAは90〜95%と低いにもかかわらず酸素原単位が略同程度[0.35〜0.5KWH/m3 (NTP)酸素]であるので改善余地がある、また、この値は空気の完全分離の半透膜仕事(理論値)の0.069(KWH/m3 酸素)に比較してかなり大きな値であり、もっと酸素原単位を小さくすること。
▲2▼初期のPSAの吸着剤生産性は、10〜15[リットル(90%酸素)/kg−(吸着剤)(H)]程度であり、最新のPSAの吸着剤生産性は、40〜60[リットル(90%酸素)/kg−(吸着剤)(H)]程度であり、もっと吸着剤生産性値を大きくすること。
▲3▼酸素−窒素が併産できること。
現行のPSAは酸素のみまたは窒素のみ生産する単能機である。現行のPSAは酸素−窒素併産は可能であるが、システムが複雑化し、PSAの長所が損なわれる。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で、エネルギー要求量を減らし、酸素原単位を小さくし、吸着剤生産性を向上させ、総合効率を格段に向上させた方法で、例えば原料空気から安価に酸素と窒素とを併産できるような気体のバルク分離方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は小型酸素−PSAのコンパクト化極限を追究し、幾多の実験・評価を行った結果“パルス流制御式PSA”(PF−PSAと略す)を見いだし先に16件の特許出願を行った。即ち、一定の吸着剤量で酸素生産量を増やすためには、より大きなポンプに変え吸着剤への空気負荷を大きくする必要がある。その結果、吸着塔へ出入するガス流の変動が激しくなる。そこで、PF−PSAは、高速オン−オフ弁を一定シーケンスに基づいて断続的に開閉することによにり、ガス流を圧力波に変換し、吸着塔へ出入するガス流の迅速精密制御に成功し、2塔構成の最も簡単なシステムで吸着剤生産性400[リットル(90%酸素)/kg−(吸着剤)(H)](世界最高値)を達成した。
【0010】
このPF−PSA制御法を大型PSAに適用して、大型機においても高い吸着剤生産性を達成したが、さらに常用PSAに比し一層の収率向上を企図して、実験・評価を重ね、ここに、常用PSAとは異なり、PSAを構成するすべての個別操作を並流で行う本発明の「全並流域の新しい吸着分離法」を成すに到った。
【0011】
本発明の「全並流域の新しい吸着分離法」は並流吸着分離操作である点ではガスクロマトグラフィーに似ているが、キャリヤーガスとして非吸着性ガス(Heなど)を使用しない点、ガスクロマトグラフィーが通常すべての条件が一定で行われるのに対してキャリヤーガスの使用条件(圧力、温度、組成、流速など)のすべてが時々刻々変動する点(パラメトリック、パラメーター変動的)において常用ガスクロマトグラフィーとも異なるので、以下本発明を“パラメトリック ガスクロマトグラフィー”と称す(PGCと略す)。
【0012】
本発明の請求項1の発明は、難吸着成分(A)及び易吸着成分(B)を含む原料混合ガスを、その中の成分(A)、成分(B)に比して少量でかつ吸着性の著しく強い水分、炭酸ガス、その他の易凝縮性ガスを前処理装置にて予め除いた後、成分(B)を選択的に吸着できる吸着剤をカラム状あるいは層状に充填した吸着塔を少なくとも2つ含む吸着分離システムの前記吸着塔の一端(入口端)から他端(出口端)へ通じて成分(A)及び/または成分(B)を得るための気体のバルク分離方法であって、各吸着塔は下記の工程▲1▼〜▲6▼のシーケンス操作を循環的にうけることにより他端(出口端)から、少ない動力消費と高い総合効率で、一定時間毎に、交互に製品として成分(A)及び/または成分(B)を得ることを特徴とするパラメトリックガスクロマトグラフィーによる気体のバルク分離方法である。
▲1▼原料混合ガスを吸着塔の入口端に通じ、塔内圧力を中間圧力から、最高操作圧まで上げ原料混合ガス中の成分(B)を選択的に吸着し、高められた圧力のもとで他端(出口端)から成分(A)及び/または成分(A)に富んだガスを取り出す。
▲2▼原料供給を続行しつつ、最高操作圧近傍において出口端から成分(A)及び/または成分(A)に富んだガスを取り出す。
▲3▼原料供給を停止し、この吸着塔を並流方向に減圧し、減圧ガスは同一循環操作中の圧力近似かつ圧力上昇中の他の吸着塔の入口端へ通ず。
▲4▼減圧を続行し、大気圧または大気圧を経て真空圧にして、この吸着塔から放出及び/または吸引されたガスは大気へ放出するか、他の吸着塔へ回収するかあるいは成分(B)製品としてシステム外へ取出す。
▲5▼最低操作圧下の吸着塔に対し、同一循環操作中の他の吸着塔から、成分(A)に富むガス及び/または成分(A)を並流方向にパージガスとして導入し、吸着塔内の成分(B)を成分(A)に置換し、成分(B)及び/または成分(B)に富んだガスを吸着塔出口端から取出す。
▲6▼上記操作終了後、同一循環操作中の圧力近似かつ圧力下降中の他の吸着塔よりのガスを入口端に通じ、操作の中間圧まで昇圧する。
【0013】
本発明の請求項2の発明は、請求項1記載の方法において、原料混合ガスの供給を続行しつつ工程▲3▼を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3の発明は、請求項1記載の方法において、上記工程▲3▼、工程▲4▼の減圧操作と工程▲6▼の昇圧操作を段階的に行うことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項4の発明は、請求項1記載の方法において、原料混合ガスが空気であり、製品ガスが90%以上の酸素及び/または90%以上の窒素であることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項5の発明は、請求項1記載の方法において、上記吸着剤が窒素選択吸着性のゼオライト系モレキュラシーブ物質であることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項6の発明は、請求項1記載の方法において、吸着分離システムが2つの吸着塔からなることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項7の発明は、請求項1記載の方法において、吸着分離システムが3つ以上の吸着塔からなることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項8の発明は、請求項1記載の方法において、工程▲1▼の流出ガスを工程▲5▼のパージガスとして他の吸着塔へ供与し、工程▲2▼の成分(A)を製品とすることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項9の発明は、請求項1記載の方法において、工程▲2▼の流出ガスを工程▲5▼のパージガスとして他の吸着塔へ供与し、工程▲1▼の成分(A)を製品とすることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項10の発明は、請求項1記載の方法において、工程▲4▼の並流減圧ガス及び/またはポンプで吸引される成分(B)を製品とすることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項11の発明は、請求項1記載の方法において、吸着分離システム内にシリカゲル、活性炭、アルミナゲル、活性アルミナ、ゼオライトから選ばれる前処理用吸着剤を充填した前処理塔を設け、工程▲4▼および工程▲5▼における減圧及び/またはパージ放出ガスの一部をこの前処理塔の再生用パージガスとして供与することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項12の発明は、請求項1記載の方法において、工程▲4▼、工程▲5▼の1吸着塔流出ガス中の有効成分[目的製品が成分(A)のときは成分(A)、目的製品が成分(B)のときは成分(B)]をポンプを介して同一システム内の他の吸着塔へリサイクル回収することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項13の発明は、請求項7記載の方法において、3塔以上で構成される吸着分離システムで、2つの吸着塔を接続する個別操作は、操作圧近似の2吸着塔を対象とし、1吸着塔から他の吸着塔へ圧力差を利用して、並流方向にガスを流し、1吸着塔の圧力降下と他の吸着塔の圧力上昇を行い、そして最低操作圧下の吸着塔に対して、パージ操作を行うことを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項14の発明は、請求項1記載の方法において、2塔以上で構成される吸着分離システムで2吸着塔を接続する際、吸着塔内圧力が上昇過程にある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分(A)がリッチになるようにし、吸着塔内圧力が下降過程にある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分(B)がリッチになるようにし、1つの吸着塔の出口濃度と他の吸着塔の入口濃度の間に段差がないようガスの移送量を制御することを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項15の発明は、請求項10記載の方法において、工程▲4▼の成分(B)を一旦中間槽へ回収し、工程▲5▼に先立って、この中間槽内の成分(B)をポンプを介して吸着塔の入口端部へ再循環させ塔内を成分(B)に置換し、しかるのち、吸着塔内ガス及び吸着剤中の成分(B)をポンプにて吸引し、成分(B)を高純度品として回収することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項16の発明は、請求項6記載の方法において、2塔構成の吸着分離システムにおいて、2つの吸着塔を並流方向接続して均圧または部分均圧することを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項17の発明は、請求項1記載の方法において、工程▲3▼、▲4▼の降圧を膨張機関などの圧力エネルギー回収手段を介して行い、圧力エネルギーを電気及び/または機械エネルギーとして回収することを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項18の発明は、請求項1記載の方法において、圧力差のある2つの吸着塔を自動オン−オフ弁を介して接続して、ガスを移動さすためのシミュレーター試験において、この自動オン−オフ弁の開放時間(△ti)をパラメーターとし、下流側の吸着塔の入口端部と出口端部の差圧(△P)の時間(t)的変化を測定し、図形化し(タテ軸:△P、ヨコ軸:t)、この図形が正弦波もしくは正弦波近似波型のときの△tiをパルス時間、半波長幅より△tiを引いた値を△Ziとし、上記自動オン−オフ弁を通過するガス量(Vi)を次式(1)により定めたとき
△t1 (開)−△Z1 (閉)−△t2 (開)−△Z2 (閉)・・・・−△ti(開)−△Zi(閉)の弁開閉シーケンス(弁開放時間−時間関係)により上記工程▲1▼〜▲6▼の個別操作に必要かつ十分な気体の移動量(ΣVi)と気体の移動速度[ΣVi/(Σti+ΣZi)]を制御することを特徴とする。
【0030】
【数2】
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は吸着剤カラム一の端から他端へ原料混合ガスを通じ、出口端部から一定周期毎に例えば酸素と窒素が交互に出てくる点では常用ガスクロマトグラフィー操作に似ているが、次の点で異なる。
▲1▼キャリヤーガスとして第3のガス[成分(A)、成分(B)以外のガス]を使用していない。ガスクロマトグラフィーで酸素−窒素分離を行うときは、非吸着性のHeガスなどを使用している。
▲2▼本発明の方法においてはキャリヤーガスに相当するガスは成分(A)、成分(B)またはこれらの混合ガスである。また一定流速で供給するものでない。
▲3▼上記▲2▼に示す本発明の方法におけるキャリヤーガスの組成・圧力・温度・流量等は一定のパターンで周期的に変動し、パラメーター変動的である。
また、本発明の方法は圧力変動による吸脱着効果を利用する循環操作であって常用PSA(圧力変動吸着法)と似ているが、全操作を通じ、ガスの流れは一方向(並流)のみであるので、並流と向流の2つの操作が結合した常用PSAとは異なる。
【0032】
以下に常用PSAよりパラメトリックガスクロマトグラフィーへ到る経過を簡単に記す。空気より酸素製造を例にとって説明する。
常用PSAの基本プロセスは次の4つの個別操作より成る。一つの塔に着目して、▲1▼原料空気加圧→▲2▼製品酸素取出→▲3▼向流減圧→▲4▼パージそして▲1▼へ戻る。
常用PSAには約2000件の特許があるが、その殆どは上記4工程プロセスの変形態様である。
次に代表的なプロセスを説明する。
1) ▲4▼のパージ工程の後で製品酸素の一部を向流方向(還流)に流し、塔内圧力を操作の中間圧以上まで復圧させる。
2) 減圧を例えば並流2〜3段と向流1段とに分けて行い、並流減圧ガスは別の塔へ回収し、向流減圧ガスは大気へ放出する。
3) ▲2▼と▲3▼の工程の間および▲4▼と▲1▼の工程の間に均圧操作を入れて塔を減圧または昇圧する。
4) 上記▲3▼の向流減圧をポンプを用いて促進する(真空法と称す)。操作の最低圧が真空になる。
【0033】
上記常用PSAにおける非効率の主因(収率低下)は主として前記▲3▼と▲4▼の“向流”操作にあり、“向流”減圧操作で有効成分の酸素が系外へ放出される。
この酸素ロスをできるだけ減らすため、長年に亘り、幾多の改良が加えられ、今日迄多数のPSA特許が提案されることになった。
【0034】
そこで本発明者はパルス流制御法の手法の一部を応用して前記▲3▼と▲4▼の向流操作におけるガスの量と純度の時々刻々の変化を詳細に追跡した結果、上記▲3▼の向流減圧ロスは上記▲4▼のパージロスに比較して格段に大きいこと、向流減圧を初期、中期、後期の3ステップに分けたとき、初期ロスが大きいこと、パージ効果は大きく、かつパージロスは少ないので、この効果を積極的に活用すべきであることなどが判明した。
【0035】
減圧ロスの回収のため、減圧を並流と向流のいくつかの個別操作に分割して“多段化”し、有効成分に富んだ減圧ガスをシステム内に回収することは先行技術で確立しているが、この場合塔数が3〜4個必要となり、構成が複雑化する。
そこで本発明においては、減圧はすべて並流方向とし、有効成分は原則としてすべて回収すること、吸着塔の再生には“パージ”を積極的に活用すること、パージ損失を防止するため、塔内濃度勾配は個別操作間を通じて一定に保持し、混合によるエントロピーロスを最小にすること、また特に大容量機においては圧力エネルギーをできるだけ回収すること、また、構成材料が鉄と石(ゼオライト)で、深冷法のごとき高級材料(銅、アルミ)は全く使用しないことなどにより、省エネ、省資材性に優れ、かつ酸素−窒素が併産できるという、従来PSAにない特長が得られ、将来の廃棄処分費等のすべてを含めた総合効率は従来の空気分離方法(深冷法、常用PSA)に比較して格段に向上する。
【0036】
空気分離を例にとって、本発明の方法を具体的に説明する。
図1は本発明の方法を実施するための基本システムを示す。
この基本システムは、ポンプ(1)、前処理装置(3)、分離装置(またはシステム)(5)の3部分と接続配管(2,4,6)、製品取出弁(27,28)から成る。
1) 原料空気はポンプ(1)により加圧され、管路(2)を経て前処理装置(3)へ送られる。
2) 原料空気中の水分、炭酸ガス等は前処理装置(3)にて除かれ、乾燥空気(DA)として管路(4)へ送出される。前処理方法は、吸着式、冷媒式、膜式またはこれらの併用式の何れであってもよいが、総括効率の低下を来さないよう、低価格、省エネで製品ロスの少ないものを選択することが好ましい。
3) 乾燥空気(DA)は分離装置(またはシステム)(5)へ送られる。DAはこの装置(5)で酸素と窒素に分離され、一定時間毎、交互に管路(6)に送出される。
4) 管路(6)に接続する自動弁(27)と(28)を一定時間毎に交互に開閉することにより製品酸素(O2 )、製品窒素または排窒素(N2 )として捕集され、製品ガスは各弁の下流に接続される製品貯槽(記載せず)に貯蔵され、そこから消費端へ送られる。
そして分離態様としては、下記1〜3の場合がある。
1.酸素のみ製品とし、排窒素は大気へ放出する。
2.窒素のみ製品とし、排酸素は大気へ放出する。
3.酸素−窒素併産製品とする。
但し、窒素純度が90%以上のときと、99%以上のときの2通りがある。
【0037】
本発明の方法の主旨は、図1に示す分離装置または吸着分離システム(5)における次に示す操作手順にある。
なお吸着分離システム(5)には、図4〜6に示す吸着分離システム内に前処理装置を含まないもの(大型機対象)、図7〜8に示す吸着分離システム内に前処理装置を含むもの(中および小型機対象)、その他分離仕様により異なるものなどいくつかの基本態様があるが、基本操作(本発明の方法)は同じである。
図7に示す吸着分離システムは酸素のみ製品とするシステム例であり、図8に示す吸着分離システムは酸素と低純度窒素(90%以上)を製品とするシステム例であり、図9に示す吸着分離システムは酸素と高純度窒素(99%以上)を製品とするシステム例である。
【0038】
本発明の気体のバルク分離方法を、図4(A)に示す2塔構成の吸着分離システム(装置)を用いて空気より酸素と窒素を分離する例により説明する。
図4(B)は、後に詳述するが、圧力エネルギー回収手段(EX)を用いて降圧過程の圧力エネルギーを膨張機関または発電機で回収する場合のシステム例を示す。
図2(A)は、[吸着塔(A)および吸着塔(B)内の圧力〜時間]関係を示す圧力シーケンスであり、図2(B)は各工程▲1▼〜▲6▼の終期における吸着塔(A)および吸着塔(B)内の気相酸素濃度を模型的に示す説明図である。なお、図2(B)中の記号1〜4は酸素濃度を示し、1は酸素濃度21%以下、2は酸素濃度21%、3は酸素濃度21〜90%、4は酸素濃度90%以上を示す。この記号1〜4と酸素濃度の関係をまとめて表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
本発明においては、吸着塔(A)、吸着塔(B)において次の工程▲1▼〜▲6▼の個別操作を順次繰返すことにより、吸着塔出口端部から酸素と窒素が一定時間間隔をおいて交互に取出される。
なお、吸着分離システムの供給空気は予め前処理装置で水分、炭酸ガス等を除去した“乾燥”空気とする。
【0041】
次に工程▲1▼〜▲6▼順序を示す。
▲1▼ 原料加圧
原料空気はポンプにて加圧され、吸着塔(A)へ入口端より送入される。そして吸着塔(A)の圧力を中間圧(PM )から上昇さす。
出口端部からは酸素リッチガスが取出され、最低操作圧(PL )下にある吸着塔(B)へ、パージガスとして並流供給される。
▲2▼ 製品送出
吸着塔(A)内圧力が最高操作圧(PH )に到達したら、原料空気の送入を停止する。最高操作圧(PH )近傍で製品取出弁が開放され、製品酸素が取出され、図示しない製品貯槽へ送られる。
また、製品酸素の一部は吸着塔(B)のパージガスまたは再加圧用のガスとして並流供給される。
▲3▼ 並流減圧(1)
吸着塔(A)の均圧弁を開放して、吸着塔(A)と吸着塔(B)を並流接続する。この操作により吸着塔(A)内圧力は降下し、吸着塔(B)内圧力は上昇する。
この操作は通常、2つの塔の圧力が平衡化するまで行うが、(均圧)、平衡化の途中で停止する場合もある(部分均圧)。
▲4▼ 並流減圧(2)
上記工程終了後、吸着塔(A)の出口端を大気へ開放し、塔内残留ガスを大気へ並流放出し、またさらに真空ポンプにより吸引し大気圧以下にし、最低操作圧(PL )にする。
▲5▼ パージ
最低の操作圧下にある吸着塔(A)に対して、吸着塔(B)出口端部から酸素リッチガスを並流送入し、吸着塔(A)内に残留した窒素を並流パージする。
▲6▼ 再加圧
【0042】
上記工程▲1▼〜▲6▼を終了後、工程▲3▼と同様、吸着塔(A)と吸着塔(B)を並流接続し、吸着塔(A)は中間圧(PM )迄復圧するとともに吸着塔(B)は降圧する。
以上の工程▲1▼−▲6▼の操作を1サイクル操作(1サイクル時間、T秒)と云う。2塔構成のときは、吸着塔(A)と吸着塔(B)はT/2時間遅れて同一の操作を繰返す。
3塔構成のときは、吸着塔(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)はT/3時間遅れて同一の操作を繰返す。
【0043】
図2(B)により吸着塔(A)および吸着塔(B)内の酸素濃度の変化を説明する。
工程▲1▼、工程▲2▼において、
吸着塔(A)に、原料空気を送入する(矢印で示す)ことにより吸着塔(A)内ガス濃度分布は入口−出口側に向かって図2(B)に示したように2−3−4となる。以下同様の記載方法とする。
出口端部の製品酸素は製品として捕集される。一部は吸着塔(B)へパージガスとして供給される(矢印で示す)。
【0044】
工程▲3▼、工程▲4▼の並流減圧工程により窒素の脱着が始まり、吸着塔(A)内ガスの濃度分布は図2(B)に示したように1−2−3から1−1−2のごとく変化する。
空気濃度(O2 =21%)以下のガスは排窒素として、大気中へ放出する(粗窒素として回収してもよい)。
【0045】
工程▲5▼(パージ)において、
吸着塔(A)入口端部から酸素が並流方向に導入されることにより、入口端部に吸着されている窒素から順次脱着が始まり、出口端部方向へ押しやられる。
吸着塔(A)内気相濃度は図2(B)に示したように1−1−2から4−1−1のごとく変化する。
2塔構成システムでは、この工程で濃度段差が生じるので、入口端部より乾燥空気(DA)をリークさせて、1−1−2→2−1−1→4−2−1のごとくしてもよい。
【0046】
工程▲6▼(再加圧または復圧)
吸着塔(B)を減圧しつつ、吸着塔(A)へ並流供給することにより吸着塔(A)内の酸素濃度は図2(B)に示したように4−1−1から3−4−1のごとく変化する。次第に出口端へ酸素リッチガスが移動する。
工程▲6▼に引続き工程▲1▼(原料空気供給)が始まり図2(B)に示したように、3−4−1から2−3−4のごとく圧力上昇とともに、出口端部は酸素リッチになる。
吸着塔(A)の昇圧工程においては、出口端部へ向かって次第に酸素リッチになるよう、また降圧工程においては、出口端部へ向かって次第に窒素リッチになるよう配慮して、吸着塔(A)、吸着塔(B)間の気体移動量を制御する。
また吸着塔(A)と吸着塔(B)、吸着塔(B)と吸着塔(A)を並流接続するとき、接続部で濃度段差がおきないよう(濃度差による混合がおきないよう)操作する。
【0047】
本発明の気体のバルク分離方法を、図5に示す3塔構成の吸着分離システム(装置)を用いて空気より酸素と窒素を分離する例により説明する。
図3(A)は、[吸着塔(A)、吸着塔(B)および吸着塔(C)内の圧力〜時間]関係を示す圧力シーケンスであり、図3(B)は各工程▲1▼〜▲6▼の終期における吸着塔(A)、吸着塔(B)および吸着塔(C)内の気相酸素濃度を模型的に示す説明図である。なお、図3(B)中の記号1〜4は酸素濃度を示し、1は酸素濃度21%以下、2は酸素濃度21%、3は酸素濃度21〜90%、4は酸素濃度90%以上を示す。この記号1〜4と酸素濃度の関係をまとめて前記表1に示す。
【0048】
この場合においても原料ガスは前処理すみの乾燥空気である。前記の2塔構成システムにおけると同様、吸着塔(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)の各塔はT/3時間おくれて次の▲1▼〜▲6▼の6工程操作を順次繰返す。
▲1▼原料ガス加圧→製品酸素送出
▲2▼並流減圧(1)
▲3▼並流減圧(2)
▲4▼パージ
▲5▼再加圧(1)
▲6▼再加圧(2)
【0049】
3塔構成システムにおける操作と2塔構成システムにおける操作の対比を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
即ち、2塔構成システムにおける▲1▼、▲2▼の操作が3塔構成システムにおいては1つの個別操作▲1▼になり、2塔構成システムにおける▲6▼の操作が3塔構成システムでは▲5▼と▲6▼の2つの個別操作になる。
【0052】
次に、前記2塔構成システムの説明と重複しないよう3塔構成システムの個別操作を説明する。
吸着塔(A)に着目して、
工程▲1▼では原料空気を吸着塔(A)へ加圧送入し、吸着塔(A)内圧力を上昇させつつ、製品酸素を取出す。残部は吸着塔(B)内圧力をPL →PM1(中間圧(1))へ加圧する。
工程▲2▼では原料空気の送入を続行しつつ出口端部より酸素リッチガスを吸着塔(B)入口端部へ並流方向送入し、吸着塔(A)を減圧しつつ、吸着塔(B)の圧力を中間圧PM1→中間圧PM2(中間圧(2))へ昇圧する。さらに吸着塔(B)と吸着塔(C)とを並流接続することにより吸着塔(A)→吸着塔(B)→吸着塔(C)とガスを流し、吸着塔(C)をパージする。このとき各塔気相濃度は図3(B)の工程▲2▼に示したように次のごとくなり
吸着塔(A)[2−2−3]→吸着塔(B)[3−4−3]→吸着塔(C)[3−2−1]
各塔接続部で酸素濃度の段差がおきないよう、塔間流れを制御する。
【0053】
工程▲3▼では中間圧PM2から操作の最低圧PL 迄減圧する。減圧放出ガスは大気へ放出するか、粗窒素として回収する。またはポンプ(10)を介して、減圧流出ガス中の有効成分を、図5中に点線で示した経路を通じて、同一システム内の他塔へリサイクル回収してもよい。この際、製品として酸素を目的とする場合は主として減圧初期と後期の流出分を回収し、窒素を目的とする場合は、減圧中間期の流出分をリサイクル回収する。
工程▲4▼では吸着塔(B)出口端の酸素リッチガスが吸着塔(B)→吸着塔(C)→吸着塔(A)と並流方向に流れ、吸着塔(A)内残留窒素をパージする。このときの各塔気相濃度は図3(B)の工程▲4▼に示したように次のごとくなり
吸着塔(B)[2−2−3]→吸着塔(C)[3−4−3]→吸着塔(A)[3−2−1]
各塔接続部で酸素濃度の段差が生じないよう、塔間ガス流れを制御する。
【0054】
工程▲5▼では吸着塔(C)からの製品酸素の一部が最低操作圧(PL )下にある吸着塔(A)へリークし、吸着塔(A)内圧力をPL →PM1へ再加圧する。
工程▲6▼では、吸着塔(C)→吸着塔(A)→吸着塔(B)の接続により、吸着塔(A)は中間圧PM1→PM2迄昇圧する。同時にまた少しおくれて、吸着塔(A)よりの酸素リッチガスにより、吸着塔(B)がパージされる。このときの各塔気相濃度は図3(B)の工程▲6▼に示したように次のごとくなり
吸着塔(C)[2−2−3]→吸着塔(A)[3−4−3]→吸着塔(B)[3−2−1]
各塔接続部で酸素濃度の段差が生じないよう塔間流れを制御する。
以上で3塔構成システムにおける分離操作を説明した。
【0055】
3塔構成システムにおける分離操作は2塔構成システムにおける分離操作に比較して、吸着塔間で著しい酸素濃度の段差が生じない点、ポンプの空運転期間がない点で有利である。
4塔式以上になると3塔構成システムより一層酸素濃度の段差が生じにくいが塔数が増えるとシステムが複雑化し、装置価格の上昇につながる。従って、2〜4塔構成システムが適当である。
【0056】
本発明の気体のバルク分離方法を前記説明の2塔構成システムと3塔構成システムについて一般化して述べると、(1)2塔間操作は全て並流流れ操作とする、(2)2塔間接続は圧力近似であって、一つの塔の昇圧過程と、他の塔の降圧過程を組合わせて行うこと、(3)2つの塔の接続にあたり、気体濃度の段差がおきないよう、各塔間の流れを制御することなどを特徴とする。
【0057】
本発明においては常温操作を基準とするので、エンタルピー損失は最小にすることができる。但し、季節間における酸素生産量変動を平滑化するため、原料空気温度を例えば15〜25℃の一定温度に保つことは差支えない。また、常温より10〜15℃高めの温度にて操作することも差支えない。操作温度を少し高くすることは物質移動速度を早め、多くの場合操作上好ましい影響がある。
本発明における操作圧力範囲は、一般には、ポンプに過大な負荷がかからない大気圧近傍であるが下記の2通りに分類される。
(1)最低圧PL が大気圧かそれ以上の場合“加圧法”と称す。この場合は、加圧用ポンプのみでよい。
(2)最低圧PL が真空圧である場合“真空法”と称す。この場合は、加圧用と真空用と2種のポンプが必要となる。
【0058】
本発明における作動圧力範囲(中・小型機対象の場合)の例としては次の例を挙げることができる。
(1)0〜7kg/cm2 G(ゲージ圧)、標準的には0〜4.5kg/cm2 G(ゲージ圧)
(2)0.1〜4kg/cm2 abs(絶対圧)、標準的には0.2〜3.5kg/cm2 abs (絶対圧)。
【0059】
本発明の気体のバルク分離方法の実施に適した吸着分離システム(ハード)例を図4〜図9を用いてさらに詳細に説明する。
図4(A)に示した2塔構成システムや、図5に示した3塔構成システムによる気体分離操作は上記の通りである。
本発明の方法では、各塔から酸素リッチガスと窒素リッチガスが交互にでてくる。この際、次の(1)〜(3)の3つのケースがある。
(1)酸素のみ製品とし、窒素は大気へ放出する場合の吸着分離システム例を図7に示す。
(2)酸素と低純度窒素を製品とする場合の吸着分離システム例を図8に示す。
(3)酸素と高純度窒素を製品とする場合の吸着分離システム例を図9に示す。
窒素を製品とする上記(2)および(3)のケースでは、一般に真空法が好ましい。中、小規模の生産システムでは、一般に前処理装置と分離装置を別置せずに、前処理装置(乾燥塔)を後者の分離装置(吸着分離システム)内に含めて1つのシステムとすることが好ましい。
【0060】
このような例を図7、図8に示す。この場合一般に循環操作毎に乾燥塔の再生を行う。多くの例は酸素のみを製品とするので、残りの排窒素分を乾燥塔に対して向流方向に流し乾燥剤をパージ再生する。
大型・超大型装置では最高操作圧を高めて(PH を高くすると装置がコンパクト化できるメリットがある)、降圧過程の圧力エネルギーを膨張機関または発電機で回収することが望ましい。
実際には、図4(B)に示すごとく、吸着塔から他の吸着塔へガスを降圧しつつ移送する際、高い圧力から両塔間に設けたEx(圧力エネルギー回収手段)を介して低い圧力へと膨張する。また、減圧最終段のガスの圧力エネルギーを回収するときは、弁14a(14b)−Ex−14cのごとく流れる。Exは膨張機関または発電機で、圧力エネルギーはExにより、機械的エネルギーまたは電気エネルギーとして回収され、システム内に保存され、システムの省エネ化に役立てられる。図4(B)のVはバイパス弁を示す。
【0061】
前処理装置が吸着分離システム内に含まれる例について2つのケースを説明する(空気分離例)。
1)図7は酸素の生産のみを目的とする2塔構成システムの例を示す。
図7に示した吸着分離システムの操作のための“弁シーケンス”を図13に示す。
図7の各部記号は図4(A)に示したものと同一の動作を示すものは同一の記号とした。図7において、DA 、DB は乾燥塔(シリカゲル、アルミナゲル、活性アルミナ等の乾燥剤が充填される)、ARは原料空気、O2 :製品酸素、WNは排棄窒素、WAは排棄空気を示す。
図7には乾燥塔操作のため弁15a、15b、16a、16b、17a、17bが付加される。また弁18は図4(A)の弁15と同一の動作(管路(4)内異常圧力上昇の開放)を行う弁である。
図7による分離操作は基本的には図4(A)、図10(A)に示す分離操作と同一である。
図7の吸着分離システムにおける各弁の1サイクルにおける開閉操作(弁シーケンス)を図13に示す。
並流減圧2段▲4▼及びパージ工程▲5▼の不用ガスが、弁15a→DA →弁16aとDA 内を向流方向に流れ、DA 内の乾燥剤に吸着されている水分、炭酸ガス等の脱着を促進し、パージガス(WN)として大気へ放出される。
パージに必要なガスの量は、操作圧PH とPL などに関係するが吸着塔(A)に供給される乾燥空気の5〜30%である。
【0062】
2)図8は酸素と粗製(低純度)窒素を目的とする2塔構成システムの例を示す。
図8の吸着分離システムの操作のための“弁シーケンス”例を図14に示す。
図8の吸着分離システムと図7の吸着分離システムの相違点は、真空ポンプ(10)がつき、真空ポンプ(10)の作動の円滑化のため、真空ポンプ(10)廻りに弁19、20、21がつく点、および弁14a、14bがつく点である。
図8による分離操作は、図4(A)、図10(A)及び図7、図13で説明した通り基本的には同じである。
吸着塔(A)について、並流減圧操作を弁15a−DA −弁16a→真空ポンプ(10)→弁21→大気と通じる再生操作と、その後、真空圧迄引く操作とを分けて実施する。後段のガスは窒素成分に富むのでこれを弁14a−真空ポンプ(10)−弁20を介して図示しない窒素貯留槽へ回収する。
【0063】
本発明の気体のバルク分離方法を実施する好適態様としては次のような態様を挙げることができる。
1.空気を原料として酸素(酸素濃度90%以上)を製品とする。
2.空気を原料として酸素(酸素濃度90%以上)および/または窒素(窒素濃度99%以上)を製品とする。
3.分離のためのシステムは2〜4塔構成とする。
4.吸着分離システムを操作する自動弁は電気力および/または空気圧で作動する、オン−オフ弁とする。
5.小容量機では原料混合ガスの前処理装置と分離装置を一体化したシステムとして構成し、一体化、循環操作を行う。
6.気体分離操作温度は常温近傍(25±10℃)とすること。
7.気体分離操作圧力は加圧法にあっては、0〜4.5kg/cm2 G、真空法にあっては−0.8〜+3.5kg/cm2 とすること(但し、中・小容量機対象)。
8.成分(A)を目的製品とするときは、塔内への原料気体送入において、成分(B)の吸着帯域前縁が塔の末端に到達する直前で、原料気体送入を停止するのが好ましい。また、成分(B)を目的製品とするときは、塔末端よりの流出ガス中の成分(A)の濃度が次第に減少し、入口濃度と出口濃度が等しくなる直前で原料気体送入を停止するのが好ましい。
【0064】
【作用】
1.本発明においては、PSAロス原因である向流減圧操作を並流減圧操作とし有用成分は原則として全てシステム内に回収したこと、システム内に形成された濃度勾配は各個別操作を通じて、維持することによりエントロピーロスを極小化したこと、システム内で発生する温熱および冷熱エネルギーは、全てシステム内での有効活用をはかりエンタルピーロスを極小化したこと、圧力エネルギーは他の吸着塔もしくは膨張機関などの圧力エネルギー回収手段で回収したことにより、省エネ性が著しく向上した。
2.本発明においては、簡単な構成を用い、かつ安い構成材料(主とて鉄と吸着剤)を用い、オン−オフ弁とパルス流制御法(PF)の採用による高負荷運転により、吸着剤生産性が向上し、コンパクト化が達成されたことにより、省資材性が著しく向上した。
3.省エネ性および省資材性の向上をひっくるめた総合効率が、従来の深冷法や従来のPSAに比して著しく改善され、例えば原料空気から大量、安価な酸素、窒素の供給が可能になった。
4.本発明の方法により、深冷法では達成できない、小容量機のための超コンパクトユニットも可能となった。
5.本発明の方法により、従来のPSAでは著しく困難な酸素、窒素の併産が可能となった。
【0065】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り実施例に限定されるものでない。
(実施例1)
本発明の気体のバルク分離方法を、図4(A)に示す2塔構成の吸着分離システム(装置)、図2(A)の[吸着塔(A)および吸着塔(B)内の圧力〜時間]関係を示す圧力シーケンス、および図10(A)、(B)に示す弁シーケンスを用いて空気より酸素(有用ガス)と窒素(不用ガス)を分離する例により説明する。
吸着塔(A)、吸着塔(B)にはそれぞれ、不用ガスを選択的に吸着する吸着剤a、bを収納している。吸着塔(A)、吸着塔(B)はそれぞれ、同一仕様のものである。
【0066】
図4(A)の下方側から混合気体(乾燥空気)(DA)を送入し、不用気体(窒素)を吸着させ上方側に送出する。
ポンプ(1)は、原料空気(AR)を吸引、加圧して管路(2)に送出し、前処理装置(3)にて、空気中の水分、炭酸ガス、微量不純成分等を除去し、加圧乾燥空気(DA)として管路(4)に送出し、管路(5a)、管路(5b)を経て吸着塔(A)、吸着塔(B)の下方の入口端部から送入する。
吸着塔(A)、吸着塔(B)の上方側(出口端部)から得られる有用気体(酸素)は管路(6a)、管路(6b)から管路(7)を経て製品貯槽(記載せず)に貯留される。
管路(6a)、管路(6b)には有用気体(酸素)と不用気体(窒素)が一定時間間隔をおいて交互に送出される。管路(8)は不用気体を放出するための経路である。なお、管路(8)に真空ポンプ(10)を設けて、不用気体の脱着を促進してもよい。
各開閉弁、11a、11b、12a、12b、13a、13b、14a、14bはそれぞれが配置された管路の気体の通過を開閉するための弁であって、制御部(図示せず)によって所要の工程を成し遂げるよう開閉動作するものである。
【0067】
・開閉弁11a、11bは上記の送入操作に寄与し、
・開閉弁12a、12bは所要気体(酸素)の採取操作に寄与し、
・開閉弁13a、13bは吸着塔(A)と吸着塔(B)、または吸着塔(B)と吸着塔(A)の並流接続操作のための弁で、「均圧操作」と「パージ操作」に寄与する。
・開閉弁14a、14bは不用気体(窒素)の大気放出に寄与する。
・開閉弁(15)は上記各弁切換操作時における管路(4)の過度的圧力上昇の緩和ないし、開放に寄与する。
・圧力計(PA )、(PB )はそれぞれ吸着塔(A)、吸着塔(B)の内部の圧力を監視する。
【0068】
本実施例1では各開閉弁は1サイクルの工程中、弁シーケンスでみると図10(A)、(B)のように制御しており、また圧力計(PA )、(PB )でみた圧力変化は図2(A)に示したようになっている。
図10(A)、(B)において各開閉弁はハッチングを施した期間だけ開通し、他の期間は停止している。
図2(A)の圧力変化は模型的線図を示したもので、実際には各開閉弁の開閉による各管路内や各吸着塔内の過渡的な変動を伴った変形曲線になる。
【0069】
1サイクル工程における各操作の順序を説明する。
基本的には各吸着塔(A)、吸着塔(B)の各圧力変化を1サイクル期間(T秒)の例えば、T=60秒の1/2、即ち30秒の位相差による2相の変化曲線をもって、運転操作しているものであり、具体的には、吸着塔(A)内の圧力変化は図2(A)の上部の折れ線で示す変化をもった第1相の圧力変化を行うように、吸着塔(B)の圧力変化は図2(A)の下部の折れ線で示す変化をもった第2相の圧力変化を行うように運転操作している。
また各圧力変化は最高圧PH と最低圧PL と、これらの間をほぼ2等分した中間の圧力PM の3つの圧力点を経移するように動作している。
【0070】
そしてまず、動作を開始すると、数サイクルの間は各吸着塔(A)、吸着塔(B)内の各圧力は種々の過渡的経過をたどるが、やがて、図2(A)の1サイクルの開始点(TS )において吸着塔(A)の圧力は上昇途中でPM に、吸着塔(B)の圧力は下降途中でPM もしくはその近傍にある。
始点TS からの動作を、吸着塔(A)に対する操作、つまり図2(A)の上部に示す圧力変化を主体にして、以下工程順に説明する。
【0071】
工程▲1▼ 原料加圧操作 0(=TS )〜25秒
開閉弁11aを始点TS より25秒間、開放する。
乾燥空気つまり原料気体を吸着塔(A)に加圧送入する操作を行い、吸着塔(A)の圧力を中間圧PM から最高操作圧PH に移行し、不用気体(窒素)を吸着剤(a)で吸着して、有用気体(酸素)を吸着塔(A)の上方側(出口端部)に送出する。また、これと同時に開閉弁14bを20秒開通して吸着塔(B)の圧力を管路(8)に排出しうる状態にすることにより、吸着塔(B)の圧力を中間圧PM から最低操作圧PL に移行する。この際、真空ポンプ(10)にて吸引し、最低操作圧PL を大気圧以下にすることもできる。
なお本操作期間中においても、始点(TS )から、15秒後、開閉弁(13a)を5秒間開通して、吸着塔(A)出口端部の酸素リッチガスを最低操作圧PL にある吸着塔(B)に対して、その入口端部から並流方向に流し、吸着塔(B)内のパージを行う。この操作により吸着塔(B)内残留不用ガス(窒素)の脱着が促進され、弁(14b)、管路(8)を経て大気へ放出される。
なおパージ操作終了後も開閉弁13aを短時間開放しておき、吸着塔(B)内圧力を大気圧より高めに保持する[図10(A)、(B)の5aで示す]。
【0072】
工程▲2▼ 製品取出操作(20〜25秒)
工程▲1▼の操作により、吸着塔(A)の圧力が上昇し、最高操作圧近傍に達したら、開閉弁(12a)を開通し、有用成分(酸素)の採取を行う。
即ち、開始時点(TS )から20秒後、開閉弁(12a)を5秒間開通し、吸着塔(A)出口端部から有用成分(酸素)を取出す。
【0073】
工程▲3▼ 並流減圧(1)操作(25〜30秒(TM ))
始点TS から25秒経過したら、開閉弁11aを閉止し、弁13aを開放、吸着塔(A)と吸着塔(B)を並流接続する。この操作により吸着塔(A)の圧力は最高操作圧(PH )から中間圧(PM )へ降下し、吸着塔(B)の圧力は最低操作圧(PL )から中間圧(PM )迄上昇する。
即ち、吸着塔(A)と吸着塔(B)の圧力が平衡化することで吸着塔(A)→吸着塔(B)のガスの移行が停止する(均圧という)。
なお、均圧操作期間は開閉弁(15)を5秒間開放し、管路(4)内の圧力の異常上昇回避する。
【0074】
工程▲4▼ 並流減圧(2)操作(30(TM )−45秒)
始点(TS )から30秒で、中間点(TM )に達する。TS 〜TM (30秒)で工程▲1▼〜▲3▼の操作が終わる。工程▲3▼の操作終了後、弁(14a)を20秒間開放する。吸着塔(A)の圧力は15秒後に中間圧(PM )から最低操作圧(PL )へ降下する。
【0075】
工程▲5▼ パージ操作(45−50秒)
工程▲3▼の操作に続いて行われる工程▲4▼の操作は15秒で停止するが、なお弁(14a)は開放しておく。即ち吸着塔(A)は20秒間最低操作圧(PL )に保持される。
1サイクルの中間点(TM )より15秒後、弁(13b)が5秒間開放され吸着塔(B)出口端部の酸素リッチガスが吸着塔(A)入口端部から並流方向に導入され、吸着塔(A)内残留不用成分の脱着を促進する。
脱着された不用ガス(排窒素)は弁(14a)を介して管路(8)へ送出され大気に放出される。
【0076】
工程▲6▼ 再加圧操作[55−60秒(TE )]
TM で開放された弁14aは20秒後閉止される。
再加圧操作に入る迄の5秒間、弁13bを短時間開放し、内部を正圧(大気圧以上)に保つ[図11(B)の5aで示す]。
TM から25秒後、弁13bを5秒間開放し、再加圧操作が行われる。
この操作の間、吸着塔(A)、吸着塔(B)の入口〜出口端部の弁は弁13bを除き全て閉止される。弁13bの開放により、吸着塔(B)出口−吸着塔(A)入口の並流方向に2つの塔が接続され、吸着塔(B)はPH →PM へ降圧し、吸着塔(A)はPL →PM まで復圧し、原料送入のための準備が整う。
工程▲6▼操作終了後、再び弁11aが開放され、第2周期が始まる。始点TS から55秒−60秒間、弁15を開放し、管路(4)の異常圧力上昇を回避する。
【0077】
以上主として吸着塔(A)に着目して1サイクルにおける各弁の開閉操作を示したが、吸着塔(B)についても同様な操作が30秒遅れて行われる。
吸着塔(A)、吸着塔(B)間の関連操作等は図10(A)、(B)に示す通りである。
上記並流減圧(1)操作で並流接続された2つの塔の圧力が平衡する途中で、操作を止め工程▲4▼の操作に入る別の例もある(部分均圧法)。
また、高い圧力の塔への加圧を続行しつつ、または低い圧力の塔の減圧を続行しつつ、2つの塔を接続する別の例もある。
【0078】
本発明の方法における操作では、総合効率向上のためには、吸着塔に流出入するガス量を迅速精密に制御する必要がある。
一般に、上記の自動開閉弁近傍の管路にオリフィス等の絞り機構、ダイヤフラム調節弁等を付設し、弁の開閉時に該管路を流れるガス流量を連続運転に入る前に調整しておくが、運転開始作業が複雑になったり、自動開閉弁の他に調節手段を付加することは装置の構成を複雑化して装置価格の上昇となったり、流路抵抗によるエネルギー損失につながる恐れがあるので、本発明においては、使用する弁をすべてオン−オフ弁に統一し、前記6つの工程▲1▼〜▲6▼の個別操作のための最適のガス量をオン−オフ弁の精密シーケンスに基づく断続的開閉操作により制御することが好ましい。
【0079】
図10(A)において、パージ供与弁13aまたは13bを図10(B)に示すごとく断続的に開閉する。実施例1においては弁13aを15.0−15.5、17.5−18.0、20.0−20.5のごとく開閉操作し、酸素リッチガスを最低操作圧PL にある吸着塔(B)に3つの継続する圧力波として送り込んでいる。そして第1パルスと第2パルスの2波の合計流量が「パージ操作」に必要なガス量になるよう制御している。第3パルス(5aで示す)は吸着塔内圧力を大気圧より高く保持するための操作である。以上の迅速精密な流量制御法を“パルス流制御法”(Pulsed Flow Control Method)という(PF)。
【0080】
このPFを図16および図17により詳細に説明する。
図16は本発明の個別操作のための小型シミュレーターの模型図である。
図16においてAは吸着塔、V1 ,V2 はオン−オフ弁、aは吸着剤、P1 ,P2 は圧力センサー、Rはリザーバー、△Pは差圧を示す。
実験操作例を次に示す。
吸着剤aは活性化後、窒素を充填し、大気圧下もしくは真空圧下におき初期条件をそろえる。初期圧力P2 とする。
リザーバ(R)の中に酸素を入れ、一定圧力(P1 )にしておく(P1 >P2 )。
オン−オフ弁V1 を0.1秒あけ、吸着塔(A)の差圧△Pの時間的変化を図形記録する。結果を図17のAに示す。
オン−オフ弁V1 を0.2、0.3秒・・・等とあけ、吸着塔(A)の△Pの時間的変化を図形記録する。0.2秒あけたときの結果を図17のBに示す。
【0081】
図17のAとBの山形、波形を比較する。
図17のAに示されているように、△t=0.1のときは山形頂部がくずれた鋭角状となる。
図17のBに示されているように、△t=0.2のときは山形頂部がほぼ対称的で正弦波に近似する。後者の場合、一定量のガス塊がカラム内を圧力波として円滑に伝播していることを示す。このときのガス塊またはガス波の量は、最小最適なガス量を示す。
図17のBの波形図のHB はガス伝播速度に関係し、TB は第1波と第2波の待ち時間(ポーズ)を示す。
実施例1の工程▲5▼のパルス操作におけるパルス流制御は、0.5パルス−2.0ポーズ(第1パルス)の操作を第2、第3と3操作行っている。
このときの1パルスの流量は下記式(1)(実験式)で示される。
【0082】
【数3】
【0083】
(実施例2)
本発明の気体のバルク分離方法を、図5に示す3塔構成の吸着分離システム(装置)、図3(A)に示す[吸着塔(A)、吸着塔(B)および吸着塔(C)内の圧力〜時間]関係を示す圧力シーケンス、および図11に示す弁シーケンスを用いて空気より酸素と粗窒素を分離製造する例により説明する。
吸着塔(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)はそれぞれ、同一仕様のものである。吸着塔(A)、吸着塔(B)および吸着塔(C)の内部には窒素ガスを選択的に吸着する吸着剤(MS−5A)がカラム状に充填されている。
図5の記号の中、実施例1(図4(A))で説明したのと同一記号は同様の機能を示す。DAは加圧乾燥空気を示す。
・開閉弁21a、21b、21cは加圧乾燥空気の送入操作に寄与し、
・開閉弁22a、22b、22cは製品酸素の採取操作に寄与し、
・開閉弁23a、23b、23cは2塔間の並流接続操作に寄与し、
・開閉弁24a、24b、24cは粗製窒素の採取操作に寄与する。
・開閉弁26a、26b、26cは有効成分の回収操作に寄与する。
・管路9a、9b、9cは2塔間を並流接続さすための管路である。
・PA 、PB 、PC はそれぞれ吸着塔(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)の内部の圧力を監視する圧力計である。
【0084】
各開閉弁は1サイクルの工程中、弁シーケンスでみると図11のように制御しており、また圧力計PA 、PB 、PC でみた圧力変化は図3(A)に示したようにしてある。図11において、各開閉弁はハッチングを施した期間だけ開通し、他の期間は停止している。図11において、ハッチング部内の数字は吸着塔(A)に着目した工程▲1▼〜▲6▼順を示す。
図3(A)の圧力変化は模型的線図を示したもので、実際には各開閉弁の開閉による各管路や、各吸着塔内の過渡的変動を伴った変形曲線になる。
1サイクル工程における各操作順に従って説明する。
始点TS からの動作を吸着塔(A)に対する操作、即ち図3(A)の上部に示す圧力変化を主体にして説明する。
【0085】
工程▲1▼ 原料加圧 0(=TS )〜20秒
乾燥空気を吸着塔(A)に加圧送入し、吸着塔(A)内の圧力(PA にて示す)を中間圧PM2から最高操作圧PH に迄上げる。空気中の窒素を吸着剤カラムで吸着し、酸素を吸着塔(A)の出口端部に送出する。またこの操作期間中で、吸着塔(A)内圧力がPH 近傍に達したら酸素送出弁22aを5秒間あけて所定量の酸素を管路(7)へ送出する。管路(7)には製品酸素の貯留槽(記載せず)が接続されており、そこから消費端へ送られる。
また、弁23aを1.0秒間開放し、最低操作圧PL 下にある吸着塔(B)の再加圧(1)を行う(図11中5aで示す)。
【0086】
工程▲2▼ 並流減圧(1) 10〜20秒
吸着塔(A)に対して乾燥空気の送入を続行しつつ、弁23aを10秒間開放し、吸着塔(A)と吸着塔(B)を並流接続し、吸着塔(A)出口端部の酸素リッチガスを吸着塔(B)に回収する、少しおくれて弁23bが開放される、吸着塔(B)を中間圧PM1からPM2迄、再加圧を行う。同時に、吸着塔(A)は最高操作圧PH からPM2迄降圧する。
【0087】
工程▲3▼ 並流減圧(2) 20〜30秒
弁24aを10秒間開放する。吸着塔(A)に残留する窒素リッチガスは、管路(8)へ送出される。そこから窒素貯留槽(記載せず)へ送られる。酸素生産が目的のときは管路(8)を経て大気中へ放出される。吸着塔(A)内圧力は最低操作圧PL に降下する。減圧流出ガス中の酸素分を回収する場合は、弁20b−ポンプ(10)−弁26bと点線で示す経路を通じて吸着塔(B)へリサイクル回収する。
【0088】
工程▲4▼パージ 30〜40秒
この操作期間中、吸着塔(A)は最低操作圧PL 下にある。
図3(A)に示すごとく、パージ用の酸素リッチガスが吸着塔(B)→吸着塔(C)→吸着塔(A)と並流方向に流れ、吸着塔(A)内に残留する窒素リッチガスを吸着塔(A)へ出口端部へ押し出し、弁24aを介して管路(8)へ送出される。
この操作で重要なことは、2塔間接続部で濃度勾配の段差がおきないよう、各塔内の圧力変化が圧力シーケンス図[図3(A)]に沿うよう流量調節しなければならないことである。
【0089】
工程5) 再加圧(1) 41〜42.0秒
弁23cを1.0秒間開放し、吸着塔(A)の再加圧(1)を行う。図11中の工程5)で示す。吸着塔(A)内の圧力は約0.25kg/cm2 Gへ上昇する。
【0090】
工程▲6▼ 再加圧(2) 50.0〜60.0秒
弁23cを10秒間開放し、吸着塔(C)と吸着塔(A)を並流接続し、吸着塔(C)を減圧しつつ、吸着塔(A)の再加圧(2)を行う。少しおくれて吸着塔(A)と吸着塔(B)を並流接続し、吸着塔(A)→吸着塔(B)へパージガスを供給する。吸着塔(A)内圧力は0.25kg/cm2 →2.5kg/cm2 迄昇圧する。
【0091】
以上、主として吸着塔(A)に着目して1サイクル時間60秒における各弁の開閉操作を示したが、吸着塔(B)、吸着塔(C)についても各々60/3=20秒遅れて同様な操作が行われる。吸着塔(A)、吸着塔(B)、吸着塔(C)間の関連操作等は図11に示す通りである。
【0092】
3塔構成以上のシステムの動作においては、3つの塔が並流接続してガスが流れるので、流量調節は大切である。2塔式に常用される減圧操作は2つの塔を並流接続して圧力が平衡化したら操作を停止する。このときには、ガスの移送量(全量)の制御については、考慮する必要がない。但し、圧力の降下(上昇)が圧力シーケンス図上で直線的で、かつ所定時間で丁度終わるようにするための流速の調節は必要である。
3塔構成のシステムの場合は、移動さすガスの量(全量)および移動速度(圧力シーケンス間に沿うように)の双方が最適値であるよう、配慮しなければならない。
【0093】
4塔構成のシステムと分離操作も3塔構成のシステムの場合と同様の考え方で実行できる。
図6に示す4塔構成の吸着分離システム(装置)および図12に示す弁シーケンスを用いて空気より酸素と粗窒素を分離製造する例により説明する。4塔構成のシステムの場合も3塔構成のシステムの場合と同様▲1▼〜▲6▼の6工程を行う。4塔構成のシステムの場合の▲1▼〜▲6▼の6工程と3塔構成のシステムの場合の▲1▼〜▲6▼の6工程を比較した結果を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
“並流減圧と再加圧が3段階に分かれる”ところが3塔構成のシステムと異なる。但し考え方の基本は同一である。
【0096】
(実施例3)
図9に示す2塔構成の吸着分離システム(装置)および図15に示す弁シーケンスを用いて空気より酸素と高純度窒素を製造する例を説明する。
吸着塔:内径53m/m×長さ230m/m×2塔
吸着剤:MS−5A(吸着塔(A)への充填量;298g、吸着塔(B)への充填量;305g)
図9に示す2塔構成の吸着分離システム(装置)と図4に示す2塔構成の基本吸着分離システムとは、図9の場合は高純度窒素製造のため、弁と窒素リザーバー(窒素貯留槽)がつく以外は同じであり、記号説明で図4の記号と重複する箇所は省く。
DA:加圧乾燥空気
O2 :製品酸素(純度93%以上)
HN2 :高純度窒素(純度99.5%以上)
WA:排気空気
RO :製品酸素貯留槽
RN :製品窒素貯留槽
10:真空ポンプ
各弁はすべて開閉弁である。
実施例3では各弁は1サイクル工程中、弁シーケンスでみると図15のように制御しており、ハッチングを施した期間だけ開通している。
ハッチング部の番号は吸着塔(A)に関しての工程順を示す。
【0097】
1サイクル操作は次の▲1▼〜▲8▼の8つの工程から成る。
実施例1で示した2塔構成の基本シーケンスとの相違点は、基本シーケンスの工程▲3▼並流減圧(2)と工程▲4▼パージ操作の間に、高純度窒素製造のための「窒素置換操作」と「窒素回収操作」が入るのみである。
説明の重複をさけ以下に吸着塔(A)に着目して本例の分離操作を説明する。
【0098】
工程▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲7▼、▲8▼については実施例1で説明した通りである。工程▲5▼、▲6▼について説明する。
工程▲5▼ 窒素置換 30.0〜37.5秒
1サイクルの開始時点TS から30.0秒後、弁20a、20b、17a、18aの4つの弁を開け、窒素貯留槽RN 内の高純度窒素を吸着塔(A)入口端から並流方向に送入し、吸着塔(A)内気相部に残留する酸素分を出口端部へ押しやり、弁18aを経て、空気中へ放出される。この操作は高純度窒素が吸着塔(A)出口端へ到達した時点で停止する。
【0099】
工程▲6▼ 窒素回収 37.5〜50.0秒
工程▲5▼の操作が終了したら、弁14a、20cを開放し、吸着塔(A)を真空ポンプ(10)により真空吸引する。この操作により吸着塔(A)内気相と吸着層に存在する窒素は吸引され窒素貯留槽(RN )へ送られる。そこから加圧され高純度窒素(HN2 )として、消費端に送られる。なお、窒素貯留槽は可撓性構造であることが好ましい。
工程▲5▼、▲6▼の操作終了後の真空下の吸着塔(A)に対して、弁13bの断続的開放操作(PF制御法)により、酸素がパージ供給される。
本例では、0.5秒のパルスを2パルス操作している。
以上の1サイクル操作における、吸着塔(A)、吸着塔(B)へのガスの流出入及びポンプの作動状況は図15に示した弁シーケンスで明らかである。
かくして30秒毎に吸着塔(A)、吸着塔(B)から交互に90%以上の酸素と99.5%以上の窒素が生産された。
【0100】
実施例3の分離操作は2塔システムのみに限定されるものでなく、3塔構成以上のシステムでも実施することができる。3塔以上のシステムでは、ポンプ(1)、真空ポンプ(10)の空転期間をなくすことが容易となる。
【0101】
上記の実施例1〜実施例3、図10〜図15に示す弁シーケンスは代表例を示すものであり、他にも種々の変形態様での実施が可能であるが、本発明の主旨を逸脱しない限り、全て本発明の範囲に属するものである。
【0102】
【発明の効果】
本発明の気体のバルク分離方法は、構成が簡単な吸着分離システム(装置)を用い、安価な材料を使用を用い、吸着分離システム(装置)がコンパクトであるので、従来の深冷法に比し、装置価格が著しく安くなり、構成材料は環境に無害な鉄と石(吸着剤)であるので、廃棄処分費を考慮すると格段に経済的である。本発明の気体のバルク分離方法は、気体が一定周期の圧力変動しつつ、一定方向に流れ、この流れ過程を通じ、濃度勾配を一定に維持すること(等エントロピー過程)、吸着分離システム内で発生する吸着熱及び脱着熱(冷熱)をシステム内で有効活用すること(等エンタルピー過程)、圧力エネルギーを他の吸着塔の昇圧に使用するか、または膨張機関などにより機械的および/または電気エネルギーとして回収することにより熱力学的省エネプロセスとなる。
以上のように本発明の気体のバルク分離方法は、省エネ、省資材的プロセスであるので、総合効率が著しく向上し、原料混合ガスから大量、安価な酸素や窒素あるいは水素等を分離して供給することが可能になった。
【0103】
近年エネルギー、環境問題の高まりとともに、酸素高炉法、溶融還元製鉄法、石炭ガス化複合発電、高温燃料電池等の新製鉄法、新発電システムの大規模開発プロジェクトが進行中であるが、これら次世代型技術は大量の酸素・窒素等のガスを消費する。
本発明の気体のバルク分離方法は、上記次世代型技術のための大量・安価なガス供給手段として、その経済的成立に大きく寄与するものである。
【0104】
また、本発明の気体のバルク分離方法は、自動車に搭載可能な小型コンパクトなガス分離器を可能にした。
即ち、ディーゼル車に搭載して、パティキュレートバーンアウトのための酸素炎として、あるいは燃料電池電気自動車の酸素、窒素源、水素分離器等として電池のコンパクト化、省エネ化に役立つ効果も期待される。
【0105】
本発明の気体のバルク分離方法は、空気より酸素と窒素の分離のみならず、他の混合ガス(例えばH2 −CO2 、H2 −N2 、N2 −CO等)の分離にも適用可能である。
以上により本発明の気体のバルク分離方法は産業上の利用価値が甚だ大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を実施するための基本システムを示す説明図である。
【図2】 (A)は本発明に係わる2塔構成システムの各塔の圧力シーケンスを示し、(B)は各吸着塔内の気相濃度分布の変化を示す説明図である。
【図3】 (A)は本発明に係わる3塔構成システムの各塔の圧力シーケンスを示し、(B)は各吸着塔内の気相濃度分布の変化を示す説明図である。
【図4】 (A)は、本発明に係わる基本システム例(2塔構成)を示す説明図であり、(B)は、圧力エネルギー回収手段(EX)を用いて降圧過程の圧力エネルギーを膨張機関または発電機で回収する場合の(A)に示した基本システム例(2塔構成)の変形態様を示す説明図である。
【図5】 本発明に係わる3塔構成の基本システム例を示す説明図である。
【図6】 本発明に係わる4塔構成の基本システム例を示す説明図である。
【図7】 本発明に係わる2塔構成で乾燥塔を備えた基本システム例を示す説明図である。
【図8】 本発明に係わる2塔構成で乾燥塔および真空ポンプを備えた基本システム例を示す説明図である。
【図9】 本発明に係わる2塔構成で、真空ポンプ、製品酸素貯留槽および製品窒素貯留槽を備えた基本システム例を示す説明図である。
【図10】 図4に示した基本システム操作のための弁シーケンス例を示す説明図である。
【図11】 図5に示した基本システム操作のための弁シーケンス例を示す説明図である。
【図12】 図6に示した基本システム操作のための弁シーケンス例を示す説明図である。
【図13】 図7に示した基本システム操作のための弁シーケンス例を示す説明図である。
【図14】 図8に示した基本システム操作のための弁シーケンス例を示す説明図である。
【図15】 図9に示した基本システム操作のための弁シーケンス例を示す説明図である。
【図16】 “パルス流制御法”(PF)による自動弁のパルス的開閉操作試験を行うための小型シミュレーターの模型図である。
【図17】 図16に示した小型シミュレーターを用いて試験した時の吸着塔内差圧(△P)の時間的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
DA 乾燥空気
A、B、C、D 吸着塔
a、b 吸着剤
AR 原料空気(加圧乾燥空気)
DA 、DB 乾燥塔
Ex 圧力エネルギー回収手段
V バイパス弁
O2 製品酸素
N2 製品窒素
HN2 高純度窒素
WA 排気空気
WN 排気窒素
1 ポンプ
2、4、5a、5b、5c、6、6a、6b、6c、7、7a、7b、8、9a、9b、9c 管路
3 前処理装置
5 分離装置(またはシステム)
27、28 製品取出自動弁
10 真空ポプ
11a〜17a、11b〜17b、14c、15、18、18a、18b、20a〜20e、19〜21、21a〜25a、21b〜25b、21c〜25c、26a〜26d、31a〜34a、31b〜34b、31c〜34c、31d〜34d、35a、35b、36a、36b 自動(開閉)弁
Claims (18)
- 難吸着成分(A)及び易吸着成分(B)を含む原料混合ガスを、その中の成分(A)、成分(B)に比して少量でかつ吸着性の著しく強い水分、炭酸ガス、その他の易凝縮性ガスを前処理装置にて予め除いた後、成分(B)を選択的に吸着できる吸着剤をカラム状あるいは層状に充填した吸着塔を少なくとも2つ含む吸着分離システムの前記吸着塔の一端(入口端)から他端(出口端)へ通じて成分(A)及び/または成分(B)を得るための気体のバルク分離方法であって、各吸着塔は下記の工程▲1▼〜▲6▼のシーケンス操作を循環的にうけることにより他端(出口端)から、少ない動力消費と高い総合効率で、一定時間毎に、交互に製品として成分(A)及び/または成分(B)を得ることを特徴とするパラメトリックガスクロマトグラフィーによる気体のバルク分離方法。
▲1▼原料混合ガスを吸着塔の入口端に通じ、塔内圧力を中間圧力から、最高操作圧まで上げ原料混合ガス中の成分(B)を選択的に吸着し、高められた圧力のもとで他端(出口端)から成分(A)及び/または成分(A)に富んだガスを取り出す。
▲2▼原料供給を続行しつつ、最高操作圧近傍において出口端から成分(A)及び/または成分(A)に富んだガスを取り出す。
▲3▼原料供給を停止し、この吸着塔を並流方向に減圧し、減圧ガスは同一循環操作中の圧力近似かつ圧力上昇中の他の吸着塔の入口端へ通ず。
▲4▼減圧を続行し、大気圧または大気圧を経て真空圧にして、この吸着塔から放出及び/または吸引されたガスは大気へ放出するか、他の吸着塔へ回収するかあるいは成分(B)製品としてシステム外へ取出す。
▲5▼最低操作圧下の吸着塔に対し、同一循環操作中の他の吸着塔から、成分(A)に富むガス及び/または成分(A)を並流方向にパージガスとして導入し、吸着塔内の成分(B)を成分(A)に置換し、成分(B)及び/または成分(B)に富んだガスを吸着塔出口端から取出す。
▲6▼上記操作終了後、同一循環操作中の圧力近似かつ圧力下降中の他の吸着塔よりのガスを入口端に通じ、操作の中間圧まで昇圧する。 - 原料混合ガスの供給を続行しつつ工程▲3▼を行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記工程▲3▼、工程▲4▼の減圧操作と工程▲6▼の昇圧操作を段階的に行うことを特徴とする請求項1記載の方法。
- 原料混合ガスが空気であり、製品ガスが90%以上の酸素及び/または90%以上の窒素であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 上記吸着剤が窒素選択吸着性のゼオライト系モレキュラシーブ物質であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 吸着分離システムが2つの吸着塔からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 吸着分離システムが3つ以上の吸着塔からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 工程▲1▼の流出ガスを工程▲5▼のパージガスとして他の吸着塔へ供与し、工程▲2▼の成分(A)を製品とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 工程▲2▼の流出ガスを工程▲5▼のパージガスとして他の吸着塔へ供与し、工程▲1▼の成分(A)を製品とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 工程▲4▼の並流減圧ガス及び/またはポンプで吸引される成分(B)を製品とすることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 吸着分離システム内にシリカゲル、活性炭、アルミナゲル、活性アルミナ、ゼオライトから選ばれる前処理用吸着剤を充填した前処理塔を設け、工程▲4▼および工程▲5▼における減圧及び/またはパージ放出ガスの一部をこの前処理塔の再生用パージガスとして供与することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 工程▲4▼、工程▲5▼の1吸着塔流出ガス中の有効成分[目的製品が成分(A)のときは成分(A)、目的製品が成分(B)のときは成分(B)]をポンプを介して同一システム内の他の吸着塔へリサイクル回収することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 3塔以上で構成される吸着分離システムで、2つの吸着塔を接続する個別操作は、操作圧近似の2吸着塔を対象とし、1吸着塔から他の吸着塔へ圧力差を利用して、並流方向にガスを流し、1吸着塔の圧力降下と他の吸着塔の圧力上昇を行い、そして最低操作圧下の吸着塔に対して、パージ操作を行うことを特徴とする請求項7記載の方法。
- 2塔以上で構成される吸着分離システムで2吸着塔を接続する際、吸着塔内圧力が上昇過程にある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分(A)がリッチになるようにし、吸着塔内圧力が下降過程にある吸着塔内気相濃度分布は出口端に向かって成分(B)がリッチになるようにし、1つの吸着塔の出口濃度と他の吸着塔の入口濃度の間に段差がないようガスの移送量を制御することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 工程▲4▼の成分(B)を一旦中間槽へ回収し、工程▲5▼に先立って、この中間槽内の成分(B)をポンプを介して吸着塔の入口端部へ再循環させ塔内を成分(B)に置換し、しかるのち、吸着塔内ガス及び吸着剤中の成分(B)をポンプにて吸引し、成分(B)を高純度品として回収することを特徴とする請求項10記載の方法。
- 2塔構成の吸着分離システムにおいて、2つの吸着塔を並流方向接続して均圧または部分均圧することを特徴とする請求項6記載の方法。
- 工程▲3▼、▲4▼の降圧を膨張機関などの圧力エネルギー回収手段を介して行い、圧力エネルギーを電気及び/または機械エネルギーとして回収することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 圧力差のある2つの吸着塔を自動オン−オフ弁を介して接続して、ガスを移動さすためのシミュレーター試験において、この自動オン−オフ弁の開放時間(△ti)をパラメーターとし、下流側の吸着塔の入口端部と出口端部の差圧(△P)の時間(t)的変化を測定し、図形化し(タテ軸:△P、ヨコ軸:t)、この図形が正弦波もしくは正弦波近似波型のときの△tiをパルス時間、半波長幅より△tiを引いた値を△Ziとし、上記自動オン−オフ弁を通過するガス量(Vi)を次式(1)により定めたとき
△t1 (開)−△Z1 (閉)−△t2 (開)−△Z2 (閉)・・・・−△ti(開)−△Zi(閉)の弁開閉シーケンス(弁開放時間−時間関係)により上記工程1)〜6)の個別操作に必要かつ十分な気体の移動量(ΣVi)と気体の移動速度[ΣVi/(Σti+ΣZi)]を制御することを特徴とする請求項1記載の方法。
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