JP3653897B2 - メタクリル酸メチル系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタクリル酸メチル系樹脂発泡体に関するものである。詳しくは高発泡倍率で、発泡セルが均一であり、外観が良好であるメタクリル酸メチル系樹脂発泡体に関する。さらに、着火した際に煤煙がほとんどでなく、金属鋳造の際に使用する消失模型や建築構造物への使用に適したメタクリル酸メチル系樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル酸メチル重合体の発泡は一般に難しく、溶融時の伸長粘度と剪断粘度が発泡挙動に対して不適格であり、気泡の保持能力が不十分である。このため十分に発泡しないばかりでなく、発泡セルが不均一となり、得られた発泡体の表面の凸凹が多く平滑な表面となし難く、且つ若干発泡しても気泡の収縮が激しく商品価値を有する発泡体を得ることが困難であった。
特開平7−145261号公報には、分子量分布を広げるために多官能性単量体を共重合して分子量分布を拡げたアクリル樹脂組成物が発泡性が良いことが開示されている。
特開昭50−127990号公報には、粒径制御のために熱可塑性重合体粒子を分散剤を含む水中に懸濁せしめ、これに重合開始剤のもとにメタクリル酸エステル系単量体を熱可塑性重合体に対し特定の割合となるよう滴下させ重合することにより、得られる重合体粒子の分子量分布の不均一を減少させ発泡性能を好適とする方法が開示されている。またメタクリル酸メチル系重合体の発泡としては、伸長粘度を上げるためにキャスト重合等で得られる溶融流動しない発泡板の提案がなされている。
また、煤煙を減少させる方法として特開平4−283209号公報には、芳香族ビニル化合物の割合を減少した発泡用樹脂粒子について開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−145261号公報に開示されているアクリル樹脂組成物は、重量平均分子量が15万〜30万で、かつ重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が2.3以上のものであるが、分布が拡がると数平均分子量が低下し機械強度が低下する。
特開昭50−127990号公報および特開平4−283209号公報に記載の樹脂は、発泡性能が必ずしも十分でない。
かかる事情に鑑み、本発明者は発泡成形時のガス抜けが少なく、高発泡倍率で、発泡セルが均一であり、外観が良好である発泡体について鋭意検討した結果、特定の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系樹脂組成物からなる発泡体が、発泡成形時のガス抜けが少なく、高発泡倍率で、発泡セルが均一であり、外観が良好である発泡体が得られることを見出し、本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、重量平均分子量が8万〜40万で、Z平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)を30〜95重量%、直鎖状メタクリル系樹脂(B)を0〜65重量%、ゴム状重合体(C)を5〜70重量%を含有するメタクリル酸メチル系樹脂組成物からなるメタクリル酸メチル系樹脂発泡体である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)は、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体およびこれと共重合可能な多官能単量体の重合体である。
メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体とは、メタクリル酸メチルの単独、またはメタクリル酸メチルを50重量%以上、好ましくは80重量%以上のメタクリル酸メチルと共重合可能な単官能単量体との混合物である。
メタクリル酸メチルが50重量%未満では、いわゆるメタクリル酸メチル重合体の特性である透明性、機械的強度が発現しにくい。
【0006】
共重合可能な単官能不飽和単量体としては、例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸モノグリセロール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセロール等のヒドロキシル基含有のエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドがある。ニトリル類には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等の窒素含有単量体;アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体が挙げられる。
【0007】
特に、メタクリル酸メチル80重量%以上、ビニル芳香族炭化水素0〜10重量%、およびメタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステル0〜20重量%の組成の範囲のものが好ましい。
【0008】
ビニル芳香族炭化水素10重量%を越えると、鋳造用消失模型等に使用する場合等に、該樹脂を燃焼する際に生じるカーボン残留品が残って鋳肌が粗くなる等の欠点が生じる。
また、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルは、内部可塑化を行い発泡を容易にするが、20重量%を越えると得られる樹脂の耐熱性が低下し、発泡成形後、収縮が生じ好ましくない。
【0009】
共重合可能な多官能単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエチレングリコールまたはそのオリゴマーの両末端水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の2価のアルコールの水酸基をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールまたはこれら多価アルコール誘導体をアクリル酸またはメタクリル酸でエステル化したもの;ジビニルベンゼン等のアルケニル基を2個以上有するアリール化合物等が挙げられる。
【0010】
本発明の分岐構造を有するメタクリル系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は8万〜40万、好ましくは、15万〜30万であり、Z平均分子量(Mz)を用いて規定される分岐点間分子量(Mzb)が3万〜50万、好ましくは5万〜20万のものである。
【0011】
Mwが8万未満だと該樹脂の機械的強度が十分でなく、これを成分とするメタクリル酸メチル系樹脂組成物を発泡させた発泡体の強度も悪くなり、40万を越えて高いと押出し発泡の場合溶融粘度が高く押出し性能が悪く押し出せなくなり、発泡ビーズの場合には発泡ビーズの成形時の融着特性が悪くなる。
また、分岐点間分子量(Mzb)が50万を越えると、得られる樹脂の溶融延伸時の張力が劣りこれよりなる組成物の発泡性能が劣り、3万未満の場合は、機械的強度が劣ると共に成形品の外観にも劣る。
【0012】
ここでMw、Mzとは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)と示差屈折率計により求められた値である。
この求め方は、例えば1984年度版「高分子特性解析」(共立出版)24頁〜55頁に記載されている。
【0013】
分岐点間分子量とは、分岐構造を有するポリマーにおいて分岐点から次の分岐点までの分子量の平均値を意味する。
本発明では、この分岐点間分子量をMz値を用いて規定した。
このZ平均分子量を用いて規定する分岐点間分子量(Mzb)は、日本ゴム協会誌、第45巻、第2号、105〜118頁「キャラクタリゼーション」の記載に基づき下記の数式 数1、数2より算出される。
【0014】
【数1】
[(η1)/ (η2)]10/6 =[(1+Bz/6)0.5 +4Bz/3π]-0.5
【0015】
【数2】
Mzb=Mz/Bz
【0016】
上記の数式 数1において、η1 は、直鎖状メタクリル酸メチル重合体標準試料のGPC溶出時間に対する極限粘度と絶対分子量との積の関係を示す普遍較正曲線を用いて得られる測定対象の重合体の絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、分子量がMz値に対応する極限粘度である。
η2 は、直鎖状メタクリル酸メチル重合体標準試料の絶対分子量に対する極限粘度の関係を示す較正曲線において、測定対象の重合体と同じ分子量Mz値に対する極限粘度である。
Bzは、Z平均分子量Mzにおける分岐点の数である。
【0017】
本発明におけるメタクリル酸メチル系重合体(A)は、その重合体のうち分子量30万以上のものの割合が、その重合体のクロロホルム中25℃における還元粘度が0.7dl/g以下の時は、{[14×(還元粘度値)−6.8]〜[14×(還元粘度値)+11.2]}(重量%)であり、還元粘度が0.7dl/g以上の時は、{[40×(還元粘度値)−25]〜[40×(還元粘度値)−7]}(重量%)であることが好ましい。
なお、本発明で表す還元粘度とは、その測定する重合体の溶液濃度が1g/dlでの値である。
【0018】
メタクリル酸メチル系重合体(A)の分子量30万以上の割合が上記の範囲内の場合には、メタクリル酸メチル系重合体(A)の流動性と溶融時の引張り強度のバランスに優れ、それに伴って、これを用いて得られる樹脂組成物の流動性と溶融延伸時の強度のバランスに優れることによる良好な発泡体が得られる。
また本発明におけるメタクリル酸メチル系重合体(A)の架橋度は、ゲル分率(全重合体重量に対するアセトン不要部分の重量%)で表して、通常3%以下、好ましくは1%以下、更に好ましくはほぼ0%である。
【0019】
本発明のメタクリル酸メチル系重合体(A)は、前述の単官能単量体、多官能単量体を含む多官能性の構成単位となる成分、必要により更に連鎖移動剤および/または重合開始剤を加えて重合することによって得られる。
多官能性の構成単位となる成分としては、前述の多官能単量体、多官能連鎖移動剤、多官能開始剤、およびこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。
多官能性の構成単位となる成分の量は、および単官能単量体に対し、通常は0.02〜1重量%である。
【0020】
連鎖移動剤としては、メタクリル酸メチルの重合に用いられる周知のものでよい。この中には、連鎖移動官能基を1つ有する単官能の連鎖移動剤および連鎖移動官能基を2つ以上有する多官能連鎖移動剤とがある。
単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられ、多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトーロ等の多価アルコール水酸基をチオグリコール酸または3−メルカプトプロピオン酸でエステル化したものが挙げられる。
【0021】
メタクリル酸メチル系重合体(A)の重合に使用する連鎖移動剤の量は、該単官能単量体1モル当たり、通常は5×10-5モル〜5×10-3モルであり、共重合可能な多官能単量体の量は該単官能単量体1モル当たり、通常はその官能基数が1×10-5〜{該連鎖移動剤(モル)−2.5×10-4}当量となる範囲である。
【0022】
メタクリル酸メチル系重合体(A)の重量平均分子量は、一般に主として用いられる多官能単量体の濃度、連鎖移動剤の濃度及びラジカル開始剤の濃度に支配される。
重合平均分子量の調整は、多官能単量体濃度が高い程重合平均分子量は大きくなり、逆に連鎖移動剤濃度が高い程小さくなることを考慮して、多官能単量体の上記濃度範囲内及び連鎖移動剤の濃度の範囲内で適宜変更することで行う。
分岐点間分子量は、主として、多官能単量体濃度によって調整できる。多官能単量体濃度が高い程、分岐点間分子量は小さくなる。
また、連鎖移動剤では、多官能連鎖移動剤の濃度が高い程分岐点間分子量は小さくなる。
分子量30万以上の割合は、多官能単量体の濃度が高い程多くなる。
【0023】
重合開始剤には1分子中に1対のラジカルを発生させる単官能重合開始剤および2対以上のラジカルを発生させる多官能重合開始剤とがある。
単官能重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ化合物;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、クミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類;ジ−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類の有機過酸化物等が挙げられる。
多官能重合開始剤としては、例えば、2官能の1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペートが、3官能のトリス−(t−ブチルパーキシ)トリアジン、4官能の2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等を挙げることができる。
【0024】
塊状重合法のように重合率45〜60重量%で重合を終了する場合には、3官能以上の多官能重合開始剤を使用すると多官能単量体のみによる分岐に比べ、多官能単量体による未反応ビニル基の量を低減することができる。
多官能重合開始剤を用いる場合は、前記した多官能構成単位としての一部または全部と入れ替えることができる。
重合開始剤の使用量は、重合方法に応じた周知の適量でよく、単量体または単量体混合物100重量部に対して通常、0.001〜1重量部程度、好ましくは0.01〜0.7重量部である。なお、重合開始剤の量が多い程、重量平均分子量が小さくなるのは、一般的なメタクリル酸メチル系重合体と同様である。
【0025】
本発明の直鎖状メタクリル系樹脂(B)は、メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体の重合体である。
メタクリル酸メチルを主成分とする単官能単量体とは、メタクリル酸メチルの単独、またはメタクリル酸メチルを50重量%以上、好ましくは70重量%以上のメタクリル酸メチルと共重合可能な単官能単量体との混合物である。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単官能単量体は、具体的には上記したものと同じである。
この直鎖状メタクリル系樹脂(B)は、重量平均分子量Mwが7〜20万、好ましくは8万〜18万である。
重量平均分子量Mwが7万未満であると得られる樹脂組成物から得られる発泡体の機械的強度が不十分となり、20万を越えると溶融流動性が低くなり発泡加工特性が悪い。
【0026】
本発明の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)および直鎖状のメタクリル系樹脂(B)を得る重合方法としては、一般のメタクリル酸メチル系樹脂を製造する周知の重合方法が適用できる。つまり懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法である。
【0028】
本発明におけるメタクリル酸メチル樹脂組成物は、重量平均分子量が8万〜40万で、Z平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)および直鎖状メタクリル系樹脂(B)以外に、さらにゴム状重合体(C)を含有する。
ゴム状重合体(C)を配合することにより、その粘り性および靭性が向上することから品質の良好な発泡体が得られる。
【0029】
ゴム状重合体(C)としては、(1)アクリル系多層構造弾性体または(2)5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体を95〜20重量部グラフト重合したグラフト共重合体が好ましく用いられる。
【0030】
(1)アクリル系多層構造弾性体は、少なくとも2層構造よりなるゴム弾性の層またはエラストマーの層を20〜60重量部を内在させるアクリル系重合体であって、軟質層、最外硬質層を基本とするもので、最内硬質層をさらに含む構造のものでも良い。例えば、特公昭55−27576号公報、特開平6−80739号公報または特開昭49−23292号公報に記載のものを用いることができる。
【0031】
(2)5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体を95〜20重量部グラフト重合したグラフト共重合体は、例えば、ポリブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体ゴム、スチレン/ブタジエン共重合体ゴムなどのジエン系ゴム、ポリブチルアクリレート、ポリプロピルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル系ゴム、およびエチレン/プロピレン/非共役ジエン系ゴムなどのゴム状重合体に、スチレン、アクリロニトリル、アルキル(メタ)アクリレートなどのエチレン性単量体をグラフト共重合したものである。
これらのグラフト共重合体としては特開昭55−147514号公報や特公昭47−9740号公報に記載のものを用いることができる。
【0032】
ゴム状重合体(C)を含有するメタクリル酸メチル樹脂組成物中の割合は、分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)が30〜95重量%、直鎖状メタクリル系樹脂(B)が0〜65重量%、ゴム状重合体(C)が5〜70重量%である。
ゴム状重合体(C)の量が、5重量%より少ないと得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低くなり、70重量%を越える場合には発泡加工特性及び耐熱性が低下すると共にメタクリル酸メチル系重合体(A)の効果がなくなる。
【0033】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物には、必要に応じて離型剤、紫外線吸収剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤等の一般的なアクリル樹脂に添加できる各種剤を含有させることができる。
【0034】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物の発泡に使用する発泡剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及びブタノール等の低級脂肪族アルコール類;メチルクロライド、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素類;二酸化炭素、窒素、水等のガス類;アゾジカルボンアミド、重曹等の化学熱発泡剤などが挙げられ、これらの少なくとも1種以上が用いられる。
さらに必要なら一般的な発泡助剤を併用して用いることができる。
【0035】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂組成物を発泡して発泡体とする方法としては、特に制限がないが、例えば、▲1▼分解型発泡剤とメタクリル酸メチル系樹脂組成物をを押出し機で溶融混練し、発泡させる方法、▲2▼メタクリル酸メチル系樹脂組成物を押出し機で溶融させ、蒸発型発泡剤をシリンダー途中から直接圧注入し、混練、発泡させる方法、▲3▼該メタクリル酸メチル系樹脂からなるペレットまたはビーズを押出し機または水系懸濁液中で蒸発型発泡剤を含浸させ、その含浸ペレットまたはビーズを水蒸気等で加熱しで発泡させる方法などが挙げられる。
【0036】
さらに、▲4▼発泡剤と混練したメタクリル酸メチル系樹脂組成物をメタクリル酸メチル系樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂と多層状に発泡共押出して2層または3層などの多層状の発泡体(例えば、発泡体層/熱可塑性樹脂層、熱可塑性樹脂層/発泡体層/熱可塑性樹脂)とする方法が挙げられる。
この際用いられる熱可塑性樹脂としては、いわゆるアクリル樹脂、カーボネート樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
また本発明におけるメタクリル酸メチル系樹脂組成物の範疇であるが、組成の異なる樹脂を用いて多層状の発泡体とすることもできる。
【0037】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂発泡体は、溶融張力と流動性のバランスが優れ、真空成形、圧空成形法により、包装容器などに容易に成形できる。
【0038】
【発明の効果】
本発明のメタクリル酸メチル系樹脂発泡体は、発泡成形時のガス抜けが少なく、高発泡倍率で、発泡セルが均一であり、外観が良好であり、加工生産性に優れ、さらには衝撃強度に優れたものであり、緩衝包装材や断熱材、土木用材料として有用である。
さらに、本発明のメタクリル酸メチル系樹脂発泡体は、ビニル芳香族炭化水素の含有量を少なくすることが可能であり、着火した際に煤煙がほとんどでなく、金属鋳造の際に使用する消失模型や建築構造物への使用に適している。
【0039】
【実施例】
以下に実施例により本発明を説明する。
なお、測定評価法のうち、上記に記載した項目以外の項目については以下のとおり実施した。
(1)MFR:
JIS K7210に準拠して行った。
なお、温度230℃、荷重3.8kgfとした。
(2)伸長粘度:
東洋精機製作所製キャピログラフを用い、オリフィスL/D=4.99/1.00(mm)、温度230℃、、ピストン速度10mm/分で下記の数式 数3に基づいて測定した。
【0040】
【数3】
ηE(ε',t )= F(t)/(S(t)・ε'(t))
ここで、ηE(ε',t );伸長粘度、F(t);張力、S(t);断面積、ε'(t);伸長速度を示す。
【0041】
(3)ガス抜け性:
発泡成形時のガス抜けの程度を発泡倍率により評価した。
すなわち、G=(発泡倍率−1)×100/1.19とし、G≧200の場合は○(良好)、G<200の場合は×(不良)で表した。
(4)発泡倍率:
1.19/シート密度で表した。
(5)外観:
得られた発泡体の外観を目視により観察し、○(ガス抜けによるシートの肌荒れなく、セルが均一)及び×(シートの肌荒れがあり、セルが不均一)により評価した。
(6)衝撃強度:
得られたシートを50mm×50mmに切り出し、鋼球の重さを28.8gとした以外はJIS K7211に準じて実施し、50%破壊高さを測定した。
【0042】
実施例1
200リットルのSUS製オートクレーブにメタクリル酸メチル96重量部、アクリル酸メチル4重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.147重量部、ラウロイルパーオキサイド0.3重量部、n−ドデシルメルカプタン0.45重量部、イオン交換水200重量部、ポリメタクリル酸ナトリウム1重量部を入れて混合し、加熱昇温して、80℃で重合を開始し、90分経過後さらに100℃で60分重合させた。重合後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系樹脂(以下、PMMA1と略する)を得た。
PMMA1の組成、物性を表1に示す。
次に、このPMMA1を100重量部に、分解温度165℃のアゾジカルボナミド系発泡剤(セルマイク172−C 三協化成(株)製:ガス発生量=180ml/g)を2重量部添加し、250mmTダイスを付けた40mmφ押し出し機にてシリンダー温度220℃、ダイス温度230℃スクリュー回転数40rpmにて押出発泡し、シート厚み5.0mmで密度0.28である均一なシート状発泡体を得た。
結果を表2、表3に示す。
【0043】
実施例2
アクリル酸メチルを5.5重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを0.19重量部、n−ドデシルメルカプタンを0.38重量部、イオン交換水を150重量部とし、ポリメタクリル酸ナトリウム1重量部の代わりにリン酸水素ナトリウム2重量部とした以外は、実施例1と同様に重合を行い、ビーズ状の分岐構造を有するメタクリル酸メチル系樹脂(以下、PMMA2と略する)を得た。
PMMA2の組成、物性を表1に示す。
次に、このPMMA2を用いて実施例1と同様にしてシート厚み5.2mmで密度が0.23である均一なシート状発泡体を得た。
結果を表2、表3に示す。
【0044】
比較例1
多官能単量体である1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを用いず、n−ドデシルメルカプタンを0.18重量部とした以外は、実施例1と同様に行ってビーズ状の直鎖状メタクリル酸メチル系樹脂(以下、PMMA3と略する)を得た。
PMMA3の組成、物性を表1に示す。
次に、このPMMA3を用いて実施例1と同様にしてシート厚み4.5mmで密度が0.92であるシート状発泡体を得た。
結果を表2、表3に示す。
【0045】
実施例3
PMMA1を70%と、ゴム状重合体としてオログラスDR101(ローム&ハース社製)30%を押出機を用いてブレンド造粒した。得られたブレンド物100重量部に、実施例1と同様に発泡剤を添加し、シート厚み4.8mmで密度0.3である均一なシート状発泡体を得た。
結果を表2、表3に示す。
【0046】
実施例4
ゴム状重合体としてスミペックスHT018(住友化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例3と同様にしてシート厚み4.9mmで密度0.31である均一なシート状発泡体を得た。
結果を表2、表3に示す。
【0047】
比較例2
PMMA3を用いた以外は、実施例3と同様にしてシート厚み3.8mmで密度0.91のシート状発泡体を得た。
結果を表2、表3に示す。
【0048】
実施例5
多層押出機を用い、シリンダー1にアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(以下、ABSと称する)としてクララスチックSRE(住友ダウ(株)製)を供給し、シリンダー2に実施例3で得たブレンド物(PMMA1/DR101=70/30)に発泡剤を添加供給し、2mmのABS層と1mmのアクリルのシート状発泡体層からなる外観の良好な2層シートを得た。
アクリルのシート状発泡体層にはセルの破れなどはみられなかった。
結果を表2、表3に示す。
【0049】
比較例3
実施例5において、シリンダー2供給する材料をPMMA3とDR101のブレンド物(PMMA3とDR101=70/30)にした以外は実施例5同様に2層シートを成形した。
アクリルのシート状発泡体層はセルの均一性が悪く外観の良くないものであった。
結果を表2、表3に示す。
【0050】
実施例6
5リットルの加圧オートクレーブにビーズ状のPMMA1を1500g、イオン交換水3000g、ポリメタクリル酸ナトリウム15g、発泡剤としてペンタン200gを仕込み、撹拌下で120℃で2時間保持してペンタンを含浸させた。この発泡剤含浸樹脂を(株)関製作所製の加圧予備発泡機で嵩倍率で41倍の予備発泡ビーズを作製し、2日間放置した後、笠原工業(株)製の発泡成形機を用いて120℃で厚み20mmの発泡板を成形した。
得られた発泡板は密度0.029で表面のセルの破れもなく外観の良好なものであった。
結果を表2、表3に示す。
【0051】
比較例4
PMMA1の代わりにPMMA3を用いた以外は、実施例6と同様にして発泡板を得た。
発泡板は密度0.9でセルの破れがひどく外観の劣るものであった。
結果を表2、表3に示す。
【0052】
【表1】
HDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
Claims (6)
- 重量平均分子量が8万〜40万で、Z平均分子量を用いて規定される分岐点間分子量が3万〜50万である分岐構造を有するメタクリル酸メチル系重合体(A)を30〜95重量%、直鎖状メタクリル系樹脂(B)を0〜65重量%、ゴム状重合体(C)を5〜70重量%を含有するメタクリル酸メチル系樹脂組成物からなるメタクリル酸メチル系樹脂発泡体。
- ゴム状重合体(C)がアクリル系多層構造弾性体である請求項1記載のメタクリル酸メチル系発泡体。
- ゴム状重合体(C)が5〜80重量部のゴム状重合体にエチレン性不飽和単量体を95〜20重量部グラフト重合したグラフト共重合体である請求項1記載のメタクリル酸メチル系発泡体。
- 請求項1に記載のメタクリル酸メチル系樹脂組成物を高温高圧下で発泡剤と混練した後、低圧域に押出し発泡させることを特徴とするメタクリル酸メチル系樹脂発泡体の製造方法。
- 請求項1に記載のメタクリル酸メチル系樹脂組成物のビーズまたはペレットに発泡剤を含浸した後、発泡させることを特徴とするメタクリル酸メチル系樹脂発泡体の製造方法。
- 発泡剤と混練した請求項1に記載のメタクリル酸メチル系樹脂組成物を該メタクリル酸メチル系樹脂組成物以外の熱可塑性樹脂と多層状に発泡共押出しすることを特徴とするメタクリル酸メチル系樹脂発泡体の製造方法。
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