JP3651220B2 - 噴霧乾燥機およびこれを用いる噴霧乾燥方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細な噴霧乾燥粒子を安定して得ることができる二流体ノズルを用いる噴霧乾燥機および該噴霧乾燥機を用いる噴霧乾燥方法に関し、本発明方法は塩化ビニル系重合体ラテックス等を噴霧乾燥するのに好適に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
固体の溶液や分散液等から微細な乾燥粒子を得るための噴霧乾燥方法におけるアトマイザー(噴霧器)としては、回転円盤形アトマイザー、圧力ノズルおよび二流体ノズルなどがあり、それぞれの特徴に応じて使い分けられている。
このうち二流体ノズルは保守管理が容易で、かつ粒径の制御も噴霧気体の圧力、あるいは該気体と被噴霧液体とのフィード重量比を変えることにより比較的容易に行えることから、特に微細で均一な噴霧が必要な場合には好適である。
【0003】
しかしながら、これらの従来の方法によっては、粒径50μm以下、特に30μm以下のような微細な粒径の粒子を工業的に安定して製造することは困難であった。
例えば、微細な噴霧液滴を得るのに好適とされる二流体ノズルを用いる噴霧乾燥においても、噴霧液滴の微細化を目的として、単純に噴霧用の気体流量と被噴霧液の流量との比を大きくしても、乾燥機内、特に二流体ノズルの近傍において噴霧用気体と乾燥気流との相互作用に起因すると思われる循環流が発生し、噴霧粒子が乾燥不十分のまま、他の未乾燥の噴霧粒子や乾燥済みの粒子等と衝突・合一し、目的とする粒子径よりもはるかに大きい粒子を形成する結果となる例が多く見られた。
【0004】
噴霧乾燥において、粗大な粒子の生成を防ぐための方法としては、例えば、特開昭54−41951号公報にあるように、ノズルの噴霧方向を調整して乾燥塔内の乾燥気流に回転運動を起こし、得られる乾燥粒子に適度の熱履歴を与える方法が示されている。しかしこの方法によっても、噴霧乾燥条件によっては循環流が発生するためか、十分に微細な粒子が得られないことがある。
【0005】
このような循環流の発生を防止するための方法として、特公昭51−46299号公報において、筒壁に沿った上向きの旋回流を導入する方法が提案されている。しかし、この方法を実施するためには旋回流用の気体を導入するための設備が必要となり、保守が煩雑となったり、設備費用が増大したりする。
また、特開平7−124503号公報では、噴霧ノズルの噴霧角度を広げる方法が提案されている。しかしこの方法を実施するためには、ノズル間の距離も広げることが必要となり、乾燥塔の胴径を大きくする等、設備費用が増大する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、固体の溶液または分散液の噴霧乾燥を行うにあたり、乾燥機内部の循環流によって、被噴霧液体の液滴が乾燥不十分のまま、他の未乾燥の噴霧粒子や乾燥済みの粒子と衝突・合一して、目的とする粒子径よりもはるかに大きな粒子を形成することを防止し、粉砕や篩粉工程を必要としないか簡略化できるような微細な乾燥粒子を安定して得ることができる二流体ノズルを用いる噴霧乾燥機およびこれを用いる噴霧乾燥方法を提供することにある。
また本発明のもう一つの目的は、上記の方法に基づいて塩化ビニル系重合体ラテックスから塩化ビニル系重合体の微細な乾燥粒子を得ることができる二流体ノズルを用いる噴霧乾燥方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、円筒形の直胴部を有する並行流型の噴霧乾燥機であって、該噴霧乾燥機上部の水平断面上に多重列同心円上に二流体ノズルが配置された噴霧乾燥機において、該二流体ノズルが放射線状に配置されていることを特徴とする噴霧乾燥機および該乾燥機を用いることを特徴とする噴霧乾燥方法、に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)噴霧乾燥機
円筒形の直胴部の上下にコーン部を有する二流体ノズル式の並行流型噴霧乾燥機を使用する。その大きさとしては、通常、直胴部の直径が1〜15m、高さが0.5〜50mの範囲のものを用いるのがよい。直胴部の直径が大きすぎるとノズルを挿入するための支持アームが長くなり、このアームへの粉体付着の問題が発生する虞がある。コーン部の形状は円錐台状のものがよい。
また気流の流れ方向は、乾燥気流の方向が下降流となる垂直下降流型のものが好ましい。乾燥機は竪置き型で、乾燥気流はその頂部より導入される形式とし、乾燥済みの粉体および乾燥気流の出口は、乾燥機底部から排出される型式でも下部コーンの側壁から排出される形式でもかまわない。
【0009】
また乾燥気流の入り口には、この気流を均一な下降流に整流するための分散板(ディスパーサー)が設けられているのが好ましい。この分散板としては、金属板に多数の穴が開いている、いわゆるパンチメタル(多孔板)を数層有するものがよいが、気流を整流できるものであれば特に限定はされない。
【0010】
(2)二流体ノズル
本発明に用いる二流体ノズルの型式については、外部混合型、内部混合型どちらも使用することができるが、閉塞がおきにくいことから外部混合型のものが好ましい。
またノズルの形状については特に限定されないが、特開平7−124503に示されているような、液体用オリフィスを中央に設け、その周囲に気体用オリフィスを設けた二流体ノズルであって、ノズルの中心軸に対する気体流路部の内壁側面の角度および該中心軸に対する気体流路部の外側壁面の角度が特定の関係式を満たすような形状が、微細噴霧に適しているので好ましい。
【0011】
乾燥機にノズルを設置する位置は、乾燥機の上部コーンの下部、または直胴部の上部が好ましい。ノズルの設置位置が乾燥気流の入口に近すぎると、多数のノズルを配置する場合に有効な塔断面積が小さくなり、ノズル相互間に干渉を防止するのに十分な距離を確保することが困難になる。逆に、ノズルの設置位置が直胴部の下部より下方にあるような場合は、乾燥機の総容積中で乾燥に用いられる部分の比率が低下して、設備効率が低下する。
【0012】
本発明のノズルの具体的な配置としては、乾燥機の軸を中心とする同一平面内の複数の同心円上にノズルを放射状に配置することが必要である。このノズルの配置が良い理由は解明できていないが、同一平面内の複数の同心円上にノズルを配置しても、例えば千鳥状に配置した場合は循環流が発生し、噴霧された液滴のの衝突・合一が起こり好ましくない。本発明の好ましい態様として、内側の同心円の半径を直胴部の半径の7/16〜10/16とし、外側の同心円の半径を直胴部の半径の10/16〜14/16とした二重列同心円上に、二流体ノズルを放射状に配置する態様が挙げられる。
【0013】
本発明に用いるノズルの本数は必要とされる乾燥能力に応じて定める。通常ノズル本数は8〜200本である。その配置は、噴霧された液滴が衝突・合一しないような間隔をとるようにするのがよい。この配置密度は、通常0.05〜100本/m2、好ましくは0.5〜5本/m2とするのが良く、0.05本/m2未満では、乾燥機の径が極めて大きくなって設備費用がかさみ、100本/m2を超えるような密度では、噴霧液滴相互の衝突・合一の可能性が大きくなる。またノズル相互の間隔は10〜500cmとするのが良く、25〜150cmが好ましい。
【0014】
本発明においてノズルの噴霧方向とは、配置されたノズルの中心線の向いている方向のことであるが、本発明方法においては全てのノズルの噴霧方向が同一の方向となってもよいし、相互に0〜180°の角度をなしてもかまわない。
また、ノズルの噴霧方向と乾燥気流のなす角度は、特に制限はないが気流方向に対し、0〜90°となっているのがよく、特に0〜15°の範囲内にあるのが好ましい。この角度が90°を超えるような場合は、いわゆる「向流」式になり、噴霧することによる乾燥気流の乱れが激しくなって均一な乾燥が難しくなったり、同じノズルからの噴霧内での干渉が起こりやすくなり粗大粒子が生成する等の問題が発生する傾向となる。
【0015】
(3)噴霧乾燥条件
本発明の噴霧乾燥方法を適用するのに好適な被噴霧液体としては、ノズルにより微細液滴化して溶媒や分散媒を揮発させ、乾燥・粉粒化させることができるものであれば特に制限なく対象とすることができ、例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂の分散液または溶液、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂の分散液、洗剤・石鹸等、染料・顔料等、殺虫剤、除草剤、殺菌剤その他の農薬類、スキムミルク、インスタントコーヒー、ココア、麦芽抽出物、でんぷん、その他の食品類、天然および合成香料、抗生物質、血清、血漿、各種ビタミン、ペニシリン、ブドウ糖、各種アミノ酸等の医薬品などを例示することができる。これらの中で、重合体の分散液または溶液を噴霧し、微細で均一な粉粒体を回収するものを対象とするのが好適であり、例えば塩化ビニル系重合体のラテックスの噴霧乾燥に適している。
【0016】
また、ノズル1本当たりの被噴霧液の流量は通常1〜200kg/時、好ましくは10〜100kg/時であるのがよい。1kg/時未満では乾燥機の処理効率が低くなり、一方200kg/時を超えるような流量では微細な噴霧が困難となりやすい。なお、複数のノズルを用いる場合は、それぞれのノズルの被噴霧液の流量は均一とするのが制御上好ましい。
【0017】
本発明において用いる噴霧用気体は、噴霧されるものの性質に合わせて選択するが、通常は空気、不活性気体(窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等)、または水蒸気を用いる。またこれらの二種以上の混合物としてもよい。
噴霧用気体の温度としては、0〜300℃の範囲にあるのがよく、中でも5〜40℃の範囲内にあるのが好ましい。この温度が0℃未満では、噴霧用気体への放熱量が多くなり、乾燥効率が低下する。一方300℃を超えるような高い温度では、被噴霧液体中の被乾燥材料が熱分解・熱劣化しやすくなる。
【0018】
噴霧用気体の流量としては、用いるノズルの最適負荷量にもよるが、一般にノズル一本当たり0.1〜2000kg/本・時、好ましくは1〜1000kg/本・時、より好ましくは1〜500kg/本・時とするのがよい。0.1kg/本・時未満の流量では液滴の微細化が困難となりやすく、一方2000kg/本・時を超えるような流量ではノズルの気体流路における磨耗が激しくなる。
【0019】
本発明に用いる乾燥用気体は、噴霧用気体と同様、被噴霧物の性質に合わせて選択する。通常は、入手のしやすさから空気を用いる例が多い。また、その流量は乾燥温度を考慮した、乾燥機における熱バランスから決定されるが、本発明においては後述の通り、さらに噴霧用気体総流量や乾燥機直胴部断面積との比の値も一定の範囲内となるように選択する必要がある。
また、被乾燥材料の性質に応じて乾燥温度は調節する必要がある。通常は目標とする乾燥効率と被乾燥材料の耐熱性および供給熱源の温度とで条件を設定する。一般には、乾燥用の熱風温度として乾燥機入口で50〜450℃、出口で25〜200℃を用いることが多い。出口温度が25℃以下の場合は、外気温度の関係で温度を安定に維持するのが困難となりやすく、また水系の噴霧では乾燥不十分となることがある。
【0020】
(4)塩化ビニル系重合体ラテックスの噴霧乾燥
塩化ビニル系重合体粒子が乳化分散されたラテックスは、本発明の二流体ノズルを装備した噴霧乾燥装置により、好適に乾燥され、品質の優れたペースト用塩化ビニル系樹脂となる。以下これについて説明するが、特記事項以外は上記の内容に従えばよい。
【0021】
塩化ビニル系重合体粒子が乳化分散されたラテックス(以下、「ラテックス」という)としては、塩化ビニルまたは塩化ビニルとこれと共重合可能なコモノマーとの混合物を水性媒体中で、乳化剤および水溶性重合開始剤の存在下に乳化重合する方法によって、あるいは乳化剤および油溶性重合開始剤の存在下に微細懸濁重合する方法によって製造された、粒径0.01〜20μmの塩化ビニル系重合体粒子を含有するものが好適である。塩化ビニルと共重合可能なコモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの一価不飽和酸、これらの一価不飽和酸のアルキルエステル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のビニルエーテル、マレイン酸、フマル酸などの二価不飽和酸、これらの二価不飽和酸のアルキルエステル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、不飽和ニトリルなどの一種または二種以上の混合物が例示できる。
【0022】
塩化ビニル系重合体ラテックスの製造に用いる重合開始剤としては、乳化重合の場合は、例えば過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、過酸化水素等の水溶性過酸化物、またはこれらの水溶性過酸化物と水溶性還元剤(例えば亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなど)とからなる水溶性レドックス開始剤、また微細懸濁重合の場合は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート等の単量体可溶性(油溶性)開始剤、またはこれらの油溶性開始剤と前記の水溶性還元剤の組み合わせからなるレドックス開始剤が挙げられる。
【0023】
また、ラテックスの製造に用いられる乳化剤としては、例えば高級アルコール硫酸エステル塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、高級脂肪酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、その他のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は一種類を用いてもよいし、二種以上の併用も可能である。特に好ましいのはアニオン界面活性剤である。また、アニオン界面活性剤および/またはノニオン界面活性剤は重合用乳化剤とは別に、ラテックスの調整時、または調整後に添加してもよい。
【0024】
さらにラテックスの製造においては、重合調整剤その他の助剤類を用いてもよい。重合調整剤としては、例えばトリクロルエチレン、四塩化炭素、2−メルカプトエタノール、オクチルメルカプタン等の連鎖移動剤、フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの架橋剤が挙げられる。他の助剤類としては、例えばレドックス開始剤の活性化剤として作用する塩化第二銅、硫酸第一鉄、硝酸第二ニッケル等の水溶性遷移金属塩、あるいはリン酸一又は二水素アルカリ金属塩、フタル酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムなどのpH調整剤等が挙げられる。
【0025】
塩化ビニル重合体ラテックス中の固形分含量は、特に制限されるものではなく、通常20〜80重量%、好ましくは40〜65重量%であり、重合反応終了後のラテックスをそのまま用いてもよいし、限外濾過等の方法で濃縮したものを用いてもよい。ラテックスの粘度は普通0.1Pa・sec以下である。
二流体ノズルとしては外部混合型のものがよい。また、温度条件として、乾燥機入口で50〜300℃、乾燥機出口で25〜90℃を用いるとよい。出口温度が25℃以下では、温度を安定に維持するのが困難となりやすく、また乾燥不十分となり易い。90℃以上では、処理量が少なくなり乾燥効率が低下する。またマス・レシオ(噴霧気体流量/噴霧液体流量)は0.5〜5、好ましくは1〜2.5の範囲を用いるとよい。また噴霧気体は、通常空気を使用するが、特に微細噴霧を望む場合は、水蒸気または水蒸気と不活性気体の混合ガスを用いると効率的である。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例により、更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお評価方法は以下の方法により行った。
<粒径分布>
レーザー回折粒径分布測定装置(堀場製作所株式会社製 LA−500)にフローセルホルダーをセットし、分散媒として0.1重量%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート水溶液約200mlをバスに入れ、撹拌・循環させる。回折像のブランクを測定し、次いで塩化ビニル系樹脂を少量バスに添加し30秒間分散させたのち、試料の粒径分布を測定する。得られた粒径分布から平均粒子径(メジアン径)を算出した。
<循環流の発生の有無>
乾燥塔上部コーンに設けたサイドグラスより、塔内の粉粒体の動きを目視にて観察し、循環流の発生の有無を調べた。
【0027】
<実施例例1>
播種乳化重合法により塩化ビニル単量体を重合させて塩化ビニル系重合体ラテックスを製造した。用いた重合開始剤は過硫酸カリウム−ピロ亜硫酸ナトリウムのレドックス系開始剤で、主乳化剤はラウリル硫酸ナトリウムである。反応温度は55℃で、得られたラテックスの固形分含量は45重量%、ラテックス中の重合体粒子の平均粒径は1.1μmであった。また生成ポリ塩化ビニルの平均重合度は1200であった。
このラテックスを図1に示す直胴部の直径4m(直胴部断面積12.6m2)、上部コーン部長さ4m、直胴部長さ4m、下部コーン部長さ3.1mの噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥した。
【0028】
材質がステンレス鋼で、開口部断面積が液体流路(内筒)で95mm2、気体流路(外套−内筒間隙)が約48mm2の外部混合式二流体ノズル8個を、直胴部の上部と上部コーンの連結部の高さの位置に、支持アームを介して中心から半径1mの円周上に、均等間隔(45°間隔)に、かつ垂直下向きに配置した。さらに同じ高さの中心から半径1.5mの円周上に、上記二流体ノズル8個を均等間隔に、かつ外周円と内周円上の二流体ノズルが放射状になるように、垂直下向きに配置した(図2に二流体ノズルの配置図を示す。)。
【0029】
上記二流体ノズルから上記塩化ビニル系重合体ラテックスを該ラテックス流量がノズル1本当たり65kg/Hr、噴霧用空気流量がノズル1本当たり130kg/Hrとなるように微噴霧した。一方乾燥用空気を乾燥機上部の整流器を通して、乾燥機入口温度が160℃、出口温度が55℃になるように供給し、該ラテックス液滴を乾燥し、乾燥塔下部より排出し、補集機(コレクター)にて分離した。乾燥中循環流は、認められず得られたポリ塩化ビニル樹脂の平均粒径は約20μmであり、粒径50μm以上の粗大粒子は認められなかった。
【0030】
<比較例1>
外周円上の8個の二流体ノズルの位置をそれぞれ22.5°回転した以外は、実施例1と同様に行った(図3に二流体ノズルの配置図を示す。)。循環流の発生が認められ、得られたポリ塩化ビニル樹脂の平均粒径は、約35μmで、粒径50μm以上の粗大粒子が12重量%あった。
【0031】
【発明の効果】
本発明方法に従って条件を選んで噴霧乾燥を行うことにより、乾燥機内、特に噴霧ノズル近傍の循環流を削減することができ、噴霧粒子同士の衝突や合一による粗大粒子生成を防止でき、微細な粒径の乾燥粒子を安定して得ることができる。また本方法を塩化ビニル系重合体ラテックスの噴霧乾燥に適用することにより、粗大粒子の生成が削減できるので、これにより粉砕・篩分等の工程も省略もしくは簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の噴霧乾燥機を説明するための断面図
【図2】 実施例1の二流体ノズルの配置図
【図3】 比較例1の二流体ノズルの配置図
【符号の説明】
1 整流器(ディスパーサー)
2 上部コーン部
3 直胴部
4 下部コーン部
5 乾燥用気体入口
6 乾燥機出口ダクト
7 二流体ノズル
8 外周円
9 内周円
10 直胴部外周
D 直胴部径
LTOP 上部コーン部長さ
L 直胴部長さ
LBOT 下部コーン部長さ
Claims (4)
- 円筒形の直胴部を有する並行流型の噴霧乾燥機であって、該噴霧乾燥機上部の水平断面上に多重列同心円上に二流体ノズルが配置された噴霧乾燥機において、該二流体ノズルが放射線状に配置されていることを特徴とする噴霧乾燥機。
- 内側の同心円の半径が直胴部の半径の7/16〜10/16であり、外側の同心円の半径が直胴部の半径の10/16〜14/16である二重列同心円構造を有する請求項1に記載の噴霧乾燥機。
- 請求項1または2に記載の噴霧乾燥機を用いることを特徴とする噴霧乾燥方法。
- 塩化ビニル系重合体ラテックスを噴霧乾燥する請求項3に記載の噴霧乾燥方法。
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