JP3648868B2 - 超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,バルク形状(塊状)の超電導体を用いた超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば,溶融法により作製されたRE−Ba−Cu−O系(REはY又は希土類元素)の高温超電導体は1T(テスラ)を越える大きな磁場を捕捉することができ,従来の永久磁石を凌ぐ性能の磁石となることが知られている。
この超電導体を簡便に着磁する方法としては,例えば特開平6−168823号公報(文献1),Japanease Jounal of AppliedPhysics Vol35(1996)p.p.2114−2125(文献2),特願平8−180058号(文献3)に記載されているごとく,パルス磁場を超電導体に印加する方法(パルス着磁法)が開示されている。
【0003】
即ち,上記文献1,2によれば,高温超電導体を液体窒素で77Kに冷却した後,高温超電導体の周囲に配置した着磁コイルにパルス電流を通電することにより超電導体に図10に示すごときパルス磁場Pを印加する。これにより,超電導体は,いわゆるピン止め力によって磁場を捕捉して強力な磁石となる。
【0004】
このパルス着磁法によれば,従来の他の方法(FC法,ZFC法)に比べて非常に簡便に超電導体に着磁することができ,この方法を利用した超電導磁石装置はコンパクトにすることができる。
また,文献3には,液体窒素に代えて冷凍機を用いて超電導体を冷却する方法が示されている。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の超電導磁石装置及び超電導体の着磁方法においては,次の問題がある。
即ち,上記従来の超電導磁石装置及び超電導体の着磁方法においては,超電導体の周囲に着磁コイルを配置する。そのため,超電導体の径が大きい場合や,複数の超電導体を組み合わせて広い面積で使用する場合などには,超電導体の外周形状に対応させて着磁コイルの径を大きくする必要がある。
【0006】
また,図11に示す磁束線Bより知られるごとく,径の大きな超電導体に対して周囲から磁場を印加した場合には,超電導体の中心部分に侵入する磁場が非常に小さくなってしまう。そのため,着磁コイルが発生するパルス磁場が小さい場合には,超電導体に捕捉された磁場がその中心部分において不十分となる場合もある。
【0007】
また,着磁コイルにさらに大きな磁場を発生させるようにするには,コイル巻数を多くしたり,大きなパルス電流を流すように電源を大きくしたり,大きな電磁力に耐えうるように着磁コイルを頑丈にしたりしなければならない。
このような着磁装置の大型化等は,簡便な装置で超電導体の着磁を行うことができるというパルス着磁法の特徴を損なってしなう。
【0008】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,大きなサイズの超電導体を着磁する場合においてもコンパクトな装置で着磁することができる,超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題の解決手段】
請求項1の発明は,超電導遷移温度TC 以下の温度に冷却した超電導体に,着磁コイルにより発生するパルス磁場を印加することにより,上記超電導体を着磁する方法において,
上記着磁コイルは,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設しておき,該着磁コイルから発生するパルス磁場を上記超電導体の着磁方向から印加することを特徴とする超電導体の着磁方法にある。
【0010】
本発明において最も注目すべきことは,上記着磁コイルは,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設しておき,該着磁コイルから発生するパルス磁場を上記超電導体の着磁方向から印加することである。即ち,上記着磁コイルは,超電導体に捕捉された磁場が超電導体から出入りする面(着磁面)に対向して配設しておく。
【0011】
上記着磁コイルは,鋸波,矩形波,正弦波,コンデンサ放電波形等の種々の波形の単発又は複数の短時間電流(パルス電流)を通電することにより,パルス磁場を発生するものである。例えばコンデンサ放電を利用する場合には,着磁コイルの寸法,コイルの巻数,全回路の抵抗・インダクタンス・静電容量等を調整することによりパルス磁場の大きさやパルスの立ち上がり時間を制御することができる。
【0012】
次に,本発明における作用につき説明する。
本発明における超電導体への印加磁場は,超電導体の着磁方向から与える。そのため,超電導体の着磁したい部分(着磁部分)が超電導体全体であっても一部分であっても,その着磁部分に均一な磁場を印加することができる。即ち,超電導体の着磁部分に対応させて1個又は複数の着磁コイルを配設することにより,上記着磁部分に均一な磁場を印加することができる(図1)。
【0013】
そのため,超電導体全体を着磁する場合においても,超電導体に捕捉される磁場は巨視的にみて従来よりも均一となる。それ故,本発明においては,印加磁場が小さい場合に従来のように中心部分の捕捉磁場だけが不十分になるということはない。
【0014】
また,本発明においては超電導体の着磁方向から印加磁場を付与するため,上記のごとく超電導体の一部分だけを着磁させることができる。即ち,着磁部分だけに対応して着磁コイルを配設し,着磁部分だけに磁場を印加することができる。
また,1つの超電導体における複数の着磁部分に対し,これらが異なる極性になるように着磁させることもでき,いわゆる多極着磁を行うことができる。この場合には,超電導磁石の用途を大幅に広げることができる。
【0015】
また,上記着磁コイルは,上記超電導体を挟み込むように,その両側の着磁面に対向してそれぞれ配設することもできる。この場合には,図2に示す磁束線Bより知られるごとく,上記超電導体の厚みが厚い場合においても,超電導体の内部にまで均一に磁場を印加させることができる。そのため,超電導体の厚みが厚くても均一な磁場を捕捉させることができる。
【0016】
また,上記のごとく,着磁コイルは必ずしも1個である必要はなく,超電導体の着磁部分に対応して,小型の着磁コイルを複数個隣接配置させた構成をとることができる。それ故,各着磁コイルを従来よりも小型化することができ,電源装置,その他装置全体をコンパクトにすることができる。
【0017】
また,請求項2の発明のように,上記着磁コイルを上記超電導体に対して相対的に平行移動させながら,上記超電導体の複数の着磁部分に順次パルス磁場を印加することもできる。この場合には,超電導体よりも小さい着磁コイルによって,超電導体の全体を着磁させることができる。したがって,大きな超電導体を着磁する場合にも着磁装置をコンパクトにすることができる。
【0018】
また,請求項3の発明のように,上記着磁コイルは複数個であってもよい。この場合には,各着磁コイルの小型化を図ることができる。
さらに,請求項4の発明のように,上記複数の着磁コイルは,同時又は順次パルス磁場を発生させることもできる。複数の着磁コイルに同時にパルス磁場を発生させる場合には,着磁作業の迅速化を図ることができる。また,各着磁コイルの通電タイミングをずらしてパルス磁場の発生を順次行う場合には,小さな電源装置を共有することもでき,さらに着磁装置の小型化を図ることができる。
【0019】
次に,上記の超電導体の着磁方法を実施する超電導磁石装置として次の装置がある。
即ち,請求項5の発明のように,断熱容器内に配設された超電導体と,該超電導体を冷却するための冷却装置と,パルス電流を通電して上記超電導体にパルス磁場を印加するための着磁コイルとからなり,
該着磁コイルは,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設されていることを特徴とする超電導磁石装置がある。
【0020】
本発明の超電導磁石装置において最も注目すべきことは,上記着磁コイルは,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設されていることである。即ち,上記着磁コイルは,上記超電導体の片側又は両側の着磁面に対向して配設されている。
【0021】
上記着磁コイルに通電するパルス電流等は上述した通りである。また,上記着磁コイルの材質は,パルス電流通電時の発熱を利用する場合には適当な抵抗率を持った常電導体が,発熱を抑える場合には低抵抗の銅やアルミニウムもしくは超電導体が用いられる。
【0022】
上記断熱容器は,外部からの熱の侵入を極力防いで上記超電導体の温度の上昇を防止し,かつ超電導体の冷却を容易にするためのものである。具体的には,例えば,輻射シールド板を備えた真空断熱槽といった本格的な断熱対策を施したものがある。また,例えば,単にFRPや発泡スチロールといった熱伝導度の極めて低い材料を構成材料として用いた簡便なものもある。
【0023】
上記冷却装置は,上記超電導体を直接冷却するものであって,種々の構成をとることができる。
例えば,上記冷却装置としては冷凍機を用いることができる。そして該冷凍機には上記超電導体を冷却するためのコールドヘッドを設けることができる。この場合には,超電導体の冷却を効率よく,かつ精度よく行うことができ,上記の超電導体の着磁方法の効果を十分に発揮させることができる。
【0024】
また,上記冷却装置は冷媒循環型の冷却装置とすることもできる。即ち,該冷却装置は,上記超電導体と冷媒とを収納した冷媒容器と,該冷媒容器に冷媒移送管を介して連結された冷媒冷却装置とよりなり,該冷媒冷却装置により冷却した冷媒を上記冷媒容器内との間に循環させるように構成することもできる。
この場合には,冷媒の性質を利用して精度の高い温度制御を行うことができる。また,上記冷媒としては,例えば,酸素,窒素,ネオン,水素,ヘリウム等の液体もしくは気体を用いる。
【0025】
また,上記冷却装置は冷媒貯留型の冷却装置とすることもできる。即ち,該冷却装置は,上記超電導体と冷媒とを収納した冷媒容器と,該冷媒容器内の上記冷媒の蒸気圧を調整するための排気装置とを有してなり,上記冷媒の蒸発熱を利用して冷媒の温度調整をするように構成することもできる。
この場合には,装置構成を簡単にすることができる。
【0026】
上記超電導体は,バルク形状(塊状)であり,その形状は,円柱状,角柱状等,種々の形状をとることができる。また,複数の超電導体を組み合わせて用いることもできる。また上記超電導体は,いわゆるピン止め点を有するものであって,例えばRE−Ba−Cu−O系(ここに,REはY,希土類元素,又はこれらの元素の組み合わせ)がある。
【0027】
このような構成の本発明の超電導磁石装置を用いれば,上記の優れた超電導体の着磁方法を容易に実施することができる。また,本発明の超電導磁石装置は,上記のごとく簡単な構成であり非常にコンパクトである。そのため,本発明の超電導磁石装置は,種々の機器における磁石装置として有効に利用することができる。
【0028】
また,請求項6の発明のように,上記着磁コイルと上記超電導体とは,相対的に平行移動可能に配設することもできる。この場合には,大型の超電導体を小さな着磁コイルによって複数の着磁部分を順次着磁することができる。そのため,着磁コイルの小型化を図ることができ,超電導磁石装置全体をコンパクトにすることができる。
【0029】
また,請求項7の発明のように,上記着磁コイルは上記断熱容器の外部に配設されていることが好ましい。この場合には,超電導体を着磁した後に着磁コイルを分離することができ,超電導磁石装置をさらにコンパクトな状態で使用することができる。それ故,超電導磁石装置の適用範囲をさらに広くすることができる。
【0030】
また,請求項8の発明のように,上記のごとく,着磁コイルは複数個にすることもできる。この場合には,各着磁コイルの小型化,各着磁コイルの通電タイミングの最適化等の工夫を容易に図ることができ,装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかる超電導体の着磁方法を利用した超電導磁石装置につき,図1,図3を用いて説明する。
本例の超電導磁石装置1は,図3に示すごとく,断熱容器2内に配設された超電導体10と,該超電導体10を冷却するための冷却装置としての冷凍機3と,パルス電流を通電して上記超電導体にパルス磁場を印加するための着磁コイル4とからなる。そして,図1,図3に示すごとく,着磁コイル4は,超電導体10の着磁方向の片側に対向して配設されている。
【0032】
着磁コイル4は,図1,図3に示すごとく,超電導体10の着磁面11に対向するよう複数の小型の着磁コイル40を隣接配置してなる。各着磁コイル40には,パルス電流を通電するための電源装置41に接続されている。この電源装置41は,コンデンサ放電を利用したものである。
また,着磁コイル4は,断熱容器2の外部に配設してある。そのため,図3に示すごとく,着磁コイル4と超電導体10との間には断熱容器2の一部分が介在している。
【0033】
超電導体10は,円盤形状のRE−Ba−Cu−O系(ここに,REはY,希土類元素,又はこれらの元素の組み合わせ)高温超電導体である。
断熱容器2は,図3に示すごとく,FRPを用い,超電導体10と,後述する冷凍機3のコールドヘッド31とを収納している。断熱容器2の内部は,外部からの熱の侵入をできる限り防ぐべく,真空状態にしてある。
【0034】
冷却装置としての冷凍機3は,図3に示すごとく,超電導体10を冷却するためのコールドヘッド31とコンプレッサ32とを有する公知のものである。コールドヘッド31は,熱を奪って冷却する部分であって,熱伝導性に優れた銅部材35を介して超電導体10に連結してある。
【0035】
次に,本例における作用につき説明する。
本例の超電導磁石装置1において超電導体10を着磁する際には,まず冷凍機3を作動して断熱容器2内の超電導体10をその超電導遷移温度TC 以下のオペレーション温度T0 まで冷却する。
【0036】
次いで,断熱容器2の外部に配置した上記の着磁コイル4に電源装置41によってパルス電流を通電する。
これにより,着磁コイル4は,図1に示す磁束線Bより知られるごとく,超電導体10に対して,その着磁方向から均一な印加磁場を発生する。
そのため,超電導体10は,巨視的に見て全体的に均一に着磁される。
【0037】
また,本例においては,上記のごとく着磁コイル4を断熱容器2の外部に配設してある。そのため,着磁後の超電導磁石装置1を磁場発生装置として使用するに当たって,着磁コイル4を分離することができる。そのため,さらに一層コンパクトな状態で利用することができる。
【0038】
実施形態例2
本例は,図4に示すごとく,円盤形状の超電導体12の中心部分にシャフト129を付け,超電導体12をモータ又は発電機のロータとして使用する具体例である。
超電導体12は,図4(a)(b)に示すごとく,断熱容器22に収納されており,図示しない冷却装置によって超電導遷移温度TC 以下に冷却されるように構成されている。
【0039】
そして,超電導体12を着磁するに当たっては,図4(a)(b)に示すごとく,1組の着磁コイル42を断熱容器22を介して超電導体12の着磁部分121〜128のうちの一部分121を挟み込むように配置させる。そして,着磁コイル42にパルス電流を通電させてパルス磁場を発生させる。このとき,パルス磁場は,着磁部分121に捕捉された磁場が,図4(b)において向かって右側がS極になるような向きで発生させる。これにより,着磁部分121は,上記の極性方向となる状態で磁場を捕捉する。
【0040】
次いで,超電導体12を45°回転させて次の着磁部分122を着磁コイル42間に位置させる。そして,着磁コイル42に先回と逆方向にパルス電流を流す。これにより,先回と逆方向にパルス磁場が発生し,着磁部分122が隣の着磁部分121と逆の極性に着磁される。以下,超電導体12を45°ずつ回転させて,パルス磁場の印加方向を交互に変化させて順次着磁部分123〜128を着磁していく。これにより,円盤状の超電導体12は,互いに異なる極性の磁化部分121〜128を交互に配置したロータとなる。
【0041】
次に,図5に示すごとく,ロータとなった超電導体12は,8個の電機子421を円状に配置したモータケース(図示略)内に配設する。そして,各電機子421に対して交互に逆方向の電流を流して回転磁界を発生せさることにより,モータとしての機能が発揮される。
【0042】
また,発電機として利用する場合には,超電導体12のシャフト129に別途設けた駆動系を接続し,これを回転させる。これにより,上記の各電機子421から誘導電流を得ることができる。
【0043】
なお,超電導体12をモータに利用する場合に,図6に示すごとく,超電導体12の表裏に8組の着磁コイル42を予め配設しておくこともできる。この場合には,着磁コイル42を固定電機子としても兼用することができる。即ち,超電導体12を着磁する場合には,超電導体12を停止した状態で,それぞれの着磁コイル42によって8箇所の着磁部分121〜128を着磁することができる。そして,着磁後においては,着磁コイル42に流す電流を制御して回転磁界を発生させる固定電機子としての役割を果たさせることができる。
【0044】
実施形態例3
本例は,図7に示すごとく,円盤形状の超電導体13を,非接触状態で動力を伝える磁気カップリングとして使用する具体例である。
超電導体13は,図7(a)に示すごとく,断熱容器23に収納されており,図示しない冷却装置によって超電導遷移温度TC 以下に冷却されるように構成されている。また,超電導体13には動力を伝えるためのシャフト139が裏側に延設されている。
【0045】
そして,超電導体13を着磁するに当たっては,図7(a)に示すごとく,いわばショートケーキ状の着磁コイル43を8個組み合わせてなる着磁コイル430を用いる。そして,着磁コイル430を超電導体13の着磁面に対面させて,個々の着磁コイル43が交互に逆方向にパルス磁場を発生するように各着磁コイル43に通電する。
【0046】
これにより,図7(a)に示すごとく,超電導体13の着磁部分131〜138には,交互に極性が異なる磁場が捕捉される。
このように着磁した超電導体13をカップリングとして使用するには,図7(b)に示すごとく,まず別途設けたモータ88にシャフト139を連結すると共に,超電導体13の着磁面130を,他方のカップリング円盤53に対面させる。
【0047】
他方のカップリング円盤53は,本例と同様に着磁した超電導体でもよいし,永久磁石でもよい。少なくとも,超電導体13と同様に交互に異なる極性の着磁部分を配置していることが必要である。また,超電導体13と他方のカップリング円盤53との間は,図7(b)に示すごとく,一定の距離をおいて非接触状態にすることができる。
そのため,例えば,図7(b)に示すごとく,密閉された真空室81内に配設された他方のカップリング53に対しても,容易に動力を伝達することができる。
【0048】
実施形態例4
本例は,図8に示すごとく,長尺状の超電導体140を着磁する場合の具体例を示す。
長尺状の超電導体140は,図8に示すごとく,四角い単位超電導体14を2列で長く連ねた集合体であって,長尺状の断熱容器24内に収納されている。そして,超電導体140は,図示しない冷却装置によって超電導遷移温度TC 以下に冷却されるように構成されている。
【0049】
また,着磁コイル440は,図8に示すごとく,単位超電導体14に対応する大きさの小型の着磁コイル44を縦2列×横4列,計8個組み合わせて構成してある。そして,各着磁コイル44は,全て同一方向の極性のパルス磁場を発生するように構成してある。
【0050】
次に,上記超電導体140を着磁するに当たっては,図9に示すごとく,単位超電導体14を縦2列×横4列,計8個を1ブロック(1つの着磁部分)として,複数のブロック141,142,143・・・に区分けする。この1ブロックは,着磁コイル440によって一度に着磁できる大きさである。
そして,着磁コイル440を各ブロック141,142・・・と順次ブロック単位で平行移動させながら,順次パルス磁場を発生させる。
これにより,超電導体140は順次着磁されていき,長尺の超電導磁石を得ることができる。
【0051】
このように,本例においては,長尺状の超電導体140であっても,コンパクトな着磁コイル440によって,容易に着磁することができる。そのため,例えば,リニアモーターカーにおける長尺状の磁場発生装置として応用することもできる。また,超電導体が長いだけでなく幅も広い場合であっても,本例の手法を応用してコンパクトな着磁コイルを用いて着磁することができる。それ故,超電導体の磁石としての適用範囲をこれまで以上に拡大することができる。
【0052】
【発明の効果】
上述のごとく,本発明によれば,大きなサイズの超電導体を着磁する場合においてもコンパクトな装置で着磁することができる,超電導体の着磁方法及び超電導磁石装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における,着磁コイルの配置状態を示す説明図。
【図2】本発明における,着磁コイルを超電導体の両側の着磁面に対向させた状態を示す説明図。
【図3】実施形態例1の超電導磁石装置の構成を示す説明図。
【図4】実施形態例2における,超電導体の着磁手順を示す説明図。
【図5】実施形態例2における,超電導体をモータに組み込んだ状態を示す説明図。
【図6】実施形態例2における,超電導体をモータに組み込んだ別例を示す説明図。
【図7】実施形態例3における,(a)超電導体の着磁手順,(b)超電導体を磁気カップリングに用いた状態,を示す説明図。
【図8】実施形態例4における,超電導体の着磁手順を示す説明図。
【図9】実施形態例4における,超電導体の着磁部分の区分け状態を示す説明図。
【図10】従来例における,パルス磁場を示す説明図。
【図11】従来例における,印加磁場の磁束密度分布を示す説明図。
【符号の説明】
1...超電導磁石装置,
10,12,13,14,140...超電導体,
2,22,23,24...断熱容器,
4,42,43,44,440...着磁コイル,
Claims (8)
- 超電導遷移温度TC 以下の温度に冷却した超電導体に,着磁コイルにより発生するパルス磁場を印加することにより,上記超電導体を着磁する方法において,
上記着磁コイルは,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設しておき,該着磁コイルから発生するパルス磁場を上記超電導体の着磁方向から印加することを特徴とする超電導体の着磁方法。 - 請求項1において,上記着磁コイルを上記超電導体に対して相対的に平行移動させながら,上記超電導体の複数の着磁部分に順次パルス磁場を印加することを特徴とする超電導体の着磁方法。
- 請求項1又は2において,上記着磁コイルは複数個であることを特徴とする超電導体の着磁方法。
- 請求項3において,上記複数の着磁コイルは,同時又は順次パルス磁場を発生させることを特徴とする超電導体の着磁方法。
- 断熱容器内に配設された超電導体と,該超電導体を冷却するための冷却装置と,パルス電流を通電して上記超電導体にパルス磁場を印加するための着磁コイルとからなり,
該着磁コイルは,上記超電導体の着磁方向の片側もしくは両側に対向して配設されていることを特徴とする超電導磁石装置。 - 請求項5において,上記着磁コイルと上記超電導体とは,相対的に平行移動可能に配設されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求項5又は6において,上記着磁コイルは上記断熱容器の外部に配設されていることを特徴とする超電導磁石装置。
- 請求項5〜7のいずれか1項において,上記着磁コイルは複数個であることを特徴とする超電導磁石装置。
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