JP3646862B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトルをはじめとして、フィルム、シート成形用などに用いられるポリエステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、成形時に金型汚れが発生しにくく、成形体の透明性に優れ、かつ成形体に異味、異臭が発生しにくいポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレ−トなどのポリエステルは、機械的性質及び化学的性質が共に優れているため、工業的価値が高く、繊維、フイルム、シ−ト、ボトルなどとして広く使用されている。
【0003】
調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
【0004】
これらのうちでポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器の素材として最適である。
【0005】
このようなポリエステルは射出成形機械などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒートセット)して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じてボトルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが一般的である。
【0006】
ところが、従来のポリエステルには、環状三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴマー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着することによる金型汚れが発生しやすかった。
【0007】
このような金型汚れは、得られるボトルの表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルが白化してしまうと、そのボトルは廃棄しなければならない。このため金型汚れを頻繁に除去しなければならず、ボトルの生産性が低下してしまうという問題点があった。
【0008】
また、ポリエステルは、副生物であるアセトアルデヒドを含有する。ポリエステル中のアセトアルデヒド含有量が多い場合には、これから成形された容器やその他包装等の材質中のアセトアルデヒド含有量も多くなり、該容器等に充填された飲料等の風味や臭いに影響を及ぼす。したがって、従来よりポリエステル中のアセトアルデヒド含有量を低減させるために種々の方策が採られてきた。
【0009】
近年、ポリエチレンテレフタレ−トを中心とするポリエステル製容器は、ミネラルウオ−タやウ−ロン茶等の低フレ−バ−飲料用の容器として使用されるようになってきた。このような飲料の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填したりまたは充填後加熱して殺菌されるが、飲料容器のアセトアルデヒド含有量の低減だけではこれらの内容物の風味や臭いが改善されないことがわかってきた。
【0010】
また、飲料用金属缶については、工程簡略化、衛生性、公害防止等の目的から、その内面にエチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位とするポリエステルフイルムを被覆した金属板を利用して製缶する方法が採られるようになってきた。この場合にも、内容物を充填後高温で加熱殺菌されるが、この際アセトアルデヒド含有量の低いフイルムを使用しても内容物の風味や臭いが改善されないことが分かってきた。
【0011】
これらの解決方法として、特開平3−174441号公報にはポリエステルを水処理する方法が開示されている。
【0012】
しかし、この方法を工業的に実施する場合には、処理用の水として蒸留水を用いるとコストの面から不利であるため、河川からの水や地下水、排水等を簡易処理した工業用水を用いることが一般的である。しかしながら、工業用水を用いて水処理をした場合、しばしば成型時での結晶化が早過ぎ、透明性の悪いボトルになってしまったり、得られたポリエステルからの成形体に残留異味や異臭が発生するという問題があった。また口栓部結晶化による口栓部の収縮が規格内に納まらずにキャッピング不良となる問題もあった。
【0013】
本発明者らの検討によると、これは水処理の段階において、工業用水に含まれているナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素等の金属含有物質の含有量が一定値より多い場合、これらの金属の酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエステルチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなることがわかった。さらには金属含有物質が配管を詰まらせたり、処理槽や配管の洗浄を困難にさせる等の問題が生じた。特にナトリウムの含有はスケ−ルの発生は起こらないものの、ナトリウムイオンがチップ表面層に浸透し、このナトリウムイオンを核として結晶化が進むため、ボトルを白化させる大きな要因となっていた。
【0014】
また、工業用水に含まれている細菌、バクテリア等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有機化合物または工業的に使用される有機化合物等が水処理時にポリエステルチップに付着、浸透し、これらが成形体の残留異味や異臭の原因になっていることが分かった。
【0015】
これらの金属含有物質の含有量や前記の有機化合物は雨の後に増加したり、季節により変動し、しばしば非常に大きな値となることもあった。さらには、工業用水の水源をどこに求めるかでも大きく異なるものであった。
【0016】
したがって、透明性や内容物の風味等について問題のない成形体を与える水処理したポリエステルを得るために、工業用水をイオン交換処理装置によって処理をしたイオン交換水を使用してポリエステルを水処理するが、この場合でも時には透明性の悪い、残留異味、異臭のある成形体しか得られない場合があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の問題点を解決することにあり、成形時での金型汚れを発生させにくく、またさらにはボトルの透明性の良好で、かつ成形体に異味、異臭が発生しにくいポリエステルを提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、重縮合触媒として加熱減量が1.5〜15.0%の結晶性二酸化ゲルマニウムを使用して重縮合することを特徴とするポリエステルの製造方法である。さらに重縮合後のポリエステルは処理水と共に処理槽に供給してポリエステルを水処理することが好ましい。
【0019】
この場合において、処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用することができる。
この場合において、ポリエステルチップを、処理槽に継続的に供給することができる。
この場合において、ポリエステルチップを、処理槽に間欠的に供給することができる。
この場合において、ポリエステルチップの全量を処理層に充填し、水処理終了後ポリエステルチップの全量を抜き出すことができる。
【0020】
この場合において、処理槽からの処理水の排出と、排出した処理水の処理槽へのもどりが継続的であることができる。
この場合において、処理槽からの処理水の排出と、排出した処理水の処理槽への戻りが間欠的であることができる。
【0021】
この場合において、ポリエステルが、極限粘度0.55〜1.30デシリットル/グラムの主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであることができる。
またこの場合において、ポリエステルが、極限粘度0.40〜1.00デシリットル/グラムの主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートから構成されるポリエステルであることができる。
【0022】
かかる本発明のポリエステルの製造方法によれば、成形時での金型汚れを発生させにくく、さらにはボトルの透明性が良好で、かつ成形体に異味、異臭が発生しにくいポリエステルを有利に製造することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるポリエステルは、好ましくは、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコ−ル成分とから得られる結晶性ポリエステルであり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%以上含むポリエステルであり、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエステルである。
【0024】
本発明に用いられるポリエステルを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げられる。
【0025】
また本発明に用いられるポリエステルを構成するグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が挙げられる。
【0026】
前記ポリエステル中に共重合して使用される酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニ−ル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0027】
前記ポリエステル中に共重合して使用されるグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコ−ルなどが挙げられる。
【0028】
さらにポリエステルが実質的に線状である範囲内で多官能化合物、例えばトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロ−ルプロパン等を共重合してもよく、また単官能化合物、例えば安息香酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
【0029】
本発明に用いられるポリエステルの好ましい一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくはエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PETと略称)である。
【0030】
また本発明に用いられるポリエステルの好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−ナフタレートから構成されるポリエステルであり、さらに好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特に好ましいのは、エチレン−2、6−ナフタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエチレンナフタレ−トである。
【0031】
上記のポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合には、テレフタール酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。さらに極限粘度を増大させ、アセトアルデヒド含有量等を低下させる為に固相重合を行ってもよい。
【0032】
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0033】
ポリエステルは、環状三量体などのオリゴマー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気管等に付着することによる金型汚れ等を防止するために、前記の溶融重縮合または固相重合の後に水との接触処理を行なう。
水との接触処理の方法としては、水中に浸ける方法が挙げられる。水との接触処理を行う時間としては5分〜2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは30分〜10時間であり、水の温度としては20〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜120℃である。
【0034】
ポリエステルチップを工業的に水処理する場合、処理に用いる水が大量であることから天然水(工業用水)や排水を再利用して使用することが多い。通常この天然水は、河川水、地下水などから採取したもので、水(液体)の形状を変えないまま、殺菌、異物除去等の処理をしたものを言う。また、一般的に工業用に用いられる天然水には、自然界由来の、ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素等の金属含有物質や細菌、バクテリア等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有機化合物または工業的に使用される有機化合物等を多く含有している。天然水を用いて水処理を行うと、これらの金属化合物や有機化合物がポリエステルチップに付着あるいは吸着したり、浸透したりする。その結果、これらの金属化合物は結晶核となり、このようなポリエステルチップを用いた中空成形容器の透明性が非常に悪くなる。また、得られた中空成形容器の内容物の風味や香りが非常に悪くなることが判った。
【0035】
したがって、透明性が良好で、異味、異臭のない成形体を与えるポリエステルを得るために、前記の工業用水を脱気装置、イオン交換処理装置、活性炭処理装置等によって処理をした水を使用してポリエステルを水と接触処理するが、この場合でも時には透明性の悪い、異味、異臭のある成形体しか得られない場合があった。
【0036】
このような問題を解決するために種々検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、芳香族ジカルボン酸ジメチルエステルとエチレングリコ−ルとのエステル交換反応により生成したオリゴマ−または芳香族ジカルボン酸とエチレングリコ−ルとの直接エステル化反応により生成したオリゴマ−を、加熱減量が1.5〜15.0%、好ましくは1.7〜4.5%、さらに好ましくは2.0〜4.0%の結晶性二酸化ゲルマニウムを重縮合触媒として用いて重縮合したポリエステルを水処理することによって上記の問題を解決するものである。
【0037】
加熱減量が1.5%未満の結晶性二酸化ゲルマニウムを用いて得られたポリエステルの場合は、得られた中空成形体の透明性が非常に悪くなり、商品価値がなくなる。また、加熱減量が15.0%を超える結晶性二酸化ゲルマニウムを用いて得られたポリエステルの場合は、透明性の悪化が起こるだけでなく、中空成形容器の内容物の風味や香りが非常に悪くなる。
【0038】
結晶性二酸化ゲルマニウムは、通常、塩素化ゲルマニウムを高温で焼成して製造される。加熱した場合の減量成分としては、現在のところ不明であるが、この製造時の焼成不足、製造時の不純物、結晶水中に含まれる水分、等が考えられる。
また、通常、重合触媒として用いる場合は、通常、二酸化ゲルマニウムをエチレングリコールや水、これらの混合溶媒等に溶解またはコロイド状に分散させて添加するが、加熱減量成分が1.5%未満の場合や15%を越える場合には、触媒中に溶解性や分散性に劣る成分が存在することにより、透明性が悪くなるとも考えられる。いずれにしても原因は推定に過ぎない。
【0039】
本発明における結晶性二酸化ゲルマニウムは、六方晶型の二酸化ゲルマニウムであり、粉末またはエチレングリコールのスラリー、水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等として、本発明に用いられるポリエステルの製造時に使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液として使用するのが好ましい。
【0040】
これらの触媒溶液は、エステル交換工程中またはエステル交換反応終了後から重縮合反応開始までの段階、あるいはエステル化工程中またはエステル化反応終了後から重縮合反応開始までの段階において添加することができる。その使用量はポリエステル中のGe残存量として10〜150ppm、好ましくは13〜100ppm、さらに好ましくは15〜70ppmである。
【0041】
また重縮合触媒として、前記の品質の結晶性二酸化ゲルマニウムとTi化合物の混合使用も好都合である。使用可能なTi化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、ポリエステル中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
【0042】
また、本発明に用いられるポリエステルの製造時に、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用するのが好ましい。これらの安定剤は、エステル交換終了後から重縮合開始までの工程中、あるいはテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、ポリエステル中のP残存量として5〜100ppmの範囲になるように添加する。
【0043】
また、本発明に用いられるポリエステルに共重合されたジエチレングリコ−ル含有量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
【0044】
以下に水処理を工業的に行なう方法を例示するが、これに限定するものではない。また処理方法は連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えないが、工業的に行なうためには連続方式の方が好ましい。
【0045】
水処理の方法が連続的に、又はバッチ的のいずれの場合であっても、処理槽から排出した処理水のすべて、あるいは殆どを工業排水としてしまうと、新しい水が多量に入用であるばかりでなく、排水量増大による環境への影響が懸念される。
【0046】
即ち、処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、水処理槽へ戻して再利用することにより、必要な水量を低減し、また排水量増大による環境への影響を低減することが出来、さらには水処理槽へ返される排水がある程度温度を保持していれば、処理水の加熱量も小さく出来るため、処理層から排出された処理水は水処理層へ戻して再利用されることが好ましい。また、水を再利用させることで処理層中の処理水の流量を上げることができ、結果としてポリエステルチップに付着したファインを洗い流すことができるため、ファイン除去効果も生まれる。
【0047】
ポリエステルのチップを連続的に水処理する場合は、塔型の処理槽に継続、あるいは断続的(総称して連続的ということがある)にポリエステルのチップを上部より受け入れ、並流又は向流で水を連続供給して水処理させることができる。処理されたポリエステルチップは処理層の下部から継続、あるいは断続的に抜き出す。
【0048】
ポリエステルチップをバッチ方式で水処理をする場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。すなわち、バッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ受け入れ水処理を行なう。あるいは回転筒型の処理槽にポリエステルのチップを受け入れ、回転させながら水処理を行ない水との接触をさらに効率的にすることもできる。
【0049】
この場合、ポリエステルチップは全量を処理槽内に投入、充填すると共に処理水を満たし、処理水は必要により継続的又は断続的に循環し、また、継続的又は断続的に一部の処理水を排出して新しい処理水を追加供給する。水処理後はポリエステルチップの全量を処理層から抜き出す。
【0050】
そして、水処理方法が連続方式の場合であってもバッチ方式の場合であっても、系外から導入する水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数をX、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量をM、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした場合、下記(1)〜(5)の少なくとも一つを満足させて水処理を行う。
1 ≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (1)
0.001 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (2)
0.001 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (3)
0.001 ≦ C ≦ 0.5 (ppm) (4)
0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (5)
【0051】
水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量のいずれかを上記範囲に設定することにより、スケールと呼ばれる酸化物や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエステルチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進され、透明性の悪いボトルとなることを防ぐことができる。
【0052】
以下に水処理に用いる、粒径1〜25μmの粒子を1〜50000個/10ml含む水を得る方法を例示する。
【0053】
水中の粒子数を50000個/10ml以下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10mlにすることが好ましい。粒子を除去する装置としてはフィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
【0054】
また系外からの水中のナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を低減させるために、処理槽に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフィルターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装置、限外濾過装置などが挙げられる。
【0055】
水処理において処理槽から排出される処理水には、処理槽にポリエステルチップを受け入れる段階で既にポリエステルチップに付着しているファインや、水処理時にポリエステルチップ同士あるいは処理槽壁との摩擦で発生するポリエステルのファインが含まれている。従って、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファイン量は次第に増えていく。そのため、処理水中に含まれているファインが処理槽壁や配管壁に付着して、配管を詰まらせることがある。また処理水中に含まれているファインが再びポリエステルチップに付着し、この後、水分を乾燥除去する段階でポリエステルチップにファインが静電効果により付着するため、ポリエステルのファイン含有量が非常に多くなる。
【0056】
ポリエステル製造工程において発生するファインには結晶化促進効果があるが、水処理工程を経たポリエステルチップから前記のような工程で発生したファインの結晶化促進効果は非常に高いことが判明した。このようなファインによりポリエステルの結晶性が促進されて、得られたボトルの透明性は悪くなり、またボトル口栓部結晶化時の結晶化度が過大となって口栓部の寸法が規格に入らなくなり、そのため口栓部のキャッピング不良、したがって内容物の漏れの原因になる。
【0057】
また本発明において、ポリエステルチップの連続式水処理法の場合は処理槽からポリエステルチップと共に排水する処理水の微粉量を1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下に維持しながら処理槽から排出される処理水の一部を処理槽に戻して繰り返し使用するのが望ましい。またバッチ式水処理法の場合は、水処理の終了時点での水中の微粉量は1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300ppm以下にするように処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用する。ここで、微粉量は下記の測定法によって求めたものである。
【0058】
処理槽内の処理水の微粉量の増加を抑えるために、処理槽から排出した処理水が再び処理槽に返されるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上にファインを除去する装置を設置する。ファインを除去する装置としてはフィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が挙げられる。またファインの除去と処理水の流れを効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは15〜40μmがよい。
【0059】
水処理したポリエステルチップは振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥工程へ移送する。当然のことながら水切り装置でポリエステルチップと分離された水は前記のファイン除去の装置へ送られ、再度水処理に用いることができる。
【0060】
ポリエステルチップの乾燥は通常用いられるポリエステルチップの乾燥処理を用いることができる。連続的に乾燥する方法としては上部よりポリエステルチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減らし、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給した粒状ポリエステルチップを間接的に乾燥することができる。
【0061】
バッチ方式で乾燥する乾燥機としてはダブルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができる。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥してもよい。
【0062】
乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
【0063】
本発明に用いられるポリエステル、特に、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されるポリエステルの極限粘度は0.50〜1.30デシリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.20デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.50デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.30デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0064】
また本発明に用いられるポリエステル、特に、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−フタレートから構成されるポリエステルの極限粘度は0.40〜1.00デシリットル/グラム、好ましくは0.42〜0.95デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.45〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.40デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.00デシリットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
また、本発明に用いられるポリエステルのチップの形状は、シリンダ−型、角型、または扁平な板状等の何れでもよく、その大きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.6〜3.5mm、好ましくは1.8〜3.5mmの範囲である。例えばシリンダ−型の場合は、長さは1.8〜3.5mm、径は1.8〜3.5mm程度であるのが実用的である。また、チップの重量は15〜30mg/個の範囲が実用的である。
【0065】
また、本発明に用いられるポリエステルのアセトアルデヒド含有量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含有量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、さらに好ましくは4ppm以下である。本発明で用いられるポリエステルのアセトアルデヒド含有量を10ppm以下、またホルムアルデヒド含有量を7ppm以下にする方法は特に限定されるものではないが、例えば低分子量のポリエステルを減圧下または不活性ガス雰囲気下において170〜230℃の温度で固相重合する方法を挙げることが出来る。
【0066】
また、本発明に用いられるポリエステルに共重合されたジエチレングリコール量は該ポリエステルを構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、好ましくは1.3〜4.5モル%、さらに好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含有量やホルムアルデヒド含有量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含有量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
【0067】
また、本発明に用いられるポリエステルの環状3量体の含有量は0.50重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエステルから耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
【0068】
本発明に用いられるポリエステルには、必要に応じて他の添加剤、例えば、公知の紫外線吸収剤、外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の添加剤を配合してもよい。
【0069】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
【0070】
(1)ポリエステルの極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
【0071】
(2)密度
硝酸カルシウム/水混合溶媒の密度勾配管で30℃で測定した。
【0072】
(3)ポリエステルの環状3量体の含有量
試料をヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈する。これにメタノールを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテレフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量した。
【0073】
(4)ファインの含有量測定
樹脂約0.5kgをJIS−Z−8801による呼び寸法1.7mmの金網を張った篩(直径30cm)の上に乗せ、上から0.1%のカチオン系界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウムクロライド)水溶液を2L/分の流量でシャワ−状にかけながら、全振幅幅約7cm、60往復/1分で1分間篩った。この操作を繰り返し、樹脂を合計10〜30kg篩った。
篩い落とされたファインは界面活性剤水溶液と共に岩城硝子社製1G1ガラスフィルタ−(細孔100〜120μm)で濾過して集め、イオン交換水で洗った。これをガラスフィルタ−ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガラスフィルタ−の重量を引き、ファイン重量を求めた。ファイン含有量は、ファイン量/篩にかけた全樹脂量重量、である。
【0074】
(5)ヘイズ(霞度%)
中空成形容器の胴部(肉厚約0.45mm)より試料を切り取り、日本電色(株)製ヘイズメ−タ−で測定。
【0075】
(6)処理水中の微粉量(ppm)
処理槽の処理水中の排出口からJIS規格20メッシュのフィルターを通過した処理水を1000cc採取し、岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過後、100℃で2時間乾燥し室温下で冷却後、重量を測定して算出する。
【0076】
(7)水中の粒子径および粒子数測定
光遮光式の粒子測定器パシフィックサイエンティフィックカンパニー社製HIAC/ROYCO.カウンター4100型、サンプラー3000型を用いて測定した。
【0077】
(8)二酸化ゲルマニウムの加熱減量
試料1.00gを白金ルツボに入れて約850℃で2時間加熱後室温まで冷却し、加熱前後の重量減少量を求める。
【0078】
(9)官能試験
中空容器に90℃の蒸留水を入れ密栓後60分保持し、室温へ冷却し室温で1ヶ月間放置し、開栓後風味、臭い等の試験を行った。比較用のブランクとして、蒸留水を使用。官能試験は10人のパネラーにより次の基準により実施し、平均値で比較した。
(評価基準)
0:異味、臭いを感じない
1:ブランクとの差をわずかに感じる
2:ブランクとの差を感じる
3:ブランクとのかなりの差を感じる
4:ブランクとの非常に大きな差を感じる
【0079】
(実施例1)
予め反応物を含有している第1エステル化反応器に、高純度テレフタル酸とエチルグリコ−ルとのスラリ−を連続的に供給し、撹拌下、約250℃、0.5kg/cm2Gで平均滞留時間3時間反応を行った。この反応物を第2エステル化反応器に送付し、撹拌下、約260℃、0.05kg/cm2Gで所定の反応度まで反応を行った。また、加熱減量が2.75%の結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解し、これにエチレングリコ−ルを添加加熱処理した触媒溶液、および燐酸のエチレングリコ−ル溶液を別々にこの第2エステル化反応器に連続的に供給した。このエステル化反応生成物を連続的に第1重縮合反応器に供給し、撹拌下、約265℃、25torrで1時間、次いで第2重縮合反応器で撹拌下、約265℃、3torrで1時間、さらに最終重縮合反応器で撹拌下、約275℃、0.5〜1torrで1時間重縮合させた。重縮合反応物をチップ化し、ひきつづき窒素雰囲気下、約155℃で結晶化し、さらに窒素雰囲気下で約200℃に予熱後、連続固相重合反応器に送り窒素雰囲気下で約205℃で固相重合した。固相重合後篩分工程およびファイン除去工程で連続的に処理しファインを除去した。
得られたPET樹脂の極限粘度は0.74デシリットル/グラム、環状3量体の含有量は0.31重量%、密度は1.400g/cm3であった。
【0080】
ISP社製のGAFフィルターバッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過精度1μm)である水中の粒子除去装置(9)を設置し、この装置(9)を経由したイオン交換水の導入口(8)、処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混合物の排出口(3)、オーバーフロー排出口から排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出されたポリエステルチップの水切り装置である(連続式遠心分離機)(4)を経由した処理水が、濾材が紙製の30μmのベルト式フィルターである濾過装置(5)を経由して再び水処理槽へ送る配管(6)、これらのファイン除去済み処理水の導入口(7)およびファイン除去済み処理水中のアセトアルデヒドやグリコ−ル等を吸着処理させる吸着塔(10)を備えた内容量500リットルの塔型の、図1に示す処理槽を使用して上記のPETチップを水処理した。
水処理装置のイオン交換水の導入口(8)で採取した水中の粒径1〜25μmの粒子含有量は約2300(個/10ml)であった。
PETチップを処理水温度95℃にコントロールされた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽の上部(1)から連続投入を開始した。投入開始から5時間経過後に、PETチップの水処理槽への投入を続けたまま水処理槽の下部(3)からPETチップを50kg/時間の速度で処理水ごと抜出しを開始すると共に、風力を利用した連続式遠心脱水装置(4)を経由した処理水を濾過装置(5)を経由して再び水処理槽に戻して繰り返し使用を開始した。なお、処理槽より排出する処理水中の微粉量は約30ppmであった。
【0081】
100時間連続運転後の水処理したPETチップ(ファイン含有量は約5ppm)を減圧乾燥し、名機製作所製M−150C(DM)射出成形機によりボトルの予備成形体を成形した。射出成形温度は295℃とした。次にこの予備成形体の口栓部を、近赤外線ヒーター方式の自家製口栓部結晶化装置で加熱して口栓部を結晶化した。次にこの予備成形体をCOPOPLAST社製のLB−01E成形機で縦方法に約2.5倍、周方向に約5倍の倍率に二軸延伸ブローし、引き続き約150℃に設定した金型内で約10秒間熱固定し、容量が2000ccの容器を成形した。延伸温度は100℃にコントロールした。
得られた容器のヘイズは0.8%で優れた透明性を示す。また、官能試験の結果は0.8と良好であった。
【0082】
(比較例1)
重縮合触媒として加熱減量が0.18%の結晶性二酸化ゲルマニウムを使用する以外は実施例1と同様にして固相重合PETを得た後、同様の方法で水処理を実施した。
実施例1と同様にして得られた容器のヘイズは9.8%と非常に悪かった。
【0083】
(比較例2)
重縮合触媒として加熱減量が17.6%の結晶性二酸化ゲルマニウムを使用する以外は実施例1と同様にして固相重合PETを得た後、同様の方法で水処理を実施した。
実施例1と同様にして得られた容器のヘイズは0.8%と問題なかったが、官能試験の結果は3.5と非常に悪かった。
【0084】
【発明の効果】
本発明は、ポリエステル及び処理水を処理槽に供給してポリエステルを水処理するポリエステルの製造方法であって、該ポリエステルが重縮合触媒として加熱減量が1.5〜15.0%の結晶性二酸化ゲルマニウムを使用して得たものであるため、成形時での金型汚れを発生させにくく、また成形体の透明性が良好で、かつ成形体に異味、異臭が発生しにくいポリエステルを有利に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリエステルの製造方法に用いる装置の概略図。
【符号の説明】
1 原料チップ供給口
2 オーバーフロー排出口
3 ポリエステルチップと処理水との排出口
4 連続式遠心脱水装置
5 ファイン除去濾過装置
6 配管
7 処理水導入口
8 イオン交換水導入口
9 粒子除去装置
10 吸着塔
Claims (10)
- 重縮合触媒として加熱減量が1.5〜15.0%の結晶性二酸化ゲルマニウムを使用して重縮合することを特徴とするポリエステルの製造方法。
- 請求項1に記載のポリエステル製造方法であって、重縮合後のポリエステルを処理水と共に処理槽に供給してポリエステルを水処理することを特徴とするポリエステルの製造方法。
- 処理槽から排出された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用することを特徴とする請求項2に記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステルチップを、処理槽に継続的に供給することを特徴とする請求項2または3に記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステルチップを、処理槽に間欠的に供給することを特徴とする請求項2または3に記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステルチップの全量を処理層に充填し、水処理終了後ポリエステルチップの全量を抜き出すことを特徴とした請求項2または3に記載のポリエステルの製造方法
- 処理槽からの処理水の排出と、排出した処理水の処理槽への戻りが継続的であることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
- 処理槽からの処理水の排出と、排出した処理水の処理槽への戻りが間欠的であることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステルが、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成される、極限粘度が0.55〜1.30デシリットル/グラムのポリエステルであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステルが、主たる繰り返し単位がエチレンナフタレートから構成される、極限粘度が0.40〜1.00デシリットル/グラムのポリエステルであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
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