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JP3646362B2 - 半透膜およびその製造方法 - Google Patents

半透膜およびその製造方法 Download PDF

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JP3646362B2 JP21068895A JP21068895A JP3646362B2 JP 3646362 B2 JP3646362 B2 JP 3646362B2 JP 21068895 A JP21068895 A JP 21068895A JP 21068895 A JP21068895 A JP 21068895A JP 3646362 B2 JP3646362 B2 JP 3646362B2
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貴夫 植手
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液状混合物の成分を選択透過分離するための高性能な半透膜およびその製造方法に関するものである。本発明によって得られる逆浸透膜は特にカン水の脱塩、海水の淡水化、また半導体の製造に利用される超純水の製造や、食品分野でのホエ−、果汁等の回収などに用いることができる。さらには硬水の軟水化、河川水からの汚染物質の除去に用いることができ、また染色排水、電着塗料排水などから、そのなかに含まれる汚染物質あるいは有用物質を選択的に除去あるいは回収し、ひいては排水のクロ−ズド化に寄与することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業的に利用されている半透膜、特に逆浸透膜の構造には、非対称膜と複合膜がある。
【0003】
このうち非対称膜には例として酢酸セルロ−ス膜があった(例えば、米国特許第3,133,132号明細書、同第3,133,137号明細書)。しかしこの膜は耐加水分解性、耐微生物性などに問題があり、塩排除率、水透過性も十分ではなかった。このため、酢酸セルロ−ス非対称膜は一部の用途には使用されているが、広範囲の用途に実用化されるには至っていない。
【0004】
これらの欠点を補うべく考案されたのが、微多孔性支持膜上にこれと異なる素材で実質的に膜分離機能を司る分離機能層を被覆した複合膜であった。複合膜では分離機能層と微多孔性支持膜の各々に最適な素材を選択することが可能であり、製膜技術も種々の方法を選択できる。
【0005】
現在市販されている複合膜の大部分は微多孔性支持膜上にゲル層とポリマーを架橋した活性層を有するものと、微多孔性支持膜上でモノマーを界面重縮合した活性層を有するものの2種類である。前者の具体例としては、特公昭55−38164号公報、PBレポート80−182090、特公昭59−27202号公報などがある。後者の具体例としては米国特許第4,277,344号明細書、特開昭55−147106号公報、同62−121603号公報、特開平6−154568号公報などがあり、特に、後者の複合半透膜はその高い透過性と高い選択分離性を有することから半透膜開発の主流となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】
半透膜の水透過性および選択分離性の向上に対する要求は年々高まっており、特に高い水透過性を有する膜が期待されている。このように高い水透過性を有する膜であれば、操作圧力を低く設定することが可能であり、低コストで分離装置を運転することが可能となる。しかしながら従来の半透膜の分離機能層の形成技術では、高い選択分離性と高透水性とを同時に得ることは非常に困難であった。すなわち高い透水性を望むと選択分離性が大幅に低下したり、逆に選択分離性を優先させると透水性が著しく低下するというように選択分離性と透水性とは相反する関係にあった。
【0007】
本発明は、かかる半透膜の透水性を向上させ、かつ高い選択透過性を有する膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は下記の構成から成る。
【0009】
すなわち本発明は、
ポリアミドを有する半透膜であって、下記式1で表される官能基を有してなることを特徴とする半透膜。
【0010】
【化2】
Figure 0003646362
(但し、−R1 は−OH基、−NH2 基、−SH基の少なくとも一種を、−R2 は水素原子、または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基を表し、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを表わし、nは1以上の整数を表わす。)」に関する。
【0011】
複合半透膜の透水性能を向上させる方法として例えば特開平4−94726号公報に4級アンモニウム塩を複合半透膜に導入する処理方法が提案されているが、この方法では、複合半透膜がカチオン荷電性を有することからファウリングが懸念される。本発明者らは半透膜にアニオン荷電性の官能基、特にスルホン酸基を導入することにより、半透膜の透水性能が向上することを見出だし、本発明に到達したものである。
【0012】
本発明において、半透膜とは、水溶液中の水を透過し、それ以外の物質を透過しにくい性質の膜である。このような半透膜の構造には非対称半透膜と複合半透膜とがある。
【0013】
非対称半透膜とは分離性能を有する緻密層と支持体としての多孔層を有し、緻密層、多孔層ともに単一素材からなる半透膜である。
【0014】
また、複合半透膜とは微多孔性支持膜と分離性能を司る超薄膜層とから構成される半透膜である。微多孔性支持膜とは実質的には分離機能を有さない層であり、実質的に分離性能を有する超薄膜層に強度を与えるために用いられるものである。微多孔性支持膜は均一な微細な孔あるいは片面に緻密で微細な孔を持ち、もう一方の面まで徐々に大きな微細な孔をもつ非対称構造で、その微細孔の大きさはその緻密な片面の表面で100nm以下であるような構造が好ましい。また、微多孔性支持膜の厚みは1μm〜数mmであり、膜強度の面から10μm以上、扱いやすさ、モジュール加工のしやすさの面で数100μm以下が好ましい。これら微多孔性支持膜は、布あるいは不織布で補強されていても良い。
【0015】
本発明の半透膜はスルホン酸基を有することに特徴がある。即ち、本発明において半透膜が有する官能基は、請求項1記載の式(1)で表されるものである。R1 は、OH基、−NH2 基、−SH基の少なくとも一種であり、該官能基の導入のしやすさ、原料の入手のしやすさからR1 としては、OH基が好ましい。nは1以上の整数であり、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。nがおおきすぎると膜の疎水性が高くなり、水透過水量が小さくなる。
【0016】
本発明の半透膜は、あらかじめ作製した反応性基を有する非対称膜あるいは複合半透膜にスルホン酸基を導入することで得ることができる。
【0017】
反応性基を有する非対称半透膜の素材としてはポリアミドや酢酸セルロースが使用される。製膜方法として例えば、酢酸セルロースのホルムアミド溶液をガラス板状に一定の厚さに流延し、溶媒の一部を蒸発させた後、水などの非溶媒に浸漬してゲル化させる方法がある。この方法によって得た膜は、溶媒の蒸発面側に分離性能を示す緻密層を有し、その下に支持体の役目をする多孔層を有する。
【0018】
反応性基を有する複合半透膜の微多孔性支持膜は、例えばミリポア社製“ミリポアフィルターVSWP”(商品名)や、東洋ろ紙社製“ウルトラフィルターUK10”(商品名)のような各種市販材料から選択することもできるが、通常は、“オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って製造できる。その微多孔性支持膜の素材にはポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリエステル、セルロース系ポリマー、ビニルポリマー、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンオキシド等のホモポリマーまたはコポリマーを単独であるいはこれらのポリマーをブレンドして使用することができる。これらの素材の中では化学的、機械的、熱的に安定性が高く、成型が容易であることからポリスルホンが一般的に使用される。例えば、ポリスルホンのジメチルホルムアミド(DMF)溶液を密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それをドデシル硫酸ソーダ0.5重量%およびDMF2重量%を含む水溶液中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数十nm以下の微細な孔を有した微多孔性支持膜が得られる。
【0019】
この微多孔性支持膜に分離機能を司る超薄膜層を被覆して複合半透膜を製造する。その超薄膜層の素材としては架橋あるいは線状の有機物のポリマーを使用することができる。
【0020】
超薄膜層の被覆はポリマーをコーティングする方法、コーティングしたポリマーをさらに架橋する方法、モノマーを微多孔性支持膜の表面で重合する方法、あるいは微多孔性支持膜の膜面で界面重縮合する方法で行なうことができる。複合半透膜が高い分離性能を発現するためには、ポリマーはポリアミド、とくに架橋ポリアミドが好ましい。
【0021】
該架橋ポリアミドは、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合によりその骨格が形成される。
【0022】
多官能アミンは、一分子中に2個以上のアミノ基を有するアミンであり、後述する多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により本発明の複合半透膜の超薄膜層を形成する架橋ポリアミド骨格の原料となる。かかる多官能アミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン、エチレンジアミンなどを用いることができるが、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると多官能芳香族アミンであることが好ましく、このような多官能芳香族アミンとしてはm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが膜の透過性、選択分離性の面で好適に用いられる。これらのアミンはいずれかの化合物を単独で用いることもできるが、2種類以上を混合して用いてもよく、特に、1,3,5−トリアミノベンゼンとm−フェニレンジアミンを混合して用いると、透過性、選択分離性が非常に優れた膜が得られる。
【0023】
多官能酸ハロゲン化物は、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記多官能アミンとの界面重縮合反応により架橋ポリアミド骨格を与えるものである。該多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸等の脂環式または芳香族酸ハロゲン化物が好適に用いることができる。
【0024】
多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は、多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。さらに、多官能酸ハロゲン化物は1,3,5−ベンゼントリカルボン酸塩化物、1,3−ベンゼンジカルボン酸塩化物、1,4−ベンゼンジカルボン酸塩化物を単独あるいは混合して用いるのが最も好ましい。
【0025】
超薄膜層が架橋ポリアミドである複合半透膜は前述の多官能アミンを含有する水溶液と、前述の多官能性酸ハロゲン化物を含有する水と非混和性の有機溶媒溶液を用い、界面重縮合によりその骨格が形成される。
【0026】
アミン水溶液における多官能アミンの濃度は0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%である。該水溶液には多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との反応を妨害しないものであれば、界面活性剤や有機溶媒、アルカリ性化合物、酸化防止剤等が含まれていてもよく、性能を損なわない範囲で水溶性ポリビニールアルコール等の水溶性高分子化合物が含まれていてもよい。
【0027】
微多孔性支持膜表面への該アミン水溶液の被覆は、該水溶液が表面に均一にかつ連続的に被覆されればよく、公知の塗布手段、例えば、該水溶液を微多孔性支持膜表面にコーティングする方法、微多孔性支持膜を該水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。
【0028】
次いで過剰に塗布された該アミン水溶液は液切り工程により除去する。液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等があり、液滴が残らないようにするのが好ましい。
【0029】
次いで、前述の多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液を塗布し、界面重縮合により架橋ポリアミド超薄膜層を形成させる。
【0030】
該溶液中の多官能酸ハロゲン化物は通常0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜2重量%を有機溶媒に溶解して用い、該溶液にN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジエチルアセトアミド、ピリジンのようなアシル化触媒等を含有させると界面重縮合が促進され、更に好ましいことがある。
【0031】
該有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ酸ハロゲン化物を溶解し微多孔性支持膜を破壊しないことが必要であり、アミノ化合物および酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればいずれであっても良い。好ましい例としては炭化水素化合物、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられるが、反応速度、溶媒の揮発性の点からは炭素数6〜20の炭化水素系溶媒が好ましく、引火性という安全上の問題を考慮すると炭素数8〜15の炭化水素系溶媒を用いるのが更に好ましい。
【0032】
多官能酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液のアミノ化合物水溶液相への接触の方法は、アミノ化合物水溶液の微多孔性支持膜への被覆方法と同様に行えばよく、その後、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液で洗浄してもよい、また、他の適当な後処理を行なってもかまわない。
【0033】
反応性基を有する半透膜にアニオン性基、特にスルホン酸基を導入する方法としては、半透膜の反応性基と反応する官能基を有するスルホン酸基含有化合物と反応させることにより導入することができる。かかる反応性の官能基としては、エポキシ基、アジリジン基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシル基などをあげることができる。
【0034】
スルホン酸基を有し、かつ、エポキシ基を有する化合物としては、下記式(2)
【化3】
Figure 0003646362
Figure 0003646362
(但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原子、または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基を表わし、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを表わし、nは1以上の整数を表わす。)
で表わされるエポキシド化合物を例示することができる。架橋ポリアミドに対する反応性、得られた膜の性能、入手の容易さを考慮すると、好ましいエポキシド化合物としてグリシジルスルホン酸ナトリウムをあげることができる。
【0035】
スルホン酸基を有し、かつ、アジリジン基を有する化合物としては、下記式 (3)
【化4】
Figure 0003646362
Figure 0003646362
(但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原子、または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基を表わし、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを表わし、nは1以上の整数を表わす。)
で表わされるアジリジン化合物を例示することができる。
【0036】
スルホン酸基を有し、かつ、エピスルフィド基を有する化合物としては、下記式(4)
【化5】
Figure 0003646362
Figure 0003646362
(但し、R1 、R2 、R3 はそれぞれ独立に水素原子、または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基を表わし、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを表わし、nは1以上の整数を表わす。)
で表わされるエピスルフィド化合物を例示することができる。
【0037】
例えば、反応性基を有する半透膜の分離機能層の主成分が架橋ポリアミドである半透膜は多官能アミンと多官能酸クロライドとの界面重縮合によりその骨格が形成されることから、必然的に膜中および膜表面に未反応アミン末端や酸末端が存在する。これらのエポキシ基やアジリジン基、エピスルフィド基は、架橋ポリアミドの有する末端アミノ基などにより求核攻撃を受けて開環し、架橋ポリアミドに結合する。一方、ハロゲン化アルキル基は架橋ポリアミドの有する末端1級アミノ基との反応により2級アミンを与える。カルボン酸基は架橋ポリアミドの有する末端アミノ基と脱水縮合してアミド結合を形成する。ハロゲン化カルボニル基は架橋ポリアミドの有する末端アミノ基をアシル化してアミド結合を形成し、アミノ基やヒドロキシ基は架橋ポリアミドの有する末端カルボン酸基と脱水縮合してアミド結合あるいはエステル結合を形成する。したがって、これらの官能基を有し、かつ、スルホン酸基を有する化合物を用いることにより共有結合を介してスルホン酸基を半透膜に導入することができる。しかしながら、反応性基を有する半透膜の分離機能層の主成分は架橋ポリアミドに限定されるものではなく、該分離機能層中に次に示す既述の官能基、すなわちエポキシ基、アジリジン基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシル基の少なくとも一つと反応する反応性基が存在すればよい。該反応性基としてはアミノ基、カルボン酸基、ヒドロキシル基などがある。
【0038】
以下に反応性基を有する半透膜へのスルホン酸基の具体的な導入方法を示す。
【0039】
本発明の半透膜は前述した反応性基を有する半透膜をスルホン酸基を有し、かつ、エポキシド基、アジリジン基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシル基よりなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有する化合物(以後、スルホン酸基含有化合物と称する)と接触させることで得られる。かかるスルホン酸基含有化合物は、単独で用いることもできるが、2種類以上を混合して用いてもよい。架橋ポリアミドに対する反応性、得られた膜の性能、入手の容易さを考慮すると、かかるスルホン酸基含有化合物としてはグリシジルスルホン酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
【0040】
接触の方法としては該スルホン酸基含有化合物を反応性基を有する半透膜を侵さない溶媒に溶解し、この溶液を該半透膜に塗布するか、あるいはこの溶液に該半透膜を浸漬する方法を用いることができる。反応性基を有する半透膜を侵さない溶媒とは該半透膜の超薄膜層や多孔性支持膜層を溶解あるいは大きく膨潤させず、膜性能を大きく損なうことのない溶媒であり、好ましい例としては水、アルコール、炭化水素化合物、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられるが、該スルホン酸含有化合物の溶解性や、取扱いの容易さ、経済性、処理の簡便さなどを考慮すると、水を用いるのが最も好ましい。
【0041】
接触させる該スルホン酸基含有化合物の濃度は、0.01〜20重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。該スルホン酸基含有反応性化合物の濃度が低すぎる場合は膜へのスルホン酸基の導入量が極端に少なくなり、透過水量が充分に向上しない。濃度が高すぎる場合は膜へのスルホン酸基の導入量が多くなりすぎるため、脱塩率が大幅に低下する。
【0042】
反応性基を有する半透膜を該スルホン酸基含有化合物と接触させた後、10℃〜150℃で適当な時間放置することにより該スルホン酸基含有化合物を該半透膜と反応させる。このとき、50〜150℃で加熱処理を行なうと、反応速度が速くなり、製造に要する時間を1〜30分に短縮することができ、好ましい。また、加熱処理工程の前に過剰の該スルホン酸基含有化合物溶液を液切り等の方法により除去する工程や、予備乾燥工程を設けることが好ましい場合もある。一方、該スルホン酸基含有化合物を半透膜に接触させる際、該スルホン酸基含有化合物の溶液を50〜100℃に加熱し、これに膜を浸漬することによっても製造に要する時間を1〜30分に短縮することができる。
【0043】
さらに該スルホン酸基含有化合物の反応性を上げるためにスルホン酸基含有化合物の溶液中に触媒を添加することができる。その触媒は、半透膜に存在する反応性基とスルホン酸基含有化合物の官能基との種類によって異なるが、例えば、水酸化物塩、4級アンモニウム塩、有機酸の塩、イミダゾール化合物、アルコール類などがあげられる。
【0044】
かかる半透膜の製造方法により、高い選択性を有し、かつ高い透水性を有する半透膜を得ることができる。
【0045】
本発明における半透膜の形態は平膜でも、中空糸膜でも構わない。また、得られた本発明の半透膜は平膜はスパイラル、チューブラー、プレート・アンド・フレームのモジュールに組み込んで、また中空糸膜は束ねた上でモジュールに組み込んで使用することができるが、本発明はこれらの膜の使用形態に左右されるものではない。
【0046】
本発明における半透膜は低圧運転で高い透水性が要求される用途に最適である。しかしながら、本発明はこのような用途に限定されるものではない。
【0047】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが本発明は、これらに限定されるものではない。
【0048】
なお、実施例において逆浸透膜の性能については、選択分離性能として無機塩(食塩)の濃度を電気伝導度の測定によって決定した後、次式から脱塩率を求めた。
【0049】
脱塩率=(1−透過液の無機塩濃度/供給液の無機塩濃度)×100[%]
また、透過性能としての造水量は、単位面積[m2 ]、単位時間[日]当たりの水の透過量[m3 /m2 ・日]で決定した。
【0050】
参考例1
タテ30cm、ヨコ20cmの大きさのポリエステル繊維からなるタフタ(タテ糸、ヨコ糸とも150デニールのマルチフィラメント糸、織密度タテ90本/インチ、ヨコ67本/インチ、厚さ160μm)をガラス板上に固定し、その上にポリスルホン(アモコ社製のUdel P−3500)の15重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を200μmの厚みで室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜 (以下FR−PS支持膜と略す)を作製する。このようにして得られたFR−PS支持膜(厚さ210〜215μm)の純水透過係数は圧力1Kg/cm2、温度25℃で測定して0.005〜0.01g/cm2 ・sec・atmであた。
【0051】
比較例1
参考例1によって得られたFR−PS支持膜をm−フェニレンジアミン1重量%、1,3,5−トリアミノベンゼン0.5重量%を含有する水溶液に1分間浸漬した。FR−PS支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた後、該膜にノルマルパラフィンにトリメシン酸クロライド0.04重量%、テレフタル酸クロライド0.09重量%を溶解した溶液を表面が完全に濡れるようにコ−ティングして1分間静置した後、膜を垂直にして液切りし、余分な該溶液を除去して、洗浄した。このようにして得られた膜は、表1に示したような性能が得られた。
【0052】
実施例1〜3
比較例1で得られた複合逆浸透膜に、グリシジルスルホン酸ナトリウムの1〜3%水溶液を塗布した後、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去し、80℃で15分間乾燥器中で熱処理し、水洗した。このようにして得られた複合膜を0.15重量%食塩水を使用して、圧力1.5MPa、温度25℃の条件下で逆浸透テストした結果、表1に示したような性能が得られた。
【0053】
【表1】
Figure 0003646362
比較例2
参考例1によって得られたFR−PS支持膜をピペラジン1.5重量%、1,3−ビス(4−ピペリジル)プロパン0.3重量%を含有する水溶液に1分間浸漬した。FR−PS支持膜表面から余分な該水溶液を取り除いた後、80℃の熱風乾燥機で1分間乾燥した。該膜にノルマルパラフィンにトリメシン酸クロライド1.0重量%を溶解した溶液を表面が完全に濡れるようにコ−ティングして1分間静置した後、膜を垂直にして液切りし余分な該溶液を除去した。次に該膜を洗浄した後、pH6の次亜塩素酸ナトリウム水溶液に1分間浸漬した。このようにして得られた膜は、表2に示したような性能が得られた。
【0054】
実施例4〜6
比較例2で得られた複合逆浸透膜を、グリシジルスルホン酸ナトリウムの1〜3%水溶液に5分間浸漬した後、膜を垂直にして余分な溶液を液切りして除去し、110℃で2分間乾燥器中で熱処理し、水洗した。このようにして得られた複合膜を0.05重量%食塩水を使用して、圧力0.34MPa、温度25℃の条件下で逆浸透テストした結果、表2に示したような性能が得られた。
【0055】
【表2】
Figure 0003646362

Claims (3)

  1. ポリアミドを有する半透膜であって、下記式1で表される官能基を有してなることを特徴とする半透膜。
    Figure 0003646362
    (但し、−R1 は−OH基、−NH2 基、−SH基の少なくとも一種を、−R2 は水素原子、または、置換もしくは非置換の脂肪族基または芳香族基を表し、M+ は水素イオン、または、金属陽イオンを表わし、nは1以上の整数を表わす。)
  2. 半透膜が分離機能層と微多孔性支持膜からなる複合半透膜であることを特徴とする請求項1記載の半透膜。
  3. 反応性基を有する半透膜に、スルホン酸基および該半透膜の反応性基と反応する官能基を有する化合物を反応させることを特徴とする半透膜の製造方法であって、該反応する官能基が、エポキシ基、アジリジン基、エピスルフィド基、ハロゲン化アルキル基、アミノ基、カルボン酸基、ハロゲン化カルボニル基、ヒドロキシル基からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする半透膜の製造方法。
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