JP3643427B2 - カメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影に際し、先羽根と後羽根とを同一方向へ順次走行させ、それらによって形成されるスリットによってフィルムを露光するようにしたカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近のフォーカルプレンシャッタは、先羽根及び後羽根を極めて高速で走行させるようにしているため、その走行停止段階で各羽根がバウンドし、先羽根の場合には露光開口の一部を再度一時的に覆い、また後羽根の場合には露光開口の一部を再度一時的に開くことによって、露光むらを発生させる虞がでてきた。そのため、先羽根及び後羽根に各々制動手段を設けることが必要となり、これまでにも多くの提案がなされ且つ実施されている。そして、それらの制動手段による制動方法としては、羽根に対して直接制動力を加えるもの、羽根を支持するアームと羽根との連結軸に制動力を加えるもの、アーム自体に制動力を加えるもの、アームを作動させる先駆動部材及び後駆動部材に各々制動力を加えるものなどが知られている。
【0003】
そして、それらのうち、羽根に対して直接制動力を加えるものには、羽根の停止位置に設けられ、ブチルゴム等の弾性材からなる緩衝部材に、羽根の走行方向の端面を衝突させるようにしたものと、露光走行の最終段階において、羽根を、板バネ等の弾性部材によって、光軸方向即ち走行面に対して垂直方向へ押し付けるようにするものとがある。また、連結軸に制動力を加えるものは、露光走行の最終段階において、板ばね等の弾性部材によって連結軸を光軸方向へ押し、その結果として羽根を光軸方向へ押し付けるようにしており、アーム自体に制動力を加えるものとしては、アームの停止位置に設けられたブチルゴム等の弾性材からなる緩衝部材に、アームの走行方向の端面を衝突させるようにしている。
【0004】
更に、先駆動部材及び後駆動部材に制動力を加えるものとしては種々提案されているが、それらのうちの代表的なものには、各駆動部材が、それらの停止位置に設けられたブチルゴム等の弾性材からなる緩衝部材に衝突して停止するようにしたものと、各駆動部材が、その露光作動の最終段階で、シャッタ地板に回転可能に取り付けられ且つばね等によって抵抗力を付与された各々のブレーキ部材を押動し、制動されるようにしたものとがある。そして、後者の場合には、ブレーキ部材に対し、コイルばねによって、駆動部材の作動方向に対して対抗する方向へ付勢力を与えるようにしたものと、ブレーキ部材に対し、板ばね,コイルばね等によって、該ブレーキ部材の回転軸の軸方向へ付勢し、その回転に摩擦抵抗力を付与するようにしたものとがある。
【0005】
このように、制動手段としては種々の方法が考えられているが、最近のようにシャッタの高速化,小型化が進んでくると、構造上の問題もあって、これらの手段のうちの一つだけを採用したのでは、所期の効果を十分に得ることができなくなっており、実際には、シャッタの構成箇所に応じて数種類の制動手段を併用するのが実情となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明のブレーキ機構は、上記した各種のもののうち、ブレーキ部材を設けて各駆動部材を制動するようにしたものに関する。この種のブレーキ機構は、他の種類のものに比べて比較的安定し且つ効果的な制動作用を得られるものであるが、その反面、ブレーキ部材をシャッタ地板の面に沿って回転させる必要があり、且つ各駆動部材の近傍位置に配置しなければならないことから、シャッタ地板上での配置スペースを比較的多く必要とし、他のシャッタ構成部品の設計に大きな制約を与えていた。特に、このようなブレーキ部材は、先駆動部材と後駆動部材とに関係させて別々に設ける必要があり、部品点数の点でも極めて不利であって、コスト低減の見地からも大きな改善課題の一つとなっていた。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、先駆動部材と後駆動部材との両方が、一つのブレーキ部材を、同一方向へ順次動かすことによって制動されるようにした特にコスト的に有利なカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明におけるカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構においては、先羽根と、該先羽根に露光開口の開閉作動を行わせる先駆動部材と、該先駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える先駆動源とを有する先羽根群と、また、後羽根と、該後羽根に露光開口の開閉作動を行わせる後駆動部材と、該後駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える後駆動源とを有する後羽根群と、更には、前記先駆動部材に当接する当接部と前記後駆動部材の作動が伝えられる伝達部とを形成しており回転軸の軸方向へ加圧されてその回転に摩擦抵抗力を与えられているブレーキ部材と、を備えており、前記先羽根群は、該先羽根群の露光走行の終了段階において、前記先駆動部材が前記当接部を押して前記ブレーキ部材を回転させ、前記摩擦抵抗力を負荷として制動されるようにし、また、前記後羽根群は、該後羽根群の露光走行の終了段階において、前記伝達部を介して前記ブレーキ部材を更に同一方向へ回転させ、前記摩擦抵抗力を負荷として制動されるようにする。
【0009】
また、上記した本発明におけるカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構においては、好ましくは、前記ブレーキ部材に第2の当接部を形成し、セット時に、前記先駆動部材が該第2の当接部を押して前記ブレーキ部材を露光走行時とは逆方向へ回転させるようにする。
【0010】
更に、上記の目的を達成するために、本発明におけるカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構においては、先羽根と、該先羽根に露光開口の開閉作動を行わせる先駆動部材と、該先駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える先駆動源とを有する先羽根群と、また、後羽根と、該後羽根に露光開口の開閉作動を行わせる後駆動部材と、該後駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える後駆動源とを有する後羽根群と、更には、前記先駆動部材に当接する当接部と前記後駆動部材の作動が伝えられる伝達部とを形成しており、コイルばねの付勢力により該当接部を該先駆動部材の作動軌跡内に臨ませているブレーキ部材と、を備えており、前記先羽根群は、該先羽根群の露光走行の終了段階において、前記先駆動部材が前記当接部を押して前記ブレーキ部材を回転させ、前記コイルばねの付勢力を負荷として制動されるようにし、また、前記後羽根群は、該後羽根群の露光走行の終了段階において、前記伝達部を介して前記ブレーキ部材を更に同一方向へ回転させ、前記コイルばねの付勢力を負荷として制動されるようにする。
【0011】
また、上記した本発明におけるカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構においては、好ましくは、前記ブレーキ部材には、第2の当接部が形成され、且つその回転軸の軸方向への加圧により前記コイルばねの付勢力のみでは回転されないような摩擦力が与えられており、露光走行時には、前記先駆動部材と後駆動部材は、いずれも前記摩擦力と前記コイルばねの付勢力との両者を負荷として順次制動され、セット時には、前記先駆動部材が前記第2の当接部を押し前記摩擦力に抗して前記ブレーキ部材を回転させるようにする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図示した二つの実施例で説明する。図1乃至図5は本発明の第1実施例を示した部分平面図であり、図1は各羽根群の露光走行完了位置を、図2はオーバーセット位置を、図3はセット位置を、図4は先羽根群が露光走行を完了し後羽根群が未だ露光走行を開始していない状態を、図5は後羽根群の制動開始位置を示している。図6は本発明の第2実施例を示した部分平面図であり、各羽根群の露光走行完了位置を示している。
【0013】
第1実施例
先ず、図1乃至図5を用いて本発明の第1実施例を説明する。各図は本実施例を撮影レンズ側から視た平面図であって、特に重要ではないので略右半分を省略して示してある。シャッタ地板1は略中央部に長方形の露光開口1a(周知のように、この露光開口は、実際にフィルム露光面の画枠を決定する開口とは必ずしも一致しない)を有している。このシャッタ地板1の背面側には、順に中間板とカバー板が取り付けられ、シャッタ地板1と中間板との間には先羽根用の羽根室が、また中間板とカバー板との間には後羽根用の羽根室が構成されているが、そのような構成は周知であるため、中間板とカバー板の図示は省略されている。
【0014】
シャッタ地板1の上下位置に各々形成されている二つの孔1bはカメラ本体への取り付け孔であり、シャッタ地板1の背面に立設された二つの軸1cは上記した中間板とカバー板の取付け軸である。そして、下方にある一方の軸1cにはブチルゴム等の弾性材料で作られた環状の緩衝部材2が取り付けられている。更に、シャッタ地板1の背面には軸1d,1e,1f,1gが立設されている。そして、軸1d,1eには夫々先羽根用のアーム3,4が回転可能に取り付けられ、軸1f,1gには夫々後羽根用のアーム5,6が回転可能に取り付けられている。
【0015】
先羽根7と後羽根8は夫々4枚で構成されている。そして、先羽根7は、アーム3,4の背面側に、スリット形成羽根を一番アーム側にして順次回転可能に取り付けられている。各羽根は夫々二つの連結軸によって取り付けられるが、その取り付け方は周知であるため説明を省略する。他方、後羽根8は、アーム5,6の手前側に、スリット形成羽根を一番アーム側にして順次回転可能に取り付けられている。尚、アーム4,6に形成されている孔4a,6aは、ばね掛け用の孔であり、該ばねは通称ガタ寄せと言われている働きをするものであるが、周知であるため、その説明を省略する。
【0016】
シャッタ地板1の表面側には、軸1h,1i,1j,1k,1m,1nが立設されており、軸1hには先駆動部材9が、軸1iには後駆動部材10が、軸1jには先係止部材11が、軸1kには後係止部材12が、軸1mにはセット部材13が、また軸1nにはブレーキ部材14が、夫々回転可能に取り付けられている。更に、シャッタ地板1の表面側には、柱1p,1q,1rが立設されている。そして、軸1j及び柱1p,1q,1rの先端には、図示していない取付板が取り付けられている。この取付板には、周知のように二つの電磁石装置が取り付けられており、それらの鉄片部材を順次釈放することによって、上記した二つの係止部材11,12による駆動部材9,10の係止を解くようになっている。
【0017】
先駆動部材9には、係合部9aと折曲部9bが形成され、背面側には駆動ピン9cが立設され、表面側にはローラー9dが取り付けられている。駆動ピン9cは、シャッタ地板1に形成された円弧状の孔1sを貫通し、アーム3に形成された孔に嵌合している。また、この孔1sの下端部には、ブチルゴム等の弾性材料で作られたC形の緩衝部材15が周知のようにして嵌め込まれており、これに駆動ピン9cが衝突し得るようになっている。軸1hには、先駆動ばね16が緩く嵌装されており、一方の端部16aには柱1pと折曲部9bに掛かり得るようになっている。また、他方の端部16bは、軸1hと同心的に配置されている図示していない周知の先ラチェット車に取り付けられており、該ラチェット車は上記の取付板に設けられたラチェット爪によって回転位置を規制されるようになっている。
【0018】
後駆動部材10には、係合部10aと、孔10bと、該孔10bを挟んで折曲部10cが形成され、背面側にはピン10dと駆動ピン10eとが立設され、表面側にはローラー10fが取り付けられている。駆動ピン10eは、シャッタ地板1に形成された円弧状の孔1tを貫通し、アーム5に形成された孔に嵌合している。また、この孔1tの下端部には、ブチルゴム等の弾性材料で作られたC形の緩衝部材17が嵌め込まれており、これに駆動ピン10eが衝突し得るようになっている。軸1iには、後駆動ばね18が緩く嵌装されており、一方の端部18aは孔10bに挿入され、折曲部10cに掛けられている。また、他方の端部18bは、軸1iと同心的に配置されている図示していない後ラチェット車に取り付けられており、該ラチェット車は上記の取付板に設けられたラチェット爪によって回転位置を規制されるようになっている。
【0019】
先係止部材11は、先駆動部材9の係合部9aを係止する折曲部11aと、図示していない上記した電磁石装置の鉄片部材に操作される折曲部11bとを形成しており、図示していないばねによって時計方向へ付勢されている。後係止部材12は、後駆動部材10の係合部10aを係止する折曲部12aと、図示していない電磁石装置の鉄片部材に操作される折曲部12bとを形成しており、図示していないばねによって時計方向へ付勢されている。セット部材13は、後駆動部材10のローラー10fを押す押動部13aを形成しており、背面側には先駆動部材9のローラー9dを押すローラー13bが取り付けられ、表面側には連結軸13cが立設されている。
【0020】
ブレーキ部材14は、先駆動部材9の駆動ピン9cに当接する二つの当接部14a,14bと、後駆動部材10のピン10dに当接する当接部14cとを形成しており、シャッタ地板1との間において軸1nに取り付けられた皿状の板ばね19によって、該軸1nの軸方向へ加圧され、その回転に摩擦抵抗力を与えられている。また、シャッタ地板1の下方背面側にはブチルゴム等の弾性材料で作られた緩衝部材20が配置されており、露光走行の最終段階において先羽根7の走行方向の端面が衝突するようになっている。このような緩衝部材20は周知であって、通常は上記した図示していないカバー板に取り付けることが多いが、シャッタ地板1に設けても構わない。
【0021】
次に、本実施例の作動を説明する。図1は露光走行完了位置を示している。従って、露光開口1aは展開状態にある4枚の後羽根8によって閉鎖され、先羽根7は露光開口1aの下方位置において重畳状態にある。シャッタのセット操作は、セット部材13を時計方向へ回転させることによって行われる。この場合、その回転は連結軸13cにおいて連結されている図示していない部材によって操作される。セット部材13は、その時計方向への回転によって、ローラー13bがローラー9dを押して先駆動部材9を反時計方向へ回転させる。そのため、折曲部9bが先駆動ばね16の端部16aを押し、該先駆動ばね16をチャージする。他方、セット部材13の押動部13aが後駆動部材10のローラー10fを押し、該後駆動部材10を反時計方向へ回転させる。そのため、折曲部10cが後駆動ばね18の端部18aを押し、該後駆動ばね18をチャージする。
【0022】
このようにして、先駆動部材9と後駆動部材10が反時計方向へ回転されるので、各駆動ピン9c,10eはアーム3,5を反時計方向へ回転させる。そのため、各羽根7,8を介してアーム4,6も反時計方向へ回転し、先羽根7は徐々に展開していって露光開口1aを閉じ、後羽根8は露光開口1aの上方位置へ徐々に畳まれていく。このような作動過程において、先駆動部材9の駆動ピン9cはブレーキ部材14の当接部14bを押し、該ブレーキ部材14を板ばね19による摩擦抵抗に抗して時計方向へ回転させ、当接部14aを該駆動ピン9cの作動軌跡内に臨ませる。
【0023】
シャッタのセット操作が終了段階に達すると、各駆動部材9,10はそれらの係合部9a,10aによって各係止部材11,12を押動し、僅かに反時計方向へ回転させるが、やがてその押動が解かれると各係止部材11,12は自己の習性によって時計方向へ復帰し、図2に示すオーバーセットの状態となる。尚、このようなセット操作の過程において、上記した図示していない電磁石装置の鉄片部材が、セット部材13の連結軸13cの移動に連動して、電磁石による吸着可能位置にセットされる。
【0024】
このようなオーバーセット状態から、セット部材13は、上記した図示していない連結部材によって反時計方向へ回転され、図1に示した原位置へ復帰される。そのため、各駆動部材9,10は各駆動ばね16,18の駆動力によって、時計方向へ回転するが、この回転は各駆動部材9,10の係合部9a,10aが各係止部材11,12の折曲部11a,12aに係止されて停止し、図3に示すセット状態となる。図3においては各羽根7,8の図示を省略しているが、先羽根7は展開状態となって露光開口1aを閉鎖しており、後羽根8は重畳状態となって露光開口1aから完全に退避している。
【0025】
次に、カメラのシャッタボタンが押されると、先ず図示していない各鉄片部材が各々の電磁石に吸着保持され、該鉄片部材を吸着可能位置に保持していた部材(通常ホールド部材といわれている)を鉄片部材の作動領域から退避させる。その後、先羽根用の電磁石の通電が断たれ、鉄片部材が釈放されると、該鉄片部材は先係止部材11の折曲部11bを押し、該先係止部材11をその習性に抗して反時計方向へ回転させる。そのため、折曲部11aによる係止が解かれ、先駆動部材9は強力な先駆動ばね16の駆動力によって急速に時計方向へ回転する。そのため、4枚の先羽根7は展開状態から相互の重なりを深め、露光開口1aの下方に移動していく。
【0026】
そして、先駆動部材9による露光走行の最終段階になると、駆動ピン9cはブレーキ部材14の当接部14aに当接し、該ブレーキ部材14を反時計方向へ回転させることによって、板ばね19による摩擦抵抗力によって制動される。そして、最終的には、先駆動部材9の駆動ピン9cが緩衝部材15に衝突し、アーム3が緩衝部材2に衝突し、先羽根7が緩衝部材20に衝突することによって、先羽根7の露光開口1a内へのバウンドが阻止される。図4は、このようにして、先羽根群を構成する全ての部材が露光走行方向への作動を停止した状態を示している。
【0027】
上記のようにして先駆動部材9が露光走行を開始してから所定の時間が経過すると、もう一つの鉄片部材が電磁石から釈放され、後係止部材12は、その折曲部12bを該鉄片部材に押されて反時計方向へ回転する。そのため、折曲部12aによる係止が解かれ、後駆動部材10は強力な後駆動ばね18の駆動力によって急速に時計方向へ回転する。それによって、4枚の後羽根8は重畳状態から展開してゆき露光開口1aを閉じていく。そして、露光走行の最終段階になると、後駆動部材10のピン10dがブレーキ部材14の当接部14cに当接し、該ブレーキ部材14を更に反時計方向へ回転させる。このように、ピン10dが当接部14cに当接し、後駆動部材10や後羽根8を含む後羽根群に対して制動を開始する位置が図5に示されている。
【0028】
このようにして後駆動部材10がブレーキ部材14を更に反時計方向へ回転させると、後駆動部材10の回転は、板ばね19による摩擦抵抗力を受けて制動され、最後に駆動ピン10eが緩衝部材17に衝突して衝撃を吸収され、図1の位置で停止する。尚、本実施例においては、この停止状態において、先駆動ばね16の端部16aが柱1pに接触し、先駆動部材9の折曲部9bと該端部16aとが離れ得るようになっているが、例えば柱1pと該端部16aとは接触せず、該端部16aが常に該折曲部9bに掛かっているようにしても差し支えない。
【0029】
また、本実施例においては、シャッタのセット作動のとき、先駆動部材9の駆動ピン9cが当接部14bを押してブレーキ部材14を時計方向へ回転させているが、このブレーキ部材14の時計方向への回転を、セット部材13のセット操作に連動し、他の部材によって行わせても差し支えない。更に、本実施例においては、ブレーキ部材14の回転に摩擦抵抗力を与えるものとして板ばね19を用いているが、板ばねのほかにコイルばね,ゴム製部品,複合材弾性部品等を使用しても構わない。
【0030】
第2実施例
次に、図6を用いて本発明の第2実施例を説明する。図6は第1実施例の図1に対応させた部分平面図であり、先羽根群及び後羽根群の露光走行完了位置を示している。本実施例の構成中、第1実施例と異なる部材は、ブレーキ部材と、それを付勢しているばね部材である。本実施例におけるブレーキ部材24は、当接部24a,24b,24dと、折曲部24cとを形成しており、軸1nに回転可能に取り付けられている。また、コイルばね29が軸1nに装着され、一方の端部29aを柱1pに、他方の端部29bを折曲部24cに掛け、ブレーキ部材24を時計方向へ回転させるように付勢している。その他の構成部品は第1実施例と同じであるため、同じ符号を用い、説明を省略する。
【0031】
次に、本実施例の作動を説明するが、既に第1実施例の説明がなされているので、重複する点については出来るだけ簡略化して説明する。図6は露光走行完了位置を示している。シャッタのセット操作に際し、セット部材13を時計方向へ回転させると、押動部13aとローラー13bによって、先駆動部材9と後駆動部材10を反時計方向へ回転させる。このとき、ブレーキ部材24は、当接部24bが後駆動部材10のピン10dに追従し、コイルばね29の付勢力によって時計方向へ回転しようとするが、その回転は柱1pによって阻止され、当接部24を先駆動部材9の駆動ピン9cの作動軌跡内に臨ませる。
【0032】
他方、先駆動部材9と後駆動部材10が夫々の駆動ばね16,18をチャージさせながら反時計方向へ回転すると、第1実施例の場合と同様にして先羽根と後羽根が動かされ、先羽根が露光開口1aを閉じ、後羽根が露光開口1aの上方位置へ畳まれていく。セット操作の最終段階になると、各駆動部材9,10は各係止部材11,12を反時計方向へ押して乗り越え、一旦オーバーセット状態となる。その後、セット部材13を原位置へ復帰させると、各駆動部材9,10は各駆動ばね16,18の駆動力によって、時計方向へ回転し、各係合部9a,10aが各係止部材11,12の折曲部11a,12aに係止されてセット状態となる。
【0033】
次に、カメラのシャッタボタンを押すと、先ず二つの電磁石によって、図示していない各鉄片部材を吸着する。その後、先羽根用の電磁石の通電が断たれ、鉄片部材が釈放されると、該鉄片部材は先係止部材を反時計方向へ回転させて先駆動部材9の係止を解く。それによって、先駆動部材9は時計方向へ回転し、先羽根に対し露光走行を開始させる。露光走行の最終段階になると、先駆動部材9の駆動ピン9cがブレーキ部材24の当接部24aに当接し、該ブレーキ部材24を反時計方向へ回転させる。このとき、ブレーキ部材24は、コイルばね29の付勢力に抗して回転されるから、先駆動部材9、ひいては先羽根群の作動が、コイルばね29の付勢力を負荷として制動されることになる。そして、最終的には、先駆動部材9の駆動ピン9cが緩衝部材15に衝突するなどして衝撃が吸収され、停止する。従って、この停止状態においては、ブレーキ部材24の当接部24aが駆動ピン9cに接している。
【0034】
上記のようにして先駆動部材9が露光走行を開始してから所定時間後に、もう一つの鉄片部材が電磁石から釈放され、後係止部材12を反時計方向へ回転させて後駆動部材10の係止を解く。そのため、後駆動部材10は後駆動ばね18の駆動力によって時計方向へ回転し、後羽根を作動させる。そして、露光走行の最終段階になると、後駆動部材10のピン10dがブレーキ部材24の当接部24bに当接し、該ブレーキ部材24を更に反時計方向へ回転させる。このとき、ブレーキ部材24は、やはりコイルばね29の付勢力に抗して回転することになるから、後駆動部材10、ひいては後羽根群の作動が、コイルばね29の付勢力を負荷として制動されることになる。そして、最終的には、後駆動部材10の駆動ピン10eが緩衝部材17に衝突して衝撃が吸収され、停止する。その状態が図6に示されている。
【0035】
上記のように、本実施例によれば、第1実施例のように、ブレーキ部材の摩擦抵抗力がセット部材のセット操作に負荷として作用するようなことがない点で優れている。尚、本実施例におけるブレーキ部材24の当接部24dは、セット行程において万が一のことがあっても駆動ピン9cによって押し、ブレーキ部材24を確実に時計方向へ回転させ、且つシャッタのレリーズ段階において当接部24aを駆動ピン9cの作動軌跡内に確実に臨ませておくためのものであり、コイルばね29の力のみによってそれらの作用が確実に得られる場合には、このような当接部24dは不要となる。
【0036】
更に、上記の実施例において、ブレーキ部材24に対し、コイルばねによる付勢力のほかに、第1実施例と同様にして、軸方向への摩擦抵抗力を付与するようにしても構わない。そのようにした場合には、露光走行時には、先駆動部材と後駆動部材は、いずれも前記摩擦力とコイルばねの付勢力との両者を負荷として順次制動され、セット時には、先駆動部材が当接部24dを押し前記摩擦力に抗してブレーキ部材を回転させることになる。従って、この場合には、当接部24dは不可欠となる。
【0037】
上記のように、各実施例は、いずれも露光走行時に先羽根及び後羽根が下方へ走行するタイプのものとして示したが、本発明は、上方へ走行するタイプのものにも適用でき、また各駆動部材9,10の駆動源もコイルばねに限定されず、各羽根の枚数にも限定はない。また、他の構成部品の配置状況によっては、ブレーキ部材と後駆動部材との間に、作動を伝達するための仲介部材を設けてもよい。また、最近では部品の合成樹脂化が進んでおり、相互に連結されている駆動部材とアームとを、一体的に製作する提案もなされているが、本発明はそのようなものにも適用される。更に、上記の実施例においては、各駆動部材が露光走行直前に係止部材によって係止されている所謂係止タイプの電磁石装置を用いるものとして示したが、本発明は、電磁石に吸着される鉄片部材を各駆動部材に直接取り付けるようにした所謂ダイレクトタイプの電磁石装置を用いたものにも適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明のブレーキ機構は、一つのブレーキ部材を同一方向へ作動させることによって、先駆動部材と後駆動部材との両方に制動を与えることができるようにしたものであるから、後駆動部材の制動時に先羽根が露光開口内に侵入するする虞が全くないし、後駆動部材の制動力の方が先駆動部材の制動力よりも大きくできるという利点があり、しかも、このような構成によってカメラ用フォーカルプレンシャッタを低コストで製作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の部分平面図であって、先羽根群及び後羽根群の露光走行完了位置を示している。
【図2】本発明の第1実施例の部分平面図であって、先羽根群及び後羽根群のオーバーチャージ位置を示している。
【図3】本発明の第1実施例の部分平面図であって、先羽根群及び後羽根群のチャージ位置を示している。
【図4】本発明の第1実施例の部分平面図であって、先羽根群が露光走行を完了し後羽根群が未だ露光走行を開始していない状態を示している。
【図5】本発明の第1実施例の部分平面図であって、後羽根群の制動開始位置を示している。
【図6】本発明の第2実施例の部分平面図であり、先羽根群及び後羽根群の露光走行完了位置を示している。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a 露光開口
1s,1t,10b 孔
1c,1h,1i,1j,1k,1m,1n 軸
1p,1q,1r 柱
2,15,17,20 緩衝部材
3,4,5,6 アーム
7 先羽根
8 後羽根
9 先駆動部材
9a,10a 係合部
9b,10c,11a,12a,24c 折曲部
9c,10e 駆動ピン
9d,10f,13b ローラー
10 後駆動部材
10d ピン
11 先係止部材
12 後係止部材
13 セット部材
13a 押動部
14,24 ブレーキ部材
14a,14b,14c,24a,24b,24d 当接部
16 先駆動ばね
16a,16b,18a,18b,29a,29b 端部
18 後駆動ばね
19 板ばね
29 コイルばね
Claims (4)
- 先羽根と、該先羽根に露光開口の開閉作動を行わせる先駆動部材と、該先駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える先駆動源とを有する先羽根群と、
後羽根と、該後羽根に露光開口の開閉作動を行わせる後駆動部材と、該後駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える後駆動源とを有する後羽根群と、
前記先駆動部材に当接する当接部と前記後駆動部材の作動が伝えられる伝達部とを形成しており回転軸の軸方向へ加圧されてその回転に摩擦抵抗力を与えられているブレーキ部材と、を備えており、
前記先羽根群は、該先羽根群の露光走行の終了段階において、前記先駆動部材が前記当接部を押して前記ブレーキ部材を回転させ、前記摩擦抵抗力を負荷として制動されるようにし、また、前記後羽根群は、該後羽根群の露光走行の終了段階において、前記伝達部を介して前記ブレーキ部材を更に同一方向へ回転させ、前記摩擦抵抗力を負荷として制動されるようにしたことを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構。 - 前記ブレーキ部材に第2の当接部を形成し、セット時に、前記先駆動部材が該第2の当接部を押して前記ブレーキ部材を露光走行時とは逆方向へ回転させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構。
- 先羽根と、該先羽根に露光開口の開閉作動を行わせる先駆動部材と、該先駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える先駆動源とを有する先羽根群と、
後羽根と、該後羽根に露光開口の開閉作動を行わせる後駆動部材と、該後駆動部材に露光走行方向への駆動力を与える後駆動源とを有する後羽根群と、
前記先駆動部材に当接する当接部と前記後駆動部材の作動が伝えられる伝達部とを形成しており、コイルばねの付勢力により該当接部を該先駆動部材の作動軌跡内に臨ませているブレーキ部材と、を備えており、
前記先羽根群は、該先羽根群の露光走行の終了段階において、前記先駆動部材が前記当接部を押して前記ブレーキ部材を回転させ、前記コイルばねの付勢力を負荷として制動されるようにし、また、前記後羽根群は、該後羽根群の露光走行の終了段階において、前記伝達部を介して前記ブレーキ部材を更に同一方向へ回転させ、前記コイルばねの付勢力を負荷として制動されるようにしたことを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構。 - 前記ブレーキ部材には、第2の当接部が形成され、且つその回転軸の軸方向への加圧により前記コイルばねの付勢力のみでは回転されないような摩擦力が与えられており、露光走行時には、前記先駆動部材と後駆動部材は、いずれも前記摩擦力と前記コイルばねの付勢力との両者を負荷として順次制動され、セット時には、前記先駆動部材が前記第2の当接部を押し前記摩擦力に抗して前記ブレーキ部材を回転させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載のカメラ用フォーカルプレンシャッタのブレーキ機構。
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Country | Link |
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JP (1) | JP3643427B2 (ja) |
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- 1996-02-29 JP JP04330696A patent/JP3643427B2/ja not_active Expired - Fee Related
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