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JP3641123B2 - ウィルスまたは細胞の培養法 - Google Patents

ウィルスまたは細胞の培養法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウィルスまたは細胞を培養する方法において、培養液中へ酸素を効率よく供給してウィルスや細胞を生育させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞の大量培養によって、インターフェロン、エリスロポエチン、モノクローナル抗体などの有用蛋白質が工業規模で製造されている。現在も、遺伝子組換え処理を施した細胞を用いて新規な有用蛋白質を製造する試みが広く行われている。
【0003】
現在まで遺伝子組換えの材料としてよく用いられてきたのは、大腸菌などの微生物や哺乳動物の株化細胞である。しかし、微生物を用いた場合、蛋白質の生物活性発現に必要な立体構造の形成や糖鎖付加などのアミノ酸修飾が正しく起こらないことが知られている。したがって、組換え蛋白の生産における微生物の使用は、一部のケースに限られてきた。一方、哺乳動物細胞を用いた場合には、立体構造形成やアミノ酸修飾が実現できる反面、目的蛋白質の生産性が低く、実用化にたどり着けないケースもあった。
【0004】
最近、昆虫細胞感染性ウィルスの1つであるバキュロウィルスに遺伝子組換え処理を施して昆虫細胞に感染させ、有用蛋白質を製造することが可能となった。バキュロウィルスを用いる利点として、蛋白質の立体構造形成やアミノ酸修飾が正しく行われ、かつ目的蛋白の発現量が哺乳動物細胞を用いた場合よりもはるかに高いことが挙げられる。バキュロウィルスは微生物と哺乳動物細胞両方の利点を兼ね備えた有用蛋白製造法と言えるが、一方、バキュロウィルスを大量培養する技術が確立されていないため、現在のところまだ有用蛋白の工業規模製造に用いられた例がない。
【0005】
従来バキュロウィルスを昆虫細胞とともに培養する際には、温度および湿度が管理されたインキュベータ内に培養器(シャーレや培養びん)を静置する方法(静置培養法)が広く行われてきた。しかし、静置培養法では工業生産に適した大量培養が不可能であった。一般に、工業規模の製造では需要に応じて数十Lから数万Lの培養液を扱う必要があるが、現在の静置培養法では多数の培養器を用いても最大で数L規模の培養しかできない。
【0006】
大規模生産に適した方法として、培養槽を用いてウィルスを細胞とともにサスペンジョン状態で培養する方法が考えられる。この方法では、培養槽など関連設備の許す限り数十万L規模の培養まで可能である。微生物や一部の哺乳動物細胞では、培養槽を用いてサスペンジョン状態で大量培養する技術が既に確立している(例えば特公平4−16153号、特公平4−25796号公報参照)。
【0007】
哺乳動物細胞のうち物理的刺激に弱い一部の細胞株(例えばハムスターの卵巣由来CHO細胞やヒトの腎臓由来293細胞)は、サスペンジョン培養において酸素ガスや空気を培養液へ直接通気すると、細胞が深刻なダメージを受けることが一般に知られている。それに対し、バキュロウィルスの宿主となる昆虫細胞のうち一般によく用いられるSf9株(夜盗蛾の卵巣由来)やTn5株(イラクサキンウワバの卵由来)は、物理的刺激に強く、培養液への直接通気が可能であることが知られている。本発明者らも、培養液へ酸素ガスを直接通気することによって、比較的簡単にSf9株およびTn5株を培養槽でサスペンジョン培養することができた。しかし、酸素ガスの直接通気によって増殖中のSf9株やTn5株に遺伝子組換えバキュロウィルスを感染させたところ、なぜかバキュロウィルスが細胞中で増殖せず、かつ目的蛋白質もほとんど発現しなかった。すなわち直接通気による方法では、静置培養法で認められるような感染後のウィルス力価の上昇が全く認められなかったのである。
【0008】
細胞の大量培養では、酸素ガスまたは空気を培養液へ通気して十分量の酸素を培養液中へ供給する方法が一般によく用いらていれる。しかし、一部の細胞株ではガス相と培養液の気液界面においてダメージを受けて細胞が死滅してしまうため、酸素ガスや空気を培養槽に直接通気することは不可能である。
【0009】
そこで、酸素ガスを細胞に直接接触させずに十分量の酸素を培養液中へ供給する培養法が既にいくつか考案されている。その培養法の1つとして、酸素を溶解した疎水性溶媒(酸素キャリアー)を培養液に添加する方法(例えば、特開昭62−289170号公報参照)があげられる。
【0010】
このような酸素キャリアを用いる培養法は、他の方法(例えば、European J Appl Microbiol Biotechnol 1981, No12, 193-197に示されたような酸素透過性の膜を介して培養液中に酸素を供給する方法)に比べて、種々の細胞株や微生物株に適用可能であり、スケールアップが容易であるなど多くの利点を有している。しかしながら、装置が複雑で故障が多く、長期の運転が困難であるため、現在まで工業規模の製造で用いられたことはなかった。具体的には、培養槽から取り出した疎水性溶媒へ酸素吸収塔によって酸素を吸収させる操作が必要であるが、酸素吸収塔における排気フィルターの閉塞や雑菌汚染などのトラブルが頻繁に発生するという欠点をもっていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする第1の課題は、大量培養においてウィルスが増殖しない原因を取り除き、効率よくウィルスを増殖させることができる培養法を提供することにある。
本発明が解決しようとする第2の課題は、酸素を溶解した疎水性溶媒を培養液に添加する培養法において、簡単な構造の装置を用い、かつ長期にわたり安定した運転が可能な培養法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
まず、第1の課題の解決手段について説明する。
本発明者らは、種々の培養条件について鋭意検討を重ねた結果、意外にも培養槽に通気する酸素ガスそのものがウィルスの増殖活性を低下させる主原因であることを見出した。本発明者らは、この知見を基礎にさらに研究を続け、酸素ガスをウィルスに直接接触させずに十分量の酸素を培養液中へ供給する培養法を用いれば、バキュロウィルスが昆虫細胞内で効率よく増殖し、かつ目的蛋白も大量に発現することを見出した。すなわち、第1の発明は、ウィルスを細胞とともにサスペンジョン状態で培養する方法において、ウィルスと酸素ガスを直接接触させずに、十分量の酸素を培養液中へ供給することを特徴とするウィルスの培養法である。
【0013】
次いで、第2の課題の解決手段について説明する。
本発明者らは、酸素が溶解した疎水性溶媒を培養液に添加することを特徴とする培養法において、酸素吸収塔に代わる酸素吸収装置として酸素透過性の膜を介して疎水性溶媒へ酸素を供給する装置を発案した。そして、膜の材質、形状、設置形態に検討を重ね、従来の酸素吸収塔とは違った故障の少ない酸素吸収装置を発明した。このような酸素吸収装置を含む新しい培養法は、
(a) 酸素を溶解している疎水性溶媒を該培養槽へ供給する工程、
(b) 該培養槽より疎水性溶媒を槽外へ取り出す工程、
(c) 酸素透過性の膜を用いて、前記(b)の工程で取り出された疎水性溶媒に酸素を溶解させる工程、および
(d) 得られた酸素を溶解している疎水性溶媒を前記(a)の工程へ循環する工程
よりなることを特徴とするウィルスまたは細胞の培養法である。
【0014】
かかる培養法を用いることにより、簡単な構造の装置を用いかつ長期にわたる安定した培養槽の運転が可能となった。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明における細胞は、動物細胞が好適であり、昆虫細胞、哺乳動物細胞が例示できる。
【0016】
第1の発明の実施に際し、酸素ガスをウィルスに直接接触させずに十分量の酸素を培養液中へ供給する方法として、前述の酸素透過性の膜を介して培養液中に酸素を供給する方法でもよいが、酸素を溶解した疎水性溶媒を培養液に添加する方法の方が前述のとおり多くの利点があり好ましい。また、酸素ガスを直接ウィルスに接触させない培養法は、バキュロウィルスに限らず、他のウィルス、例えば哺乳動物感染性のウィルス(サイトメガロウィルス、ヘルペスウィルスなど)を哺乳動物細胞とともに培養する場合などにも広く適用することができる。
【0017】
本発明に用いる疎水性溶媒は、ウィルスや細胞に毒性を示さず、水に難溶で、酸素の溶解度が高い溶媒であれば何でもよく、例えば人工血液として使用されているフルオロカーボン類や潤滑油として使用されているパラフィン油などが使用可能である。フルオロカーボン類としては、住友スリーエム(株)から発売されている各種フロリナート(商標)が、さまざまな細胞および人体に無毒であるとわかっているので、特に推奨される。
【0018】
本発明で用いることにできる装置の概略を図1に例示する。図1において培養槽本体Aは、おおよそ円筒状の形状をしており、底部に攪拌子Bが設置され、それを磁力による回転装置C(マグネティックスターラー)などで回転させることによって細胞をサスペンジョン状態に維持することができる。フルオロカーボンのような水よりも比重の大きい疎水性溶媒を用いる際には、培養槽下部に疎水性溶媒が溜まるので、攪拌子Bによる培養液の攪拌は疎水性溶媒を通して間接的に行われることになる。攪拌翼Bの回転速度は、細胞が培養槽下部に沈降しない程度に設定するのが望ましい。回転速度を高くすると、ウィルスや細胞にダメージを与えることがあるので注意が必要である。
【0019】
フルオロカーボンのように水よりも比重の大きい疎水性溶媒を用いる際には、培養槽本体Aの底部に溶媒の取り出し口Dを設け、培養槽の上部培養液内に溶媒供給ノズルEを設ける必要がある。疎水性溶媒から培養液への酸素移動が効率よく行われるためには、多数の疎水性溶媒の細かい液滴が培養液中を漂う必要があり、そのためには供給ノズルEの先端が培養液に浸っていることが望ましい。一方、パラフィン油のような水よりも比重が小さい疎水性溶媒を用いる際には、反対に培養槽本体Aの上部に溶媒の取り出し口を設け、培養槽の底部に溶媒の供給ノズルを設ける必要がある。
【0020】
取り出し口DよりポンプFによって抜き出された疎水性溶媒は、酸素透過性の膜を用いた酸素吸収装置Gに供給される。
【0021】
酸素吸収装置Gで用いられる膜は、高い酸素透過性を持つことに加えて、疎水性溶媒が外に漏れ出さない性質を有している必要がある。また、膜の表面積を増加させて酸素吸収効率を高めるため、膜をチューブ状に成形できるものが望ましい。さらに、培養前の滅菌処理を簡便に行うために、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)が可能な膜であることが望ましい。このような性質を持つ膜の材料として、例えばシリコンやテフロンが挙げられる。シリコンやテフロンなどは、既にチューブ状に成形された膜が商業的に入手可能である。例えば、NRK(株)などから発売されている各種シリコンチューブが、安価であり、さまざまな規格が揃っていて使いやすい。このシリコンチューブにおいて、高い酸素吸収効率と膜の耐久性を両立させるため、チューブの肉厚(膜の厚さ)が0.5mm程度がよく、例えば内径2mm外径3mmのシリコンチューブが特に推奨される。
【0022】
酸素吸収装置Gにおいて、疎水性溶媒と酸素ガスは酸素透過性の膜を挟んで接することになる。シリコンチューブなどチューブ状に成形された膜を用いる場合は、チューブ内に疎水性溶媒を流し、チューブの外側に酸素ガスを満たすことによって効率よく溶媒へ酸素を吸収させることができる。この場合、チューブの外側が酸素ガスに接している限り、シリコンチューブは2本以上並列に分枝して用いてもよい。また、チューブの設置形態は図1のようにコイル状であっても、あるいはホローファイバー状であってもよい。
【0023】
酸素吸収装置Gによって十分量の酸素を吸収した疎水性溶媒は、培養槽上部のノズルEより培養液中へ供給され、疎水性溶媒の多数の細かい液滴が培養液中を漂うことになる。これらの液滴に溶解している酸素が培養液中に移動することによって、ウィルスや細胞の生育に必要な酸素が十分量供給される。
【0024】
一般に、ウィルスを細胞とともに培養する場合、あるいは細胞のみを培養する場合、培養液中の溶存酸素濃度(DO)は0.2〜10.0ppm、望ましくは1.0〜3.0ppmの範囲に保たれるべきであり、低すぎるDOや高すぎるDOはウィルスや細胞に深刻なダメージを与えることが知られている。DOを好ましい範囲に保つため、培養槽にDOセンサーHを設置することが推奨される。DOセンサーHから出力された電気信号はDO制御器Iに入力され、DO制御器IがポンプFの動作を制御することによって培養液中のDOが好ましい範囲に保たれる。ポンプの流速をPID制御することによって、精密にDO制御することも可能である。
【0025】
【実施例】
[実施例1]
(1)実験装置
以下に示す実施例では、疎水性溶媒として住友スリーエム(株)から発売されているフロリナートFC−40(商標)を用いた。
【0026】
実験装置は、図1に示されたものを用いた。培養槽Aの内径は120mmφ、高さは280mmのガラス製であり、底部にマグネットにより駆動可能な撹拌子が設置されている。培養槽Aには疎水性溶媒取り出し口D、疎水性溶媒供給口E、均圧管Jが設けてある。均圧管Jは、滅菌フィルターを経由して大気に通じている。培養温度を28℃に保つため、培養槽Aを28℃の恒温水中に設置した。
【0027】
酸素吸収装置Gとして、内径120mmφ、高さ120mmの円筒形プラスチック容器を用いた。酸素透過性の膜として、内径2mm外径3mmのシリコンチューブ(NRK(株)製、商品名:シリコンチューブC−230)を用い、2.5mのシリコンチューブを2本並列に繋いで容器G内にコイル状に設置した。また、容器G内に酸素ガスを約10mL/分 程度のゆっくりとした流速で流し、シリコンチューブの外側を酸素ガスで満たした。
【0028】
(2)材料の準備
ウィルス:成書(実験医学別冊 バイオマニュアルシリーズ4 遺伝子導入と発現・解析法 新井賢一ら編 羊土社 1994年度版 pp142−150)に示された方法に従って、ヒト酸性ホスファターゼ遺伝子が組み込まれた組換えバキュロウィルスを作製し、ウィルスをSf9株とともに静置培養して増殖させ、培養槽への接種に必要な量の組換えバキュロウィルスを得た。
【0029】
細胞:酸素ガス直接通気下のサスペンジョン培養によってSf9株を増殖させ、目的蛋白の発現に必要な数の細胞を得た。下記培地を用いた場合、酸素通気下のサスペンジョン培養におけるSf9株の最高到達密度は2.0×106cells/mL程度である。
【0030】
培地:基礎培地としてグレース培地(GIBCO社)を用い、以下の成分を添加した。
Figure 0003641123
【0031】
(3)実験方法および結果
実験装置と疎水性溶媒を別々にして高圧蒸気滅菌(121℃,20分)し、室温まで冷却後、培養槽に疎水性溶媒を投入した。別滅菌により、疎水性溶媒によってDOセンサーが劣化するのを防止することができる。
【0032】
培養槽に培地2.0Lを投入して加温し、培地の温度が28℃に到達したのち、ウィルスと細胞を培養槽へ無菌的に接種した。ウィルスは予め静置培養の培養液を遠心分離(3000rpm,5分)して古い細胞を除去したものを、また、細胞はサスペンジョン培養の培養液を遠心分離(3000rpm,5min)して細胞をペレット状に濃縮したものを用いた。ウィルスと細胞の量比を表すMOI( Multiplicity of Infection )は、接種時において0.06とした。攪拌速度を60rpmに設定し、培養液のDOが自動的に2.0ppmに保たれるようにDO制御器Iを調整した。また、培養槽の温度は終始28℃に保った。
【0033】
培養開始から5日後まで、培養を継続した。培養経過を、表1に示す。表1において、Sf9株の生細胞密度は、トリパンブルー染色後の顕微鏡観察で血球計算板によって測定した。また、培養液のウィルス濃度は文献( BIO INDUSTRY Vol.10, No.1, 1993, pp40-51)に示されたプラーク形成法によって求め、またヒト酸性ホスファターゼの発現量は酵素活性を市販キット(和光純薬 酸性ホスファKII−ワコー)で測定して定量化した。
【0034】
【表1】
Figure 0003641123
【0035】
表1に示されたように、酸素ガスを直接培養槽に通気した培養法では認められなかったウィルス濃度の上昇が認められた。同様に直接通気で検出されなかった酸性ホスファターゼ活性の上昇が認められ、目的蛋白が十分に発現していることが示された。これより、ウィルスと酸素ガスを直接接触させない培養法により、効率よくウィルスを増殖させ、かつ目的蛋白を発現させることが可能であることが示された。また、5日間の培養を通じて装置のトラブルは皆無であり、本法によって長期に安定した培養が可能であることが示された。
【0036】
[実施例2]
実施例1と同様な方法を用いて組換えバキュロウィルスを培養し、種々の有用蛋白質を製造することができた。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
Figure 0003641123
【0038】
【発明の効果】
ウィルスを細胞とともにサスペンジョン状態で培養する方法において、ウィルスにダメージを与えることなく十分量の酸素を培養液中に供給し、効率よくウィルスを増殖させることが可能となった。
また、培養槽内で、ウィルスを細胞とともに、あるいは細胞のみをサスペンジョン状態で培養する方法において、酸素を溶解した疎水性溶媒を培養液に添加する培養法の欠点(トラブルの多さ)を克服し、簡単な構造の装置を用い、かつ長期にわたり安定した運転が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いることのできる培養システムの一例
【符号の説明】
A……培養槽本体
B……攪拌子
C……磁力による回転装置
D……溶媒の取り出し口
E……供給ノズル
F……ポンプ
G……酸素吸収装置
H……DOセンサー
I……DO制御器
J……均圧管

Claims (7)

  1. ウィルスを細胞とともにサスペンジョン状態で培養する方法において、酸素溶解性の疎水性溶媒を培養液に添加することによって、ウィルスと酸素ガスを直接接触させずに十分量の酸素を培養液中へ供給すること、及び該疎水性溶媒への酸素の供給は、酸素透過性の膜の片面に酸素ガスを接触させ、該膜を通して疎水性溶媒に酸素を溶解させて行うことを特徴とする、ウィルスの培養法。
  2. 培養槽内で、ウィルスを細胞とともにサスペンジョン状態で培養する方法、あるいは細胞をサスペンジョン状態で培養する方法において、
    (a) 酸素を溶解している疎水性溶媒を該培養槽へ供給する工程、
    (b) 該培養槽より疎水性溶媒を槽外へ取り出す工程、
    (c) 酸素透過性の膜を通して、上記(b)の工程で取り出された疎水性溶媒に酸素を溶解させる工程、および
    (d) 得られた酸素を溶解している疎水性溶媒を前記(a)の工程へ循環する工程
    よりなる培養液への酸素供給法を用いることを特徴とする、ウィルスまたは細胞の培養法。
  3. チューブ状に成形された酸素透過性の膜を用いて疎水性溶媒に酸素を溶解させる工程を含む、請求項1または2に記載のウィルスまたは細胞の培養法。
  4. 酸素透過性の膜が肉厚0.4〜0.6mmのシリコン膜である、請求項1から3のいずれかに記載のウィルスまたは細胞の培養法。
  5. 酸素溶解性の疎水性溶媒がフルオロカーボンである、請求項1から4のいずれかに記載のウィルスまたは細胞の培養法。
  6. ウィルスが昆虫細胞感染性ウィルスである、請求項1から5のいずれかに記載のウィルスまたは細胞の培養法。
  7. ウィルスがバキュロウィルスである、請求項6に記載のウィルスまたは細胞の培養法。
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