JP3638882B2 - 紡糸性に優れたポリトリメチレンテレフタレートチップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリトリメチレンテレフタレートチップに関するものであり、更に詳しくは、衣料用途や資材用途の繊維に適した重合度を有し、且つ、チップ同士の融着や粉末状ポリマーの発生が起こりにくく、そのために優れた強度の繊維を工業的に安定して製造できるポリトリメチレンテレフタレートチップ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年ポリトリメチレンテレフタレート(以下「PTT」と略す)は、繊維化した場合、低弾性率から由来する柔らかい風合、優れた弾性回復性、易染性といったナイロン繊維に類似した性質と、ウォッシュアンドウェアー性、寸法安定性、耐黄変性といったポリエチレンテレフタレート繊維に類似した性質を併せ持つ画期的な繊維となり、その特徴を活かして、カーペット等の資材用途や衣料用途へ応用できる素材として注目され始めている。
【0003】
PTTは、化学構造的に類似するポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略す)と同様に、チップ(ペレットとも呼ぶ)状に成形して紡糸に用いることが考えられるが、資材用途や衣料用途に適した高い強度の繊維を得るためには、固有粘度が0.65dl/g以上といった高い重合度のポリマーからなるチップとすることが望ましい。また、紡糸に用いるためには、粉末状ポリマーが発生しにくいことと、乾燥、紡糸等の工程でチップ同士が熱融着しにくいことが重要である。
【0004】
PETをチップ状に成形するには、溶融PETをストランド状に押出し、冷却固化させた後、切断する方法が用いられる。しかしながら、本発明者らの検討によると、PETに比べPTTは結晶化速度が数倍速く、しかも結晶化度が高くなりやすい。このためPETで用いられている方法ではPTTの結晶化を十分抑えることができず、チップの結晶化度が高くなりすぎて脆くなってしまい、後に続くチップの移送、乾燥、紡糸等の工程にてチップ同士やチップと装置の壁面等が擦れ合って、多量の粉末状ポリマーが発生してしまう。粉末状ポリマーが多量に発生すると、空気式輸送機(ニューマーライン)や乾燥機の排風機に詰まって動作不良を起こすことがある。詰まりを無くすためには、粉末除去フィルター等の付加設備を設置する必要があり、工程が複雑になるとともに、ポリマーのロスも発生してしまう。更に、本発明者らの検討によると、粉末状ポリマーが多量に付着したチップを紡糸に用いると、押出機の溶融状態が変動するために押出圧が変動してしまい、吐出量が不均一となって糸斑が発生することがある。
【0005】
PTTに関する技術としては、PETと異なって溶融重合のみで高い重合度とするのが容易でないため、溶融重合で比較的低い重合度のPTTからなるチップを得た後、固相重合して高い重合度のチップを得る技術が知られている(特開平8−311177号公報、特表2000−502392号公報、韓国公開特許公報第1998−061618号)。しかしながら、固相重合のように高温で長時間チップを処理すると、非常に結晶化度が高くなって脆くなってしまい、固相重合中やその後に続くチップの輸送、乾燥等の工程にてチップ同士やチップと装置の壁面等が擦れ合って、多量の粉末状ポリマーが発生してしまう。
【0006】
固相重合を行わないで高重合度のPTTからなるチップを製造する技術としては、特表2000−502392号公報に固相重合に適したチップを得るために、溶融したPTT塊を、約60〜190℃にて固化させ、その温度に保持して結晶化させて微結晶サイズが18nm以上の塊を得る技術が開示されている。しかしながら、本発明者らの検討によると該公報の技術では約60〜190℃といった高い温度で固化させ、その温度に保持して結晶化させているために、結晶サイズが大きくなるとともに、結晶化度も高くなってしまい、粉末状ポリマーの発生を抑えるどころか、逆に発生しやすくなってしまう。
【0007】
また、WO2000−68294号公開パンフレットには、PTTをストランド状に押出し、チップ状に切断した後に65〜100℃の温水と接触させて結晶化させた、雰囲気温度が高くなった時や乾燥時にチップ同士の熱融着を抑制できるチップの製造方法が示されている。該公開パンフレットの実施例には、固有粘度が0.898〜0.909dl/g、密度が1.3074〜1.3347g/cm3 のチップが示されている。しかしながら本発明者らの検討によると、該パンフレットの技術では、結晶化度が2.1〜25.3%(後述する本発明者らが採用した計算方法で求めた値)と低すぎるために、続いて行う乾燥、紡糸工程でのチップ同士の熱融着を十分に抑制することができない。
【0008】
この他の技術としては、本発明者らが先に行った発明である特開平11−226947号公報、特開平11−226944号公報が挙げられる。これらの公報には、溶融PTTを冷却固化させる際に、急冷させて結晶化を抑制した、付着粉末状ポリマーや高融点ポリマーが少ないチップが開示されている。該公報に開示されているチップではかなり粉末状ポリマーの発生が改善されているものの、チップ同士の熱融着に対する対策技術は具体的に記載されていない。
このように、PTTはPETと大きく特性が異なるためにPETの技術を応用しても、またこれまでのPTTの技術を応用しても、資材用途や衣料用途に適した優れた強度の繊維を安定して製造することのできる高重合度で粉末状ポリマーの発生が少ないチップを得ることはできない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らの検討の結果、従来技術による優れた強度の繊維を安定して製造するために必要な高い重合度のPTTからなるチップには以下の問題があることが分かった。
(1)粉末状ポリマーが多量発生して空気式輸送機(ニューマーライン)や乾燥機の排風機に詰まって動作不良を起こしたり、ポリマーのロスが発生する。また、粉末状ポリマーが多量存在すると紡糸時には押出圧が変動して糸径ムラが起きたり、毛羽や糸切れを発生させたりする。
(2)乾燥工程等でチップ同士が熱融着して、チップの輸送ができなくなったり、押出機内に詰まったりする。
本発明の目的は、優れた強度の繊維を工業的に安定して製造することのできるPTTからなるチップの提供である。
本発明の目的を達成するために解決すべき課題は、上記(1)問題に対応して脆くないために粉末状ポリマーの発生が少なく、上記(2)問題に対応して熱融着しにくい高い重合度のPTTからなるチップとすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究した結果、驚くべきことに、高い重合度の溶融PTTをストランド状、あるいはシート状に押出し、急速に冷却固化させた後チップ状にカットし、その後適切な温度で処理するPTTチップの製造法であって、該溶融PTTを押出してから120秒以内にチップ全体を55℃以下に冷却し、加温処理するまで55℃以下に保持することを特徴とするチップの製造法により得た、高い重合度、適切な結晶化度を有した特殊なチップでは、熱融着しにくいために、チップの輸送や押出しが安定して行え、粉末状ポリマー発生を抑制できるために、空気式輸送機(ニューマーライン)や乾燥機の排風機の詰まりやポリマーのロスを抑制でき、また、紡糸時の押出圧が変動による糸径ムラや、毛羽や糸切れの発生を抑制できるため、優れた強度の繊維を工業的に安定して製造できることを見出し本発明を完成した。
【0011】
即ち本発明は以下のとおりのものである。
1.PTTからなるチップ
(I)固有粘度が0.65〜1.6dl/g、且つ、密度より求めた結晶化度Xc(%)が下記式(1)、(2)を満足することを特徴とするPTTからなるチップ。
Xc ≦ 固有粘度×72−19 ・・・式(1)
27 ≦ Xc ・・・式(2)
ここで結晶化度Xcは、
Xc={ρc ×(ρs −ρa )}/{ρs ×(ρc −ρa )}×100(%)
ρa : 非晶密度 = 1.305g/cm3
ρc : 結晶密度 = 1.431g/cm3
ρs : チップの密度(g/cm3 )
である。
(II)(I)において、チップ表面に付着した30メッシュのフィルターを通過し300メッシュのフィルターを通過しない粉末状ポリマーが、1000mg/kgポリマー以下であることを特徴とするPTTからなるチップ。
【0012】
2.PTTからなるチップの製造方法
(I)溶融した固有粘度が0.65〜1.6dl/gのポリトリメチレンテレフタレートをストランド状、あるいはシート状に押出し、急速に冷却固化させた後カットし、その後100〜180℃で加温処理することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートチップの製造方法であって、該溶融したポリトリメチレンテレフタレートを押出してから120秒以内に55℃以下に冷却し、加温処理するまで55℃以下に保持することを特徴とするチップの製造方法。
なお、本発明において、固有粘度は、後述する発明の実施の形態の(1)固有粘度[η]項記載の方法で測定した値である。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)PTTからなるチップ
(I)本発明のPTTからなるチップとしては、固有粘度が0.65〜1.6dl/g、且つ、密度より求めた結晶化度Xc(%)が下記式(1)、(2)を満足する必要がある。
Xc ≦ 固有粘度×72−19 ・・・式(1)
27 ≦ Xc ・・・式(2)
ここで結晶化度Xcは、
Xc={ρc ×(ρs −ρa )}/{ρs ×(ρc −ρa )}×100(%)
ρa : 非晶密度 = 1.305g/cm3
ρc : 結晶密度 = 1.431g/cm3
ρs : チップの密度(g/cm3 )
である。
本発明の目的である優れた強度の繊維とするためには高い重合度とする必要がある。重合度の指標としては固有粘度が適している。また、本発明の2つの課題である、脆くなくして粉末状ポリマーの発生が少なくすることと、熱融着しにくいことを同時に満足させるためにはためには、適切な結晶化度とする必要がある。従って、固有粘度、結晶化度が前記の範囲を満足することで、はじめて優れた強度の繊維を工業的に安定して製造することのできるPTTからなるチップとなる。
【0014】
(i)PTT
本発明のPTTは、90モル%以上がトリメチレンテレフタレート繰返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレート(PTT)である。ここでPTTとは、テレフタル酸を酸成分としトリメチレングリコール(1,3−プロパンジオールともいう、以下「TMG」と略す)をジオール成分としたポリエステルである。該PTTには、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、10モル%未満の他の共重合成分を含有してもよい。そのような共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム塩、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、アジピン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のエステル形成性モノマーが挙げられる。
【0015】
(ii)固有粘度
本発明のチップの固有粘度は、0.65〜1.6dl/gの範囲である必要がある。固有粘度が0.65dl/g未満では、本発明が目的とする十分な強度の繊維を得ることができなくなる。逆に固有粘度が1.6dl/gを越えると、溶融粘度が高くなりすぎるために、ギアポンプでの計量がスムーズに行われなくなったり、メルトフラクチャーが発生したりするために、安定して品質の良い繊維を得ることができなくなる。固有粘度は0.8〜1.4dl/gの範囲が好ましく、0.9〜1.2dl/gの範囲が更に好ましい。また、表層と中心部の固有粘度の差は0.2以下が好ましく、0.15以下がより好ましく、0.1以下が特に好ましく、もちろん0であることがもっとも好ましい。
【0016】
(iii)結晶化度
本発明のチップの結晶化度(Xc)は下記式(1)、(2)を満足する必要がある。
Xc ≦ 固有粘度×72−19 ・・・式(1)
27 ≦ Xc ・・・式(2)
ここで結晶化度とは以下の式に従って、密度法にて求めた値である。
【0017】
結晶化度は、「ポリトリメチレンテレフタレートの結晶弾性率」著者:中前勝彦、材料、第35巻、第396号、1067頁、2000年発行の論文に記載された式(3)、式(3)を変形した式(4)、結晶密度の値(1.431g/cm3 )、及び、我々が実験で求めた非晶密度の値(1.305g/cm3 )より求めた。
ρa : 非晶密度 = 1.305g/cm3
ρc : 結晶密度 = 1.431g/cm3
ρs : チップの密度(g/cm3 )
【0018】
PTTからなるチップの粉末状ポリマーの発生しやすさ、熱融着しやすさと、固有粘度、結晶化度との関係を図1の模式図に示す。チップの固有粘度が高くなると分子間の相互作用が大きくなるために脆くなくなり粉末状ポリマーが発生し難くなる。結晶化度が低くなってもチップは脆くなくなるが、固有粘度が高いほど、結晶化度が大きくても脆くなくなり粉末状ポリマーが発生しにくくなる。従って図1の線Aより下の領域が粉末状ポリマーが発生しにくい領域となる。
図1の線A以下の領域は下記式で表すことができ、この式に、線Aの定数の実験値を入れたものが式(1)の不等式である。
結晶化度 ≦ 固有粘度×定数1−定数2
【0019】
一方、乾燥や紡糸工程にてチップ同士が熱融着しないためには結晶化度を高くする必要がある。熱融着しやすさはチップの固有粘度とはほぼ無関係なので、図1の線Bより上の領域とする必要がある。これが式(2)である。
従って結晶化度を図1の線Aと線Bの間の領域とすること、すなわち、式(1)、(2)を満足することで初めて、粉末状ポリマーが発生しにくく、且つ、熱融着しにくい紡糸に適したチップとなる。
【0020】
結晶化度が線Aより高くなる場合、すなわち式(1)を満足しなくなる場合は、チップが脆くなってしまうために、粉末状ポリマーが発生しやすくなる。粉末状ポリマーの発生を抑えるためにはチップの結晶化度は定数2が25である式(1)を満足することが好ましく、定数2が30である式(1)を満足することが更に好ましい。
また、結晶化度は式(1)と50%のいずれか低い値以下にした方が押出機の圧力変動が更に小さくできるので好ましい。固有粘度によらず結晶化度が50%を越えると結晶を溶融するために必要なエネルギーが大きくなり押出機に大きな負荷がかかりやすくなるためだと考えられる。押出機の圧力変動を小さくするという観点からは、結晶化度を式(1)と45%のいずれか低い値以下にするのが好ましく、式(1)と40%のいずれか低い値以下にするのが特に好ましい。
【0021】
一方、結晶化度が線Bより低くなる場合、すなわち式(2)を満足しなくなる27%未満では、チップ同士が融着しやすくなってしまうために、乾燥機、紡糸機のホッパー内や押出機で詰まりが発生しやすくなり、押出機に安定してチップを供給したり、安定してポリマーを押出したりすることができなくなる。結晶化度27%とはPTTからなるチップを乾燥するのに適した最低温度110℃で長時間チップを熱処理した際の結晶化度に相当する。熱融着を抑制するために結晶化度は28%以上とすることがより好ましく、29%以上とすることが更に好ましい。
上記の結晶化度は一粒のチップ中の平均値であるが、好ましくはチップを切断して表層と中心部に分けた場合、全ての部分において上記結晶化度の範囲となることが好ましい。また、表層と中心部の結晶化度の差は20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましく、もちろん0%であることがもっとも好ましい。
【0022】
(iv)粉末状ポリマー
本発明のチップは、チップ表面に付着した30メッシュのフィルターを通過し300メッシュのフィルターを通過しない粉末状ポリマーが、1000mg/kgポリマー以下であることが好ましい。
該粉末状ポリマーが1000mg/kgポリマーを越えると、チップを気体で搬送する、いわゆるニューマーラインや乾燥機に設置してある排風機のフィルターが詰まりやすくなってしまったり、また紡糸の際に押出機の圧力変動が大きくなって糸斑が発生し易くなったりする。粉末状ポリマーは少なければ少ないほど良いが、実用上は500mg/kgポリマー以下が好ましく、さらに好ましくは300mg/kgポリマー以下である。
【0023】
(II)PTT特性
(i)アリル基濃度
本発明のPTTからなるチップは、アリル基濃度が30meq/kgポリマー以下であることが好ましい。
優れた強度の繊維を得るため、及び、糸切れや毛羽の発生なく繊維を製造するためには、チップの熱分解を抑制することが好ましい。
PTTの熱分解は、主として、まず、下記の反応で進行すると考えられる。
-φ-CO-OGO-CO-φ- → -φ-CO-OH + CH2=CH-CH2-O-CO-φ-
ここで、 φ : ベンゼン環
G : −CH2 CH2 CH2 −
【0024】
次いで、上記の反応生成物であるカルボキシル基(-CO-OH)やアリル基(CH2=CH-CH2- )が熱により解離してラジカルを発生させ、更に熱分解を誘発する。分解反応生成物のうち、カルボキシル基は、末端の水酸基(−OH)と反応してエステル結合を作り、重合度の増加にも寄与するのに対して、アリル基はその構造からも分かるように不安定であり、熱分解を誘発しやすい。
これらの反応は重縮合中も進行している。従って溶融紡糸時の熱分解を抑制するためには、重縮合中の上記反応を抑制して、アリル基含有量の少ないPTTとすることが好ましい。
【0025】
ここで、PTT中のアリル基濃度は、NMR等を用いて直接測定する必要がある。上記反応では、アリル基とカルボキシル基は等量発生するが、カルボキシル基は末端の水酸基との重合反応で消費されたり、加水分解により生成したりするので、アリル基濃度の指標とはならない。
アリル基濃度が30meq/kgポリマーを越えると、紡糸の際に熱分解が起こりやすくなり、重合度が低下して、得られる繊維の強度が低下したり、着色したりする。また、有害なアクロレインやアリルアルコール等の副生成物が紡糸中に発生したり、得られるPTT中に該副生成物が残存し、乾燥や紡糸の際に放出されたりする。アリル基濃度は25meq/kgポリマー以下が好ましく、20meq/kgポリマー以下が更に好ましい。アリル基濃度は低ければ低いほど良く、もちろん0meq/kgポリマーとすることが最も好ましい。
【0026】
(ii)環状二量体
本発明のチップは、環状二量体を1〜3重量%含んでいることが好ましい。
ここで環状二量体とは、下記構造式で表される、2つのトリメチレンテレフタレート単位が環状につながった二量体である。
【化1】
【0027】
チップは、上記範囲の環状二量体を含むことにより、紡糸時の毛羽や糸切れが大幅に減少する。この理由としては、環状二量体がPTTの可塑剤あるいは内部潤滑剤として作用して、紡口直下や延伸時のポリマー分子の変形を容易にしているためではないかと考えられる。
環状二量体は、重合中に添加しても良いが、重縮合反応の温度を適切にすることにより、上記範囲に調整することができる。しかしながら、チップを溶融させずに高温で加熱することにより抜け出てしまうため、乾燥温度には注意する必要があり、固相重合は行わない方が好ましい。
環状二量体含有量は、1重量%未満では可塑作用や潤滑作用が不足するために、紡糸の際に糸切れや毛羽が多発しやすい。一方、3重量%を越えると、昇華性が高いために、乾燥機の内部や、紡糸機の紡口の周り、油剤ノズルや糸道ガイド等に付着し、紡糸時の糸切れや毛羽発生要因となってしまう。環状二量体は1.2〜2.5重量%がより好ましく、1.5〜2重量%が更に好ましい。
【0028】
(iii)色調
本発明のチップは、L値が70以上、b*値が−5〜10であることが好ましい。L値が70未満またはb*値が−5未満では、得られる繊維が黒ずみやすく、該繊維を染色した際に希望の色に発色させることが容易でなくなる。一方、b*値が10を越えると、得られる繊維が黄色く着色してしまう。L値の上限は特に存在しないが、通常100以下が好ましい。
L値は75以上がより好ましく、80以上が更に好ましい。また、b*値は−3〜8がより好ましく、−2〜5が更に好ましい。
【0029】
(vi)添加剤
本発明のチップには、必要に応じて、各種の添加剤、例えば、艶消し剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤などを共重合または混合しても良い。
特に、本発明のチップには熱安定剤を添加することが白度の向上、溶融安定性の向上、アクロレイン、アリルアルコールといった分子量が300以下の有機物の生成を制御できる観点で好ましい。この場合の安定剤としては、5価または/および3価のリン化合物が好ましい。
【0030】
添加するリン化合物の量としては、PTT中に含まれるリン元素の重量割合として2〜250ppmであることが好ましい。2ppm未満では白度の向上、溶融安定性の向上、アクロレイン、アリルアルコールといった分子量が300以下の有機物の生成抑制の効果が十分ではなくなることがある。一方、250ppmを越えると重縮合触媒が失活するために重縮合速度が遅くなったり、重合度が上がらなくなったりすることがある。リン化合物は5〜150ppmがより好ましく、10〜100ppmが更に好ましい。
添加するリン化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、リン酸、亜リン酸等が挙げられ、特に、トリメチルホスファイトが好ましい。
【0031】
本発明に用いるチップは、平均粒径0.01〜2μmの酸化チタンを0.01〜3重量%含有し、且つ酸化チタン粒子が集まった凝集体であってその最長部長さが5μmを越える凝集体が25個/mgポリマー(この単位は、1mgのポリマー中に含まれる凝集体の数を示す。)以下であることが好ましい。このようなチップとすることにより、紡糸時や後加工時の毛羽や糸切れを抑制することが容易となる。このようなPTTを得るためには、一度溶剤に酸化チタンを加えて攪拌した後、遠心分離機、フィルター等を用いて酸化チタンの凝集体を取り除いた酸化チタン分散溶液を、重合の任意の段階で反応物に添加し、重縮合反応を完結させて、得ることが好ましい。
【0032】
(III)チップ特性
(i)吸熱ピーク
本発明のチップは、DSC(入力補償型示差熱量計)にて熱分析を行った際に、200℃以上、融点以下の温度に吸熱ピークを有しないことが好ましい。
ここで、DSCでの熱分析は、窒素雰囲気下にて、20℃/分の昇温速度にて、30℃〜280℃の温度範囲にて行った際の結果である。
200℃以上、融点以下の温度に吸熱ピークを有すると、チップが割れやすくなり、粉末状ポリマーが発生しやすくなる。粉末状ポリマーの発生を抑えるためには、180℃以上、融点以下の温度に吸熱ピークを有しないことが更に好ましい。
【0033】
(ii)チップサイズ
本発明のチップは、紡糸機の押出機にて均一に押し出せることが望まれる。このためには粉末状ポリマーが少ないこととともに適切な大きさのチップサイズとすることが好ましい。好ましいチップサイズは一粒の重量が1〜1000mgである。このサイズとすることで、押出機にて均一に押出し易くなるとともに、チップの輸送、乾燥、紡糸時の取り扱い性が良好となったり、乾燥速度が早くなったりする。一粒の重量は5〜100mgがより好ましく、10〜70mgが更に好ましく、20〜40mgが特に好ましい。
チップの形状は球形、直方体、円筒、円錐のいずれでも良いが、取扱性を考えた際は最長部の長さが15mm以下とすることが好ましく、10mm以下とすることがより好ましく、5mm以下とすることが更に好ましい。
【0034】
(iii)結晶性評価(広角X線回折)
本発明のチップは部分的にでも結晶性の高い部分があると粉末状ポリマーが発生しやすくなる。結晶性の高い部分があるかどうかを評価するには広角X線回折が適している。
本発明のチップは広角X線回折にてチップを評価した際に、2θ=15.5°付近に観察される(010)面に由来する回折ピークより計算した結晶サイズが3〜17nmであることが好ましい。結晶サイズが3nm未満の場合は乾燥時等に熱融着しやすくなる。一方、結晶サイズが17nmを越えるとチップが脆くなり粉末状ポリマーが発生しやすくなる。結晶サイズは4〜16nmがより好ましく、5〜15nmが特に好ましい。
また、2θに対して回折強度をプロットした広角X線回折チャートにおいて、2θ=23.4°付近に観察される(102)面のピークと24.7°付近に観察される
面のピークとの間に、両ピークより回折強度の低い部分が無いことが好ましい。両ピークより回折強度の低い部分がある場合は、部分的に脆くて、粉末状ポリマーの発生しやすい構造となっていることを示している。
【0035】
(2)チップの製造方法
本発明のPTTからなるチップは、溶融した固有粘度が0.65〜1.6dl/gのポリトリメチレンテレフタレートをストランド状、あるいはシート状に押出し、急速に冷却固化させた後カットし、その後100〜180℃で加温処理することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートチップの製造方法であって、該溶融したポリトリメチレンテレフタレートを押出してから120秒以内に55℃以下に冷却し、加温処理するまで55℃以下に保持する必要がある。
【0036】
1)冷却固化
溶融PTTはストランド状、あるいはシート状に押出してから120秒以内にチップ全体を55℃以下に冷却する必要がある。PTTは55℃を越えると結晶化が顕著となり、この時、120秒程度より結晶化が顕著となる。このため結晶化が顕著とならない120秒以内に、結晶化が顕著とならない55℃以下とすることが重要である。このように冷却することにより結晶化度を低くでき、粉末状ポリマーの発生が少ないチップを製造することが可能となる。粉末状ポリマーの発生を押さえるために冷却温度は好ましくは50℃以下、更に好ましくは45℃以下にするのが良く、冷却時間は80秒以内が好ましく、40秒以内がより好ましく、20秒以内が特に好ましい。なお、ここで冷却とは溶融したPTT全体すなわち、表面だけではなく中心部までが55℃以下となるまで冷却させることを示す。中心部の温度は、冷却固化PTTを切断し、その断面温度を赤外線温度計で測定することにより知ることができる。
【0037】
また、固化PTTの結晶化度が式(1)を満足することが好ましい。
結晶化度(Xc) ≦ 固有粘度×72−19 ・・・ 式(1)
結晶化度が式(1)を満足しない場合、即ち結晶化度が高い場合は、チップの結晶化度も高くなってしまい粉末状ポリマーが発生しやすくなってしまう。
このような急速な冷却固化をさせるためには、溶融PTTを水等の冷媒中に速やかに入れて冷却することが好ましい。冷媒の温度は20℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましく、10℃以下が更に好ましい。冷媒としては経済性、取扱性を考えると水が好ましく、このため冷媒温度は0℃以上が好ましい。
【0038】
2)カット
チップのカットは、溶融PTTを押し出して、急速に冷却固化させてから、加温処理するまでの間に行うことができる。
冷却固化PTTをカットする際はカット時の摩擦発熱を抑え、チップ断面の温度が180℃以下となるようにすることが好ましい。カット時のPTT温度が摩擦発熱等により180℃を越えると結晶化が進み、粉末状ポリマーが発生しやすくなったり、切断面に融点の高い結晶が生成したりしやすい。カット時のチップ温度を180℃以下にするためには切断中冷却することが好ましく、水などの冷却溶媒中で切断するか、あるいは冷却溶媒をかけながら切断することが好ましい。もちろん切断に冷却した刃物を用いてもよい。カット時のチップ断面の温度は、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
なお、冷却固化PTTはカット時に55℃以下となっていなくても良いが、この場合はカット後、引き続き冷却し、押出してから120秒以内に55℃以下とする必要がある。また、ストランドやシートを巻き取った後カットしてもよいが、工程を簡素化するためには巻き取らずに連続してカットすること望ましい。
【0039】
3)加温処理
本発明のチップは、冷却固化及びカットを行った後に100〜180℃で加温処理する必要がある。
本発明のチップは熱融着を抑制するために結晶化度を27%以上とする必要がある。このような結晶化度とするには、十分冷却して低い結晶化度のチップを製造した後、100〜180℃で加温処理することにより達成できる。チップを加温処理する温度は100〜180℃が好ましく、110〜160℃がより好ましく、120〜150℃が更に好ましい。加温処理する時間は30秒以上が好ましく、60秒以上がより好ましい。加温処理する時間の上限は温度によって異なるが、180℃で1日以内、100℃で7日以内であれば、特に問題は生じないが、8時間以内とすることが好ましい。加温処理する際は、チップが融着しないように攪拌しながら行うことが望ましい。
【0040】
また、加温処理と同時にチップを乾燥させてもよい。乾燥させる場合は、乾燥気体中あるいは真空中にて110〜180℃で加温処理を行うことが好ましい。この温度範囲とすることで乾燥時の粉末状ポリマーの発生やチップ同士の熱融着を抑えることが容易となる。乾燥させる場合の温度は120〜150℃が更に好ましい。なお、150℃以上の場合は窒素等の不活性ガス雰囲気にて行うことが特に好ましい。乾燥時間は用いるチップの水分率や大きさによっても異なるが、通常1〜10時間行うことが好ましく、2〜8時間がより好ましい。
【0041】
(3)PTTの製造方法
本発明のチップを作るために用いるPTTの製造法は特に限定されるものではないが、以下に好ましい方法を示す。
本発明に用いるPTTを、工業的に製造する好ましい方法としては原料の違いにより大きく分けて、テレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGとをエステル交換反応させ、PTTの中間体であるビス(3−ヒドロキシプロピレンテレフタレート)(以下「BHPT」と略す)を得た後、該BHPTを重縮合反応させてPTTを製造する方法(以下「エステル交換法」と略す)と、テレフタル酸とTMGとをエステル化反応させ、BHPTを得た後、第一の方法と同様に、該BHPTを重縮合反応させてPTTを製造する方法(以下「直接エステル化法」と略す)がある。また、製造方式の違いより大きく分けて、原料等を反応装置に全て投入し、これら同時に反応させて組成物を得るバッチ重合法(回分法とも呼ぶ)と、原料を反応装置に連続して投入し、連続してPTTを得る連続重合法がある。
いずれの方法においてもBHPTを重縮合させる工程は基本的に同じであるが、本発明のPTTを得るためには、このBHPTを重縮合させる方法が重要である。ここでBHPTとは、未反応のテレフタル酸、テレフタル酸の低級アルコールエステル、TMG及びPTTオリゴマーが含まれていてもよいが、全反応物の70重量%以上がBHPTであることが好ましい。
【0042】
以下、PTTの製造方法について詳述する。
本発明に用いるTMGは水やメタノール以外の不純物が1重量%以下であることが好ましい。なかでもカルボニル基含有化合物がカルボニル基の重量として1000ppm以下とすることが好ましい。カルボニル基含有化合物に代表される不純物が1000ppmを越えて存在すると反応時間が長くなったり、本発明の目的とする重合度まで上がらなくなったり、得られるPTTが着色したりしやすい。水以外の不純物は0.5重量%以下がより好ましく、0.3重量%以下が更に好ましい。またカルボニル基含有化合物は500ppm以下がより好ましく、300ppm以下が更に好ましい。
【0043】
重縮合反応に用いるBHPTは以下に述べる方法により得ることができる。
まず、エステル交換法にてBHPTを得る方法について述べる。
エステル交換法ではテレフタル酸ジメチルをエステル交換触媒の存在下150〜240℃の温度でエステル交換させてBHPTを得ることができる。
テレフタル酸の低級アルコールジエステルとTMGの仕込み時のモル比は1:1.3〜1:4が好ましく、1:1.5〜1:2.5がより好ましい。1:1.3よりもTMGが少なければ、反応時間が著しく長くなったり、場合によっては重縮合反応時に固有粘度が0.65dl/gまで上がらなくなってしまう。また、1:4よりもTMGの量が多くなると、PTT中にTMGの二量体が多量生成するために融点が低下し、紡糸性が低下したり、得られた繊維の耐熱性が低下してしまう。
【0044】
エステル交換法ではエステル交換触媒は必ず用いる必要があり、好ましい例としては、例えば、チタンテトラブトキシドやチタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛等が挙げられ、なかでもチタンテトラブトキシドが続いて行う重縮合反応触媒としても働くので好ましい。エステル交換触媒量はテレフタル酸ジエステルに対して0.02〜1重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がより好ましく、0.08〜0.2重量%が更に好ましい。
【0045】
次に、直接エステル化法にてBHPTを得る方法について述べる。
直接エステル化法ではテレフタル酸とTMGを150〜240℃の温度でエステル化反応させてBHPTを得ることができる。
テレフタル酸とTMGの仕込み時のモル比は1:1.05〜1:3が好ましく、1:1.1〜1:2がより好ましい。1:1.05よりTMGが少なくなると反応時間が著しく長くなってしまったり、着色したり、場合によっては重縮合反応時に固有粘度が0.65dl/gまで上がらなくなってしまう。また、1:3よりもTMGの量が多くなると、PTT中にTMGの二量体が多量生成するために融点が低下し、紡糸性が低下したり、得られた繊維の耐熱性が低下してしまう。
【0046】
直接エステル化法ではテレフタル酸から遊離するプロトンが触媒として働くためにエステル化触媒は必ずしも必要ないが、反応速度を高めるためにはエステル化触媒を用いることが好ましい。好ましい例としては、例えば、チタンテトラブトキシドやチタンテトライソプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド等が挙げられる。添加量は用いるテレフタル酸に対して0.02〜1重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がより好ましく、0.08〜0.2重量%が更に好ましい。
【0047】
エステル化反応を円滑に進めるためには反応の開始段階でBHPTを5〜80重量%添加して反応させることも好ましい。バッチ法ではBHPTと原料であるテレフタル酸、TMGを同時に仕込み反応を開始させることができる。連続重合法では直接エステル化反応を行う反応槽に一定量のテレフタル酸とTMGの混合物を投入しつつ、一定量の反応生成物(BHPT)を払い出すことで反応を行うことができる。
上記した方法で得られたBHPTは続いて重縮合される。
PTTは熱分解しやすいため、一般的に用いられているPETやPBTと同様に重縮合しても重合度を高くするのは困難である。本発明の目的とする高い重合度、優れた色調、且つ、熱分解しにくいPTTを得るためには、重縮合反応速度を高めること、重縮合時の熱分解を抑制することが重要である。
【0048】
重縮合反応では、重縮合触媒を用いて、BHPTを減圧下あるいは不活性気体雰囲気下にて所定温度で反応させ、副生するTMGを除去しながら重合度を高めて行く。しかしながら、重合度が高くなり溶融粘度が高くなると副生するTMGを効率的に除去することが困難となり重縮合反応速度は遅くなる。このため重縮合反応速度を高めるには、重縮合反応物の固有粘度が0.5dl/g以上では下記式を満足させながら重縮合反応することで、反応物の表面積を大きくして副生するTMGを効率的に除去させることが望ましい。
S/V ≧ 0.07
S : 重縮合反応物の総表面積(cm2 )
V : 重縮合反応物の質量(g)
ここでSは重合機内部の状態をビデオカメラで撮影した画像より求めた。
【0049】
一方、Vは投入した原料より理論的に得られるポリマーの質量を用いた。ここで反応させる重縮合反応物はかなり重合度が上がっているため、ほぼ理論ポリマーの質量と等しい。
S/Vが0.07未満では、TMGを効率的に除去させることが困難となり、本発明のチップを作るために用いるPTTを得ることが困難となる。S/Vは大きければ大きいほど良いが、反応装置の大きさより考えると100以下であることが好ましい。S/Vは0.1以上が好ましく、0.15以上が更に好ましい。また、反応させる重縮合反応物の表面は、絶えず更新されることが好ましい。
【0050】
固有粘度0.5dl/g未満と小さい状態では溶融粘度が低いために表面積を大きくしなくてもTMGの除去効率はかなり高くなるが、より好ましくは固有粘度が0.3dl/g以上の時、表面積を上記したように大きくしながら反応させることが好ましい。
このような表面積とする反応装置は、断面積が大きく浅い縦型攪拌反応装置、回転する掻き上げ翼を備えた縦型攪拌反応装置、1軸又は2軸の掻き上げ攪拌翼を有した横型攪拌反応装置、棚段を有する自然流下式の薄膜重合機、傾斜した平面を自然流下する薄膜重合機等が上げられる。このうち、表面更新速度や容積効率等より、回転する掻き上げ翼を備えた縦型攪拌反応装置、1軸又は2軸の掻き上げ攪拌翼を有した横型攪拌反応装置が最も好ましい。
【0051】
一方、熱分解を抑制するためには、固有粘度が0.5dl/g以上となった時の重縮合反応物温度を250〜275℃とすることが好ましい。250℃未満では反応速度が遅く、重合時間が長くなってしまう。一方275℃を越えると熱分解が激しくなり、本発明の目的である固有粘度、アリル基濃度を有したPTTを得ることが困難となる。温度は255〜270℃がより好ましく、260〜265℃が更に好ましい。また、固有粘度が0.2dl/gまでは、TMG除去の程度に応じて温度は変化するが、おおよそ240℃以下とすることが好ましい。
【0052】
反応物は反応装置により加熱して上記の温度とするが、反応物と接触している反応装置が部分的にでも290℃を越えないようにすることが好ましく、280℃を越えないようにすることが更に好ましい。また、反応物の温度が均一になるように攪拌することが好ましい。
熱分解を抑制するためには、反応物を上記温度とするとともに、前記したリン系の熱安定剤を用いることも好ましい。
BHPTを重縮合反応させるためには重縮合触媒を用いる必要がある。重縮合触媒の好ましい例としては、例えば、チタンテトラブトキシドやチタンテトラプロポキシドに代表されるチタンアルコキサイド、二酸化チタン等が挙げられる。反応速度が速く、アリル基濃度を下げ、色調を良好にできる点でチタンテトラブトキシドが特に好ましい。重縮合触媒量としては、好ましくは得られるPTT重量に対して0.03〜1重量%となるように添加することが好ましい。BHPTを得る過程で重縮合触媒としても作用する化合物を用いた場合は、該化合物の量を含めて0.03〜1重量%となるようにすれば良い。
【0053】
重縮合反応装置は、バッチ重合法ではBHPTの重縮合を開始するときから最終PTTを得るまで同一の装置を用いることができるが、もちろん2つ以上の反応槽に分けても良い。一方、連続重合法では反応を効率的に進めるために2つ以上、できれば3つ以上の反応槽に分け、温度、減圧度等を変えることが好ましい。2つ以上に分けた最初の反応槽は反応物の成分や温度が均一になるように混合できる縦型攪拌反応装置を用いることが好ましい。2つ以上に分けた最終反応槽では固有粘度が0.5dl/g以上の時、反応物の表面積を上記したように大きくしながら反応できることが必要である。
【0054】
重縮合反応は、減圧下あるいは不活性気体雰囲気下で行うことができるが、減圧とする場合はバッチ重合法では最終的に2torr以下とすることが好ましく1torr以下とすることが更に好ましい。また、連続重合法の場合は各反応槽毎にBHPTやオリゴマーの昇華状態により適宜調節する必要があるが、最終反応槽は10torr以下とすることが好ましく、5torr以下とすることが更に好ましく、2torr以下とすることが特に好ましい。不活性気体雰囲気下で行う場合は、副生するTMGが効率的に除去できるように不活性気体を随時十分置換させることが重要である。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、実施例などを用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
なお、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)固有粘度[η]
固有粘度[η]は、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中での比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。
【数1】
【0056】
(2)結晶化度
JIS−L−1013に基づいて四塩化炭素およびn−ヘプタンにより作成した密度勾配管を用いて密度勾配管法にて求めた密度より、下記式に従って求めた。
Xc={ρc ×(ρs −ρa )}/{ρs ×(ρc −ρa )}×100(%)
ρa : 非晶密度(g/cm3 )=1.305g/cm3
ρc : 結晶密度(g/cm3 )=1.431g/cm3
ρs : チップの密度(g/cm3 )
【0057】
(3)粉末状ポリマー
チップ表面に付着した粉末状ポリマーの量の測定は次の手順に従って行った。1.水の入ったビーカーにチップ500gを入れる。
2.5分間攪拌し表面に付着した粉末状ポリマーを洗い落とす。
3.2を30メッシュのフィルターで濾過し、フィルター上のチップに粉末状ポリマーが残らないよう繰り返し水で洗浄する。
4.3の濾液を300メッシュのフィルターでもう一度濾過する。
5.4の濾過残を80℃にて減圧乾燥し、重量を測定する。
【0058】
(4)アリル基濃度
核磁気共鳴スペクトル法により下記条件にて測定を行い、5ppm付近に観測されるアリル基由来の 1Hと8.2ppm付近に観測されるベンゼン環由来の 1Hの比較により求めた。
装置 : FT−NMR DPX−400(Bruker社製)
観測核 : 1H
観測周波数 : 400MHz
化学シフト基準 : テトラメチルシランを0ppmとした
積算回数 : 256回
待ち時間 : 3秒
溶媒 : 重水素化トリフルオロ酢酸
試料濃度 : 5重量%
測定温度 : 室温
【0059】
(5)環状二量体
ヘキサイソプロパノール5ミリリットルとクロロホルム5ミリリットルの混合液にPTT0.3gを加え室温で溶解した。完全に溶解した後、クロロホルム5ミリリットルを加え、更に約80ミリリットルのアセトニトリルを加えた。この時、不溶物が析出するが、これをろ別し、そのろ液を全て300ミリリットルのフラスコに移してアセトニトリルを追加し、総量200ミリリットルの透明な溶液を得た。
この溶液を高速液体クロマトグラフィーを用いて分析し、環状二量体を測定した。カラムはμBondas phere 15μ C−18−100A 3.9×190mm(ウォーターズ社製を用い、移動相としては、水/アセトニトリル(容量比30/70)を用い、検出には紫外線242nmの波長を用いた。温度は45℃、流量は1.5ミリリットル/分であった。
【0060】
(6)色調(L値、b*値)
スガ試験機(株)製のカラーコンピューターを用いて測定した。
(7)吸熱ピーク
DSC(入力補償型示差熱量計)を用いて下記の条件にて測定し、200℃以上融点以下の吸熱ピークの有無を評価した。
装置 : Perkin Elmer社製Pyris 1
測定温度 : 30〜280℃
昇温速度 : 20℃/分
(8)チップサイズ
約2gのチップをサンプリングし、正確な重量とチップ数を数え、チップ1個当たりの重量を求めた。
【0061】
(9)結晶性評価(広角X線回折)
チップの結晶性評価は以下の条件にて広角X線回折にて行った。
測定装置 : ロータフレックス RU−200 理学社製
試料形態 : チップ
測定方法 : 反射法
X線強度 : 40kv、120mA
X線源 : CuKα線
スリット間隔 : DS=0.6、RS=0.3、SS=1
結晶サイズ : ピーク分離法により求めた回折ピークn半値幅より下記式を用いて求めた。
結晶サイズ(nm)=Kλ/(β×cosθ)
K : 定数(=1)
λ : X線の波長(=0.154nm)
β : ピークの半値幅(°)
θ : 回折が観察される角度(2θ)より求めた値(°)
【0062】
(10)TMG中の不純物
TMG中の不純物はガスクロマトグラフィーにより定量した。カラムはDURABOND DB−WAX0.25mm×30m(0.25μm)を用いてヘリウム100ミリリットル/分流しながら、150〜230℃まで20℃/分の昇温速度で測定した。検出器は水素炎イオン化型検出器を用いた。
(11)TMG中のカルボニル化合物
TMG中のカルボニル化合物は、ASTM、E411−92に準拠して2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを用いる方法にて測定を行った。
【0063】
(12)紡糸性
加速評価方法として、下記の条件で紡糸を行い紡糸性の評価を行った。
押出温度 : 265℃
紡口 : 直径0.35mmφ、長さ0.7mmの孔36個が一重配列したもの
吐出量 : 23g/min
巻き取り速度 : 4000m/min
紡糸性 : 紡糸中の糸切れ、毛羽の発生頻度により評価、毛羽の発生数は光学式の毛羽センサーを用いて評価した。
【0064】
【実施例1】
図2に示した装置を用いて重合を行った。まず、螺旋状攪拌翼を有した縦型攪拌反応装置にテレフタル酸ジメチル25000g、カルボニル基含有化合物含有量が300ppm以下のTMG21500g、酢酸カルシウムと酢酸コバルト四水和塩とを9:1の重量比で混合した混合物を0.01重量%/DMTを仕込み、常圧下、ヒーター温度240℃の加熱下、4時間のエステル交換反応を行いBHPTを得た。
【0065】
次に得られたBHPTにチタンテトラブトキシド0.1重量%/DMT、次いでトリメチルフォスフェート100ppm/ポリマーを添加し、掻き上げ翼を有した縦型攪拌反応装置を用いて、260℃にて減圧下で重縮合反応を行い固有粘度が0.95dl/gのPTTを得た。減圧度は時間とともに下げていき、固有粘度が0.2dl/gに達した時点以降は、0.5torr以下とした。固有粘度が0.5dl/gに達した時の反応物のS/Vは0.7cm2 /gであり、反応を終了させるまでこの値以下になることはなかった。
【0066】
反応により得たPTTは、直ちに重合装置の下部に設けた直径10mmの吐出孔より5℃に温度調整した冷水中に直径3mmのストランド状に押出して冷却固化した後にチップ状に切断した。切断は溶融PTTを押し出してから30秒後に行い、この時の冷却固化PTTは40℃あり、切断によりPTT温度が50℃を越えることはなかった。次に切断したチップを棒状の攪拌羽根を有した縦型乾燥機に移送して、乾燥空気中130℃にて4時間加温処理して結晶化、乾燥を行いチップを得た。チップの平均重量は25mg/個であり、最長部の長さは5mm以下であった。
【0067】
チップ物性を表1に示す。チップの固有粘度は0.95dl/gと高く、結晶化度も本発明の範囲であり、粉末状ポリマーの発生も少なく、且つ、チップ同士の融着がみられない良好なチップであった。次に該チップを紡糸機に移送して紡糸テストを行った。チップは加温処理により乾燥されており水分率は100ppm以下であった。押出機内でチップ同士の融着や押出圧力の大きな変動は見られず、糸切れ、毛羽の発生もほとんど見られなかった。
得られた繊維を延伸温度60℃、熱処理温度140℃にて1.4倍延伸したところ、強度3.5cN/dtex、伸度40%の衣料用途や産業資材用途に有用な繊維が得られた。
【0068】
【実施例2〜4】
PTTの固有粘度、加温処理温度を表1に示したように変えた以外は実施例1と同様にしてチップを得た。チップの平均重量はいずれも25mg/個であり、いずれの場合も最長部の長さは5mm以下であった。
チップ物性を表1に示す。いずれの場合もチップの固有粘度、結晶化度は本発明の範囲であり、粉末状ポリマーの発生も少なく、且つ、チップ同士の融着がみられない良好なチップであった。
次に該チップを紡糸機に移送して紡糸テストを行った。いずれの場合もチップは加温処理により乾燥されており水分率は100ppm以下であった。いずれの場合も押出機内でチップ同士の融着や押出圧力の大きな変動は見られず、糸切れ、毛羽の発生もほとんど見られなかった。
【0069】
【比較例1】
実施例1と同様にして重合を行って得たPTTを、重合装置の下部に設けた直径10mmの吐出孔より100℃の金属製ベルトの上に押出し冷却固化させた。押出してから30秒後の冷却固化PTTは中心部は180℃であった。この時、冷却固化PTTの中心部温度は、断面をカッターでカットして、赤外線温度計を用いて測定した。カット時の摩擦発熱は無視できると考えられる。その後空冷してカットしようとしたところ、脆いために砕けてしまい、粉末状ポリマーが多量発生した。この時の中心部温度を赤外線温度計を用いて測定したところ30℃となっていた。チップの平均重量は測定することはできなかった。
得られたチップ物性を表1に示す。チップの結晶化度は本発明の範囲より大きく、粉末状ポリマーの発生が非常に多いチップであった。
次に該チップを棒状の攪拌羽根を有した縦型乾燥機に移し、乾燥空気中130℃で4時間乾燥した後、紡糸機に移送して紡糸テストを行った。チップの水分率は100ppm以下であった。押出機内でチップ同士の融着は見られないものの、押出圧力が大きく変動するために糸径が大きく変動し、糸切れ、毛羽の発生も見られた。また、乾燥機やニューマーの排風機に粉末状ポリマーが多量に詰まって、多量のロスが発生した。
【0070】
【比較例2】
PTTの固有粘度を0.5とした以外は実施例1と同様に重合、冷却固化、チップ化、加温処理してチップを得た。チップの平均重量は25mg/個であり、いずれの場合も最長部の長さは5mm以下であった。
チップ物性を表1に示す。チップの結晶化度は本発明の範囲より大きく、粉末状ポリマーの発生が多いチップであった。
次に該チップを棒状の攪拌羽根を有した縦型乾燥機に移し、乾燥空気中130℃で4時間乾燥した後、紡糸機に移送して紡糸テストを行った。チップの水分率は100ppm以下であった。押出機内でチップ同士の融着は見られないものの、押出圧力が変動するために糸径が変動し、糸切れ、毛羽の発生も見られた。また、乾燥機やニューマーの排風機に粉末状ポリマーが詰まった。
【0071】
【比較例3】
比較例2と同様にしてチップ化までを行った重合度の低いチップを、タンブラー式の固相重合機を用いて、窒素雰中220℃にて12時間固相重合を行い、重合度の高いチップを得た。チップの平均重量は25mg/個であり、いずれの場合も最長部の長さは5mm以下であった。
チップ物性を表1に示す。チップの結晶化度は本発明の範囲より大きく、粉末状ポリマーの発生が多いチップであった。
次に該チップを棒状の攪拌羽根を有した縦型乾燥機に移し、乾燥空気中130℃で4時間乾燥した後、紡糸機に移送して紡糸テストを行った。チップの水分率は100ppm以下であった。押出機内でチップ同士の融着は見られないものの、押出圧力が変動するために糸径が変動し、糸切れ、毛羽の発生も見られた。また、乾燥機やニューマーの排風機に粉末状ポリマーが詰まりが見られた。
また、固相重合した該チップを水洗して粉末状ポリマーを取り除いた後、棒状の攪拌羽根を有した縦型乾燥機に移し、乾燥空気中130℃で4時間乾燥した。粉末状ポリマーは、水洗後は300mg/kg以下となったが、乾燥により増加し、1000mg/kgを越えた。
【0072】
【比較例4】
実施例3と同様にしてチップ化までを行った結晶化度の低いチップを、乾燥空気中80℃で10時間加温処理してチップを得た。チップの平均重量は25mg/個であり、最長部の長さは5mm以下であった。
チップ物性を表1に示す。チップの結晶化度は本発明の範囲より低かった。
次に該チップを紡糸機に移送して紡糸テストを行おうとした。チップは加温処理により乾燥されており水分率は100ppm以下であった。該チップには粉末状ポリマーは少量しか含まれていなかったが、押出機内でチップ同士が融着して詰まったため、紡糸を行うことができなかった。
【0073】
【比較例5】
冷水温度を40℃とした以外は実施例1と同様にしてチップを得た。ストランドの切断は実施例1と同様に押出してから30秒後に行ったが、この時、冷却固化PTTは十分に冷却されておらず中心部が150℃であった。次に切断したチップを棒状の攪拌羽根を有した縦型乾燥機に移送して、乾燥空気中130℃にて4時間加温処理して結晶化、乾燥を行いチップを得た。チップの平均重量は25mg/個であり、最長部の長さは5mm以下であった。
チップ物性を表1に示す。急速に冷却固化させなかったためにチップの結晶化度は本発明の範囲より大きく、粉末状ポリマーの発生が多いチップであった。
次に該チップを紡糸機に移送して紡糸テストを行った。チップの水分率は100ppm以下であった。押出機内でチップ同士の融着は見られないものの、押出圧力が変動するために糸径が変動し、糸切れ、毛羽の発生も見られた。また、乾燥機やニューマーの排風機に粉末状ポリマーが詰まった。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
本発明のPTTからなるチップは、熱融着しにくいために、チップの輸送や押出しが安定して行え、粉末状ポリマー発生を抑制できるために、空気式輸送機(ニューマーライン)や乾燥機の排風機の詰まりやポリマーのロスを抑制でき、また、紡糸時の押出圧が変動による糸径ムラや、毛羽や糸切れの発生を抑制できるため、優れた強度の繊維を工業的に安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】PTTからなるチップの粉末状ポリマーの発生しやすさと、固有粘度、結晶化度との関係を示した模式図である。
【図2】本発明をバッチ重合法にて実施する重合機の概略を示す模式図である。
【符号の説明】
1 エステル交換反応槽
2 モーター
3 攪拌翼(螺旋状)
4 重縮合反応槽
5 攪拌翼(掻き上げ翼)
Claims (3)
- 固有粘度が0.65〜1.6dl/g、且つ、密度より求めた結晶化度Xc(%)が下記式(1)、(2)を満足することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートチップ。
Xc ≦ 固有粘度×72−19 ・・・式(1)
27 ≦ Xc ・・・式(2)
ここで結晶化度Xcは、
Xc={ρc ×(ρs −ρa )}/{ρs ×(ρc −ρa )}×100(%)
ρa : 非晶密度 = 1.305g/cm3
ρc : 結晶密度 = 1.431g/cm3
ρs : チップの密度(g/cm3 )
である。 - チップ表面に付着した30メッシュのフィルターを通過し300メッシュのフィルターを通過しない粉末状ポリマーが、1000mg/kgポリマー以下であることを特徴とする請求項1記載のポリトリメチレンテレフタレートチップ。
- 溶融した固有粘度が0.65〜1.6dl/gのポリトリメチレンテレフタレートをストランド状、或いはシート状に押出し、急速に冷却固化させた後カットし、その後100〜180℃で加温処理することを特徴とするポリトリメチレンテレフタレートチップの製造方法であって、該溶融したポリトリメチレンテレフタレートを押出してから120秒以内に55℃以下に冷却し、加温処理するまで55℃以下に保持することを特徴とするチップの製造方法。
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