[go: up one dir, main page]

JP3638504B2 - ナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置 - Google Patents

ナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3638504B2
JP3638504B2 JP2000193555A JP2000193555A JP3638504B2 JP 3638504 B2 JP3638504 B2 JP 3638504B2 JP 2000193555 A JP2000193555 A JP 2000193555A JP 2000193555 A JP2000193555 A JP 2000193555A JP 3638504 B2 JP3638504 B2 JP 3638504B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nanotube
holder
magnetic
nanomagnetic
microcoil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000193555A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001331906A (ja
Inventor
喜萬 中山
昭雄 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiken Kagaku Kogyo KK
Original Assignee
Daiken Kagaku Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiken Kagaku Kogyo KK filed Critical Daiken Kagaku Kogyo KK
Priority to JP2000193555A priority Critical patent/JP3638504B2/ja
Publication of JP2001331906A publication Critical patent/JP2001331906A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3638504B2 publication Critical patent/JP3638504B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Recording Or Reproducing By Magnetic Means (AREA)
  • Magnetic Heads (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁気テープ、磁気カード、磁気ディスク、磁気ドラム、その他磁性物質からなる磁気記録媒体に対してナノ領域の精度で磁気信号を入出力できるナノチューブを利用したナノ磁気ヘッドに関し、またナノ磁気ヘッドに信号を入出力する信号制御部を設けたナノ磁気ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、磁気ヘッドは磁極間隙部を有するコアとコアに巻装されたコイルから構成されており、この磁極間隙部を磁気記録媒体に接触するように配置して磁気記録装置が構成される。コイルに信号電流を流すとリング状のコアに磁束が生じ、この磁束の一部が磁極間隙部から磁気記録媒体に漏洩し、この漏洩磁束によって磁気記録媒体の磁性体分子に情報が磁気記録される。
【0003】
逆に、磁気記録された磁気記録媒体を磁極間隙部に対し移動させると、電磁誘導によりコイルに信号電流が生起し、この信号電流を増幅して磁気情報を再生することができる。このように、磁気ヘッドは磁気記録媒体に情報を磁気記録したり、磁気記録媒体から磁気情報を再生するための装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
磁気記録媒体に記録される磁気情報の最小単位のサイズは、コアに形成されている磁極間隙部のサイズに直接依存する。従って、磁気記録密度を高めるためには、コア及びコアの磁極間隙部をより小さくする設計することが必要になるが、コアや磁極間隙部の形成を機械加工や他の物理加工に頼る限り、それら部材の微小化にはサイズ的限界が存在する。従って、磁気記録密度の高度化を図るためには、磁性物質の開発のみならず、コアの材料開発が急務である。
【0005】
従って、本発明の目的は、磁気情報の最小単位の大きさを一気にナノサイズにまで極小化でき、磁気記録密度の大幅な向上を達成できるナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダーに固定し、ナノチューブの先端部の外周にナノコイルを巻装配置し、ナノコイルの両端に信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッドである。
【0007】
請求項2の発明は、ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダーに固定し、ホルダーの外周にマイクロコイルを巻装配置し、マイクロコイルの両端に信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッドである。
【0008】
請求項3の発明は、前記ホルダーはAFM用カンチレバーのピラミッド部である請求項1又は2記載のナノ磁気ヘッドである。
【0009】
請求項4の発明は、ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダーに固定し、このホルダーを支持する本体部の外周にマイクロコイルを巻装配置し、マイクロコイルの両端に信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッドである。
【0010】
請求項5の発明は、前記ホルダーはAFM用カンチレバーのピラミッド部であり、前記本体部はAFM用カンチレバーのカンチレバー部である請求項4記載のナノ磁気ヘッドである。
【0011】
請求項6の発明は、ナノチューブの中空部に強磁性金属原子を配列した請求項1、2、3、4又は5記載のナノ磁気ヘッドである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6記載のナノ磁気ヘッドと、このナノ磁気ヘッドに信号を入出力する信号制御部から構成され、磁気記録媒体のナノ領域に磁気書き込みしたり、ナノ領域の磁気記録を読みとることができるナノ磁気ヘッド装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、磁気記録の最小単位のサイズをナノ領域にまで極小化できる磁気ヘッドを開発するために鋭意研究した結果、コアとしてカーボンナノチューブを初めとするナノチューブを利用し、コイルとしてナノコイルやマイクロコイルを活用し、これらのコイルの中空部にナノチューブを挿通する等の手段で、ナノチューブ先端により磁気記録媒体に対して磁気的な入出力ができるナノ磁気ヘッドを想到するに到った。
【0014】
即ち、ナノコイルやマイクロコイルの両端から電気信号を入力し、これらのコイルで形成された磁束をナノチューブの先端から漏洩させ、この漏洩磁束により磁気記録媒体に磁気記録すれば、磁気記録の最小単位のサイズをナノチューブの断面直径程度にまで極小化することが可能となる。
【0015】
ナノチューブがコアとして最有力である理由はその断面直径の極小性にある。本発明で用いられるナノチューブとしては、カーボンナノチューブがある。カーボンナノチューブ(CNTと称する場合もある)の断面直径は約1nm〜数十nmに分布しており、またその軸長はナノサイズからミクロンサイズに亘っている。従って、この高アスペクト比を有するナノチューブを探針として用いれば、磁気記録をナノサイズで行うことができ、磁気記録密度の超高度化を達成できる。
【0016】
カーボンナノチューブの合成に続いてBCN系ナノチューブが合成された。例えば、非晶質ホウ素とグラファイトの混合粉末をグラファイト棒に詰め込み、窒素ガス中で蒸発させる。また、焼結BN棒をグラファイト棒に詰め込み、ヘリウムガス中で蒸発させる。更に、BCNを陽極、グラファイトを陰極にしてヘリウムガス中でアーク放電させる。これらの方法で、CNT中のC原子の一部がB原子とN原子に置換されたBCN系ナノチューブが合成された。
【0017】
また、BN系ナノチューブも合成された。これはC原子をほとんど含まないナノチューブである。例えば、CNTとB粉末をるつぼの中に入れて窒素ガス中で加熱する。この結果、CNT中のC原子のほとんどがB原子とN原子に置換されたBN系ナノチューブが合成される。
【0018】
BCN系ナノチューブもBN系ナノチューブもCNTとほぼ同様の物質構造をとっているから、直径に対する軸長比、即ちアスペクト比は極めて高い。従って、本発明のナノチューブとしては、カーボンナノチューブのみならず、BCN系ナノチューブやBN系ナノチューブ等の一般のナノチューブが利用できる。
【0019】
一般に、ナノチューブの内部には中空部が形成されている。コイルで形成された磁束をナノチューブの先端から漏洩させるには、ナノチューブの中空部に鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属原子を配置しておくことが望ましい。このように強磁性金属原子を配列しておけば、漏洩磁束はこれらの原子により絞られるから、漏洩磁束の断面直径はナノチューブの断面直径に近くなり、磁気記録単位をナノサイズに極小化できる。ナノチューブの断面直径の理論最小サイズは約1nmであるから、磁気記録の最小サイズも1nmにまで極小化することが可能である。
【0020】
強磁性金属原子の注入は簡単に行うことができる。これらの金属蒸気中で両端の閉じたナノチューブを切断、或いは先端を開放するだけで、金属原子が自然に中空部に吸い込まれるように進入してゆくことが観察される。注入される強磁性金属原子の数はナノチューブの軸長に依存する。ナノチューブの先端から磁束を漏洩させるには、その先端部に少なくとも強磁性金属原子を充填しておくことが望ましい。
【0021】
ナノチューブの中空部に強磁性金属原子を配列させない場合でも、コイル径が小さいので、ナノ磁気ヘッドを構成することができる。ただ、磁束が多少広がるので、コイルの先端をできるだけ磁気記録媒体に接近させて磁気入出力を行うことが必要である。
【0022】
本発明に係るナノ磁気ヘッドに使用されるコイルにはマイクロコイルとナノコイルがある。マイクロコイルが先に発見されてその製造方法が確立され、次にナノコイルが発見され、本発明者等によりその量産方法が確立された。次に、その量産方法について説明する。
【0023】
カーボンマイクロコイルの効率的な製造方法は、1990年に元島など(S.Motojima,M.Kawaguchi,K.Nozaki and H.Iwanaga,Appl.Phys.Lett.,56(1990)321)によって発見され、その後の研究により再現性のある製造方法が確立された。この方法は、透明石英製の横型外熱式反応管の内部にNi粉末触媒を塗布したグラファイト基板を配置し、上部の原料ガス導入口から原料ガスを前記基板表面に垂直に導入する。この原料ガスは、アセチレンと水素と窒素とチオフェンの混合ガスである。排ガスは下部より排出される。
【0024】
特に、イオウやリン等の不純物が不可欠で、この不純物量が多すぎても少なすぎてもカーボンマイクロコイルは成長しない。例えば、イオウを含有するチオフェンを全ガス流量に対し0.24%添加した場合には、コイル収率が最大になり、その値は約50%である。反応温度は約750〜800℃である。
【0025】
このカーボンマイクロコイルを構成するファイバーの直径は0.01〜1μm、コイルの外直径(外側直径)は1〜10μm、コイルピッチは0.01〜1μm、そしてコイル長さは0.1〜25mmである。このカーボンマイクロコイルは完全にアモルファス構造であり、電波吸収特性等の優れた物性を有し、例えば電波吸収材として期待されている。
【0026】
1991年にカーボンナノチューブが発見され、この発見に触発されて、外直径がナノサイズのカーボンコイル、即ちカーボンナノコイルの研究が開始された。ナノサイズになると更に新たな物性が発見される可能性があり、ナノ領域のエンジニアリングやエレクトロニクス等の新素材として期待されたからである。しかし、その開発は容易ではなかった。
【0027】
1994年にアメリンクス等(Amelinckx,X.B.Zhang,D.Bernaerts,X.F.Zhang,V.Ivanov and J.B.Nagy,SCIENCE,265(1994)635)がカーボンナノコイルの生成に成功した。カーボンマイクロコイルがアモルファスであるのに対し、カーボンナノコイルがグラファイト構造であることも解明された。種々のカーボンナノコイルが作成され、最小のコイル外直径は約12nmと極めて小さかった。しかし、そのコイル収率はわずかであり、工業生産に利用できるものではなく、より効率的な製造方法が求められた。
【0028】
彼らの製造方法は、Co、Fe、Niのような金属触媒を微小粉に形成し、この触媒近傍を600〜700℃に加熱し、この触媒に接触するようにアセチレンやベンゼンのような有機ガスを流通させ、これらの有機分子を分解する方法である。生成された物質はグラファイト構造のカーボンナノチューブであり、その形状は直線状、曲線状、平面スパイラル状、コイル状等であった。つまり、カーボンナノコイルは偶然的に生成されたに過ぎず、コイル収率が小さかった。
【0029】
1999年にリー等(W.Li,S.Xie,W.Liu,R.Zhao,Y.Zhang,W.Zhou and G.Wang,J.Material Sci.,34(1999)2745)は、新たにカーボンナノコイルの生成に成功した。彼らの製造方法は、グラファイトシートの外周に鉄粒子を被覆した触媒を中央に置き、この触媒近傍をニクロム線で700℃に加熱する。この触媒に接触するように、体積で10%のアセチレンと90%の窒素の混合ガスを流通させ、その流量を1000cc/minに設定した。生成されたカーボンナノコイルの外直径には種々のものがあるが、小さいものは20nmや22nmであった。しかし、この製造方法もコイル生成率が小さく、工業的量産法としては極めて不十分なものである。
【0030】
このような中で、カーボンナノコイルの工業的量産方法は本発明者等によって確立され、既に特願平11−377363号として特許出願されている。この方法は、反応器内部にインジウム・スズ・鉄系触媒を配置し、この触媒近傍を原料として使用する炭化水素が触媒作用により分解する温度以上に加熱し、この触媒に接触するように炭化水素ガスを流通させて、炭化水素を触媒近傍で分解しながら触媒表面にカーボンナノコイルを成長させる方法である。この方法では、インジウム・スズ・鉄系触媒の表面に無数のカーボンナノコイルが密生し、炭化水素ガス量から計算すると、生成率は95%程度の効率に見積もられる。
【0031】
本発明に使用できるマイクロコイルやナノコイルは、カーボンマイクロコイルやカーボンナノコイルに限定されない。これらのC原子をB原子やN原子に置換したBN系コイルやBCN系コイルでもよい。コイルには電気信号を入出力するから、コイルの電気伝導性を確保するために、コイルの表面を金属でコートしたり、コイル中に金属原子をドーピングすることもある。
【0032】
本発明において、ナノチューブを固定するホルダーは、例えばAFM用カンチレバーの測定用の突出部であり、この突出部は通常ピラミッド部と呼ばれている。このピラミッド部の形状は円錐状、三角錐状、四角錐状などがあり、AFMカンチレバーに用いられている全ての形状を総称するものである。ホルダーを固定する本体部は、例えばAPM用カンチレバーのカンチレバー部である。勿論、AFM用カンチレバー以外に、STM等の他の走査型プローブ顕微鏡用のホルダーや他の部材を利用することもできる。また、ナノ磁気ヘッド専用の本体部やホルダーを作成し、このホルダーにナノチューブを固定してもよい。
【0033】
【実施例】
以下に、本発明に係るナノ磁気ヘッド及びナノ磁気ヘッド装置の実施例を図面に従って詳細に説明する。
図1は本発明に係るナノ磁気ヘッドの第1実施例の斜視図である。本実施例では市販のAFM用カンチレバーを積極的に利用しており、従って、ナノ磁気ヘッド2は、大きく分けてAFM用カンチレバー3とナノチューブ10とナノコイル12から構成されている。
【0034】
AFM用カンチレバー3は、長手状のカンチレバー部4と、その先端に突設されたピラミッド部8とからなり、カンチレバー部4の両側縁には電極膜6、6が形成されている。本発明の本体部の一例が前記カンチレバー部4であり、ホルダーの一例が前記ピラミッド部8であることは前述の通りである。ナノチューブ10の基端部10aはピラミッド部8の表面に固定され、ナノチューブ10の先端部10bはピラミッド部8から突出している。
【0035】
ナノチューブ10の基端部10aをピラミッド部8の表面に固定する方法としては、例えば基端部10aの表面をカーボンのコーティング膜で被覆したり、基端部10aをピラミッド部8に熱融着させたりする方法がある。熱融着する方法には、電子ビーム照射や電流加熱が考えられる。
【0036】
ナノコイル12はナノチューブ10の先端部10bを巻装するように配置されている。ナノコイル12の両端はナノチューブを用いたリード線14、14の一端と電子ビームで融着されて接点14a、14aとなる。ナノチューブリード線14、14の他端は電極膜6、6と結合されて接点14b、14bとなる。
【0037】
図2は強磁性金属原子を内部に配置したナノチューブの簡易斜視図である。ナノチューブ10の中空部10cには強磁性金属原子16、16・・・が多数配置されている。金属蒸気中で両端の閉じたナノチューブ10を切断したり、あるいは先端部を開放することにより、開放端面から金属原子が中空部10cに引き込まれる。また、金属蒸気中でナノチューブ10を生成することにより、中空部10cに金属原子が存在するものが得られる。
【0038】
図3はカーボンナノチューブの先端多形の斜視図である。(a)は先端が多面体で閉じており、(b)は先端が開いており、(c)は先端が円錐形で閉じており、(d)は先端がくちばし形で閉じている。特に、先端が閉じた部分をナノチューブ10の先端部10bとすれば、内包された強磁性金属原子16が酸化されることがなく長寿命である。
【0039】
図4はナノコイルの斜視図である。この例では1本のカーボンファイバー18からナノコイル12が形成されているが、2本以上のカーボンファイバー18がうまく同期しながらコイル状に絡み合った複合ナノコイルを本発明に用いることもできる。カーボンファイバー18は長尺状のカーボンナノチューブである。ナノコイル12のサイズは、一般的にファイバー18の直径dが数nm〜数十nm、コイル直径Dが数十nm〜数百nm、ピッチPが数nm〜数十nm、軸長Lが数μm〜数十mmである。ナノコイルの名称はコイル直径Dがナノサイズであることに由来する。また、コイル直径Dが1μm以上、即ちミクロンサイズであるときには、このコイルをマイクロコイルと称することは云うまでもない。
【0040】
図5は本発明に係るナノ磁気ヘッド装置の使用状態図である。磁気ヘッド装置23は、図1に示されるナノ磁気ヘッド2と、カンチレバー部4の電極膜6に結線された接続線24と、この接続線24が連結された信号制御部25から構成されている。磁気記録媒体20は基体21に磁性膜22を形成して構成されている。
【0041】
まず、磁性膜22に磁気書き込み(磁気入力)する場合を説明する。ナノチューブ10の先端を磁性膜22に接近させ、信号制御部25から電気信号を送る。電気信号はナノコイル12を流れ、ナノコイル12の内部に磁束を発生させる。この磁束がナノチューブ10の先端から漏洩して、磁性膜22に磁気情報として記録される。磁気記録媒体20を矢印a方向に移動させると、磁性膜22には情報が連続的に磁気記録されて行く。
【0042】
次に、磁性膜22から磁気読み出し(磁気出力)する場合を説明する。ナノチューブ10の先端を磁性膜22に接近させて、磁気記録媒体20を矢印a方向に移動させる。磁性膜22に記録された磁気情報の磁力線がナノチューブ10の中に入り、電磁誘導によってナノコイル12に誘導起電力が発生する。この誘導起電力が接続線24を介して信号制御部25に入り、磁気情報が連続的に再生されてゆく。
【0043】
図6は本発明に係るナノ磁気ヘッドの第2実施例の斜視図である。この実施例では、ナノコイル12に替えてマイクロコイル26が使用される。このマイクロコイル26はやや大きなピラミッド部8(ホルダーの一例)の周りに巻装して配置される。ピラミッド部8がそっくり中に入るくらいのマイクロコイルを選択して用いればよい。その他の部分は図1と同様であり、同一部分には同一番号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7は本発明に係るナノ磁気ヘッドの第3実施例の斜視図である。この実施例では、ナノコイル12に替えてやはりマイクロコイル26が使用される。但し、このマイクロコイル26はカンチレバー部4(本体部の一例)の周りに巻装して配置される。ナノチューブリード線14は用いられず、マイクロコイル26の両端26aが直接に電極膜6、6に融着固定される。その他の部分は図1と同様であり、同一部分には同一番号を付してその説明を省略する。
【0045】
図8はマイクロコイルを用いた場合の磁気信号強化のモデル図である。図6及び図7では、マイクロコイル26はナノチューブ10から離れた位置にあるが、マイクロコイル26で形成された磁束はナノチューブ10の先端から漏洩する。従って、マイクロコイル26の断面積をS、発生した磁束をBとし、ナノチューブ10の断面積をS’、流出する磁束をB’とすると、連続の法則からS×B=S’×B’となり、B’=(S/S’)Bと単純に計算できる。つまり、マイクロコイルを用いた場合には、漏洩磁束B’は発生磁束Bより面積比だけ強化されため、磁気記録媒体20への書き込みは有利になる。
【0046】
図7及び図8に示されたナノ磁気ヘッド2と前記信号制御部25を組み合わせてナノ磁気ヘッド装置を構成し、磁気記録媒体に対し磁気書き込み及び磁気読み出しを行うこともできる。
【0047】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものである。
【0048】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ナノチューブにナノコイルを巻装してナノ磁気ヘッドを構成したから、ナノチューブの断面直径であるナノサイズを磁気情報の最小単位として磁気記録媒体への書き込み・読み出しが可能となり、磁気記録の超高密度化を実現できる。
【0049】
請求項2の発明によれば、ホルダーの外周にマイクロコイルを巻装してナノチューブで書き込み・読み出しをできるから、磁気記録の超高密度化を実現できるだけでなく、書き込みに際してマイクロコイルとナノチューブの断面積比だけ磁気信号を増幅することができる。
【0050】
請求項3の発明によれば、ナノチューブを固定するホルダーとしてAFM用カンチレバーのピラミッド部を用いることができ、実用性の高いナノ磁気ヘッドを低価格で実現することができる。
【0051】
請求項4の発明によれば、本体部の外周にマイクロコイルを巻装してナノチューブで書き込み・読み出しができるから、磁気記録の超高密度化を実現できるだけでなく、書き込みに際してマイクロコイルとナノチューブの断面積比だけ磁気信号を増幅することができる。
【0052】
請求項5の発明によれば、カンチレバー部にマイクロコイルを巻装するから、市販のAFM用カンチレバーを用いた実用性の高いナノ磁気ヘッドを低価格で実現でき、しかも書き込み用の磁気信号を断面積比だけ増幅することができる。
【0053】
請求項6の発明によれば、ナノチューブの中空部に強磁性金属原子を配列するから、磁束密度を強化できるだけでなく、ナノチューブに入出力する磁束密度をより細く絞ることができ、高性能を有したナノ磁気ヘッドを実現できる。
【0054】
請求項7の発明によれば、信号制御部によりナノ磁気ヘッドを操作できるから、磁気記録媒体のナノ領域に磁気書き込みしたり、ナノ領域の磁気記録を読みとることができるナノ磁気ヘッド装置を提供できる。。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るナノ磁気ヘッドの第1実施例の斜視図である。
【図2】強磁性金属原子を内部に配置したナノチューブの簡易斜視図である。
【図3】カーボンナノチューブの先端多形の斜視図である。
【図4】ナノコイルの斜視図である。
【図5】本発明に係るナノ磁気ヘッド装置の使用状態図である。
【図6】本発明に係るナノ磁気ヘッドの第2実施例の斜視図である。
【図7】本発明に係るナノ磁気ヘッドの第3実施例の斜視図である。
【図8】マイクロコイルを用いた場合の磁気信号強化のモデル図である。
【符号の説明】
2・・・ナノ磁気ヘッド
3・・・AFM用カンチレバー
4・・・カンチレバー部
6・・・電極膜
8・・・ピラミッド部
10・・・ナノチューブ
10a・・基端部
10b・・先端部
10c・・中空部
12・・・ナノコイル
14・・・ナノチューブリード線
14a・・接点
14b・・接点
16・・・強磁性金属原子
18・・・カーボンファイバー
20・・・磁気記録媒体
21・・・基体
22・・・磁性膜
23・・・ナノ磁気ヘッド装置
24・・・接続線
25・・・信号制御部
26・・・マイクロコイル
26a・・接点
d・・・ファイバー直径
D・・・コイル直径
L・・・軸長
P・・・ピッチ

Claims (9)

  1. ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダーに固定し、前記ナノチューブの先端部の外周にナノコイルを巻装配置し、前記ナノコイルの少なくとも一端にナノチューブリード線の一端を接続し、このナノチューブリード線を介して前記ナノコイルに信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッド。
  2. ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダーに固定し、前記ホルダーの外周にマイクロコイルを巻装配置し、前記マイクロコイルの少なくとも一端にナノチューブリード線の一端を接続し、このナノチューブリード線を介して前記マイクロコイルに信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッド。
  3. ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダー上に配置し、前記基端部をカーボンコーティング膜又は融着によりホルダー表面に固定し、前記ナノチューブの先端部の外周にナノコイルを巻装配置し、このナノコイルの両端に信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッド。
  4. ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダー上に配置し、前記基端部をカーボンコーティング膜又は融着によりホルダー表面に固定し、前記ホルダーの外周にマイクロコイルを巻装配置して、このマイクロコイルの両端に信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッド。
  5. ナノチューブの先端部をホルダーから突出させるようにナノチューブの基端部をホルダーに固定し、このホルダーを支持する本体部の外周にマイクロコイルを巻装配置し、このマイクロコイルの両端に信号を入出力させることを特徴とするナノ磁気ヘッド。
  6. 前記ホルダーはAFM用カンチレバーのピラミッド部である請求項1〜5のいずれかに記載のナノ磁気ヘッド。
  7. 前記ホルダーはAFM用カンチレバーのピラミッド部であり、前記本体部はAFM用カンチレバーのカンチレバー部である請求項5記載のナノ磁気ヘッド。
  8. ナノチューブの中空部に強磁性金属原子を配列した請求項1〜7のいずれかに記載のナノ磁気ヘッド。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のナノ磁気ヘッドと、このナノ磁気ヘッドに信号を入出力する信号制御部から構成され、磁気記録媒体のナノ領域に磁気書き込みしたり、ナノ領域の磁気記録を読みとることができるナノ磁気ヘッド装置。
JP2000193555A 2000-05-23 2000-05-23 ナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置 Expired - Fee Related JP3638504B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000193555A JP3638504B2 (ja) 2000-05-23 2000-05-23 ナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000193555A JP3638504B2 (ja) 2000-05-23 2000-05-23 ナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001331906A JP2001331906A (ja) 2001-11-30
JP3638504B2 true JP3638504B2 (ja) 2005-04-13

Family

ID=18692529

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000193555A Expired - Fee Related JP3638504B2 (ja) 2000-05-23 2000-05-23 ナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3638504B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3925610B2 (ja) * 2001-02-13 2007-06-06 喜萬 中山 発熱プローブ及び発熱プローブ装置
US6735046B2 (en) * 2001-11-21 2004-05-11 Yoshikazu Nakayama Nano-magnetic head and nano-magnetic head device using the same
JP4660221B2 (ja) * 2005-02-10 2011-03-30 学校法人 東洋大学 局所的巨大磁場発生装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001331906A (ja) 2001-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3766682B2 (ja) ナノチューブプローブ
Cheung et al. Carbon nanotube atomic force microscopy tips: Direct growth by chemical vapor deposition and application to high-resolution imaging
Yamabe et al. The science and technology of carbon nanotubes
US6735046B2 (en) Nano-magnetic head and nano-magnetic head device using the same
JP3797276B2 (ja) 磁性ナノチューブ
JP4939431B2 (ja) 高収率のカーボンナノチューブを成長させるための金属ナノ触媒の品質を制御するための方法
JP2007523822A (ja) 伸長した長さのナノ構造の合成のためのシステム及び方法
JP2011519809A (ja) 成長した単層ナノチューブの効率および品質に炭化水素および輸送ガス材料が与える効果
JPWO2006025393A1 (ja) ナノスケールの低次元量子構造体の製造方法、及び、当該製造方法を用いた集積回路の製造方法
CN100559483C (zh) 磁化信息记录方法以及磁性记录再生装置
JP3638504B2 (ja) ナノ磁気ヘッド及びこれを用いたナノ磁気ヘッド装置
US20020163414A1 (en) Coil-based electronic & electrical components (such as coils, transformers, filters and motors) based on nanotechnology
Wang et al. Solid-phase synthesis of carbon-encapsulated magnetic nanoparticles
Yu et al. Facile conversion of Fe nanotube arrays to novel α-Fe2O3 nanoparticle nanotube arrays and their magnetic properties
Yang et al. Magnetic nanowire based high resolution magnetic force microscope probes
JP2005327368A (ja) 磁気記録装置用保護層、磁気ヘッドおよび磁気記録装置
Kizuka et al. Synthesis of Carbon Nanocapsules and Nanotubes Using Fe‐Doped Fullerene Nanowhiskers
CN101880040B (zh) 一步反应制备γ-Fe2O3纳米线填充碳氮多壁纳米管的方法
Fujita et al. Electron holography of single-crystal iron nanorods encapsulated in carbon nanotubes
Bondino et al. Stable Fe nanomagnets encapsulated inside vertically-aligned carbon nanotubes
JP6209059B2 (ja) カーボンナノファイバーの集合体、カーボンナノファイバーの集合体の製造方法、及び磁性体
Matzui et al. Structure and magnetic properties of MWCNTs decorated by NiFe, CoFe, NiCo nanoparticles
Pol et al. The thermal decomposition of three magnetic acetates at their autogenic pressure yields different products. Why?
JP2004335259A (ja) 電気配線、電子デバイス、磁気抵抗効果素子、磁気ヘッド、磁気媒体、記録装置、及びそれらの製造方法
Hayashi et al. Intentionally encapsulated metal alloys within vertically aligned multi-walled carbon nanotube array via chemical vapor deposition technique

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040426

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040511

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20040712

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050104

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050111

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees