JP3638066B2 - センサ機構付きカテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、体内に挿入されるカテーテルチューブの先端にセンサ部を備えたセンサ機構付きカテーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、体内挿入式の医療器具の一種としてカテーテルが知られている。カテーテルを構成する直径数mm以下のカテーテルチューブは、人体内にある各種の管、例えば血管等の中に挿入されるようになっている。カテーテルチューブの先端は体内の所望の部位まで誘導され、その部位において計測行為(例えば血圧の測定等)や治療行為(例えば血管の拡張等)を行う。このため、カテーテルのオペレータは、カテーテルチューブの先端を外部操作によって所望の部位まで確実に誘導する必要がある。
【0003】
ところで、体内にある管は必ずしも直線状ではなく、部分的に屈曲していたり分岐している場合が多い。しかも、管の径は必ずしも一定ではなく、管自体が細くなっていたり、内部にある障害物(例えば血栓)によって管が細くなっていることがある。よって、カテーテルチューブの進行方向前方の状況を検知する手段を持たない従来のカテーテルでは、オペレータはチューブの操作を自分の勘のみに頼らざるを得なかった。そのため、チューブの先端を所望の部位まで誘導するのに熟練を要する等の不都合が生じていた。
【0004】
ここで、前記不都合を解消すべく案出されたセンサ機構付きのカテーテル51の一例を図5に示す。このカテーテル51を構成するカテーテルチューブ52の先端側には圧力障壁53が設けられ、それによりチューブ52内にチップ収容室54が区画されている。なお、前記圧力障壁53には、例えばステンレス製やセラミックス製の板材がよく用いられている。このチップ収容室54には、台座55に載置された状態で半導体式圧力センサチップ56が収容されかつ固定されている。また、チップ収容室54内には圧力伝達媒体57が充填されるとともに、それを封止するためにチューブ52の先端側開口にはピストン58が移動可能に設けられている。
【0005】
従って、このセンサ機構付きカテーテル51では、受圧部であるピストン58の外側面に作用する圧力に変動が生じると、その影響は圧力伝達媒体57を介してセンサチップ56の感圧面に波及する。その結果、カテーテルチューブ52の進行方向前方における障害物等の有無が検知されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のセンサ機構付きカテーテル51の場合、カテーテルチューブ52が小径になるほど、圧力伝達媒体57の流動を確実に阻止しうる圧力障壁53をチューブ52内に組付けることが極めて困難になり、製造が難しくなる。また、たとえ圧力障壁53を内部に組付けたとしても、チューブ52等との間に隙間ができやすく、内部を確実に閉塞することができない。従って、圧力伝達媒体57のチューブ52基端側への流動に起因して、圧力が正確に伝達されなくなり、カテーテル51のセンシング精度が低下するという問題があった。それゆえ、従来においてカテーテル51の高精度化を優先しようとするならば、カテーテル51の小径化を諦めざるを得なかった。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、センシング精度が高く、しかも小径化に適した構造のセンサ機構付きカテーテルを提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、製造が容易で、故障が起きにくく、生体での使用に適したセンサ機構付きカテーテルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、受圧部と圧力伝達媒体と感圧手段とを有するセンサ部がカテーテルチューブの先端側に配置され、そのセンサ部にて圧力変動が検知されるようになっているセンサ機構付きカテーテルにおいて、前記センサ部内にて前記感圧手段を固定させている接合材は、流動状物質を充填しかつ硬化させたものであって、前記圧力伝達媒体のチューブ基端側への流動を阻止する圧力障壁を兼ねることを特徴とするセンサ機構付きカテーテルをその要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記センサ部は前記カテーテルチューブと別体として形成されかつ同カテーテルチューブの先端側に対して嵌着されるチューブ部材を含み、前記感圧手段は前記接合材によって同チューブ部材の内壁面に固定されるとともに、前記接合材は前記チューブ部材の貫通孔を非貫通状態に封止しているとした。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記感圧手段は半導体式圧力センサチップであり、そのセンサチップは台座に載置された状態で前記チューブ部材の先端側に設けられた切り欠き部に固定されているとした。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記接合材は絶縁材料からなり、少なくとも前記センサチップから引き出されたボンディングワイヤを全体的に封止するとした。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記接合材は硬質であって生体適合性の材料からなるとした。
以下、本発明の「作用」を説明する。
【0014】
請求項1〜5に記載の発明によると、流動状物質を充填しかつ硬化させてなる接合材を圧力障壁としているため、小径のカテーテルチューブであっても、その内部が従来の固体状の圧力障壁に比べて隙間なく確実に閉塞される。従って、カテーテルの小径化に適した構造とすることができる。そして、このような圧力障壁によって圧力伝達媒体のチューブ基端方向への流動が阻止される結果、同方向へのいわゆる圧力の逃げが阻止される。従って、受圧部に作用する圧力の増加分と圧力伝達媒体の圧力の増加分との差が小さくなり、正確な圧力を感圧手段に伝達することができる。このため、センシング感度が向上する。
【0015】
また、本発明では接合材が上記のように圧力障壁を兼ねるものであることから部品点数の削減が図られ、ひいては低コスト化も達成される。
請求項2に記載の発明によると、あらかじめ別体として作製されたチューブ部材を含むセンサ部を用いているため、それを既存のカテーテルチューブの先端側に嵌着するだけで、所望のカテーテルを得ることができる。このため、センサ部を構成する各要素をカテーテルチューブ内に直接組み込んでいた従来とは異なり、製造が容易なカテーテルとすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によると、極めて小型な半導体式圧力センサチップが感圧手段として利用されているため、他の感圧方式を採用した場合に比べて、センサ部自体の小径化を図ることができる。また、実用に耐えうるものとすることができる。さらに、チューブ部材の先端側に切り欠き部が設けられていると、センサチップを台座に載置した状態のものを接合材を用いてチューブ部材に比較的簡単に固定することができる。従って、製造の容易なカテーテルとすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によると、接合材が絶縁材料であるため、ボンディングワイヤ部分におけるショートが未然に回避され、故障が起きにくくなる。
請求項5に記載の発明によると、接合材が硬質になることに伴い圧力障壁も硬質になるため、チューブ基端方向への圧力の逃げがより確実に阻止される。従って、より正確な圧力を感圧手段に伝達することができ、センシング感度がいっそう向上する。また、生体適合性材料からなる接合材であることから、生体に対する適合性の高いカテーテルを実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を障害物検知用のセンサ機構を備えたカテーテル1に具体化した一実施の形態を図1〜図3に基づき詳細に説明する。
【0019】
この血管用カテーテル1は、血管に挿入されるカテーテルチューブ(本実施形態ではポリ塩化ビニル製,直径1.6mm)2と、それを体外にて操作するためにチューブ2の基端部に設けられる操作手段とを備える。操作手段は、例えばチューブ2内に挿入された複数本のワイヤと、それらを操作するワイヤ操作部とによって構成されている。また、チューブ2の基端部には、チューブ2の先端側に造影剤等の薬液を供給するための圧送ポンプ等が接続されている。
【0020】
本実施形態のカテーテル1では、カテーテルチューブ2と別体に形成されたセンサ部としてのセンサアセンブリ3が同カテーテルチューブ2の先端側に取付けられている。
【0021】
図1にはセンサアセンブリ3を構成するアウターチューブ4が示され、図2には同じくセンサアセンブリ3を構成するインナーチューブ5が示されている。外側のチューブ部材であるアウターチューブ4の先端側は、カテーテルチューブ2の外径とほぼ等しい外径の大径部4aとなっている。一方、同アウターチューブ4の基端側は、大径部4aよりも外径の小さい小径部4bとなっている。この小径部4bはカテーテルチューブ2の先端側に対して嵌着される部位であることから、その外周面には周方向に沿って延びる複数の抜け止め溝6が形成されている。アウターチューブ4の先端側開口部には、受圧部としてのピストン7がチューブ2の長手方向に沿って移動可能に嵌合されている。また、ピストン7とアウターチューブ4との接合部位は封止材8によって封止されている。
【0022】
内側のチューブ部材であるインナーチューブ5は、アウターチューブ4よりも外径が小さくて長さが短い筒状部材であって、アウターチューブ4内に摺動不能に嵌入されている。大径部4aの内部に突出するインナーチューブ5の一方側の端部には、切り欠き部9が形成されている。この切り欠き部9の内壁面には、感圧手段としての半導体式圧力センサチップ10が載置された台座11が接合材A1 によって接合されている。また、この接合材A1 は流動状物質が硬化したものである。
【0023】
前記接合材A1 は、a)絶縁材料からなること、b)硬質であること、c)生体適合性の材料からなること、という3つの要件を全て満たしていることが最も望ましい。このような事情に鑑みて、本実施形態ではエポキシ樹脂等のような熱硬化性樹脂を使用している。エポキシ樹脂は上記の3つの要件を全て充足するからである。この他にも例えばシリコーン樹脂やポリウレタン樹脂等のような樹脂なども使用することが可能である。また、光硬化性樹脂を使用してもよい。
【0024】
台座11の上面とセンサチップ10の下面との間には、図3(a)に示されるように背圧室19が形成されてもよい。また、かかる背圧室19は、台座11に形成される図示しない背圧孔を介して相対圧領域に連通されていてもよい。
【0025】
図3(a)に示されるように、半導体式圧力センサチップ10は中央に肉薄部分を有しており、その肉薄部分の上面には歪みゲージ12が形成されている。センサチップ10の上面に形成された図示しないボンディングパッドと、フラットケーブル13の中継タブ14とは、ボンディングワイヤ15を介して電気的に接続されている。このフラットケーブル13は、カテーテルチューブ2内を通り抜けてチューブ2の基端部まで到っている。
【0026】
図3(a)等に示されるように、前記接合材A1 は、台座11の下面及び側面とインナーチューブ5の切り欠き部9の内壁面との隙間を封止することで、台座11の固定を図っている。これに加えて、台座11及びセンサチップ10の基端部寄り領域において前記接合材A1 は上方にも回り込み、インナーチューブ5の貫通孔を非貫通状態に封止している。従って、インナーチューブ5の内部において切り欠き部9よりもやや基端寄りの位置に、圧力障壁16が形成された状態となっている。この圧力障壁16はセンサチップ10から引き出されたボンディングワイヤ15を全体的に封止している。そして、この圧力障壁16によりアウターチューブ4内に媒体収容空間17が区画され、その中には圧力伝達媒体としてのシリコーンゲル18が充填されている。なお、前記圧力障壁16はシリコーンゲル18のチューブ2基端側への流動を阻止する役割を果たしている。
【0027】
センサアセンブリ3を構成する各部材のうち外部に露出しているものは、生体適合性材料によって形成されていることが望ましい。よって、本実施形態ではアウターチューブ4をSUS304製にし、ピストン7をPTFE(ポリテトラフロロエチレン)製にし、さらに封止材8をシリコーン樹脂製にしている。また、センサアセンブリ3とカテーテルチューブ2との接合部位を接着している接着剤20も、シリコーン樹脂等の生体適合性材料からなることが望ましい。
【0028】
図3(b),図3(c)に示されるように、カテーテルチューブ2は、チューブ2の軸線方向に沿って同チューブ2内を2つの領域に分割する分離壁21を有している。そして、この分離壁21により、フラットケーブル13を収容するための断面半円状の信号線用ルーメン22と、薬液としての造影剤等を供給するための断面半円状の薬液供給用ルーメン23とが区画されている。この薬液供給用ルーメン23はカテーテルチューブ2の外周面にて開口する透孔24を持っており、造影剤はその透孔24を介してチューブ2の外周面側に供給されるようになっている。なお、薬液供給用ルーメン23の先端側開口は封止栓25によって封止されている。
【0029】
上記のようなセンサアセンブリ3は、例えば以下の手順により作製される。まず、台座11にセンサチップ10を搭載した後、センサチップ10とフラットケーブル13とをワイヤボンディングする。次に、フラットケーブル13をインナーチューブ5内に挿通させる。そして、切り欠き部9に台座11を配置し、かつ後に接合材A1 となる流動状物質をインナーチューブ5の切り欠き部9の所定部位に充填する。次いで、ヒータ等の熱により流動状物質を硬化させる。その結果、台座11及びセンサチップ10が切り欠き部9の内壁面に固定されるとともに、切り欠き部9よりも基端寄りの位置に圧力障壁16が形成される。
【0030】
続いて、前記インナーチューブ5をアウターチューブ4の小径部4b側の開口から嵌入させる。この後、アウターチューブ4の大径部4a側の開口を介して、アウターチューブ4の内部にシリコーンゲル18を充填する。さらに、前記開口をピストン7で封止した後、接合部位を封止材8で封止する。
【0031】
このようにして得られたセンサアセンブリ3は、さらに以下のようにして既存のカテーテルチューブ2の先端側に取付けられる。まず、フラットケーブル13をカテーテルチューブ2の信号線用ルーメン22内に挿通させておく。次いで、センサアセンブリ3を構成するアウターチューブ4の小径部4bをカテーテルチューブ2の先端側開口から挿入するようにして嵌着させ、さらに両者2,4の接合部位を接着剤20によって接着する。
【0032】
次に、上記のセンサアセンブリ3を備えた本実施形態のカテーテル1によるセンシングについて説明する。
カテーテルチューブ2の先端の進行方向前方の状況が変わった場合、チューブ2の挿入抵抗が変化し、それに伴ってピストン7に作用する圧力も変化する。例えば、チューブ2が挿入されている血管の内部に障害物(血栓や腫瘍など)や狭窄部位がある場合には、センサアセンブリ3の頭部が同部位に押し付けられることにより、挿入抵抗が増加する。従って、ピストン7に作用する圧力も、それに伴って増加する。このような変化が起きた場合、媒体収容空間17内に充填されているシリコーンゲル18の圧力が増加し、その結果としてセンサチップ10の肉薄部分に加わる圧力も増加する。つまり、センサアセンブリ3の外部で起こった圧力の変化は、シリコーンゲル18を介してセンサチップ10に間接的に伝達される。すると、センサチップ10の肉薄部分の歪みが大きくなり、その上にある歪みゲージ12の抵抗値に変化が生じる。そして、このときセンサチップ10は、圧力の変化を電気信号として外部に出力する。この出力された電気信号は、ボンディングワイヤ15及びフラットケーブル13を介してチューブ2の基端部にある電気回路に入力・処理され、それによって可視化される。よって、オペレータは、その可視化されたデータを判断材料として、進行方向前方の状況、即ち障害物や狭窄の有無等を確実に検知することができる。つまり、オペレータは、上記の場合にワイヤを操作することによって、圧力が減少するような方向にセンサアセンブリ3の頭部を向ければよいことになる。また、このセンサアセンブリ3は、上記のような事項をセンシングするためばかりでなく、例えば血圧等を測定するため等にも使用することが可能である。また、センサアセンブリ3の位置をより詳細に把握するために血管の造影を行う場合には、薬液供給用ルーメン23に造影剤を供給して透孔24からその造影剤を吐出させればよい。もっとも、薬液供給用ルーメン23に造影剤以外の液体、例えば血栓溶解剤などの医薬品等を供給してもよい。さらに、前記薬液供給用ルーメン23を介して血液等を採取することも可能である。
【0033】
さて、本実施形態において特徴的な作用効果を以下に列挙する。
(イ)本実施形態のカテーテル1であると、上述したように、カテーテルチューブ2の先端を血管内の所望の部位まで確実に誘導することができる。それに加え、本実施形態では、流動状物質を充填しかつ硬化させてなる接合材A1 の一部が、圧力障壁16を兼ねたものとなっている。このため、小径のカテーテルチューブ2であっても、その内部が従来の固体状の圧力障壁に比べて隙間なく確実に閉塞される。従って、カテーテル1の小径化に適した構造とすることができる。そして、このような圧力障壁16によってシリコーンゲル18のチューブ2基端方向への流動が阻止される結果、同方向へのいわゆる圧力の逃げが阻止される。従って、受圧部であるピストン7に作用する圧力の増加分と、シリコーンゲル18の圧力の増加分との差が小さくなる。それゆえ、正確な圧力を感圧手段としてのセンサチップ10に伝達することができ、センシング感度が向上する。
【0034】
(ロ)また、本実施形態では接合材A1 が上記のように圧力障壁16を兼ねるものであることから、部品点数の削減が図られ、ひいては低コスト化を達成することができる。
【0035】
(ハ)このカテーテル1では、あらかじめ別体として作製されたインナーチューブ5やアウターチューブ4を含むセンサアセンブリ3が用いられている。そのため、センサアセンブリ3を既存のカテーテルチューブ2の先端側に嵌着するだけで、所望のカテーテル1を得ることができる。このため、センサ部を構成する各要素をカテーテルチューブ2内に直接組み込んでいた従来とは異なり、製造が容易なカテーテル1とすることができる。
【0036】
(ニ)本実施形態では、極めて小型な半導体式圧力センサチップ10が感圧手段として利用されている。このため、他の感圧方式を採用した場合に比べて、センサアセンブリ3自体の小径化を図ることができ、かつ実用に耐えうるものとすることができる。さらに、インナーチューブ5の先端側に切り欠き部9が設けられているため、センサチップ10を台座11に載置した状態のものを接合材A1 を用いてインナーチューブ5に比較的簡単に固定することができる。従って、製造の容易なカテーテル1とすることができる。
【0037】
(ホ)このカテーテル1に使用されている接合材A1 はエポキシ樹脂という好適な絶縁性を持つ材料であり、それによってボンディングワイヤ15が全体的に封止されている。ゆえに、ボンディングワイヤ15の部分におけるショートが未然に回避され、故障が起きにくくなる。従って、生体での使用に適したカテーテル1とすることができる。
【0038】
(ヘ)このカテーテル1に使用されている接合材A1 は他の樹脂と比べて硬質なエポキシ樹脂であるため、それに伴い圧力障壁16も硬質なものとなっている。このため、圧力が加わったときでも変形が殆ど生じない。よって、チューブ2の基端方向への圧力の逃げがより確実に阻止され、正確な圧力をセンサチップ10に伝達することができる。このことはセンシング感度のいっそうの向上に貢献する。また、接合材A1 はエポキシ樹脂という生体適合性の材料からなるため、生体に対する適合性の高いカテーテルを実現することができる。よって、生体での使用に適したカテーテル1とすることができる。
【0039】
(ト)このカテーテル1では、センサアセンブリ3の外部に露出している部材4,7,8が生体適合性材料によって形成されている。このため、センサアセンブリ3が血液等のような生体内物質等に接触することがあっても、血管内に血栓等を引き起こすことはない。よって、このカテーテル1は生体に対する適合性が高く、生体での使用に適したものとなっている。
【0040】
なお、本発明は上記の実施形態のみに限定されることはなく、例えば次のように変更することが可能である。
(1)図4(a)に示される別例1のカテーテル31のセンサアセンブリ32は、実施形態のセンサアセンブリ3からちょうどアウターチューブ4を省略したような構造となっている。センサアセンブリ32を構成するチューブ部材としてのインナーチューブ5は、既存のカテーテルチューブ2内に完全に挿入されるようにして嵌着されている。インナーチューブ5内には実施形態と同じ接合材A1 により圧力障壁16が形成されている。また、ピストン7はカテーテルチューブ2の先端側開口を封止している。このような別例1であっても、センシング精度が高く、しかも小径化に適した構造のセンサ機構付きカテーテル31となる。また、アウターチューブ4が不要になる分だけ構造の簡略化が図られ、しかもカテーテル31のさらなる小径化を図ることが可能となる。
【0041】
(2)図4(b)に示される別例2のカテーテル41では、チューブ部材を何ら使用することなしにセンサ部42が構成されている。即ち、既存のカテーテルチューブ2内にじかに台座11及びセンサチップ10が配置されるとともに、実施形態や別例1と同じ接合材A1 により内部に圧力障壁16が形成されている。このような別例2であっても、センシング精度に優れ、ある程度小径化に適した構造のセンサ機構付きカテーテル41とすることができる。
【0042】
(3)接合材A1 は、a)絶縁材料からなること、b)硬質であること、c)生体適合性の材料からなること、という3つの要件を全て満たしていないものであっても許容される。例えばaとb、またはaとc、またはbとcという2つの要件のみを満たすものでもよい。さらに、aのみ、bのみ、cのみを満たすものでも、ある程度の使用が可能である。
【0043】
(4)圧力伝達媒体としてのシリコーンゲル18に代えて、シリコーン以外のゲル状物質を選択してもよく、さらにはシリコーンオイル等のような流動性のある物質を使用してもよい。なお、いわゆる媒体に「おどり」現象が起こりにくいということを鑑みると、シリコーンゲル18のようなゲル状物質を選択することがより好ましい。
【0044】
(5)抜け止め溝6に代えて、例えば突起等の凹凸構造を形成することにより抜け止めを図ってもよい。
ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
【0045】
(1) 請求項1〜5のいずれか1項において、前記接合材はエポキシ樹脂であることを特徴とするセンサ機構付きカテーテル。この構成であると、センシング精度が高くしかも小径化に適した構造で、製造が容易で故障が起きにくく生体での使用に適したセンサ機構付きカテーテルを実現できる。
【0046】
(2) 請求項2〜5のいずれか1項において、前記チューブ部材は前記カテーテルチューブ内に完全に挿入されるようにして嵌着されることを特徴とするセンサ機構付きカテーテル。この構成であると、構造の簡略化及びカテーテルのさらなる小径化を図ることも可能になる。
【0047】
(3) 受圧部と圧力伝達媒体と感圧手段とを有し、カテーテルチューブの先端側に配置され、圧力変動を検知するセンサ機構付きカテーテル用センサアセンブリであって、前記センサ部は、前記カテーテルチューブと別体として形成されかつ同カテーテルチューブの先端側に対して嵌着されるチューブ部材を含み、前記チューブ部材内にて前記感圧手段を固定させている接合材は、流動状封止材料を充填しかつ硬化させたものであって、前記圧力伝達媒体のチューブ基端側への流動を阻止する圧力障壁を兼ねることを特徴とするセンサ機構付きカテーテル用センサアセンブリ。このセンサアセンブリを用いれば、本発明の優れたカテーテルを確実にかつ容易に製造することができる。
【0048】
なお、本明細書中において使用した技術用語を次のように定義する。
「生体適合性材料:血液、体液、リンパ液、その他の生体内物質との反応性が低い材料をいい、例えばシリコーン樹脂やポリ塩化ビニル等の樹脂、ステンレスや金等の金属、アルミナやジルコニア等のセラミックスなどがある。」
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、センシング精度が高く、しかも小径化に適した構造のセンサ機構付きカテーテルを提供することができる。また、本発明によれば、部品点数の削減及び低コスト化も達成することができる。
【0050】
請求項2に記載の発明によれば、センサ部を構成する各要素をカテーテルチューブ内に直接組み込んでいた従来とは異なり、製造が容易なカテーテルを提供することができる。
【0051】
請求項3に記載の発明によれば、小径化及び実用性の向上を図ることができるとともに、製造の容易なカテーテルとすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、故障が起きにくく生体での使用に適したカテーテルとすることができる。
【0052】
請求項5に記載の発明によれば、センシング感度がいっそう向上するとともに、生体適合性が高いため生体での使用に適したカテーテルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した血管用カテーテルのセンサアセンブリを構成するアウターチューブ及びピストンを示す斜視図。
【図2】同じくセンサアセンブリを構成するインナーチューブ、台座、センサチップ等を示す斜視図。
【図3】(a)は前記カテーテルの先端部分の断面図、(b)は(a)におけるA−A線断面図、(c)は(a)におけるB−B線断面図。
【図4】(a)は別例1のカテーテルの先端部分を示す断面図、(b)は別例2のカテーテルの先端部分を示す断面図。
【図5】従来例のカテーテルの先端部分を示す断面図。
【符号の説明】
1,31,41…センサ機構付きカテーテル、2…カテーテルチューブ、3,32…センサ部としてのセンサアセンブリ、4…チューブ部材としてのアウターチューブ、5…チューブ部材としてのインナーチューブ、7…受圧部としてのピストン、9…切り欠き部、10…感圧手段としての半導体式圧力センサチップ、11…台座、15…ボンディングワイヤ、16…圧力障壁、18…圧力伝達媒体としてのシリコーンゲル、42…センサ部、A1 …接合材。
Claims (5)
- 受圧部と圧力伝達媒体と感圧手段とを有するセンサ部がカテーテルチューブの先端側に配置され、そのセンサ部にて圧力変動が検知されるようになっているセンサ機構付きカテーテルにおいて、
前記センサ部内にて前記感圧手段を固定させている接合材は、流動状物質を充填しかつ硬化させたものであって、前記圧力伝達媒体のチューブ基端側への流動を阻止する圧力障壁を兼ねることを特徴とするセンサ機構付きカテーテル。 - 前記センサ部は前記カテーテルチューブと別体として形成されかつ同カテーテルチューブの先端側に対して嵌着されるチューブ部材を含み、前記感圧手段は前記接合材によって同チューブ部材の内壁面に固定されるとともに、前記接合材は前記チューブ部材の貫通孔を非貫通状態に封止していることを特徴とする請求項1に記載のセンサ機構付きカテーテル。
- 前記感圧手段は半導体式圧力センサチップであり、そのセンサチップは台座に載置された状態で前記チューブ部材の先端側に設けられた切り欠き部に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のセンサ機構付きカテーテル。
- 前記接合材は絶縁材料からなり、少なくとも前記センサチップから引き出されたボンディングワイヤを全体的に封止することを特徴とする請求項3に記載のセンサ機構付きカテーテル。
- 前記接合材は硬質であって生体適合性の材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ機構付きカテーテル。
Priority Applications (2)
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