JP3637049B2 - 放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法に関し、詳しくは、オリジナル画像信号を処理して該オリジナル画像よりもダイナミックレンジの狭い画像を担持する画像信号を得る放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法の改善技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放射線画像において、画像領域内の微細構造の観察適正を確保しつつ、濃度域を圧縮する方法として、例えば特許文献1に開示されるようなものがある。
【0003】
前記特許文献1に開示される圧縮方法は、各画素点に対応して該各画素点を含む所定マスク領域内のオリジナル画像信号Sorgを平均化することで非鮮鋭マスク信号(ボケマスク信号)Susを求め、この非鮮鋭マスク信号Susが増大するにつれて単調減少する関数をf(Sus)としたときに、ダイナミックレンジが圧縮された処理済み画像信号Sprocを、Sproc=Sorg+f(Sus)として得るものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−222577号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のダイナミックレンジ圧縮方法によると、被写体のダイナミックレンジに関わらず、一定の圧縮度合いでダイナミックレンジを圧縮していたため、例えば、標準よりも痩せた人の胸部画像における低濃度部分の圧縮処理では過剰圧縮となって、縦隔部分の濃度が高くなり、診断性能を低下させることになり、逆に、太った人の場合には、圧縮が不足して縦隔部分が白く潰れるという問題が生じる可能性があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、放射線画像のダイナミックレンジの圧縮方法において、被写体の違いや撮影部位の違いによって圧縮度合いに過不足が生じることを回避できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、オリジナル画像信号Sorgを処理して前記オリジナル画像よりもダイナミックレンジの狭い画像を担持する処理済み画像信号Sprocを得る放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法において、前記被写体のオリジナル画像のダイナミックレンジの情報と、被写体の撮影部位の情報との少なくとも一方に応じてダイナミックレンジの圧縮度合いを変化させると共に、前記ダイナミックレンジの圧縮度合いの最大値を設け、該最大値を越える圧縮度合いの設定を禁止するようにした。
【0008】
かかる構成によると、被写体の違いによって圧縮度合いが過不足とならないように、被写体のオリジナル画像のダイナミックレンジの情報と、被写体の撮影部位の情報との少なくとも一方に応じてダイナミックレンジの圧縮度合いを変化させる。また、被写体のダイナミックレンジの情報などに基づいて圧縮率(圧縮度合い)を変化させる場合には、圧縮率の最大値を予め設定しておき、該最大値を越える圧縮率が設定された場合には、圧縮率が前記最大値に制限され、最大値を越える圧縮率の設定ができなくなる。
【0009】
請求項2記載の発明では、各画素点に対応して非鮮鋭マスク信号Susを求め、該非鮮鋭マスク信号Susの関数である補正値f1(Sus)によってオリジナル画像信号Sorgを補正することで前記処理済み画像信号Sprocを得る構成とした。
【0010】
請求項3記載の発明では、前記補正値f1(Sus)が、前記非鮮鋭マスク信号Susの増大に伴って傾きが変化する特性を有する構成とした。
請求項4記載の発明では、前記ダイナミックレンジの圧縮度合いを被写体のダイナミックレンジの増大に応じて増大させる構成とした。
【0011】
請求項5記載の発明では、処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジが基準のダイナミックレンジに略一致するように前記ダイナミックレンジの圧縮度合いを変化させる構成とした。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。
一実施形態を示す図1は、本発明にかかる放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法が適用された画像処理装置を含む放射線画像読取装置を示すものであり、医療用としての人体の撮影を行う例を示す。
【0014】
ここで、放射線発生源1は、放射線制御装置2によって制御されて、被写体(人体胸部等)Mに向けて放射線(一般的にはX線)を照射する。
記録読取装置3は、被写体Mを挟んで放射線源1と対向する面に変換パネル4を備え、該変換パネル4は放射線源1からの照射放射線量に対する被写体Mの放射線透過率分布に従ったエネルギーを輝尽層に蓄積し、そこに被写体Mの潜像を形成する。
【0015】
前記変換パネル4は、支持体上に輝尽層を、輝尽性蛍光体の気相堆積、或いは輝尽性蛍光体塗料塗布によって設けてあり、該輝尽層は環境による悪影響及び損傷を遮断するために保護部材によって遮蔽若しくは被覆される。
【0016】
該輝尽性蛍光体材料としては、例えば、特開昭61−72091号公報、或いは、特開昭59−75200号公報に開示されるような材料が使われる。
光ビーム発生部(ガスレーザ,固体レーザ,半導体レーザ等)5は、出射強度が制御された光ビームを発生し、その光ビームは種々の光学系を経由して走査器6に到達し、そこで偏向を受け、更に、反射鏡7で光路を偏向させて、変換パネル4に輝尽励起走査光として導かれる。
【0017】
集光体8は、輝尽励起光が走査される変換パネル4に近接して光ファイバである集光端が位置され、上記光ビームで走査された変換パネル4からの潜像エネルギーに比例した発光強度の輝尽発光を受光する。
【0018】
9は、集光体8から導入された光から輝尽発光波長領域の光のみを通過させるフィルタであり、該フィルタ9を通過した光は、フォトマル10に入射して、その入射光に対応した電流信号に光電変換される。
【0019】
フォトマル10からの出力電流は、電流/電圧変換器11で電圧信号に変換され、増幅器12で増幅された後、A/D変換器13で画素毎のディジタルデータからなる放射線画像信号に変換される。
【0020】
そして、このディジタル放射線画像信号(オリジナル画像信号Sorg)は、マイクロコンピュータを内蔵した画像処理装置14に順次出力される。
15は画像信号を記憶させておくための画像メモリ(磁気ディスク装置)である。
【0021】
また、16は画像処理装置14から直接又は前記画像メモリ15から読み出された放射線画像信号をプリンタ17に伝送するためのインターフェイスである。
18は読取ゲイン調整回路であり、この読取ゲイン調整回路18により光ビーム発生部5の光ビーム強度調整、フォトマル用高圧電源19の電源電圧調整によるフォトマル10のゲイン調整、電流/電圧変換器11と増幅器12のゲイン調整、及びA/D変換器13の入力ダイナミックレンジの調整が行われ、放射線画像信号の読取ゲインが総合的に調整される。
【0022】
尚、前記画像処理装置14に出力させるオリジナル放射線画像信号Sorgの取得方法を、輝尽性蛍光体を励起光で走査して発光せしめた輝尽発光を光電変換して得る方法に限定するものではなく、例えば放射線フィルムの画像を、光電変換によって読み取る方法や、被写体を透過した放射線を蛍光体に照射されて蛍光に変換し、該蛍光を光電変換して読み取る方法などであっても良い。
【0023】
オリジナル放射線画像信号Sorgは、検出された放射線の強度に比例する形でも良いし、検出された放射線の強度の対数に比例する形でも良いが、後者の方が好ましい。
【0024】
ここで、前記画像処理装置14には、入力されるオリジナル画像信号Sorgのダイナミックレンジを圧縮して、オリジナル画像よりもダイナミックレンジの狭い画像を担持する処理済みの画像信号Sprocを得る画像処理機能が備えられており、かかるダイナミックレンジ圧縮のための画像処理は、以下の式に従って行われる。
Sproc=Sorg+f1(Sus)
上式で、Susは、各画素点に対応して該各画素点を含む所定マスク領域内のオリジナル画像信号Sorg を平均化することにより求められる非鮮鋭マスク信号である。
【0025】
また、オリジナル画像信号Sorgに加算されるf1(Sus)は、非鮮鋭マスク信号Susの関数として求められる補正値であり、非鮮鋭マスク信号Susの増大に応じて単調減少する。
【0026】
尚、「単調減少」とは、非鮮鋭マスク信号Susの増大に伴ってf1(Sus)が必ず減少するものである必要はなく、部分的にはSusが変化してもf1(Sus)が変化しない領域が存在しても良いこととする。
【0027】
図2は、前記補正値f1(Sus)の一例を示す図であり、この図2において補正値f1(Sus)は、Sus1点よりも大きい領域では零で、前記Sus1点から非鮮鋭マスク信号Susの減少に応じてプラス側に一定割合で増加する特性となっている。
【0028】
かかる特性を式で示すと、以下のようになる。
f1(Sus)=β(Sus1−Sus)……(Sus<Sus1)
f1(Sus)=0……(Sus≧Sus1)
本実施例では、画像信号Sorg の増大は濃度の増大を示すから、前記補正値f1(Sus)をオリジナル画像信号Sorg に加算することで、低濃度側が持ち上げられて、低濃度側の圧縮が行われる。
【0029】
かかる構成によると、非鮮鋭マスク信号Susによって平均濃度として低い領域のダイナミックレンジを圧縮するから、微細構造のコントラストをそのままにして低濃度側が圧縮された画像を得ることができる。
【0030】
更に、低濃度側における圧縮と、高濃度側における圧縮とを同時に実行させることも可能であるが、この場合、低濃度側で要求される圧縮度合いと、高濃度側で要求される圧縮度合いとが異なることが多いので、それぞれに異なる圧縮度合いを設定して低・高濃度側でそれぞれに最適なダイナミックレンジの圧縮を行わせることが好ましい。
【0031】
図3は、頭部正面画像に対して適合させた補正値f1(Sus)の特性例を示すものであり、かかる図3に示す補正値f1(Sus)の特性を式で示すと以下のようになる。
【0032】
f1(Sus)=β1(Sus1−Sus)……(Sus≦Sus1)
f1(Sus)=0……(Sus1<Sus≦Sus2)
f1(Sus)=β2(Sus2−Sus)……(Sus>Sus2)
ここで、圧縮度合いを決定する係数βを、β1=0.6、β2=0.4とした。
【0033】
更に、圧縮濃度領域を決定するSus1とSus2とは、画像内の関心領域の最大信号値をSmax、最小信号値をSminとしたときに、最大信号値Smax,最小信号値Sminの加重平均の重みkを変えて以下のようにして演算した。
【0034】
Sus1=k・Smax+(1−k)・Smin……(k=0.5)
Sus2=k・Smax+(1−k)・Smin……(k=0.9)
上記のように、高濃度側と低濃度側とでそれぞれに異なる圧縮度合いに基づいて圧縮を行わせる構成であれば、一定の傾き(係数β)を与えた場合のように、一方の濃度域では最適な圧縮がなされるが、他方の濃度域は所期の圧縮効果が得られなくなるといった問題がなく、高濃度側と低濃度側とでそれぞれに最適な圧縮を同時に行わせることができる。
【0035】
特に医療用放射線画像においては、高濃度側の圧縮度合いを低濃度側に比して小さくすることがより好ましい。
尚、上記実施例では、補正値f1(Sus)はいずれも非鮮鋭マスク信号Susの増大に伴って単調減少する1次関数として与えられる構成であったが、例えば図4に示すように傾きが変化する特性であっても良く、この場合も、低濃度側と高濃度側とでそれぞれの要求に合った圧縮度合い(傾き)を設定させるようにすれば良い。
【0036】
また、圧縮度合いは、前記係数βによって変化させる構成に限定されるものではなく、他のパラメータによって圧縮度合いを異ならせる構成としても良い。
ところで、オリジナル放射線画像Sorgのダイナミックレンジは、被写体に応じて変化するため、一定の圧縮度合いでダイナミックレンジ圧縮を行わせると、圧縮度合いに過不足を生じ、最適な圧縮処理とならない場合がある。
【0037】
そこで、本実施形態は、被写体の情報に応じて、ダイナミックレンジ圧縮の圧縮度合いや圧縮方法を変化させる構成となっている。
図5は、圧縮度合いを被写体のダイナミックレンジ(被写体情報)に応じて変化させる実施形態の基本構成を示すブロック図ある。
【0038】
ここで、オリジナル画像信号Sorg取得手段Aは、前述のように、輝尽性蛍光体を励起光で走査して発光せしめた輝尽発光を光電変換して得る方法や、放射線フィルムの画像を光電変換によって読み取る方法や、被写体を透過した放射線を蛍光体に照射されて蛍光に変換し、該蛍光を光電変換して読み取る方法などである。
【0039】
また、ダイナミックレンジ計測手段Bは、被写体のダイナミックレンジを計測する手段であり、例えば、オリジナル画像信号Sorgのヒストグラム解析から、被写体画像領域における最大信号値,最小信号値を求め、これらから被写体のダイナミックレンジを決定する。
【0040】
また、オリジナル画像のプロファイル情報から最大信号値,最小信号値を求める構成であっても良い。
更に、画像信号を用いずに被写体のダイナミックレンジを検知するものであっても良く、例えば、被写体を透過した放射線の強度分布を直接測定したり、また、前記放射線を一旦光に変換し、該光の強度分布を測定したり、更に、被写体の厚さを測定するものであっても良い。
【0041】
ダイナミックレンジ設定手段Cは、処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジをどのようにするかを設定するための手段であり、例えば、オペレータがキーボード操作によって入力・設定する構成であったり、また、装置内に既定値として記憶されているものであったり、更には、複数種の既定値の中からオペレータが選択したり、既定値をオペレータが変更して設定する構成とする。
【0042】
圧縮率決定手段Dは、後述する圧縮手段Eによってダイナミックレンジの圧縮を行うときの圧縮率を可変設定する手段である。
ここで、圧縮率は、圧縮率=(処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジ)/(オリジナル画像信号Sorgのダイナミックレンジ)として定義し、圧縮率の低下は圧縮度合いの増大を示すものとする。
【0043】
前記圧縮率決定手段Dでは、被写体のダイナミックレンジを圧縮率に変換する図6〜図8に示すような変換テーブルを備え、該変換テーブルを参照して圧縮率を決定する構成とすることができる。
【0044】
また、前記ダイナミックレンジ設定手段Cで設定される処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジ(基準ダイナミックレンジ)と、前記ダイナミックレンジ計測手段Bで計測される被写体のダイナミックレンジとの比を演算して、既定されている処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジに合わせるような圧縮率の設定を行わせる構成であっても良い。
【0045】
上記のように、被写体のダイナミックレンジに応じて圧縮率を変化させる構成とすれば、被写体(人体)の体格の差によって圧縮率に過不足が生じたり、処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジが大きくばらつくことを回避でき、安定した処理済み画像を提供できる。
【0046】
圧縮手段Eは、非鮮鋭マスク信号Susの関数である補正値f1(Sus)でオリジナル画像信号Sorgを補正することで、ダイナミックレンジが圧縮された処理済み画像信号Sprocを得る構成とすることができ、Sproc=Sorg−f1(Sus)とした場合には、前記補正値f1(Sus)は非鮮鋭マスク信号Susの増加に応じて単調増加する関数であり、また、Sproc=Sorg+f1(Sus)とした場合には、前記補正値f1(Sus)は非鮮鋭マスク信号Susの増加に応じて単調減少する関数である。
【0047】
前記補正値f1(Sus)は、具体的には、例えばf1(Sus)=β(Sus−Sus1)として与えられる。
ここで、前記係数β(0≦β≦1.0)を変化させることで圧縮率が変化することになり、上記式では圧縮率=(1−β)/1となるから、設定された圧縮率から前記係数βを求めることで、設定された圧縮率に応じた処理を行わせることができる。
【0048】
尚、前記圧縮率決定手段Dで圧縮率を決定させる代わりに、前記係数βを直接決定させる構成としても良い。
また、前記圧縮手段Eは、非鮮鋭マスク信号Susを用いる構成の他、畳み込み演算によって圧縮を行うものであっても良い。
【0049】
図9は、被写体のダイナミックレンジに応じて圧縮率を変更すると共に、圧縮条件を撮影部位(被写体情報)の解析結果に基づいて決定する実施形態の基本構成を示すブロック図である。
【0050】
尚、前記図5のブロック図と同一要素には同一符合を付して詳細な説明を省略する。
この図9において、撮影部位解析手段Fは、オリジナル画像信号Sorgに基づいて被写体の撮影部位を解析する手段であり、例えばヒストグラム解析,輪郭抽出,プロファイル解析などの公知の撮影部位解析方法を用いることができる。
【0051】
また、ニューラルネットワークを用いた認識などを適用しても良く、更には、これらの解析方法の組み合わせによって撮影部位を解析させる構成であっても良い。
【0052】
圧縮条件決定手段Gは、前記撮影部位解析手段Fで解析された撮影部位に応じてダイナミックレンジを圧縮する画像処理における各種の条件を決定する手段であり、具体的には、以下のような条件を決定する。
【0053】
a.圧縮手段Eで用いる圧縮方法……非鮮鋭マスク方法又は畳み込み演算法(コンボリュージョン法)のいずれを選択するかを、撮影部位に応じて選択する。b.補正関数形……例えば非鮮鋭マスク法を用いる場合で、信号補正関数f1(Sus)がf1(Sus)=β(Sus1−Sus)として与えられる場合には、前記係数β又は基準値Sus1の値を、撮影部位に応じて変化させる。尚、係数βやSus1を変えることでダイナミックレンジ圧縮の度合いやダイナミックレンジ圧縮の適用範囲が変化する。
【0054】
c.処理後の画像信号のダイナミックレンジ……撮影部位毎に、処理後のダイナミックレンジの既定値を複数記憶しておき、解析された撮影部位に応じて前記記憶値の中から選択する。又は、撮影部位毎に、被写体のダイナミックレンジを圧縮率に変換するテーブルを複数備え、解析された撮影部位に応じて前記複数の変換テーブルの中から選択する。
【0055】
上記実施形態では、撮影部位をオリジナル画像信号Sorgの信号解析によって求めるようにしたが、オペレータの操作等によって撮影部位の情報を入力する構成としても良く、かかる実施形態に対応する構成を図10のブロック図に示してある。
【0056】
この図10において、撮影部位入力手段Hは、圧縮処理の対象となっている放射線画像における撮影部位がどこであるかを示すデータを入力するための手段であり、オペレータがキーボードを操作して撮影部位情報を直接入力したり、予め設定されている処理メニューをオペレータが選択する構成とする。
【0057】
尚、前記撮影部位の情報と共に、撮影部位に応じて画像処理条件等を同時に入力させる構成とすることもできる。
圧縮条件決定手段Gでは、前記実施形態と同様に、撮影部位の情報に従って圧縮処理方法,関数形,処理後のダイナミックレンジなどを決定する。
【0058】
上記のように、被写体の撮影部位の情報に基づいて圧縮条件を可変設定させれば、撮影部位に応じた要求圧縮率の変化に対応することができ、撮影部位の変化によって圧縮率が過不足となることを回避でき、安定して最適な圧縮処理を行わせることができる。
【0059】
尚、上記のように、被写体のダイナミックレンジ情報などに基づいて圧縮率(圧縮度合い)を変化させる構成の場合には、圧縮率の最大値を予め設定しておき、被写体のダイナミックレンジ情報等に基づいて前記最大値を越える圧縮率が設定された場合には、圧縮率を前記最大値に制限し、最大値を越える圧縮率の設定を禁止する構成とすることが好ましい。
【0060】
前記実施形態において、非鮮鋭マスクのマスクサイズ或いは周波数特性は画像の診断性を左右する重要なパラメータである。
ダイナミックレンジ圧縮処理では、被写体の大まかな構造の変化(肺野部,縦隔部などの滑らかな信号差)に対応する超低周波数成分のみを非鮮鋭マスク信号Susとして抽出し、Susに基づいて補正値f1(Sus)を設定することによって、細かい構造物の変化(骨,血管など)を維持しつつ、全体の濃度範囲を圧縮することができるのである。
【0061】
マスクサイズが小さいと、非鮮鋭マスク信号Susが被写体の大まかな変化に対応する超低周波数成分だけでなく、細かい構造物の変化に相当する周波数成分をも含んでしまい、非鮮鋭マスク信号Susに基づく補正値を加算することによって細かい構造物の変化が打ち消されて骨や血管などのコントラストが低下してしまう。
【0062】
一方、マスクサイズが大きいと前述のように信号値の変化が急激な部分での非鮮鋭画像のエッジ切れが悪くなり、圧縮を行いたい領域と行いたくない領域との境界付近で望まない圧縮が施されてしまう。
【0063】
また、マスクサイズを更に大きくし過ぎると、被写体の大まかな変化に相当する周波数成分までも失ってしまう(極端な場合全く平坦な画像になってしまう)ので、非鮮鋭マスク信号Susに基づく補正値を加算してもダイナミックレンジ圧縮効果が得られなくなる。
【0064】
以上のような観点で発明者が検討した結果、マスクサイズの大きさは等身大画像上の長さで10mmから60mmが好ましく、より好ましくは15mmから30mmであり、最も好ましくは20mmから30mmであることを見出した。
【0065】
マスクサイズが10mmよりも小さいと、細かい構造物の変化に対応する周波数成分が急激に増加するので、このようなマスクサイズで求めた非鮮鋭マスク信号Susに基づいて補正値を設定すると、著しく診断性能が低下してしまう。
【0066】
また、特に、胸部画像や腹部画像においては、マスクサイズを15mm以上にすれば、Susは大動脈などの太い血管に対応する周波数成分を持たなくなり、マスクサイズを20mm以上にすればSusは肋骨などに対応する比較的低周波数であるが、コントラストを下げたくない周波数成分を含まなくなるので、診断性能の高い画像が得られる。
【0067】
ここでマスクサイズは、矩形ならば短辺の長さと長辺の長さの平均値、正方形なら一辺の長さ、円ならば直径、楕円ならば長径と短径の平均値を指す。
また、マスクサイズのかわりに非鮮鋭マスクのもつ周波数特性で記述すると、非鮮鋭マスクの変調伝達関数が0.01サイクル/mmのとき0.5以上かつ0.06サイクル/mmのとき0.5以下であることが好ましく、より好ましくは0.02サイクル/mmのとき0.5以上かつ0.04サイクル/mmのとき0.5以下、更に好ましくは0.02サイクル/mmのとき0.5以上かつ0.03サイクル/mmのとき0.5以下である。
【0068】
尚、本発明のように非鮮鋭マスク信号Susを求めるための平均化処理において、マスク領域内における中心画素と周辺画素との信号差の絶対値に応じた重み付けを行う、及び/又は、マスク領域内における中心画素と周辺画素との位置関係に応じた重み付けを行うことにより、信号値の変化が急激な部分での非鮮鋭画像のエッジ切れの劣化を防ぐことができ、好ましいマスクサイズの範囲が10mm〜60mmであったのを10mm〜80mmに広げることができる。
【0069】
更に本発明において、非鮮鋭マスク信号Susの関数である補正値f1(Sus)の絶対値の最大値は被写体の関心領域のダイナミックレンジの1/8から1/2であることが好ましい。
【0070】
例えば、被写体の関心領域のダイナミックレンジが2桁であるとき、圧縮補正量の絶対値の最大値は1/4桁から1桁であることが好ましい。
また、補正値f1(Sus)が、β(Sus1−Sus)の様に非鮮鋭マスク信号Susの一次関数で表されるとき、その傾きであって圧縮度合いを決めるβの好ましい範囲は0.2〜1.0であり、より好ましくは0.4〜0.8である。
【0071】
補正量が小さすぎるとダイナミックレンジ圧縮効果が現れず、一方、補正量が大きすぎるとオリジナル画像における領域毎の濃度の大小関係が逆転して(例えば肺野の平均濃度よりも縦隔部の平均濃度の方が高くなって)しまい、診断に耐えない画像になってしまう。
【0072】
例えば、上記一次関数の傾きβを1より大きくした場合このような問題が起こる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法によると、被写体のダイナミックレンジや撮影部位などの情報に基づいて、圧縮特性を変化させるようにしたので、被写体の違いや撮影部位の違いによって圧縮度合いの過不足を生じたりすることを回避できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される放射線画像読取処理装置を示すブロック図。
【図2】非鮮鋭マスク信号に応じた補正値の関数形の一例を示す線図。
【図3】高・低濃度側で圧縮を行う補正値の特性例を示す線図。
【図4】高・低濃度側で圧縮を行う補正値の特性例を示す線図。
【図5】被写体情報に応じて圧縮特性を変化させる実施形態のブロック図。
【図6】被写体のダイナミックレンジに応じた圧縮率特性例を示す線図。
【図7】被写体のダイナミックレンジに応じた圧縮率特性例を示す線図。
【図8】被写体のダイナミックレンジに応じた圧縮率特性例を示す線図。
【図9】被写体情報に応じて圧縮特性を変化させる実施形態のブロック図。
【図10】被写体情報に応じて圧縮特性を変化させる実施形態のブロック図。
【符号の説明】
1…放射線発生源
3…記録読取装置
14…画像処理装置
15…画像メモリ
16…インタフェイス
17…プリンタ
Claims (5)
- 被写体を透過した放射線画像情報に基づくオリジナル画像を表すオリジナル画像信号Sorgを処理して前記オリジナル画像よりもダイナミックレンジの狭い画像を担持する処理済み画像信号Sprocを得る放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法において、
前記被写体のオリジナル画像のダイナミックレンジの情報と、被写体の撮影部位の情報との少なくとも一方に応じてダイナミックレンジの圧縮度合いを変化させると共に、
前記ダイナミックレンジの圧縮度合いの最大値を設け、該最大値を越える圧縮度合いの設定を禁止することを特徴とする放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法。 - 各画素点に対応して非鮮鋭マスク信号Susを求め、該非鮮鋭マスク信号Susの関数である補正値f1(Sus)によってオリジナル画像信号Sorgを補正することで前記処理済み画像信号Sprocを得る構成であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法。
- 前記補正値f1(Sus)が、前記非鮮鋭マスク信号Susの増大に伴って傾きが変化する特性を有することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法。
- 前記ダイナミックレンジの圧縮度合いを、被写体のダイナミックレンジの増大に応じて増大させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法。
- 前記処理済み画像信号Sprocのダイナミックレンジが基準のダイナミックレンジに略一致するように前記ダイナミックレンジの圧縮度合いを変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の放射線画像のダイナミックレンジ圧縮方法。
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