JP3631460B2 - 新規なジ(メタ)アクリル酸エステルおよびその(共)重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なジ(メタ)アクリル酸エステルおよびその(共)重合体に関し、さらに詳しくは、アクリル樹脂、熱硬化型樹脂、光、紫外線や電子線、X線などのエネルギー線で硬化する樹脂、エネルギー線硬化型コーティング材料、エネルギー線硬化型接着剤、印刷版用感光性樹脂、プリント基板用フォトレジスト材料、半導体用フォトレジスト材料、光・紫外線・電子線硬化型塗料・インキ材料、光重合型歯科衛生材料、酵素・微生物固定用光硬化性樹脂、光学機能材料、光ファイバー用コーティング材料、プラスチック光ファイバー材料、光学レンズ材料、光ディスク用コーティング材料、UV光学接着剤、光路接合用光学接着剤、液晶ディスプレイ基板材料、プラズマディスプレイ封止材料、有機ELディスプレイ封止材料など各種ディスプレイ材料などの原料モノマーとして使用することにより、耐熱性、可撓性、耐薬品性、低吸水性、密着性、電気絶縁性、耐ドライエッチング性などの性能の向上を図ることができる新規なジ(メタ)アクリル酸エステルおよびその(共)重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ジ(メタ)アクリル酸エステルは、上記に示した分野に広く使用されており、中でも熱や光、紫外線、電子線などのエネルギー線を照射して硬化する硬化型材料の原料モノマーとして使用されている。
【0003】
また、第3級ジ(メタ)アクリル酸エステルは、近年、半導体の超微細加工のためのフッ化クリプトン(以下KrFと表す)やフッ化アルゴン(以下ArFと表す)、フッ素ダイマー(以下F2と表す)などのエキシマレーザー用フォトレジスト原材料や、EUV用フォトレジスト原材料として注目されている。
【0004】
熱やエネルギー線で硬化する樹脂のモノマーとして使用されるジ(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
【0005】
しかしながら、これらの化合物は、耐熱性、可撓性、耐薬品性、低吸水性、密着性、電気絶縁性などの性能が必ずしも満足するものではなかった。
【0006】
また、フォトレジスト用原材料としては、t−ブチルアクリレートなどの第3級(メタ)アクリル酸エステルが感光性ポリマーの保護基として用いられている。このフォトレジスト材料には、第3級(メタ)アクリル酸エステルを単独で重合させるか、または、ヒドロキシスチレンやブトキシスチレン、スチレン、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分と共重合させて得られるポリマーが使用されている。
【0007】
しかしながら、従来の化合物から得られるポリマーは、エキシマレーザー用フォトレジスト材料としての高解像度付与性、耐ドライエッチング性、レジストの透明性、基板などとの密着性などの性能が必ずしも満足するものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたもので、熱やエネルギー線で硬化する樹脂のモノマーとして、耐熱性、可撓性、耐薬品性、低吸水性、密着性、電気絶縁性などの性能に優れ、フォトレジスト材料としての高解像度付与性、耐ドライエッチング性、レジストの透明性、基板などとの密着性などの性能に優れた、新規なジ(メタ)アクリル酸エステルおよびその(共)重合体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(1)に示す環状テルペン基を有する新規なジ(メタ)アクリル酸エステルに関する。
ここで、上記ジ(メタ)アクリル酸エステルは、第3級エステルであることが好ましい。
また、本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、Tが下記式(2)で表されるパラメンタニル基であることが好ましい。
さらに、本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(3)に示すp−メンタン−1,8−ジオールジ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
【0010】
【化4】
【0011】
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
(上記式中、Tは環状テルペン基、X1,X2は互いに同一または異なりメチル基または水素原子を表す。)
また、本発明は、上記ジ(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、該ジ(メタ)アクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他のモノマーを(共)重合して得られる、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が2,000〜100,000の(共)重合体に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、上記式(1)で表される化合物で、環状のテルペン基を有し、そのテルペン基に2個の(メタ)アクリル酸エステル基が結合した化合物である。
【0015】
本発明の化合物に用いられる環状のテルペン基Tとしては、炭素数10のモノテルペン基、炭素数15のセスキテルペン基、炭素数20のジテルペン基などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でモノテルペン基が好ましく用いられる。モノテルペン基の具体例としては、下記式(4)で表される。例えばパラメンタニル基、メタメンタニル基、オルソメンンタニル基、ボルニル基、イソボルニル基、ツジャニル基、カラニル基、ピナニル基などが挙げられるが、パラメンタニル基が好ましく用いられる。
【0016】
【化7】
【0017】
本発明の化合物に用いられる環状のテルペン基がパラメンタニル基である新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、上記式(2)で表される化合物で、そのパラメンタニル基に2個の(メタ)アクリル酸エステル基が結合した化合物である。
【0018】
本発明の化合物に用いられる環状のテルペン基がパラメンタニル基である新規なジ(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、上記式(3)で表されるp−メンタン−1,8−ジオールジ(メタ)アクリレートや、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明の上記式(1)で表される新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、第3級エステルが好ましく用いられる。その具体例として、上記式(3)で表されるp−メンタン−1,8−ジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0020】
本発明の、上記式(1)で表される新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、通常、下記式(5)で表されるジアルコールをエステル化することにより製造することができる。
【0021】
【化8】
(式中、Tは環状テルペン基を表す。)
【0022】
そのエステル化の方法は、通常行われているエステル化方法により行うことができる。
すなわち、エステル化触媒および溶媒の存在下、ジアルコールと低級アルコール(メタ)アクリル酸エステルをエステル交換反応させ、生成する低級アルコールを除くことにより、目的とするジ(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。
【0023】
その際、低級アルコール(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどが用いられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸メチルが用いられる。
ジアルコールと低級アルコール(メタ)アクリル酸エステルとの反応(仕込)モル比は、特に限定されないが、通常、ジアルコール/低級アルコール(メタ)アクリル酸エステル=0.01〜20/1、好ましくは、0.1〜10/1である。反応モル比が0.01/1未満または20/1を超えると、反応の効率が悪くなり好ましくない。
【0024】
エステル化触媒としては、塩酸、硫酸などの酸触媒、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの塩基触媒、金属アルコラート触媒、有機スズ化合物触媒などが用いられるがこれらに限定されない。エステル化触媒の使用量は、特に限定されないが、ジアルコールおよび低級アルコール(メタ)アクリル酸エステル合計量に対して、通常、0.001重量%〜20重量%で、好ましくは0.01重量%〜10重量%である。0.001重量%未満だと、エステル化反応の進行が遅く効率が悪くなり、一方、20重量%を超えると、副反応が顕著となるため好ましくない。
【0025】
このエステル交換反応には特に溶媒を使用しなくてもよいが、溶媒を使用してもよい。用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、n−ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶媒などが使用されるが、これらに限定されない。
そのエステル交換反応の反応温度は、特に限定されることはなく、広範囲な温度範囲で実施することが可能であるが、通常0℃〜300℃、好ましくは20℃〜200℃である。0℃未満だと、反応の進行が遅くなり、一方300℃を超えると重合などの副反応が顕著となるため好ましくない。また、反応時間は、反応温度に依存するが、通常0.1〜100時間であり、好ましくは0.2〜50時間である。0.1時間未満だと反応率が低く、一方100時間を超えてもそれ以上反応は進まないため好ましくない。
【0026】
また、第3級アルコールを含むジアルコールの場合は、第3級アルコールからのエステルの合成法により行うことができる。例えば前記した方法と同様の方法、すなわち、上記第3級アルコールを含むジアルコールと低級アルコール(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応により製造することができる。
他の方法として、第3級アルコールを含むジアルコールを(メタ)アクリル酸クロリドや(メタ)アクリル酸無水物と反応させることにより行うことができる。その際、第3級アルコールを含むジアルコールと(メタ)アクリル酸クロリドまたは(メタ)アクリル酸無水物との反応(仕込)モル比は、特に限定されないが、通常、ジアルコール/(メタ)アクリル酸クロリドまたは(メタ)アクリル酸無水物=0.01〜20/1、好ましくは、0.1〜10/1である。反応モル比が0.01/1未満または20/1を超えると、反応の効率が悪くなり好ましくない。反応温度は、特に限定されることはなく、広範囲な温度範囲で実施することが可能であるが、通常−40℃〜300℃、好ましくは0℃〜200℃である。−40℃未満だと、反応の進行が遅くなり、一方300℃を超えると重合などの副反応が顕著となるため好ましくない。反応時間は、反応温度に依存するが、通常0.1〜100時間であり、好ましくは0.2〜50時間である。0.1時間未満だと反応率が低く、一方100時間を超えてもそれ以上反応は進まないため好ましくない。
【0027】
この反応を円滑に進めるために、通常塩基性物質を使用する。塩基性物質として例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン化合物が用いられるが、これらに限定されない。
また、反応溶媒は特に用いなくてもよいが、使用することもできる。用いる溶媒として、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、n−ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エーテル類などの極性溶媒などが使用されるが、これらに限定されない。
【0028】
また第3級アルコールを含むアルコールからジ(メタ)アクリル酸エステルを合成する他の方法として、本発明者らが開発した、3級アルコールをアミン化合物の存在下、(メタ)アクリル酸および有機カルボン酸無水物と反応させる方法でも製造できる(特開2000−319226号公報)。
【0029】
本発明の上記式(1)で表される新規なジ(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、反応系に重合禁止剤を添加させてもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、フェノチアジンなどが挙げられるが、これらの重合禁止剤に限定されない。
【0030】
上記式(3)で表されるp−メンタン−1,8−ジオールジアクリレートまたはp−メンタン−1,8−ジオールジメタクリレートは、p−メンタン−1,8−ジオールのエステル化反応により製造することができる。その製造方法は、上記第3級アルコールのエステル化方法により行うことができる。また、p−メンタン−1,8−ジオールに代えて下記式(6)で表される抱水テルピンより、上記と同様の第3級アルコールのエステル化方法により製造することができる。工業的には抱水テルピンを用いる方が製造コストの面で好ましい。
【0031】
【化9】
【0032】
その製造方法としては、例えば抱水テルピン1モルに対し、0.1〜20.0倍モルのアクリル酸クロリドまたはメタクリル酸クロリドと、0.1〜30.0倍モルのアミン化合物の存在下で0〜180℃の温度で1〜50時間反応させることにより製造することができる。アクリル酸クロリドまたはメタクリル酸クロリドのモル数が0.1倍モル未満の場合、反応率が低くなりすぎ、一方、20.0倍モルを超えてもそれ以上収率の向上が認められず好ましくない。また、アミン化合物のモル数が0.1倍モル未満では、反応の進行が遅くなり、一方、30.0倍モルを超えると、反応は充分進行するが、経済的な観点などから好ましくない。さらに、反応温度が0℃未満だと反応速度が遅く経済的に不利となり、一方、180℃を超えると副反応が顕著となり、収率の低下が著しく経済的に不利となるため好ましくない。
【0033】
このとき使用されるアミン化合物としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。その際、反応溶媒は使用しなくてもよいが、芳香族炭化水素類、エーテル類、アセトニトリルなどの溶媒を使用することもできる。
【0034】
また、抱水テルピンの製造方法としては、例えばα−ピネンを鉱酸触媒で反応させることにより得られる。
【0035】
以上の本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、赤外線吸収スペクトルにより、C=C伸縮に起因する1,620cm−1付近および1,640cm−1付近のピーク、C=O伸縮に起因する1,720cm−1付近のピークにより確認することができる。
また、本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、1H−NMRチャートにより、パラメンタニル基のプロトンに起因する1.17〜2.45ppm付近のピーク、2つのCH2=CH基のプロトンに起因する5.70〜6.34ppm付近のピークにより確認することができる。
【0036】
さらに、13C−NMRチャートにより、パラメンタニル基の炭素に起因する22〜45ppm付近のピーク、エステル基と直接結合しているパラメンタニル基の三級炭素に起因する81〜85ppm付近のピーク、CH2=CH基の炭素に起因する129〜130ppm付近のピーク、エステル基のC=O基の炭素に起因する165ppm付近のピークにより確認することができる。
さらに、ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS)によって、分子量280のp−メンタン−1,8−ジオールジアクリレートが、2つのエステル基が脱離することにより分子量136になることも確認することができる。さらに、元素組成比は、元素分析により知ることができる。
【0037】
本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、反応性ビニル基を2個有しているため、従来の反応性ビニル基1個のみを有するモノ(メタ)アクリル酸エステルと比較して優れた反応性を示す。例えば、エネルギー線を照射して硬化させた場合、本発明のジ(メタ)アクリル酸エステルは反応基を2個有していることから、硬化反応により得られる(共)重合体は一部架橋構造を形成し、耐熱性、耐薬品性、耐ドライエッチング性などの性能に優れたものである。これら優れた性質は、従来のモノ(メタ)アクリル酸エステルから得られる(共)重合体では得られないものであった。
【0038】
本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、単独で重合させるか、または他のモノマー成分と共重合させることにより、(共)重合体として用いることができる。
ここで、他のモノマー成分としては、通常、ヒドロキシスチレンやブトキシスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
この(共)重合体中に含まれる本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルの構成単位の割合は、通常、他のモノマーを含めた全量に対して3〜70モル%、好ましくは5〜50モル%である。新規なジ(メタ)アクリル酸エステルの構成単位の割合が3モル%未満では、フォトレジストとしての充分な性能が得られないため好ましくなく、一方、70モル%を超えてもそれ以上の性能の向上が認められない。
【0039】
本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルから得られる(共)重合体を製造する際の重合方法としては、従来から行われている公知の方法で行うことができる。例えば、溶媒中で重合開始剤の存在下、ラジカル重合させることにより行われる。その際、溶媒としては、特に制限は無く、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンなどの炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどの塩素系溶媒などが挙げられる。また、重合開始剤としては、特に制限はなく一般に使用される重合開始剤が使用でき、例えばベンゾイルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
【0040】
本発明の(共)重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、2,000〜100,000、好ましくは5,000〜60,000、さらに好ましくは8,000〜12,000、特に好ましくは9,500〜10,000である。Mwが2,000未満では製膜性が悪化する。一方、100,000を超えると溶媒へ溶けにくくなる。また、(共)重合体の分散度(Mw/ポリスチレン換算数平均分子量)は、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3、特に好ましくは1.5〜1.8である。
本発明の(共)重合体の同定については、モノマーであるジ(メタ)アクリル酸エステルの同定と同様に、赤外線吸収スペクトル測定、1H−NMRチャート、13C−NMRチャート、質量分析装置(MS)、元素分析などにより知ることができる。
【0041】
本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル樹脂、熱硬化型樹脂、光、紫外線や電子線、X線などのエネルギー線で硬化する樹脂、エネルギー線硬化型コーティング材料、エネルギー線硬化型接着剤、印刷版用感光性樹脂、プリント基板用フォトレジスト材料、半導体用フォトレジスト材料、光・紫外線・電子線硬化型塗料・インキ材料、光重合型歯科衛生材料、酵素・微生物固定用光硬化性樹脂、光学機能材料、光ファイバー用コーティング材料、プラスチック光ファイバー材料、光学レンズ材料、光ディスク用コーティング材料、UV光学接着剤、光路接合用光学接着剤、液晶ディスプレイ基板材料、プラズマディスプレイ封止材料、有機ELディスプレイ封止材料など各種ディスプレイ材料などの原料モノマーとして使用することができるが、上記材料に限定されない。
【0042】
本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、熱や光、紫外線、電子線などのエネルギー線を照射して硬化する硬化型材料の原料モノマーとして使用することにより、耐熱性、可撓性、耐薬品性、低吸水性、密着性、電気絶縁性などの従来にない性能を付与することができる。これは、テルペン基を有することに起因する。
【0043】
また、本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、フォトレジスト用原材料として用いることができる。すなわち、本発明のジ(メタ)アクリル酸エステルのうち、少なくとも1個が第3級の(メタ)アクリル酸エステルであるジ(メタ)アクリル酸エステルを単独で重合させるか、または他のモノマー成分と共重合させて得られる(共)重合体は、KrFやArF、F2エキシマレーザー用フォトレジスト材料やEUVフォトレジスト材料としての高解像度付与性、耐ドライエッチング性、レジストの透明性、基板などとの密着性など、従来にない性能を付与することができる。また、本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、より短波長の遠紫外光や電子線、X線を用いたフォトレジストにも応用することができる。
【0044】
上記他のモノマー成分としては、上記したように、通常、ヒドロキシスチレンやブトキシスチレン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの化合物が挙げられる。
【0045】
通常、フォトレジスト材料には、第3級モノ(メタ)アクリル酸エステルが使われるが、解像度、耐ドライエッチング性などの性能が不十分であった。本発明のジ(メタ)アクリル酸エステルは、反応性ビニル基を2個有しており、誘導される(共)重合体は架橋構造となり、かつ第3級エステル基を有するため、解像性および耐ドライエッチング性に優れる。また、テルペン基を有することに由来し、レジストの透明性、基板との密着性にも優れる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部および%は、特に断らない限り、重量基準である。
【0047】
下記実施例における分析、評価は、下記の機器を使用した。
重量平均分子量;Waters社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)モデル510、ポリスチレン換算
NMR;日本電子(株)社製、JNM−LA400、周波数400MHz(溶媒;CDCl3 )
ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS);HEWLETT PACKARD社製、HP6890 GC System、カラム;HP−5MS(Crosslinked 5% Ph Me Siloxane)径0.25mm×30m、イオン化モード;EI
KrFエキシマレーザー;株式会社ニコン製、NSR−2205EX14C
ArFエキシマレーザー;株式会社ニコン製、NA055
【0048】
また、本発明のp−メンタン−1,8−ジオールジ(メタ)アクリレートから得られる共重合体の比較例として、下記の共重合体を調製した。
t−ブチルアクリレート共重合体(比較例1);
t−ブチルアクリレート、ヒドロキシスチレンおよびスチレンを、20:60:20のモル比率で10g調製し、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4gと共に、テトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解した。得られた溶液を、液体窒素で凍結し、30分間脱気を4回行った後、20℃にした。次に、窒素気流下、油温60℃で8時間加熱し、ヘキサン200mlを投入し反応を停止した。ヘキサンで再度沈殿させた後、ろ別し、真空下で溶媒を除去して、t−ブチルアクリレート共重合体8.1gを得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10,000(分散度1.7)であった。
【0049】
実施例1〔p−メンタン−1,8−ジオールジアクリレート:式(3)の製造例〕
攪拌装置および還流冷却器を取り付けた2,000mlの四つ口フラスコ中に、抱水テルピン192.2g(1.0モル、純度98%)、トルエン400g、ハイドロキノン0.3g、およびトリエチルアミン510.1g(5.0モル、純度99%)を入れて、攪拌しながら40℃に加熱し、そこへアクリル酸クロリド285.8g(3.0モル、純度95%)を3時間かけて滴下した後、80℃で2時間加熱攪拌し、反応を実施した。冷却後、反応液をn−ヘキサン中に投入し、5重量%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、上水で2回洗浄後、減圧蒸留することにより、p−メンタン−1,8−ジオールジアクリレート195.1g(沸点126〜128℃/1mmHg、抱水テルピン基準で収率68%、純度97%)を得た。また、生成物は、核磁気共鳴スペクトル分析(NMR)およびGC質量分析(GC−MS)により、p−メンタン−1,8−ジオールジアクリレートであることを確認した。図1にIRチャートを、図2に1H−NMRチャートを、図3に13C−NMRチャートを、図4にGC−MSチャートを示す。
【0050】
次に、上記のようにして得られたp−メンタン−1,8−ジオールジアクリレート、ヒドロキシスチレンおよびスチレンを20:60:20のモル比率で10g調製し、重合開始剤としてのアゾイソブチロニトリル0.4gとともに、THF50mlに溶解した。
【0051】
得られた溶液を液体窒素で凍結し、30分間脱気を4回行った後、20℃にした。次に、窒素気流下、油温60℃で8時間加熱し、ヘキサンにより反応を停止した。ヘキサンで再度沈殿させた後、濾別し、真空下で溶媒を除去して目的物である共重合体を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は、9,500(分散度1.6)であった。
【0052】
得られた共重合体を12%シクロヘキサノン溶液とした後、石英ウェハ上に1μm膜厚で塗布し、KrFエキシマレーザー光(248nm)に対する透明性を調べたところ、透過率は81%であって、比較例1のt−ブチルアクリレート共重合体の透過率68%より優れていた。
【0053】
さらに、カーボンテトラフルオリドガスによるエッチング速度をt−ブチルアクリレート共重合体(比較例1)と比較した結果、t−ブチルアクリレート共重合体のエッチング速度を1とすると、この共重合体は0.7であり、エッチング耐性が優れていた。
【0054】
なお、ドライエッチング耐性の評価は、次の条件で実施した。すなわち、カーボンテトラフルオリドの流量は12.6sccmとし、真空度は10mtorrとし、マイクロ波の出力は150Wとした。
【0055】
次に、化学増幅型レジストを合成し、その特性を調べた。得られた共重合体2g、および光酸発生剤としてのトリフェニルスルホニウムトリフレート0.03gを、2−エトキシエチルアセテート10mlに溶解した。
【0056】
これをシリコンウェハ上に0.8μm膜厚で塗布した後、100℃でプリベークした。そして、KrFエキシマレーザー露光(40mJ/cm2 )を行った後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で現像して、パターンを形成し、その特性を調べた。その結果、0.20μmのラインアンドスペースを解像することができた。また、t−ブチルアクリレート共重合体(比較例1)は、0.20μmのラインアンドスペースを解像することはできなかった。
【0057】
【発明の効果】
本発明の新規なジ(メタ)アクリル酸エステルは、熱や光、紫外線、電子線などのエネルギー線を照射して硬化する硬化型材料の原料モノマーとして、耐熱性、可撓性、耐薬品性、低吸水性、密着性、電気絶縁性などの性能に優れ、熱やエネルギー線による硬化型材料として好適に用いられる。また、フォトレジスト材料としての高解像度付与性、耐ドライエッチング性、レジストの透明性、基板などとの密着性などの性能に優れ、超微細加工が要求される半導体素子などの製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたp−メンタン−1,8−ジオールジアクリレートのIRチャートである。
【図2】実施例1で得られたp−メンタン−1,8−ジオールジアクリレートの1H−NMRチャートである。
【図3】実施例1で得られたp−メンタン−1,8−ジオールジアクリレートの13C−NMRチャートである。
【図4】実施例1で得られたp−メンタン−1,8−ジオールジアクリレートのGC−MSチャートである。
Claims (5)
- ジ(メタ)アクリル酸エステルが第3級エステルである請求項1記載の新規なジ(メタ)アクリル酸エステル。
- 請求項1〜4いずれか1項記載の新規なジ(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、該ジ(メタ)アクリル酸エステルおよびこれと共重合可能な他のモノマーを(共)重合して得られる、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が2,000〜100,000の(共)重合体。
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