JP3629533B2 - 液体金属接合熱電変換モジュール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱電変換素子を用いた熱電変換モジュールに関するものである。これらの熱電変換モジュールは、工場の廃熱回収あるいは自動車の廃熱回収にも利用される物である。
【0002】
【従来の技術】
熱電変換モジュールは、p型とn型の2種類の半導体熱電変換素子を電気的には直列、熱的には並列に接続し、各接合部間に温度差を与えた場合、起電力が発生し、外部に負荷を接続すると電流が流れて電気的出力を得ることができるものである。このように熱電変換素子を用いて熱エネルギーから電気エネルギーに変換する原理はよく知られている。
【0003】
従来の熱電変換モジュール(以下、単に「モジュール」という。)は、熱電変換素子を2次元的に配置し、各熱電変換素子を電気的絶縁性の平板にハンダ付け等の方法で固定したモジュール構成をとっていた。
【0004】
モジュールの性能は、熱電素子の材料、素子の大きさや形状、発電モジュールを構成する素子対の数に依存し、さらには、電極の大きさや形状、素子と電極の接合方法に依存する。
【0005】
たとえば、熱電材料は、ビスマステルル系熱電半導体素子を用い、素子の大きさは、3.2×3.2×1.72mmで、電極は、10.8×3.8×0.5mmの銅片。素子対の数は、18対で構成され、モジュールの大きさが50×50mmの場合、発電変換効率は、ハンダ付けの場合、3%程度である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
発電効率の向上を妨げている一つの要因は、ハンダ付けであり、ハンダの厚みが熱抵抗となり熱伝達および熱伝導を困難にし、電気抵抗も大きくなり効率を低下させている。
【0007】
また、ハンダ付けにおける「濡れ性」の良し悪しが接合評価の一つの基準となっているが、最良な方法が現在も追求されている。さらに、接続部のハンダ中にボイド(空孔)が発生した場合、発電効率の向上を妨げる熱抵抗や電気抵抗の増加を生む。しかし、現在のところ、これらの発生を防止する方法は、見出されていない。
【0008】
他方、ハンダに変わり、液体金属を使用することも考えられるが、液体金属は、ハンダ等の個体接合に比べ常温において液体であるために、化学的活性が大きく、熱電素子中に拡散し合金を形成し、熱抵抗や電気抵抗の増加を生む可能性がある。
【0009】
このための対策として、熱電素子にニッケル等の金属メッキによる保護膜が施されている。しかし、このメッキ工程は、ウエハー状の素子に対して行われるため、メッキ後に、素子を切り出すと、そのため切り出し面である素子の側面にはメッキ加工が施されない状態となる。
【0010】
そうすると、液体金属がメッキ加工のない側面から熱電素子中へ拡散し合金を形成する。このため、発電効率は、数十から百数十時間後に減少し始め、長い寿命を維持できないという問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、発電効率の向上を妨げている要因を排除するため、電極を緩やかな凸状の曲面とした。これにより、接合を受け持つ液体金属を凸部の電極が側部に押しやり、極めて薄い液体金属面を作りだし、熱抵抗や電気抵抗を改善している。
【0012】
同時に、液体金属が押し出される際に、気泡を側面に逃がす作用が働き、ボイドの発生を抑え、熱抵抗や電気抵抗を改善している。
【0013】
緩やかな凸状の曲面を持つ銅電極の作り方は、銅板を所定の大きさに加工する際に、プレス打ち抜き加工を採用しているが、製作時に生じる湾曲面を利用すればよい。
【0014】
プレス打ち抜き加工で生ずる緩やかな凸状の曲面の一例を図4、5に示す。
【0015】
寿命を長くするためには、液体金属が熱電素子の保護膜の無い部分に直接接触することを防ぐことである。過剰に塗布された液体金属は、熱電素子の保護膜の施工ができない側面へはみ出すことになる。
【0016】
塗布量を必要最小限とどめれば、液体金属の役割である熱電素子と電極の接合のみを果たし、寿命を短縮させる余剰液体金属は生じない。
【0017】
その液体金属の厚みは、20μm以下であればよく、17μm以下が好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態を示すもので熱電変換モジュールの組立前の分解斜視図である。
【0019】
図1は、平板型のモジュール全体を示し、22は、平板状の電気的絶縁性高熱伝導基板(以下「基板」という。)、23は、熱電変換素子、24,25、は電極、26,27は、格子状電極ホルダで、それぞれ透孔が格子状に形成されており、これらの透孔に電極24,25が遊嵌されて定位置に微小の範囲内で移動可能に保持されている。30は、格子状素子ホルダで、透孔が格子状に形成されており、これらの透孔に熱電変換素子23が遊嵌されて定位置に微小の範囲内で移動可能に保持されている。
【0020】
組立に際しては、あらかじめ電極24,25の熱電変換素子23に対向する面上に常温において液体の液体金属(図示せず)を綿棒等を用いて塗布しておく。熱電変換素子23の両面にも同様にして液体金属を塗布しておく。基板22上に格子状電極ホルダ27を載置し、その透孔内に電極25を遊嵌する。
【0021】
次いで、その上に格子状素子ホルダ30を載置し、その透孔内にそれぞれ熱電変換素子23を遊嵌し、その上に格子状電極ホルダ26を重ねる。その透孔のそれぞれに電極24を遊嵌させ、更に基板を重ねる。なお、基板の内面側には、必要に応じて熱伝導グリースを塗布しておく。
【0022】
最後にボルトを基板,各ホルダ26,30,27の4隅の透孔に挿通して、ナット(図示せず)等を用いたり、基板22の4隅の孔にタップねじを形成しておき、これに螺合したりすることで全体を固定する。この際スペーサを高温側となる格子状電極ホルダ26と格子状素子ホルダ30の間に介在させる。なお、スぺーサは低温側となる格子状電極ホルダ27と格子状素子ホルダ30の間でも、また両方に介在させてもよい。
【0023】
スペーサを高温側に入れれば、高温側の格子状電極ホルダ26が落下するのが防がれる。また低温側に入れれば、格子状素子ホルダ30の落下が防止される。
【0024】
ここで、本発明に使用する常温において液体の液体金属について説明する。使用する液体金属としては、例えば水銀、ガリウム(30℃で液体)にインジウム(常温固体)を溶かしたもの等が挙げられる。後述する図2,3に示す特性が得られた実験では、ガリウム:インジウムは重量比で3:1の割合で混合したものを使用した。この混合比では室温で液体である。上記によりさらにガリウムが多い場合は液体であるが、逆にインジウムの量が増えると固体が析出するが、温度を上げれば溶ける。
【0025】
なお、電極24,25と熱電変換素子23の直接接触もあるが、実験の結果によれば液体金属を用いない場合には接触不良のため、発電動作が起きなかった。
【0026】
基板には陽極酸化と封孔処理により絶縁被覆加工を施したアルミニウム等の高熱伝導率材料を使用しても良い。熱電変換素子23は、250℃までの間で熱電変換効率が優れているビスマステルル系熱電半導体素子が好適であり、p型素子とn型素子を交互に配置し電気的に直列接続する。電極24,25(材料:銅及び銅合金など)は、液体金属(材料:インジウム:ガリウムが重量比で3:1)によりこれらの熱電変換素子23を電気的に直列接続し、最終的な電気出力を電気出力端子から得る。格子状電極ホルダ26,27および格子状素子ホルダ30(材料:ベークライトなど)は、電極24,25および熱電変換素子23を定位置に収める役割をする。
【0027】
次に、電極24,25と熱電素子23との接触について述べる。第4図に、長方形電極の短辺の断面を示し、第5図に、二つの電極に挟まれた熱電素子を示す。このように、高温側の電極の熱電素子に接する面を凸状に形成すると、接触面の余剰な液体金属は辺の方に押し出され、接触部においては、きわめて薄い膜状の液体金属のみとなり、電気抵抗及び熱抵抗が減少する。
【0028】
具体的な電極の作り方は、オス・メスの金型を作り、プレス機で打ち抜くことで作成する。したがって、形状は、ほぼ平面であるが、プレス機により打ち抜かれる際に生ずる曲面が、矩形のコーナー全体の端断面に形成される。電極材料が銅であるため、”粘っこい”ので、切断の断面がシャープではない。実験に用いた電極は、10.8×3.8mmである。
【0029】
図2に、ハンダ付けによる熱電変換モジュール、インジウム・ガリウム(重量比3:1)の液体金属を用いた熱電変換モジュール20の2個の出力特性及び凸状電極を用いた場合の変換効率を示す。液体金属1及び2は、サイズおよび材質ならびに液体金属の組成は同一であり、データのばらつきを示す。熱電変換素子23としてビスマス・テルルが用いられた。図中に示された「変換効率」とは、熱電モジュールに与えた熱エネルギーに対して、熱電変換モジュールから得られた電気出力の割合である。また、「高温側温度」とは、モジュールに温度差を与えた際の高温側の温度を表しており、冷却側は、10℃の冷水で冷やして実験を行った。図によれば、凸状の電極を用いると、変換効率が、従来の半田付けによるもの、液体金属であっても凹状の電極によるものに比べて約0.5%向上することが判明した。
【0030】
次に、液体金属塗布量の違いによる変換効率の経過時間にともなう減少傾向を第3図に示す。この図から明らかなように、電極に塗布した液体金属の厚みが20μm以下であればかなりの長時間変換効率は、低下しないことが判明した。
【0031】
【発明の効果】
熱電変換モジュールにおいて、熱電変換素子と接触する電極片の形状を熱電変換素子に面する方を凸に形成することにより、接触面の液体金属がきわめて薄くなり、電気抵抗及び熱抵抗が減少した。また、電極に塗布した液体金属の厚みを薄くすると、寿命が従来のものに比べてかなり向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る液体金属接合熱電モジュールの分解斜視図
【図2】変換効率の比較図
【図3】寿命の比較図
【図4】本願発明に係る電極の拡大図
【図5】本願発明に係る電極及び熱電変換素子の接触状況の模式図
Claims (3)
- 複数の熱電変換素子と、該熱電変換素子を相互に接続するための電極とを備えており、前記熱電変換素子と前記電極とは相対的に可動に配設され、かつ電気的接続が常温において液体の液体金属により行われる熱電変換モジュールにおいて、高温側の前記電極は、打ち抜き加工により作成され、前記熱電変換素子に対して凸となる形状に形成されていることを特徴とする熱電変換モジュール。
- 上記電極は、銅及び銅を主成分とする合金から成ることを特徴とする請求項1記載の熱電変換モジュール。
- 高温側の前記電極の前記熱電変換素子に接する面に塗布された液体金属の厚みは、20μm以下であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載された熱電変換モジュール。
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