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JP3628399B2 - 有機塩素化合物吸着用活性炭 - Google Patents

有機塩素化合物吸着用活性炭 Download PDF

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JP3628399B2
JP3628399B2 JP29625195A JP29625195A JP3628399B2 JP 3628399 B2 JP3628399 B2 JP 3628399B2 JP 29625195 A JP29625195 A JP 29625195A JP 29625195 A JP29625195 A JP 29625195A JP 3628399 B2 JP3628399 B2 JP 3628399B2
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カネボウ株式会社
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
水中に存在する低沸点有機塩素化合物を除去するのに優れた、浄水器等の水処理分野に於いて使用される活性炭に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から水道水中に存在する種々の有害物質、特に有機塩素化合物を除去する方法として活性炭が注目されていた。しかし水道中の有機塩素化合物は分子量が小さく、濃度が希薄である為に、充分にこれらを除去できる優れた吸着性を有する活性炭を得ることができなかった。
【0003】
しかし最近、低賦活度で比較的比表面積の小さい活性炭がこれら化合物に対し相対的に高い吸着性を示すことが知られ、例えば特開平6−106161号公報に開示される、ヤシ殻または木材の炭化物、及び石炭等を原料とした低賦活度活性炭を有機塩素化合物除去に利用できる旨が開示されている。しかしこれらの活性炭に於いても細孔径分布の厳密な制御は不十分であり、低沸点有機塩素化合物の効率的除去が困難なのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明を完成したものであって、本発明の目的は様々な成分が共存する水溶液中で効率よく低沸点有機塩素化合物を吸着する活性炭を提供すること並びに、浄水器等に活性炭を充填した際の充填密度が高く、機械的強度も高い活性炭を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、フェノール樹脂粉末の炭化、賦活粒子が結合してなる粒状炭素成形物で、その比表面積が856〜1248m2/g、細孔直径0.01〜10μmの細孔容積が0.273〜0.350cc/g、細孔直径100以下の細孔容積が0.322〜0.586cc/gであり、かつ細孔直径100以下の細孔容積に占める細孔直径6〜8の細孔容積の割合が70vol%以上、粒子嵩密度が0.62〜0.93g/cc、充填密度が0.45〜0.54g/ccであることを特徴とする低沸点有機塩素化合物吸着用活性炭によって達成される。
【0006】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
上述した本発明の炭素系吸着剤は、比表面積が856〜1248m2/g、細孔直径0.01〜10μmの細孔容積が0.273〜0.350cc/g、細孔直径100以下の細孔容積が0.322〜0.586cc/gであり、かつ細孔直径100以下の細孔容積に占める細孔直径6〜8の細孔容積の割合が70vol%以上、粒子嵩密度が0.62〜0.93g/cc、充填密度が0.45〜0.54g/ccであることを特徴とする。
【0007】
該吸着剤の比表面積は600〜1250m/g、好ましくは700〜1100m/g、最も好ましくは800〜1000m/gである。比表面積が600m/gより小さい場合では、低沸点有機塩素化合物の吸着サイトの量が少なすぎて吸着容量が低く好ましくない。また、比表面積が1250m/g以上では低沸点有機塩素化合物の吸着に有効に働くと考えられる6〜8Åの細孔の割合が小さくなり好ましくない。
【0008】
該吸着剤の細孔直径0.01〜10μmの細孔容積は0.1〜1.0cc/g、好ましくは0.2〜0.8cc/g、最も好ましくは0.3〜0.7cc/gである。この範囲の細孔容積が0.1cc/gより小さいと低沸点有機塩素化合物の細孔内の拡散速度が遅くなり、吸着能力が低下し好ましくない。また、この細孔直径0.01〜10μmの細孔容積が1.0cc/gより大きいと粒子嵩密度及び粒子の機械的強度が小さくなり好ましくない。
【0009】
また、該吸着剤は、細孔直径100Å以下の全細孔容積が0.20〜0.80cc/g、細孔直径6〜8Åの細孔容積はその全細孔容積の65vol%以上である。細孔直径100Å以下の全細孔容積は、好ましくは0.30〜0.70cc/g、最も好ましくは0.30〜0.60cc/gである。この細孔直径100Å以下の全細孔容積が小さすぎると細孔直径6〜8Åの細孔容積も低下するので低沸点有機塩素化合物の吸着容量が低下し、また全細孔容積が大きすぎると細孔直径6〜8Åの範囲の細孔の割合が減少して好ましくない。
【0010】
また、細孔直径6〜8Å以下の細孔容積は細孔直径100Å以下の全細孔容積の65vol%以上、好ましくは70vol%以上、最も好ましくは75vol%以上である。低沸点有機塩素化合物吸着で、実際に有効に作用するのは細孔直径6〜8Åの細孔と考えられるのでこの細孔容積が細孔直径100Å以下の全細孔容積の65vol%より小さくなると低沸点有機塩素化合物の吸着容量が低下し、活性炭の破過、分解が進行しやすくなり好ましくない。
【0011】
また、該吸着剤の粒子嵩密度は0.4〜1.2g/cc、好ましくは0.5〜1.0g/cc、最も好ましくは0.6〜0.8g/ccである。粒子嵩密度が小さすぎると充填した際の吸着塔体積当たりの吸着能力が低下し好ましくない。また、大きすぎると吸着剤の細孔の連通性が低下し吸着能力の低下を来すので好ましくない。
【0012】
また、該吸着剤を吸着塔等に充填した際の充填密度は0.3〜0.7g/cc、好ましくは0.4〜0.6g/ccである。充填密度が小さすぎると充填した際の吸着塔体積当たりの吸着能力が低下し好ましくない。また、大きすぎると通液時の圧力損失の上昇等を引き起こすので好ましくない。
本発明の吸着剤のペレット形状は円柱状、球状等の他、円筒状やその他の異形断面のものを用いることができる。
【0013】
以下に本発明の吸着剤の製造方法を詳述する。
一般に、フェノール樹脂は大別するとレゾール樹脂とノボラック樹脂およびその他の特殊フェノール樹脂や変性品等に分けられるが、本発明に用いられるフェノール樹脂粉末は特に限定するものではないが、例えば、特公昭62−30210号公報、特公昭62ー30212号公報等に開示された粒状ないし粉末状の特殊フェノール樹脂を用いることができる。その製造法の概要は以下の如くである。
【0014】
室温下、15〜22重量%の塩酸と7〜15重量%のホルムアルデヒドとからなる混合水溶液を攪拌しながら、フェノールまたはフェノールと尿素、メラミン、アニリン等の含窒素化合物とからなる混合物を該混合水溶液に対して15分の1以下の割合で加え、反応系内に白濁が生成する前に攪拌を停止し静置する。静置している間に反応系内にはピンク色の粒状フェノール樹脂が生成・沈降する。次に反応系全体を再度攪拌しながら40〜90℃の温度にまで加熱・昇温して反応を完了せしめた後水洗し、引き続きアンモニア水溶液で中和処理後、水洗、脱水、乾燥する。こうして得られた粒状フェノール樹脂は、その殆どが粒径0.1〜150μmの一次粒子、またはその二次凝集物からなる。
【0015】
このフェノール樹脂はレゾール樹脂、ノボラック樹脂と性状を異にする特殊フェノール樹脂粉末であり、本発明の活性炭を製造するのに用いられるフェノール樹脂粉末として好適に用いることができる。また、このフェノール樹脂は、実質的に無水のメタノール500ml中で加熱還流した場合に、下記式
S={(W−W)/W}×100
ここで、W:使用した該樹脂の重量(g)
:加熱還流後に残存した該樹脂の重量(g)
S :該樹脂のメタノール溶解度(重量%)
で表されるメタノール溶解度を反応性を表す指標として用いることができる。即ち、メタノール溶解度の大きいものは反応性も高くなる。本発明では、通常メタノール溶解度が70重量%以下、好ましくは30重量以下%、最も好ましくは10重量%以下のフェノール樹脂粉末を用いる。
【0016】
その理由は、該メタノール溶解度が70重量%以上では、熱融着性が高く、炭化途中の加熱過程において、熱融解のために、フェノール樹脂粒子間の連通空隙が埋められてしまい、炭化物の気孔の連通性が低下し吸着能力の低下を来すことになるからである。充分な吸着能力を有する炭素系吸着剤を得るには、上述の範囲のメタノール溶解度を有するフェノール樹脂粉末を用いるとよい。
【0017】
また、本発明の活性炭を製造するのに用いる他のフェノール樹脂粉末を製造する方法としては、フェノール類とアルデヒドを少なくとも含窒素化合物の存在下で反応させて得られる縮合物に親水性高分子化合物を添加し反応させる方法(特公昭53−12958号公報)、フェノールとホルムアルデヒドを塩基性水溶液中で反応させて得られるプレポリマーを保護コロイドと混合し、酸性下で不活性固形ビーズ状に凝固させる方法(特公昭51−13491号公報)等がある。その他にも例えば、特開昭61−51019号公報、特開昭61−127719号公報、特開昭61−258819号公報、特開昭62−272260号公報、特開昭62−1748号公報等に記載の方法により製造したフェノール樹脂粉末を用いることもできる。
【0018】
レゾール樹脂は、通常、例えば水酸化ナトリウム、アンモニア又は有機アミンの如き塩基性触媒の存在下でフェノール対ホルムアルデヒドのモル比が1:1〜2の如きホルムアルデヒド過剰の条件下で反応することによって製造される。かくして得られるレゾール樹脂は、比較的多量の遊離メチロール基を有するフェノールの1〜3量体が主成分をなし、反応性が大きい。
【0019】
また、ノボラック樹脂は、通常、例えばシュウ酸の如き酸触媒の存在下でフェノール対ホルムアルデヒドのモル比が1:0.7〜0.9となるようなフェノール過剰の条件下で反応させることによって製造される。かかる方法で得られるノボラック樹脂は、フェノールが主としてメチレン基によって結合された3〜5量体が主成分をなし、遊離メチロール基を殆ど含有せず、従ってそれ自体では自己架橋性を有せず、熱可塑性を有する。そこでノボラック樹脂は、例えばヘキサメチレンテトラミンの如き、それ自体ホルムアルデヒド発生剤であると共に有機塩基触媒発生剤でもある架橋剤を加えるか、あるいは、例えば固体酸触媒とパラホルムアルデヒド等を混合し、加熱下で反応させることによって硬化物を得ることができる。
【0020】
これらのレゾール樹脂、ノボラック樹脂等は一度硬化された後、粉砕することにより本発明の原料樹脂粉末として用いることができる。
本発明の活性炭を製造するのに用いるフェノール樹脂粉末の粒径は通常0.1〜150μm、好ましくは0.5〜50μm、最も好ましくは1〜20μmである。フェノール樹脂粉末の粒径が0.1μmより小さいと、他成分との混合時において、飛散が生じるなどにより作業性が低下して好ましくない。また150μmより大きくなると、他成分との混合時における均一性確保が困難になること、及び賦活後に十分な比表面積が得にくくなること等により好ましくない。
本発明の活性炭を製造するのに用いられるところのバインダーとしては、特にその種類を限定するものではないが、液状熱硬化性樹脂やポリビニルアルコール(PVA)、コールタール、ピッチ、クレオソート油などが好ましく用いられる。
【0021】
液状熱硬化性樹脂としては、液状レゾール樹脂、液状メラミン樹脂、またはこれらの変性樹脂などが挙げられる。
液状レゾール樹脂は、先述したように塩基性触媒の存在下でフェノールを過剰のアルデヒドと反応させることによって製造され、比較的多量の遊離メチロール基を有するフェノールの1〜3量体が主成分を成す。
【0022】
液状メラミン樹脂はいわゆる熱硬化性樹脂であり、加熱により化学反応が促進され親水性の初期重合物の形態、ないしは、やや縮合の進んだ疎水性縮合物の状態を経て最終的には不溶不融の硬化物になる。
【0023】
液状メラミン樹脂は、メラミンにアルデヒド、通常はホルムアルデヒドを付加させて製造される。また、種々のアルコールが同時に使用されることもある。メラミン樹脂の生成は、先ずメラミンにホルムアルデヒドがメチロール基として付加し、ついでメチロール基が他の分子のアミノ基やイミノ基との間で脱水縮合してメチレン基となる反応や、メチロール基同士で脱水縮合してジメチレンエーテル結合となる反応、あるいはメチロール基とアルコールとの間で脱水してエーテル化する反応により進行する。
【0024】
液状メラミン樹脂は、水溶性樹脂と油溶性樹脂とに分けることができ、一般に水溶性樹脂はアルコールとしてメタノールを使用して製造される。一方油溶性樹脂は、ブチル化メラミン樹脂ともいわれ、通常アルコールとしてブタノールを使用する。
本発明の活性炭を製造するのに用いられるバインダーとして使用される液状メラミン樹脂は、水溶性、油溶性いずれでもよく、既知の方法にて製造されたものでよい。
【0025】
本発明の活性炭を製造するのに用いられるポリビニルアルコールは、好ましくは重合度100〜5000、けん化度70%以上のものであり、カルボキシル基等で一部変性されたものも好適に用いられる。
【0026】
コールタールは石炭の乾留によって得られる炭化水素を主とした化合物の混合体であり、少量の水分と微量の灰分を含んでいる。これら組成の割合や物理化学的な性質は原料石炭の種類、乾留炉の型式、乾留条件等により差があるが、現在既知の成分としては、400種以上の成分があり、このうち最も多いのが、ベンゼン、トルエン、アントラセン等の中性成分であり、次いで、ピリジン、アニリン、キノリン等の塩基性成分、更にフェノール、クレゾール、ナフトール、アントラノール等の酸性成分、ベンゾフラン、ジフェニレンオキシド、p−メトキシベンジフェノン等の含酸素成分、ベンゾチオフェン、ジフェニレンスルフィド、ナフトチオフェン等の含硫黄成分である。本発明で用いるコールタールは、上記成分等に於いて特に制限されるものではないが、縮合環芳香族化合物が多いものの方がより適している。
【0027】
ピッチは、化学的には主に縮合環芳香族化合物の混合物であり、粘性があり、通常、室温では固体に近い形、あるいは固形物の形をとっている。原料によって分類すれば、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、また木材乾留時に得られるピッチやオイルサンド、オイルシュール等から得られるピッチ等多種多様のものがある。石炭系ピッチは、石炭の乾留によって生じたコールタールの蒸留によって油分を留出させて、残留物として得られるもので、沸点約350℃以上の多くの高沸点物質や遊離炭素の混合物である。石油系ピッチは、原油の減圧蒸留残渣油、原油の熱分解残渣、ガソリン製造を目的とした流動接触分解装置からの分解残渣油等の石油重質油を熱処理することによって、熱分解ガス及び留出油等の分解生成物と共に熱重縮合した成分として得られる。
【0028】
また、ピッチは軟らかさまたは硬さの程度によって、軟ピッチ、中ピッチ、硬ピッチの3種類に区分される。通常、軟化点(環球法)により、約70℃以下が軟ピッチ、約75℃〜85℃が中ピッチ、約85℃以上が硬ピッチと区分されている。
本発明の活性炭を製造するのに用いられるピッチは、石炭系ピッチ、石油系ピッチ等いずれのピッチでもよく、軟化点等の諸特性も特に制限するものではない。
【0029】
クレオソート油は、コールタールの各分留油から成分を分離回収した残油を規格に応じて調合して製造される。JIS規格によれば、比重、水分含有率、蒸留試験結果等により1号〜3号に区分されている。クレオソート油は、通常化学的には、主に縮合環芳香族化合物の数十種類以上の混合物であり、主な成分は、ナフタリン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ビフェニル、フルオレン、クレゾール、1メチルナフタリン、2メチルナフタリン、ジメチルフルオレンや、これらの化合物の各種誘導体等であり、沸点が200℃以上の化合物が大部分を占める。
【0030】
本発明の活性炭を製造するのに用いられるクレオソート油は、JIS規格による1,2,3号いずれでもよく、特に制限するものではない。
【0031】
本発明の活性炭を製造するに於いては、上記フェノール樹脂粉末とバインダー成分を混合した後造粒することによって粒状成形物を得るが、本発明に規定するバインダーの含有量は、フェノール樹脂粉末100重量部に対し5〜90重量部である。
【0032】
バインダーの含有量は、好ましくは10〜60重量部、最も好ましくは20〜40重量部である。
バインダーの含有量が5重量部より少ないと造粒時の作業性が低下してダイスよりの押出しが困難になり、造粒物の形状が不揃いで強度が低く、粉が発生しやすくなる等の問題が生じる。また、90重量部より多くなると、やはり造粒時の作業性が低下するとともに炭化賦活後のペレット内の細孔の連通性が低下し、吸着剤としての性能が悪くなり好ましくない。
【0033】
このフェノール樹脂粉末とバインダー成分の混合は、室温あるいは加熱下で、リボンミキサー、V型ミキサー、コーンミキサー、ニーダー等の市販の混合攪拌機で行えばよい。バインダー成分として、コールタールまたはピッチを用いる場合にはその作業性を考慮し、十分に流動性が生じる温度まで加熱しながら混合する。また、作業性改善のため、適量の水あるいはメタノール、アセトン等の有機溶媒を加えてもよい。クレオソート油の場合には、通常室温において液状であり、室温下でも、混合の作業性は良好である。
【0034】
本発明の活性炭を製造するに於いては、上記フェノール樹脂とバインダー成分の他に、他の添加成分を加えることを何ら制限するものでなく、例えば、澱粉、結晶性セルロース粉末、メチルセルロース、水、溶媒等を適量加えることができる。また、少量のコークス、ヤシ殻炭等を添加することも何ら制限されるものではない。
【0035】
更に本発明の活性炭を製造するに於いては、その特性を損なわない範囲で混合および造粒時の作業性の向上のため、例えばエチレングリコール、ポリオキシエチレン、アルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸アンモニウム塩等の界面活性剤、ポリビニルアルコールの架橋剤、押出造粒用の可塑剤等を少量加えることができる。
【0036】
本発明の活性炭を製造するに於いては、上記の如く混合装置により均一に混合された後、次いで粒状物に成形される。粒状物への成形は、例えば単軸あるいは二軸の湿式押出造粒機、バスケットリューザーの如き竪型造粒機、半乾式ディスクペレッター等により行うことができる。この成形は通常室温で行われるが、場合によっては加熱下で実施してもよい。こうして得られた造粒物を通常50〜400℃程度の温度範囲で乾燥処理を行って、本発明の粒状成形物を得る。
【0037】
粒状成形物の形状は、通常、円柱状あるいは球状ペレットであり、炭化賦活後のペレット形状が所定の形状となるよう造粒時に調整する。
【0038】
本発明の活性炭を製造するには、上述の如くして得られた粒状成型物、またはそれを非酸化性雰囲気下500〜900℃で熱処理した炭化物を、700〜950℃の温度範囲で炭化物を基準とした重量減少率が5〜40%となる範囲で賦活処理を行うことにより目的の吸着剤を得る。
【0039】
本発明の活性炭を製造するにおいて、賦活処理を行う前の粒状成形物の炭化は、電気炉、外熱式ガス炉などの熱処理装置を用いて非酸化性雰囲気下500〜900℃で行われる。この場合の非酸化性雰囲気とは、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の雰囲気である。
また、この炭化温度は通常500〜900℃であるが、好ましくは550〜850℃、最も好ましくは600〜800℃である。炭化温度が900℃より高いと次の賦活処理工程での賦活速度が遅くなり、賦活を効率的に進めることができなくなるので好ましくない。また炭化温度が500℃以下の場合には温度が低過ぎて炭化があまり進まず好ましくない。
【0040】
本発明の活性炭を製造するには、上記粒状成形物、またはそれを非酸化性雰囲気下500〜900℃で熱処理した炭化物の賦活処理の温度領域は700〜950℃、好ましくは800〜950℃、最も好ましくは850〜950℃である。
賦活処理の温度が1100℃より高い場合には、細孔容積が熱収縮により減少してしまったり、活性炭表面が酸化し低沸点有機塩素化合物に対する吸着力が低下してしまうため好ましくない。また600℃より低い場合には賦活が十分に行われず、吸着能力が低く好ましくない。
【0041】
また、本発明の活性炭を製造するにおいては、賦活処理には、酸素、二酸化炭素、水蒸気もしくはこれらの二種類以上の混合ガス、あるいはこれらのガスを含んだ窒素、アルゴン、ヘリウム等の雰囲気ガス、メタン、プロパン、ブタン等の燃焼排ガスなどを用いることができ、炭化物を基準とした重量減少率が5〜40%となる範囲で賦活を行う。
重量減少率が5%より小さい場合には細孔の発達が不十分であり、細孔容積が小さすぎて十分な性能を確保できず好ましくない。また、重量減少率が40%より大きい場合には低沸点有機塩素化合物の吸着に有効に働く6〜8Åの細孔の割合が小さくなり、また粒子嵩密度が小さくなり、吸着剤を充填した際、有効に作用する吸着サイトの単位体積当たりの量が減少して好ましくない。
【0042】
本発明の吸着剤はこれを低沸点有機塩素化合物、及びその他の成分を含有する水溶液に接触させることにより低沸点有機塩素化合物を効率的に除去することができる。その接触の方法は回分式、または該活性炭をカラム等に充填した連続流通方式等一般の活性炭による水処理分野で行われる方法により行うことができる。
本発明の活性炭による吸着の対象となる低沸点有機塩素化合物とはトリハロメタン類(トリクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、トリブロモメタン)、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等水道水中、工場排水中等において極微量に検出される物質である。
【0043】
本発明の活性炭の特性を評価する方法は、低沸点有機塩素化合物としてはトリハロメタンに対する吸着性能を測定し、それ以外の物質としては、遊離塩素、メチレンブルー等、ごく一般的に活性炭の吸着性能を評価する方法により行うことができる。
【0044】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
フェノール樹脂粉末(鐘紡株式会社製、ベルパール(「ベルパール」は鐘紡株式会社所有の登録商標である。)R800:平均粒子径20μm)100重量部に対し、バインダーとしてメラミン樹脂水溶液(住友化学工業株式会社製、スミテックスレジンM−3、固形分濃度80重量%)、重合度1700、けん化度99%のポリビニルアルコール( 以下PVAと略す。)およびコールタール(JIS規格、K2439−1979、精製2号)を、そして添加物として馬鈴薯澱粉、界面活性剤(花王株式会社製、レオドールSP−L10)および水を所定量計量した。
【0045】
上記原料のうちまず、フェノール樹脂粉末と馬鈴薯澱粉をニーダーで15分間乾式混合した。一方、上記ポリビニルアルコールを温水で15重量%の水溶液となるように溶解し、このポリビニルアルコール水溶液とメラミン樹脂水溶液、コールタール、界面活性剤および水をニーダーに加えて更に15分間混合した。
この混合組成物を2軸押出造粒機(不二パウダル株式会社製、ペレッタダブルEXDF−100型)で押出し、外径が約1.0mmのバインダー含有量の異なるペレット状成形体の造粒を行った。各原料成分の組成比を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0003628399
【0047】
こうして得た試料について、内径70mmφの円筒型電気炉を用いて窒素雰囲気下、昇温速度50℃/Hで650℃まで昇温し1時間保持して炭化させた。次いでこの炭化物20gを異なる条件で水蒸気賦活して、5つの試料を得た。すなわち、試料1は750℃、1.5時間、試料2は900℃、1.5時間、試料3は950℃、1.5時間、試料4は1000℃,1.5時間、試料5は1000℃,2.0時間、水蒸気を含んだ窒素ガス(賦活ガス組成モル比:N/HO=1/1流量1.5Nl/min)を用いて賦活処理を行った。得られた炭化賦活品の賦活条件および特性値を表2に示す。またこれら活性炭の吸着特性を表3に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003628399
【0049】
【表3】
Figure 0003628399
【0050】
尚、各評価における測定方法は以下の通りである。
(低沸点有機塩素化合物吸着性能測定法)
トリハロメタン(tTHM) 類であるCHCl、CHBrCl、CHBrCl、CHBrのそれぞれが400、200、800、4000(ppb) の水溶液40(ml) に活性炭添加量を変化して加え25(℃) 、1時間振とうした後、ECDガスクロを用いたヘッドスペース法で溶液中の残留濃度、吸着量を求め吸着等温線を作成し、残留総トリハロメタン濃度1000(ppb)に於ける吸着量を求め吸着性能とした。
【0051】
(メチレンブルー吸着性能測定方法)
活性炭試験方法(JISK1474)に従って測定を行う。すなわち試料にメチレンブルー溶液を加え、吸着させた後ろ過し、ろ液の吸光度を測定し残留濃度からメチレンブルー吸着量を求め、吸着等温線を作成し、その吸着等温線からメチレンブルーの残留濃度0.24(mg/l) の時の吸着量を求めてメチレンブルー吸着性能とする。
【0052】
(ペレット強度測定法)
炭化賦活品ペレットの強度は木屋式硬度計にて測定した。強度測定で評価する引張強度は、ペレットが破砕時の荷重値とペレット直径、ペレット長より、次式で計算した。
引張強度:σ[:g/cm]=2P/πdl
P:荷重[kg]、d:ペレット直径[cm]、l:ペレット長[cm]
【0053】
(活性炭の比表面積の測定法)
被測定活性炭0.1g程度を正確に秤量した後、高精度全自動ガス吸着装置BELS0RP28(日本ベル株式会社製)の専用セルに入れ、該装置を用いて窒素を吸着させB.E.T法により求めた。
【0054】
(細孔容積の測定法)
本発明の吸着剤の細孔容積の測定は、細孔直径0.01〜10μmの範囲についてはポロシメーターによる水銀圧入法(島津製作所製、ポアサイザー9310)により測定し、細孔直径100Å以下の細孔容積は全自動ガス吸着測定装置(日本ベル株式会社製、ベルソープ28)で窒素吸着測定を行った。具体的には、細孔直径20〜100Åの範囲の細孔容積は77Kに於ける窒素ガスの吸着等温線をD−H解析することにより求め、細孔直径20Å以下の細孔容積は77Kに於ける窒素ガスの吸着等温線のt−plotからMP法を用いて解析することにより求めた。
【0055】
試料1〜3はいずれの特性値も本発明の規定する範囲内であり、トリハロメタン吸着性能も良好であり、メチレンブルー吸着性能は比較的低くなっている。
試料4,5は比表面積、100Å以下の細孔容積、6〜8Åの割合が本発明の規定する範囲内に入っていないが、トリハロメタン吸着性能が低下しており、逆にメチレンブルー吸着性能が高くなっている。
【0056】
【発明の効果】
本発明の活性炭は上記の如き物性上の特徴を有し、工場排水中及び水道水中の高濃度から低濃度に至るまでの低沸点有機塩素化合物吸着用活性炭として用いることができる。特に水道水中の極微量含まれる低沸点有機塩素化合物を除去する浄水器内には好適に用いられ大きな効果を発揮することができる。

Claims (1)

  1. フェノール樹脂粉末の炭化、賦活粒子が結合してなる粒状炭素成形物で、その比表面積が856〜1248m2/g、細孔直径0.01〜10μmの細孔容積が0.273〜0.350cc/g、細孔直径100以下の細孔容積が0.322〜0.586cc/gであり、かつ細孔直径100以下の細孔容積に占める細孔直径6〜8の細孔容積の割合が70vol%以上、粒子嵩密度が0.62〜0.93g/cc、充填密度が0.45〜0.54g/ccであることを特徴とする低沸点有機塩素化合物吸着用活性炭。
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