JP3625040B2 - プラズマ加工機、プラズマトーチ及びその部品の着脱方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はプラズマアーク切断又はプラズマアーク溶接のためのプラズマ加工機に関わり、特に、プラズマトーチにおける電極やノズルなどの消耗品の交換作業を容易にするための構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマアーク加工に用いられるプラズマトーチにおいて、電極とノズルはアーク発生時間の経過に伴い次第に消耗していく。状況によっては、1日の加工作業の中で、数回、それらの消耗部品を交換することがある。
【0003】
電極とノズルを交換するためには、プラズマトーチから電極とノズルを取り外さなければならないことは勿論であるが、機種によっては、それだけでなく、周辺の他の部品も一緒に取り外す必要がある。そのような周辺部品には、例えば、電極とノズルの間に介装される絶縁体ガイドや、ノズルの外側に被せられる1種類又は複数種類のキャップなどがある。
【0004】
プラズマトーチは、作業テーブルの上方に設けられたキャリッジに固定されており、キャリッジに運ばれてプログラムされた移動経路に沿って移動しつつ、作業テーブル上のワークピースに対し切断又は溶接を行う。トーチ消耗品の交換を行うときには、通常、トーチを交換作業の行いやすい場所に待避させ、そこでトーチを分解して消耗品を交換する。しかし、作業テーブル上で交換を行うことになるので、その作業は決してやり易いものではない。また、交換作業では複数個の小さい部品をトーチから外したり組み付けたりするため、それらの小さい部品を手から落さないよう注意を払わなくてならない。また、部品の組みつけ時には、切断で生じた粉塵などがトーチ内部に入らないよう、慎重に作業しなくてはならない。
【0005】
このような神経を使う消耗品の交換作業を簡便に行えるようにするために、「カセット式トーチ」、「ワンタッチトーチ」或いは「クイックチェンジトーチ」と呼ばれるプラズマトーチが開発されている(特開昭62−50085号、特公平3−27309号)。このカセット式トーチは、トーチ先端部と電極とノズルとガス管と冷却水管などを含むヘッド部と、ヘッド部に接続される電源ケーブルやガス管や冷却水管などを含むベース部とに2分割できるようになっている。そして、ヘッド部とベース部との接続及び分離が簡単にできるようになっている。新品の消耗品が装着されたヘッド部を予め複数個用意しておき、ベース部に接続されたヘッド部を交換するだけで、簡単に消耗品を交換ができるようになっている。このカセット式トーチでは、消耗品交換を自動化することも可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
カセット式プラズマトーチでは、大電流高電圧の2系統(電極とノズル)の電流経路と、少なくとも1系統(プラズマガス)のガス配管と、冷却水回路の往きと帰りの冷却水配管とを、ヘッド部側の部分とベース部側との部分に分割して、それらの接続、電気絶縁及びシールを、ヘッド部とベース部の分割面で行っている。
【0007】
そのため、カセット式トーチは、カセット式ではない前述した従来の通常のトーチに比較すると、消耗品交換は容易であるものの、トーチ構造が複雑で、はるかに高価になってしまう。すなわち、ヘッド部とベース部とが簡単に接続及び分離にすると共に、両者の接続面で電気絶縁不良及びガスや水のリークが生じないよう十分な電気絶縁及びシールを施す必要があるため、通常のトーチでは必要のない特別な構造を採用しなければならないため、価格が上がってしまう。例えば、通常のトーチが10万円であるのに対し、それと同じ加工能力をもったカセット式トーチが40万円以上という実例がある。そのため、カセット式トーチは、現実にはそれほど普及していない。
【0008】
従って、本発明の目的は、プラズマトーチの構造の複雑化とコスト高を抑えつつ、消耗品交換を容易にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に従うプラズマトーチは、冷却水配管とプラズマガス配管とを有したトーチ本体と、このトーチ本体に着脱自在な状態で取りつけられたデタッチャブル部とを備える。
【0010】
デタッチャブル部は、電極と、電極を包囲するように配置されたノズルと、電極とノズルの間に介装された絶縁体と、電極、ノズル及び絶縁体を内部に収容したリテーナキャップとを有する。トーチ本体は、電極と結合される電極接続部と、ノズルと結合されるノズル接続部と、リテーナキャップと結合されるリテーナキャップ接続部とを更に有する。
【0011】
電極と電極接続部との結合構造及びノズルとノズル接続部との結合構造は、次のように構成されている。すなわち、リテーナキャップをリテーナキャップ接続部に所定経路に沿って(例えば、トーチ軸に沿って)近づけて結合する操作に伴って、電極及びノズルがそれぞれトーチ本体の電極接続部及びノズル接続部に結合し、また、リテーナキャップをリテーナキャップ接続部から外して所定経路に沿って遠ざける操作に伴って、電極及びノズルがそれぞれトーチ本体の電極接続部及びノズル接続部から外れるようになっている。更に、電極と絶縁体とノズルとリテーナキャップとは互いに結合されており、それら相互間の結合力は、電極と電極接続部との間の結合力及びノズルとノズル接続部との間の結合力のいずれよりも強い。そのため、リテーナキャップをリテーナキャップ接続部に取り付けたり取り外したりすることで、デタッチャブル部の全部品を一緒にトーチ本体に取り付けたり取り外したりすることができる。
【0012】
上記構成をもつ本発明に従うプラズマトーチでは、デタッチャブル部全体を纏めて、つまり、電極、絶縁体及びノズルをリテーナキャップと一緒に、トーチ本体に装着し、且つトーチ本体から分離することができる。よって、電極やノズルなどの消耗品交換の際には、電極やノズルを個別にトーチ本体から取り外したり取り付けたりする操作は不要であり、リテーナキャップをトーチ本体から取り外したり取り付けたりする操作を行うだけで、電極及びノズルをトーチ本体から取り外したり取り付けたりすることができる。よって、消耗品交換作業が簡単である。自動交換装置を用いて、全自動で又は半自動で、消耗品交換を行えるように構成することも可能である。
【0013】
また、本発明に従うプラズマトーチは、電極、ノズル及びリテーナキャップが、トーチ本体に結合する構造を有している。このことは、従来のカセット式トーチの構造とは決定的に異なる。すなわち、従来のカセット式トーチは、電極やノズルやキャップ類とは別にヘッド部とトーチ本体との間の電気接続や配管接続を行うための中間的な接続構造を有している。これに対し、本発明に従うプラズマトーチは、そうした中間的な接続構造は不要である。
【0014】
好適な実施形態では、電極とノズルがリテーナキャップから個別に分離可能になっている。そのため、電極だけの交換、ノズルだけの交換が可能である。
【0015】
好適な実施形態では、電極とノズルとリテーナキャップとが、弾性体を用いた結合構造により相互に結合されている。そのため、弾性体を変形させることで結合を解除して電極とノズルをリテーナキャップを簡単に分離できるので、消耗品交換作業が一層容易である。
【0016】
好適な実施形態では、電極と電極接続部が両者間の電気接続を確保するための接触し合う通電面を夫々有し、電極と電極接続部の通電面同士が、電極と電極接続部の少なくとも一方に設けられた弾性変形部の変形による押しつけ力をもって接触し合っている。そのため、電極と電極接続部との結合構造が、例えば、電極を電極接続へ単に差込んで嵌合させるという着脱の容易なものであっても、弾性変形部の変形による押しつけ力によって通電面の良好な電気接続が確保できる。
【0017】
本発明の他の特徴は、実施形態の説明の中で明らかにする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態にかかる切断用のプラズマトーチの中心軸に沿った断面を示す。
【0019】
このプラズマトーチ1は、消耗品(主に電極とノズル)交換時には、トーチ先端部の外殻を構成するキャップ(リテーナキャップ)13を外すことになっている。リテーナキャップ13を外すと、電極3やノズル7などの消耗部品がリテーナキャップ13に結合された状態で一緒にトーチ本体から外れるようになっている。リテーナキャップ13を外した時の、トーチ本体の断面を図2に示し、リテーナキャップ13とそれと一緒に外れた部品とのセットの断面を図3に示す。
【0020】
まず、主に図1を参照し、補助的に図2及び図3を参照して、この切断用プラズマトーチ1の全体的な構成を説明する。
【0021】
プラズマトーチ1は、キャリッジ(図示せず)に固定されているトーチ本体1A(図2に示す部分)と、このトーチ本体1Aに着脱自在に取りつけられているデタッチャブル部1B(図3に示す部分)とに大別される。デタッチャブル部1Bは、トーチ軸心から外側に向かって順に、電極3、絶縁ガイド5、ノズル7、絶縁リング9、シールドキャップ11、リテーナキャップ13及び回転リング39から構成され、これらのうち特に電極3とノズル7は消耗品であり随時に交換される。トーチ本体1Aからリテーナキャップ13を外すことによって、デタッチャブル部1Bの全体が一緒に纏まってトーチ本体1Aから外れる。デタッチャブル部1Bから電極3や絶縁ガイド5やノズル7を分離することは、それらの部品をリテーナキャップ13から単に手で引き抜くだけでに簡単に行える。デタッチャブル部1Bをトーチ本体1Aへの装着は、リテーナキャップ13をトーチ本体1Aへ取付ける作業だけで簡単に行え、デタッチャブル部1Bの個々の部品を個別にトーチ本体1Aに取付ける作業は不要である。
【0022】
トーチ1(トーチ本体1A)の中心軸位置に、電極3内部へ冷却水を導入するための断面円形の導水管15が配置されている。導水管15の基端部分の外周に、これと同軸の位置関係で、円筒形のインナースリーブ17が嵌められている。インナースリーブ17の先端部の内側に、円筒形の電極3の基端部が嵌め込まれる。この電極3は閉じた先端部3Aをもち、この先端部3Aの中央のアーク発生点となる部分には、ハフニウム製などの耐熱インサート4が取りつけられている。耐熱インサート4の背面は、電極3内部の冷却水が流れる空間に露出している。
【0023】
導水管15は、インナースリーブ17の先端面より前方へ突出して電極3の内部に奥深く入り込み、導水管15の水出口15Aは電極3の先端部3Aの耐熱インサート4の直ぐ背後の位置まで達している。導水管15は、その径の太さに着目すると、インナースリーブ17内に入っている太い大径部15Bと、電極3内に入っている先端の水出口15Aから所定長にわたる細い小径部15Dと、大径部15Bと小径部15Dとを繋ぐテーパしたテーパ部15Cとから構成される。このような導水管15の太さの変化に合わせて、電極3の太さも同様に変化している。すなわち、電極3は、導水管大径部15Bが入っている基端側部分3Bにて太く、導水管テーパ部15Cが入っている部分3Cにて内径がテーパし、そして、導水管小径部15Dが入っている先端側部分3Dにて細い。そして、電極3の細い先端側部分3Dの外側にノズル7が被せられる。そのため、この電極3の細い先端側部分3Dはトーチ1の全体の太さを細くするのに寄与する。この理由から導水管15の小径部15Dの外径はできるだけ細い方が好ましいが、一方、導水管15の内径(つまり、冷却水通路19の断面積)は小径部15Dと大径部15B間に大きな差がないほうが望ましい。この要求を満たすために、導水管15の壁の厚みを、小径部15Dでは大径部15Bよりも薄くしている。
【0024】
導水管15は、その内部に冷却水通路19を有する。電極3の内周面と導水管15の外周面との間に、冷却水路21が形成されている。インナースリーブ17の内周面と導水管15の外周面との間に、冷却水路23が形成されている。インナースリーブ17の周壁を貫通して、冷却水路25が形成されている。これらの冷却水路19、21、23、25はこの順序で連通している。電極3内の冷却水路19及び21はほぼ同等の断面積をもつように設計されており、それにより、限られた電極内側のスペースを振り分けた往復の冷却水路19及び21の抵抗(圧損)は最小になる。その下流の冷却水路23及び25は、その圧損を最小にすべく、構造的に可能な範囲で、最大の断面積を有するように設計されている。
【0025】
インナースリーブ17の先端部分の外周には、電極3の耐熱インサート4におけるアーク発生点を回転移動させるためのリングマグネット27が嵌められている。インナースリーブ17の基端部分の外周には、円筒形のアウタースリーブ29が嵌められている。アウタースリーブ29の先端部には、短円筒状のノズル台座31が固定され、このノズル台座31の先端部に、先端に向かってテーパした概略円錐筒形のノズル7が取りつけられている。ノズル7は、電極3と同軸の位置関係で、電極3の前述した細い部分3Dの外側に被さっており、耐熱インサート4の正面となるノズル先端部の中心軸位置に、プラズマアークを細く絞って前方へ噴出させるためのノズルオリフィス7Aを有している。
【0026】
ノズル7と電極3との間には、両者を電気的に絶縁するための円筒形の絶縁ガイド5が嵌め込まれている。絶縁ガイド5の外周には複数本の溝33が軸線と平行な方向に形成されており、これらの複数本の溝33はプラズマガス通路として機能する。これらのプラズマガス通路33には、図示しないプラズマガス供給路(これは、アウタースリーブ29とノズル台座31の内部を通っている)からプラズマガスが流入する。ノズル7と電極3の先端部3Aとの間には、ノズルオリフィス7Aに連通するプラズマガス通路35が形成されている。また、絶縁ガイド5は、プラズマガス通路33とプラズマガス通路35を連通するように、周方向に一定間隔で、半径方向に対して周方向に若干角度傾斜して穿たれた、複数のプラズマガススワラ穴5Aを有している。プラズマガスは、プラズマガス通路33からプラズマガススワラ穴5Aに入り、プラズマガススワラ穴5Aから旋回流となってプラズマガス通路35へ噴出する。このプラズマガス旋回流は、プラズマガス通路35を流れて、耐熱インサート4の正面でアークのエネルギーによりプラズマ化され、プラズマ旋回流となってノズルオリフィス7Aから噴出する。
【0027】
ノズル7の先端部に、図示しないワークやワークから吹き上がる溶融金属などからノズル7を保護するための短円筒形のシールドキャップ11が被せられている。ノズル7とシールドキャップ11との間には、両者を電気的に絶縁する絶縁リング9が嵌め込まれている。この構造の外側に、先端へ向かってテーパした円筒形のリテーナキャップ13が被せられている。
【0028】
リテーナキャップ13の基端部の外側に円筒形の回転リング39が嵌められている。回転リング39の先端部に内側へ曲がって形成された環状爪39Bが、リテーナキャップ13の基端部に形成されたフランジ13Aに係合しており、それにより、回転リング39がリテーナキャップ13を引き上げている。また、アウタースリーブ29の基端部の外周に円筒形の固定リング37が嵌められている。そして、固定リング37の外周に形成された雄螺子37Aに対して、回転リング39の内周に形成された雌螺子39Aが結合されている。回転リング39をトーチ中心軸を中心にして回転させることにより、回転リング19と固定リング37との螺合を締めたり緩めたりすることができる。回転リング19を固定リング37に最も締め込んだ状態で、回転リング19によってリテーナキャップ13がトーチ本体1Bに引き付けられて固定される。
【0029】
リテーナキャップ13の先端部にある環状爪13Bが、シールドキャップ11の基端部にあるフランジ11Aに係合しており、それにより、リテーナキャップ13が、ノズル保護キャップ11、絶縁リング9、ノズル7、絶縁ガイド5及び電極3のセットをトーチ本体に引き付けて固定している。リテーナキャップ13は、このような内部の諸部品を保持する機能の他に、トーチ1の先端側部分にけおるトーチ1の外殻としての機能も併せもつ。
【0030】
アウタースリーブ29は、半径方向に走る冷却水通路41と、トーチ中心軸に平行な方向へ走る冷却水通路43と、この冷却水通路43から離れた場所で同じくトーチ中心軸に平行な方向へ走る別の冷却水通路47とを有する。また、ノズル7の外周面とリテーナキャップ13の内周面とシールドキャップ11の基端面の間に、ノズル7の外側を包囲する冷却水通路45が形成されている。インナースリーブ17内の冷却水通路25と、アウタースリーブ29内の冷却水通路41及び43と、ノズル3を包囲する冷却水通路45と、アウタースリーブ29内のもう一つの冷却水通路47は、この順序で連通している。冷却水通路47は、また、図示しない冷却水排出路に連通している。アウタースリーブ29内の冷却水路41、43、47はいずれも、冷却水による圧損を最小にすべく、構造上可能な範囲で、最大の断面積を有するように設計されている。
【0031】
冷却水は、矢印で示すように、まず、導水管15内の冷却水路19を通って水出口15Aから出て、電極3の先端部3Aの最も高温の耐熱インサート4の背面に当たり、耐熱インサート4を冷却する。耐熱インサート4は冷却水に直接晒されて効果的に冷却される。また、耐熱インサート4の前面は平らであるが、その背面は図示のように中心で高く周囲で低い湾曲した形状をしており、それにより、背面の面積つまり冷却水との接触面積が広く確保されている。また、この湾曲形状は、水出口15Aから出た冷却水をスムーズに折り返させて冷却水通路21へ導く役目ももつ。導水管15の水出口15Aの周囲には、1個又は2個以上のスリット15Eが設けられている。冷却水路19を流れる冷却水のうちある程度の割合の部分は、耐熱インサート4には触れずに、スリット15Eを抜けて冷却水通路21へ入り、ノズル7の冷却の方に有効に寄与する。冷却水通路21に導かれた冷却水は、電極3の内周面に沿って冷却水通路21を流れる間に電極3を冷却し、次に、冷却水路23、25、41、53を順に通りぬけて、ノズル7を包囲する冷却水通路45に入る。この冷却水路45に入った冷却水は、冷却水路45を流れる間に、ノズル7を冷却すると共に、シールドキャップ11とリテーナキャップ13も冷却する。このように、ノズル7とシールドキャップ11とリテーナキャップ13というノズル周りの冷却を要する部品全てが、1つの同じ冷却水路45内に露出していて、そこを流れる冷却水により同時に冷却されることは、必要な冷却水路の数を最小にして(特に、リテーナキャップ内などに冷却水通路を設ける必要を無くして)、トーチのサイズを小型化するのに寄与する。冷却水路45を通りぬけた冷却水は冷却水路47を通ってトーチ1外へ排出される。
【0032】
リテーナキャップ13の基端部とアウタースリーブ29との間に、環状の2次ガス通路51が形成されている。また、リテーナキャップ13の外周面に、周方向へ一定間隔で、リテーナキャップ13の基端部から先端部へと走る多数本の溝13Cが形成されており、各溝13Cの外側の開口は細長い蓋13Dで完全に覆われ、この蓋13Dで覆われた溝13C内の空間が2次ガス通路53となっている。リテーナキャップ13内の多数本の2次ガス通路53の各々は、その基端にて、リテーナキャップ13の基端部に形成された多数の2次ガス導入穴13Eを通じて、リテーナキャップ13とアウタースリーブ29間の環状の2次ガス通路51に連通している。また、リテーナキャップ13内の多数本の2次ガス通路51の各々は、その先端にて、リテーナキャップ13の先端部に形成された多数の2次ガス噴出穴13Fを通じて、リテーナキャップ13とノズル保護キャップ11との間に形成された環状の2次ガス通路55に連通している。この環状の2次ガス通路55は、ノズル保護キャップ11に、周方向へ一定間隔で、半径方向に対して周方向へ若干角度傾斜して穿たれた、複数個の2次ガススワラ穴11Cに連通している。それらの2次ガススワラ穴11Cは、シールドキャップ11とノズル7の先端部との間に形成された2次ガス通路57に連通し、この2次ガス通路57は、シールドキャップ11の先端に形成された、ノズルオリフィス7Aより大きい径をもつ2次ガス噴出口11Bに連通する。
【0033】
2次ガスは、アウタースリーブ29内に形成されている図示しない2次ガス供給路から2次ガス通路51に流入し、続いて、リテーナキャップ13内の多数本の2次ガス通路53を通って、リテーナキャップ13先端部とシールドキャップ11との間の2次ガス通路55に至り、更に、ノズル保護キャップ11を外側から内側へ貫通する複数の2次ガススワラ穴11Cを通り、旋回流となってシールドキャップ11内側の2次ガス通路57に噴出する。この2次ガス旋回流は2次ガス通路57を通り、2次ガス噴出口11Bから、ノズルオリフィス7Aから噴出するプラズマアークの周囲に噴出する。2次ガススワラ穴11Cが作る2次ガス旋回流の旋回方向と、プラズマガススワラ穴5Aが作るプラズマアーク(プラズマガス)旋回流の旋回方向とは同一である。
【0034】
固定リング37には、3次ガスを供給する3次ガス通路61が形成されている。この3次ガス通路61は、固定リング37とリテーナキャップ13との間に形成された環状の3次ガス通路63に連通する。また、リテーナキャップ13は、前述した2次ガス通路53の他に、これと同様に溝13Gと蓋13Hで構成された、基端部から先端部へ走る多数本の3次ガス通路65も有しており、各3次ガス通路6と各2次ガス通路53は交互に配置されている。これら多数本の3次ガス通路65は、その基端にて、リテーナキャップ13の基端部に形成された多数の2次ガス導入穴13Iを通じて、固定リング37とリテーナキャップ13間の環状の3次ガス通路63に連通する。また、これら多数本の3次ガス通路65は、その先端にて、リテーナキャップ13の先端部に穿たれた多数の3次ガススワラ穴13Jに連通する。これら3次ガススワラ穴13Jも、3次ガスを2次ガスと同方向へ旋回するように、周方向に一定間隔で、半径方向に対して周方向へ若干角度傾斜しており、その出口はシールドキャップ11の先端部を囲む環状の3次ガス通路67に開いている。
【0035】
3次ガスは、固定リング37内の3次ガス通路61から、固定リング37とリテーナキャップ13間の3次ガス通路63に流入し、続いて、リテーナキャップ13内の多数本の3次ガス通路65を通って、リテーナキャップ13先端部の3次ガススワラ穴13Jに至り、3次ガススワラ穴13Jから旋回流となって2次ガス旋回流の周囲に噴出する。
【0036】
上述したように、リテーナキャップ13の内部に2次ガス通路53と3次ガス通路65を形成しているため、リテーナキャップ13とノズル7との間に2次ガスや3次ガスの通路を設ける必要がない。このことのために、ノズル7とリテーナキャップ13との間の空間を全て冷却水路45として利用することができ、その結果として、上述したように、1つの同じ冷却水路45でノズル7、リテーナキャップ13及びシールドキャップ11を同時に冷却でき、余計な冷却水路が不用で小型化できるというメリットが得られる。
【0037】
以上が、このプラズマトーチ1の全体構成である。次に、図2と図3を参照して、トーチ本体1Aとデタッチャブル部1Bについて説明する。
【0038】
図2に示すように、トーチ本体1Aは、導水管17、インナースリーブ17、アウタースリーブ29、ノズル台座31、固定リング37及びこれらの部品から更にトーチ基端側に存在する図示しない諸部品から構成されている。図3に示すように、デタッチャブル部1Bは、電極3、絶縁ガイド5、ノズル7、シールドキャップ11及びリテーナキャップ13などの、トーチに着脱可能な諸部品から構成されている。
【0039】
ここで注目すべきことは、トーチ本体1Aとデタッチャブル部1Bは、従来のカセット式トーチのトーチ本体とヘッド部の構成とは以下の点で決定的に異なることである。
【0040】
すなわち、従来のカセット式トーチでは、ヘッド部に含まれる電極、ノズル、キャップが本来的に持っている電気接続部や冷却水配管やガス配管に加えて、トーチ本体とヘッド部との間を繋ぐための追加の中間的な電気接続部や冷却水配管の接続部やガス配管の接続部を有していて、それがカセット式トーチの構造を複雑化させている。これに対し、本発明の原理に従うプラズマトーチ1では、デタッチャブル部1Bに含まれる電極3やノズル7やシールドキャップ11などが本来的に持っている電気接続部や冷却水配管やガス配管の他には、トーチ本体1Aとデタッチャブル部1Bとの間を結ぶための追加の中間的な電気接続部や配管接続部を有してはいない。
【0041】
例えば、図2に示すトーチ本体1Aは、図1に示す完成されたトーチから、デタッチャブル部1Bに含まれる電極3、絶縁ガイド5、ノズル7、シールドキャップ11及びリテーナキャップ13などの着脱自在部品を単純に個別に取り外したのと同じ構成を有している。すなわち、トーチ本体1Aは、電極3、ノズル7及びリテーナキャップ13といった着脱自在部品の各々と直接結合するための部分を持つだけであり、それら着脱自在部品との直接結合部以外には、デタッチャブル部1Bに対する追加の中間的な電気接続部や配管接続部を有してはいない。また、図3に示すデタッチャブル部1Bは、実質的に、電極3、絶縁ガイド5、ノズル7、シールドキャップ11及びリテーナキャップ13などの着脱自在部品のみから構成されている。すなわち、デタッチャブル部1Bは、トーチ本体1Aに対する関係において、電極3、ノズル7及びリテーナキャップ13といったトーチ本体1Aに直接結合される着脱自在部品を備えているだけであり、トーチ本体1Aに対する追加の中間的な電気接続部や配管接続部は有してはいない。また、デタッチャブル部1B内の電極3、絶縁ガイド5、ノズル7、シールドキャップ11及びリテーナキャップ13は、それら自体が冷却水通路やガス通路を構成するものであるが、これらの部品以外の追加の冷却水配管やガス配管をデタッチャブル部1Bは有していない。
【0042】
そのため、このプラズマトーチ1は、構成の複雑さという点では、従来のカセット式トーチよりずっと簡素であり、よって、コストも安い。それに加え、このプラズマトーチ1は、以下に説明するように、電極3やノズル7などの消耗品の交換の容易さにおいて、従来のカセット式トーチに勝るとも劣らないものである。
【0043】
図3に示すように、デタッチャブル部1Bでは、リテーナキャップ13の内側に、電極3と絶縁ガイド5とノズル7とシールドキャップ11が入っている。電極3と絶縁ガイド5とノズル7は互いに嵌め合わされていて、軸方向に沿って一方を他方から引き離すように手で抜けばそれら3者は別々に分離することができる。電極3と絶縁ガイド5間の結合力は、主として、両者間に介装されたゴムのような弾性材性のOリング93の摩擦力によって得られ、また、絶縁ガイド5とノズル75間の結合力は、主として、両者間に介装された弾性材性のOリング95の摩擦力によって得られる。また、ノズル7とシールドキャップ11は、絶縁リング9を介して固着されていて、ユーザが両者を分離することはできない(勿論、嵌めこみ式で分離できるようになっていてもよい)。
【0044】
シールドキャップ11は、リテーナキャップ13の先端部に着脱自在な状態で嵌め込まれている。リテーナキャップ13の先端部の内面には、シールドキャップ11の基端部のフランジ11Aの外形より僅かに大きい内径をもった環状堤13Kが形成されており、この環状堤13Kの内側にシールドキャップ11のフランジ11Aが嵌め入れられている。環状堤13Kの底部では、前述した環状爪13Bが内側に張り出しており、この環状爪13Bがシールドキャップ11のフランジ11Aに係合してシールドキャップ11を保持している。さらに、環状堤13Kの内面のフランジ11Aより上方の部分に、弾性材製のOリング97が嵌めこまれている。このOリング97の内径は、シールドキャップ11のフランジ11Aの外形より若干小さく、環状堤13Kの内面から更に内側へ突出している。従って、リテーナキャップ13の先端部に嵌めこまれたシールドキャップ11は、Oリング97によって、リテーナキャップ13からの抜け出しが阻止される。シールドキャップ11は、そのフランジ11AがOリング97を潰してOリング97の位置を通過するのに必要な力をもってリテーナキャップ13から引き離されたときに、リテーナキャップ13から分離される。
【0045】
以上の構成をもつデタッチャブル部1Bをトーチ本体1Aに装着するときには、トーチ本体1Aの導水管15が電極3の内部に挿入されるように位置を合わせた状態で、リテーナキャップ13をトーチ本体1Aの先端部に被せ、トーチ本体1Aの固定リング37に、リテーナキャップ13の基端部の回転リング39を嵌め入れ螺合させればよい。要するに、リテーナキャップ13をトーチ本体1Aに取り付けるという操作だけで、デタッチャブル部1Bを構成する全ての部品が纏まってトーチ本体1Aに結合される。また、トーチ本体1Aに装着されているデタッチャブル部1Bを、消耗品交換のためにトーチ本体1Aから外すときには、固定リング37と回転リング39との螺合を外して、リテーナキャップ13を単純にトーチ本体1Aから引き離せば良い。
【0046】
デタッチャブル部1Bがトーチ本体1Aに装着された状態では、電極3は、後に詳述するように、その基端部3Bに形成されている複数枚の弾性舌77が、トーチ本体1Aのインナースリーブ17の内面に接触して、その接触面での摩擦抵抗力でインナースリーブ17に結合している。また、ノズル17は、トーチ軸に垂直なノズル基端面7Bで、トーチ本体1Aのノズル台座31の先端面31Aに接触している。そのため、デタッチャブル部1Bをトーチ本体1Aから外すときには、デタッチャブル部1Bのトーチ本体1Aからの分離を阻止する力は、電極3とインナースリーブ17との上記摩擦による結合力だけである。この電極3とインナースリーブ17との結合力に比較して、デタッチャブル部1Bを構成する諸部品相互間の結合力の方がより大きくなるように設計されている。従って、リテーナキャップ13をトーチ本体1Aから外すという操作を行えば、リテーナキャップ13内の電極3、絶縁ガイド5、ノズル7、シールドキャップ11などがリテーナキャップ13に結合されたままで一緒にトーチ本体1Aから外れる、つまり、デタッチャブル部1Bが纏まってトーチ本体1Aから外れることになる。
【0047】
デタッチャブル部1Bを個々の部品に分解する操作も極めて簡単である。全ての部品が単純な嵌め合せで結合されているから、それらを単に軸方向に引っ張って引き離せば分解できる。分解の手順はユーザの勝手であるが、典型的な手順を例示すれば次の通りである。まず、図3に示したように内部に電極3やノズル7などが付いているリテーナキャップ13を外側から手でしっかりと掴んだ状態で、その先端部に露出しているシールドキャップ11を親指などで図3中上方へ押す。この押圧力により、シールドキャップ11のフランジ11AがOリング97を乗り越え、リテーナキャップ13からシールドキャップ11が外れる。よって、図4に示すような電極3と絶縁ガイド5とノズル7の結合体(以下、3部品セットという)が、リテーナキャップ13から取り出される。尚、シールドキャップ11はノズル7の先端部に固着されているので、以下の説明ではノズル7の一部分としてみなす。次に、電極3、絶縁ガイド5及びノズル7を軸方向に沿って手で引き離せば、図5に示すように個々の部品3、5、7に分離する。デタッチャブル部1Bの組み立ては、上記と逆の手順で行えば良い。つまり、電極3、絶縁ガイド5、ノズル7及びリテーナキャップ13を互いに押して嵌め合わせるだけで、デタッチャブル部1Bが組み立てられる。
【0048】
以上の、デタッチャブル部1Bの分解及び組み立て操作は、従来のカセット式トーチのヘッド部のそれよりも簡単である。従来のカセット式トーチのヘッド部は、電極、ノズル、キャップ類などのトーチに必要不可欠な部品だけでなく、トーチ本体に対する電気接続や配管接続のための追加の中間的な部品を備えるため、上述したデタッチャブル部1Bほどには分解及び組み立てが単純ではない。
【0049】
なお、電極3、絶縁ガイド5、ノズル7及びリテーナキャップ13を結合しておくためのOリング91、93、95、97は、同様な機能をもつ他の部品で代替することもできる。例えば、リテーナキャップ13のOリング97の代わりに、内側に僅かに突出した板バネやゴム片などを用いてもよい。
【0050】
図6は、上述した本発明に従うプラズマトーチ1の消耗品交換の手順の一例を示す。
【0051】
まず、このプラズマトーチ1を、プラズマ加工機における所定の交換位置に移動させる(S1)。次に、このプラズマトーチ1の回転リング39を回して緩め、リテーナキャップ13をトーチ本体1Aから外す(S2)。前述のように、デタッチャブル部1Bの部品全部がリテーナキャップ13と一緒に外れる。次に、リテーナキャップ13の中に入っている電極3、絶縁ガイド5及びノズル7が結合した3部品セットをリテーナキャップ13から外す(S3)。次に、その3部品セットを電極3、絶縁ガイド5及びノズル7に分離する(S4)。
【0052】
次に、分離した電極3、絶縁ガイド5及びノズル7のうち、交換を要する部品を新品に交換する(S5)。次に、電極3、絶縁ガイド5及びノズル7を結合して3部品セットにする(S6)。次に、その3部品セットをリテーナキャップ13に嵌め入れる(S7)。これで、消耗品交換後のデタッチャブル部1Bが用意される。次に、デタッチャブル部1Bのリテーナキャップ13をトーチ本体1Aの先端部に被せ、そして、回転リング13を回して完全に締める(S8)。これで、交換作業は完了する。トーチ1を作業位置へ戻して加工作業に入る(S9)。
【0053】
上記交換作業は全て手作業で行うこともできるが、消耗品自動交換装置を使って全自動又は半自動で行うこともできる。図7は、消耗品自動交換装置を備えたプラズマ加工機の全体構成を示す。
【0054】
作業ステージ103にワークピース101たる鋼板が水平に載置される。作業ステージ103に対して、Yキャリッジ105がY方向へ水平移動できるように設置されている。このYキャリッジ105からX方向へガイドレール107が張り出し、このガイドレール107上を水平にX方向へXキャリッジ109が移動できるようになっている。Xキャリッジ109には、Z(鉛直)方向へ移動するZキャリッジ111が取りつけられ、このZキャリッジ111に、図1に示した構造のプラズマトーチ1が真下を向いて固定されている。プラズマトーチ1は、ワークピース101を加工している間、上記のキャリッジ105,109,111からなるXYZ移動系統によって、ワークピース101に対し一定のスタンドオフ(ワークピース上面からトーチ先端までの距離)を保った状態で、製品形状に合った加工ラインに沿ってX及びY方向へ水平移動させられる。
【0055】
作業ステージ103の脇の所定位置に、消耗品自動交換装置113が設置されている。上述したXYZ移動系は、プラズマトーチ1を作業テーブル103上だけでなく、消耗品自動交換装置113の上の位置まで移動させることができる。消耗品自動交換装置113の上部には、複数個のデタッチャブル部ホルダ115、115、…が設けられ、各デタッチャブル部ホルダ115には1個のデタッチャブル部1Bを先端部を下に向けた姿勢でセットすることができる。各デタッチャブル部ホルダ115は、既に述べたような方法で、プラズマトーチ1からデタッチャブル部1B(つまり、リテーナキャップ13)を外したり、デタッチャブル部1B(つまり、リテーナキャップ13)をトーチ本体1Aに取付けたりする機能をもつ。少なくとも1個のデタッチャブル部ホルダ115には、消耗品が新品になっているデタッチャブル部1Bが予めセットされており、他の少なくとも1個のデタッチャブル部ホルダ115は空である。
【0056】
プラズマトーチ1の消耗品を交換するときには、まず、XYZ移動系が、プラズマトーチ1を、消耗品自動交換装置113の空のデタッチャブル部ホルダ115の真上まで移動させ、そして、プラズマトーチ1を下降させてそのデタッチャブル部1Bをその空デタッチャブル部ホルダ115の中にセットする。次に、そのデタッチャブル部ホルダ115が作動してプラズマトーチ1を回転リング39を緩めてデタッチャブル部1Bだけを外す。
【0057】
次に、XYZ移動系が、デタッチャブル部1Bの外れたプラズマトーチ本体1Aを上方に引き上げ、それを別の新品消耗品のデタッチャブル部1Bがセットされたデタッチャブル部ホルダ115の真上まで移動させ、そして、トーチ本体1Aを下降させて、これを新品消耗品のデタッチャブル部1Bに嵌め込む。次に、そのデタッチャブル部ホルダ115が作動して、トーチ本体1Aに嵌め込まれたデタッチャブル部1Bの回転リング29を回転させて、そのデタッチャブル部1Bをトーチ本体1Aに固定する。これで交換は完了する。その後、XYZ移動系が、交換完了したプラズマトーチ1を引き上げ、再び作業テーブル103上の作業位置へ戻し、加工作業が再開される。
【0058】
以上の消耗品自動交換装置113による自動交換作業は、図6に示した交換手順において、ステップS2から、ステップS3〜S7を飛び越して、ステップS8へ進むものである。ステップS3〜S7(古いデタッチャブル部1Bのデタッチャブル部ホルダ115からの取り出しと分解、及び新しいデタッチャブル部1Bの組み立てとデタッチャブル部ホルダ115へのセット)は手作業で行っても良いし、自動化してもよい。
【0059】
図8は、消耗品自動交換装置113のデタッチャブル部ホルダ115の構成を簡単に示している(トーチ1の内部の部品は図示省略する)。
【0060】
デタッチャブル部ホルダ115は、デタッチャブル部1Bのリテーナキャップ13を静止状態に保持するキャップホルダ117と、デタッチャブル部1Bの回転リング39を掴んでこれを操作する回転リングドライバ119とを有する。キャップホルダ117は、消耗品自動交換装置113に不動状態で設けられた筒形の部品であり、リテーナキャップ13の先端部の外面に取り付いて、交換作業中にリテーナキャップ13が動かないように保持する。回転リングドライバ119は、キャップホルダ117と同軸関係でその外周に配置された筒形の部品で、回転リング39を掴んで、この回転リング39を、トーチ軸(一点鎖線で示す)回りに右回転及び左回転させつつ、トーチ軸方向に上昇及び下降させることができる。回転リングドライバ119の駆動機構は図示省略する。
【0061】
図8(A)は、トーチ本体1Aにデタッチャブル部1Bを固定する直前の状態を示す。このとき、回転リングドライバ119は、デタッチャブル部1Bの回転リング39を、リテーナキャップ13より上方へ突出しない低い位置で保持している。この状態で、トーチ本体1Aが、回転リング39に衝突することなく、デタッチャブル部1Bに完全に嵌め込まれる。続いて、回転リングドライバ119が、回転リング39を右回りに回転させつつ、回転リング39の螺子39Aのピッチに合った回転速度/上昇速度比で、回転リング39を上昇させていく。これにより、回転リング39は、トーチ本体1Aの固定リング37に螺合し、この螺合が締め込まれている。図8(B)に示すように、回転リング39と固定リング37との螺合が完全に締められたところで、回転リングドライバ119が停止する。これで、トーチ本体1Aへのデタッチャブル部1Bの装着が完了する。
【0062】
トーチ本体1Aからデタッチャブル部1Bを外すときには、図8(B)の状態から、回転リングドライバ119が、回転リング39を左回りに回転させながら、回転リング39の螺子39Aのピッチに合った回転速度/下降速度比で下降していく。これにより。回転リング39と固定リング37との螺合が緩められていく。図8(A)に示すように回転リング39から固定リング37が完全に外れたところで、回転リングドライバ119が停止する。その後、トーチ本体1Aga上昇し、これにより、トーチ本体1Aからデタッチャブル部1Bが分離される。
【0063】
以上のように、本発明に従うプラズマトーチ1の消耗品交換は容易であり、自動交換にも適している。
【0064】
本発明に従うプラズマトーチ1が、消耗品交換以外の他の幾つかの観点についても、優れた特徴を有している。そのうち2つ観点についての特徴、すなわち、第1に電極3の電気接続に関する特徴と、第2に電極3とノズル7の位置整合に関する特徴について以下に説明する。まず、第1の特徴を説明する。
【0065】
図9は、上述のプラズマトーチ1の電極3の断面を示す。図10は、トーチ本体1Aのインナースリーブ17と導水管15の断面を示す。図11は電極3をインナースリーブ17に取り付けた状態を示す。
【0066】
図9に示すように、電極3は例えば銅製であって、その基端開口71を囲むスカート部73には、その基端面から電極軸に平行方向へ、一定間隔で、所定長と所定幅をもった複数本(例えば、2本、3本又は4本)のスリット75が刻み込まれている。これらのスリット75により、スカート部73は、複数枚(例えば、2枚、3枚又は4枚)の舌(円弧に湾曲した矩形板)77に分割されていて、各舌77は、弾性をもって径方向内側へ僅かな距離だけ撓むことができる。スカート部73は、内径及び外径の双方にて他の部分より僅かに大きい大径部79を有し、この大径部79の外径は、舌77が内方へ弾性的に撓むことで僅かに縮小する。この大径部79の外周面79Aは、電極軸に平行な面であり、後述するように、インナースリーブ17の内面に密着して通電面として機能する。大径部79の内側には、ステンレス鋼製のバネリング81が、大径部79の内周面79Bに密着するようにして嵌め込まれる。このバネリング81は、図には表れていないが、完全なリングではなく、1箇所にてスリットで切断されたC字形のものであり、元来弾性に富まない銅製の舌77に内側から弾性力を追加して、舌77が内側に撓んだときの塑性変形を防止し、かつ、通電面79Aのインナースリーブ17の内面への接触圧力を強化する役割をもつ。この大径部79の基端の外周エッジは斜めに面取りされた面79Cとなっており、この面取り面79Cは電極3のインナースリーブ17への差し込みを容易にする。
【0067】
電極3の外周の、スカート部73より若干距離だけ先端側へずれた位置に、フランジ83が形成されている。フランジ83は、その基端側部分の比較的に小さい外径をもつ小径部83Aと、先端側部分の比較的に大きい外径をもつ大径部83Bとを有する。電極3の外周には、スカート部73とフランジ63との間の位置に、前述した弾性材製のOリング91が嵌められている。このOリング91は、フランジ83の基端側の端面(電極軸に垂直な面である)に当接している。
【0068】
図10に示すように、インナースリーブ17は、電極3を保持し且つ電極3に電流を供給する役目をもつ。
【0069】
導水管15の外周面とインナースリーブ17の内周面との間には、電極3のフランジ83より基端側の部分を嵌め入れるための空間121が形成されている。インナースリーブ17の内周面123は、その先端部に、先端から基端へ向かうに従って内径がテーパするテーパ面123Aを有する。このテーパ面123Aの最も開いた部分の径、つまりインナースリーブ17の先端の内径は、電極3のフランジ83の小径部83Aの外径より若干大きい。インナースリーブ17の内周面123は、先端部から基端側へ向かって、テーパ面123Aに続いて、次にスリーブ軸に平行な面123Bとなり、次に内径が若干小さくなって、2番目のスリーブ軸に平行な面123Cとなる。この2番目の平行面123Cは、後述するように、電極3をこのインナースリーブ17に取り付けたとき、電極スカート部73の大径部79の外周面79Aと密着することになる通電面である。この2番目の平行面123Cの内径は、電極スカート部73の大径部79の外径より僅かに小さい。また、この2番目の平行面123Cは先端側のエッジは、内径が滑らかに小さくなるように面取りされたスロープ面123Dとなっている。このスロープ面123Dは、電極3をインナースリーブ17に差し込んだときに、電極スカート部73の基端外周の面取り面79Cに当接して舌77を内側に撓ませ、それにより、電極スカート部73の大径部79がこの2番目の平行面123Cの内側へ入り込むのを容易にする。
【0070】
電極3のフランジ83より基端側の部分がインナースリーブ17の内側の空間121に差し込まれると、電極スカート部73の基端外周エッジの面取り面79Cが、まずスリーブ内周面123のスロープ面123Dに当接し、続いて、このスロープ面123Dに沿って滑りながら更に内奥へ入っていく。このとき、電極スカート部73の舌77が内側に撓んで、スカート部73の大径部79がスリーブ内周面123の2番目の平行面123Cの内側に入るように縮まり、そして、電極スカート部73の大径部79の外周面(通電面)79Aが、スリーブ内周面123の2番目の平行面(通電面)123Cに対して、舌77とバネリング81の反力で押しつけられて、これら通電面79A,123C同士が擦り合いながら、電極スカート部73の大径部79がスリーブ内周面123の2番目の平行面123C内に入り込む。電極3がインナースリーブ17内に完全に差し込まれると、図11に示す状態となり、電極3のインナースリーブ17への取り付けが完了する。このように、単なる軸方向への差し込みだけで、電極3をインナースリーブ17に簡単に取りつけることが出来、また、取外しも単なる軸方向への引き抜きだけで行える。故に、前述したような簡単な消耗品交換が可能である。
【0071】
図11に示した取り付け完了状態では、冷却水が、矢印で示すように、導水管15から出て、まず耐熱インサート4を冷やし、続いて、折り返して導水管15の外周面と電極3の内周面との間の冷却水路21を通って、電極3を冷却しつつ基端側へ流れていく。この冷却水路21は、電極3とインナースリーブ17の通電面79A,123Cの近傍を通っている。そして、この冷却水路21内の冷却水の一部は、電極スカート部73のスリット75に入り、スリット75を通って、電極3の外周面とインナースリーブ17の内周面との間に形成された隙間125内も満たす(つまり、スリット75や隙間125も冷却水路の一部である)。故に、密着した通電面79A,123Cの周囲は冷却水に晒されることになる。換言すれば、密着した通電面79A,123Cが冷却水路21、75、125内に存在することになる。また、電極3のOリング91が、電極3のフランジ83とインナースリーブ17のテーパ面123Aとの間に挟まれていて、隙間125内の冷却水が外部に漏れないようシールする。また、Oリング91は、電極3の軸方向の位置決めも行う。
【0072】
上述した電極取付けの過程で、通電面79A,123Cに多少の異物が付着していたとしても、通電面79A,123Cの良好な接触を確保することが可能である。すなわち、電極3をインナースリーブ17に差し込むときに電極3がインナースリーブ17に対して軸方向へ動くことより、電極3とインナースリーブ17の通電面79A,123C同士が擦り合う。この擦り合いによって、通電面79A,123Cに付着していた多少の異物は、潰れたり通電面内に埋め込まれたりする。その結果、図11に示した取り付け完了状態では、通電面79A,123Cは、舌77とバネリング81の反力で押し付けられて密着する。また、仮に潰れずに残った異物があったとしても、その異物によって通電面79A,123Cの全部が接触不良となることはなく、電極スカート部73の複数枚の舌77のうち、その異物が存在する舌77以外の舌77では、通電面79A,123Cは密着する。このように、通電面に多少の異物があっても接触不良が生じにくい。また、通電面の接触抵抗のために通電面で多少の発熱があったとしても、その近傍及び周囲を冷却水が流れて通電面を強力に冷却するため、通電面の溶損の問題は発生しない。
【0073】
なお、通電面を密着させる押し付け力を得るために、電極3側に弾性的に変形する舌77を設けたが、必ずしもそうしなければならないわけではなく、弾性変形部分をインナースリーブ17側に設けても、或いは、電極3とインナースリーブ17の双方に設けても良い。但し、頻繁に交換される電極3側に弾性変形部を設けた方が、変形の繰り返しによる金属疲労の問題がない点で有利である。また、電極3とインナースリーブ17の通電面の形状は、電極の中心軸(トーチの中心軸)と共通の中心軸をもった円筒面であったが、必ずしもそうである必要はなく、トーチの中心軸と共通の中心軸をもった円錐面としてもよい(つまり、通電面にテーパをつけてもよい)。更に、弾性力で密着する通電面に加え、トーチ軸に対して垂直な面での押し付けによる通電面も併せ持つようにしてもよい。この場合、通電面が2系統あることにより、通電トラブルに対する信頼性が高まるとともに、同じサイズの電極であっても、1系統の通電面しかもたない電極に比べて、より大きな電流が流せるという利点がある。
【0074】
次に、電極3とノズル7との位置整合に関する特徴を説明する。
【0075】
図12は、電極3とノズル7の位置整合(特に、中心軸合わせ、つまり芯だし)の原理を模式化し且つ分り易いように分解して示す。
【0076】
ノズル7の内側に弾性を有するOリング95を挟んで絶縁ガイド5が嵌合され、この絶縁ガイド5の内側には弾性を有するOリング93を挟んで電極3が嵌合されている。そして、この電極3はインナーインナースリーブ17の内側に嵌合されており、電極3とインナーインナースリーブ17とは、電極基端部にて弾性を有する舌77をもって接触し、インナースリーブ先端部にて弾性を有するOリング91を間に挟んでいる。
【0077】
Oリング91、93、95は、周方向に亘って各部位の縮み代が略等しくなる性質を持つ。従って、電極3と絶縁ガイド5とがOリング93を挟んで嵌め合わされたとき、このOリング93の性質によって、電極3の中心軸L1と絶縁ガイド15の中心軸とが自動的に精度良く一致する。そして、絶縁ガイド5とノズル7とがOリング95を挟んで嵌め合わされたとき、このOリング95の性質によって、絶縁ガイド15の中心軸とノズル7の中心軸L2とが自動的に精度良く一致する。結果として、電極3の中心軸L1とノズル7の中心軸L2とが自動的に精度良く一致する。つぎに、電極3がOリング91を挟んでインナーインナースリーブ17に嵌合されたとき、このOリング91の性質によって、インナーインナースリーブ17の中心軸L3(つまり、トーチ本体の中心軸)と電極3の中心軸L1とが自動的に一致する。結果として、電極本体3の中心軸L1とノズル7の中心軸L2とトーチ本体の中心軸L3とが自動的に精度良く一致する。
【0078】
尚、Oリング91、93、95はそれぞれ、図1、3、11などに示すように、各部品の外周面上又は内周面上に形成されたOリング溝内に収容される。これらのOリング溝の溝底の同軸度は、上述した芯出しに大きい影響を与えるため、0.02mm程度にまで精度を上げることが望ましい(因みに、従来の一般的なトーチにおけるOリング溝底の同軸度は0.05mm程度である)。
【0079】
リテーナキャップ13は、その先端部でノズル7の先端部のシールドキャップ11を保持した状態で、回転リング39によってトーチ本体の固定リング37に固定される。このとき、リテーナキャップ13は、ノズル7に対して、上述した中心軸L1〜L3に平行な方向へ押す力を与えるだけであり、径方向の力も回転方向の力も与えない。更に、ノズル7はリテーナキャップ13によってノズル台座31に押しつけられるが、ノズル7とノズル台座31との当接面は、軸方向に垂直な面であるため、ノズル7はノズル台座31から軸方向の反作用力を受けるだけであり、径方向の力を受けることがない。このように、ノズル7の外側には、ノズル7に対して軸方向以外の力、特に径方向への力を作用させる部品は何も存在しない。つまり、ノズル7は径方向においてOリング91、93、95による力以外の外力を受けることなくフリーな状態になっている。換言すれば、ノズル7は径方向においてOリング91、93、95による位置調整が許容されるようにフリーな状態になっている。そのため、上述したOリング91、93、95による位置整合作用が、径方向の外力によって妨害されることなく効果的に働く。こうして、Oリング91、93、95による電極3とノズル7の径方向の高精度な位置整合(つまり、中心軸の一致)作用が、外力の邪魔を受けることなく効果的に行われる。
【0080】
一方、軸方向でのノズル7と電極3間の位置決めに関しては、ノズル7の内周の段部7C、電極3のフランジ83、及び段部7とフランジ83間に挟まれる絶縁ガイド5の寸法によって達成される。すなわち、ノズル7の内周の段部7Cに絶縁ガイド5の先端面5Aが当接し、絶縁ガイド5の基端面5Bが電極3のフランジ83で押さえられる。これにより、ノズル7の段部7cと電極3のフランジ83との軸方向の距離が絶縁ガイド5の軸方向の長さに決定されるので、ノズル7と電極3の軸方向での相対位置が自動的に精度良く決定される。
【0081】
更に、図12で説明した位置整合の原理で注目すべき点は、Oリング91、93、95が挿入されている各部品間の境界には、Oリング91、93、95によって径方向の位置整合をとることとしたが故の、十分に大きいクリアランスが存在することである。すなわち、インナースリーブ17の先端部の内周面と電極3の基端部の外周面との間、電極3の先端部の外周面と絶縁ガイド5の内周面との間、及び絶縁ガイド5の先端部の外周面とノズル7の基端部の内周面との間には、それら部品同士が直接に触れ合うことのない大きなクリアランスが存在する。このクリアランスによって、上述したOリング91、93、95による径方向の位置整合作用が有効に働くと共に、部品同士を容易に分離でき且つ容易に嵌め合わせることができるので、交換作業が容易である。加えて、Oリング91、93、95はその断面形状が円形であるため、部品同士を分離したり嵌め合わせたりするときに大きな抵抗とならず、このことも交換作業を容易にしている。
【0082】
前記のOリング91、93、95はこれに限定されるものではない。代替品として、Oリングに相当する弾性を有する部材を用いることができる。或いは、Oリングのように部品の内周面又は外周面に一周連続して存在するリング部材の代わりに、部品の内周面又は外周面の周方向における複数箇所に配置された複数個の弾性ブロックを用いて、周の複数箇所でのそれら弾性ブロックの均等な弾性伸縮によって、径方向の位置整合をとるようにしてもよい。
【0083】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものでないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる切断用のプラズマトーチの中心軸に沿った断面図。
【図2】同プラズマトーチからリテーナキャップ13を外した時の、トーチ本体の断面図。
【図3】同プラズマトーチからリテーナキャップ13を外した時の、リテーナキャップ13とそれと一緒に外れた消耗品とのセットの断面図。
【図4】電極と絶縁ガイドとノズルを結合した3部品セットの断面図。
【図5】分離された電極と絶縁ガイドとノズルの断面図。
【図6】消耗品交換の手順を示すフローチャート。
【図7】消耗品自動交換装置を備えた本発明の一実施形態にかかるプラズマ加工機の斜視図。
【図8】消耗品自動交換装置の要部の断面図。
【図9】電極の断面図。
【図10】トーチ本体の電極を取りつける部分の断面図。
【図11】トーチ本体に電極を取りつけた部分の断面図。
【図12】電極とノズルの位置整合の原理を示す模式的な断面図。
【符号の説明】
1 プラズマトーチ
3 電極
5 絶縁ガイド
7 ノズル
11 シールドキャップ
13 リテーナキャップ
15 導水管
17 インナースリーブ
29 アウタースリーブ
37 固定リング
39 回転リング
91、93、95 Oリング
Claims (8)
- プラズマトーチと、作業テーブルと、前記作業テーブル上で前記プラズマトーチを移動させる移動機構とを備え、
前記プラズマトーチは、前記移動機構に取り付けられたトーチ本体と、前記トーチ本体に着脱自在な状態で取りつけられたデタッチャブル部とを備え、
前記デタッチャブル部は、電極と、前記電極を包囲するように配置されたノズルと、前記電極と前記ノズルの間に介装された絶縁体と、前記電極、ノズル及び絶縁体を内部に収容したリテーナキャップとを有し、
前記トーチ本体は、前記電極と結合される電極接続部と、前記ノズルと結合されるノズル接続部と、前記リテーナキャップと結合されるリテーナキャップ接続部と、冷却水配管と、プラズマガス配管とを有し、
前記リテーナキャップを前記リテーナキャップ接続部に所定経路に沿って近づけて結合する操作に伴って、前記電極及び前記ノズルがそれぞれ前記電極接続部及び前記ノズル接続部に結合し、且つ、前記リテーナキャップを前記リテーナキャップ接続部から外して所定経路に沿って遠ざける操作に伴って、前記電極及び前記ノズルがそれぞれ前記電極接続部及び前記ノズル接続部から外れるように、前記電極と前記電極接続部との結合構造及び前記ノズルと前記ノズル接続部との結合構造が構成されており、
前記電極と前記絶縁体と前記ノズルと前記リテーナキャップとは互いに結合されており、それら相互間の結合力は、前記電極と前記電極接続部との間の結合力及び前記ノズルと前記ノズル接続部との間の結合力のいずれよりも強く、
それにより、前記リテーナキャップを前記リテーナキャップ接続部に取り付け及び取り外すことによって、前記デタッチャブル部の全部品を一緒に前記トーチ本体に取り付け且取り外すことができるようになっているプラズマ加工機。 - 前記移動機構による前記プラズマトーチの移動可能範囲内の所定場所に配置され、前記プラズマトーチの前記トーチ本体から前記リーテーナキャップを取り外し、次に別の前記リテーナキャップを前記トーチ本体に取りつけるための自動交換装置、
を更に備えた請求項1記載のプラズマ加工機。 - 請求項1記載のプラズマ加工機における、前記電極又は前記ノズルの交換方法であって、
前記プラズマトーチを交換作業場所へ移動させるステップと、
前記交換作業場所において、前記プラズマトーチの前記トーチ本体から前記リテーナキャップを取り外すことにより、前記デタッチャブル部の全部品を一緒に前記トーチ本体から取り外すステップと、
前記デタッチャブル部の中の前記電極又は前記ノズルを新品に交換するステップと、
前記交換作業場所において、前記電極又は前記ノズルが新品に交換された後の前記デタッチャブル部の前記リテーナキャップを前記ノズル本体に取り付けることにより、前記デタッチャブル部の全部品を一緒に前記ノズル本体に取り付けるステップと、
を有するプラズマ加工機の消耗品交換方法。 - 冷却水配管とプラズマガス配管とを有したトーチ本体と、前記トーチ本体に着脱自在な状態で取りつけられたデタッチャブル部とを備え、
前記デタッチャブル部は、電極と、前記電極を包囲するように配置されたノズルと、前記電極と前記ノズルの間に介装された絶縁体と、前記電極、ノズル及び絶縁体を内部に収容したリテーナキャップとを有し、
前記トーチ本体は、前記電極と結合される電極接続部と、前記ノズルと結合されるノズル接続部と、前記リテーナキャップと結合されるリテーナキャップ接続部とを更に有し、
前記リテーナキャップを前記リテーナキャップ接続部に所定経路に沿って近づけて結合する操作に伴って、前記電極及び前記ノズルがそれぞれ前記電極接続部及び前記ノズル接続部に結合し、且つ、前記リテーナキャップを前記リテーナキャップ接続部から外して所定経路に沿って遠ざける操作に伴って、前記電極及び前記ノズルがそれぞれ前記電極接続部及び前記ノズル接続部から外れるように、前記電極と前記電極接続部との結合構造及び前記ノズルと前記ノズル接続部との結合構造が構成されており、
前記電極と前記絶縁体と前記ノズルと前記リテーナキャップとは互いに結合されており、それら相互間の結合力は、前記電極と前記電極接続部との間の結合力及び前記ノズルと前記ノズル接続部との間の結合力のいずれよりも強く、
それにより、前記リテーナキャップを前記リテーナキャップ接続部に取り付け及び取り外すことによって、前記デタッチャブル部の全部品を一緒に前記トーチ本体に取り付け且取り外すことができるようになっているプラズマトーチ。 - 前記電極と前記ノズルが前記リテーナキャップから個別に分離可能である請求項4記載のプラズマトーチ。
- 前記電極と前記ノズルと前記リテーナキャップとが、弾性体を用いた結合構造により相互に結合されている請求項4記載のプラズマトーチ。
- 前記電極と前記電極接続部が両者間の電気接続を確保するための接触し合う通電面を夫々有し、前記電極と前記電極接続部の通電面同士が、前記電極と前記電極接続部の少なくとも一方に設けられた弾性変形部の変形による押しつけ力をもって接触し合っている請求項4記載のプラズマトーチ。
- 請求項4記載のプラズマトーチにおける、前記電極又は前記ノズルの交換方法であって、
前記プラズマトーチの前記トーチ本体から前記リテーナキャップを取り外すことにより、前記デタッチャブル部の全部品を一緒に前記トーチ本体から取り外すステップと、
前記デタッチャブル部の中の前記電極又は前記ノズルを新品に交換するステップと、
前記交換作業場所において、前記電極又は前記ノズルが新品に交換された後の前記デタッチャブル部の前記リテーナキャップを前記ノズル本体に取り付けることにより、前記デタッチャブル部の全部品を一緒に前記ノズル本体に取り付けるステップと、
を有するプラズマトーチの消耗品交換方法。
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