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JP3622230B2 - 新規な有機リン化合物、その製法および用途 - Google Patents

新規な有機リン化合物、その製法および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な有機リン化合物、その製法及びそれの有機材料用安定剤としての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、天然又は合成ゴム、鉱油、潤滑油、接着剤、塗料等の有機材料は、製造時、加工時さらには使用時に、熱や酸素等の作用により劣化し、分子切断や分子架橋といった現象等を伴い、商品価値が著しく損なわれることが知られている。このような熱及び熱酸化劣化といった問題を解決する目的で、従来から各種のフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等を添加することにより、有機材料を安定化することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の酸化防止剤を用いる方法では、熱劣化や熱酸化劣化に対する安定化効果は未だ不十分であり、さらに優れた酸化防止剤の開発が求められていた。
【0004】
本発明の目的の一つは、有機材料の熱劣化及び熱酸化劣化に対する高い安定化効果を示す化合物を提供することにある。
【0005】
本発明の別の目的は、かかる化合物の製法を提供することにある。
【0006】
さらに本発明の別の目的は、かかる化合物の有機材料用安定剤としての用途を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、有機材料の熱劣化及び熱酸化劣化に対し、高い安定化効果を示す安定剤を開発すべく研究を続けてきた。その結果、特定構造の有機リン化合物を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、次の式(I)で示される有機リン化合物を提供するものである。
【0009】
Figure 0003622230
【0010】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3 は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X及びYはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。)
【0011】
上式(I)で示される有機リン化合物は、例えば、次の式(II−1)及び(II−2)で示されるフェノール化合物をトリエチルアミン等の脱ハロゲン化水素剤の存在下に三ハロゲン化リンと反応させ、さらにピペラジンを反応させることにより製造することができる。
Figure 0003622230

(式中、R1、及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキルを表し、R3 は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X及びYは上記と同じ定義である。)
【0012】
したがって、本発明は、上式(II−1)及び(II−2)で示されるフェノール化合物を、脱ハロゲン化水素剤の存在下で三ハロゲン化リンと反応させ、さらにピペラジンを反応させることにより、上式(I)で示される有機リン化合物を製造する方法を提供するものである。
【0013】
有機リン化合物(I)は、有機材料、特に熱や酸素の作用によって劣化しやすい有機材料の安定剤として有用である。したがって、本発明は、式(I)で示される有機リン化合物を有効成分とする有機材料用安定剤を提供し、また、有機材料に有機リン化合物(I)を安定化有効量配合することにより、有機材料を安定化する方法を提供し、さらには、有機材料に有機リン化合物(I)を含有させてなる有機材料組成物を提供するものである。
【0014】
本発明の有機リン化合物(I)において、R1 及びR2 は、それぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基等が挙げられる。R1 は、好ましくは4級炭素でベンゼン環に結合するアルキル、例えばt−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等であり、とりわけt−ブチル基が好ましい。R2 は、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等が好ましい。
【0015】
3 は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、イソオクチル基等が挙げられる。R3 は、好ましくは水素原子又は炭素数の比較的少ないアルキル基であり、とりわけ水素原子又はメチル基が好ましい。
【0016】
X及びYは、それぞれ水素原子又はメチル基である。有機リン化合物(I)を製造する際の三ハロゲン化リンとの反応性等も考慮して、XとYが同一であることが好ましい。
【0017】
有機リン化合物(I)は、前述のように、フェノール化合物(II−1)及びフェノール化合物(II−2)と三ハロゲン化リンとを、脱ハロゲン化水素剤の存在下で反応させ、さらにピペラジンと反応させることにより、製造することができる。フェノール化合物(II−1)及びフェノール化合物(II−2)を用いる場合、XとYが異なれば二種類の化合物を使用することになるが、XとYが同じであれば一種類の化合物でよい。以下の説明では、特に断らないかぎり、上記のXとYが同一である一種類の化合物を用いる場合について述べる。
【0018】
上記反応に用いる三ハロゲン化リンの例としては、三塩化リン、三臭化リン等が挙げられる。とりわけ三塩化リンが好ましく用いられる。また、この反応において使用できる脱ハロゲン化水素剤としては、ピリジンや第三級アミン類が例示される。第三級アミン類の具体例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等であり、これらのうち、トリエチルアミンが好ましく用いられる。
【0019】
上記のフェノール化合物と三ハロゲン化リンとの反応(第一段階)は、一般的には有機溶媒中で行われる。使用できる溶媒の例としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、含酸素系炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。芳香族炭化水素の具体例は、ベンゼン、トルエン、キシレン等であり、脂肪族炭化水素の具体例は、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等であり、含酸素系炭化水素の具体例は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等であり、ハロゲン化炭化水素の具体例は、クロロホルム、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等である。これらのなかでも、トルエンが好ましく用いられる。
【0020】
反応は、0〜120℃程度の温度で進行し、2〜10時間程度行われる。この反応は常圧下で進行するが、加圧下で行ってもよい。
【0021】
フェノール化合物(II−1)及びフェノール化合物(II−2)を、脱ハロゲン化水素剤の存在下で三ハロゲン化リンと反応させることにより、次の式(III)で示されるハロゲノホスファイトが生成すると考えられる。
【0022】
Figure 0003622230
【0023】
[式中、R1 、R2 、R3 、X及びYは前記の定義と同じである。Zはハロゲン原子を表す。]
【0024】
この第一段階の反応を行う際には、フェノール化合物(II−1)及びフェノール化合物(II−2)の各1モル当り、三ハロゲン化リンを0.45〜0.55モル程度用いるのが好ましい。より好ましくは、0.48〜0.52モル程度の量用いられる。脱ハロゲン化水素剤は、いずれの場合も三ハロゲン化リン1モル当り、2〜2.4モル程度用いるのが好ましい。より好ましくは、2〜2.1モル程度の量用いられる。生成したハロゲノホスファイト(III)は、単離してから次の反応に供してもよいが、通常は反応混合物のまま第二段階のピペラジンとの反応に供される。
【0025】
フェノール化合物(II−1)及びフェノール化合物(II−2)と三ハロゲン化リンとの反応によって得られた生成物は、次にピペラジンとの反応に供される。この際、第一段階の反応で用いた三ハロゲン化リン1モル当り、ピペラジンを0.5〜0.6モル程度用いるのが好ましい。より好ましくは、0.5〜0.52モル程度の量用いられる。
【0026】
第二段階の反応においては、通常第一段階の反応で用いた有機溶媒をそのまま用いることができ、また脱ハロゲン化水素剤をさらに追加するのが好ましい。追加する脱ハロゲン化水素剤の量は、ピペラジン1モルあたり、2〜2.4モル程度が好ましい。より好ましくは、2〜2.1モル程度の量用いられる。この追加する脱ハロゲン化水素剤の量は、第一段階で脱ハロゲン化水素剤を過剰に用いた場合には、残存する脱ハロゲン化水素剤を含めて計算するのが実用的である。
【0027】
第二段階の反応は80〜120℃程度の温度で進行し、6〜12時間程度行われる。通常この反応は、還流下で行うのが好ましい。
【0028】
反応完了後は、反応により生成する脱ハロゲン化水素剤のハロゲン化水素酸塩を除去し、さらに溶媒を除去した後、例えばヘキサンのような炭化水素系溶媒から晶析することによって、あるいはカラムクロマトグラフィーその他の適当な精製手段で精製することによって、有機リン化合物(I)を得ることができる。
【0029】
なお、フェノール化合物(II−1)及びフェノール化合物(II−2)は公知であり、市販されているものをそのまま用いることができる。
【0030】
本発明の有機リン化合物(I)は、有機材料を熱劣化及び熱酸化劣化に対して安定化するのに有効である。本発明により安定化することができる有機材料としては、例えば次のようなものが挙げられ、これらは一種又は二種以上の混合物でもよいが、これらに限定されるものではない。
【0031】
(1)ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン、(2)ポリプロピレン、(3)メチルペンテンポリマー、(4)EEA(エチレン/アクリル酸エチル共重合)樹脂、(5)エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、(6)ポリスチレン類、例えばポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、(7)AS(アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(8)ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合)樹脂、(9)AAS(特殊アクリルゴム/アクリロニトリル/スチレン共重合)樹脂、(10)ACS(アクリロニトリル/塩素化ポリエチレン/スチレン共重合)樹脂、(11)塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、(12)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、(13)メタクリル樹脂、(14)エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、(15)フッ素樹脂、
【0032】
(16)ポリアセタール、(17)グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂、(18)ポリウレタン、(19)ポリアミド、(20)ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、(21)ポリカーボネート、(22)ポリアクリレート、(23)ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、(24)芳香族ポリエステル樹脂、(25)エポキシ樹脂、(26)ジアリルフタレートプリポリマー、(27)シリコーン樹脂、(28)不飽和ポリエステル樹脂、(29)アクリル変性ベンゾグアナミン樹脂、(30)ベンゾグアナミン・メラミン樹脂、(31)ユリア樹脂、
【0033】
(32)ポリブタジエン、(33)1,2−ポリブタジエン、(34)ポリイソプレン、(35)スチレン・ブタジエン共重合体、(36)ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、(37)エチレン・プロピレン共重合体、(38)シリコーンゴム、(39)エピクロルヒドリンゴム、(40)アクリルゴム、(41)天然ゴム、
【0034】
本発明の有機リン化合物を有機材料に配合して、有機材料を安定化する場合、有機リン化合物(I)は、有機材料100重量部に対し0.01〜2重量部の範囲で用いるのが好ましい。0.01重量部未満では上記の改良効果が不十分であり、また2重量部を越えて配合しても、それに見合う効果が得られず、経済的に不利となる。
【0035】
本発明により有機リン化合物を配合した有機材料は、必要に応じてさらに他の添加剤、例えばフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、造核剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、顔料、無機充填剤等を含有することもできる。これらの添加剤は、有機リン化合物(I)と同時に配合することもできるし、また有機リン化合物とは別の段階で配合することもできる。
【0036】
有機リン化合物(I)、又は任意に使用されるその他の添加剤を有機材料に配合するに当っては、均質な混合物を得るために公知のあらゆる方法及び装置を用いることができる。例えば有機材料が固体ポリマーである場合は、有機リン化合物又はさらに任意の添加剤を、その固体ポリマーに直接ブレンドすることもできるし、また有機リン化合物又はさらに任意の添加剤をマスターバッチの形で、固体ポリマーに配合することもできる。有機材料が合成ポリマーである場合はその他、重合途中又は重合直後のポリマー溶液に、有機リン化合物又はさらに任意の添加剤の溶液又は分散液の形で配合することもできる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例等を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0038】
比較例1:N,N’−ビス{4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1, 3, 2]ジオキサホスフォシン−6−イル}ピペラジン(化合物1)の製造
【0039】
温度計、撹拌装置及び冷却管を備えた300mlの四ツ口フラスコに、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)6.8g、トルエン50g及びトリエチルアミン4.2gを仕込み、容器内を窒素置換した後、撹拌しながら三塩化リン2.7gを滴下した。滴下終了後80℃で3時間保温してから、トリエチルアミン2.1g及び、トルエン20gに溶解させたピペラジン0.9gを仕込み、還流下にて6時間保温した。次に室温まで冷却した後、トルエン50gを加えて希釈し、反応にて生成したトリエチルアミンの塩酸塩を濾過した。濾液を濃縮した後、残渣をn−ヘキサンで晶析することにより、白色結晶として化合物1を6.7g得た。
【0040】
質量分析値(FD−MS): m/z 822
元素分析値(C5068422):
計算値 P:7.5% 実測値 P:7.3%
融点: 300℃以上
【0041】
比較例2:N,N’−ビス{2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスフォシン−6−イル}ピペラジン(化合物2)の製造
【0042】
比較例1における2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)に代えて、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)8.5gを用いた以外は、比較例1と同様の反応及び後処理を行い、白色結晶として化合物2を5.5g得た。
【0043】
質量分析値(FD−MS): m/z 990
元素分析値(C6292422):
計算値 P:6.2% 実測値 P:6.0%
融点: 300℃以上
【0044】
比較例3: N,N’−ビス{2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスフォシン−6−イル}ピペラジン(化合物3)の製造
【0045】
比較例1における2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)に代えて、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ペンチルフェノール)9.6gを用いた以外は、比較例1と同様の反応及び後処理を行い、白色結晶として化合物3を3.6g得た。
【0046】
質量分析値(FD−MS): [M+H] 1103
元素分析値(C70108422):
計算値 P:5.6% 実測値 P:5.3%
融点: 288〜290℃
【0047】
比較例4: N,N’−ビス{2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1, 3, 2]ジオキサホスフォシン−6−イル}ピペラジン(化合物4)の製造
【0048】
比較例1における2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)に代えて、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)8.8gを用いた以外は、比較例1と同様の反応及び後処理を行い、白色結晶として化合物4を3.2g得た。
【0049】
質量分析値(FD−MS): m/z 1018
元素分析値(C6496422):
計算値 P:6.1% 実測値 P:5.9%
融点: 300℃以上
【0050】
比較例5: N,N’−ビス{2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル}ピペラジン(化合物5)の製造
【0051】
比較例1における2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)に代えて、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオール6.5gを用いた以外は、比較例1と同様の反応及び後処理を行い、白色結晶として化合物5を6.2g得た。
【0052】
質量分析値(FD−MS): m/z 962
元素分析値(C6088422):
計算値 P:6.4% 実測値 P:6.3%
融点: 300℃以上
【0053】
実施例: N,N’−ビス[ビス(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ホスフィノ]ピペラジン(化合物6)の製造
【0054】
温度計、撹拌装置及び冷却管を備えた300mlの四ツ口フラスコに、トルエン50g及び三塩化リン2.7gを仕込み、容器内を窒素置換した後、0℃に冷却し、攪拌しながら、トリエチルアミン4.2g及びトルエン20gに溶解させた2,4−ジ−t−ペンチルフェノール9.4gを滴下した。滴下終了後0〜10℃で3時間保持し、次に80℃に昇温して2時間保温した後、トリエチルアミン2.1g及び、トルエン20gに溶解させたピペラジン0.9gを仕込み、還流下にて6時間保温した。室温まで冷却した後、トルエン50gを加えて希釈し、反応にて生成したトリエチルアミンの塩酸塩を濾過した。濾液を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液n−ヘキサン)で分取することにより、淡黄色粘性オイルとして化合物6を5.0g得た。
【0055】
質量分析値(FD−MS): m/z 1078
元素分析値(C68108422):
計算値 P:5.7% 実測値 P:5.4%
【0056】
実施例2: N,N’−ビス[ビス(2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノキシ)ホスフィノ]ピペラジン(化合物7)の製造
【0057】
実施例1における2,4−ジ−t−ペンチルフェノールに代えて、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール7.1gを用いた以外は、実施例1と同様の反応を行い、さらに濾液の濃縮まで同様に処理した。濃縮後の残渣をn−ヘキサンで晶析することにより、白色結晶として化合物7を3.9g得た。
【0058】
Figure 0003622230
【0059】
以上の比較例及び実施例で得られた化合物1〜7の構造は以下のとおりである。
【0060】
Figure 0003622230

【0061】
【表1】
Figure 0003622230
【0062】
実施例3
ポリプロピレンの熱安定性試験:
[配 合]
未安定化ポリプロピレン 100 重量部
ステアリン酸カルシウム 0.05重量部
供試化合物 0.1 重量部
【0063】
口径30mmφの単軸押出機を用い、上記配合物を230℃で溶融混練してペレット化した。得られたペレットをメルトインデクサーに入れ、JIS K 7210に準じて270℃で10分間滞留後の流動性(g/10分)を測定し、熱安定性の評価を行った。ポリプロピレンは熱によって分子鎖の切断を起こし、流動性が増すので、10分間滞留後の流動性が小さいほど熱安定性に優れることを意味する。
結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
Figure 0003622230
【0065】
実施例4〜5、比較例1〜6: 直鎖低密度ポリエチレンの熱安定性試験
[配 合]
未安定化直鎖低密度ポリエチレン 100 重量部
ステアリン酸カルシウム 0.1 重量部
AO−1(註) 0.05重量部
供試化合物 0.1 重量部
【0066】
(註) AO−1: オクタデシル 3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
【0067】
口径30mmφの単軸押出機を用い、上記配合物を230℃で溶融混練してペレット化した。得られたペレットをメルトインデクサーに入れ、JIS K7210に準じて250℃で15分間滞留後の流動性(g/10分)を測定し、熱安定性の評価を行った。直鎖低密度ポリエチレンは熱によって架橋を起こし、流動性が減少するので、15分間滞留後の流動性が大きいほど熱安定性に優れることを意味する。結果を表3に示した。
【0068】
【表3】
Figure 0003622230
【0069】
【発明の効果】
本発明の有機リン化合物は、熱可塑性樹脂をはじめとする各種有機材料の安定剤として優れた性能を有する。例えばこの化合物を配合した樹脂は、製造時、加工時、さらには使用時の熱劣化及び熱酸化劣化に対して安定であり、高品質な製品となる。

Claims (7)

  1. 次の式(I)で示される有機リン化合物。
    Figure 0003622230
    (式中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、X及びYはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。)
  2. X及びYが、互いに同一である請求項1に記載の有機リン化合物。
  3. がt−ブチル基、t−ペンチル基又はt−オクチル基であり、Rが炭素数1〜5のアルキル基である請求項1又は2に記載の有機リン化合物。
  4. 次の式(II−1)及び(II−2)で示されるフェノール化合物を脱ハロゲン化水素化剤の存在下に三ハロゲン化リンと反応させ、さらにピペラジンを反応させることを特徴とする請求項1に記載の有機リン化合物の製法。
    Figure 0003622230

    (式中、R1、R2及びR3は請求項1記載と同じ定義である。X及びYは請求項1記載と同じ定義である。)
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の有機リン化合物を有効成分とする有機材料用安定剤。
  6. 有機材料に請求項1〜3のいずれかに記載の有機リン化合物を安定化有効量配合することを特徴とする有機材料の安定化方法。
  7. 有機材料に請求項1〜3のいずれかに記載の有機リン化合物を含有させてなる安定化有機材料組成物。
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