JP3617765B2 - スライドゲート用プレートとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼業に於ける溶銑及び溶鋼の流量制御用に使用されるスライドゲート用プレート及びその製造方法に関し、より詳細には、出発原料として、耐火物骨材等に、繊維状及び鱗片粉末状の金属アルミニウムと金属珪素粉を各々特定量比で組合せ配合した特定組成の配合原料を用い、これを成形、焼成して得られた、見掛け気孔率が小さく、且つ気孔径分布が狭く、従来品に比較して、強度、耐熱衝撃性、耐食性が顕著に向上したスライドゲート用プレート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スライドゲート用プレートは、溶融金属の流量制御用部材として、取鍋での2次処理及び連続鋳造が一般化した現在、鉄鋼業では必要不可欠な耐火部材として広く採用されている。
このスライドゲート用プレートは、溶鋼等溶融金属流の制御を司る部分であるために、非常に高度な性能を要求され、材質面に於いても種々の過酷な条件に対応できる優れた諸特性をバランス良く具備することが必要とされる。
即ち、スライドゲート用プレートは、溶融金属流による急激な熱衝撃と摩擦等の物理的作用に加えて、溶融金属及び溶融スラグ等による化学的浸食作用(コロ−ジョン)、更には、化学的作用と物理的作用が複合した電食作用(エロージョン)等を受けるので、具備すべき特性として、耐熱衝撃性、耐摩耗性、耐食性、強度特性等に優れていることが挙げられ、見掛け気孔率が小さく、気孔径分布の狭い材質から成る製品であることが要求される。
【0003】
スライドゲート用プレートに上記諸特性をバランス良く具備させるために、従来より鉄鋼業に於いては、材質として耐用性が最も安定しているアルミナ・(ジルコニア)・カーボン系の耐火物が広く使用されている。
アルミナ・(ジルコニア)・カーボン系材から成るスライドゲート用プレートの製造技術としては、例えば、アルミナ質、ジルコニア質、シリカ質、カーボン質、炭化珪素質などの耐火性無機骨材とピッチ、黒鉛などのカーボン原料に、バインダーである熱硬化性樹脂(一般にフェノール樹脂が多く用いられている)を添加配合して混練し、これを所定形状に成形して後、非酸化性雰囲気下に焼成し、焼成後ピッチ或いはタール含浸を施す方法等が実施されている。
【0004】
また、上記諸特性をより向上させるための発明も既にいくつか提案されており、例えば、特公昭63−11312号公報には、前記耐火性無機骨材、炭素質粉末等に金属アルミニウム粉と炭化硼素とを添加配合した処方の原料を用い、これ等を焼成時に耐火物粉末及び炭素粉末と反応させることにより耐食性、機械的強度を向上させたスライドゲート用プレートの製造方法が提案されている。また特公昭63−57380号公報には、アルミニウム粉等の低融点金属粉を添加して、その耐食性等を向上させたスライディングノズル部材が提案されている。
更に、特公平3−3631号公報には、耐熱衝撃性を向上させるために金属Alファイバーを添加して焼成し、焼成後ピッチ含浸するスライドゲート用プレートの製造法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記金属Al粉を添加する特公昭63−11312号公報等の方法では、その成形から焼成の段階で、Alの反応(例えば、Al+N→AlN等)により体積膨張が起こり、このため焼成時に亀裂が発生したり、製品の弾性率が上昇するため耐熱衝撃性が低下するなどの問題があった。
また特公平3−3631号公報の金属Alファイバーを添加して焼成する方法では、金属Alファイバーを1重量%以上添加した場合に耐熱衝撃性が向上すると該公報明細書に記載されているが、実際に1重量%以上配合すると、混練時に金属ファイバー同志の絡み合いを生じ、ファイバーを充分均質に分散できず、また成形時、成形体の密度が向上せず、製品を充分緻密に保つことが困難であるという問題点を有していた。
更に、焼成後ピッチ含浸加工を行っても、なお加工後の乾燥工程で製品が消化して、膨張や表面粉化、極端な場合には崩壊を生ずるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記した従来のアルミナ・(ジルコニア)・カーボン系スライドゲート用プレートの上記技術的課題を解決するためになされたものであって、見掛け気孔率が小さく、且つ気孔径分布が狭く、従来品に比較して、強度、耐熱衝撃性、耐食性が顕著に向上したスライドゲート用プレートを提供すること、及びそのスライドゲート用プレートの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)一種もしくは二種以上の耐火性無機材料から成る耐火物骨材が73重量%以上96重量%以下、
(B)ファイバー状金属アルミニウムが、0.1重量%以上0.5重量%以下、
(C)フレーク状の金属アルミニウム粉末が、1重量%以上5重量%以下、
(D)炭素質粉末が、2重量%以上乃至10重量%以下、
(E)金属シリコン粉末が、前記ファイバー状金属アルミニウムとフレーク状金属アルミニウム粉末の合計重量%に対し0.2倍以上、2倍以下の割合で配合された原料からからなる混合物100重量%に対して、
バインダーとして、外配で、熱硬化性樹脂を3重量%以上、10重量%以下添加し、混練、成型、焼成して得られた焼成耐火物より成ることを特徴とするスライドゲート用プレートが提供される。
【0008】
また、本発明によれば、上記原料処方から成る混合物100重量部に対して、熱硬化性樹脂バインダーを外配で3重量%以上、10重量%以下添加した配合組成物を混練し、成形した後、非酸化性雰囲気下で、800℃以上1400℃未満の温度で焼成することを特徴とするスライドゲート用プレートの製造方法が提供される。
【0009】
本発明のスライドゲート用プレートは、原料処方中に、ファイバー状金属アルミニウム(Al)とフレーク状金属Al粉末のそれぞれ特定量と、これらAlの合計量に対して特定量比の金属シリコンを組合せで配合した原料配合物から得られた焼成物より成る点が構成上の顕著な特徴である。
【0010】
アルミナ・(ジルコニア)・カーボン系材料に代表される、いわゆる、無発煙性カーボン・ボンド材質に、鱗片状のフレーク粉乃至球状のアトマイズ粉等の金属Al粉末を、0.5乃至10重量%の範囲で配合し、これにバインダーを添加し、混練、成形、焼成等の所定の処理を施して得られたスライドゲート用プレートは、既に述べたように公知であり(特公昭63−11312号)、また上記カーボン・ボンド材質に、ファイバー状金属Alを、1乃至15重量%の範囲で配合し、これに所定の処理を施して得られたスライドゲート用プレートも既に知られている(特公平3−3631号)。
【0011】
しかしながら、極少量、且つ特定量のファイバー状金属Al(0.1重量%以上0.5重量%以下)にフレーク状金属Alの特定量(1重量%以上5重量%以下)を組合せて配合し、これに、両Alの合計量に対し特定割合の金属Si粉末を添加配合した本発明の原料配合物は、混練、成形、焼結過程に於いて以下に述べる特有の協奏的作用効果を奏し、その結果として、見掛け気孔率が小さく、且つ気孔径分布が狭く、従来品に比較して、強度、耐熱衝撃性、耐食性がバランス良く且つ顕著に向上したスライドゲート用プレートを与える。
即ち、ファイバー状金属Alの配合量が少ないため混練時に於ける絡み合いが少なく、充分に均質分散させることができ、このため焼成時に於いて、反応性が高いフレーク状の金属Al粉末の反応により生ずる体積膨張を吸収できる適度の空隙を成形体組織内に均等に形成する。
【0012】
更に、本発明では、ファイバー状金属Alの配合量(0.1重量%以上0.5重量%以下)に対して、フレーク状の金属Al粉末の配合量(1重量%以上5重量%以下)を少なくとも2倍以上、通常10倍程度と多くしている。
このため、焼成に際しては、フレーク状Al粉が、下記に述べる理由により優先的に反応して消費され、該配合されたファイバー状金属Alは焼成後も少なくともその一部が金属ファイバー状態のまま残存し、スライドゲート用プレートとして使用される際、その構成材である耐火物を損傷させる有害酸化物、例えばFeO等の酸化物を、例えば下記に例示した反応により還元し無害化する作用を有効に奏する。
3FeO+2Al=3Fe+Al2 O3
【0013】
更に、金属シリコンを該添加Al合計量に対して特定量比で配合しているため、この金属シリコンが、焼成時に、粉末フレーク状金属Al及び特にファイバー状金属Alの周囲をSiO2 層で覆い、金属Alを消化から保護する作用を奏する。
なお、上記焼成に際して、フレーク状Al粉が、優先的に反応して消費され、ファイバー状Alが金属のまま成形体中に残存する理由は、下記の通りと考えられる。
即ち、成形体中に存在するAlは、その焼成時等、融点(660℃)以上の熱を受けた際、ブリーズ(コークス微粉末、ピッチ微粉末等の微粉炭素質物質)中の空隙に存在するCO、CO2 、O2 、N2 ガス、或いは添加したバインダーなどのカーボン源から発生するCO、CO2 、O2 、N2 ガスなどと主として反応する。
この場合に於いて、フレーク状金属Al粉末は、もともと微粒子であるため粒子表面積/体積の比が大きい上に、表面から内部中心部までが薄く、従って、前記CO、CO2 、O2 、N2 ガス等と容易に反応し、消費されて、焼成後に金属Alを残さない。
【0014】
これに対し、ファイバー状金属Alは、表面から中心部分まで距離があり、また表面積/体積比もフレーク状Al粉粒子に比べると著しく小さいため、熱を受けた際、ファイバーの表層部分が先ずCO、CO2 、O2 、N2 等と反応して酸化膜、炭化膜、窒化膜等の薄膜層を形成し、その後の中心部分への反応進行をこの部分で拡散律速する。従って、ファイバー状金属Alは、その融点以上の温度で焼成しても、なお焼成後も、少なくともその中心部は金属状態のまま残るものが多く存在することとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のスライドゲート用プレートは、(A)耐火物骨材、(B)ファイバー状金属アルミニウム、(C)フレーク状の金属アルミニウム粉末、(D)炭素質粉末、(E)金属シリコン粉末から成る原料配合物にバインダーとして熱硬化性樹脂を配合し、混練、成型、焼成して得られたものである。
本発明に於いて、耐火物骨材(A)として使用される耐火性無機材料としては、通常のスライドゲート用プレート用に使用される材料を使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、焼結アルミナ、合成ムライト、アルミノシリケート、スピネル等のアルミナ質材料、安定化ジルコニア、電融ジルコニア等のジルコニア質材料、珪砂、溶融シリカ、無定型シリカ、シリカアルミナ等のシリカ質材料、その他の材料、例えば炭化珪素、シリマナイト、マグネシア等、の耐火性無機材料の一種もしくは二種以上の混合物を使用することができる。これらの内でも、アルミナ質材料、ジルコニア質材料、シリカ質材料、特に、アルミナ・ジルコニア系、アルミナ・ジルコニア・シリカ・炭化珪素系混合骨材が好ましく使用できる。
【0016】
ファイバー状金属アルミニウム(B)としては、通常、Al純度が90%以上、特に95%以上で、ファイバーの平均径が10μm乃至500μm程度、アスペクト比10乃至100程度、特に、平均径50μm乃至150μm、アスペクト比20乃至50の範囲にあるものを使用することが混練時の分散性、焼成時の反応律速性の点から好ましい。
なお、ファイバー状金属アルミニウムとしては、上記90%以上のAl純度が維持される限り、Alと他の低融点金属との合金例えばAlとZu、Sn、Mg等との合金を使用して差し支えない。
【0017】
またフレーク状の金属アルミニウム粉末(C)としては、通常、Al純度が95以上、特に98%以上で、粒度0.1μm以上100μm以下の範囲にある鱗片粉末状ものを使用することが好ましい。
フレーク状の金属アルミニウム粉末(C)として、Alと他の低融点金属との合金、例えばAlとZu、Sn、Mg等との合金を使用して差し支えない。
【0018】
更に、炭素質粉末(D)としては、通常この種の耐火材組成物に配合される炭素質材料を用いて良く、特に限定されるものではないが、例えば、粒度100μm以下の、隣状、土状、キッシュ、熱分解黒鉛等の黒鉛類、石炭乃至石油系ピッチ粉等のピッチ類、石油乃至石炭コークス等のコークス類、無煙炭、木炭、カーボン・ブラック等を使用できる。
【0019】
金属シリコン粉末(E)としては、通常、純度80%以上、特に90%以上で、粒度1μm以上100μm以下、特に200μm以下の金属シリコン粉末を使用する。
【0020】
上記(A)乃至(E)の配合組成として、本発明に於いては、耐火物骨材(A)が73重量%以上96重量%以下、ファイバー状金属アルミニウム(B)が、0.1重量%以上0.5重量%以下、好ましくは、0.1重量%以上0.2重量%以下、フレーク状の金属アルミニウム粉末(C)が、1重量%以上5重量%以下、好ましくは1重量%以上2重量%以下、炭素質粉末(D)が、2重量%以上10重量%以下、好ましくは2重量%以上5重量%以下、金属シリコン粉末(E)が、前記ファイバー状金属アルミニウムとフレーク状金属アルミニウム粉末の合計重量%に対し0.2倍以上、2倍以下、好ましくは、0.22重量%以上5重量%以下、より好ましくは、1重量%以上3重量%以下で配合する。
【0021】
上記配合組成に於いて、ファイバー状金属アルミニウム(B)の配合量を、0.1乃至0.5重量%と限定したのは、ファイバー状金属アルミニウムの配合量が0.1重量%以下の場合、これと組合せで添加されるフレーク状の金属アルミニウム粉末(C)が焼成工程で反応した際の膨張に対し、これを許容するに充分な空隙を形成し難いため、焼成段階で成形体に亀裂或いは爆裂が生じる不都合を招来し好ましくないためである。
【0022】
また、ファイバー状金属アルミニウムの配合量が0.5重量%を越える場合は、混練時、該ファイバーの過度の絡み合いにより、混練後の組成物マトリックスが充分に均質に、且つ緻密に仕上がらず、これを用いて成形した成形体の嵩密度が向上せず、気孔率が大きく、気孔径分布の広い多孔質と成ってしまうからであり、また水に濡れた場合に消化し易いという不都合を招来するからである。
【0023】
次に、フレーク状の金属アルミニウム(C)の配合を1重量%以上5重量%以下に限定したのは、該配合量が1重量%以下の場合、焼成後の製品強度が低いためであり、5重量%を越える場合は、焼成工程で雰囲気中に存在するCO、CO2 、O2 、N2 ガス等と反応した際の体積膨張が大きくなり過ぎるため、焼成段階で成形体に亀裂或いは爆裂が生じ、また硬度が高くなり過ぎ、これに伴い耐熱衝撃性が著しく低下する不都合を招来するためである。
また、炭素質粉末(D)を、2重量%以上10重量%以下としたのは、2重量%以下の場合、耐熱衝撃性が低下し、10重量%以上では耐食性が低下するためである。
更に、金属シリコン粉末(E)の配合量を、前記ファイバー状金属アルミニウムとフレーク状金属アルミニウム粉末の合計重量%((B)+(C))に対し0.2倍乃至2倍の割合(重量%)と限定したのは、金属シリコンの配合割合がAl合計量(重量%)に対して2倍を越えると、金属シリコンが多すぎて、製品の耐食性が低下するためであり、又配合割合が0.2倍未満の場合は、金属シリコンが少な過ぎるため金属Alの周囲にシリコンO2 被膜層が形成され難く、耐消化性に問題を生じるためである。
【0024】
本発明に於いては、成形体の焼成用に用いるバインダーとして、熱硬化性樹脂が用いられ、使用される熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等を例示することが出来るが、固定炭素量とコストの点からフェノール樹脂の使用が好ましい。
本発明のスライドゲート用プレートは、見掛け気孔率が小さく、且つ気孔径分布が狭い材質から構成されている点が特徴で、通常、その気孔率は10%乃至15%、平均細孔径は0.5μm以上、3μm以下の範囲にある。
【0025】
次に、本発明のスライドゲート用プレートを製造する方法について述べる。
先ず、上記(A)耐火物骨材、(B)ファイバー状金属アルミニウム、(C)フレーク状の金属アルミニウム粉末、(D)炭素質粉末、及び(E)金属シリコン粉末の各所定量を混合し、この混合物にバインダーとして熱硬化性樹脂を該混合物100重量部に対し3重量部以上10重量部以下添加し、常温もしくは加温下に混練する。
この混練物を、耐火煉瓦等の成型用に用いる通常の成形機、例えば、フリクションプレス、オイルプレス、ラバープレス等を用いてプレート形状に成型し、次いで、還元雰囲気下、例えば、ブリーズ等炭素中に被焼成物を埋め込んでの還元雰囲気下、N2ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下、で800以上1400℃の未満で焼成する。
このようにして得られた焼成成形体を、所望に応じてその表面にコールタールピッチ、合成樹脂等を含浸させ、その外周に鉄製の帯状枠をはめ、摺動面に加工を施してスライドゲート用プレートとする。
【0026】
【実施例】
「実施例1乃至6」
焼結アルミナ系原料、電解ジルコニア系原料、シリカ系原料、炭化珪素、炭素質原料(ピッチ)、ファイバー状金属アルミニウム、フレーク状金属アルミニウム粉末及び金属シリコン粉末を夫々表1に示した配合割合で混合し、この100重量部に対し、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)を夫々表1に示した量添加して混練した。
得られた各混練物を、プレート形状に成形し、実施例1乃至6の成形体試料を、その各々について複数個作製した。
次いで、これ等の成形体試料を200℃迄昇温し、揮発成分を揮散蒸発させた後、各成形体をブリーズを充填した還元雰囲気中で1200℃で焼成した。
【0027】
その後、実施例1乃至6の焼成耐火物(成形体)の内の各1個に外周に帯状の鉄皮をはめ、摺動させる面に加工を施し、スライドゲート用プレートを得た。
これら、実施例1乃至6の各試料焼成耐火物の見掛け気孔率(%)、圧縮強さ(MPa)を測定すると共に、その一部を切り取り、これら各切り取り試料片について消化加速試験を実施し、試験終了後、その状態を観察した。
なお、上記消化加速試験は、φ40×35mmの切り取り試料片を20℃の水中で7日間保持後、110℃で12時間乾燥し、各試料片の表面組織状態、特に亀裂の有無を観察した。表1乃至3中において「有」「無」は亀裂の有無を表し、また「大」は亀裂幅が5mm以上であることを表し、「小」は亀裂幅が5mm未満であることを表している。
また、前記試料スライドゲート用プレートを、容量200トンの取鍋に装着して実地試験を行い、耐用回数及び孔径部近傍の損傷(耐食性)を比較観察した。
【0028】
各試料焼成耐火物の見掛け気孔率(%)、圧縮強さ(MPa)の各測定値、消化試験における亀裂の有無及び上記試料スライドゲート用プレート実地試験の耐用回数及び孔径部近傍の損傷(目視耐食性)評価結果を表1に示す。
また、実施例1、5の試料についての気孔径分布(細孔分布)を線図として図2に示した。
なお、実施例5に示した成形体を1400℃で焼成した耐火物の組織状態を図1に示す。
【0029】
(比較例1乃至8)
焼結アルミナ系原料、電解ジルコニア系原料、シリカ系原料、炭化珪素、炭素質原料(ピッチ)、ファイバー状金属アルミニウム、フレーク状金属アルミニウム粉末及び金属シリコン粉末を夫々表2、3に示した配合割合で混合し、この100重量部に対し、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂)を夫々表2、3に示した量添加して混練した後、上記実施例と同様に処理して焼成耐火物及びスライドゲートプレート(比較例品1乃至6)を得、これらを実施例と同様に評価した。
結果を表2、3に示す。
また、比較例3、4の試料についての気孔径分布(細孔分布)を図2に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
表1と表2、3、及び図1、図3から本発明のスライドゲート用プレートを形成する焼成耐火物は圧縮強さ、耐食性、耐熱衝撃性の何れにもバランス良く優れ、スライドゲート用プレートとして充分な耐用寿命を有することが判る。
これに対し、本発明で規定した構成以外の比較例1乃至8の焼成耐火物は上記した諸特性の何れかが劣り、結果として実用上の耐用寿命に劣ることが判る。
【0034】
【発明の効果】
本発明のスライドゲート用プレートは、上述した通り、その出発原料として、耐火物骨材、炭素質材料等に、繊維状及び鱗片粉末状の金属アルミニウムと金属珪素粉を各々特定量比で組合せ配合した特定組成の配合原料を用い、これに特定量の熱可塑性樹脂バインダーを配合して、混練、成形、焼成して得られたものであるため、見掛け気孔率が小さく、且つ気孔径分布が狭く、従来品に比較して、強度、耐熱衝撃性、耐食性にバランス良く且つ顕著に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1400℃焼成耐火物(実施例5に示した成形体を1400℃で焼成した耐火物)の組織を示す図である。
【図2】図2は、実施例1、5、比較例3、4の気孔径分布の関係を示した線図である。
Claims (8)
- (A)一種もしくは二種以上の耐火性無機材料から成る耐火物骨材が73重量%以上、96重量%以下、
(B)ファイバー状金属アルミニウムが0.1重量%以上、0.5重量%以下、
(C)フレーク状の金属アルミニウム粉末が、1重量%以上、5重量%以下、
(D)炭素質粉末が2重量%以上、10重量%以下、
(E)金属シリコン粉末が、前記ファイバー状金属アルミニウムとフレーク状金属アルミニウム粉末の合計重量%に対し0.2倍以上、2倍以下の割合で配合された原料から成る混合物100重量%に対して、
バインダーとして、外配で、熱硬化性樹脂を3重量%以上、10重量%以下添加し、混練、成型、焼成して得られた焼成耐火物より成ることを特徴とするスライドゲート用プレート。 - 前記金属シリコン粉末が、0.22重量%以上5重量%以下配合されていることを特徴とする請求項1に記載されたスライドゲート用プレート。
- 前記耐火物骨材が、アルミナ・ジルコニア系耐火物骨材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたスライドゲート用プレート。
- 前記耐火物骨材が、焼結アルミナ系耐火物材料60重量%以上75重量%以下、電融ジルコニア系耐火物材料15重量%以上25重量%以下、シリカ系耐火物材料0.5重量%以上5重量%以下、及び炭化珪素0.5重量%以上5重量%以下から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたスライドゲート用プレート。
- 前記ファイバー状金属アルミニウムのファイバー径が、10μm以上500μm以下、アスペクト比が10以上100以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載されたスライドゲート用プレート。
- 前記フレーク状の金属アルミニウム粉末の粒度が、0.1μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載されたスライドゲート用プレート。
- 前記熱硬化性樹脂バインダーがフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載されたスライドゲート用プレート。
- 一種もしくは二種以上の耐火性無機材料から成る耐火骨材73重量%以上96重量%以下、ファイバー状金属アルミニウム0.1重量%以上0.5重量%以下、フレーク状の金属アルミニウム粉末1重量%以上5重量%以下、炭素質粉末2重量%以上10重量%以下、及び金属シリコン粉末を、前記ファイバー状金属アルミニウムとフレーク状金属アルミニウム粉末の合計重量%に対し0.2倍以上、2倍以下の割合で配合した原料処方から成る混合物100重量%に、熱硬化性樹脂を外配で、3重量%以上10重量%以下添加して、混練し、成形した後、非酸化性雰囲気下で、800℃以上1400℃未満の温度で焼成することを特徴とするスライドゲート用プレートの製造方法。
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WO2016111023A1 (ja) * | 2015-01-05 | 2016-07-14 | イビデン株式会社 | コート層付き金属部材 |
JPWO2016111023A1 (ja) * | 2015-01-05 | 2017-10-12 | イビデン株式会社 | コート層付き金属部材 |
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JPH11199313A (ja) | 1999-07-27 |
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