JP3617367B2 - 廃棄物処理設備 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の廃棄物を溶融、ガス化処理する廃棄物処理設備に関し、廃棄物を安定して処理することが可能な廃棄物処理設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、廃棄物処理場の不足が顕在化しており、産業廃棄物あるいは一般廃棄物の多くは、発生したままの姿で、あるいは何らかの事前処理の上、焼却され減容化した後、埋立などの最終処分が行われる場合が多い。
焼却処分の方法としては様々な方法が挙げられるが、近年、焼却場における発生ガス中のダイオキシン類など有害物質の管理が問題となっており、単なる焼却処分はできなくなりつつある。
【0003】
このため、高温酸化雰囲気でダイオキシン類などの有害物を分解することが可能な処理方法が求められている。
このような高温処理が可能な廃棄物処理方法として、特開平6−26626 号公報、特開平6−79252 号公報、特開平7−323270号公報に開示された廃棄物処理プロセスが提案されている。
【0004】
上記したプロセスは、廃棄物を圧縮成型後、乾燥、熱分解、炭化し、生成した炭化物を溶融、ガス化して燃料ガスを得る廃棄物処理プロセスである。
図3に、上記した廃棄物処理設備を側断面図によって示す。
図3において、1は廃棄物を回分的(;バッチ的)に加圧、圧縮成型する圧縮装置、2は圧縮用シリンダ、3は圧縮支持盤、4は圧縮された廃棄物(以下圧縮成型物とも記す)を乾燥、熱分解、炭化するための水平型のトンネル式の加熱炉(以下トンネル式加熱炉もしくはチャンネルと記す)、4aは圧縮成型物の乾燥領域、4bは圧縮成型物の熱分解、炭化領域、4eはトンネル式加熱炉(:チャンネル)4の入口、4fはトンネル式加熱炉(:チャンネル)4の出口、5は高温反応炉、6a、6bはそれぞれトンネル式加熱炉4の上壁内、下壁内に付設された外熱式の加熱装置、7はトンネル式加熱炉4炉内下部の圧力計、10a 、10i は圧縮成型物、11i 、11n は炭化した圧縮成型物(以下炭化生成物とも記す)、12は炭化生成物と燃焼残渣の混合物、13a 、13b は酸素含有ガスの吹き込み口、14は溶融物、14Hは溶融物排出口、20は廃棄物投入口、21は廃棄物投入口の蓋、40はトンネル式加熱炉(:チャンネル)4の炭化生成物の押出し口(:高温反応炉5内への炭化生成物の装入口)、50は高温反応炉5から排出される排ガスの急冷装置、51はガス精製装置、52は高温反応炉5のガス排出口、53は精製ガス、f1は圧縮成型物10a 、10i の移動方向、f2は炭化生成物11i 、11n の移動方向、f3はトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内で発生した熱分解ガスの流れ方向、f4は高温反応炉5内への酸素含有ガス吹き込み方向、f5は圧縮用シリンダ2の移動方向、f6は圧縮支持盤3の移動方向、f7は廃棄物投入口20の蓋21の回転方向を示す。
【0005】
なお、図3に示す加熱装置6a、6bは、トンネル式加熱炉4の上下炉壁内に配設されたパイプ内に高温ガスを流通せしめるガス加熱方式である。
図3に示す廃棄物処理設備においては、先ず、廃棄物投入口20から圧縮装置1内へ所定量供給した廃棄物を、圧縮装置1を用いて回分的に圧縮して緊密な圧縮成型物10a とする。
【0006】
次に、この圧縮成型物10a を、炉内上下壁面から加熱される細長いトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内へ押し込む。
この際、廃棄物中に含まれていた水分は、上記した圧縮工程で絞り出され、廃棄物と共にチャンネル4内に押し込まれる。
圧縮成型物10a の断面形状は、チャンネル4の入口4eの内壁断面と同形、同一寸法であり、圧縮成型物10a を押し込むと圧縮成型物10a はチャンネル4の内壁と接触状態を保ったまま押し込まれるため、チャンネル入口でチャンネル内雰囲気をシールすることができる。
【0007】
圧縮成型物10i は、順次新しい圧縮成型物が押し込まれる毎に、チャンネル4内を滑りながら移動する。
チャンネル4は前記したように炉内上下壁面から加熱されており、内部は600 ℃程度まで昇温され、圧縮成型物10i の移動、昇温過程において、圧縮成型物10i は乾燥、熱分解、炭化する。
【0008】
炭化生成物11n および乾燥、熱分解により発生したガス成分は、1000℃以上に維持された高温反応炉5内へ装入され、流れ込む。
チャンネル4の側壁には高温反応炉5に通じるガス抜き溝が形成されており、乾燥、熱分解により発生した水蒸気やガスなどはこのガス抜き溝に沿って高温反応炉5内へ送られるようになっている。
【0009】
高温反応炉5内においては、炭化生成物および圧縮成型物の熱分解により発生したガス中の可燃性物質は、酸素含有ガスによって、燃焼、熱分解してガス化する。
この場合、酸素含有ガス中の酸素量を調整することで、発生するガス( ;排ガス)は一酸化炭素と水素を含む燃料用ガスとして回収できる。
【0010】
また、燃焼、熱分解によってガス化しない鉱物分、金属分などの残渣部分( ;不燃物)は、高温反応炉5内で溶融し、溶融金属および溶融スラグで構成される溶融物14となって高温反応炉5下部の溶融物排出口14Hから回収される。
上記した廃棄物処理法によれば、圧縮成型物10a はチャンネル4内を滑りながら移動し、その間に炉内上下壁面の上下側に設置された加熱装置6a、6bによって熱が供給されることで、圧縮成型物はその上下面側から徐々に乾燥され、熱分解、炭化が内部へ進行する。
【0011】
図4(a) 〜(e) に、トンネル式加熱炉(:チャンネル)4内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を模式的に示す。
なお、図4(a) はトンネル式加熱炉4内の側断面図を示し、図4(b) 〜(e) は、それぞれ、図4(a) のA点、B点、C点、D点におけるトンネル式加熱炉4内の横断面図(:圧縮成型物の進行方向と直交する断面図)を示し、A点、B点、C点、D点は、トンネル式加熱炉4の入口4eから出口4fまでの距離を1としたときに、それぞれ、およそ0.05、0.33、0.67、0.95の距離である。
【0012】
また、図4において、30は未乾燥の圧縮成型物、31は圧縮成型物の未乾燥部、32は圧縮成型物の乾燥部、33は圧縮成型物の熱分解部、34は圧縮成型物の炭化部、Hはトンネル式加熱炉4の上部内壁面と下部内壁面との距離、白抜き矢印はトンネル式加熱炉4内への入熱を示す。
チャンネル4の入口4eに装入された廃棄物の圧縮成型物は、図4(a) の左側から右方向へ押し込まれていく。
【0013】
この際、チャンネル4は上下方向から加熱されているため、圧縮成型物の上下面から、順次、乾燥、熱分解、炭化が内部方向へ進行する。
チャンネル4の入口4e近傍のA点では、圧縮成型物は全体が未乾燥であるが、チャンネル4の入口4eからチャンネル全長の約1/3 迄到達したB点では上面および下面で乾燥が進行する。
【0014】
その後、チャンネル全長の約2/3 迄到達したC点では、さらに、上下面に接している部分は熱分解が始まり、その内側では乾燥状態、上下方向における中央部では未乾燥状態の形態となる。
さらに、チャンネル出口近傍のD点では、チャンネルの上下炉壁面近傍の部分は炭化状態となり、その内側に熱分解状態、さらに中心部に乾燥状態という形態にまで、乾燥、熱分解、炭化が進行する。
【0015】
以上がチャンネル内部での廃棄物の圧縮成形物の状態変化であるが、このような従来の上下面からの加熱によって乾燥、熱分解、炭火を行うトンネル式加熱炉では、乾燥、熱分解、炭火が圧縮成型物の上下面から中心部へ向かって進行する。
前記したように、従来のトンネル式加熱炉では、圧縮成形物を上下方向から順次乾燥、熱分解、炭化させるが、この過程において、廃棄物である圧縮成形物の乾燥、熱分解によって水蒸気や炭化水素などのガスが発生する。
【0016】
チャンネル入口においては、圧縮成型物が内壁と接触状態を保ちながら押し込まれ、ガスシールされているので、乾燥、熱分解で発生したガスはチャンネルの出口方向へ流れていく。
この際の水蒸気、ガスの経路として、チャンネルの側壁に前記したガス抜き溝が設けられているが、特に、廃棄物中の水分が多い場合や廃棄物が粉状あるいは汚泥廃棄物のように細かい廃棄物を多く含む場合には、このガス抜き溝中に水や粉が充填されてしまい、発生した水蒸気やガスの安定した高温反応炉5への流通が阻害される。
【0017】
未乾燥の圧縮成型物は、廃棄物の隙間に水分が充満した構造であるため、隙間においてガスはほとんど流れない。
一方、圧縮成型物の熱分解がある程度進行し炭化物が形成された時点においては、固形物の隙間をガスが流れ易くなり、通気抵抗が小さくなるが、乾燥状態、あるいは熱分解の初期の状態においては、固形物の隙間空間に対して水蒸気や炭化水素などのガスの発生量が多く、通気抵抗が高い状態となっている。
【0018】
このため図4(c) 、(d) に示すB、C点近傍では、発生したガスがチャンネル出口方向へ抜け難く、B、C点近傍でのチャンネルの内圧が上昇するという問題があった。
上記したチャンネルの内圧の上昇は、特に、廃棄物の固形分粒子が細かく、熱分解、炭化後でも通気抵抗が比較的大きくなる場合や、水分、揮発分を多く含む廃棄物を処理し発生ガス量が多い場合などに顕著であった。
【0019】
このようにチャンネルの途中で内圧が上昇すると、圧縮成型物をチャンネルの出口方向へ押し出す圧力がかかるため、図4のD点付近の圧縮成型物が不定期的に一度に高温反応炉5内に押し出される現象が生じる。
しかしながら、図3に示す廃棄物処理設備は、廃棄物の圧縮成型物をトンネル式加熱炉の入口から順次押し込み、トンネル式加熱炉4内で乾燥、熱分解、炭化されて生成した炭化生成物を高温反応炉5内へ少しずつ押し出すことによって、高温反応炉5内で安定したガス化反応を達成するものである。
【0020】
したがって、上記したようにD点付近の圧縮成型物が、高温反応炉5内に不定期的に一度に押し出される現象が生じると、高温反応炉内で熱分解が十分でない圧縮成型物の量が急激に増加し、高温反応炉内の温度変動や、ガス組成の変動といった問題が生じる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、廃棄物を安定して処理することが可能な廃棄物処理設備を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した従来の廃棄物処理設備の問題点を詳細に検討し、トンネル式加熱炉の中間部において発生するガスを高温反応炉へ流路抵抗を生じることなく流通せしめ、効果的にトンネル式加熱炉の内圧上昇を防止することが可能な装置構成を検討した結果、本発明に至った。
【0023】
すなわち、本発明は、廃棄物を圧縮成型する圧縮装置1と、該圧縮装置1から押し込まれる前記廃棄物の圧縮成型物を乾燥、熱分解、炭化するトンネル式加熱炉4と、該トンネル式加熱炉4で得られた炭化生成物を酸素含有ガスで加熱処理し溶融物と燃料ガスを生成する高温反応炉5を有する廃棄物処理設備であって、前記トンネル式加熱炉4の形状が、入口4eよりも前記乾燥を行なう部分の炉内横断面積が拡大し、前記乾燥を行なう部分よりも前記熱分解を行なう部分の炉内横断面積が拡大している状態で、前記入口 (4e) よりも出口4fの方が該トンネル式加熱炉4の炉内横断面積が拡大しており、かつ該トンネル式加熱炉4の周壁方向四方側に外熱式の加熱装置6a、6b、8a、8bを有することを特徴とする廃棄物処理設備である。
【0024】
前記した本発明の廃棄物処理設備は、前記トンネル式加熱炉4の水平方向に対する傾斜角の制約を受けない廃棄物処理設備であり、高温反応炉5へ向けて下り勾配として、余剰の水を高温反応炉5側へ流れるようにしても良いし、また、逆に上り勾配として余剰の水をトンネル式加熱炉4の入口4e方向へ流れるようにして、余剰の水を別途回収、処理しても良い。
【0025】
また、上記した本発明の好適な態様の廃棄物処理設備は、廃棄物を圧縮成型する圧縮装置1と、該圧縮装置1から押し込まれる前記廃棄物の圧縮成型物を乾燥、熱分解、炭化する水平型のトンネル式加熱炉4と、該トンネル式加熱炉4で得られた炭化生成物を酸素含有ガスで加熱処理し溶融物と燃料ガスを生成する高温反応炉5を有する廃棄物処理設備であって、前記トンネル式加熱炉4の入口4eよりも出口4fの方が該トンネル式加熱炉4の炉内横断面積が拡大し、かつ該トンネル式加熱炉4の周壁方向における上下側および両横側の四方側に外熱式の加熱装置6a、6b、8a、8bを有することを特徴とする廃棄物処理設備である(本発明の好適態様)。
【0026】
前記した本発明の好適態様の廃棄物処理設備は、前記したように、水平型のトンネル式加熱炉4を配設した廃棄物処理設備である。
なお、前記した本発明の廃棄物処理設備、本発明の好適態様の廃棄物処理設備における前記した炉内横断面積の拡大の形態としては、前記トンネル式加熱炉4の入口4eから出口4fに向けて連続的に拡大しても良く、また、段階的に拡大しても良い。
【0027】
また、前記した炉内横断面積の拡大の形態としては、乾燥領域と熱分解、炭化領域の境界近傍において1段で拡大しても良く、水蒸気や炭化水素などのガスの発生量の多い領域で拡大させるのが効果的であり、その拡大の形態は特に制限を受けるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、トンネル式加熱炉を有する廃棄物処理設備であって、廃棄物処理設備全体の操業へ影響を与えるトンネル式加熱炉の炉内圧力の上昇を防止することが可能な廃棄物処理設備である。
【0029】
図2(a) に、本発明の廃棄物処理設備の一例を側断面図によって示し、図2(b) に図2(a) A−A部横断面図を示す。
なお、図2(a) において、35はトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内に形成された上部空間を示し、図2(b) において、8a、8bはトンネル式加熱炉の両側壁内に付設された外熱式の加熱装置を示し、その他の符号は図3と同一の内容を示す。
【0030】
また、図2に示す加熱装置6a、6b、8a、8bは、トンネル式加熱炉4の上下炉壁内および両側壁内に配設されたパイプ内に高温ガスを流通せしめるガス加熱方式である。
なお、加熱方式としては、他に、電気ヒータなど適宜使用できる。
図2に示すトンネル式加熱炉4は、炉内横断面の形状が四角形(:矩形)であり、トンネル式加熱炉内の横断面積が入側より出側の方が大きく、圧縮成型物が入側から出側に向かって移動するにしたがい圧縮成形物10i の回りに隙間が形成され、その隙間が大きくなる。
【0031】
トンネル式加熱炉4は、入口4eから出口4f迄、上下壁面および両側壁面から加熱されており、内部は600 ℃程度まで昇温され、圧縮成型物10i の移動、昇温過程において、圧縮成型物10i は乾燥、熱分解、炭化する。
圧縮成型物10i の熱分解によって発生したガスは圧縮成型物10i の周りにできる隙間から常時1000℃以上に維持された高温反応炉5内へ吹き込まれる。
【0032】
図1(a) 〜(e) に、チャンネル4が入口から出口へ向かって次第に上方向へ拡大している本発明例に係るトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を模式的に示す。
なお、図1(a) はトンネル式加熱炉4内の側断面図を示し、図1(b) 〜(e) は、それぞれ、図1(a) のA点、B点、C点、D点におけるトンネル式加熱炉4内の横断面図(:圧縮成型物の進行方向と直交する断面図)を示し、A点、B点、C点、D点は、トンネル式加熱炉4の入口4eから、それぞれ、0.2m、2.2m、4.2m、6.2mの距離である。
【0033】
また、図1において、35はトンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された上部空間、36はトンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された側部空間を示し、その他の符号は図4と同一の内容を示す。
チャンネル4の入口4eに装入された廃棄物の圧縮成型物は、図1(a) 中左側から右方向へ押し込まれていく。
【0034】
図1に示すチャンネルにおいては、チャンネルが入口4eから出口4fへ向けて次第に拡大しているため、図1(b) 〜(e) に示すように、圧縮成型物がチャンネルの出口方向へ押し出されるにしたがい、主としてチャンネル上部壁面と圧縮成型物との間、すなわち、チャンネル上部に空間(:上部空間)35が形成される。
このため、特に、B点、C点など、従来、発生するガスにより内圧が上昇していた部分において、乾燥、熱分解で発生したガスが上部空間35に容易に抜ける。
【0035】
この場合、チャンネルの加熱が上下面側のみであると、圧縮成型物の下面側において加熱され発生したガスは、上部空間35へ流れようとしても、上下方向の中間部に存在する未乾燥の部分が、固形物の間に水分を有する構造であるため通気性が極めて悪く、チャンネル上部空間35へ流れることができない。
このため、本発明においては、チャンネル4を、上下面側に加えて両側面側からも加熱装置8a、8bによって加熱し、内壁全面から入熱することにより、圧縮成型物10i の両側面側の表面を炭化させ隙間(:側部空間36)を形成することにより、圧縮成型物の下面側で発生した水蒸気やガスを乾燥、炭化した廃棄物の両側面側の隙間(側部空間36) を経由して上部空間35に導き、高温反応炉5内へ導入することが出来る。
【0036】
また、本発明によれば、チャンネル4の側面に前記したガス抜き溝を設けなくとも圧縮成型物の乾燥、熱分解で発生するガスを高温反応炉5内へ導くことができ、チャンネル4の内部での局部的な圧力上昇が回避でき、安定した廃棄物処理が可能となる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
前記した図1、図2に示す本発明の廃棄物処理設備および図3、図4に示す従来技術の廃棄物処理設備を用いて廃棄物の処理を行った。
表1に、使用した廃棄物処理設備のトンネル式加熱炉4の仕様を示し、表2に、高温反応炉の仕様を示す。
【0038】
処理した廃棄物は、水分:30wt%、低位発熱量:2000kcal/kg の都市ゴミである。
表3に、トンネル式加熱炉4の温度条件を示す。
なお、表3中の装置番号は、表1に示すトンネル式加熱炉の仕様中の装置番号に対応し、加熱温度は、加熱面である壁面の温度を示す。
【0039】
表4に、上記条件下で行った廃棄物処理の操業結果を示す。
従来技術の廃棄物処理設備を用いた比較例1、2の場合、いずれの場合も、操業開始当初はトンネル式加熱炉炉内下部の圧力計7の測定値は1.0kgf/cm2・G 以下であり、問題なく操業することができたが、4時間経過後以降、トンネル式加熱炉炉内下部の圧力測定値が上昇した。
【0040】
また、その後、圧力測定値が2〜4kgf/cm2 ・G の間を変動するとともに、高温反応炉5からの発生ガス中に未分解ガスである炭化水素ガスが混入するようになった。
これに対して、本発明の廃棄物処理設備を用いた実施例1、2、3、4では、トンネル式加熱炉炉内下部の圧力は、1.0kgf/cm2・G 以下の低位で、変動がなく、問題なく操業ができた。
【0041】
実施例1および実施例2の比較から、トンネル式加熱炉4の炉内温度が高い方が処理速度を上昇することができる。
実施例3、4は、トンネル式加熱炉4の上下壁面と側壁面とで壁面の温度を変えた試験であるが、実施例3のように上下壁面の温度を高温とするよりも、実施例4のように側壁面の温度を高温とするほうが処理量を効果的に増加させることができる。
【0042】
これは、トンネル式加熱炉4の側壁面からの入熱量を多くすることによって、トンネル式加熱炉の下方で発生する水蒸気の抜け道を早めに形成させることができ、トンネル式加熱炉内部の廃棄物である圧縮成型物の乾燥が促進されるためと考えられる。
上記した実施例に示されるように、本発明によれば、下記(1) 〜(3) の優れた効果を得ることが可能となった。
【0043】
(1) トンネル式加熱炉炉内の局部的な圧力上昇を防止し、廃棄物を安定して処理できる。
(2) トンネル式加熱炉から炭化生成物、ガスが急激に高温反応炉内に流入し高温反応炉のガス排出口から未分解ガスが排出されることを防止できる。
(3) トンネル式加熱炉の熱効率を向上させ、トンネル式加熱炉単位容積あたりの廃棄物の処理量を増加させることができる。
【0044】
(4) トンネル式加熱炉の側壁にガスの抜け道であるガス抜き溝を設ける必要が無くなり設備費を低減することができる。
なお、前記した実施例においては、トンネル式加熱炉の炉内横断面が入口から出口へ向かって上方向へ拡大している例を示したが、入口から出口へ向かって下方向もしくは上下方向もしくは横方向に拡大せしめる場合も、トンネル式加熱炉の内部での局部的な圧力上昇が回避でき、安定した廃棄物処理が可能となる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、廃棄物を安定して処理でき、高温反応炉からの未分解ガスの排出を防止でき、さらには、トンネル式加熱炉の熱効率を向上させトンネル式加熱炉単位容積あたりの廃棄物の処理量を増加させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトンネル式加熱炉内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を示す模式図である。
【図2】本発明の廃棄物処理設備の一例を示す側断面図(a) およびA−A部横断面図(b) である。
【図3】従来技術の廃棄物処理設備を示す側断面図である。
【図4】従来技術のトンネル式加熱炉内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を示す模式図である。
【符号の説明】
1 圧縮装置
2 圧縮用シリンダ
3 圧縮支持盤
4 トンネル式加熱炉(:チャンネル)
4a 圧縮成型物の乾燥領域
4b 圧縮成型物の熱分解、炭化領域
4e トンネル式加熱炉(:チャンネル)の入口
4f トンネル式加熱炉(:チャンネル)の出口
5 高温反応炉
6a、6b トンネル式加熱炉の上下壁内に付設された外熱式の加熱装置
7 トンネル式加熱炉炉内下部の圧力計
8a、8b トンネル式加熱炉の両側壁内に付設された外熱式の加熱装置
10a 、10i 圧縮成型物
11i 、11n 炭化した圧縮成型物(:炭化生成物)
12 炭化生成物と燃焼残渣の混合物
13a 、13b 酸素含有ガスの吹き込み口
14 溶融物
14H 溶融物排出口
20 廃棄物投入口
21 廃棄物投入口の蓋
30 未乾燥の圧縮成型物
31 圧縮成型物の未乾燥部
32 圧縮成型物の乾燥部
33 圧縮成型物の熱分解部
34 圧縮成型物の炭化部
35 トンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された上部空間
36 トンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された側部空間
40 トンネル式加熱炉(:チャンネル)の炭化生成物の押出し口(:高温反応炉内への炭化生成物の装入口)
50 高温反応炉から排出される排ガスの急冷装置
51 ガス精製装置
52 高温反応炉のガス排出口
53 精製ガス
f1 圧縮成型物の移動方向
f2 炭化生成物の移動方向
f3 トンネル式加熱炉(:チャンネル)内で発生した熱分解ガスの流れ方向
f4 高温反応炉内への酸素含有ガス吹き込み方向
f5 圧縮用シリンダの移動方向
f6 圧縮支持盤の移動方向
f7 廃棄物投入口の蓋の回転方向
H トンネル式加熱炉の上部内壁面と下部内壁面との距離
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の廃棄物を溶融、ガス化処理する廃棄物処理設備に関し、廃棄物を安定して処理することが可能な廃棄物処理設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、廃棄物処理場の不足が顕在化しており、産業廃棄物あるいは一般廃棄物の多くは、発生したままの姿で、あるいは何らかの事前処理の上、焼却され減容化した後、埋立などの最終処分が行われる場合が多い。
焼却処分の方法としては様々な方法が挙げられるが、近年、焼却場における発生ガス中のダイオキシン類など有害物質の管理が問題となっており、単なる焼却処分はできなくなりつつある。
【0003】
このため、高温酸化雰囲気でダイオキシン類などの有害物を分解することが可能な処理方法が求められている。
このような高温処理が可能な廃棄物処理方法として、特開平6−26626 号公報、特開平6−79252 号公報、特開平7−323270号公報に開示された廃棄物処理プロセスが提案されている。
【0004】
上記したプロセスは、廃棄物を圧縮成型後、乾燥、熱分解、炭化し、生成した炭化物を溶融、ガス化して燃料ガスを得る廃棄物処理プロセスである。
図3に、上記した廃棄物処理設備を側断面図によって示す。
図3において、1は廃棄物を回分的(;バッチ的)に加圧、圧縮成型する圧縮装置、2は圧縮用シリンダ、3は圧縮支持盤、4は圧縮された廃棄物(以下圧縮成型物とも記す)を乾燥、熱分解、炭化するための水平型のトンネル式の加熱炉(以下トンネル式加熱炉もしくはチャンネルと記す)、4aは圧縮成型物の乾燥領域、4bは圧縮成型物の熱分解、炭化領域、4eはトンネル式加熱炉(:チャンネル)4の入口、4fはトンネル式加熱炉(:チャンネル)4の出口、5は高温反応炉、6a、6bはそれぞれトンネル式加熱炉4の上壁内、下壁内に付設された外熱式の加熱装置、7はトンネル式加熱炉4炉内下部の圧力計、10a 、10i は圧縮成型物、11i 、11n は炭化した圧縮成型物(以下炭化生成物とも記す)、12は炭化生成物と燃焼残渣の混合物、13a 、13b は酸素含有ガスの吹き込み口、14は溶融物、14Hは溶融物排出口、20は廃棄物投入口、21は廃棄物投入口の蓋、40はトンネル式加熱炉(:チャンネル)4の炭化生成物の押出し口(:高温反応炉5内への炭化生成物の装入口)、50は高温反応炉5から排出される排ガスの急冷装置、51はガス精製装置、52は高温反応炉5のガス排出口、53は精製ガス、f1は圧縮成型物10a 、10i の移動方向、f2は炭化生成物11i 、11n の移動方向、f3はトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内で発生した熱分解ガスの流れ方向、f4は高温反応炉5内への酸素含有ガス吹き込み方向、f5は圧縮用シリンダ2の移動方向、f6は圧縮支持盤3の移動方向、f7は廃棄物投入口20の蓋21の回転方向を示す。
【0005】
なお、図3に示す加熱装置6a、6bは、トンネル式加熱炉4の上下炉壁内に配設されたパイプ内に高温ガスを流通せしめるガス加熱方式である。
図3に示す廃棄物処理設備においては、先ず、廃棄物投入口20から圧縮装置1内へ所定量供給した廃棄物を、圧縮装置1を用いて回分的に圧縮して緊密な圧縮成型物10a とする。
【0006】
次に、この圧縮成型物10a を、炉内上下壁面から加熱される細長いトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内へ押し込む。
この際、廃棄物中に含まれていた水分は、上記した圧縮工程で絞り出され、廃棄物と共にチャンネル4内に押し込まれる。
圧縮成型物10a の断面形状は、チャンネル4の入口4eの内壁断面と同形、同一寸法であり、圧縮成型物10a を押し込むと圧縮成型物10a はチャンネル4の内壁と接触状態を保ったまま押し込まれるため、チャンネル入口でチャンネル内雰囲気をシールすることができる。
【0007】
圧縮成型物10i は、順次新しい圧縮成型物が押し込まれる毎に、チャンネル4内を滑りながら移動する。
チャンネル4は前記したように炉内上下壁面から加熱されており、内部は600 ℃程度まで昇温され、圧縮成型物10i の移動、昇温過程において、圧縮成型物10i は乾燥、熱分解、炭化する。
【0008】
炭化生成物11n および乾燥、熱分解により発生したガス成分は、1000℃以上に維持された高温反応炉5内へ装入され、流れ込む。
チャンネル4の側壁には高温反応炉5に通じるガス抜き溝が形成されており、乾燥、熱分解により発生した水蒸気やガスなどはこのガス抜き溝に沿って高温反応炉5内へ送られるようになっている。
【0009】
高温反応炉5内においては、炭化生成物および圧縮成型物の熱分解により発生したガス中の可燃性物質は、酸素含有ガスによって、燃焼、熱分解してガス化する。
この場合、酸素含有ガス中の酸素量を調整することで、発生するガス( ;排ガス)は一酸化炭素と水素を含む燃料用ガスとして回収できる。
【0010】
また、燃焼、熱分解によってガス化しない鉱物分、金属分などの残渣部分( ;不燃物)は、高温反応炉5内で溶融し、溶融金属および溶融スラグで構成される溶融物14となって高温反応炉5下部の溶融物排出口14Hから回収される。
上記した廃棄物処理法によれば、圧縮成型物10a はチャンネル4内を滑りながら移動し、その間に炉内上下壁面の上下側に設置された加熱装置6a、6bによって熱が供給されることで、圧縮成型物はその上下面側から徐々に乾燥され、熱分解、炭化が内部へ進行する。
【0011】
図4(a) 〜(e) に、トンネル式加熱炉(:チャンネル)4内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を模式的に示す。
なお、図4(a) はトンネル式加熱炉4内の側断面図を示し、図4(b) 〜(e) は、それぞれ、図4(a) のA点、B点、C点、D点におけるトンネル式加熱炉4内の横断面図(:圧縮成型物の進行方向と直交する断面図)を示し、A点、B点、C点、D点は、トンネル式加熱炉4の入口4eから出口4fまでの距離を1としたときに、それぞれ、およそ0.05、0.33、0.67、0.95の距離である。
【0012】
また、図4において、30は未乾燥の圧縮成型物、31は圧縮成型物の未乾燥部、32は圧縮成型物の乾燥部、33は圧縮成型物の熱分解部、34は圧縮成型物の炭化部、Hはトンネル式加熱炉4の上部内壁面と下部内壁面との距離、白抜き矢印はトンネル式加熱炉4内への入熱を示す。
チャンネル4の入口4eに装入された廃棄物の圧縮成型物は、図4(a) の左側から右方向へ押し込まれていく。
【0013】
この際、チャンネル4は上下方向から加熱されているため、圧縮成型物の上下面から、順次、乾燥、熱分解、炭化が内部方向へ進行する。
チャンネル4の入口4e近傍のA点では、圧縮成型物は全体が未乾燥であるが、チャンネル4の入口4eからチャンネル全長の約1/3 迄到達したB点では上面および下面で乾燥が進行する。
【0014】
その後、チャンネル全長の約2/3 迄到達したC点では、さらに、上下面に接している部分は熱分解が始まり、その内側では乾燥状態、上下方向における中央部では未乾燥状態の形態となる。
さらに、チャンネル出口近傍のD点では、チャンネルの上下炉壁面近傍の部分は炭化状態となり、その内側に熱分解状態、さらに中心部に乾燥状態という形態にまで、乾燥、熱分解、炭化が進行する。
【0015】
以上がチャンネル内部での廃棄物の圧縮成形物の状態変化であるが、このような従来の上下面からの加熱によって乾燥、熱分解、炭火を行うトンネル式加熱炉では、乾燥、熱分解、炭火が圧縮成型物の上下面から中心部へ向かって進行する。
前記したように、従来のトンネル式加熱炉では、圧縮成形物を上下方向から順次乾燥、熱分解、炭化させるが、この過程において、廃棄物である圧縮成形物の乾燥、熱分解によって水蒸気や炭化水素などのガスが発生する。
【0016】
チャンネル入口においては、圧縮成型物が内壁と接触状態を保ちながら押し込まれ、ガスシールされているので、乾燥、熱分解で発生したガスはチャンネルの出口方向へ流れていく。
この際の水蒸気、ガスの経路として、チャンネルの側壁に前記したガス抜き溝が設けられているが、特に、廃棄物中の水分が多い場合や廃棄物が粉状あるいは汚泥廃棄物のように細かい廃棄物を多く含む場合には、このガス抜き溝中に水や粉が充填されてしまい、発生した水蒸気やガスの安定した高温反応炉5への流通が阻害される。
【0017】
未乾燥の圧縮成型物は、廃棄物の隙間に水分が充満した構造であるため、隙間においてガスはほとんど流れない。
一方、圧縮成型物の熱分解がある程度進行し炭化物が形成された時点においては、固形物の隙間をガスが流れ易くなり、通気抵抗が小さくなるが、乾燥状態、あるいは熱分解の初期の状態においては、固形物の隙間空間に対して水蒸気や炭化水素などのガスの発生量が多く、通気抵抗が高い状態となっている。
【0018】
このため図4(c) 、(d) に示すB、C点近傍では、発生したガスがチャンネル出口方向へ抜け難く、B、C点近傍でのチャンネルの内圧が上昇するという問題があった。
上記したチャンネルの内圧の上昇は、特に、廃棄物の固形分粒子が細かく、熱分解、炭化後でも通気抵抗が比較的大きくなる場合や、水分、揮発分を多く含む廃棄物を処理し発生ガス量が多い場合などに顕著であった。
【0019】
このようにチャンネルの途中で内圧が上昇すると、圧縮成型物をチャンネルの出口方向へ押し出す圧力がかかるため、図4のD点付近の圧縮成型物が不定期的に一度に高温反応炉5内に押し出される現象が生じる。
しかしながら、図3に示す廃棄物処理設備は、廃棄物の圧縮成型物をトンネル式加熱炉の入口から順次押し込み、トンネル式加熱炉4内で乾燥、熱分解、炭化されて生成した炭化生成物を高温反応炉5内へ少しずつ押し出すことによって、高温反応炉5内で安定したガス化反応を達成するものである。
【0020】
したがって、上記したようにD点付近の圧縮成型物が、高温反応炉5内に不定期的に一度に押し出される現象が生じると、高温反応炉内で熱分解が十分でない圧縮成型物の量が急激に増加し、高温反応炉内の温度変動や、ガス組成の変動といった問題が生じる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、廃棄物を安定して処理することが可能な廃棄物処理設備を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記した従来の廃棄物処理設備の問題点を詳細に検討し、トンネル式加熱炉の中間部において発生するガスを高温反応炉へ流路抵抗を生じることなく流通せしめ、効果的にトンネル式加熱炉の内圧上昇を防止することが可能な装置構成を検討した結果、本発明に至った。
【0023】
すなわち、本発明は、廃棄物を圧縮成型する圧縮装置1と、該圧縮装置1から押し込まれる前記廃棄物の圧縮成型物を乾燥、熱分解、炭化するトンネル式加熱炉4と、該トンネル式加熱炉4で得られた炭化生成物を酸素含有ガスで加熱処理し溶融物と燃料ガスを生成する高温反応炉5を有する廃棄物処理設備であって、前記トンネル式加熱炉4の形状が、入口4eよりも前記乾燥を行なう部分の炉内横断面積が拡大し、前記乾燥を行なう部分よりも前記熱分解を行なう部分の炉内横断面積が拡大している状態で、前記入口 (4e) よりも出口4fの方が該トンネル式加熱炉4の炉内横断面積が拡大しており、かつ該トンネル式加熱炉4の周壁方向四方側に外熱式の加熱装置6a、6b、8a、8bを有することを特徴とする廃棄物処理設備である。
【0024】
前記した本発明の廃棄物処理設備は、前記トンネル式加熱炉4の水平方向に対する傾斜角の制約を受けない廃棄物処理設備であり、高温反応炉5へ向けて下り勾配として、余剰の水を高温反応炉5側へ流れるようにしても良いし、また、逆に上り勾配として余剰の水をトンネル式加熱炉4の入口4e方向へ流れるようにして、余剰の水を別途回収、処理しても良い。
【0025】
また、上記した本発明の好適な態様の廃棄物処理設備は、廃棄物を圧縮成型する圧縮装置1と、該圧縮装置1から押し込まれる前記廃棄物の圧縮成型物を乾燥、熱分解、炭化する水平型のトンネル式加熱炉4と、該トンネル式加熱炉4で得られた炭化生成物を酸素含有ガスで加熱処理し溶融物と燃料ガスを生成する高温反応炉5を有する廃棄物処理設備であって、前記トンネル式加熱炉4の入口4eよりも出口4fの方が該トンネル式加熱炉4の炉内横断面積が拡大し、かつ該トンネル式加熱炉4の周壁方向における上下側および両横側の四方側に外熱式の加熱装置6a、6b、8a、8bを有することを特徴とする廃棄物処理設備である(本発明の好適態様)。
【0026】
前記した本発明の好適態様の廃棄物処理設備は、前記したように、水平型のトンネル式加熱炉4を配設した廃棄物処理設備である。
なお、前記した本発明の廃棄物処理設備、本発明の好適態様の廃棄物処理設備における前記した炉内横断面積の拡大の形態としては、前記トンネル式加熱炉4の入口4eから出口4fに向けて連続的に拡大しても良く、また、段階的に拡大しても良い。
【0027】
また、前記した炉内横断面積の拡大の形態としては、乾燥領域と熱分解、炭化領域の境界近傍において1段で拡大しても良く、水蒸気や炭化水素などのガスの発生量の多い領域で拡大させるのが効果的であり、その拡大の形態は特に制限を受けるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、トンネル式加熱炉を有する廃棄物処理設備であって、廃棄物処理設備全体の操業へ影響を与えるトンネル式加熱炉の炉内圧力の上昇を防止することが可能な廃棄物処理設備である。
【0029】
図2(a) に、本発明の廃棄物処理設備の一例を側断面図によって示し、図2(b) に図2(a) A−A部横断面図を示す。
なお、図2(a) において、35はトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内に形成された上部空間を示し、図2(b) において、8a、8bはトンネル式加熱炉の両側壁内に付設された外熱式の加熱装置を示し、その他の符号は図3と同一の内容を示す。
【0030】
また、図2に示す加熱装置6a、6b、8a、8bは、トンネル式加熱炉4の上下炉壁内および両側壁内に配設されたパイプ内に高温ガスを流通せしめるガス加熱方式である。
なお、加熱方式としては、他に、電気ヒータなど適宜使用できる。
図2に示すトンネル式加熱炉4は、炉内横断面の形状が四角形(:矩形)であり、トンネル式加熱炉内の横断面積が入側より出側の方が大きく、圧縮成型物が入側から出側に向かって移動するにしたがい圧縮成形物10i の回りに隙間が形成され、その隙間が大きくなる。
【0031】
トンネル式加熱炉4は、入口4eから出口4f迄、上下壁面および両側壁面から加熱されており、内部は600 ℃程度まで昇温され、圧縮成型物10i の移動、昇温過程において、圧縮成型物10i は乾燥、熱分解、炭化する。
圧縮成型物10i の熱分解によって発生したガスは圧縮成型物10i の周りにできる隙間から常時1000℃以上に維持された高温反応炉5内へ吹き込まれる。
【0032】
図1(a) 〜(e) に、チャンネル4が入口から出口へ向かって次第に上方向へ拡大している本発明例に係るトンネル式加熱炉(:チャンネル)4内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を模式的に示す。
なお、図1(a) はトンネル式加熱炉4内の側断面図を示し、図1(b) 〜(e) は、それぞれ、図1(a) のA点、B点、C点、D点におけるトンネル式加熱炉4内の横断面図(:圧縮成型物の進行方向と直交する断面図)を示し、A点、B点、C点、D点は、トンネル式加熱炉4の入口4eから、それぞれ、0.2m、2.2m、4.2m、6.2mの距離である。
【0033】
また、図1において、35はトンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された上部空間、36はトンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された側部空間を示し、その他の符号は図4と同一の内容を示す。
チャンネル4の入口4eに装入された廃棄物の圧縮成型物は、図1(a) 中左側から右方向へ押し込まれていく。
【0034】
図1に示すチャンネルにおいては、チャンネルが入口4eから出口4fへ向けて次第に拡大しているため、図1(b) 〜(e) に示すように、圧縮成型物がチャンネルの出口方向へ押し出されるにしたがい、主としてチャンネル上部壁面と圧縮成型物との間、すなわち、チャンネル上部に空間(:上部空間)35が形成される。
このため、特に、B点、C点など、従来、発生するガスにより内圧が上昇していた部分において、乾燥、熱分解で発生したガスが上部空間35に容易に抜ける。
【0035】
この場合、チャンネルの加熱が上下面側のみであると、圧縮成型物の下面側において加熱され発生したガスは、上部空間35へ流れようとしても、上下方向の中間部に存在する未乾燥の部分が、固形物の間に水分を有する構造であるため通気性が極めて悪く、チャンネル上部空間35へ流れることができない。
このため、本発明においては、チャンネル4を、上下面側に加えて両側面側からも加熱装置8a、8bによって加熱し、内壁全面から入熱することにより、圧縮成型物10i の両側面側の表面を炭化させ隙間(:側部空間36)を形成することにより、圧縮成型物の下面側で発生した水蒸気やガスを乾燥、炭化した廃棄物の両側面側の隙間(側部空間36) を経由して上部空間35に導き、高温反応炉5内へ導入することが出来る。
【0036】
また、本発明によれば、チャンネル4の側面に前記したガス抜き溝を設けなくとも圧縮成型物の乾燥、熱分解で発生するガスを高温反応炉5内へ導くことができ、チャンネル4の内部での局部的な圧力上昇が回避でき、安定した廃棄物処理が可能となる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
前記した図1、図2に示す本発明の廃棄物処理設備および図3、図4に示す従来技術の廃棄物処理設備を用いて廃棄物の処理を行った。
表1に、使用した廃棄物処理設備のトンネル式加熱炉4の仕様を示し、表2に、高温反応炉の仕様を示す。
【0038】
処理した廃棄物は、水分:30wt%、低位発熱量:2000kcal/kg の都市ゴミである。
表3に、トンネル式加熱炉4の温度条件を示す。
なお、表3中の装置番号は、表1に示すトンネル式加熱炉の仕様中の装置番号に対応し、加熱温度は、加熱面である壁面の温度を示す。
【0039】
表4に、上記条件下で行った廃棄物処理の操業結果を示す。
従来技術の廃棄物処理設備を用いた比較例1、2の場合、いずれの場合も、操業開始当初はトンネル式加熱炉炉内下部の圧力計7の測定値は1.0kgf/cm2・G 以下であり、問題なく操業することができたが、4時間経過後以降、トンネル式加熱炉炉内下部の圧力測定値が上昇した。
【0040】
また、その後、圧力測定値が2〜4kgf/cm2 ・G の間を変動するとともに、高温反応炉5からの発生ガス中に未分解ガスである炭化水素ガスが混入するようになった。
これに対して、本発明の廃棄物処理設備を用いた実施例1、2、3、4では、トンネル式加熱炉炉内下部の圧力は、1.0kgf/cm2・G 以下の低位で、変動がなく、問題なく操業ができた。
【0041】
実施例1および実施例2の比較から、トンネル式加熱炉4の炉内温度が高い方が処理速度を上昇することができる。
実施例3、4は、トンネル式加熱炉4の上下壁面と側壁面とで壁面の温度を変えた試験であるが、実施例3のように上下壁面の温度を高温とするよりも、実施例4のように側壁面の温度を高温とするほうが処理量を効果的に増加させることができる。
【0042】
これは、トンネル式加熱炉4の側壁面からの入熱量を多くすることによって、トンネル式加熱炉の下方で発生する水蒸気の抜け道を早めに形成させることができ、トンネル式加熱炉内部の廃棄物である圧縮成型物の乾燥が促進されるためと考えられる。
上記した実施例に示されるように、本発明によれば、下記(1) 〜(3) の優れた効果を得ることが可能となった。
【0043】
(1) トンネル式加熱炉炉内の局部的な圧力上昇を防止し、廃棄物を安定して処理できる。
(2) トンネル式加熱炉から炭化生成物、ガスが急激に高温反応炉内に流入し高温反応炉のガス排出口から未分解ガスが排出されることを防止できる。
(3) トンネル式加熱炉の熱効率を向上させ、トンネル式加熱炉単位容積あたりの廃棄物の処理量を増加させることができる。
【0044】
(4) トンネル式加熱炉の側壁にガスの抜け道であるガス抜き溝を設ける必要が無くなり設備費を低減することができる。
なお、前記した実施例においては、トンネル式加熱炉の炉内横断面が入口から出口へ向かって上方向へ拡大している例を示したが、入口から出口へ向かって下方向もしくは上下方向もしくは横方向に拡大せしめる場合も、トンネル式加熱炉の内部での局部的な圧力上昇が回避でき、安定した廃棄物処理が可能となる。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、廃棄物を安定して処理でき、高温反応炉からの未分解ガスの排出を防止でき、さらには、トンネル式加熱炉の熱効率を向上させトンネル式加熱炉単位容積あたりの廃棄物の処理量を増加させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトンネル式加熱炉内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を示す模式図である。
【図2】本発明の廃棄物処理設備の一例を示す側断面図(a) およびA−A部横断面図(b) である。
【図3】従来技術の廃棄物処理設備を示す側断面図である。
【図4】従来技術のトンネル式加熱炉内における廃棄物の乾燥、熱分解、炭化の過程を示す模式図である。
【符号の説明】
1 圧縮装置
2 圧縮用シリンダ
3 圧縮支持盤
4 トンネル式加熱炉(:チャンネル)
4a 圧縮成型物の乾燥領域
4b 圧縮成型物の熱分解、炭化領域
4e トンネル式加熱炉(:チャンネル)の入口
4f トンネル式加熱炉(:チャンネル)の出口
5 高温反応炉
6a、6b トンネル式加熱炉の上下壁内に付設された外熱式の加熱装置
7 トンネル式加熱炉炉内下部の圧力計
8a、8b トンネル式加熱炉の両側壁内に付設された外熱式の加熱装置
10a 、10i 圧縮成型物
11i 、11n 炭化した圧縮成型物(:炭化生成物)
12 炭化生成物と燃焼残渣の混合物
13a 、13b 酸素含有ガスの吹き込み口
14 溶融物
14H 溶融物排出口
20 廃棄物投入口
21 廃棄物投入口の蓋
30 未乾燥の圧縮成型物
31 圧縮成型物の未乾燥部
32 圧縮成型物の乾燥部
33 圧縮成型物の熱分解部
34 圧縮成型物の炭化部
35 トンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された上部空間
36 トンネル式加熱炉(:チャンネル)内に形成された側部空間
40 トンネル式加熱炉(:チャンネル)の炭化生成物の押出し口(:高温反応炉内への炭化生成物の装入口)
50 高温反応炉から排出される排ガスの急冷装置
51 ガス精製装置
52 高温反応炉のガス排出口
53 精製ガス
f1 圧縮成型物の移動方向
f2 炭化生成物の移動方向
f3 トンネル式加熱炉(:チャンネル)内で発生した熱分解ガスの流れ方向
f4 高温反応炉内への酸素含有ガス吹き込み方向
f5 圧縮用シリンダの移動方向
f6 圧縮支持盤の移動方向
f7 廃棄物投入口の蓋の回転方向
H トンネル式加熱炉の上部内壁面と下部内壁面との距離
Claims (1)
- 廃棄物を圧縮成型する圧縮装置(1) と、該圧縮装置(1) から押し込まれる前記廃棄物の圧縮成型物を乾燥、熱分解、炭化するトンネル式加熱炉(4) と、該トンネル式加熱炉(4) で得られた炭化生成物を酸素含有ガスで加熱処理し溶融物と燃料ガスを生成する高温反応炉(5) を有する廃棄物処理設備であって、前記トンネル式加熱炉(4) の形状が、入口(4e)よりも前記乾燥を行なう部分の炉内横断面積が拡大し、前記乾燥を行なう部分よりも前記熱分解を行なう部分の炉内横断面積が拡大している状態で、前記入口 (4e) よりも出口(4f)の方が該トンネル式加熱炉(4) の炉内横断面積が拡大しており、かつ該トンネル式加熱炉(4) の周壁方向四方側に外熱式の加熱装置(6a 、6b、8a、8b) を有することを特徴とする廃棄物処理設備。
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