JP3616016B2 - 軸シール機構及びガスタービン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン、蒸気タービン、圧縮機、水車、冷凍機、ポンプなどの大型流体機械の回転軸等に用いて好適な軸シール機構に関する。
本発明はまた、高温高圧のガスをタービンに導いて膨張させ、ガスの熱エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換して動力を発生させるガスタービンに関し、特にその回転軸に適用される軸シール機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンにおいて、静翼と回転軸との間には、高圧側から低圧側に漏れる燃焼ガスの漏れ量を低減するための軸シール機構が設けられている。この軸シール機構としては、非接触型のラビリンスシールが従来から幅広く使用されている。ところで、このラビリンスシールは、回転過渡期の軸振動、或いは過渡的な熱変形時にもフィン先端の隙間が接触しないようにフィン先端の隙間をある程度大きくしなければならないため、ガスの漏れ量が大きい。このようなラビリンスシールに代え、漏れ量の低減を狙って開発されたシール材としてブラシシールがある。
【0003】
図16(a),(b)はこの種のブラシシールの概略構成図である。同図において、符号1は回転軸、符号2はケーシング、符号3は低圧側側板、符号4は高圧側側板、符号5はろう付け部、符号6はワイヤである。ワイヤ6は、回転軸1の振動、或いは熱変形による偏心などを吸収できるように適度の剛性を有する線径50〜100μmのフィラメントで構成され、ワイヤ6間は隙間がないように幅3〜5mmの密集した束となっている。また、ワイヤ6は回転軸1の外周と鋭角をなすように回転方向に対して傾斜して取付けられている。ワイヤ6の先端は回転軸1の外周に対して所定の予圧をもって接触しており、この接触によって軸方向の漏れ量を低減する構造となっている。
【0004】
ワイヤ6は、回転軸1に対して接触摺動し、雰囲気条件或いは周速によって発熱して赤熱状態になるため、使用条件に応じてインコネル、ハステロイなどの耐高熱材が用いられている。また、ワイヤ6とともに回転軸1外周の摺動面も摩耗するため、回転軸1の摺動面には耐摩耗材がコーティングされている。さらに、ワイヤ6は回転軸1の軸方向の剛性が小さいので、低圧側側板3の内径を回転軸1の外周とほぼ等しくすることでワイヤ6の破損が防止されている。
【0005】
また、この他にも、例えば図17に示すようなリーフシール10が開発されてきている。このリーフシール10は、同図に示すように、回転軸11の軸方向に所定の幅寸法を有する平板状の薄板18を回転軸11の周方向に多層に配置した構造となっている。
これら薄板18は、その外周側基端のみがケーシング12内にろう付け(ろう付け部15)されており、回転軸11の外周をシールすることによって回転軸11の周囲空間を高圧側領域と低圧側領域とに分けている。また、薄板18の両側において、高圧側領域には高圧側側板14、低圧側領域には低圧側側板13がそれぞれ圧力作用方向のガイド板として装着されている。
【0006】
薄板18は、板厚で決まる所定の剛性を回転軸11の軸方向に持つように設計されている。また、薄板18は回転軸11の回転方向に対して回転軸11の周面となす角が鋭角となるようにケーシング12に取付けられており、回転軸11の停止時には薄板18の先端が所定の予圧で回転軸11に接触しているが、回転軸11の回転時には回転軸11が回転することで生じる動圧効果によって薄板18の先端が浮上するため、薄板18と回転軸11とが非接触状態となる。
多層に配置した平板状の各薄板18どうしの間には、僅かに隙間19が設けられている。この隙間19は、シール径が十分に大きいため、換言すれば回転軸11の径が十分に大きいために、外周側基端から内周側先端まで実質的にほぼ一定とみなすことができる。
【0007】
上記のように構成された軸シール機構においては、回転軸11の軸方向に幅を有する薄板18が、回転軸11の周方向に多層に配置されており、これら薄板18が回転軸11の周方向に柔らかい可撓性を有し、軸方向には剛性の高いシール機構を構成している。
このシール機構によれば、シール部材である各薄板18が回転軸11の軸方向に平行配置されることにより、ケーシング12に固定される外周側のろう付けは、回転軸11の軸方向に強固なものとなる。これにより、従来のブラシシールに見られるケーシングからのワイヤ脱落のように、薄板18がケーシング12から脱落するのを防止できるようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記説明のブラシシールでは、次のような問題点がある。
すなわち、このブラシシールにおいては、ワイヤ6間からの漏れと、ワイヤ6先端が回転軸1外周と接触する摺動面からの漏れとが問題となるが、シール差圧がワイヤ6の線径、低圧側側板3の配置等から決まる許容値を越えると、ワイヤ6全体が低圧側に変形を生じて倒れ、ワイヤ6と回転軸1との間が吹き抜け状態となってシール機能を失ってしまう恐れがあるという問題である。
【0009】
ブラシシールを構成するワイヤ6の剛性は回転軸1の軸振れに対する追随性および回転軸1との適正な予圧などで決められているが、ワイヤ6の線径を太くするなどして剛性を上げるにも限界がある。したがって、ワイヤ6の剛性に支配される回転軸1軸方向のシール差圧は0.5MPa程度が限界で、大きな差圧をシールすることができない。また、ワイヤ6の線径は通常約50〜100μmと非常に細く、回転軸1の周面と接触して摺動することによりワイヤ6が破断して脱落する危険性があり、ガスタービンを長時間にわたって使用するには問題があった。
【0010】
また、ワイヤ6先端からのガス漏れ量は、ワイヤ6が回転軸1の周面に接触して摺動するため、ラビリンスシールなどと比べて飛躍的に小さいが、ワイヤ6先端間からの漏れ量を安定して小さく保持することが難しいという問題もある。
また、ワイヤ6と回転軸1の周面とが接触して摺動するので、回転軸1の表面には耐摩耗材のコーティングが必要である。しかしながら、大径の回転軸1の周面に対して長時間の使用に耐える耐摩耗材のコーティングを形成する技術が確立されておらず、ワイヤ6および回転軸1の摩耗が大きいため、ブラシシールの寿命が短く交換頻度が高い。
【0011】
また、上記説明のリーフシール10においても、次のような問題点がある。
このリーフシール10は、回転軸11の回転によって生じる動圧効果によって薄板18の先端が回転軸11の表面から浮上して回転軸11との接触を回避し、過大な発熱及び摩耗を防止できる構造となっている。しかし、低圧側側板13及び薄板18間の隙間と、高圧側側板14及び薄板18間の隙間とが等しくなるように低圧側側板13ならびに高圧側側板14を設けた場合、高圧側から加圧された際に、薄板18に対してこれを回転軸11の半径方向中心に向かって変形させるような圧力荷重が加わることが確認されており、動圧効果の小さい起動時等には非接触状態をつくることが困難となっていた。
【0012】
したがって、以上説明のブラシシール及びリーフシールのいずれにおいても、ガス漏れ量低減と耐摩耗性向上との両方を達成するには更なる改良を必要としていた。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高圧側から低圧側へのガスの漏れ量を低減するとともに耐摩耗性に優れた軸シール機構及び、これを備えたガスタービンの提供を目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の請求項1記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記薄板と前記低圧側側板との間の隙間を、前記薄板と前記高圧側側板との間の隙間よりも大きくする隙間寸法調節であることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記薄板と前記低圧側側板との間の隙間を、前記薄板と前記高圧側側板との間の隙間よりも大きくする隙間寸法調節であることを特徴とする。
【0016】
上記請求項1または2記載の軸シール機構によれば、ガス圧調整手段を設けたことで、薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して高圧側側板から低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方が高くなるので、薄板先端が浮上して回転軸と非接触状態となる。
【0017】
これについて詳しく説明すると、高圧側から低圧側に向かって流れるガスは、回転軸周面と薄板先端との間,ならびに各薄板の上下面に沿って流れる。このとき、各薄板の上下面に沿って流れるガスは、高圧側側板と回転軸周面との間から流入し,対角に向かって広がりをもって流れ、同時に該薄板の上下面に垂直に加わるガス圧は、前記先端部分に近いほど大きく、かつ外周側基端に向かうほど小さくなる三角分布形状となる。この上下面それぞれの圧力分布形状は互いに略同じものとなるが、各薄板が回転軸の周面に対して鋭角をなすように斜めに配置されているので、これら上下面における各圧力分布の相対位置がずれており、薄板の外周基端側から先端側に向かう任意点における上下面のガス圧を比較した場合、両者で差が生じることとなる。
【0018】
つまり、下面に加わるガス圧(これをFbとする)の方が上面に加わるガス圧(これをFaとする)よりも高くなるので、薄板を回転軸より浮かせるように変形させる方向に作用する。このとき、薄板の先端近傍部分では逆となり、上面にのみガス圧が加わる(薄板の最先端部分を、回転軸周面に対して面接触するように斜めに切り取った場合、下面に相当する部分がなくなるので。)が、この力は、回転軸周面と薄板先端との間を流れるガスのガス圧が、薄板先端を回転軸周面から浮かせる方向に作用(これをFcとする)して打ち消すので、薄板先端を回転軸に押さえ込もうとする力を生じさせない。したがって、薄板に加わるガス圧による圧力荷重は、(Fb+Fc)>Faとなるので、薄板が回転軸周面より浮くようにこれを変形させることが可能となる。
【0019】
この他、従来のブラシシールのワイヤと比較した場合、ケーシングに対する固定部の大きさが比較的大きく取れるので、薄板をケーシングに対して強固に固定することもできるようになる。
また、薄板の先端は、回転軸の軸方向では剛性が高くてかつ回転軸の周方向では柔らかくなっているので、差圧方向(軸方向)への変形を起こし難くなってシール差圧の許容値が引き上げられることに加えて、回転軸の振動に際して薄板と回転軸との接触が緩和されるようになっている。
【0021】
さらに、上記請求項1又は2に記載の軸シール機構によれば、高圧側から加圧された際に、薄板を通過してガスが高圧側から低圧側へ流れようとするが、このとき、薄板と低圧側側板との間の隙間を、薄板と高圧側側板との間の隙間よりも大きくして広く空間を空けておくことで、高圧側側板と回転軸周面との間から流入したガスは薄板の上下面に沿って対角に向かい広く流れると同時に,外周側基端には低圧の領域が広がる。これにより、薄板の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板の上下面に加わるガス圧分布を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。したがって、前述の理由により、薄板の上下面における圧力差を生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0022】
請求項3記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記低圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法を前記高圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法よりも短くする側板寸法調節であることを特徴とする。
請求項4記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記低圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法を前記高圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法よりも短くする側板寸法調節であることを特徴とする。
【0023】
上記請求項3又は4に記載の軸シール機構によれば、高圧側から加圧された際に,薄板を通過してガスが高圧側から低圧側へ流れようとするが、このとき、低圧側側板の回転軸半径方向の長さ寸法を高圧側側板の回転軸半径方向の長さ寸法よりも短くして低圧側に広い空間を空けておくことで、高圧側側板と回転軸周面との間から流入したガスは,薄板の上下面に沿って対角に向かって広く流れると同時に,外周側基端に低圧の領域が広がる。これにより、薄板の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板の上下面に加わるガス圧分布を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。したがって、前述の理由により、薄板の上下面における圧力差を生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0024】
請求項5記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されてかつ前記回転軸方向に可撓性を有する可撓板であることを特徴とする。
請求項6記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されてかつ前記回転軸方向に可撓性を有する可撓板であることを特徴とする。
【0025】
上記請求項5又は6に記載の軸シール機構によれば、高圧側から加圧された際に,薄板を通過してガスが高圧側から低圧側へ流れようとするが、このとき、回転軸方向に可撓性を有する可撓板を薄板の高圧側に設ける(例えば、高圧側側板を回転軸方向に可撓性を有する薄肉板状としたり、もしくは、高圧側側板と薄板との間の隙間に回転軸軸方向に可撓性を有する薄肉板を設けるなど。)と、高圧側のガス圧による可撓板の撓みによって,薄板と高圧側側板との間の隙間が狭まり,薄板と低圧側側板との間の隙間より小さくなる。したがって,高圧側側板と回転軸周面との間から流入したガスは,薄板の上下面に沿って対角に向かって広く流れると同時に,外周側基端に低圧の領域が広がる。これにより、薄板の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板の上下面に加わるガス圧分布を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。したがって、前述の理由により、薄板の上下面における圧力差を生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0026】
請求項7記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されて前記回転軸方向に可撓性を有し、かつその全周で2ヶ所以上のスリットが形成されているスリット付き可撓板であることを特徴とする。
請求項8記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されて前記回転軸方向に可撓性を有し、かつその全周で2ヶ所以上のスリットが形成されているスリット付き可撓板であることを特徴とする。
【0027】
上記請求項7又は8に記載の軸シール機構によれば、高圧側から加圧された際に,薄板を通過してガスが高圧側から低圧側へ流れようとするが、このとき、回転軸方向に可撓性を有し、かつその全周で2ヶ所以上のスリットが形成されているスリット付き可撓板を薄板の高圧側に設ける(例えば、高圧側側板を、全周で2ヶ所以上のスリット形状が形成されてかつ回転軸方向に可撓性を有する薄板としたり、もしくは、高圧側側板と薄板との間に回転軸方向に可撓性を有してかつ全周で2ヶ所以上のスリットが形成された薄肉板を配置すなど。)と、高圧側のガス圧による可撓板の撓みによって,薄板と高圧側側板との間の隙間が狭まり,薄板と低圧側側板との間の隙間より小さくなる。したがって,高圧側側板と回転軸周面との間から流入したガスは,薄板の上下面に沿って対角に向かって広く流れると同時に,外周側基端に低圧の領域が広がる。これにより、薄板の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板の上下面に加わるガス圧分布を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。したがって、前述の理由により、薄板の上下面における圧力差を生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0028】
請求項9記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記回転軸の軸線方向に前記低圧側側板を貫く複数の通風孔であることを特徴とする。
請求項10記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、前記ガス圧調整手段が、前記回転軸の軸線方向に前記低圧側側板を貫く複数の通風孔であることを特徴とする。
【0029】
上記請求項9又は10に記載の軸シール機構によれば、高圧側から加圧された際に、薄板を通過してガスが高圧側から低圧側へ流れようとするが、このとき、回転軸の軸線方向に低圧側側板を貫く複数の通風孔を該低圧側側板に設けておく(例えば、低圧側側板に対して回転軸軸方向に向かって形成された複数の導圧孔を設けたり、もしくは、低圧側側板の材質として多孔質材を採用するなど。)ことで、高圧側側板と回転軸周面との間から流入したガスは,薄板の上下面に沿って対角に向かって広く流れると同時に,外周側基端に低圧の領域が広がる。これにより、薄板の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板の上下面に加わるガス圧分布を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。したがって、前述の理由により、薄板の上下面における圧力差を生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0030】
請求項11記載の軸シール機構は、回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなす軸シール機構であり、前記薄板と、前記低圧側側板との間に、高圧側から低圧側に向かうガスの通過を許可するガス通過空間が形成されていることを特徴とする。
【0031】
上記請求項11記載の軸シール機構によれば、高圧側から加圧された際に、薄板を通過してガスが高圧側から低圧側へ流れようとするが、このとき、薄板の軸方向の低圧側に、高圧側から低圧側に向かうガスの通過を許可するガス通過空間が形成されていることで、高圧側側板と回転軸周面との間から流入したガスは,薄板の上下面に沿って対角に向かって広く流れると同時に,外周側基端に低圧の領域が広がる。これにより、薄板の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板の上下面に加わるガス圧分布を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。したがって、前述の理由により、薄板の上下面における圧力差を生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0032】
請求項12記載の軸シール機構は、請求項1,2,5〜8のいずれか1項に記載の軸シール機構において、前記低圧側側板と前記薄板との間には、該低圧側側板に向かって前記薄板が接近しようとした場合に、該薄板を支持して、これら低圧側側板及び薄板間の隙間寸法を維持する隙間寸法調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0033】
請求項13記載の軸シール機構は、請求項12記載の軸シール機構において、前記隙間寸法調整手段が、前記薄板側に向かって突出するように前記低圧側側板の側に設けられた第1の段形状部であり、該第1の段形状部が、前記低圧側側板に沿って前記回転軸周りの環状をなしていることを特徴とする。
【0034】
請求項14記載の軸シール機構は、請求項13記載の軸シール機構において、前記第1の段形状部に、前記環状の内周側及び外周側の空間を連通させる通気孔が形成されていることを特徴とする。
【0035】
請求項15記載の軸シール機構は、請求項12記載の軸シール機構において、前記隙間寸法調整手段が、前記薄板側に向かって突出するように前記低圧側側板の側に設けられた第2の段形状部であり、該第2の段形状部が、互いに間隔を置いた状態で、前記低圧側側板に沿って前記回転軸周りの環状をなすように間欠配置された複数枚の環状分割板からなることを特徴とする。
【0036】
請求項16記載の軸シール機構は、請求項13〜15のいずれか1項に記載の軸シール機構において、前記第1または第2の段形状部が、前記回転軸を軸心とする同心円状に複数段が設けられていることを特徴とする。
【0037】
請求項17記載の軸シール機構は、請求項12記載の軸シール機構において、前記隙間寸法調整手段が、前記薄板側に向かって突出するように前記低圧側側板の側に設けられた第3の段形状部であり、該第3の段形状部が、前記薄板側から前記低圧側側板を見た場合に、該低圧側側板の内周側から外周側に向かってスパイラル状に配置された複数枚のスパイラル板からなり、これらスパイラル板間には、互いに間隔が設けられていることを特徴とする。
【0038】
請求項18記載の軸シール機構は、請求項13記載の軸シール機構において、前記第1の段形状部が、前記低圧側側板の半径方向に沿って前記ケーシングの位置まで形成されていることを特徴とする。
【0039】
請求項19記載の軸シール機構は、請求項18記載の軸シール機構において、前記高圧側側板に、該高圧側側板を前記回転軸の軸線方向に貫く導圧孔が形成されていることを特徴とする。
【0040】
請求項20記載の軸シール機構は、請求項12記載の軸シール機構において、前記隙間寸法調整手段が、前記低圧側側板に向かって突出するように前記薄板の側に設けられた第4の段形状部であることを特徴とする。
【0041】
上記請求項12〜20のいずれかに記載の軸シール機構によれば、隙間寸法調整手段を設けたことで、薄板の位置が低圧側側板の側に向かって接近しようとしても、この薄板が、隙間寸法調整手段によって支持されることで接近が阻止されるようになっているので、軸シール機構組立時における組立誤差や、運転時における高圧側から低圧側に向かう流体圧による薄板の変形等が発生しても、薄板と低圧側側板との間を所定の隙間寸法に維持することができる。
したがって、薄板と低圧側側板との隙間寸法を、薄板と高圧側側板との間の隙間寸法よりも確実に大きく保つことができる。これにより、請求項3,5,6のいずれかの作用を確実に得ることができるので、薄板の上下面における圧力差を生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮くように変形させ、起動時等の動圧効果の小さい時でも、非接触状態を確実に形成させることができる。
【0042】
さらに、上記請求項14記載の軸シール機構によれば、隙間寸法調整手段である第1の段形状部に通気孔を形成したことで、薄板と低圧側側板との間の隙間空間における、第1の段形状部を境とした、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れに対する抵抗が低減されるようになる。これにより、第1の段形状部による薄板の支持を確保しながらも、あたかも第1の段形状部が存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができる。
したがって、高圧側側板から低圧側側板に向かうガス圧が薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、回転軸に対向する先端側でかつ高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布の範囲をより広く形成させることができるようになるので、薄板の上下面における圧力差を確実に生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確にできるようになる。
【0043】
また、上記請求項15記載の軸シール機構によれば、隙間寸法調整手段である第2の段形状部を、互いに間隔を置いて環状配置された複数枚の環状分割板としたことで、薄板と低圧側側板との間の隙間空間における、第2の段形状部を境とした、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れに対する抵抗が低減されるようになる。これにより、第2の段形状部による薄板の支持を確保しながらも、あたかも第2の段形状部が存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができる。
したがって、高圧側側板から低圧側側板に向かうガス圧が薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、回転軸に対向する先端側でかつ高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布の範囲をより広く形成させることができるようになるので、薄板の上下面における圧力差を確実に生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確にできるようになる。
また、請求項16記載の軸シール機構においても、上記請求項15記載の軸シール機構と同様の作用を得ることができる。
【0044】
また、上記請求項17記載の軸シール機構によれば、隙間寸法調整手段である第3の段形状部を、互いに間隔を置いてスパイラル状に配置された複数枚のスパイラル板としたことで、薄板と低圧側側板との間の隙間空間における、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れに対する抵抗が低減されるようになる。これにより、第3の段形状部による薄板の支持を確保しながらも、あたかも第3の段形状部が存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができる。
したがって、高圧側側板から低圧側側板に向かうガス圧が薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、回転軸に対向する先端側でかつ高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布の範囲をより広く形成させることができるようになるので、薄板の上下面における圧力差を確実に生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確にできるようになる。
【0045】
また、上記請求項20記載の軸シール機構によれば、隙間寸法調整手段である第4の段形状部を、薄板側に設けられた突出部としたことで、薄板と低圧側側板との間の隙間空間における、第4の段形状部を境とした、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れが、薄板間の隙間を通って流通可能となるので、このガス流れに対する抵抗が低減されるようになる。これにより、第4の段形状部による薄板の支持を確保しながらも、あたかも第4の段形状部が存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができる。
したがって、高圧側側板から低圧側側板に向かうガス圧が薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、回転軸に対向する先端側でかつ高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布の範囲をより広く形成させることができるようになるので、薄板の上下面における圧力差を確実に生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確にできるようになる。
【0046】
請求項21記載のガスタービンは、高温高圧のガスをケーシングに導き、該ケーシングの内部に回転可能に支持された回転軸の動翼に吹き付けることで前記ガスの熱エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換して動力を発生するガスタービンにおいて、請求項1〜17のいずれかに記載の軸シール機構を備えたことを特徴とする。
上記請求項21記載のガスタービンによれば、上記請求項1〜20のいずれかに記載の軸シール機構と同様の作用を得ることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明に係る軸シール機構及びこれを備えたガスタービンの各実施の形態についての説明を以下に行うが、本発明がこれらのみに限定解釈されるものでないことは、勿論である。
【0048】
まず、図1〜図3を参照しながら第1の実施の形態についての説明を行う。
図1に、ガスタービンの概略構成を示す。同図において、符号20は圧縮機、符号21は燃焼器、符号22はタービンである。圧縮機20は、多量の空気をその内部に取り入れて圧縮するものである。通常、ガスタービンでは、後述する回転軸23で得られる動力の一部が、圧縮機の動力として利用されている。燃焼器21は、圧縮機20で圧縮された空気に燃料を混合して燃焼させるものである。タービン22は、燃焼器21で発生させた燃焼ガスをその内部に導入して膨張させ、回転軸23に設けられた動翼23eに吹き付けることで燃焼ガスの熱エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換して動力を発生させるものである。
【0049】
タービン22には、回転軸23側の複数の動翼23eの他に、ケーシング24側に複数の静翼24aが設けられており、これら動翼23eと静翼24aとが回転軸23の軸方向に交互に配列されている。動翼23eは回転軸23の軸方向に流れる燃焼ガスの圧力を受けて回転軸23を回転させ、回転軸23に与えられた回転エネルギーが軸端から取り出されて利用されるようになっている。静翼24aと回転軸23との間には、高圧側から低圧側に漏れる燃焼ガスの漏れ量を低減するための軸シール機構として、リーフシール25が設けられている。
【0050】
図2はこのリーフシール25の構成を示す斜視図である。同図に示すように、このリーフシール25は、回転軸23の軸方向に幅を有して先端が回転軸23の周面23aに摺動し、互いに隙間30を空けて外周側基端がケーシング24側に固定(ろう付け部28)された複数の可撓性を有する薄板29を、回転軸23の周方向に該回転軸23の外周をシール可能に多重に備え、薄板29と回転軸23の周面23aとが鋭角をなし、各薄板29の回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板26及び高圧側側板27が設けられた構成となっている。
【0051】
各薄板29は、回転軸23の軸方向に所定の幅を有する平板形状を有しており、回転軸23の周方向に多層に配置された構造になっている。そして、その外周側基端は、ケーシング24内にろう付け(ろう付け部28)されており、回転軸23の外周をシールすることによって回転軸23の周囲空間を高圧側領域と低圧側領域とに分けている。また、薄板29の幅方向両側において、高圧側領域には前記高圧側側板27が、低圧側領域には前記低圧側側板26がそれぞれ圧力作用方向のガイド板として装着されている。
【0052】
そして、このリーフシール25には、図3(a)に示すように高圧側領域から低圧側領域に向かう(高圧側側板27から低圧側側板26に向かう)ガス圧が各薄板29に加わった場合に、各薄板29の上面29a及び下面29bに対して、先端側でかつ高圧側側板27の側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布30aを形成するガス圧調整手段が設けられた構成となっている。
【0053】
換言すると、このガス圧調整手段は、図3(b)に示すように、各薄板29をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、これら薄板29の回転軸23に面した面を下面29b、その裏側を上面29aとし、各薄板29に対して高圧側領域から低圧側領域に向かう(高圧側側板27から低圧側側板26に向かう)ガス圧が加わった場合に、各薄板29の前記断面に沿った任意位置における上面29aに加わるガス圧よりも、下面29bに加わるガス圧の方を高くするようにガス圧を調整することが可能となっている(このメカニズムについては、後で詳説する。)。
【0054】
本実施の形態では、各薄板29と低圧側側板26との間の低圧側隙間31を、各薄板29と高圧側側板27との間の高圧側隙間32よりも大きくする隙間寸法調節を前記ガス圧調整手段としている。
このように隙間寸法調節を行って低圧側側板側に比較的広い空間を空けておくことで、高圧側から加圧された際に、各薄板29を通過して高圧側領域から低圧側領域へ流れるガスgは、各薄板29の上面29a及び下面29bに沿って対角に向かって広く流れると同時に,外周部基端には低圧の領域が広がる。これにより、前述したように、薄板29の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板29の上面29a及び下面29bのそれぞれに加わるガス圧分布を、薄板29の先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。
【0055】
これについて詳しく説明すると、高圧側領域から低圧側領域に向かって流れるガスgは、回転軸23の周面23aと薄板29の先端との間,ならびに、各薄板29の上面29a及び下面29bに沿って流れる。このとき、各薄板29の上面29a及び下面29bに沿って流れるガスgは、図3(a)に示すように、高圧側側板27と回転軸23の周面23aとの間から流入し,r1からr2の方向へ放射状に流れ,外周側基端には低圧の領域が広がる。これにより、各薄板29の上面29a及び下面29bに垂直に加わるガス圧分布30b,30cは、図3(b)に示すように前記先端部分に近いほど大きく、かつ外周側基端に向かうほど小さくなる三角分布形状となる。
【0056】
この上面29a及び下面29bそれぞれにおけるガス圧力分布30b,30cの形状は互いに略同じものとなるが、各薄板29が回転軸23の周面23aに対して鋭角をなすように斜めに配置されているので、これら上面29a及び下面29bにおける各ガス圧分布30b,30cの相対位置が寸法s1だけずれており、薄板29の外周基端側から先端側に向かう任意点Pにおける上面29a及び下面29bのガス圧を比較した場合、両者で差が生じることとなる。
【0057】
つまり、前述したように、下面29bに加わるガス圧(これをFbとする)の方が上面29aに加わるガス圧(これをFaとする)よりも高くなるので、薄板29を回転軸23より浮かせるように変形させる方向に作用する。このとき、薄板29の先端近傍部分では逆となり、上面29aにのみガス圧のみが加わる(薄板29の最先端部分は、周面23aに対して面接触するように斜めに切り取られて切断面29cが設けられているので、下面29bに相当する部分がなくなる。)が、この力は、周面23aと薄板29の先端との間を流れるガスのガス圧が、薄板29の先端を周面23aから浮かせる方向に作用(これをFcとする)して打ち消すので、薄板29の先端を回転軸23に対して押さえ込もうとする力を生じさせない。したがって、各薄板29に加わるガス圧による圧力荷重は、(Fb+Fc)>Faとなるので、各薄板29を周面23aより浮かせるように変形させることが可能となる。
したがって、各薄板29の上面29a及び下面29b間に圧力差を生じせしめて、これら薄板29が周面23aより浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0058】
以上の説明では、高圧側から加圧された際の差圧を利用して,各薄板29を回転軸23に対して非接触状態にするメカニズムについて説明したが、以下に説明するように、回転軸23の回転によっても各薄板29を回転軸23に対して非接触状態とすることが可能となっている。
すなわち、各薄板29は、板厚で決まる所定の剛性を回転軸23の軸方向に持つように設計されている。また、各薄板29は、前述したように回転軸23の回転方向に対して回転軸23の周面23aとなす角が鋭角となるようにケーシング24に取付けられており、回転軸23の停止時には、各薄板29の先端が所定の予圧で回転軸23に接触しているが、回転軸23の回転時には回転軸23が回転することで生じる動圧効果によって各薄板29の先端が浮上するため、薄板29と回転軸23とが非接触状態となる。
【0059】
なお、多層に配置した平板状の各薄板29の間には僅かに隙間30(図2参照)が設けられている。この隙間30は、シール径が十分に大きいため、換言すれば回転軸23の径が十分に大きいために、外周側基端から内周側先端まで実質的にほぼ一定とみなすことができる。
【0060】
以上説明の本実施の形態のリーフシール25(軸シール機構)及びこれを備えたガスタービンによれば、各薄板29と回転軸23の周面23aとの間の角度を鋭角にし、かつ各薄板29に浮力を与える圧力調整手段として前記隙間寸法調節を設けたことで、動圧効果の小さい起動時等においても薄板29の上面29a及び下面29bの間に圧力荷重差((Fb+Fc)>Fa)を生じさせ、薄板29の先端を回転軸23の周面23aから浮上させて回転軸23との接触を回避できる。したがって、各薄板29と回転軸23との接触による過大な発熱及び摩耗を防止することができる。さらに、各薄板29と回転軸23との接触による発熱が防止されることにより、回転軸23でのサーマルバランスによる振動の発生を回避することも可能となる。
【0061】
また、共振点通過時などの回転軸23の振動が大きいときには、鋭角に取付けられた薄板29が変形して回転軸23との接触が緩和されることに加え、回転軸23の回転によって生じる動圧効果によって各薄板29の先端を回転軸23の周面23aから浮上させて回転軸23との接触を回避することが可能となっている。
【0062】
また、シール部材として薄板29を使用することにより、従来のワイヤと比較してケーシング24に対する固定部分の大きさが拡大されるので、各薄板29がケーシング24に対して強固に固定される。これにより、従来のブラシシールにおけるワイヤ脱落のようなケーシング24からの薄板29の脱落を防止することができる。
また、各薄板29の先端は回転軸23の軸方向に高い剛性を有し回転軸の周方向には柔らかいので、従来のブラシシールに比べて差圧方向への変形を起こし難くなり、シール差圧の許容値を向上させることが可能となっている。
【0063】
また、各薄板29間の隙間30を外周側と内周側とで等しくすることで、各薄板29をより密に配置することが可能となり、各薄板29の先端と回転軸23との隙間を、非接触型のラビリンスシールなどと比べて飛躍的に小さくすることができる。これにより、ラビリンスシールの1/10程度まで漏れ量を低減することが可能となり、結果的にガスタービンの性能を10%程度向上させることができる。
したがって、以上説明のリーフシール25及びこれを備えたガスタービンによれば、高圧側領域から低圧側領域へのガスの漏れ量を低減するとともに耐摩耗性の向上を得ることが可能となる。
【0064】
ところで、上記第1の実施の形態では、前記圧力調整手段として、低圧側側板26及び高圧側側板27を、低圧側隙間31が高圧側隙間32より大きくなるよう配置することで、高圧側から加圧された際に薄板29に前記圧力荷重差を生じせしめて、各薄板29の先端部を浮上させるものとしているが、この他にも、例えば変形例として以下に説明する各実施の形態も採用可能である。
【0065】
以下、本発明の第2の実施の形態についての説明を図4を参照しながら行うが、その特徴部分を中心に説明するものとし、その他の、上記第1の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図4は、高圧側領域から加圧された際に各薄板29の薄板上面29a及び薄板下面29b間に圧力荷重差を生じさせ、各薄板29の先端部を浮上させるための他の圧力調整手段を備えたリーフシール25を示すものである。
そして、本実施の形態では、低圧側側板26の回転軸23の半径方向の長さ寸法(低圧側側板長さ33)を、高圧側側板27の回転軸23の半径方向の長さ寸法(高圧側側板長さ34)よりも短くする側板寸法調節を前記ガス圧調整手段としている。
【0066】
このように側板寸法調節を行って低圧側側板26側に比較的広い空間を空けておくことで、高圧側から加圧された際、各薄板29を通過してガスgが高圧側領域から低圧側領域へ流れようとするが、このガスgが、各薄板29の上面29a及び下面29bに沿ってr1からr2の方向へ放射状に流れることとなる。これにより、前述したように、薄板29の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板29の上面29a及び下面29bのそれぞれに加わるガス圧分布を、薄板29の先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。
したがって、上記第1の実施の形態と同様の理由により、薄板29の上面29a及び下面29b間における圧力分布の相対位置に差を生じせしめて、各薄板29を回転軸23の周面23aより浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0067】
すなわち、前記隙間30を通るガスgによって薄板29の上面29a及び下面29bに垂直に加わるガス圧分布30aは、上記第1の実施の形態と同様に、薄板29の先端側でかつ高圧側側板27側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布30aとなる。
【0068】
このとき、薄板29の軸方向幅の任意の断面の半径方向圧力分布は、上記第1の実施の形態の図3(b)で説明したガス圧分布30b,30cのようになり、薄板上面29aと、薄板下面29b及び薄板先端面29cとの間に圧力荷重差((Fb+Fc)>Fa)を生じさせるので、この圧力荷重差が薄板29に対してその先端部を浮上させる方向の力として作用する。
したがって、薄板29に生じた前記圧力荷重差により、その先端部を浮上させる方向の力が作用する。本実施の形態を上記第1の実施の形態と比較した場合、第1の実施の形態のように低圧側隙間31と高圧側隙間32の寸法をコントロールをするよりも、本実施の形態のように低圧側側板長さ33及び高圧側側板長さ34をコントロールするほうが寸法精度も要求されず容易である上に、組立性も良く製造が容易となり、製作コストも安く済むのでより好ましいと言える。
【0069】
なお、本実施の形態では、低圧側側板26の回転軸23の半径方向の長さ寸法(低圧側側板長さ33)を、高圧側側板27の回転軸23の半径方向の長さ(高圧側側板長さ34)よりも短くする側板寸法調節を前記ガス圧調整手段としたが、これに限らず、薄板29の、回転軸23の軸方向低圧側に、高圧側領域から低圧側領域に向かうガスgの通過を許可するガス通過空間形成する(例えば、低圧側側板26を省いた構成とするなど。)ことでも、同様の効果を得ることが可能である。
【0070】
以下、本発明の第3の実施の形態についての説明を図5(a),(b)を参照しながら行うが、その特徴部分を中心に説明するものとし、その他の、上記第1の実施の形態と同一部分については説明を省略する。なお、本実施の形態では、薄板29の高圧領域側に配されてかつ回転軸23方向に可撓性を有する可撓板を前記ガス圧調整手段とする構成を採用している。
図5(a),(b)は、高圧側領域から加圧された際に各薄板29の薄板上面29a及び薄板下面29b間に圧力荷重差を生じさせ、各薄板29の先端部を浮上させるための他の圧力調整手段を備えたリーフシール25を示すもので、図5(a)は高圧側側板27を回転軸23の軸方向に可撓性を有する薄肉板にした場合であり、図5(b)は高圧側側板27と薄板29との間の隙間に回転軸23の軸方向に可撓性を有する高圧側隙間微調整用薄板35を配置したものである。
【0071】
このような可撓性を有する高圧側側板27或いは高圧側隙間微調整用薄板35を設けることで、高圧側から加圧された際に,高圧側のガス圧により,高圧側側板27或いは高圧側隙間微調整用薄板35は回転軸23の軸方向に撓み,高圧側側板23と薄板29との間の隙間は小さく保持できる。このとき、各薄板29の上面29a及び下面29bに沿って流れるガスgは、図5に示すように、高圧側側板27と回転軸23の周面23aとの間から流入し,r1からr2の方向へ放射状に流れ,外周側基端には低圧の領域が広がる。これにより、薄板29の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板29の上下面に加わるガス圧を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。
したがって、上記第1の実施の形態と同様の理由により、薄板29の上面29a及び下面29b間における圧力分布の相対位置に差を生じせしめて、各薄板29を回転軸23の周面23aより浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0072】
すなわち、前記隙間30を通るガスgによって薄板29の上面29a及び下面29bに垂直に加わるガス圧分布30aは、上記第1の実施の形態と同様に、薄板29の先端側でかつ高圧側側板27側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布形状となる。このとき、薄板29の軸方向幅の任意位置の断面の半径方向圧力分布は、上記第1の実施の形態の図3(b)で説明したガス圧分布30b,30cのようになり、薄板上面29aと、薄板下面29b及び薄板先端面29cとの間に圧力荷重差((Fb+Fc)>Fa)を生じさせるので、この圧力荷重差が薄板29に対してその先端部を浮上させる方向の力として作用する。
【0073】
したがって、薄板29に生じた前記圧力荷重差により、その先端部を浮上させる方向の力が作用する。本実施の形態を上記第1の実施の形態と比較した場合、上記第2の実施の形態で説明したのと同様の理由により、組立性と製作コストが安い上、シール差圧により隙間(薄板29と、高圧側側板27或いは高圧側隙間微調整用薄板35との間の隙間)を自動的に高精度に形成できるメリットがある。
【0074】
以下、本発明の第4の実施の形態についての説明を図6(a),(b)を参照しながら行うが、その特徴部分を中心に説明するものとし、その他の、上記第1の実施の形態と同一部分については説明を省略する。なお、本実施の形態では、薄板29の高圧側に配されて回転軸23方向に可撓性を有し、かつその全周で2ヶ所以上のスリットが形成されているスリット付き可撓板を前記ガス圧調整手段とする構成を採用している。
図6(a)は、高圧側側板に対して全周で2ヶ所以上のスリット41aが形成されるとともに回転軸23の軸方向に可撓性持たせたものを、前記スリット付き可撓板41とした場合であり、図6(b)は、高圧側側板27と薄板29との間の隙間に回転軸23の軸方向に可撓性を有し全周で2ヶ所以上のスリット42aが形成された薄肉板を、前記スリット付き可撓板42とした場合を示している。
【0075】
このようなスリット付き可撓板41,42を設けることで、高圧側から加圧された際に,高圧側のガス圧により,高圧側側板27或いは高圧側隙間微調整用薄板40は回転軸23の軸方向に撓み,高圧側側板23と薄板29との間の隙間は小さく保持できる。このとき、各薄板29の上面29a及び下面29bに沿って流れるガスgは、図6に示すように、高圧側側板27と回転軸23の周面23aとの間から流入し,r1からr2の方向へ放射状に流れ,外周側基端には低圧の領域が広がる。これにより、薄板29の幅方向に垂直な断面に沿った任意位置で、該薄板29の上下面に加わるガス圧を、薄板先端側から外周側基端に向かって徐々に小さくなる三角形状とすることができる。
したがって、上記第1の実施の形態と同様の理由により、薄板29の上面29a及び下面29b間における圧力分布の相対位置に差を生じせしめて、各薄板29を回転軸23の周面23aより浮くように変形させて非接触状態を形成することができる。
【0076】
すなわち、前記隙間30を通るガスgによって薄板29の上面29a及び下面29bに垂直に加わるガス圧分布30aは、上記第1の実施の形態と同様に、薄板29の先端側でかつ高圧側側板27側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布形状となる。このとき、薄板29の軸方向幅の任意の断面の半径方向圧力分布は、上記第1の実施の形態の図3(b)で説明したガス圧分布30b,30cのようになり、薄板上面29aと、薄板下面29b及び薄板先端面29cとの間に圧力荷重差((Fb+Fc)>Fa)を生じさせるので、この圧力荷重差が薄板29に対してその先端部を浮上させる方向の力として作用する。
【0077】
したがって、薄板29に生じた前記圧力荷重差により、その先端部を浮上させる方向の力が作用する。本実施の形態を上記第1の実施の形態と比較した場合、上記第2の実施の形態で説明したのと同様の理由により、組立性と製作コストが安い上、シール差圧により隙間(薄板29と、スリット付き可撓板41,42との間の隙間)を自動的に高精度に形成できるメリットがある。また本実施の形態では、上記第1の実施の形態と比較して組立性と製作コストの点で優れるのに加え、第3の実施の形態と比較してもスリット41a,42aの形状により隙間(薄板29と、スリット付き可撓板41,42との間の隙間)の微調整が可能というメリットがある。
【0078】
以下、本発明の第5の実施の形態についての説明を図7を参照しながら行うが、その特徴部分を中心に説明するものとし、その他の、上記第1の実施の形態と同一部分については説明を省略する。なお、本実施の形態では、回転軸23の軸線方向に低圧側側板26を貫く複数の通風孔を前記ガス圧調整手段とする構成を採用している。
図7は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図であり、符号26aが前記通風孔を示している。この他にも、低圧側側板26として多孔質の材料を用いる構成も採用可能である。
【0079】
このような通風孔26aを備えた低圧側側板26を採用すると、高圧側からガスで加圧された際に前記隙間30を通るガスによって薄板29の上面29a及び下面29bに垂直に加わるガス圧の圧力分布は、上記第1の実施の形態と同様に、圧力分布30aに示す等圧線分布形状となる。すなわち、薄板29において、その先端側でかつ高圧側側板27側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布形状となる。
【0080】
このとき、薄板29の軸方向幅の任意の断面の半径方向圧力分布は、上記第1の実施の形態の図3(b)で説明したガス圧分布30b,30cのようになり、薄板上面29aと、薄板下面29b及び薄板先端面29cとの間に圧力荷重差((Fb+Fc)>Fa)を生じさせるので、この圧力荷重差が薄板29に対してその先端部を浮上させる方向の力として作用する。
【0081】
したがって、薄板29に生じた前記圧力荷重差により、その先端部を浮上させる方向の力が作用する。しかも、本実施の形態では、通風孔26aの孔形状を形成するだけなので製作しやすくて組立性も良く、製作コストを低くできる。更に、孔形状の配置や大きさにより複雑な圧力分布も形成可能となる。また、薄板の露出部が上記第2の実施の形態と比較して小さく、組立時の接触などによる薄板の変形が小さいというメリットがある。
【0082】
以下、本発明の第6の実施の形態についての説明を図8を参照しながら行うが、その特徴部分を中心に説明するものとし、その他の、上記第1の実施の形態と同一部分については説明を省略する。なお、本実施の形態では、前記低圧側隙間31の方が必ず高圧側隙間32よりも大きくなるように維持するための隙間寸法調整手段を更に備えている点が特に特徴的となっている。
図8の(a)は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b)は(a)をC−C線より見た断面図である。
【0083】
同図に示すように、低圧側側板26と各薄板29との間には、低圧側側板26に向かって各薄板29が接近しようとした場合に、該薄板29を支持して、これら低圧側側板26及び各薄板29間の低圧側隙間31の隙間寸法を維持するための前記隙間寸法調整手段として、段形状部50(第1の段形状部)が設けられている。
この段形状部50は、図8(a)に示すように、回転軸23の軸線を通る断面で見た場合には、各薄板29側に向かって突出するように低圧側側板26の側に設けられており、また図8(b)に示すように、回転軸23の軸線に垂直をなす断面より見た場合には、環状の低圧側側板26に沿って回転軸23周りの全周に渡って連続した環状をなすリング形状の部品である。なお、この段形状部50は、低圧側側板26と別部品としても良いし、低圧側側板26と一体の部品としても良い。
【0084】
各薄板29を支持するためには、段形状部50を各薄板29側に極力接近させておく必要がある。しかしながら、あまり近づけすぎて各薄板29の側縁を段形状部50が圧迫して変形させることのないようにする必要があるので、段形状部50の厚み寸法をt1(回転軸23の軸心方向の厚み寸法)とし、低圧側隙間31の隙間寸法をt2とした場合には、t2≧t1(厚み寸法t1は、低圧側隙間31の隙間寸法t2と等しいか、もしくはそれよりも狭い)とする必要がある。この段形状部50によれば、各薄板29のずれあるいは変形を拘束することで、低圧側隙間31の隙間寸法t2以下になることを防ぐことができ、容易に所定の隙間寸法に維持することが可能となる。
【0085】
以上説明の本実施の形態のリーフシール25(軸シール機構)及びこれを備えたガスタービンによれば、段形状部50を設けたことで、各薄板29の位置が低圧側側板26の側に向かって接近しようとしても、これら薄板29が、段形状部50によって支持されることで接近が阻止されるようになっているので、軸シール機構組立時における組立誤差や、運転時における高圧側から低圧側に向かう流体圧による各薄板29の変形等が発生しても、各薄板29と低圧側側板26との間を所定の隙間寸法t2に維持することができる。
【0086】
これにより、各薄板29と低圧側側板26との間の低圧側隙間31を、各薄板29と高圧側側板27との間の高圧側隙間32よりも大きくするという、上記第1の実施の形態で説明した前記隙間寸法調節を確実に行わせることが可能となっている。よって、起動時等の動圧効果の小さい時でも、確実に各薄板29の先端を浮かせて回転軸23の周面23aとの間を非接触状態にできる。したがって、各薄板29と回転軸23との接触による過大な発熱及び摩耗を防止することができる。さらに、各薄板29と回転軸23との接触による発熱が防止されることにより、回転軸23でのサーマルバランスによる振動の発生を回避することも可能となる。なお、この他にも、上記第1の実施の形態で説明した効果と同様の効果が得られることは勿論である。
【0087】
次に、本発明の第7の実施の形態についての説明を図9を参照しながら行う。なお、本実施の形態は、上記第6の実施の形態の変形例に相当するものであるので、上記第6の実施の形態との相違点を中心に説明するものとし、その他の、上記第6の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図9の(a)は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b)は(a)をD−D線より見た断面図である。
【0088】
同図に示すように、本実施の形態では、上記第6の実施の形態で説明した環状の前記段形状部50に、この環状の内周側及び外周側の空間を連通させる通気孔51を形成した点が特徴的となっている。この通気孔51は、図9(b)に示すように、複数個が互いに等間隔をおいて形成されたものとなっている。
このように、段形状部50に複数の通気孔51を形成したことで、各薄板29と低圧側側板26との間の隙間空間における、段形状部50を境とした、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れに対する抵抗が低減されるようになる。これにより、段形状部50による各薄板29の支持を確保しながらも、あたかも段形状部50が存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができるようになる。
【0089】
これにより、高圧側側板27から低圧側側板26に向かうガス圧が各薄板29に加わった場合に、これら薄板29の上下面に対して、回転軸23に対向する先端側でかつ高圧側側板27の側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を広い範囲(図9(a)の実線矢印R1で示す範囲)に形成させることができ、例えば図9(a)の二点鎖線の矢印R2で示す狭い範囲のガス圧分布とならないようにすることができる。
したがって、広いガス圧分布を各薄板29に与えることができるので、各薄板29の広い範囲に渡ってその上下面に圧力差を確実に生じせしめて、これら薄板29を回転軸23の周面23aより浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確に行えるようになる。
【0090】
次に、本発明の第8の実施の形態についての説明を図10を参照しながら行う。なお、本実施の形態は、上記第6の実施の形態の変形例に相当するものであるので、上記第6の実施の形態との相違点を中心に説明するものとし、その他の、上記第6の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図10の(a)は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b),(c)は(a)をE−E線より見た断面図である。
【0091】
図10(b)に示すように、本実施の形態では、上記第6の実施の形態で説明した全周に渡って環状に連続した前記段形状部50の代わりに、互いに等しい間隔Gを置いた状態で、低圧側側板26に沿って回転軸23周りの環状をなすように間欠配置された複数枚の環状分割板50aから構成される段形状部50A(第2の段形状部)を、1周(1段)、低圧側側板26に固定した点が特に特徴的となっている。この段形状部50Aは、図10(a)に示すように、回転軸23の軸線を通る断面で見た場合には、各薄板29側に向かって突出するように低圧側側板26の側に設けられている。
なお、この段形状部50A(環状分割板50a)は、低圧側側板26と別部品としても良いし、低圧側側板26と一体の部品としても良い。
【0092】
本実施の形態では、上記第7の実施の形態の前記各通気孔51の代わりの役目を前記各間隔Gが行うので、各薄板29と低圧側側板26との間の隙間空間における、段形状部50Aを境とした、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れに対する抵抗が低減されるようになっている。これにより、段形状部50Aによる各薄板29の支持を確保しながらも、あたかも段形状部50Aが存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができるようになる。
【0093】
これにより、高圧側側板27から低圧側側板26に向かうガス圧が各薄板29に加わった場合に、これら薄板29の上下面に対して、回転軸23に対向する先端側でかつ高圧側側板27の側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を広い範囲(図10(a)の実線矢印R1で示す範囲)に形成させることができ、例えば図10(a)の二点鎖線の矢印R2で示す狭い範囲のガス圧分布とならないようにすることができる。
したがって、広いガス圧分布を各薄板29に与えることができるので、各薄板29の広い範囲に渡ってその上下面に圧力差を確実に生じせしめて、これら薄板29を回転軸23の周面23aより浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確に行えるようになる。
【0094】
なお、本実施の形態の変形例として、例えば図10(c)に示すように回転軸23を軸心とする同心円状に段形状部50Aを2周(2段)に配置したり、もしくは3周以上(3段以上)に配置する構成(図示せず)も勿論可能である。
【0095】
次に、本発明の第9の実施の形態についての説明を図11を参照しながら行う。なお、本実施の形態は、上記第6の実施の形態の変形例に相当するものであるので、上記第6の実施の形態との相違点を中心に説明するものとし、その他の、上記第6の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図11の(a)は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b),(c)は(a)をF−F線より見た断面図である。
【0096】
図11(b)に示すように、本実施の形態では、上記第6の実施の形態で説明した全周に渡って環状に連続した前記段形状部50の代わりに、各薄板29側から低圧側側板26を見た場合に、該低圧側側板26の内周側から外周側に向かってスパイラル状に配置され、互いの間に間隔Gが設けられた複数枚のスパイラル板50bから構成される段形状部50B(第3の段形状部)を、低圧側側板26に固定した点が特に特徴的となっている。この段形状部50Bは、図11(a)に示すように、回転軸23の軸線を通る断面で見た場合には、各薄板29側に向かって突出するように低圧側側板26の側に設けられている。
そして、各スパイラル板50bは、各薄板29側から低圧側側板26を見た場合(すなわち図11(b)の視線で見た場合)に、各薄板29と交差するクロス方向に傾斜した状態で、低圧側側板26に固定されている。
なお、この段形状部50B(スパイラル板50b)は、低圧側側板26と別部品としても良いし、低圧側側板26と一体の部品としても良い。
【0097】
なお、本実施の形態の変形例として、例えば図11(c)に示すように、各スパイラル板50bを、各薄板29側から低圧側側板26を見た場合に、各薄板29と同方向かつ異なる傾斜角度(回転軸23の周面23aに対する傾斜角度)に傾斜した状態で、低圧側側板26に固定する構成も勿論採用可能である。しかしながら、図11(b)で示したクロス方向に傾斜させた方が、一枚あたりのスパイラル板50bにより多くの枚数の薄板29を支持させることができるのでより好ましいと言える。
【0098】
本実施の形態では、上記第7の実施の形態の前記各通気孔51の代わりの役目を前記各間隔Gが行うので、各薄板29と低圧側側板26との間の隙間空間における、段形状部50Bを境とした、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れに対する抵抗が低減されるようになっている。これにより、段形状部50Bによる各薄板29の支持を確保しながらも、あたかも段形状部50Bが存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができるようになる。
【0099】
これにより、高圧側側板27から低圧側側板26に向かうガス圧が各薄板29に加わった場合に、これら薄板29の上下面に対して、回転軸23に対向する先端側でかつ高圧側側板の側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を広い範囲(図11(a)の実線矢印R1で示す範囲)に形成させることができ、狭い範囲のガス圧分布とならないようにすることができる。
したがって、広いガス圧分布を各薄板29に与えることができるので、各薄板29の広い範囲に渡ってその上下面に圧力差を確実に生じせしめて、これら薄板29を回転軸23の周面23aより浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確に行えるようになる。
【0100】
次に、本発明の第10の実施の形態についての説明を図12を参照しながら行う。なお、本実施の形態は、上記第6の実施の形態の変形例に相当するものであるので、上記第6の実施の形態との相違点を中心に説明するものとし、その他の、上記第6の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図12は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図である。
【0101】
図12に示すように、本実施の形態では、上記第6の実施の形態で説明した低圧側薄板26側に設けられた前記段形状部50の代わりに、低圧側側板26に向かって突出するように各薄板29の側にそれぞれ設けられた段形状部50C(第4の段形状部)を設けた点が特に特徴的となっている。
各段形状部50Cは、それぞれの薄板29に一体に形成された突出部であり、互いの間に、各薄板29間に形成される隙間と同じ寸法の隙間が生じるようになっている。
【0102】
本実施の形態では、上記第7の実施の形態の前記各通気孔51の代わりの役目を、各段形状部50C間の隙間が行うので、各薄板29と低圧側側板26との間の隙間空間における、段形状部50Cを境とした、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間でのガス流れに対する抵抗が低減されるようになっている。これにより、段形状部50Cによる各薄板29の支持を確保しながらも、あたかも段形状部50Cが存在しないかのように、前記隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができるようになる。
【0103】
これにより、高圧側側板27から低圧側側板26に向かうガス圧が各薄板29に加わった場合に、これら薄板29の上下面に対して、回転軸23に対向する先端側でかつ高圧側側板27の側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を広い範囲(図12の実線矢印R1で示す範囲)に形成させることができ、例えば図12の二点鎖線の矢印R2で示す狭い範囲のガス圧分布とならないようにすることができる。
したがって、広いガス圧分布を各薄板29に与えることができるので、各薄板29の広い範囲に渡ってその上下面に圧力差を確実に生じせしめて、これら薄板29を回転軸23の周面23aより浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確に行えるようになる。
また、本実施の形態では、各薄板29の形状を変えるだけで、低圧側側板26に加工あるいは取付けする必要がないので、製作コスト面でメリットが大きいという効果も有している。
【0104】
次に、本発明の第11の実施の形態についての説明を図13を参照しながら行う。なお、本実施の形態は、上記第6の実施の形態の変形例に相当するものであるので、上記第6の実施の形態との相違点を中心に説明するものとし、その他の、上記第6の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図13は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図である。
【0105】
図13に示すように、本実施の形態では、上記第6の実施の形態で説明した環状の前記段形状部50(第1の段形状部)が、低圧側側板26の半径方向に沿ってケーシング24の位置まで連続して形成されている点が特に特徴的となっている。すなわち、本実施の形態の段形状部50は、同図の断面で見た場合に、ケーシング24と低圧側側板26との接続部分である、低圧側側板26の付け根位置(基部)まで連続して幅広に形成されたものとなっている。なお、この段形状部50は、通常運転状態では、その各薄板29に対向する面が各薄板29に対して直接接触しておらず、両者の間には微少な隙間が形成された状態となっている。この段形状部50によれば、各薄板29のずれあるいは変形を拘束することで、低圧側隙間31の隙間寸法t2以下になることを防ぐことができ、容易に所定の隙間寸法に維持することが可能となる。
【0106】
以上説明の本実施の形態のリーフシール25(軸シール機構)及びこれを備えたガスタービンによれば、段形状部50を設けたことで、各薄板29の位置が低圧側側板26の側に向かって接近しようとしても、これら薄板29が、段形状部50によって支持されることで接近が阻止されるようになっているので、軸シール機構組立時における組立誤差や、運転時における高圧側から低圧側に向かう流体圧による各薄板29の変形等が発生しても、各薄板29と低圧側側板26との間を所定の隙間寸法t2に維持することができる。
【0107】
すなわち、各薄板29と、高圧側側板27及び低圧側側板26との間を、それぞれ所定の隙間寸法に形成させることができるので、高圧側と低圧側との間での圧力変動が生じても各隙間寸法が変化しにくくなるので、適用するシール差圧範囲を拡大することが可能となる。また、上述のように段形状部50と各薄板29との間には微少な隙間が形成されているので、高圧側側板27及び低圧側側板26と各薄板29との間の隙間公差をゆるめに設計でき、加工コストを低減させることができる。
なお、この他にも、上記第6の実施の形態で説明した効果と同様の効果が得られることは勿論である。
【0108】
次に、本発明の第12の実施の形態についての説明を、図14を参照しながら行う。なお、本実施の形態は、上記第11の実施の形態の変形例に相当するものであるので、上記第11の実施の形態との相違点を中心に説明するものとし、その他の、上記第11の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図14は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図である。
【0109】
図14に示すように、本実施の形態では、上記第11の実施の形態で説明した前記段形状部50に加えて、上記第3の実施の形態で図5(b)を参照して説明した前記高圧側隙間微調整用薄板35を、高圧側側板27と薄板29との間の隙間に配置した点が特に特徴的となっている。
この構成によれば、高圧側側板27から低圧側側板26に向かうガス圧が各薄板29に加わった場合に、これら薄板29の上下面に対して、回転軸23に対向する先端側でかつ高圧側側板27の側に位置する角部r1で最もガス圧が高く、かつ対角の角部r2に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成させることができる。
以上説明の本実施の形態のリーフシール25(軸シール機構)及びこれを備えたガスタービンによれば、上記第11の実施の形態及び上記第3の実施の形態と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0110】
次に、本発明の第13の実施の形態についての説明を、図15を参照しながら行う。なお、本実施の形態は、上記第12の実施の形態の変形例に相当するものであるので、上記第12の実施の形態との相違点を中心に説明するものとし、その他の、上記第12の実施の形態と同一部分については説明を省略する。
図15は、リーフシール25を回転軸23の軸線を通る断面より見た断面図である。
【0111】
図15に示すように、本実施の形態では、上記第12の実施の形態の高圧側側板27に、該高圧側側板27を回転軸23の軸線方向に貫く導圧孔100が、円周方向に複数設けられている点が特に特徴的となっている。
この構成によれば、高圧側領域のガスの一部を、各導圧孔100を介して高圧側側板27を通過させるように前記高圧側隙間微調整用薄板35に加えることができるので、高圧側隙間微調整用薄板35をより効果的に撓ませることが可能となる。したがって、上記第12の実施の形態の作用をより確実に得ることが可能となる。
以上説明の本実施の形態のリーフシール25(軸シール機構)及びこれを備えたガスタービンによれば、上記第12の実施の形態の効果をより確実に得ることが可能となる。
【0112】
以上に本発明の軸シール機構及びこれを備えたガスタービンの第1〜第13の実施の形態をそれぞれ説明してきたが、このガスタービンとしては、燃焼ガスを利用してタービン軸を回転させて動力を得る一般的なガスタービンに加え、航空機用ガスタービンエンジン等も含んでいる。また、本発明に係るガスタービンとしては、水蒸気を利用する蒸気タービン等の流体機械にも転用可能である。
また、本発明に係る軸シール機構としては、ガスタービン、ガスタービンエンジン、蒸気タービンなどの各種流体機械にも適用可能である。
また、上記第3,第4の各実施の形態の軸シール機構(リーフシール25)及びこれを備えたガスタービンに対して、上記説明の隙間寸法調整手段50,50A,50B,50Cを組み合わせる構成も採用可能である。この場合においても、隙間寸法調整手段50,50A,50B,50Cの採用による同様の作用効果が得られることは、勿論である。
【0113】
【発明の効果】
本発明の請求項1〜20のいずれかに記載の軸シール機構、または請求項21記載のガスタービンによれば、薄板と回転軸周面との間の角度を鋭角にし、かつ薄板に浮力が付与されるように圧力調整手段を設けたことで、共振点通過時などの回転軸の振動が大きいときには鋭角に取付けられた薄板が変形して回転軸との接触が緩和されることに加え、定格条件では回転軸の回転によって生じる動圧効果により、そして動圧効果の小さい起動時等にも薄板に生じる圧力荷重差により薄板の先端が回転軸の表面から浮上して回転軸との接触が回避される。したがって、薄板と回転軸との接触による過大な発熱及び摩耗を防止することができる。さらに、薄板と回転軸との接触による発熱が防止されることにより、回転軸におけるサーマルバランスによる振動の発生を回避することが可能となる。
【0114】
また、シール部材に薄板を使用することにより、従来のワイヤと比較してケーシングに対する固定部分が拡大されるので、薄板がケーシングに対して強固に固定される。これにより、従来のブラシシールにおけるワイヤ脱落のようなケーシングからの脱落を防止することができる。
また、薄板先端は回転軸の軸方向に高い剛性を有し回転軸の周方向には柔らかいので、従来のブラシシールに比べて差圧方向への変形を起こし難くなり、シール差圧の許容値を向上させることができる。
【0115】
また、薄板間の隙間を外周側と内周側とで等しくすることで薄板をより密に配置することが可能となり、薄板の先端と回転軸との隙間を非接触型のラビリンスシールなどと比べて飛躍的に小さくすることができる。これにより、ガスの漏れ量を低減することが可能となり、これをガスタービンに用いた場合には、その性能を向上させることができる。
したがって、以上説明の請求項1〜20のいずれかに記載の軸シール機構、または請求項21記載のガスタービンによれば、高圧側から低圧側へのガスの漏れ量を低減させるとともに耐摩耗性の向上を得ることが可能となる。
【0116】
さらに、上記請求項14〜17のいずれかもしくは上記請求項20に記載の軸シール機構、またはこの軸シール機構を備えた請求項21記載のガスタービンによれば、回転軸半径方向内周側と回転軸半径方向外周側との両空間の間を流れるガス流に対する抵抗が低減されるようになる。これにより、薄板の支持を確保しながらも、薄板と低圧側側板との間の隙間空間における回転軸半径方向の圧力分布を形成させることができる。
したがって、高圧側側板から低圧側側板に向かうガス圧が薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、回転軸に対向する先端側でかつ高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布の範囲をより広く形成させることができるようになるので、薄板の上下面における圧力差を確実に生じせしめて、該薄板を回転軸周面より浮かせるという薄板浮上のためのガス圧調整が的確にできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸シール機構を備えたガスタービンの第1の実施の形態を示す概略構成断面図である。
【図2】同実施の形態のリーフシール(軸シール機構)の斜視図である。
【図3】同実施の形態のリーフシールを示す図であって、(a)は回転軸の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b)は(a)をB−B線より見た断面図である。
【図4】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第2の実施の形態を示す図であって、回転軸の軸線を通る断面より見た断面図である。
【図5】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第3の実施の形態を示す図であって、(a),(b)は回転軸の軸線を通る断面より見た断面図である。
【図6】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第4の実施の形態を示す図であって、(a)はその斜視図であり、(b)はその変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第5の実施の形態を示す図であって、回転軸の軸線を通る断面より見た断面図である。
【図8】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第6の実施の形態を示す図であって、(a)は回転軸の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b)は(a)をC−C線より見た断面図である。
【図9】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第7の実施の形態を示す図であって、(a)は回転軸の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b)は(a)をD−D線より見た断面図である。
【図10】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第8の実施の形態を示す図であって、(a)は回転軸の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b),(c)は(a)をE−E線より見た断面図である。
【図11】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第9の実施の形態を示す図であって、(a)は回転軸の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b),(c)は(a)をF−F線より見た断面図である。
【図12】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第10の実施の形態を示す図であって、回転軸の軸線を通る断面より見た断面図である。
【図13】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第11の実施の形態を示す図であって、回転軸の軸線を通る断面より見た断面図である。
【図14】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第12の実施の形態を示す図であって、回転軸の軸線を通る断面より見た断面図である。
【図15】本発明に係る軸シール機構(リーフシール)の第13の実施の形態を示す図であって、回転軸の軸線を通る断面より見た断面図である。
【図16】従来の軸シール機構の一例を示す図であって、(a)は回転軸の軸線を通る断面より見た断面図であり、(b)は(a)のA−A線より見た断面図である。
【図17】従来の軸シール機構の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
23・・・回転軸
23a・・・周面
23e・・・動翼
24・・・ケーシング
25・・・リーフシール(軸シール機構)
26・・・低圧側側板
26a・・・通風孔
27,35・・・高圧側側板,高圧側隙間微調整用薄板(可撓板)
29・・・薄板
29a・・・上面
29b・・・下面
30・・・隙間
30a・・・ガス圧分布
31・・・低圧側隙間(薄板と低圧側側板との間の隙間)
32・・・高圧側隙間(薄板と高圧側側板との間の隙間)
33・・・低圧側側板長さ(低圧側側板の回転軸半径方向の長さ寸法)
34・・・高圧側側板長さ(高圧側側板の回転軸半径方向の長さ寸法)
41,42・・・スリット付き可撓板
41a,42a・・・スリット
50・・・隙間寸法調整手段,第1の段形状部
50A・・・隙間寸法調整手段,第2の段形状部
50B・・・隙間寸法調整手段,第3の段形状部
50C・・・隙間寸法調整手段,第4の段形状部
50a・・・環状分割板
50b・・・スパイラル板
51・・・通気孔
100・・・導圧孔
G・・・間隔
g・・・ガス
r1・・・角部
r2・・・角部(対角)
Claims (21)
- 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記薄板と前記低圧側側板との間の隙間を、前記薄板と前記高圧側側板との間の隙間よりも大きくする隙間寸法調節であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記薄板と前記低圧側側板との間の隙間を、前記薄板と前記高圧側側板との間の隙間よりも大きくする隙間寸法調節であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記低圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法を前記高圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法よりも短くする側板寸法調節であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記低圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法を前記高圧側側板の前記回転軸半径方向の長さ寸法よりも短くする側板寸法調節であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互い に隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されてかつ前記回転軸方向に可撓性を有する可撓板であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されてかつ前記回転軸方向に可撓性を有する可撓板であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されて前記回転軸方向に可撓性を有し、かつその全周で2ヶ所以上のスリットが形成されているスリット付き可撓板であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記薄板の高圧側に配されて前記回転軸方向に可撓性を有し、かつその全周で2ヶ所以上のスリットが形成されているスリット付き可撓板であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記薄板をその幅方向に垂直な仮想平面で断面視し、該薄板の前記回転軸に面した面を下面、その裏側を上面とし、該薄板に対して前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が加わった場合に、該薄板の前記断面に沿った任意位置における前記上面に加わるガス圧よりも前記下面に加わるガス圧の方を高くするガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記回転軸の軸線方向に前記低圧側側板を貫く複数の通風孔であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなし、前記薄板の前記回転軸方向両側にそれぞれ低圧側側板及び高圧側側板が設けられた軸シール機構であり、
前記高圧側側板から前記低圧側側板に向かうガス圧が前記薄板に加わった場合に、該薄板の上下面に対して、前記先端側でかつ前記高圧側側板の側に位置する角部で最もガス圧が高く、かつ対角に向かって徐々にガス圧が弱まるガス圧分布を形成するガス圧調整手段が設けられ、
前記ガス圧調整手段が、前記回転軸の軸線方向に前記低圧側側板を貫く複数の通風孔であることを特徴とする軸シール機構。 - 回転軸の軸方向に幅を有して先端が前記回転軸の周面に摺動し、互いに隙間を空けて外周側基端がケーシング側に固定された複数の可撓性を有する薄板を、前記回転軸の周方向に該回転軸の外周をシール可能に多重に備え、前記薄板と前記回転軸の周面とが鋭角をなす軸シール機構であり、
前記薄板と、前記低圧側側板との間に、高圧側から低圧側に向かうガスの通過を許可するガス通過空間が形成されていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項1,2,5〜8のいずれか1項に記載の軸シール機構において、
前記低圧側側板と前記薄板との間には、該低圧側側板に向かって前記薄板が接近しようとした場合に、該薄板を支持して、これら低圧側側板及び薄板間の隙間寸法を維持する隙間寸法調整手段が設けられていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項12記載の軸シール機構において、
前記隙間寸法調整手段は、前記薄板側に向かって突出するように前記低圧側側板の側に設けられた第1の段形状部であり、
該第1の段形状部は、前記低圧側側板に沿って前記回転軸周りの環状をなしていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項13記載の軸シール機構において、
前記第1の段形状部には、前記環状の内周側及び外周側の空間を連通させる通気孔が形成されていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項12記載の軸シール機構において、
前記隙間寸法調整手段は、前記薄板側に向かって突出するように前記低圧側側板の側に設けられた第2の段形状部であり、
該第2の段形状部は、互いに間隔を置いた状態で、前記低圧側側板に沿って前記回転軸周りの環状をなすように間欠配置された複数枚の環状分割板からなることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項13〜15のいずれか1項に記載の軸シール機構において、
前記第1または第2の段形状部は、前記回転軸を軸心とする同心円状に複数段が設けられていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項12記載の軸シール機構において、
前記隙間寸法調整手段は、前記薄板側に向かって突出するように前記低圧側側板の側に設けられた第3の段形状部であり、
該第3の段形状部は、前記薄板側から前記低圧側側板を見た場合に、該低圧側側板の内周側から外周側に向かってスパイラル状に配置された複数枚のスパイラル板からなり、こ れらスパイラル板間には、互いに間隔が設けられていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項13記載の軸シール機構において、
前記第1の段形状部は、前記低圧側側板の半径方向に沿って前記ケーシングの位置まで形成されていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項18記載の軸シール機構において、
前記高圧側側板には、該高圧側側板を前記回転軸の軸線方向に貫く導圧孔が形成されていることを特徴とする軸シール機構。 - 請求項12記載の軸シール機構において、
前記隙間寸法調整手段は、前記低圧側側板に向かって突出するように前記薄板の側に設けられた第4の段形状部であることを特徴とする軸シール機構。 - 高温高圧のガスをケーシングに導き、該ケーシングの内部に回転可能に支持された回転軸の動翼に吹き付けることで前記ガスの熱エネルギーを機械的な回転エネルギーに変換して動力を発生するガスタービンにおいて、
請求項1〜20のいずれかに記載の軸シール機構を備えたことを特徴とするガスタービン。
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