JP3613285B2 - 粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物、それを用いる粉末成形方法及びその成形体 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物、それを用いる粉末成形法及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
自動車内装材、例えばインストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム等の表皮材として、可塑剤を含む塩化ビニルパウダー組成物の粉末成形体が使用されている。
しかしながら、該成形体は、軽量性に劣るのみならず廃車時の焼却処分により酸性物質を発生し、大気汚染、酸性雨等を惹起しクリーン性に劣るという塩化ビニル由来の欠点、更には自動車の窓ガラス内面に曇りを生ぜしめる等の可塑剤由来の欠点があり、満足し得るものではない。
【0003】
本発明者等は、かかる塩化ビニルパウダー組成物の欠点を改善すべく検討を加え、既に、粉末成形用のオレフィン系熱可塑性エラストマーパウダーを提案している(特願平3−199579号、特願平3−199589号) 。
その後、検討を続けたところ、熱可塑性エラストマーパウダーは粉砕直後には良好な粉体流動性を示すが、長時間放置中にパウダー同士が凝集して粉末成形に必要な粉体流動性を示さなくなるという問題が生じた。
【0004】
さらに、パウダーを加熱した金型に触れさせることによりパウダー同士を熱融着させ、熱融着しなかったパウダーは粉体供給ボックスに戻すという粉末スラッシュ成形法を実施した場合は、熱融着しなかったパウダーが繰り返し実施により、徐々に温められて粉体供給ボックス内で蓄熱し、次第にパウダー同士が凝集して粉体流動性が悪化する結果、長時間連続して実施するにつれて、欠肉及びピンホールを有する成形体が生産されるという問題が生じた。
【0005】
かかる状況下に、本発明者らは、熱可塑性エラストマーパウダーを用いる粉末成形について種々検討を重ねた結果、熱可塑性エラストマーパウダーと特定量の微細な熱可塑性樹脂粉体からなるパウダー組成物が長期間保存しても良好な粉体流動性を示すことを見出すとともに、該パウダー組成物を使用すれば、例えば粉末スラッシュ成形法で長時間連続実施しても欠肉、ピンホール等のない成形体が製造し得ることを見出し、さらに種々の検討を加えて本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記(A)の熱可塑性エラストマーパウダー100重量部に対して、平均粒子径30μm以下の微細な熱可塑性樹脂粉体であって、該熱可塑性樹脂はポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂である熱可塑性樹脂粉体を0.05〜20重量部含有することを特徴とする粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物それを用いる粉末成形方法及びその成形体を提供するものである。
(A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との組成物からなる熱可塑性エラストマーのパウダーまたはエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との部分架橋型組成物からなる熱可塑性エラストマーのパウダーであって、250℃における周波数1ラジアン/秒での複素動的粘度η*(1)が1.5×105ポイズ以下であり、かつ上記複素動的粘度η*(1)と周波数100ラジアン/秒での複素動的粘度η*(100)とを用いて次式で算出されるニュートン粘性指数nが0.39以下である熱可塑性エラストマーパウダー。
n={logη*(1)−logη*(100)}/2
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分としたゴムが挙げられる。非共役ジエンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等が挙げられる。
【0008】
α−オレフィン系共重合体ゴムのなかでは、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネンゴム(以下EPDMと称する)が好ましく、これを用いると、耐熱性、引張特性等に優れた成形体が得られる。
【0009】
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムのムーニー粘度(ASTM D−927−57Tに準じて100 ℃で測定したムーニー粘度(ML1+4 100 ℃))は、通常130 以上350 以下、好ましくは 200以上 300以下である。
また、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、これにパラフィン系プロセスオイル等の鉱物油系軟化剤を添加し、油展オレフィン系共重合体ゴムの形で使用することもできる。この場合には溶融流動性が向上するのみならず成形体の柔軟性が向上するので好ましい。鉱物油系軟化剤の添加量は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム 100重量部あたり、通常120 重量部以下、好ましくは30〜 120重量部である。
【0010】
また熱可塑性エラストマーを構成する他の成分であるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンの共重合体が好ましく用いられる。特に、プロピレンとブテンとの共重合体樹脂を用いることにより、成形体の硬度を下げることも可能である。
ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR、JIS K−7210に準拠し、230 ℃、2.16kg荷重で測定)が、20g /10分未満の場合は粉末成形時にパウダー同士が溶融付着し難くなり成形体の強度が低下するので、通常20g /10分以上のものが使用される。好ましくは50g /10分以上である。
【0011】
本発明における熱可塑性エラストマーは、上記のようなエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との組成物、または該組成物を動的架橋した部分架橋型組成物であるが、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系樹脂の比率は、重量比で通常5:95〜80:20であることが好ましい。
部分架橋型組成物を製造するに当たっては、架橋剤として有機過酸化物が通常用いられる。有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイドが好ましく用いられる。また、ビスマレイミド化合物などの架橋助剤の存在下、ごく少量の有機過酸化物を用いて動的架橋することが好ましく、この場合エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを適度に架橋し耐熱性を持たせると同時に、高流動性が得られる。 架橋剤は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との合計量100 重量部あたり、通常1.5 重量部以下、好ましくは0.6 重量部以下用いられ、有機過酸化物は、0.2 重量部以下、好ましくは0.1 重量部以下、より好ましくは0.07重量部以下用いられる。
【0012】
動的架橋は、一軸混練押出あるいは二軸混練押出等の連続混練押出することによる方法が好適である。二軸混練押出による場合は、剪断速度<103sec−1で押出架橋を行なうとエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの分散粒子径が大きくなり本発明の粘度条件を実現することが難しくなるので、剪断速度≧103sec−1で連続押出架橋を行なうことが好ましい。
本発明における熱可塑性エラストマーは、250 ℃、周波数1ラジアン/秒で測定した複素動的粘度η* (1) が1.5 ×105 ポイズ以下、好ましくは1.0 ×105 ポイズ以下である。
1.5 ×105 ポイズを超えると該エラストマーのパウダーは、金型面上で溶融流動しなくなり、加工時の剪断速度が1sec −1以下の非常に低い粉末成形法では成形ができなくなる。
【0013】
また、250℃、周波数1ラジアン/秒で測定した複素動的粘度η*(1)と周波数100ラジアン/秒での複素動的粘度η*(100)とを用いて次式で算出されるニュートン粘性指数nは0.39以下である。
n={logη * (1)−logη * (100)}/2
【0014】
本発明において、熱可塑性エラストマー組成物として部分架橋型組成物を用いる場合は、未架橋のエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムあるいはエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を、エラストマー100 重量部に対し50重量部以下ブレンドして使用し、成形体の柔軟性をより向上させることもできる。この場合のα−オレフィンは、プロピレン及びブテン等が単独または併用して用いられる。特にエチレン含有量が40〜90重量%、好ましくは70〜85重量%のエチレン−プロピレン共重合体ゴムでML1+4 100 ℃が50以下のものが好ましい。
本発明における熱可塑性エラストマーパウダーを含むパウダー組成物は、上記のような熱可塑性エラストマー組成物を、例えばガラス転移温度以下の低温で粉砕することにより製造される。その平均粒子径は通常100 μm〜300 μmである。
【0015】
本発明の熱可塑性エラストマーパウダー組成物は、上記のような熱可塑性エラストマーパウダーの他に特定量の微細な熱可塑性樹脂粉体を含有する点に特徴を有するものであるが、かかる微細な粉体としては、その平均粒子径が30μm以下、より好ましくは、0.01〜10μmのものが使用される。 ここで平均粒子径が30μmを超えると長期保存において良好な粉体流動性を維持し続けることができない。
【0016】
かかる微細な粉体は、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体等のポリプロピレン系樹脂又は高圧法ポリエチレン、低圧法ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル三元共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−メタクリレート三元共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、変成ポリオレフィン、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂の粉体である。これらは2種以上混合して用いることもできる。
【0017】
本発明における微細な熱可塑性樹脂粉体は、そのメルトフローレート(MFR、JIS K−7210に準拠し、190 ℃又は230 ℃、2.16kg荷重で測定)が、3g/10分以上であり、タイラー標準篩の32メッシュを全重量の95%が通過する粒径であることが好ましい。
また、微細な粉体の含量は、熱可塑性エラストマーパウダー100 重量部に対して、0.05〜20重量部であり、好ましくは0.1 〜10重量部であり、更に好ましくは0.1 〜4重量部である。含量が0.05重量部未満では、長期保存において良好な粉体流動性を維持し続け難く、20重量部を超えると粉体流動性が低下するのみならず粉体粒子間の熱融着強度の充分に大きな成形体が得られない場合もある。
熱可塑性エラストマーパウダーに微細な粉体を含有させる方法としては、微細な粉体が均一に分散する方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、加熱用ジャケットのついたブレンダーや高速回転型ミキサー等を使用してブレンドする方法等が挙げられる。中でも、スーパーミキサーのように剪断力を加えることにより粉体の互着を防止して均一に分散させる方法が好ましい。また、粉体同士が熱融着しない範囲で加熱しながら添加してもよい。
【0018】
また本発明のエラストマーパウダー組成物は、内部添加離型剤を含有することもできる。内部添加離型剤としては、メチルポリシロキサン化合物が好ましく、エラストマーパウダー組成物100 重量部あたり2重量部以下含有することが効果的である。この場合の添加時期は粉末化前後のいずれでもよい。この場合のメチルポリシロキサン化合物としては、25℃における粘度が20センチストークス以上であれば良いが、好ましくは50〜5000センチストークスである。粘度が大きくなりすぎると、離型剤としての効果が減少する。また、内部添加離型剤が2重量部より多くなると、エラストマーパウダー間の熱融着を阻害し、機械的物性に劣った成形体しか得られず、しかも、金型表面に内部添加離型剤がブリードし、金型が汚染され好ましくない。
【0019】
さらに本発明のエラストマーパウダー組成物は、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系またはアミド系安定剤のような安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属石けん、ワックス等の滑剤、アゾ系、フタロシアン系、スレン系、染色レーキ系等の有機顔料、酸化チタン等の酸化物系、クロモ酸モリブデン酸系、硫化物セレン化合物系、フェロシアン化物系、カーボンブラック等の無機顔料、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の充填剤なども必要量含有することができる。
かかるエラストマーパウダー組成物は、粉体流動性に優れるのみならず、低剪断速度かつ低圧力下、金型から供給される熱で容易に溶融し得るので、粉末成形法、例えば流動浸漬、静電塗装、粉末溶射、粉末回転成形、粉末スラッシュ成形等の成形方法用の組成物として優れており、なかでも粉末スラッシュ成形法(特開昭58−132507 号公報 )用の組成物として優れている。
粉末成形するに当たり、金型の加熱方式は、特に制限されるものではなく、例えば、ガス加熱炉方式、熱媒体油循環方式、熱媒体油または熱流動砂内への浸漬方式あるいは高周波誘導加熱方式等が挙げられる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のエラストマーパウダー組成物は、長期間保存しても優れた粉体流動性を示す。更に、該パウダー組成物を使用すれば、長時間連続で粉末成形しても均一な肉厚でしかもピンホール等のない成形体を製造し得るのみならず、軽量性、クリーン性にも優れた成形体を製造し得る。
また、本発明の成形体は、例えば家電用品、事務用品、いす、家具等の表皮材、特に自動車のインストルメントパネル表皮、コンソールボックス、アームレスト、ドアトリム等のカバーリング材料として使用し得る。
【0021】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における熱可塑性エラストマーパウダー組成物及びパウダーの動的粘弾性、粉体性状及び成形性は次の方法により行なった。
【0022】
熱可塑性エラストマー組成物の動的粘弾性
レオメトリックス社製ダイナミックアナライザーRDS−7700型を用い、振動周波数1ラジアン/秒及び 100ラジアン/秒での動的粘弾性を測定し、複素動的粘度η* (1) 及びη* (100)を算出した。
なお、測定は平行平板モードで行ない、印加歪みは5%、サンプル温度は250 ℃で測定した。
また、η* (1) とη* (100)の結果をもとに次式でニュートン粘性指数nを算出した。
n={logη* (1) −logη* (100)}/2
【0023】
パウダーの粉体流動性
25℃雰囲気下でエラストマーパウダー組成物を1ケ月放置した。そのエラストマーパウダー組成物100ml をJIS K−6721のかさ比重測定装置の漏斗に入れ、ダンパーを引き抜いてパウダーが落下し始めてから全パウダーが落下し終わるまでの時間(秒数)を測定した。 時間の短いほど粉体流動性のよいことを示す。
【0024】
パウダーの成形性(粉末成形性)
エラストマーパウダー組成物500 gを表面温度が 250℃に加熱された大きさ30cm×30cm、厚さ3mmのニッケル電鋳シボ板にふりかけ14秒間付着させた後、該エラストマーパウダー組成物の未溶着粉末を排出させ、パウダー溶着シボ板を雰囲気温度 280℃の加熱炉中で60秒間加熱溶融させた。金型上でのパウダーの融合状態及び金型を70℃に水冷後脱型して得られた成形シートの性状から次の判定基準で粉末成形性の評価を行なった。
◎:パウダー組成物が互いに十分融合し、得られた成形シートの引張強度は十分強い。
○:パウダー組成物が互いに十分融合し、得られた成形シートの引張強度は強い。
△:パウダー組成物が互いに融合するが、得られた成形シートの引張強度は低くもろい。
×:パウダー組成物が互いに融合せず、パウダー組成物のままで金型上に存在する。
◎と○は最終製品まで加工できるが、△と×は最終製品まで加工できない。
【0025】
参考例1
EPDM(ML1+4 100 ℃=242 、プロピレン含量=28重量%、ヨウ素価=12)100 重量部あたり鉱物油系軟化剤(出光興産製、登録商標ダイアナプロセスPW─380 )100 重量部を添加した油展EPDM(ML1+4 100 ℃=53)40重量部と、プロピレン─ブテンランダム共重合体樹脂(ブテン含量=24重量%、MFR=90g/10分)60重量部及び架橋助剤(住友化学製、登録商標スミファインBM─ビスマレイミド化合物)0.4 重量部をバンバリーミキサーを用いて10分間混練した後、押出機を用いてペレット状の架橋用のマスターバッチ(以下M.B.と称する)とした。
このM.B.100 重量部に対し、有機過酸化物(三建化工製、登録商標サンペロックスAPO、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシノ)ヘキサン)0.04重量部を添加し、2軸混練機(日本製鋼所製、登録商標TEX─44)を用いて 220℃で動的架橋を行ない、エラストマー組成物ペレットを得た。このペレットを液体窒素を用いて−100 ℃の温度に冷却後、冷凍粉砕を行ない複素動的粘度η* (1) が7×103 ポイズ、ニュートン粘性指数nが 0.39 である熱可塑性エラストマーパウダーを得た。
【0026】
実施例1
参考例1で得られた熱可塑性エラストマーパウダー100 重量部に、微細なポリプロピレン(三晶株式会社製 ランコワックス PP−1362−D、平均粒径 3.5μm)10重量部をスーパーミキサーを用いて25℃、500 rpmで10分間混練して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。
この組成物を用いて、粉体性状及び成形性の評価を行なった。評価結果を表1に示した。
【0027】
実施例2
実施例1において、ポリプロピレンを低密度ポリエチレン( MFR=75g/10分、平均粒径 3μm) 10 重量部に代えた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0028】
実施例3〜4
実施例2において、低密度ポリエチレンの使用量を1及び3重量部に代えた以外は、実施例2と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0029】
実施例5
実施例2において、低密度ポリエチレンとして、平均粒径 6μm のものを10重量部用いる以外は、実施例2と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0030】
実施例6
実施例2において、低密度ポリエチレンとして、平均粒径10μm のものを3重量部用いる以外は、実施例2と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0031】
実施例7
実施例1において、ポリプロピレンの代わりに架橋ポリスチレン(住友化学社製 ファインパール PB−3006E) 10重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0032】
実施例8
実施例1において、ポリプロピレンの代わりにペースト用塩化ビニル(住友化学社製PxQLT 平均粒径 1.2μm) 1.5重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0033】
実施例9
実施例1において、ポリプロピレンの代わりにペースト用塩化ビニル(住友化学社製 平均粒径 0.08 μm)1.5 重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0034】
比較例1
実施例1において、ポリプロピレンを用いない以外は、実施例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0035】
比較例2
実施例2において、低密度ポリエチレンを30重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0036】
比較例3
実施例1において、ポリプロピレンの代わりにアクリル架橋ビーズ(住友化学社製 スミペックス−B XC−01、平均粒径 35 μm) 10 重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0037】
比較例4
参考例1において、油展EPDMを70重量部用い、プロピレン─ブテンランダム共重合体樹脂をプロピレン─エチレンランダム共重合体樹脂(エチレン含量=3重量%、MFR=1.2 g/10分)30重量部に代える以外は参考例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダーを得た。
このものは、η* (1) が1.9 ×105 ポイズ、ニュートン粘性指数nが 0.69 であった。
次いで、これを用いて、実施例3と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 結果を表1に示した。
【0038】
【0039】
実施例10
実施例3で得られた熱可塑性エラストマーパウダー組成物を、図1〜図3に示すステンレス製の角型容器(粉末供給ボックス)に4kg投入した。この角型容器は 600mm×220mm の長方形の開口部1を有し、深さが 210mmであり、一軸回転装置3に取り付けたものである。一方、図1に示す粉末供給ボックスの開口部1と、同じ大きさの開口部4を有する、図4〜図6に示すニッケル電鋳金型を 300℃のガス炉中で予備加熱した。この金型は、厚さ3mmであり、内面がなわ目模様5及び皮しぼ模様6の施された複雑形状を有するものである。金型の表面温度が250℃になった時点で、直ちに加熱された金型をその開口部4(600mm ×220mm )が下向きになるように上記粉末供給ボックスの開口部1に合わせて置き、双方の開口部のまわりに取り付けられている外枠を密着させ、クリップ2で固定し一体化した。すぐに毎分30回転の速度で、時計方向に2回転及び毎分30回転の速度で逆時計方向に2回転した。その後、時計方向及び逆時計方向に1回づつ約120度の角度まで揺動し複雑形状部に付着した過剰の粉を払い落とした。
【0040】
金型の開口部4が下向きの状態で回転及び揺動操作を止め、粉末供給ボックスから金型を取り外し280 ℃の加熱炉中で1分間後加熱したのち、水冷し、成形皮膜を脱型した。
成形皮膜は、重量150 g、厚み0.9 〜1.1mm の欠肉のない、なわ目模様、皮しぼ模様が忠実に再現され、複雑形状の金型の細部まで十分に再現された肉厚の均一性に優れたピンホールのない製品が得られた。
【0041】
容器には、3.8kg の異物の混入のないエラストマーパウダー組成物が回収された。この回収エラストマーパウダー組成物に未使用のエラストマーパウダー組成物を追加して4kgとし、同様の操作で成形を実施したところ、外観及び肉厚均一性に優れた製品が同様に得られた。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末供給ボックスの平面図である。
【図2】粉末供給ボックスの立面図である。
【図3】粉末供給ボックスの側面図である。
【図4】金型の平面図である。
【図5】金型の立面図である。
【図6】金型の側面図である。
【符号の説明】
1・・・開口部 2・・・クリップ
3・・・一軸回転装置(ハンドル) 4・・・開口部
5・・・金型内なわ目模様部 6・・・金型内皮しぼ模様部
【産業上の利用分野】
本発明は、粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物、それを用いる粉末成形法及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
自動車内装材、例えばインストルメントパネル、コンソールボックス、アームレスト、ヘッドレスト、ドアトリム等の表皮材として、可塑剤を含む塩化ビニルパウダー組成物の粉末成形体が使用されている。
しかしながら、該成形体は、軽量性に劣るのみならず廃車時の焼却処分により酸性物質を発生し、大気汚染、酸性雨等を惹起しクリーン性に劣るという塩化ビニル由来の欠点、更には自動車の窓ガラス内面に曇りを生ぜしめる等の可塑剤由来の欠点があり、満足し得るものではない。
【0003】
本発明者等は、かかる塩化ビニルパウダー組成物の欠点を改善すべく検討を加え、既に、粉末成形用のオレフィン系熱可塑性エラストマーパウダーを提案している(特願平3−199579号、特願平3−199589号) 。
その後、検討を続けたところ、熱可塑性エラストマーパウダーは粉砕直後には良好な粉体流動性を示すが、長時間放置中にパウダー同士が凝集して粉末成形に必要な粉体流動性を示さなくなるという問題が生じた。
【0004】
さらに、パウダーを加熱した金型に触れさせることによりパウダー同士を熱融着させ、熱融着しなかったパウダーは粉体供給ボックスに戻すという粉末スラッシュ成形法を実施した場合は、熱融着しなかったパウダーが繰り返し実施により、徐々に温められて粉体供給ボックス内で蓄熱し、次第にパウダー同士が凝集して粉体流動性が悪化する結果、長時間連続して実施するにつれて、欠肉及びピンホールを有する成形体が生産されるという問題が生じた。
【0005】
かかる状況下に、本発明者らは、熱可塑性エラストマーパウダーを用いる粉末成形について種々検討を重ねた結果、熱可塑性エラストマーパウダーと特定量の微細な熱可塑性樹脂粉体からなるパウダー組成物が長期間保存しても良好な粉体流動性を示すことを見出すとともに、該パウダー組成物を使用すれば、例えば粉末スラッシュ成形法で長時間連続実施しても欠肉、ピンホール等のない成形体が製造し得ることを見出し、さらに種々の検討を加えて本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下記(A)の熱可塑性エラストマーパウダー100重量部に対して、平均粒子径30μm以下の微細な熱可塑性樹脂粉体であって、該熱可塑性樹脂はポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂である熱可塑性樹脂粉体を0.05〜20重量部含有することを特徴とする粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物それを用いる粉末成形方法及びその成形体を提供するものである。
(A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との組成物からなる熱可塑性エラストマーのパウダーまたはエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との部分架橋型組成物からなる熱可塑性エラストマーのパウダーであって、250℃における周波数1ラジアン/秒での複素動的粘度η*(1)が1.5×105ポイズ以下であり、かつ上記複素動的粘度η*(1)と周波数100ラジアン/秒での複素動的粘度η*(100)とを用いて次式で算出されるニュートン粘性指数nが0.39以下である熱可塑性エラストマーパウダー。
n={logη*(1)−logη*(100)}/2
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分としたゴムが挙げられる。非共役ジエンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等が挙げられる。
【0008】
α−オレフィン系共重合体ゴムのなかでは、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネンゴム(以下EPDMと称する)が好ましく、これを用いると、耐熱性、引張特性等に優れた成形体が得られる。
【0009】
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムのムーニー粘度(ASTM D−927−57Tに準じて100 ℃で測定したムーニー粘度(ML1+4 100 ℃))は、通常130 以上350 以下、好ましくは 200以上 300以下である。
また、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、これにパラフィン系プロセスオイル等の鉱物油系軟化剤を添加し、油展オレフィン系共重合体ゴムの形で使用することもできる。この場合には溶融流動性が向上するのみならず成形体の柔軟性が向上するので好ましい。鉱物油系軟化剤の添加量は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム 100重量部あたり、通常120 重量部以下、好ましくは30〜 120重量部である。
【0010】
また熱可塑性エラストマーを構成する他の成分であるポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、プロピレンとエチレンの共重合体、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンの共重合体が好ましく用いられる。特に、プロピレンとブテンとの共重合体樹脂を用いることにより、成形体の硬度を下げることも可能である。
ポリオレフィン系樹脂は、メルトフローレート(MFR、JIS K−7210に準拠し、230 ℃、2.16kg荷重で測定)が、20g /10分未満の場合は粉末成形時にパウダー同士が溶融付着し難くなり成形体の強度が低下するので、通常20g /10分以上のものが使用される。好ましくは50g /10分以上である。
【0011】
本発明における熱可塑性エラストマーは、上記のようなエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との組成物、または該組成物を動的架橋した部分架橋型組成物であるが、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとオレフィン系樹脂の比率は、重量比で通常5:95〜80:20であることが好ましい。
部分架橋型組成物を製造するに当たっては、架橋剤として有機過酸化物が通常用いられる。有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイドが好ましく用いられる。また、ビスマレイミド化合物などの架橋助剤の存在下、ごく少量の有機過酸化物を用いて動的架橋することが好ましく、この場合エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを適度に架橋し耐熱性を持たせると同時に、高流動性が得られる。 架橋剤は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との合計量100 重量部あたり、通常1.5 重量部以下、好ましくは0.6 重量部以下用いられ、有機過酸化物は、0.2 重量部以下、好ましくは0.1 重量部以下、より好ましくは0.07重量部以下用いられる。
【0012】
動的架橋は、一軸混練押出あるいは二軸混練押出等の連続混練押出することによる方法が好適である。二軸混練押出による場合は、剪断速度<103sec−1で押出架橋を行なうとエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの分散粒子径が大きくなり本発明の粘度条件を実現することが難しくなるので、剪断速度≧103sec−1で連続押出架橋を行なうことが好ましい。
本発明における熱可塑性エラストマーは、250 ℃、周波数1ラジアン/秒で測定した複素動的粘度η* (1) が1.5 ×105 ポイズ以下、好ましくは1.0 ×105 ポイズ以下である。
1.5 ×105 ポイズを超えると該エラストマーのパウダーは、金型面上で溶融流動しなくなり、加工時の剪断速度が1sec −1以下の非常に低い粉末成形法では成形ができなくなる。
【0013】
また、250℃、周波数1ラジアン/秒で測定した複素動的粘度η*(1)と周波数100ラジアン/秒での複素動的粘度η*(100)とを用いて次式で算出されるニュートン粘性指数nは0.39以下である。
n={logη * (1)−logη * (100)}/2
【0014】
本発明において、熱可塑性エラストマー組成物として部分架橋型組成物を用いる場合は、未架橋のエチレン−α−オレフィン共重合体ゴムあるいはエチレン−α−オレフィン共重合体樹脂を、エラストマー100 重量部に対し50重量部以下ブレンドして使用し、成形体の柔軟性をより向上させることもできる。この場合のα−オレフィンは、プロピレン及びブテン等が単独または併用して用いられる。特にエチレン含有量が40〜90重量%、好ましくは70〜85重量%のエチレン−プロピレン共重合体ゴムでML1+4 100 ℃が50以下のものが好ましい。
本発明における熱可塑性エラストマーパウダーを含むパウダー組成物は、上記のような熱可塑性エラストマー組成物を、例えばガラス転移温度以下の低温で粉砕することにより製造される。その平均粒子径は通常100 μm〜300 μmである。
【0015】
本発明の熱可塑性エラストマーパウダー組成物は、上記のような熱可塑性エラストマーパウダーの他に特定量の微細な熱可塑性樹脂粉体を含有する点に特徴を有するものであるが、かかる微細な粉体としては、その平均粒子径が30μm以下、より好ましくは、0.01〜10μmのものが使用される。 ここで平均粒子径が30μmを超えると長期保存において良好な粉体流動性を維持し続けることができない。
【0016】
かかる微細な粉体は、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体等のポリプロピレン系樹脂又は高圧法ポリエチレン、低圧法ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル三元共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−メタクリレート三元共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、変成ポリオレフィン、塩素化ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂の粉体である。これらは2種以上混合して用いることもできる。
【0017】
本発明における微細な熱可塑性樹脂粉体は、そのメルトフローレート(MFR、JIS K−7210に準拠し、190 ℃又は230 ℃、2.16kg荷重で測定)が、3g/10分以上であり、タイラー標準篩の32メッシュを全重量の95%が通過する粒径であることが好ましい。
また、微細な粉体の含量は、熱可塑性エラストマーパウダー100 重量部に対して、0.05〜20重量部であり、好ましくは0.1 〜10重量部であり、更に好ましくは0.1 〜4重量部である。含量が0.05重量部未満では、長期保存において良好な粉体流動性を維持し続け難く、20重量部を超えると粉体流動性が低下するのみならず粉体粒子間の熱融着強度の充分に大きな成形体が得られない場合もある。
熱可塑性エラストマーパウダーに微細な粉体を含有させる方法としては、微細な粉体が均一に分散する方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、加熱用ジャケットのついたブレンダーや高速回転型ミキサー等を使用してブレンドする方法等が挙げられる。中でも、スーパーミキサーのように剪断力を加えることにより粉体の互着を防止して均一に分散させる方法が好ましい。また、粉体同士が熱融着しない範囲で加熱しながら添加してもよい。
【0018】
また本発明のエラストマーパウダー組成物は、内部添加離型剤を含有することもできる。内部添加離型剤としては、メチルポリシロキサン化合物が好ましく、エラストマーパウダー組成物100 重量部あたり2重量部以下含有することが効果的である。この場合の添加時期は粉末化前後のいずれでもよい。この場合のメチルポリシロキサン化合物としては、25℃における粘度が20センチストークス以上であれば良いが、好ましくは50〜5000センチストークスである。粘度が大きくなりすぎると、離型剤としての効果が減少する。また、内部添加離型剤が2重量部より多くなると、エラストマーパウダー間の熱融着を阻害し、機械的物性に劣った成形体しか得られず、しかも、金型表面に内部添加離型剤がブリードし、金型が汚染され好ましくない。
【0019】
さらに本発明のエラストマーパウダー組成物は、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フォスファイト系、アミン系またはアミド系安定剤のような安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属石けん、ワックス等の滑剤、アゾ系、フタロシアン系、スレン系、染色レーキ系等の有機顔料、酸化チタン等の酸化物系、クロモ酸モリブデン酸系、硫化物セレン化合物系、フェロシアン化物系、カーボンブラック等の無機顔料、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の充填剤なども必要量含有することができる。
かかるエラストマーパウダー組成物は、粉体流動性に優れるのみならず、低剪断速度かつ低圧力下、金型から供給される熱で容易に溶融し得るので、粉末成形法、例えば流動浸漬、静電塗装、粉末溶射、粉末回転成形、粉末スラッシュ成形等の成形方法用の組成物として優れており、なかでも粉末スラッシュ成形法(特開昭58−132507 号公報 )用の組成物として優れている。
粉末成形するに当たり、金型の加熱方式は、特に制限されるものではなく、例えば、ガス加熱炉方式、熱媒体油循環方式、熱媒体油または熱流動砂内への浸漬方式あるいは高周波誘導加熱方式等が挙げられる。
【0020】
【発明の効果】
本発明のエラストマーパウダー組成物は、長期間保存しても優れた粉体流動性を示す。更に、該パウダー組成物を使用すれば、長時間連続で粉末成形しても均一な肉厚でしかもピンホール等のない成形体を製造し得るのみならず、軽量性、クリーン性にも優れた成形体を製造し得る。
また、本発明の成形体は、例えば家電用品、事務用品、いす、家具等の表皮材、特に自動車のインストルメントパネル表皮、コンソールボックス、アームレスト、ドアトリム等のカバーリング材料として使用し得る。
【0021】
【実施例】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における熱可塑性エラストマーパウダー組成物及びパウダーの動的粘弾性、粉体性状及び成形性は次の方法により行なった。
【0022】
熱可塑性エラストマー組成物の動的粘弾性
レオメトリックス社製ダイナミックアナライザーRDS−7700型を用い、振動周波数1ラジアン/秒及び 100ラジアン/秒での動的粘弾性を測定し、複素動的粘度η* (1) 及びη* (100)を算出した。
なお、測定は平行平板モードで行ない、印加歪みは5%、サンプル温度は250 ℃で測定した。
また、η* (1) とη* (100)の結果をもとに次式でニュートン粘性指数nを算出した。
n={logη* (1) −logη* (100)}/2
【0023】
パウダーの粉体流動性
25℃雰囲気下でエラストマーパウダー組成物を1ケ月放置した。そのエラストマーパウダー組成物100ml をJIS K−6721のかさ比重測定装置の漏斗に入れ、ダンパーを引き抜いてパウダーが落下し始めてから全パウダーが落下し終わるまでの時間(秒数)を測定した。 時間の短いほど粉体流動性のよいことを示す。
【0024】
パウダーの成形性(粉末成形性)
エラストマーパウダー組成物500 gを表面温度が 250℃に加熱された大きさ30cm×30cm、厚さ3mmのニッケル電鋳シボ板にふりかけ14秒間付着させた後、該エラストマーパウダー組成物の未溶着粉末を排出させ、パウダー溶着シボ板を雰囲気温度 280℃の加熱炉中で60秒間加熱溶融させた。金型上でのパウダーの融合状態及び金型を70℃に水冷後脱型して得られた成形シートの性状から次の判定基準で粉末成形性の評価を行なった。
◎:パウダー組成物が互いに十分融合し、得られた成形シートの引張強度は十分強い。
○:パウダー組成物が互いに十分融合し、得られた成形シートの引張強度は強い。
△:パウダー組成物が互いに融合するが、得られた成形シートの引張強度は低くもろい。
×:パウダー組成物が互いに融合せず、パウダー組成物のままで金型上に存在する。
◎と○は最終製品まで加工できるが、△と×は最終製品まで加工できない。
【0025】
参考例1
EPDM(ML1+4 100 ℃=242 、プロピレン含量=28重量%、ヨウ素価=12)100 重量部あたり鉱物油系軟化剤(出光興産製、登録商標ダイアナプロセスPW─380 )100 重量部を添加した油展EPDM(ML1+4 100 ℃=53)40重量部と、プロピレン─ブテンランダム共重合体樹脂(ブテン含量=24重量%、MFR=90g/10分)60重量部及び架橋助剤(住友化学製、登録商標スミファインBM─ビスマレイミド化合物)0.4 重量部をバンバリーミキサーを用いて10分間混練した後、押出機を用いてペレット状の架橋用のマスターバッチ(以下M.B.と称する)とした。
このM.B.100 重量部に対し、有機過酸化物(三建化工製、登録商標サンペロックスAPO、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシノ)ヘキサン)0.04重量部を添加し、2軸混練機(日本製鋼所製、登録商標TEX─44)を用いて 220℃で動的架橋を行ない、エラストマー組成物ペレットを得た。このペレットを液体窒素を用いて−100 ℃の温度に冷却後、冷凍粉砕を行ない複素動的粘度η* (1) が7×103 ポイズ、ニュートン粘性指数nが 0.39 である熱可塑性エラストマーパウダーを得た。
【0026】
実施例1
参考例1で得られた熱可塑性エラストマーパウダー100 重量部に、微細なポリプロピレン(三晶株式会社製 ランコワックス PP−1362−D、平均粒径 3.5μm)10重量部をスーパーミキサーを用いて25℃、500 rpmで10分間混練して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。
この組成物を用いて、粉体性状及び成形性の評価を行なった。評価結果を表1に示した。
【0027】
実施例2
実施例1において、ポリプロピレンを低密度ポリエチレン( MFR=75g/10分、平均粒径 3μm) 10 重量部に代えた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0028】
実施例3〜4
実施例2において、低密度ポリエチレンの使用量を1及び3重量部に代えた以外は、実施例2と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0029】
実施例5
実施例2において、低密度ポリエチレンとして、平均粒径 6μm のものを10重量部用いる以外は、実施例2と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0030】
実施例6
実施例2において、低密度ポリエチレンとして、平均粒径10μm のものを3重量部用いる以外は、実施例2と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0031】
実施例7
実施例1において、ポリプロピレンの代わりに架橋ポリスチレン(住友化学社製 ファインパール PB−3006E) 10重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0032】
実施例8
実施例1において、ポリプロピレンの代わりにペースト用塩化ビニル(住友化学社製PxQLT 平均粒径 1.2μm) 1.5重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0033】
実施例9
実施例1において、ポリプロピレンの代わりにペースト用塩化ビニル(住友化学社製 平均粒径 0.08 μm)1.5 重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0034】
比較例1
実施例1において、ポリプロピレンを用いない以外は、実施例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 評価結果を表1に示した。
【0035】
比較例2
実施例2において、低密度ポリエチレンを30重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0036】
比較例3
実施例1において、ポリプロピレンの代わりにアクリル架橋ビーズ(住友化学社製 スミペックス−B XC−01、平均粒径 35 μm) 10 重量部用いた以外は、実施例1と同様に実施して粉末成形用の熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。評価結果を表1に示した。
【0037】
比較例4
参考例1において、油展EPDMを70重量部用い、プロピレン─ブテンランダム共重合体樹脂をプロピレン─エチレンランダム共重合体樹脂(エチレン含量=3重量%、MFR=1.2 g/10分)30重量部に代える以外は参考例1と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダーを得た。
このものは、η* (1) が1.9 ×105 ポイズ、ニュートン粘性指数nが 0.69 であった。
次いで、これを用いて、実施例3と同様に実施して熱可塑性エラストマーパウダー組成物を得た。 結果を表1に示した。
【0038】
【0039】
実施例10
実施例3で得られた熱可塑性エラストマーパウダー組成物を、図1〜図3に示すステンレス製の角型容器(粉末供給ボックス)に4kg投入した。この角型容器は 600mm×220mm の長方形の開口部1を有し、深さが 210mmであり、一軸回転装置3に取り付けたものである。一方、図1に示す粉末供給ボックスの開口部1と、同じ大きさの開口部4を有する、図4〜図6に示すニッケル電鋳金型を 300℃のガス炉中で予備加熱した。この金型は、厚さ3mmであり、内面がなわ目模様5及び皮しぼ模様6の施された複雑形状を有するものである。金型の表面温度が250℃になった時点で、直ちに加熱された金型をその開口部4(600mm ×220mm )が下向きになるように上記粉末供給ボックスの開口部1に合わせて置き、双方の開口部のまわりに取り付けられている外枠を密着させ、クリップ2で固定し一体化した。すぐに毎分30回転の速度で、時計方向に2回転及び毎分30回転の速度で逆時計方向に2回転した。その後、時計方向及び逆時計方向に1回づつ約120度の角度まで揺動し複雑形状部に付着した過剰の粉を払い落とした。
【0040】
金型の開口部4が下向きの状態で回転及び揺動操作を止め、粉末供給ボックスから金型を取り外し280 ℃の加熱炉中で1分間後加熱したのち、水冷し、成形皮膜を脱型した。
成形皮膜は、重量150 g、厚み0.9 〜1.1mm の欠肉のない、なわ目模様、皮しぼ模様が忠実に再現され、複雑形状の金型の細部まで十分に再現された肉厚の均一性に優れたピンホールのない製品が得られた。
【0041】
容器には、3.8kg の異物の混入のないエラストマーパウダー組成物が回収された。この回収エラストマーパウダー組成物に未使用のエラストマーパウダー組成物を追加して4kgとし、同様の操作で成形を実施したところ、外観及び肉厚均一性に優れた製品が同様に得られた。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】粉末供給ボックスの平面図である。
【図2】粉末供給ボックスの立面図である。
【図3】粉末供給ボックスの側面図である。
【図4】金型の平面図である。
【図5】金型の立面図である。
【図6】金型の側面図である。
【符号の説明】
1・・・開口部 2・・・クリップ
3・・・一軸回転装置(ハンドル) 4・・・開口部
5・・・金型内なわ目模様部 6・・・金型内皮しぼ模様部
Claims (3)
- 下記(A)の熱可塑性エラストマーパウダー100重量部に対して、平均粒子径30μm以下の微細な熱可塑性樹脂粉体であって、該熱可塑性樹脂はポリプロピレン系樹脂又はポリエチレン系樹脂である熱可塑性樹脂粉体を0.05〜20重量部含有することを特徴とする粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物。
(A)エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との組成物からなる熱可塑性エラストマーのパウダーまたはエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとポリオレフィン系樹脂との部分架橋型組成物からなる熱可塑性エラストマーのパウダーであって、250℃における周波数1ラジアン/秒での複素動的粘度η*(1)が1.5×105ポイズ以下であり、かつ上記複素動的粘度η*(1)と周波数100ラジアン/秒での複素動的粘度η*(100)とを用いて次式で算出されるニュートン粘性指数nが0.39以下である熱可塑性エラストマーパウダー。
n={logη*(1)−logη*(100)}/2 - 請求項1記載の粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物を用いることを特徴とする粉末成形法。
- 請求項1記載の粉末成形用熱可塑性エラストマーパウダー組成物を用いて製造してなる成形体。
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