JP3609585B2 - カラー陰極線管 - Google Patents
カラー陰極線管 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3609585B2 JP3609585B2 JP17419297A JP17419297A JP3609585B2 JP 3609585 B2 JP3609585 B2 JP 3609585B2 JP 17419297 A JP17419297 A JP 17419297A JP 17419297 A JP17419297 A JP 17419297A JP 3609585 B2 JP3609585 B2 JP 3609585B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- neck
- electrode
- wall
- high resistance
- film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
- 239000004020 conductor Substances 0.000 claims description 16
- 239000011248 coating agent Substances 0.000 claims description 12
- 238000000576 coating method Methods 0.000 claims description 12
- 239000011148 porous material Substances 0.000 claims description 5
- 239000000126 substance Substances 0.000 claims description 4
- 239000007788 liquid Substances 0.000 claims description 3
- 239000000463 material Substances 0.000 claims 2
- 239000011368 organic material Substances 0.000 claims 2
- 239000000975 dye Substances 0.000 description 16
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 11
- 239000011521 glass Substances 0.000 description 7
- 239000011810 insulating material Substances 0.000 description 7
- OAICVXFJPJFONN-UHFFFAOYSA-N Phosphorus Chemical compound [P] OAICVXFJPJFONN-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 5
- 238000010894 electron beam technology Methods 0.000 description 5
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 4
- 230000035515 penetration Effects 0.000 description 4
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 3
- 238000010304 firing Methods 0.000 description 3
- XOLBLPGZBRYERU-UHFFFAOYSA-N tin dioxide Chemical compound O=[Sn]=O XOLBLPGZBRYERU-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 3
- 229910001887 tin oxide Inorganic materials 0.000 description 3
- VYPSYNLAJGMNEJ-UHFFFAOYSA-N Silicium dioxide Chemical compound O=[Si]=O VYPSYNLAJGMNEJ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 2
- 230000001133 acceleration Effects 0.000 description 2
- 239000012212 insulator Substances 0.000 description 2
- 229910052814 silicon oxide Inorganic materials 0.000 description 2
- 125000006850 spacer group Chemical group 0.000 description 2
- 235000000177 Indigofera tinctoria Nutrition 0.000 description 1
- 229910000410 antimony oxide Inorganic materials 0.000 description 1
- IQFVPQOLBLOTPF-HKXUKFGYSA-L congo red Chemical compound [Na+].[Na+].C1=CC=CC2=C(N)C(/N=N/C3=CC=C(C=C3)C3=CC=C(C=C3)/N=N/C3=C(C4=CC=CC=C4C(=C3)S([O-])(=O)=O)N)=CC(S([O-])(=O)=O)=C21 IQFVPQOLBLOTPF-HKXUKFGYSA-L 0.000 description 1
- 230000008020 evaporation Effects 0.000 description 1
- 238000001704 evaporation Methods 0.000 description 1
- 239000004744 fabric Substances 0.000 description 1
- 229940097275 indigo Drugs 0.000 description 1
- COHYTHOBJLSHDF-UHFFFAOYSA-N indigo powder Natural products N1C2=CC=CC=C2C(=O)C1=C1C(=O)C2=CC=CC=C2N1 COHYTHOBJLSHDF-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 229910003437 indium oxide Inorganic materials 0.000 description 1
- PJXISJQVUVHSOJ-UHFFFAOYSA-N indium(iii) oxide Chemical compound [O-2].[O-2].[O-2].[In+3].[In+3] PJXISJQVUVHSOJ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 230000010354 integration Effects 0.000 description 1
- 229910052751 metal Inorganic materials 0.000 description 1
- 239000002184 metal Substances 0.000 description 1
- 238000000034 method Methods 0.000 description 1
- 239000000203 mixture Substances 0.000 description 1
- VTRUBDSFZJNXHI-UHFFFAOYSA-N oxoantimony Chemical compound [Sb]=O VTRUBDSFZJNXHI-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 239000012466 permeate Substances 0.000 description 1
- 239000000049 pigment Substances 0.000 description 1
- 230000006641 stabilisation Effects 0.000 description 1
- 238000011105 stabilization Methods 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01J—ELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
- H01J29/00—Details of cathode-ray tubes or of electron-beam tubes of the types covered by group H01J31/00
- H01J29/86—Vessels; Containers; Vacuum locks
- H01J29/88—Vessels; Containers; Vacuum locks provided with coatings on the walls thereof; Selection of materials for the coatings
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01J—ELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
- H01J2229/00—Details of cathode ray tubes or electron beam tubes
- H01J2229/88—Coatings
- H01J2229/882—Coatings having particular electrical resistive or conductive properties
Landscapes
- Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー陰極線管に係り、特に陰極線管のネック内壁電位の安定化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラー陰極線管は、パネル、ファンネル及びネックからなる外囲器と、前記ファンネル内壁からネック内壁にかけて被着形成された内部導電膜と、前記ネック内部に配置され、ネック内の端部に設けられた陰極及び該陰極側から順に配列された複数のグリッドを有する電子銃とを具備する。
【0003】
この電子銃としては、3つ電子銃が一列配置されたいわゆるインライン方式の電子銃が主流である。
この電子銃は、一般的に、陰極、第一電極、第二電極からなるトライオード部と呼ばれるビーム発生部とこの電子ビームを画像上に集束するための主レンズ部により構成されている。これらの各電極は、ある所定の間隔(電極間GAP)をもって配置され、この電子銃は受像管後部の例えば直径20〜40mm程度の円筒状のネック部に封入されている。
【0004】
トライオード部の電極のうち、陰極には、ネック最後部にある管内と管外の導通をとるステムピンを介して百数十ボルトの電圧が、また第一電極には0ボルト、第二電極には数百ボルトの電圧が外部から供給される。
【0005】
陰極から発生した電子ビームは、第一電極、第二電極のビーム透過孔を通って主レンズへと導かれ、最終的に主レンズによって画面上に集束される。
主レンズは、少なくとも2つ以上の電極によって構成される。その1つはネック内面に塗布された内部導電膜を介して陽極高圧に接続される最終加速電極である。また、少なくとも、もう1つの電極は、陽極高圧の20〜40%程度の電圧が前記ステムピンより供給・印加される集束電極である。
【0006】
最終加速電極と集束電極は、それぞれのビーム透過孔が1mm前後の間隔を置いて対向しているのが一般的である。この対向する各ビーム透過孔に対し、前述のそれぞれの電圧を与えることにより、主レンズを形成してビームを画面上に集束する。
【0007】
尚、これらの各電極は、ガラス等の絶縁支持体によって固定・支持されている。
前記絶縁支持体は各電極に設けられた植設部(ストラップ)を埋め込むことにより、各電極を固定・支持している。このストラップは3電子銃の中央の電子銃(センターガン)上に設けられているのが一般的である。
【0008】
このような電子銃を持つカラー陰極線管では、ネック内面に塗布された内部導電膜によって、内部導電膜の塗られていないネック内面部も、内部導電膜の陽極高圧によって徐々にチャージアップされ、数10分〜数時間の単位で、ある電位で安定する。
【0009】
しかしながら、陰極から電子ビームが放出されると、各電極ビーム透過孔を通らずに、電極間ギャップ等から漏れた散乱電子が、ネック内面部に衝突し、ネック内面から2次電子を放出してネック電位を変動させるという問題がある。
【0010】
また、電子銃を構成する各電極間ギャップからネック電位が浸透し、ネック電位の変動によって電子ビームの軌道が変化してしまうという問題がある。
このネック電位の浸透は、当然、ネック内面全面から浸透してくるが、センターガンは、ネックのほぼ中央に位置しており、ネック電位によるクーロン力はほぼ平衡しているため、センタービームはほとんど軌道変化を受けない。また、サイドガンの3つの電子銃配列方向と直角方向(以下、垂直方向という)も、同様の理由で、垂直方向のみに着目すれば、ネック内面は対称に位置しているので、サイドビームの垂直方向の軌道変化はほとんどない。
【0011】
このネック電位の浸透によるビーム軌道の変化で実質的に問題となるのはネック内面に対して非対称の位置関係にあるサイドビームの水平方向のビーム軌道変化であり、この変化によりいわゆるコンバージェンスドリフトが発生し、色ズレがおこる。
【0012】
また、通常、電極間ギャップが最も広く、内部導電膜にも近い主レンズ部でのネック電位浸透によるビーム軌道変化がもっとも大きい。
この、ネック電位によるコンバージェンスドリフトを解決する手段の1つとして、電極間ギャップを小さくし、ネック電位が浸透しにくくすることが考えられる。しかしながら、電極間の耐電圧特性を考えると、電極間ギャップをあまり小さくすることができず、有効な手段とは言えない。
【0013】
また、他の手段として、電子銃を構成する電極の外径を大きくし、電極間ギャップからネック電位が浸透しにくくするということが考えられる。しかしながら、電極を支持する絶縁支持体及びネック内径には制約があり、単純に大きくするには限界があるため、十分な効果を得ることができない。
【0014】
さらに他の手段として、ネック内面に、内部導電膜と接続した高抵抗膜すなわち基体となる絶縁物の膜中に導電物質が分散している状態を有する膜を形成し、ネック電位を安定させるという技術が特開平5−205660で提案されている。しかしながら、この場合の高抵抗膜の抵抗値は、耐電圧特性を考慮すると、極めて高くする必要があり、例えば1010〜1014Ωぐらいの抵抗が望まれる。抵抗値を高くするためには、高抵抗膜中の絶縁物の量を増やす必要がある。しかしながら、高抵抗膜中の絶縁物の量を増やすと、前記散乱電子による2次電子放出が発生しやすくなり、コンバージェンスドリフトを完全に解決する事はできない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように従来のカラー陰極線管では、ネック内面電位のチャージアップによってサイドガンのビーム軌道が変化し、コンバージェンスドリフトが発生するという問題があった。
【0016】
また、コンバージェンスドリフトを防止するために、主レンズ部のギャップを小さくしたり、電極のパーツ外径を大きくしようとしても、十分な耐電圧特性の維持、及び電極を支持する絶縁支持体等の機械的制約を考慮すると、十分な効果を得るような設計変更を行なうことは困難であった。
【0017】
さらにネック内面に高抵抗膜を形成してネック電位を安定させるためには、高抵抗膜の抵抗値を上げる必要があり、散乱電子によるコンバージェンスドリフトが残るという問題があった。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ネック内壁電位のチャージアップおよび散乱電子のネック内壁衝突によるコンバージェンスドリフトのきわめて少ないカラー陰極線管を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パネル、ファンネル及びネックからなる外囲器と、前記ファンネル内壁からネック内壁の一部にかけて被着形成された内部導電膜と、前記ネック内部に配置され、ネック内の端部に設けられた陰極、及び電子レンズを形成し得る間隔をおいて該陰極側から順に配列された複数のグリッドを有するインライン型電子銃とを具備するカラー陰極線管において、
前記ネック内壁に、前記内部導電膜よりも電気抵抗の高い高抵抗膜が、前記内部導電膜と接触する位置から、少なくとも、前記陰極から一番遠いグリッドと二番目に遠いグリッドとの間の空間を取り囲む内壁の少なくとも一部に亘って設けられ、前記高抵抗膜は、複数の空孔を含む多孔質であり、管軸方向両端間の抵抗値が1010〜1014Ωであることを特徴とするカラー陰極線管を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、複数の空孔を含み、1010〜1014Ωの抵抗値を有する高抵抗膜が、電子銃の主レンズ部の少なくとも一部を覆うように、ファンネル内壁からネック内壁の一部にかけて被着形成された内部導電膜のネック内壁側の位置から、少なくとも、陰極から一番遠いグリッドと二番目に遠いグリッドとの間の空間を取り囲む内壁の少なくとも一部に亘って設けられる。
【0021】
複数の空孔を含み、1010〜1014Ωの抵抗値を有する高抵抗膜を用いると、ネック内壁に形成された高抵抗膜中の導電物質相互間の距離を長くすることができ、高抵抗膜の抵抗値を所定の値まで上げることができ、かつ高抵抗膜中の絶縁物質と導電物質の比率は変えなくて済む。
【0022】
また、この高抵抗膜を用いると、少なくとも電子銃の主レンズ部を覆うように、ファンネル内壁からネック内壁の一部にかけて被着形成された内部導電膜のネック内壁側の位置から、少なくとも、陰極から一番遠いグリッドと二番目に遠いグリッドとの間の空間を取り囲む内壁の少なくとも一部に亘って設けることにより、少なくともビーム軌道変化がもっとも大きい主レンズ部でのネック電位浸透によるビーム軌道変化を防ぐことができるので、コンバージェンスドリフトを効果的に防止し得る。。
【0023】
従って、高抵抗膜中の絶縁物質の量を増やすことなく抵抗値を上げることができ、また、散乱電子がネック内壁に衝突しても、電子は微細な空孔を通って高抵抗膜中の導電物質に到達しやすくなるため、2次電子の放出される確率が極めて小さくなり、ネック電位変動もなく、コンバージェンスドリフトを大幅に改善することができる。
【0024】
【実施例】
以下、図面を参照し、本発明のカラー陰極線管について説明する。
本発明にかかるカラー陰極線管の一例を表す概略図を図1に示す。図1に示すように、一般的なカラー陰極線管20は、パネル1、ファンネル2、ネック3から成る外囲器を有する。この外囲器内のパネル1内面には、ストライプ状またはドット状に被着形成した赤、緑、青にそれぞれ発光する蛍光体層及びメタルバック層から成る蛍光面4が被着される。また、蛍光面4には、シャドウマスク5が蛍光面に所定間隔をもって対設されている。さらに、ファンネル2からネック3にかけての内面にはファンネル2に設けられた陽極端子6に導通する内部導電膜7が被着形成され、ゲッター12及びゲッター支持体11が設けられている。
【0025】
また、ネック3内には電子銃8が内装され、この電子銃8のコンバーゼンス電極9にはバルブスペーサ10が内部導電膜7に接触導通するように設けられている。さらに、ファンネル2の外壁には外部導電膜13が形成されている。
【0026】
ネック3の内壁には、内部導電膜7よりも電気抵抗の高い高抵抗膜114が、内部導電膜7と接触するように設けられている。
高抵抗膜114は、複数の空孔を有し、1010〜1014Ωの抵抗値を有し、かつファンネル内壁からネック内壁の一部にかけて被着形成された内部導電膜のネック内壁側の位置から、少なくとも、陰極から一番遠いグリッドと二番目に遠いグリッドとの間の空間を取り囲む内壁に亘って設けられている。
【0027】
図2に、ネック3を拡大した図を示す。
図示するように、ネック3の端部領域には、3つの陰極 KR,図示しないKG,KBが設けられ、各々ヒーター HR、及び図示しないヒーター HG、HBが内装されている。陰極からネック方向に向かって、第1電極(グリッド) 31、第2電極(グリッド) 32、第3電極(グリッド) 33、第4電極 (グリッド) 34、集束電極である第5電極(グリッド) 35、最終加速電極である第6電極(グリッド) 36、及びシールドカップ37がこの順に配置されている。シールドカップ37以外の電極は、電子レンズを形成し得るよう、所定の間隔をおいて配置されており、すべて2本の絶縁支持体38,39に植設され、同時に固定・支持されている。尚、シールドカップ37は第6電極36に溶接・固定されている。
【0028】
第1電極31から第6電極36までは、1つの陰極に対応して1つのほぼ円形の開孔が設けられている。第1電極31及び第2電極36には、直径1mm以下の小さな開孔が開いている。第3電極33の第2電極32に面する側の開孔は、約2mm程度の第2電極32の開孔より大きな開孔となっている。第3電極33の第4電極34側から第6電極36までは、5〜6mm程度の比較的大きな開孔がある。
【0029】
この電子銃構体8は、受像管後部の直径20〜40mm程度の円筒状のネック部3に封入され、ネック最後部に設けられたステムピン41によって支持されると同時に、第6電極36以外の電極は、このステムピン41を介して外部から所定の電圧が供給される。
【0030】
かかる構成において、例えば陰極 KR,KG,及びKBには、約150Vの直流電圧に画像に対応したビデオ信号が重畳された電圧が印加される。第1電極31は接地される。第2電極32は管内にて第4電極34と接続され、約800Vの直流電圧が印加される。第3電極33は管内にて主集束電極である第5電極35と接続され、約6〜9kvの直流電圧が印加される。第6電極36には、ネック内壁43に塗布された内部導電膜7を介して、約30kvの陽極高電圧が、シールドカップ37に印加される。
【0031】
陰極 KR、KG、及びKBから放射された電子ビームは、第2電極32から第3電極33近傍でクロスオーバーを形成した後発散するが、第2電極32と第3電極33とで形成されるプリフォーカスレンズにより予備集束を受け、第3電極33と、第4電極34及び第5電極35とで形成される補助レンズにより、更に予備集束を受け、その後、第5電極35と第6電極36とで形成される主レンズによって、最終的に、画面上に、ビームスポットを形成する。
【0032】
ネック内壁43に塗布された内部導電膜7は、管軸方向にシールドカップ37の中間部位まで塗布されており、この内部導電膜7に接続され、それ以降の第6電極36から第5電極35の第6電極36に対向する側の端面を覆う程度に、ネック内壁に高抵抗膜114が形成されている。また、この高抵抗膜114端からステムピン41までのネック内壁は、ガラス生地がそのまま露出した状態となっている。
【0033】
高抵抗膜114とネックガラス42の抵抗値、及び浮遊静電容量によってCRの積分回路が構成される。ここで、内部導電膜7により供給される陽極高圧によって、高抵抗膜114の電位は、高抵抗膜114とネックガラス42の抵抗値、及び浮遊静電容量によって決まるある電位で安定する。
【0034】
従って、高抵抗膜114の抵抗値が小さいほど、高抵抗膜114の電位は素早く安定する。しかしながら、あまり抵抗値を小さくすると、第5電極35との間でリークが発生し、耐電圧特性を劣化させてしまうので、高抵抗膜114の抵抗値は1010〜1014Ωの値となっている。
【0035】
尚、ネック内壁電位の変動は、電子銃の電子レンズを形成するための各電極間ギャップから浸透する。このことは、サイドビームの軌道を変化させる原因となる。第5電極35と第6電極36とで形成される主レンズ部では、電極間ギャップがもっとも広く、内部導電膜7に近いため、比較的高電位にチャージアップされるネック内壁電位の影響を受け易い。このため、第5電極35と第6電極36とで形成される主レンズ部でのサイドビームの軌道変化がもっとも大きい。このようなことから、高抵抗膜114は、内部導電膜と接触する部分から、主レンズ部を構成する陰極から一番遠い第6電極と二番目に遠い第5電極との間の空間を取り囲む内壁に亘って主レンズ部を覆うように形成される。これにより、陽極高圧によってチャージアップされる主レンズ部近傍のネック電位を、短時間で安定させ、サイドビームの軌道変化を、短時間で、収束させることができる。
【0036】
高抵抗膜114は、導電物質例えば酸化スズと、導電物質及びネックガラスへの付着性を持つ絶縁物質例えば酸化ケイ素と、有機系色素例えばアゾ系顔料とを混合して得られた高抵抗膜塗布液を、ネックガラスに塗布して塗布膜を形成し、その後、焼成することによって得られる。
【0037】
図3に、本発明に用いられる高抵抗膜の塗布膜の構造の一例を表すモデル図を示す。
図示するように、塗布膜では、基体となる絶縁物質550の中に導電物質520と、有機系色素560とが、ほぼある一定の間隔で分散している。
【0038】
次に、図3に示す塗布膜を焼成して得られた高抵抗膜の構造を表すモデル図を図4に示す。
図4に示すように、焼成することによって、膜中の有機系色素560は蒸発してしまい、有機系色素560が存在していたところは、空孔570になる。導電物質520同士間の最短距離はL1になる。
【0039】
図5に、比較として、導電物質と、絶縁物質とを含み、有機系色素を含有しない塗布液を塗布、焼成して得られた膜の構造を表すモデル図を示す。図5に示すように、塗布膜に有機系色素が混入されていない場合、塗布膜焼成後に得られる高抵抗膜360は、図4に示すような有機系色素560が蒸発してできた空孔570に相当するところにも、導電物質520が存在する。
【0040】
図4と図5を比べると明らかなように、有機系色素560を混入していない場合の導電物質520同士間の最短距離L2よりも、有機系色素560を混入した場合の導電物質520同士間の最短距離L1の方が空孔570が存在する分だけ長くなる。これにより、有機系色素560を混入して高抵抗膜350中に空孔570を形成することによって、絶縁物質550の量を増やすことなく高抵抗膜350の抵抗値を上昇させることができることがわかる。
【0041】
また、電極間ギャップ等から漏れた散乱電子が高抵抗膜350に衝突した場合について、図6を用いて説明する。図6に示すように、本発明によれば、高抵抗膜350に衝突した散乱電子600は、高抵抗膜350の空孔570を通って導電物質520に到達しやすくなり、導電物質520に到達した電子は、高抵抗膜350中を通って陽極高圧に吸収されるので、2次電子の発生する確率は大幅に減少する。
【0042】
以上説明したように、有機系色素560を混入して高抵抗膜350中に空孔570を形成することによって、散乱電子の高抵抗膜350衝突による2次電子放出を押さえつつ、所望の抵抗値が得られ、ネック電位を素早く安定させることができる。このような高抵抗膜350を形成することにより、コンバージェンスドリフトを大幅に改善することができる。
【0043】
前記図2に示す例では、高抵抗膜114が第5電極35と第6電極36で形成される主レンズ部を覆うようにネック内壁に形成されている場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、高抵抗膜の管軸方向の長さは問わない。
【0044】
図7及び図8に、本発明のカラー陰極線管の他の例にかかるネック部の概略を表す図を示す。
図7に示すネック部は、高抵抗膜214が、第4電極35を覆う程度に長く形成されている以外は、図2と同様である。図8に示すネック部は、高抵抗膜314が、第5電極35と第6電極36により構成される主レンズ部の一部を覆う程度に短く形成されている以外は、図2と同様である。
【0045】
なお、この実施例では高抵抗膜に微細な空孔を形成するために有機系色素を用いた。好ましく使用される有機系色素として、例えばコンゴーレッド、及びインジゴ等があげられる。
【0046】
また、有機系色素以外でも、常温で蒸発せず、焼成により消失する有機系の物質がであればどのような物質でも、本発明に好ましく使用される。
また、導電物質としては、例えば酸化スズや、酸化スズに、酸化インジウム、あるいは酸化アンチモンを混合したもの等が好ましく使用される。
【0047】
さらに、絶縁物質としては、例えば酸化ケイ素等が好ましく使用される。
さらに、本実施例では、電子銃の基本構造がいわゆるQPF(Quadra Potential Focus)の場合について述べたが、本発明はこれに限らず電子銃の基本構造は問わない。
さらにまた、本実施例では、電子銃が封入されているネック部の径については触れていないが、本発明はどのような大きさのネック径でも適用できる。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、複数の空孔を含み、1010〜1014Ωの抵抗値を有する高抵抗膜を、ネック内の内部導電膜から少くとも主レンズの一部を覆うように設けることにより、ネック内壁電位のチャージアップによるコンバージェンスドリフト、及び散乱電子のネック内壁衝突によるコンバージェンスドリフトを、大幅に軽減することが可能であるため、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるカラー陰極線管の一例を表す該略図
【図2】図1のネックを拡大した図
【図3】本発明に用いられる高抵抗膜の塗布膜の構造の一例を表すモデル図
【図4】図3に示す塗布膜を焼成して得られた高抵抗膜の構造を表すモデル図
【図5】有機系色素を含有しない塗布膜を焼成して得られた高抵抗膜の構造を表すモデル図
【図6】本発明に用いられる高抵抗膜に散乱電子が衝突した様子を説明するための図
【図7】本発明のカラー陰極線管の他の例にかかるネック部の概略図
【図8】本発明のカラー陰極線管のさらに他の例にかかるネック部の概略図
【符合の説明】
1…パネル
2…ファンネル
3…ネック
4…蛍光面
5…シャドウマスク
6…陽極端子
7…内部導電膜
8…電子銃
9…コンバーゼンス電極9
10…バルブスペーサ
11…ゲッター支持体
12…ゲッター
13…外部導電膜
20…カラー陰極線管
31…第1電極
32…第2電極
33…第3電極
34…第4電極
35…第5電極
36…第6電極
37…シールドカップ
38,39…絶縁支持体
41…ステムピン
42…ネックガラス
43…ネック内壁
114,124,134,350…高抵抗膜
520…導電物質
550…絶縁物質
560…有機系色素
570…空孔
600…散乱電子
Claims (3)
- パネル、ファンネル及びネックからなる外囲器と、前記ファンネル内壁からネック内壁の一部にかけて被着形成された内部導電膜と、前記ネック内部に配置され、ネック内の端部に設けられた陰極、及び電子レンズを形成し得る間隔をおいて該陰極側から順に配列された複数のグリッドを有するインライン型電子銃とを具備するカラー陰極線管において、
前記ネック内壁に、前記内部導電膜よりも電気抵抗の高い高抵抗膜が、前記内部導電膜と接触する位置から、少なくとも、前記陰極から一番遠いグリッドと二番目に遠いグリッドとの間の空間を取り囲む内壁の少なくとも一部に亘って設けられ、前記高抵抗膜は、複数の空孔を含む多孔質であり、管軸方向両端間の抵抗値が1010〜1014Ωであることを特徴とするカラー陰極線管。 - 前記複数の空孔を持つ高抵抗膜は、導電物質と、常温で化学的に安定な有機物質とを含む塗布液を、前記ネック内壁に塗布、焼成し、有機物質を消失させることにより形成される請求項1に記載のカラー陰極線管。
- 前記有機物質は、有機色素材料である請求項2に記載のカラー陰極線管。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17419297A JP3609585B2 (ja) | 1997-06-30 | 1997-06-30 | カラー陰極線管 |
US09/106,348 US6121724A (en) | 1997-06-30 | 1998-06-29 | Color cathode ray tube with high resistance film in the electron gun |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17419297A JP3609585B2 (ja) | 1997-06-30 | 1997-06-30 | カラー陰極線管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1125888A JPH1125888A (ja) | 1999-01-29 |
JP3609585B2 true JP3609585B2 (ja) | 2005-01-12 |
Family
ID=15974343
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17419297A Expired - Fee Related JP3609585B2 (ja) | 1997-06-30 | 1997-06-30 | カラー陰極線管 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US6121724A (ja) |
JP (1) | JP3609585B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11204029A (ja) | 1997-11-11 | 1999-07-30 | Toshiba Corp | 陰極線管の製造方法および製造装置 |
KR100334715B1 (ko) * | 2000-06-13 | 2002-05-04 | 구자홍 | 음극선관용 전자총 |
KR100839420B1 (ko) * | 2002-05-30 | 2008-06-19 | 삼성에스디아이 주식회사 | 음극선관용 전자총 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5536997A (en) * | 1991-05-08 | 1996-07-16 | U.S. Philips Corporation | Cathode ray tube |
JP3590219B2 (ja) * | 1996-10-31 | 2004-11-17 | 株式会社東芝 | カラー陰極線管 |
-
1997
- 1997-06-30 JP JP17419297A patent/JP3609585B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
1998
- 1998-06-29 US US09/106,348 patent/US6121724A/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1125888A (ja) | 1999-01-29 |
US6121724A (en) | 2000-09-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3609585B2 (ja) | カラー陰極線管 | |
JP3189388B2 (ja) | 陰極線管のカソード構体 | |
US5952777A (en) | Color cathode ray tube | |
JP3635153B2 (ja) | 陰極線管用電子銃および陰極線管 | |
EP0281197B1 (en) | Colour cathode ray tube | |
US3517242A (en) | Potential gradiant stabilized cathode-ray tube | |
US6653771B2 (en) | Electron gun assembly and cathode ray tube apparatus | |
JPH0368501B2 (ja) | ||
US4590403A (en) | Color picture tube having an improved inline electron gun | |
JP3734327B2 (ja) | カラーブラウン管装置 | |
EP0915495B1 (en) | Cathode ray tube | |
JP3015412B2 (ja) | 陰極線管 | |
JPH11195389A (ja) | カラー受像管 | |
KR900001711B1 (ko) | 칼라 음극선관용 전자총 | |
JPH06124663A (ja) | 陰極線管 | |
JPH07220650A (ja) | カラー受像管 | |
JP2000306522A (ja) | 電子銃構体 | |
JPH0552020B2 (ja) | ||
KR19980060031U (ko) | 칼라수상관용 전자총 | |
JPS62217542A (ja) | 陰極線管 | |
JPH11176350A (ja) | カラー受像管装置 | |
JPH11176315A (ja) | 含浸型陰極構体及びこの陰極構体を用いた電子銃 | |
JP2004516636A (ja) | 修正したインライン型電子銃を有する陰極線管 | |
JP2000173496A (ja) | カラー陰極線管 | |
JPH1145669A (ja) | 陰極線管およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040520 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040520 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20041001 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041012 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041014 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |