JP3593247B2 - エタノール濃度の測定方法ならびに該方法に使用する脂質膜およびエタノールセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エタノールの濃度を測定する技術分野に属し、特に、アルコール飲料または醸造過程などにおけるエタノール濃度を迅速かつ簡便に測定する方法ならびにそれに使用される脂質膜およびエタノールセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりエタノールの濃度を測定するための手段としては、酵素や微生物などの固定化生体触媒を利用したバイオセンサ、あるいは半導体式や接触燃焼式ガスセンサが用いられている。前者は生体触媒を用いているため長期安定性に問題がある。後者は液体試料を対象とする場合、気液平衡下でのエタノールガスを測定するため不揮発性物質の影響を大きく受けるため、不揮発性物質の濃度による補正が必要となる。
【0003】
本発明者らは、先に、プラス荷電脂質膜から成る膜電極の電位がエタノールに対して直線的に応答することを見出し、この応答がエタノールによるアニオン(塩化物イオン)の活量の変化に因るものと考え、このような電極を利用すれば清酒もろみ中のエタノールを測定できることを提示した〔J. Fermentation and Bioengineering, Vol.82, No.4, 371 (1996)〕。脂質膜を用いるこのエタノール測定法は、従来のエタノールセンサとは測定原理の点で全く異なり、安定性においても優れていると考えられる。
【0004】
しかしながら、該文献に開示したのは、単一の脂質膜電極を用いて特定の試料(この場合、清酒もろみ)の電位変化を測定すれば該試料に限りその相対的なエタノール濃度の経時変化が求められるというのにすぎない。すなわち、この方法により、エタノール濃度の絶対値を知るには、エタノール濃度の初期値を別法で求めておき、電位変化に応じた相対濃度の値を加減しなければならない。さらに、エタノール含有試料においては共存物質の影響による測定誤差が生じることが多いが、先の文献に記載した測定法においてはその対策は講じられていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種のエタノール含有試料に適用することができ、安定性(耐久性)にも優れ、しかも試料測定時の共存物質の影響を除去して各試料毎のエタノール濃度の絶対値を精度よく直接求めることができる新規なエタノール測定技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、上記の目的を達成するものとして、塩化物イオンおよびエタノールに対して応答性の異なる2種類の脂質膜電極のそれぞれについて、塩化物イオン濃度とエタノール濃度とをパラメータとする電位応答式を求めておき;前記2種類の脂質膜電極のそれぞれを用いてエタノール含有試料の電位を測定し;該電位の値を前記電位応答式に適用することにより前記試料中のエタノール濃度を算出することを特徴とするエタノール濃度の測定方法が提供される。本発明のエタノール濃度の測定方法の好ましい態様においては、エタノール含有試料中に終濃度が50mM以上になるように塩化物イオンの塩を添加しておく。
【0007】
さらに、本発明に従えば、上記のエタノール濃度の測定方法に使用され塩化物イオンおよびエタノールに対して応答性の異なる2種類の脂質膜であって、該脂質膜のそれぞれが、アルキル第4級アンモニウム塩またはアルキル第4級ホスホニウム塩から成る塩化物イオン/エタノール感応物質と非プロトン性溶媒から成る可塑剤とが高分子支持体に分散されていることを特徴とする高分子支持型脂質膜が提供される。
【0008】
本発明の高分子支持型脂質膜の好ましい態様においては、一方の脂質膜の可塑剤としてエーテル系溶媒が用いられ、他方の脂質膜の可塑剤としてエステル系溶媒が用いられている。
本発明に従えば、さらに、本発明のエタノール濃度の測定方法の実施に使用する装置であって、上記の2種類の脂質膜から成る2つの膜電極を備えるダブルチャンネル型電位測定手段を有することを特徴とするエタノールセンサが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
測定法の原理
本発明は、下記の式(2)で表されるように、応答電位(基準液に対する相対応答電位)が塩化物イオン濃度とエタノール濃度に対して直線性を示す脂質膜電極を利用してエタノール濃度を求めるものである。
ΔE=a・log[Cl(mM)] +b・[EtOH(%)] +c (2)
ここで、aおよびbは、それぞれ、塩化物イオン濃度[Cl(mM)]およびエタノール濃度[EtOH(%)] に対する傾きであり、cは共存物質による応答電位の総和を表す。
【0010】
この式(2)の電位応答式は次のようにして導かれる。溶質i(イオン)の濃度Ci、活量係数γi、溶媒間(水−エタノール)移行活量係数 logγti(W→EtOH) とすると応答電位(E)は、
となる。ここで、塩化物イオン活量係数がエタノール濃度の上昇により直線的に増加することから、
となり、基準液に対する相対応答電位は
ΔE=E−E0 =a・ logCi+b・[EtOH(%)]
と表すことができる。実試料系を想定した場合、共存する成分の影響が生じ、この共存物質による脂質膜電位の応答誤差の総和をcとすると、相対応答電位は
ΔE=a・ log[Ci(mM)]+b・[EtOH(%)] +c (2)
となる。
【0011】
本発明のエタノール濃度測定方法の特徴は、塩化物イオンおよびエタノールに対して応答性の異なる2種類の脂質膜電極のそれぞれについて、式(2)に基づき、塩化物イオン濃度とエタノール濃度をパラメータとする電位応答式を求めておくことにある。さらに、本発明者は、後にも述べるように、試料中に高濃度の塩化物イオンの塩(例えば、塩化カリウム)を添加することにより、共存物質による影響を実質的に無視することができ、式(2)においてc=0とすることができることを見出した。
【0012】
かくして、本発明に従うエタノール濃度測定においては、2種類の脂質膜電極のそれぞれについて、高濃度の塩化物イオンを含む校正液を用いて各脂質膜電極の傾きaおよびbを決定し、次のような電位応答式を求める。
ΔE1 =a1log[Ci(mM)]+b1[EtOH(%)] (3)
ΔE2 =a2log[Ci(mM)]+b2[EtOH(%)] (4)
【0013】
次に、それらの2種類の脂質膜電極を用い、高濃度の塩化物イオンの塩を添加して、被測定対象のエタノール含有試料の電位(ΔE1 およびΔE2 )を測定する。この電位の値ΔE1 およびΔE2 の値を式(3)および(4)のそれぞれに適用(代入)し、得られた連立方程式を解けばエタノール濃度 [EtOH(%)]が算出され、エタノール濃度の絶対値を知ることができる。
後述するように、本発明において用いる脂質膜は長期間にわたってきわめて安定であり、式(3)および(4)の電位応答式を一度求めておけば、その後は、それらの2種類の脂質膜から成る電極を用いて各種の試料の電位を測定するだけで、直ちに該試料中のエタノール濃度(の絶対値)を知ることができる。
【0014】
使用する脂質膜
本発明に従うエタノール濃度の測定に使用されるのに好適な2種類の脂質膜は、それぞれが、アルキル第4級アンモニウム塩またはアルキル第4級ホスホニウム塩から成る塩化物イオン/エタノール感応物質と非プロトン性溶媒から成る可塑剤とが高分子支持体に分散されている高分子支持型脂質膜である。このような本発明において用いられるアルキル第4級アンモニウム塩またはアルキル第4級ホスホニウム塩は下記の式(1)で表すことができる。
【0015】
【化1】
【0016】
式(1)中、Aは窒素原子またはリン原子を示し、X1 は指標となるアニオンを示し、R1 ,R2 ,R3 およびR4 の少なくとも3つがアルキル基であり、残りはアルキル基の他、フェニル基のような芳香族基も可能である。
この場合、第4級アンモニウム塩においては、R1 ,R2 ,R3 およびR4 のうち、少なくとも3つが炭素数8〜12のアルキル基であり、残りが炭素数8〜12のアルキル基またはメチル基であると、塩化物イオン濃度およびエタノール濃度に対する応答性に優れた感応物質が得られる傾向がある。例えば、本発明の脂質膜を構成するのに好ましい脂質としては、トリオクチルメチルアンモニウム塩、トリドデシルメチルアンモニウム塩、テトラドデシルアンモニウム塩などが挙げられる。第4級ホスホニウム塩の場合は、アルキル基の鎖長が長くなっても感応物質として使用できる傾向があり、例えば、本発明に用いられるのに好適な脂質(感応物質)としてトリブチルヘキサデシルホスホニウム塩などが挙げられる。
【0017】
本発明に従いエタノール濃度を測定するに当たっては、塩化物イオン濃度およびエタノール濃度に対する応答性が高く(すなわち、前述の電位応答式におけるaおよびbの絶対値が大きい)、且つ、それらの応答性が可及的に異なる(すなわち、aおよび/またはbの値に差のある)ような2種類の脂質膜を用いるべきである。このようにすることによって、上述の式(3)および(4)に基づき精度よくエタノール濃度を求めることができる。
【0018】
このためには、上記の式(1)で表される2種類の別異の塩化物イオン/エタノール感応物質(脂質)に対して同一の可塑剤を用いてもよいが、好ましくは、同一または別異の脂質に対して、より好ましく別異の脂質に対して別異の可塑剤を用いるべきである。本発明者は、この場合、一方の脂質膜の可塑剤としてエーテル系溶媒を用い、他方の脂質膜の可塑剤としてエステル系溶媒を用いると特に優れた効果が得られることを見出している。エーテル系溶媒(化合物)として好ましい例は、2−フルオロ−2−ニトロジフェニルエーテルやo−ニトロフェニルオクチルエーテルなどであり、また、好ましいエステル系溶媒(化合物)としては、アジピン酸オクチル、フタル酸ジオクチル、ジオクチルフェニルホスホネート、セバシル酸ジオクチルなどを挙げることができる。
なお、本発明の脂質膜において支持体となる高分子物質としては一般にポリ塩化ビニルが用いられるが、その他に、ポリカーボネート、シリコンゴム、ポリウレタンなども使用可能である。
【0019】
共存物質の除去
本発明のエタノール濃度測定においては、対象試料に高濃度の塩化物イオンの塩を添加することにより、陰イオン類などの共存物質の影響を除去する。本発明者が見出したところによれば、塩化物イオンの終濃度を50mM以上にすると実質的に完全に共存物質の影響を除去できる。添加する塩としては、塩化カリウムが一般的であるが、これに限らず、塩化ナトリウムや塩化リチウムなどのように少なくとも塩化物イオンを含んでいればよい。
【0020】
測定装置:エタノールセンサ
本発明に従う上述のエタノール濃度の測定は、原理的には、それぞれ別異の膜電極を備える2台の電位測定装置を用いても行い得るが、2種類の脂質膜から成る2つの膜電極を同一装置内に備えるダブルチャンネル型電位測定手段を有するエタノールセンサによって実施されるのが好適である。
【0021】
図1は、本発明が適用されるそのようなエタノールセンサの典型例を示す概略図である。電極筒1には3Mの塩化カリウムを含む内部液2が収納されており、内部液2内にAg/AgCl からなる内部電極3が浸漬されている。電極筒1の端部には、一方の脂質膜4が形成されている。脂質膜4は高分子物質(一般にポリ塩化ビニル)を含み、感応物質と可塑剤が適当な重量比で分散されている。参照電極5にはダブルジャンクション型を用い、液絡部に塩橋(塩化カリウム含有寒天)が挿入されている。したがって、この系を電池系として示すと、図1の下に示したようになる。このエタノールセンサは、さらに電極筒6を有し、この中に4とは別異の脂質膜7が配備されて同様の電池系が構成される。応答電位はバッファーアンプを介してマルチチャンネル型デジタルボルトメータに取り込まれる。必要に応じて、適当な演算回路を組み込むか、またはコンピュータに連結して、前述の式(3)および(4)に従って自動的にエタノール濃度が求められるようにしておく。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の特徴をさらに明らかにするため実施例を示すが、本発明はこの実施例によって制限されるものではない。
〔実施例1:共存物質の影響〕
モデルサンプル(清酒中に含まれる主要な有機陰イオン類に相当する有機酸(3種類)およびアミノ酸(14酒類)を種々の割合で混合した水溶液)に種々の濃度の塩化カリウムを添加して電位測定を行うことにより、共存物質の影響を調べた。電位測定は図1に示す装置の電極筒1の端部に、トリオクチルメチルアンモニウム塩(感応物質)/ジオクチルフェニルホスホネート(可塑剤)から成る脂質膜を装着して行った。測定結果を図2に示す。図2に示すように、塩化カリウムが高濃度で存在すると、電位の値が一定となり、共存物質の影響が除去され、特に50mM以上存在すると有機酸やアミノ酸類の影響をほぼ完全に除去できることが理解される。
【0023】
〔実施例2:感応物質の適用性テスト〕
塩化物イオン/エタノール感応物質として各種の第4級アンモニウム塩を用い、可塑剤であるo−ニトロフェニルオクチルエーテルとともに、ポリ塩化ビニルに分散させた脂質膜を、図1に示す装置の電極筒1端部に装着し、校正液1群(10〜100mM 塩化カリウム水溶液)および校正液2群(0〜20%エタノール水溶液、50mM塩化カリウムを含む)を用いて電位測定を行い、各脂質膜電極の式(2)における傾きa(塩化物イオン応答性)およびb(エタノール応答性)を決定した。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示すように、第4級アンモニウム塩の4つの置換基のうちの少なくとも3つが炭素数8〜12のアルキル基であるトリオクチルメチルアンモニウム塩(TOMA)、トリドデシルメチルアンモニウム塩(TDMA)、テトラドデシルアンモニウム塩(TDA)は、塩化物イオンおよびエタノールのいずれにも優れた応答性を有している。炭素数18個の長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩(TODMA:トリオクタデシルメチルアンモニウム塩、DOMA:ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩)は塩化物イオンに対する応答は高いが、エタノールに対する応答は著しく低下する。これは、長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウム塩の可塑剤に対する溶解性の悪さが原因であると考えられる。また、R1 〜R4 の炭素数が6であるテトラヘキシルアンモニウム塩は塩化物イオンあるいはエタノールに対して直線を示さなかった。
【0026】
〔実施例3:可塑剤の適用性テスト〕
感応物質としてトリオクチルメチルアンモニウム塩を用い、各種の可塑剤と組み合わせて、実施例2と同様に、各脂質膜電極の塩化物イオン応答性(傾きa)およびエタノール応答性(傾きb)を測定した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
表2に示すように、2−フルオロ−2−ニトロジフェニルエーテル(FNDPE)やo−ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)などのエーテル系化合物と、アジピン酸ジオクチル(DOA)、フタル酸ジオクチル(DOP)、ジオクチルフェニルホスホネート(DOPP)およびセバシル酸ジオクチル(DOS)などのエステル系化合物では塩化物イオンおよびエタノールに対する応答にかなりの差が認められる。また、アルコール系化合物であるn−デシルアルコール(n−DA)を用いた場合は塩化物イオンに対する応答性は高いものの、エタノールに対する応答は著しく低下する。
【0029】
〔実施例4:エタノール濃度の実測〕
感応物質としてトリオクチルメチルアンモニウム塩、可塑剤としてジオクチルフェニルホスホネート、および感応物質としてテトラドデシルアンモニウム塩、可塑剤としてo−ニトロフェニルオクチルエーテルを使用したものを高分子物質(ポリ塩化ビニル)と混合し、溶剤(テトラヒドロフラン)に溶解後、本溶剤を蒸発除去して2種類の脂質膜を作製した。これを図1の電極筒1の端部に接着した。
【0030】
これらの2種類の脂質膜電極を装着した図1のセンサを用い、まず、校正液1群(10〜100mM 塩化カリウム水溶液)、校正液2群(0〜20%エタノール水溶液、50mM塩化カリウムを含む)を用いて各脂質膜電極の傾きaおよびbを決定したところ、2種類の脂質膜電極のそれぞれについて下記の電位応答式を得た。
ΔE1 =−50.3 log[Ci(mM)]−1.70[EtOH(%)]
ΔE2 =−55.8 log[Ci(mM)]−2.78[EtOH(%)]
次に、試料に終濃度が50mM以上になるように塩化カリウムを添加し、基準溶液(50mM塩化カリウム水溶液)に対する相対電位ΔE1 およびΔE2 を測定した。このΔE1 とΔE2 の実測値を上記式に代入して得られた連立方程式を解き、エタノール濃度を算出した。なお、試料のエタノール濃度が20%を超える場合は希釈したものを用いた。
このようにして、日本酒および焼酎中のエタノール濃度を測定し、ガスクロマトグラフによる測定値との比較を行った。図3に測定値の相関図を示す。図3に示されるように、両測定値には良好な相関が認められた。
【0031】
〔実施例5:脂質膜の耐久性テスト〕
実施例4で用いた脂質膜を20%エタノール水溶液中に浸漬して長期安定性を検討したところ、3ヵ月経過してもエタノールおよび塩化物イオンに対する応答性は変化することなく維持されていた。
【0032】
【発明の効果】
本発明のエタノール濃度測定方法に従えば、塩化物イオンおよびエタノールに対して応答性の異なる2種類の脂質膜電極の電位応答式を求めておくことにより、アルコール飲料などの各種のエタノール含有試料中のエタノール濃度の絶対値を直ちに知ることができ、その際、高濃度の塩化物イオンの塩を添加することにより共存物質の影響も除去される。本発明の高分子支持型脂質膜はきわめて優れた安定性(耐久性)を有するので、長期間にわたって高精度のエタノール濃度測定が可能である。2種類の膜電極を備えるダブルチャンネル型電位測定手段を備える本発明のエタノールセンサは、単一の装置でエタノール濃度を迅速かつ簡便に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエタノールセンサの典型例を示す概略図である。
【図2】塩化カリウム添加による共存物質の影響除去に関する特性図である。
【図3】本発明のエタノールセンサおよびガスクロマトグラフを用いた酒類中のエタノール濃度測定値の相関図である。
Claims (5)
- 塩化物イオンおよびエタノールに対して応答性の異なる2種類の脂質膜電極のそれぞれについて、塩化物イオン濃度とエタノール濃度とをパラメータとする電位応答式を求めておき;前記2種類の脂質膜電極のそれぞれを用いてエタノール含有試料の電位を測定し;該電位の値を前記電位応答式に適用することにより前記試料中のエタノール濃度を算出することを特徴とするエタノール濃度の測定方法。
- エタノール含有試料中に終濃度が50mM以上になるように塩化物イオンの塩を添加しておくことを特徴とする請求項1のエタノール濃度の測定方法。
- 請求項1または請求項2のエタノール濃度の測定方法に使用され塩化物イオンおよびエタノールに対して応答性の異なる2種類の脂質膜であって、該脂質膜のそれぞれが、アルキル第4級アンモニウム塩またはアルキル第4級ホスホニウム塩から成る塩化物イオン/エタノール感応物質と非プロトン性溶媒から成る可塑剤とが高分子支持体に分散されていることを特徴とする高分子支持型脂質膜。
- 一方の脂質膜の可塑剤としてエーテル系溶媒が用いられ、他方の脂質膜の可塑剤としてエステル系溶媒が用いられていることを特徴とする請求項3の高分子支持型脂質膜。
- 請求項3または請求項4に記載の2種類の脂質膜から成る2つの膜電極を備えるダブルチャンネル型電位測定手段を有することを特徴とするエタノールセンサ。
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