JP3591687B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱エネルギーを制御する事により、1種の染料を含有した単層の感熱記録層で白色から2色の異なる色に発色する感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
白色ないしは淡色の電子供与性染料前駆体(以下染料前駆体と省略)と電子受容性顕色剤(以下顕色剤と省略)との発色反応を利用した感熱記録材料はすでによく知られている。
【0003】
この感熱記録材料は、支持体上に染料前駆体と顕色剤とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、サーマルヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と顕色剤とが瞬時反応し記録画像が得られるもので、特公昭43−4160号公報や特公昭45−14039号公報等に開示されている。このような感熱記録材料は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトでかつその保守も比較的容易であることから、ファクシミリ用紙やプリンター用紙、レジスター用のレシート、ラベルライターや食品計量器用のラベル、自動販売機やハンディーターミナル用の乗車券など幅広い分野で使用されている。
【0004】
しかし、感熱記録材料の用途の拡大に伴い要求される性能や品質も多様化しており、高感度化、画像堅牢化、可逆記録化あるいは多色記録化等が検討されている。特に、多色記録に関しては、重要な情報を特に目立たせたいという要望が強いことから、これまでに多くの多色記録材料が提案されている。
【0005】
従来の多色感熱記録材料の中で、2色感熱記録材料は熱エネルギーを制御することで低温加熱と高温加熱時に異なる色調を得るものであり、大きく分けて2種類の方法により多色発色を実現している。
【0006】
第1の方法は、低温加熱時には低温感熱記録層のみを発色させ、高温加熱時には低温感熱記録層と高温感熱記録層の両方を発色させてその混色を得る方法である。第2の方法としては、上記第1の方法において、高温加熱時に低温発色した発色系に消色効果を有する消色剤を作用させることにより、高温加熱時に高温感熱記録層のみの発色を得る方法である。また、いずれの方法も色調を変化させるために、発色したときの色調が異なる2種類の染料前駆体を、低温、高温の各感熱記録層に別々に含有させている。これらの提案の例としては、特公昭49−69号公報、特公昭49−4342号公報、特公昭49−27708号公報、特開昭49−86543号公報や特開昭49−65239号公報等に記載のものが挙げられる。
【0007】
しかしながら、上記した第1の方法では高温加熱により発色させた画像は混色であるため明らかに画像が不鮮明である。また、上記の第2の方法では、消色剤により印字画像の保存性が著しく悪く、更に一般的には消色剤を含有する中間層を設けなければならないことから感熱記録材料の層構成が複雑になる等、品質に優れた2色感熱記録材料を安価に作製することは極めて困難である。
【0008】
一方、単独で多色に発色可能な染料前駆体の例として、特公昭60−25276号公報および「色材協会誌」,64(7),425〜430(1991)等で、トリフェニルメタン系化合物やインドリルフタリド系化合物がすでに公知である。これらは、いずれも染料前駆体を呈色させる顕色剤として、フェノール化合物や有機カルボン酸等の有機酸性物質とグアニジン化合物等の有機塩基性物質の2種を同一記録層に含有させ、種類の異なるこれらの顕色剤により2色感熱記録材料を実現しようとする試みである。そして、これら2種類の顕色剤の融点ないしは溶解速度に大きな差を持たせることで、加熱温度の変化に応じて色調の変化が可能としている。しかしながら、これらの2色感熱記録材料では、酸と塩基という正反対の性質の化合物を顕色剤として使用しているために、発色画像は鮮明さに欠け、さらにはその画像の堅牢性に関しても全く実用的とは言えない。
【0009】
このような従来の技術を鑑み、本出願人は特願平8−256279号および特願平9−77435号に記載したように、印加エネルギーの変化に応じその化学構造が変化し、一つの化合物で多色に呈色しうる染料前駆体を新規に合成し、単層の感熱層でも加熱エネルギーにより2発色が可能な感熱記録材料を開発した。特に、1分子内にフタリド基と一般式(1)で表される官能基を有する染料前駆体は、合成の容易さ、化合物の安定性、発色の彩度および画像の安定性から、極めて優れた化合物である。また、本出願人は特願平9−110644号に記載したように、この染料前駆体を発色させる顕色剤として芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩を使用することにより、2色目の発色感度と濃度の向上を図った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1分子内にフタリド基と一般式(1)で表される官能基を有する染料前駆体と芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩である顕色剤を含有する感熱記録材料は、高温側で発色する2色目の感度および画像濃度は従来のフェノール系顕色剤を用いた場合に比べて高くなったとはいえまだ十分ではなく、最近の高速プリンターでは1色目は完全に発色するものの、2色目は十分には発色せず画像濃度が低いという問題があった。本発明が解決しようとする課題は、1色目から2色目の発色に移る感度を上げ、かつ、2色目の発色濃度に優れた感熱記録材料を提供することである。
【0011】
【化5】
【0012】
(式中、R1は炭素数1〜14の1価の基を表し、基中にエーテル結合、チオエーテル結合、ハロゲン原子、シアノ基、カルボニル基、スルホニル基およびスルフィニル基を含んでもよい。)
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、1分子内にフタリド基と一般式(1)で表される官能基を有する染料前駆体について、その発色機構を詳細に検討した。その結果、低温側で起こる1色目の発色は通常良く知られている電子受容性の顕色剤によるフタリド基中のエステル結合の解離・イオン化によるものであり、更に高温で起こる2色目への変色は一般式(1)で表される官能基中のウレタン結合の分解による染料分子の化学構造の変化によるものであることをつきとめた。そこで、このウレタン結合の切断を促進する化合物を探索したところ、芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩が有効であり、更にこれらの化合物に強酸の金属塩を併用すると効果的であることを見いだした。
【0014】
すなわち、支持体上に、1分子内にフタリド基と一般式(1)で表される官能基を有する染料前駆体と芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩である顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、強酸の金属塩を含有させることにより、1色目の発色のみならず2色目の発色についても、実用上十分な感度および画像濃度を持った感熱記録材料を提供することができた。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明における強酸の金属塩とは、酸解離定数Kaの逆数の対数値pKaが3以下、好ましくは0以下の無機酸または有機酸の金属塩を表わす。従って、超強酸と呼ばれている硫酸より強い酸も本発明における強酸に含まれる。このような強酸としては、フッ化水素酸、塩化水素酸(塩酸)、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、チオシアン酸やリン酸などの無機酸や、シュウ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸やトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸を挙げることができる。一般に、染料前駆体は水や有機溶媒中に溶解または分散された状態で、支持体に塗工されることが多いため、水溶性または有機溶媒に可溶な金属塩は、染料前駆体の微粒子表面に分子状で効率良く吸着できるため、その触媒能が顕著に現れるので特に好ましい。このような金属塩としては、フッ化水素酸、塩化水素酸(塩酸)、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸やトリフルオロメタンスルホン酸の金属塩などを挙げることができる。
【0016】
また、金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属などを挙げることができるが、特に遷移金属が有効である。また、遷移金属のうち、化合物としての安定性、毒性や経済性を考慮すると周期律表の第4または第5周期のものが好ましく、スカンジウム、亜鉛やスズなどのように白色の塩を形成するものがより好ましい。これらの金属塩は、フタリド基の開環による1色目の発色に対しては必ずしも顕色能を持たないが、本発明における染料前駆体中の一般式(1)で表される官能基中のウレタン結合を分解する触媒として働く。
【0017】
このような強酸の金属塩の例としては、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、フッ化コバルト(II)、ヨウ化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、臭化銅(II)、塩化銅(II)、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、臭化金、塩化金、臭化鉄(III)、塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、チオシアン酸鉄(III)、臭化鉄(II)、塩化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、硝酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)カリウム、鉄(II)明礬、臭化マンガン、塩化マンガン、ヨウ化マンガン、硝酸マンガン、硫酸マンガン、臭化ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、ヨウ化ニッケル、硫酸ニッケル、塩化スカンジウム、硝酸スカンジウム、硫酸スカンジウム、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム、硝酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、臭化スズ(IV)、塩化スズ(IV)、フッ化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)、硫酸スズ(IV)、臭化スズ(II)、塩化スズ(II)、フッ化スズ(II)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、臭化亜鉛、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛などとこれらの水和物を挙げることができるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0018】
これらの強酸の金属塩の添加量は、染料前駆体1重量部に対して0.1重量部以上7.0重量部以下、特に0.3重量部以上5.0重量部以下が好ましい。0.1重量部より少ない添加量では増感効果が明瞭に現れず、逆に7.0重量部より多く添加しても増感効果はすでに飽和しており、金属塩による地肌の着色やべたつきおよび経済性から不利となる。
【0019】
本発明における染料前駆体は、1分子内にフタリド基と一般式(1)で表される官能基を有する化合物である。その具体例としては、一般式(1)で表される官能基を有するフルオラン化合物またはインドリルフタリド化合物を挙げることができる。ただし、本発明における染料前駆体はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0020】
一般式(1)で表される官能基中のR1の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、アリル基、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル基、3−オキソブチル基、2−エチルチオエチル基、2−エチルスルフィニルエチル基、2−メチルスルホニルエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ベンジル基、フェネチル基、4−メトキシフェナシル基、シンナミル基、9−フルオレニルメチル基を挙げることができる。これらの置換基の中で、3級アルキル基や2位(β位)に電子吸引性基を有するアルキル基が好ましく、特にt−ブチル基の場合は分解生成物が室温でも気体のイソブチレンと二酸化炭素なので感熱層中に分解物が残留しないことと、原料物質の反応性、入手の容易さおよび経済性から最も好ましい。
【0021】
一般式(1)で表される官能基を有するフルオラン化合物として、特に好ましい化合物は一般式(2)で表される。
【0022】
【化6】
【0023】
(式中、R1は一般式(1)中のR1と同じ基を表す。また、R2およびR3はそれぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、テトラヒドロフルフリル基または置換基を有しても良いフェニル基を表し、R2およびR3は連結して、結合する窒素原子と共に複素環を形成してもよい。R4は水素原子または低級アルキル基を表し、R5およびR6はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基またはアセチル基を表す。)
【0024】
本発明におけるフルオラン化合物のより具体的な化合物として下記のものを挙げるが、前述したように本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0025】
【表1】
【0026】
また、インドリルフタリド化合物として特に好ましい化合物は一般式(3)で表される。
【0027】
【化7】
【0028】
(式中、R1は一般式(1)中のR1と、また、R2、R3およびR5は一般式(2)中のそれぞれR2、R3およびR5と同じ基を表す。R7は水素原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を表し、R8は水素原子、低級アルキル基、置換基を有してもよいフェニル基を表す。Xは窒素原子またはメチン基を表す。)
【0029】
本発明におけるインドリルフタリド化合物のより具体的な化合物として下記のものを挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0030】
【表2】
【0031】
これらのフルオラン化合物およびインドリルフタリド化合物の合成については、従来公知の方法を使用できるが、本出願人による特願平8−256279号および特願平9−77435号に具体例が記載してある。
【0032】
本発明における顕色剤は芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩であるが、特に電子受容性基を有する芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩が好ましい。電子受容性基としては電子受容性を有する官能基ならばいかなる構造でもかまわないが、例えば−OH基、−NHSO2−基、−SO2NHSO2−基、−NHCO−基、−NHCS−基、−CONHCO−基、−SO2NHCO−基、−NHCOO−基または−NHCOS−基等を挙げることができる。これらの官能基の中で、特に−OH基、−NHSO2−基、−NHCO−基、−NHCS−基や−NHCOO−基が最も好ましい。これらの官能基は芳香環に直接結合していても良いし、またメチレン基やエチレン基および−CH=N−基のようなスペーサーとなる基を介して芳香環に結合していても良い。また2価の官能基の場合はどちらに芳香族カルボン酸化合物が結合していても良い。芳香族カルボン酸化合物としては、各種の置換基を有する安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸あるいはピロメリット酸等を使用することができるが、1価のカルボン酸である安息香酸、1−ナフトエ酸や2−ナフトエ酸が好ましい。
【0033】
−OH基を有する芳香族カルボン酸化合物としては無置換または置換基を有するサリチル酸(o−ヒドロキシ安息香酸)、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、レゾルシン酸や没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸や2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸等を挙げることができるが、特にサリチル酸やヒドロキシナフトエ酸類が好ましい。置換基を有するサリチル酸としては、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸や3,5−ジ−α−フェネチルサリチル酸等の3,5−ジ置換のサリチル酸や4−[2−(4−メトキシフェノキシ)エトキシ]サリチル酸等のエーテル基を有するサリチル酸なども有効である。
【0034】
本発明における顕色剤のより好ましい化合物としては、一般式(4)で表される芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩を挙げることができる。
【0035】
【化8】
【0036】
(式中、Yは水素原子または水酸基を表わし、Zは−SO2−基、−CO−基、−CS−基または−COO−基を表わし、R9はアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。R10およびR11はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基、ニトロ基またはハロゲン原子を表す。)
【0037】
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に挙げるが、当然のことながら本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
−OH基と−NHCOO−基を有する芳香族カルボン酸化合物として、サリチル酸化合物が好ましく、特に4位または5位に−NHCOO−基を有するサリチル酸化合物がより好ましい。
3−(イソプロピルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、3−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、3−(フェニルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、3−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、3−〔(2−フェノキシエチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、
【0039】
4−(メチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、4−(イソブチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、4−〔(2−エチルヘキシル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−(n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、4−(シクロヘキシルメチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、4−〔(2−ベンジルオキシエチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−〔(2−クロロエチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、4−〔(2−フェニルエチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−(フェニルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、4−〔(1−ナフチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−〔(4−フェニルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−〔(4−フェノキシフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−〔(4−フェニルカルボニルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−〔(4−アセチルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、4−〔(2,4−ジクロロフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、3−クロロ−4−(n−ブチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、
【0040】
5−(メチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、5−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、5−(n−ヘキサデシルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、5−〔(4−t−ブチルシクロヘキシル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、5−〔(3−エトキシプロピル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、5−〔2−(4−メトキシフェニル)オキシエチルオキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、5−(5−ヘキセニルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、5−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、5−〔(2−フェニルエチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、5−(フェニルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、5−〔(2−ナフチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、5−〔(2−ホルミルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、5−〔(3,5−ジメチルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、5−〔(3−ニトロ−4−クロロフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、3−エトキシ−5−(n−ブチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、3−フェニル−5−(n−ヘキシルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、
【0041】
6−(n−プロピルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、6−〔(3−シクロヘキシルオキシプロピル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、6−〔(2−フェネチルオキシエチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、6−〔(4−クロロベンジル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、6−(フェニルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、6−〔(1−ナフチル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、6−〔(4−t−ブチルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、6−〔(4−エチルカルボニルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、6−〔(4−ベンジルカルボニルフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、6−〔(3−ニトロフェニル)オキシカルボニルアミノ〕サリチル酸、3−エチル−6−(n−ヘキシルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸、
【0042】
−OH基と−NHCO−基を有する芳香族カルボン酸化合物として、サリチル酸化合物が好ましく、特に4位または5位に−NHCO−基を有するサリチル酸化合物がより好ましい。
3−n−プロピルカルボニルアミノサリチル酸、3−n−ノニルカルボニルアミノサリチル酸、3−シクロヘキシルカルボニルアミノサリチル酸、4−エチルカルボニルアミノサリチル酸、4−t−ブチルカルボニルアミノ−5−クロロサリチル酸、4−n−ヘキシルカルボニルアミノサリチル酸、4−フェノキシメチルカルボニルアミノサリチル酸、4−ベンジルカルボニルアミノサリチル酸、4−(2−ナフチルカルボニルアミノ)サリチル酸、4−フェニルカルボニルアミノサリチル酸、5−n−ブチルカルボニルアミノサリチル酸、5−n−オクタデシルカルボニルアミノサリチル酸、5−(2−ベンジルオキシエチルカルボニルアミノ)サリチル酸、5−ベンジルカルボニルアミノサリチル酸、5−(3−t−ブチルフェニルカルボニルアミノ)サリチル酸、5−(4−アセトキシフェニルカルボニルアミノ)−3,4−ジメトキシサリチル酸、6−n−オクチルカルボニルアミノサリチル酸、6−n−ヘキサデシルカルボニルアミノサリチル酸、
【0043】
−OH基と−NHCS−基を有する芳香族カルボン酸化合物として、以下の化合物を挙げることができる。
3−フェニルチオカルボニルアミノサリチル酸、4−(4−クロロフェニルチオカルボニルアミノ)サリチル酸、5−シクロヘキシルチオカルボニルアミノサリチル酸、6−(4−t−ブチルフェニルチオカルボニルアミノ)サリチル酸、
【0044】
−NHSO2−基を有する芳香族カルボン酸化合物として、以下の化合物を挙げることができるが、特に2位に−NHSO2−基を有する安息香酸化合物が好ましい。
2−(メチルスルホニルアミノ)安息香酸、2−(n−ブチルスルホニルアミノ)安息香酸、2−(t−ブチルスルホニルアミノ)−4−クロロ安息香酸、2−(n−オクチルスルホニルアミノ)安息香酸、2−(n−デシルスルホニルアミノ)安息香酸、2−(シクロヘキシルスルホニルアミノ)安息香酸、2−〔(2−エトキシエチル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(2−ベンジルオキシエチル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(2−フェノキシエチル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−(ベンジルスルホニルアミノ)安息香酸、2−(フェニルスルホニルアミノ)安息香酸、2−(フェニルスルホニルアミノ)−4−メチル安息香酸、2−〔(2−ナフチル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(3−フェニルフェニル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(4−フェノキシフェニル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(4−ベンジルオキシフェニル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(4−ニトロフェニル)スルホニルアミノ〕安息香酸、2−〔(3,5−ジクロロフェニル)スルホニルアミノ〕安息香酸、
【0045】
3−(n−ブチルスルホニルアミノ)安息香酸、3−(n−オクチルスルホニルアミノ)安息香酸、3−(n−デシルスルホニルアミノ)安息香酸、3−(シクロヘキシルメチルスルホニルアミノ)安息香酸、3−(ベンジルスルホニルアミノ)安息香酸、3−(フェニルスルホニルアミノ)安息香酸、3−〔(1−ナフチル)スルホニルアミノ〕安息香酸、4−(n−オクチルスルホニルアミノ)安息香酸、4−(ベンジルスルホニルアミノ)−3−エチル安息香酸、4−〔(4−フェニルフェニル)スルホニルアミノ〕安息香酸、
【0046】
−NHCO−基を有する芳香族カルボン酸化合物として、以下の化合物を挙げることができる。
2−メチルカルボニルアミノ安息香酸、2−n−オクチルカルボニルアミノ安息香酸、2−n−デシルカルボニルアミノ安息香酸、2−アリルカルボニルアミノ安息香酸、2−(2−ヘキセニル)カルボニルアミノ安息香酸、2−(3−n−ヘキシルオキシプロピル)カルボニルアミノ安息香酸、2−フェニルオキシメチルカルボニルアミノ安息香酸、2−(4−クロロベンジル)カルボニルアミノ安息香酸、2−フェニルカルボニルアミノ−4−メチル安息香酸、2−(3−フリル)カルボニルアミノ安息香酸、2−(4−ベンジルオキシフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、2−(4−フルオロフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、2−(4−ニトロフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、2−(4−ヒドロキシフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、
【0047】
3−エチルカルボニルアミノ安息香酸、3−シクロヘキシルメチルカルボニルアミノ安息香酸、3−(2−n−ブトキシエトキシエチル)カルボニルアミノ安息香酸、3−(2−ベンジルオキシエチル)カルボニルアミノ安息香酸、3−フェノキシメチルカルボニルアミノ安息香酸、3−ベンジルカルボニルアミノ安息香酸、3−フェニルカルボニルアミノ安息香酸、3−(1−ナフチル)カルボニルアミノ安息香酸、3−(4−フェニルフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、3−(4−フェノキシフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、3−(3−クロロフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、4−n−ブチルカルボニルアミノ安息香酸、4−n−デシルカルボニルアミノ安息香酸、4−(2−フェノキシエチル)カルボニルアミノ安息香酸、4−(2−クロロエチル)カルボニルアミノ安息香酸、4−ベンジルカルボニルアミノ安息香酸、4−フェニルカルボニルアミノ安息香酸、4−(4−メトキシフェニル)カルボニルアミノ安息香酸、
【0048】
−NHCS−基を有する芳香族カルボン酸化合物として、以下の化合物を挙げることができる。
2−n−ブチルチオカルボニルアミノ安息香酸、2−n−オクチルチオカルボニルアミノ安息香酸、2−フェニルチオカルボニルアミノ安息香酸、2−(4−エトキシフェニル)チオカルボニルアミノ安息香酸、2−フェニルオキシメチルチオカルボニルアミノ安息香酸、3−n−オクチルチオカルボニルアミノ安息香酸、3−フェニルチオカルボニルアミノ安息香酸、4−エチルチオカルボニルアミノ安息香酸、4−n−ドデシルチオカルボニルアミノ安息香酸、4−フェニルチオカルボニルアミノ安息香酸、4−(4−メチルフェニル)チオカルボニルアミノ安息香酸、
【0049】
−NHCOO−基を有する芳香族カルボン酸化合物として、以下の化合物を挙げることができる。
2−n−オクチルオキシカルボニルアミノ安息香酸、2−(2−シクロヘキシルエチル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、2−(2−エトキシエチル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、2−ベンジルオキシカルボニルアミノ安息香酸、2−フェニルオキシカルボニルアミノ安息香酸、2−(2−フェノキシエチル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、2−フェニルオキシカルボニルアミノ−3−ニトロ安息香酸、2−(4−クロロフェニル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、2−(4−ヒドロキシフェニル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、3−エチルオキシカルボニルアミノ安息香酸、3−(2−n−ブトキシエチル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、3−フェノキシメチルオキシカルボニルアミノ安息香酸、3−〔2−(4−クロロフェニル)オキシエチルオキシカルボニルアミノ〕安息香酸、3−ベンジルオキシカルボニルアミノ安息香酸、3−フェニルオキシカルボニルアミノ安息香酸、4−n−ブチルオキシカルボニルアミノ安息香酸、4−n−デシルオキシカルボニルアミノ安息香酸、4−(2−クロロエチル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、4−(4−クロロベンジル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、4−フェニルオキシカルボニルアミノ安息香酸、4−(2−ナフチル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、4−(4−フェノキシフェニル)オキシカルボニルアミノ安息香酸、
【0050】
本発明における顕色剤の芳香族カルボン酸化合物の金属塩としては、それら芳香族カルボン酸化合物のナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属塩を含有するものや、水溶性、水難溶性あるいは水不溶性の2価、3価あるいは4価の金属塩であり、より好ましくは2価あるいは3価の金属塩である。
【0051】
2価、3価あるいは4価の金属塩の具体例としては 亜鉛、カドミウム、水銀、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ニッケル、スズ、ガリウム、クロム、銅、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、マンガン、コバルト、チタン、アルミニウム、鉄の塩を挙げることができるが、好ましくは亜鉛、カルシウム、バリウム、ニッケル、マンガン、コバルト、アルミニウムの塩である。特に、芳香族カルボン酸化合物の亜鉛塩は一般に白色であり、また顕色能が高いことから最も好ましい。
【0052】
本発明における芳香族カルボン酸化合物およびその金属塩は、従来公知の方法で合成することができる。特に一般式(4)で表される芳香族カルボン酸化合物およびその金属塩については、特開平6−72984号公報や特開平7−290832号公報に合成法が記載されている。芳香族カルボン酸化合物の金属塩は、製造条件によっては水和物などの溶媒和物を形成することがあるが、この溶媒和物も本発明における顕色剤として好適である。
【0053】
顕色剤である芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩の添加量は、染料前駆体1重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下、特に2.0重量部以上7.0重量部以下が好ましい。添加量が0.5重量部より少ないと1色目および2色目の感度および発色の飽和濃度が低い。特に2色目の感度および飽和濃度からは2.0重量部以上の添加が好ましい。一方、10重量部より多いと2色目も感度的にはすでに飽和しており、感熱記録層中の総固形分に対する染料濃度が相対的に低くなるため画像濃度は逆に低くなってしまう。従って、経済的な面からも10重量部以下、特に7.0重量部以下が好ましい。
【0054】
一般式(2)で表されるフルオラン化合物と芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩による低温側での1色目の発色は、置換基のR1、R2、R3、R4、R5およびR6の違いによらず色調は赤である。この発色体を更に高温で加熱すると2色目の黒系の発色に変化する。この黒系の発色は置換基により赤味の黒から緑味の黒そして緑までの色調である。
【0055】
一方、一般式(3)で表されるインドリルフタリド化合物と芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩による低温側での1色目の発色の色調は赤系であり、置換基のR1、R2、R3、R5、R7およびR8の違いによりピンクから赤そして赤紫までの色調である。高温側の2色目の発色の色調は青系であり、置換基により青から青紫を示す。また、一般式(3)のXはメチン基よりも窒素原子の方が、高温側の青発色が鮮明である。
【0056】
以上、染料前駆体として1分子中に一般式(1)で表される官能基を1個有する場合について例示してきたが、当然のことながら、一般式(1)で表される官能基は1分子中に複数個含まれていても良い。そのとき、置換基R1は同じであっても異なっていても良い。このような一般式(1)で表される官能基を1分子中に複数個有する染料前駆体と顕色剤の組み合わせでは、加熱するエネルギーにより2色以上の多色に発色させることが可能である。
【0057】
また、さらに発色の感度を向上させるため、染料前駆体と顕色剤の他に、第3物質として熱可融性有機化合物を添加することができる。この熱可融性有機化合物としては、融点が80℃以上150℃以下のものが好ましい。いくつかの具体例を挙げると、ステアリン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、N−ヒドロキシメチルベヘン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪族アミド類、2−ベンジルオキシナフタレン、4−ベンジルビフェニル、アジピン酸ジフェニル、テレフタル酸ジベンジル、1,2−ビス(3,4−ジメチルフェニル)エタン、m−ターフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタンなどを挙げることができる。
【0058】
これらの熱可融性有機化合物の添加量は、染料前駆体1重量部に対して0.5重量部以上4.0重量部以下が好ましい。この添加量が染料前駆体1重量部に対して0.5重量部より少なくなると特に1色目の発色感度が悪くなる。この熱可融性有機化合物は加熱時に溶融し、染料前駆体および/または顕色剤に対する溶剤として働いていると考えられる。従って、この添加量が少なすぎると染料前駆体と顕色剤の拡散が律速となり、1色目の発色感度が低下する。添加量が染料前駆体1重量部に対して4.0重量部より多くなると1色目の発色感度としては十分に良好であるが、感熱記録層中の総固形分に対する染料濃度が相対的に低くなるため1、2色ともに画像濃度としては低くなる。また、この熱可融性有機化合物は発色した染料に対しても溶剤として働くため、添加量が多すぎると高温で発色する2色目の画像のまわりに低温で発色する1色目の縁取り(にじみ)が発生し、画像としての品質が悪くなる。
【0059】
本発明における染料前駆体は、すでに述べたように、加熱エネルギーによりただ1種の染料前駆体でも2色以上に発色するが、必要に応じて2種以上の本発明における染料前駆体を併用したり、以下に示す通常の感熱記録材料や感圧記録材料で使用されている従来公知の染料前駆体と併用することも可能である。
【0060】
このような一般に知られている染料前駆体としては、例えば下記に挙げるものなどがある。
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等。
【0061】
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等。
【0062】
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
【0063】
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等。
【0064】
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等。
【0065】
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等。
【0066】
また、本発明における顕色剤に、通常の感熱記録材料や感圧記録材料等で使われている顕色剤であるフェノール誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、N−スルホニル尿素誘導体や酸性白土等を併用して使用することも可能である。これらの顕色剤は、従来の染料前駆体と同様の発色機構である低温側の発色に特に有効である。
【0067】
好ましいフェノール誘導体として具体的には、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンゼンスルホニルオキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,4−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジアリル−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4′−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸クロロベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド等が挙げることができる。
【0068】
また、好ましいN−スルホニル尿素誘導体の具体例としては、N−(p−トルエンスルホニル)−N′−フェニル尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N′−(p−トリル)尿素、4,4′−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−ジフェニルメタン等が挙げられる。
【0069】
本発明の感熱記録材料を構成する感熱記録層の主成分は、以上で述べた染料前駆体、顕色剤および強酸の金属塩であるが、添加剤として熱可溶性有機化合物の他、感熱記録層に機械的な強度を持たせるための顔料やこれらの素材を接着するバインダーが更に添加される。顔料はまたサーマルヘッドに付着するカスを防止するのにも役立つ。バインダーは各素材同士または素材と支持体を接着して層を形成させる。
【0070】
顔料としては、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂などが挙げられる。
【0071】
また、バインダーとしては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩などの水溶性接着剤、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体などのラテックスなどが挙げられる。
【0072】
これらの素材の他に、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止などの目的で、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックスなどのワックス類、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール化合物などの酸化防止剤、さらに界面活性剤、蛍光染料などを必要に応じて添加することができる。
【0073】
本発明の感熱記録材料の製造方法の具体例としては、染料前駆体、顕色剤、強酸の金属塩、熱可融性有機化合物、顔料、バインダーおよび添加剤を水または有機溶媒に溶解または分散した塗工液を、支持体上に塗工後乾燥して感熱記録層を形成する方法と、染料前駆体、顕色剤、熱可融性有機化合物、顔料、バインダーおよび添加剤を水または有機溶媒に溶解または分散した塗工液を、支持体上に塗工後乾燥して形成させた感熱記録層上に、強酸の金属塩を溶解または分散した塗工液をオーバーコートして、強酸の金属塩を感熱記録層に含有させる方法などが挙げられる。
【0074】
感熱層用の塗工液の調製方法としては、各々の素材を単独もしくは混合して溶媒に溶解もしくは分散してから混合する方法が挙げられるが、これに特定されるものではない。分散する時は必要なら分散剤を用いてもよい。水が分散媒の場合の分散剤としては、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種の界面活性剤が挙げられる。水系の分散の際は、エタノール等の水溶性有機溶媒を混合してもよい。また、炭化水素類に代表される有機溶媒が分散媒の場合は、レシチンや燐酸エステル類等を分散剤に用いてもよい。
【0075】
本発明の感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂をラミネートした紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるが、これらに限定されるものではなく、これらは不透明、半透明あるいは透明のいずれであってもよい。地肌を白色その他の特定の色に見せるために、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中または表面に含有させても良い。フィルム等の親水性の小さい支持体に水系塗工液を塗るとき塗工が困難な場合は、コロナ放電等による親水化処理や、バインダーと類似の水溶性高分子類を支持体表面に薄く塗工して易接着処理してもよい。
【0076】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に単層の感熱記録層で2色以上に発色することが可能である。もちろん、感熱記録層は、各成分を一層ずつに含有させたり層別に配合比率を変化させたりして、2層以上の多層にしてもよい。また必要に応じて、支持体と感熱記録層との間に水溶性高分子や白色ないし有色染顔料や中空粒子のいずれか一つ以上を含む中間層を設けたり、感熱記録層上に保護層を設けることもできる。この場合、中間層および/または保護層は2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていてもよい。更に、感熱記録層中および/または他の層および/または感熱記録層が設けられている面と反対側の支持体の面に、電気的、光学的、磁気的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、感熱記録層が設けられている面と反対側の支持体の面に、ブロッキング防止、カール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
【0077】
なお、支持体上に感熱記録層および上述した各種の層を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来公知の方法を使用することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗工装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。さらに通常の乾燥工程の他、UV照射・EB照射により各層を形成することもできる。
【0078】
本発明の感熱記録材料を記録する手段は、支持体上に設けられた感熱記録層を加熱できるものであればいかなる方法でもかまわない。一般的には、記録装置の製造の容易性や経済性からサーマルヘッドや熱ペンによる加熱方式が用いられるが、この他、赤外線で加熱したり、レーザー光を光熱変換してヒートモードで利用したり、電子レンジ等で使われているような電磁波を応用することもできる。このような加熱手段を用いることにより、本発明の感熱記録材料を適切なエネルギーで加熱して1色目を発色させ、更にこのエネルギーより高いエネルギーで加熱することにより1色目と色調の異なる2色目を発色させることができる。ここで加熱のエネルギーとは単なる温度ではなく、加熱する時間のファクターも含めた数値である。
【0079】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。部数はいずれも重量部である。尚、表1および表2で例示されている染料前駆体については化合物番号のみで表した。また、この化合物番号および顕色剤につけた記号は、実施例および比較例の結果をまとめた表3で使用する。
【0080】
実施例1
(1)主素材の分散液の調製
(A液)60部のフルオラン系染料前駆体である化合物2(表1)を2.2%ポリビニルアルコール水溶液140部中にペイントコンディショナーで微粒化・分散し、染料前駆体分散液を得た。
(B液)次いで、4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛(化合物A)60部を2.2%ポリビニルアルコール水溶液140部中にペイントコンディショナーで微粒化・分散し、顕色剤分散液を得た。
(C液)また、2−ベンジルオキシナフタレン60部を2.2%ポリビニルアルコール水溶液140部中にペイントコンディショナーで微粒化・分散し、熱可融性有機物の分散液を得た。
(D液)更に、炭酸カルシウム30部を0.4%ポリビニルアルコール水溶液70部中にホモジナイザーで分散した。
【0081】
(2)感熱記録層用塗工液の調製
A液を10部、B液を30部、C液を20部、D液を30部、市販の40%ステアリン酸亜鉛分散液2.5部、および、硝酸マグネシウム(6水和物)6部を10%ポリビニルアルコール水溶液56部とイオン交換水11.5部中に溶解した水溶液を十分混合し、感熱記録層用塗工液を調製した。
【0082】
(3)感熱記録材料用支持体の作製
焼成カオリン100部、固形分濃度50%のスチレン/ブタジエン系ラテックス24部および水200部の配合により成る塗工液を、坪量40g/m2の原紙に固形分塗工量として9g/m2になる様に塗工後乾燥し、感熱記録材料用支持体を作製した。
【0083】
(4)感熱記録材料の作製
(2)で調製した感熱記録層用塗工液を(3)で作製した支持体に、染料前駆体の固形分としての塗工量が0.5±0.025g/m2となる様に塗工し乾燥させた後、 感熱記録層表面のベック平滑度が400〜500秒となるようにスーパーカレンダーで処理して感熱記録材料を作製した。得られた感熱記録材料の感熱層は白色であった。
【0084】
(5)印字評価
作製した感熱記録材料を、TDK製のサーマルヘッドLH4409を装着した大倉電気製感熱紙発色試験機TH−PMDを用いて、印加エネルギー範囲14〜154mj/mm2で印字した。発色した部分の画像濃度(OD)をマクベス濃度計RD918を用いて測定した。フィルターは、発色部の色調が黒の場合はビジュアルフィルターを、赤および赤紫の場合はグリーンフィルターを、そして青の場合はレッドフィルターを用いた。1色目の画像の飽和濃度を表す数値として印加エネルギー40mj/mm2で印字した部分の画像濃度(OD1)を、1色目から2色目の感度と2色目の飽和濃度を表す数値として、それぞれ印加エネルギー107、140mj/mm2で印字した部分の画像濃度(それぞれOD2、OD3)を選択し、表3に示した。なお、表3における、金属塩の添加比率とは、染料前駆体に対する金属塩の添加重量部の比で示してある。
【0085】
実施例2
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、硝酸亜鉛(6水和物)6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0086】
実施例3
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、硫酸亜鉛(7水和物)6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0087】
実施例4
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、フッ化亜鉛(4水和物)6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0088】
実施例5
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛0.9部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0089】
実施例6
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0090】
実施例7
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛15部を溶解した他は、実施例1と全く同様にしてやや赤みをおびた感熱記録材料を得た。
【0091】
実施例8
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸銅3部を溶解した他は、実施例1と全く同様にしてやや黄緑色みをおびた白色の感熱記録材料を得た。
【0092】
実施例9
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム4.5部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0093】
実施例10
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸スズ6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0094】
実施例11
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0095】
実施例12
実施例6で用いたフルオラン系染料前駆体である化合物2(表1)のかわりに、インドリルフタリド系染料前駆体の化合物26(表2)を用いたA液を使用した他は、実施例6と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0096】
実施例13
実施例6で用いた4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛(化合物A)のかわりに、2−(4−メチルフェニル)スルホニルアミノ安息香酸亜鉛(化合物B)を用いたB液を使用した他は、実施例6と全く同様にして白色の感熱記録材料を得た。
【0097】
実施例14
(1)感熱記録層の作製
実施例1と同じA液を10部、B液を30部、C液を20部、D液を30部、市販の40%ステアリン酸亜鉛分散液を2.5部、10%ポリビニルアルコール水溶液を56部およびイオン交換水11.5部を十分混合し、感熱記録層用塗工液を調製した。この感熱記録層用塗工液を、実施例1の(3)で作製した支持体に、染料前駆体の固形分としての塗工量が0.5±0.025g/m2となる様に塗工し乾燥させて、支持体上に強酸の金属塩が無添加の感熱記録層を作製した。
【0098】
(2)オーバーコート用塗工液の調製
水酸化アルミニウム30部を0.4%ポリビニルアルコール水溶液70部中にホモジナイザーで分散した。この水酸化アルミニウム分散液を10部と、硫酸亜鉛(7水和物)10部を10%ポリビニルアルコール水溶液50部とイオン交換水30部中に溶解した水溶液を十分混合して、オーバーコート用塗工液を調製した。
【0099】
(3)オーバーコートした感熱記録材料の作製
(2)で調製した硫酸亜鉛を溶解したオーバーコート用塗工液を、(1)で作製した強酸の金属塩が無添加の感熱記録層上に、総固形分としての塗工量が1.5±0.1g/m2となる様に塗工して乾燥させた後、 オーバーコート層表面のベック平滑度が400〜500秒となるようにスーパーカレンダーで処理して、オーバーコートした白色の感熱記録材料を作製した。
【0100】
実施例15
実施例14のオーバーコート用塗工液の硫酸亜鉛(7水和物)10部のかわりに、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛10部を溶解した他は、実施例14と全く同様にして、オーバーコートした白色の感熱記録材料を作製した。
【0101】
比較例1
実施例14の(1)の感熱記録層の作製と全く同様にして、支持体上に強酸の金属塩が無添加の感熱記録層を形成した。この感熱記録層表面のベック平滑度が400〜500秒となるようにスーパーカレンダーで処理して、強酸の金属塩が無添加の感熱記録材料を作製した。
【0102】
比較例2
比較例1で用いたフルオラン系染料前駆体である化合物2(表1)のかわりに、インドリルフタリド系染料前駆体の化合物26(表2)を用いたA液を使用した他は、比較例1と全く同様にして、強酸の金属塩が無添加の感熱記録材料を作製した。
【0103】
比較例3
(1)オーバーコート用塗工液の調製
水酸化アルミニウム30部を0.4%ポリビニルアルコール水溶液70部中にホモジナイザーで分散した。この水酸化アルミニウム分散液を10部、10%ポリビニルアルコール水溶液50部およびイオン交換水30部を十分混合して、強酸の金属塩が無添加のオーバーコート用塗工液を調製した。
【0104】
(2)感熱記録材料の作製
(1)で調製したオーバーコート用塗工液を、実施例14の(1)で作製した強酸の金属塩が無添加の感熱記録材料の感熱記録層上に、固形分としての塗工量が1.5±0.1g/m2となる様に塗工して乾燥させた後、 オーバーコート層表面のベック平滑度が400〜500秒となるようにスーパーカレンダーで処理して、オーバーコートした感熱記録材料を作製した。
【0105】
比較例4
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、酢酸亜鉛(2水和物)6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして感熱記録材料を得た。酢酸のpKaは4.56である。
【0106】
比較例5
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、乳酸亜鉛(3水和物)6部を溶解(一部未溶解で分散)した他は、実施例1と全く同様にして感熱記録材料を得た。乳酸のpKaは3.66である。
【0107】
比較例6
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、(塩基性)炭酸亜鉛6部を溶解(大部分未溶解で分散)した他は、実施例1と全く同様にして感熱記録材料を得た。炭酸のpKaは6.35である。
【0108】
比較例7
実施例1で用いた硝酸マグネシウム(6水和物)6部のかわりに、酢酸銅(II)(1水和物)6部を溶解した他は、実施例1と全く同様にして感熱記録材料を得た。
【0109】
【表3】
【0110】
表3の結果を見ると、低温側の発色部の画像濃度についてはそれほど大きな違いはないが、高温側の発色部については大きな差があることがわかる。2色目の感度を表すOD2が1.00より小さいと明らかに実用上問題があるので、最低でも1.00以上、好ましくは1.10以上が必要である。
【0111】
まず、比較例1の強酸の金属塩が無添加でフルオラン系染料前駆体を使用した感熱記録材料の系を見てみると、OD2が実用上十分ではないが一応問題のないレベルである。これに対して、各種の強酸の金属塩を含有した実施例1〜11の感熱記録材料では、OD2が余裕を持って1.10を越えており、実用上十分に満足ができる値を示している。一方、弱酸の金属塩を含有している比較例4〜7の感熱記録材料のOD2は、比較例1の無添加系のそれとほぼ同じか、逆に小さくなっている。これより、一般的な傾向として、強酸の金属塩を含有している系は、無添加系や弱酸の金属塩を含有している系より、高温側の2色目の発色感度が明らかに向上していることがわかる。また、強酸の種類について比較すると、超強酸といわれているトリフルオロメタンスルホン酸が、硝酸、硫酸やフッ化水素酸より、特に良いことがわかる。金属については、マグネシウムよりは亜鉛、銅、スカンジウムやスズの方が良好である。ただし、トリフルオロメタンスルホン酸銅の系は感度と発色濃度という点では問題はないが、実施例の項でも記載したように感熱記録層がわずかに黄緑色に着色しており、あまり好ましくはない。亜鉛、スカンジウムやスズ塩では感熱記録層は一般に白色である。ただし、実施例7で示したように添加量が多すぎると感熱層がわずかに赤く発色し、必要以上の添加は問題を発生させることがある。
【0112】
染料としてインドリルフタリド化合物を使用した比較例2と、それにトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛を含有させた実施例12を比較しても、フルオラン系染料前駆体の場合と同様の結果であった。また、実施例6と13の差は明瞭ではないことから、顕色剤が芳香族カルボン酸またはその金属塩であれば、強酸の金属塩の添加効果は実施例に示した顕色剤に特定のものではない。
【0113】
また、強酸の金属塩を感熱層の塗工液に添加せず、オーバーコート用塗工液に添加した実施例14と15も、比較例3に比べてOD2が高くなっている。これはオーバーコート用の塗工液に溶解している金属塩が、塗工した際感熱層にしみ込んだためと考えられ、金属塩は必ずしも感熱層の塗工液に添加する必要はなく、無添加の感熱層を形成させた後オーバーコートで金属塩を含有させても同様の効果が得られることがわかった。
【0114】
【発明の効果】
以上、実施例にて示したように、支持体上に、1分子内にフタリド基と一般式(1)で表される官能基を有する染料前駆体と芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩である顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、強酸の金属塩を含有させることにより、実用上十分な2色目の発色感度および濃度の画像を形成する2色感熱記録材料を提供することができた。
Claims (5)
- 支持体上に、1分子内にフタリド基と一般式(1)で表される官能基を有する一般式(2)で表される電子供与性染料前駆体と芳香族カルボン酸化合物またはその金属塩である電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料において、強酸の金属塩を含有することを特徴とする感熱記録材料。
- 該強酸の金属塩がマグネシウム、銅、スカンジウム、スズまたは亜鉛の塩である請求項1または2記載の感熱記録材料。
- 該強酸の金属塩が硝酸、硫酸、フッ化水素酸またはトリフルオロメタンスルホン酸の金属塩である請求項1または2記載の感熱記録材料。
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