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JP3588742B2 - 平版印刷版用アルミニウム合金板 - Google Patents

平版印刷版用アルミニウム合金板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用アルミニウム合金板に関し、更に詳しくは、電気化学的に粗面化するアルミニウム合金板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感光性平版印刷版の支持体には、通常アルミニウム合金が使用される。アルミニウム合金としては種々のもの、例えば鉄、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ニッケル、チタン等の金属とアルミニウムの合金が用いられる。一般的にはJIS規格A1050、同1100の板厚0.1〜0.5mmのアルミニウム合金圧延板が用いられる。
【0003】
このようなアルミニウム合金圧延板は、感光層との接着性、印刷時の湿し水の保水性を付与するために機械的手法、電気化学的手法、化学的手法あるいはこれらを組み合わせた手法によって表面を粗面化し、その後陽極酸化処理を施して印刷版に使用される。
【0004】
このようにして使用される平版印刷版用アルミニウム合金板は、粗面化処理後に不規則なムラや欠陥が生じたり、圧延方向に沿うストリークスと呼ばれる筋状のムラが生じることなく均一に凹凸を形成することが要求される。ムラや欠陥は、印刷時にインキ付着による地汚れの原因となりやすい。
【0005】
このようなムラや欠陥をなくすために、特開昭58−209597号では、アルミニウム合金中のFe、Sn、In、Ga及びZnの含有量と粗面粗さとピットサイズの規定、特開昭60−230951号ではMn及びSiの含有量の規定、特開昭62−80255号ではSi及びMnの含有量と熱処理方法の規定、特開昭62−86143号ではMg及びMnの含有量と結晶粒の幅の規定、特開平1−306288号ではSi、Fe、Mn及びCuの含有量の規定、特開平1−61293号ではMg、Si及びCu含有量の規定、特開平3−177528号ではSi、Fe、Cu、Ga、Ni及びTiの含有量の規定を提案している。
【0006】
また、特公昭62−41304号では、版面表層直下の金属間化合物粒子サイズを3μm以下とし、かつFe濃度の規定、特開平3−177529号では、Fe、Si及びCuの濃度範囲、DC鍛造法による鋳造、鋳塊加熱温度下限、金属間化合物量上限、金属間化合物中のSi濃度上限並びに5μm以上の金属間化合物粒子数%の上限の規定、特開平4−254545号では、FeとSiの濃度と比率の規定、圧延面における金属間化合物の平均直径と密度の規定、特開平7−138687号では、連続鋳造圧延法、金属間化合物粒子サイズ範囲、金属間化合物粒子数範囲、20μm以上の金属間化合物数%の上限の規定並びにFe、Si、Ti及びCuの濃度範囲の規定を提案しているが、いずれも前記品質要求を十分に満足させることはできなかった。
【0007】
本発明者は、前記品質要求を満たすための平版印刷版用アルミニウム合金板について詳細な研究を行った。その結果、後記する物性を満たすと、電気化学的粗面形状が非常に均一となり、印刷時の汚れ性を大幅に改善することを見いだした。そればかりか、印刷条件が過酷となるイソピロピルアルコールを含有しない湿し水(IPAフリー湿し水)による印刷適性及び再生紙を使用した際の印刷適性が飛躍的に向上するという新たな効果を見出し、本発明に到達したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、IPAフリー湿し水使用時の印刷適性(地汚れ、ストップ汚れ、ブランケット汚れ)及び再生紙使用時の印刷適性(ブランケット汚れ、耐刷性)に優れた平版印刷版用アルミニウム合金板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は下記(1)〜(4)によって達成される。
【0010】
(1) アルミニウム合金板表層において、直径0.5〜2.0μmの金属間化合物粒子が1mmあたり5000〜15000個であり、かつAl−Fe系金属間化合物粒子数/Al−Fe−Si系金属間化合物粒子数の比が0.7以上である事を特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板。
【0011】
(2) 最大の金属間化合物粒子の直径が8μm以下であり、かつ直径2.0μmを越える金属間化合物粒子が1mmあたり150個以下であることを特徴とする上記(1)に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
【0012】
(3) 上記(1)に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板において、電気化学的粗面化前の表面において、直径5μm以上、最大深さ1μm以上の凹状欠陥が1mm2あたり0〜80個であることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板。
【0013】
(4) 前記凹状欠陥が1mm2あたり0〜20個であることを特徴とする上記(3)に記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
【0014】
なお、特に好ましい態様は、上記(1)〜(4)を全て満たすアルミニウム合金板である。
【0015】
以下、本発明について詳述する。
【0016】
請求項1に係る発明は、アルミニウム合金板表層における直径0.5〜2.0μmの金属間化合物粒子を1mmあたり5000〜15000個とし、かつAl−Fe系金属間化合物粒子数/Al−Fe−Si系金属間化合物粒子数の比を0.7以上とし、好ましくは、この条件に加えて、最大の金属間化合物粒子の直径を8μm以下とし、かつ直径2.0μmを越える金属間化合物粒子が1mmあたり150個以下とするものである。これらの条件を満たすことによって本発明の目的が達成される原因は明らかではないが、以下の様に推定される。
【0017】
電気化学的粗面化において、表層に存在する金属間化合物粒子の大半を占めるAl−Fe系粒子、及びAl−Fe−Si系粒子はエッチングの起点となりピットに成長する。これら金属間化合物粒子のサイズが大きいと粗大なピットとなり、小さすぎるとピット形状に到達しない。また、金属間化合物粒子が適度に分散しているとピットが非常に均一に分布し、優れた粗面形状が得られる。金属間化合物粒子数が少ないとピットの起点が不足し、分布が不均一となる。そればかりか、金属間化合物粒子以外でエッチングが進行し、粗大なピットが発生してしまう。また粒子数が多すぎるとピットが重なり、均一な粗面形状が得られない。
【0018】
更に、Al−Fe系金属間化合物粒子はAl−Fe−Si系金属間化合物粒子よりも電気化学的溶解性に優れ、ピットの起点として働く作用が強い。そしてAl−Fe系金属間化合物粒子数/Al−Fe−Si系金属間化合物粒子数の比が低い場合にはピットの成長効率が下がり、粗大なピットが発生しやすい。
【0019】
請求項3に係る発明は、電気化学的粗面化前の表面において、直径5μm以上、最大深さ1μm以上の凹状欠陥を1mmあたり0〜80個とし、好ましくは、該凹状欠陥を1mmあたり0〜20個とするものである。上記条件を満たすことによって本発明の目的が達成される原因は明らかではないが、電気化学的粗面化前の表面に、アルミニウム合金圧延時の欠陥やアルカリ脱脂時に発生した粗大ピット等が存在すると、電気化学的粗面化後も欠陥として残存し、印刷性能を悪化させるが、上記表面形状の欠陥を減少させることにより本発明の目的が達成されるものと推測される。
【0020】
請求項1〜4に係る発明における平版印刷版用アルミニウム合金板の組成は、Al以外の金属添加量としてはJIS規格A1050程度の量(Fe:0.40%以下、Si:0.25%以下、Cu:0.05%以下、Mn:0.05%以下、Mg:0.05%以下、Zn:0.05%以下、Ti:0.03%以下)であれば請求項1〜4に係る発明のアルミニウム合金板を得ることができる。請求項1〜4に係る発明においてはFe濃度を0.3%以上、Si濃度を0.10%以下にすることが好ましい。また、Fe濃度をJIS規格A1050の濃度以上にしてもよい。
【0021】
請求項1〜4に係る発明のアルミニウム合金板の製造方法は、アルミニウム合金板の物性が本発明の各請求項に規定する条件を満たすものであればどのように行っても構わないが、以下に例を示す。
【0022】
請求項1又は2に係る発明のアルミニウム合金板の表層における金属間化合物の前記条件を達成するためには、アルミニウム合金板中のFe及びSi組成と共に鋳造工程におけるアルミニウム合金溶融物の冷却速度の管理を厳密に行うことが重要である。一つの例としては、850〜950℃に保持した状態から5〜30℃/秒で400℃まで水冷により冷却する。冷却速度が5℃/秒未満であると金属間化合物粒子が粗大となり、また30℃/秒を超えると金属間化合物粒子が過小あるいは過多となり、請求項1又は2に係る発明のアルミニウム合金板の表層における前記条件を満足する金属間化合物の析出を達成できないことが多い。
【0023】
請求項3又は4に係る発明のアルミニウム合金板の表面の凹状欠陥は、アルミニウム合金板の冷間圧延工程の管理で達成することができる。一つの例としては、最終冷間圧延工程において2回の圧延処理を施し、後部圧延ロールでの第2段階圧延率を前部圧延ロールでの第1段階圧延率の10〜20%増とする。10%未満の増加では第1段階の圧延で発生した凹状欠陥を減少することができず、20%を超える増加率では第2段階の圧延で表面の欠陥が発生し、請求項3又は4に係るアルミニウム合金板の表面の凹状欠陥の条件を達成することができないことが多い。また、通常は後部圧延ロールは前部圧延ロールよりもロール表面粗さが低いものを用いる。
【0024】
請求項1又は2に係る発明において、アルミニウム合金板の表層とは、以下に述べる測定法によって規定される。
【0025】
アルミニウム合金板表層の金属間化合物粒子の測定は、電気化学的粗面化処理前の表面で行うことが理想であるが、実際には圧延筋や微細な傷、異物などが存在するために判別がつかない。そのために表面の平滑化処理を行う必要がある。平滑化処理方法は、電解鏡面研磨手法が効率が良く好ましい。また研磨深さは表面から5μm以内とし、脱脂及び電気化学的粗面化によってエッチングされる深さと同等とすることが重要である。また、金属間化合物粒子をより判別しやすくするためにアルカリ水溶液に短時間浸漬してもよい。
【0026】
粒子径の測定は、圧延方向を垂直方向あるいは水平方向に固定した観察により得られたSEM像を用いて、以下の式に従って行う。
【0027】
粒子径=(2本の垂直線で粒子を挟んだ時の2本の垂直線間の距離+2本の水平線で粒子を挟んだ時の2本の水平線間の距離)/2
測定は最低でも0.02mmの範囲で行う。また、粒子個数の測定では上記計算式での直径が0.5μm未満の粒子はカウントしない。
【0028】
粒子の組成測定は、SEM及びEPMAを使用する。Al−Fe系粒子、Al−Fe−Si系粒子の判別は、個々の粒子を測定して得られたEPMAチャートにおいてFeピーク強度が1Kcounts以上であり、かつFeピーク強度/Siピーク強度比が50以上の時にAl−Fe粒子とみなす。
【0029】
電気化学的粗面化前のアルミニウム合金板表面欠陥の測定は、プローブ形状の影響を抑えるために光学式非接触3次元粗さ計を用いることが好ましい。直径は金属間化合物粒子径と同様の手法で求める。欠陥個数の計測は最低でも0.10mmの範囲で行い、1mmあたりの個数に換算する。
【0030】
請求項1〜4に係る発明のアルミニウム合金板を用いて平版印刷版の版材又は感光性平版印刷版の支持体とするには版面となる表面の粗面化及び陽極酸化を行うが、粗面化に先立ってアルミニウム合金板の表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施す。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる方法、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いる方法、苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いる方法等があるが、これらのうちアルカリ水溶液を用いる方法が好ましい。脱脂処理にアルカリ水溶液を用いた場合、他の脱脂処理では除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。しかしこの場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、続いて燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、またはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
【0031】
アルミニウム合金板の粗面化の方法としては、機械的粗面化方法、電気化学的粗面化方法、電気化学的粗面化方法等を用いることができるが、請求項1〜4に係る発明では少なくとも電気化学的粗面化を行う。電気化学的粗面化処理条件としては、例えば、塩酸濃度1〜10wt%、液温5〜50℃、電流密度20〜100A/dm、電気量100〜800C/dmの範囲が挙げられる。
【0032】
電気化学的粗面化処理を行った後には酸またはアルカリによる化学的な処理を行うことが好ましい。この処理の目的は、電気化学的粗面化処理後の表面に残存しているスマット等を取り除くためである。酸としては、例えば硫酸、燐酸、硝酸、塩酸等が含まれ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が含まれる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。上記処理をアルカリの水溶液で行った場合、支持体の表面にはアルカリに不溶性のスマットが生成するので、この場合には硫酸、燐酸、硝酸等の酸、あるいはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
【0033】
陽極酸化は従来からこの分野で行われている手法で行うことができる。具体的には硫酸、りん酸、しゅう酸、スルファミン酸あるいはこれらの2種以上を組み合わせ含有する水溶液中でアルミニウムに直流電流を流して粗面の表層に陽極酸化皮膜を形成させる。陽極酸化の条件は使用される電解液によって種々変化するが、一般的には電解液の濃度が1〜30wt%、液温5〜50℃、電流密度2〜10A/dm、電圧5〜50V、電解時間1〜100秒の範囲で0.5〜5g/mの酸化皮膜量とするのが適当である。また、これらの陽極酸化処理で硫酸、りん酸の電解液を用いる手法が一般的である。
【0034】
陽極酸化処理されたアルミニウム合金板は更に、米国特許第2,714,066号、第3,181,461号、第3,280,734号、第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えば珪酸ナトリウム水溶液)法、特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム、米国特許第3,276,868号、第4,153,461号、第4,689,272号に開示されているポリビニルスルホン酸で処理する方法、特開昭56−21126号に開示されている親水性樹脂と水溶性塩からなる下塗層を設ける方法、特開昭64−14090号に開示されているカルボン酸塩からなる下塗層を設ける方法、特開昭63−130391号に開示されている少なくとも1つのアミノ基と、カルボキシル基およびスルホ基から選ばれた少なくとも1つの基とを有する化合物の無機酸塩及び有機酸塩から選ばれた少なくとも1つからなる親水層を設ける方法、特開昭63−165183号に開示されている少なくとも1つのアミノ基と、ホスホン基又はホスホン基の塩を含む親水層を設ける方法等により親水化処理を施してもよい。
【0035】
次に、このように処理したアルミニウム支持体上に感光層を設け感光性平版印刷版とすることができる。該感光層としては、光架橋性感光性樹脂組成物、例えば、米国特許第3,030,208号明細書、同第3,435,237号明細書、同第3,622,320号明細書等に記載されているような重合体主鎖中に感光基として−CH=CH−CO−を有する感光性樹脂及び重合体の側鎖に感光基を有するポリビニルシンナメート等;光重合系感光性樹脂組成物、例えば、付加重合性不飽和化合物及び光重合開始剤を含有する光重合性組成物;ジアゾ化合物、例えば芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとの縮合物で代表されるジアゾ樹脂及び結合剤を含有する感光性組成物;o−キノンジアジド化合物、例えばo−ナフトキノンジアジドスルホン酸とフェノール類及びアルデヒド又はケトンとの重縮合樹脂とのエステル化合物等及びノボラック樹脂のようなアルカリ可溶性樹脂を含有する感光性組成物等が代表的なものとして挙げられる。
【0036】
【実施例】
次に、本発明を実施例でより具体的に説明する。
【0037】
実施例1〜3、比較例1〜3(請求項1又は2に係る発明の実施例及び比較例)
下記表1に示すFe濃度及びSi濃度を有するアルミニウム合金をそれぞれ溶製し、微細多孔質フィルターを用いて濾過した。その後、表1に示す冷却速度で400℃まで冷却した。冷却速度の管理は、その後の鋳造物切削時に表面となる位置で行った。
【0038】
鋳造物の全面を面削して厚さ380mm、幅1000mm、長さ2400mmの鋳塊とし、480℃、5時間の均質化処理を施し、熱間圧延により厚さ6.0mmの板状にした。一次冷間圧延によって2.2mmの厚さとした後、420℃、3時間の中間焼純を行った。続いて第1段階の最終冷間圧延によって厚さを0.6mmとし、第2段階の最終冷間圧延で最終的に厚さ0.3mmの平版印刷版用アルミニウム合金板1〜6を得た。最終冷間圧延率は、第1段階で73%、第2段階で86%である。これらのアルミニウム合金板1〜6について、電解鏡面研磨により表面から約3μm研磨した面について金属間化合物の観察を行ったところ、表1に示した結果となった。
【0039】
【表1】
Figure 0003588742
【0040】
アルミニウム合金板1〜6を85℃に保たれた10%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、30秒間脱脂処理を行った後水洗した。続いて25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に1分間浸漬し、デスマット処理した後水洗した。次に1.0%の塩酸水溶液中において、温度30℃、電流密度50A/dmの条件で50Hzの正弦波交流電流により30秒間電解粗面化した。その後、60℃に保たれた10%水酸化ナトリウム水溶液中に10秒間浸漬し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に20秒間浸漬し、デスマット処理した後水洗した。続いて、20%硫酸水溶液中で温度30℃、電流密度3A/dmの条件で60秒間陽極酸化処理を行った。
【0041】
次に、下記組成の感光性組成物塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥し、ポジ型感光性平版印刷版を得た。このとき、感光性組成物塗布液は乾燥重量として2.0g/mとなるようにした。
【0042】
感光性組成物塗布液
ノボラック樹脂(フェノール/m−クレゾール/p−クレゾールのモル比
が10/54/36でMwが4000) 6.70g
ピロガロールアセトン樹脂(Mw:3000)とo−ナフトキノンジアジド
−5−スルホニルクロリドの縮合物(エステル化率30%)1.50g
ポリエチレングリコール#2000 0.20g
ビクトリアピュアブルーBOH(保土ヶ谷化学(株)製) 0.08g
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシスチリル)−s−
トリアジン 0.15g
FC−430(住友3M(株)製) 0.03g
cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸 0.02g
メチルセロソルブ 100ml
得られた感光性平版印刷版を80cm×60cmに切断し、光源として4kWメタルハライドランプを使用し、8mW/cm60秒間照射することにより露光した。この露光済みの感光性平版印刷版を、市販されている現像液(SDR−1、コニカ(株)製、6倍に希釈、現像時間40秒、現像温度30℃)で現像した、こうして得られた印刷版1〜6(それぞれアルミニウム合金板1〜6に対応する)について下記評価方法でIPAフリー湿し水印刷適性及び再生紙使用時印刷適性の評価を行ったところ、下記表2に示す結果が得られた。
【0043】
(評価方法)
〔IPAフリー湿し水印刷適性〕
地汚れ
得られた平版印刷版を、バーニング装置を用いて250℃で60秒間の加熱を行った。室温冷却後十分水洗し、ガム引きを行って印刷機(三菱重工業(株)社製DAIYA1F−1)にかけ、コート紙、IPAフリー湿し水(イオン交換水)、インキ(東洋インキ製造(株)ハイプラスM紅)を使用して印刷を行い、以下に示した分類により汚れの程度を目視により評価した。
【0044】
○:汚れが生じなかった
△:わずかに汚れた
×:部分的〜全面が汚れた
ストップ汚れ
得られた平版印刷版を地汚れ性の評価と同様の条件で印刷を行い、5000枚刷った時点でいったん印刷機を停止し、1時間放置した後印刷を開始し、発生した微点状の汚れを100cm内の個数で評価した。
【0045】
ブランケット汚れ
得られた平版印刷版を地汚れ性の評価と同様の条件で印刷を行い、10,000枚刷った時点で印刷機を停止し、ブランケット上の非画線部のインキによる汚れの程度を目視にて評価した。
【0046】
○:ほとんど汚れていない
△:ごくわずかに汚れている
×:著しく汚れている
〔再生紙使用時印刷適性〕
ブランケットの汚れ
得られた平版印刷版を、印刷機(三菱重工業株製DAIYA1F−1)にかけ、再生紙、湿し水(東京インキ(株)製エッチ液SG−51濃度1.5%)、インキ(東洋インキ製造(株)製ハイプラスM紅)を使用して印刷を行い、10,000枚刷った時点で印刷機を停止し、ブランケット上の非画線部のインキによる汚れの程度を目視にて評価する。
【0047】
○:ほとんど汚れていない
△:ごくわずかに汚れている
×:著しく汚れている
耐刷性
得られた平版印刷版を、ブランケットの汚れ評価と同様にして印刷を行い、印刷物の画像部にインキ着肉不良が現れるか、または非画像部にインキが付着するまで印刷を行い、その時の印刷枚数を耐刷性として評価した。
【0048】
【表2】
Figure 0003588742
【0049】
実施例4、5及び比較例4(請求項3又は4に係る実施例及び比較例)
前記アルミニウム合金板1を実施例4とする。
【0050】
中間焼純後の第1段階の最終冷間圧延によって厚さ0.7mmとした以外は実施例1と同様にして厚さ0.3mmのアルミニウム合金板7を得た。最終冷間圧延率は、第1段階で68%、第2段階で86%である。(実施例5)
中間焼純後、1回の冷間圧延によって厚さ0.3mmとした以外は実施例1と同様にしたアルミニウム合金板8を得た。(比較例4)
アルミニウム合金板1、7及び8について、85℃に保たれた10%水酸化ナトリウム水溶液に30秒間浸漬した。水洗した後に25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に1分間浸漬し、再び水洗した時の表面の凹状欠陥を測定したところ、下記表3に示す結果となった。
【0051】
【表3】
Figure 0003588742
【0052】
印刷版1〜6と同様にしてアルミニウム合金板7及び8からそれぞれ印刷版7及び8を得た。これらの版について各種評価を行ったところ下記表4に示す結果が得られた。
【0053】
【表4】
Figure 0003588742
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、IPAフリー湿し水使用時の印刷適性(地汚れ、ストップ汚れ、ブランケット汚れ)及び再生紙使用時の印刷適性(ブランケット汚れ、耐刷性)に優れた平版印刷版用アルミニウム合金板を提供することができる。

Claims (4)

  1. アルミニウム合金板表層において、直径0.5〜2.0μmの金属間化合物粒子が1mm2あたり5000〜15000個であり、かつAl−Fe系金属間化合物粒子数/Al−Fe−Si系金属間化合物粒子数の比が0.7以上であることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板。
  2. 最大の金属間化合物粒子の直径が8μm以下であり、かつ直径2.0μmを越える金属間化合物粒子が1mm2あたり150個以下であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1記載の平版印刷版用アルミニウム合金板において、電気化学的粗面化前の表面において、直径5μm以上、最大深さ1μm以上の凹状欠陥が1mm2あたり0〜80個であることを特徴とする平版印刷版用アルミニウム合金板。
  4. 前記凹状欠陥が1mm2あたり0〜20個であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版用アルミニウム合金板。
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