JP3585465B2 - 伸縮性コード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドホン、イヤホン、マイクロホン、イヤホン・マイクロホン等とスピーカ、オーディオ機器、映像機器等とを接続するための伸縮性コードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヘッドホン等とオーディオ機器等とを接続するためのコードとして、例えば、3組(3極)の絶縁電線が、ビニール等の外部被覆部材で被覆されたものが知られている。外部被覆部材内の各絶縁電線は、ウレタン被覆等で絶縁被覆された複数本の銅線等で構成されている。
【0003】
このようなコードは、例えば、一端にヘッドホン等が接続され、他端にプラグが接続される。そして、オーディオ機器等に設けられたレセプタクルにプラグを挿入すれば、ヘッドホン等とオーディオ機器とが、コードによって電気的に接続される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のコードでは、次のような課題があった。
例えば、ヘッドホン等に接続されるコードでは、伸縮しないので、屈曲や引張り、あるいは引掛け等によって該コードに折曲げ応力や張力が働くと、コードが断線したり、あるいはコードとプラグや機器等との接続箇所が断線しやすくなるという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、絶縁電線を被覆しているビニール等の外部被覆部材の肉厚を厚くして、屈曲強度や引張り強度を大きくすることも行われている。しかし、引掛け等によってコードとプラグや機器等との接続箇所の断線を防止することができないばかりか、外部被覆部材の肉厚を厚くすることによってコード全体の重量が増加して重くなる。一方、軽量化のために、外部被覆部材の肉厚を薄くしてコードを細くすると、屈曲強度や引張り強度が小さくなって断線しやすくなるばかりか、ヘッドホン等を使用しない時にコードを束ねた場合、このコードが絡まりやすいので、使い勝手が悪い等といった課題があった。
【0006】
そのため、軽量で、絡まりにくく、しかも、断線しにくく、使い勝手のよい伸縮性コードが望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明のうちの第1の発明は、ヘッドホン等に使用される伸縮性コードにおいて、単線又は撚線からなる複数本の絶縁電線と、前記複数本の絶縁電線の周りに該絶縁電線に沿って配設され、伸び率数百%の伸縮性を有し、張力をかけると、弾性変形により長さが伸びて外径が小さくなり、該張力を解除すると、弾性復元力により元の長さに縮んで外径が大きくなる複数本の弾性繊維と、前記複数本の絶縁電線の周りに配設された前記複数本の弾性繊維にのみ所定の張力をかけた状態で、該複数本の弾性繊維の外周に沿って、絶縁性繊維が所定の編組密度で編まれ、該張力が解除されると、該弾性繊維の弾性復元力により該弾性繊維の外径が大きくなって該絶縁性繊維の編組密度が大きくなる外部被覆部材とを備えている。
【0014】
これにより、伸縮性コードに張力が加わらない時には、内部の複数本の弾性繊維が弾性復元力により縮んで外径が大きくなっており、この縮みに追従して内部の複数本の絶縁電線が屈曲変形して縮んでいる。引張りや引掛け等によって伸縮性コードに張力がかかると、外部被覆部材の編組密度が小さくなって(即ち、粗くなって)伸びる。これに追従して内部の弾性繊維及び絶縁電線の長さが伸びる。張力が解除されると、弾性繊維の弾性復元力によって伸縮性コードが元の長さに縮む。
【0015】
第2の発明は、第1の発明の伸縮性コードにおいて、前記複数本の絶縁電線は、撚合されている。これにより、撚合された複数本の絶縁電線は、この周りの複数本の弾性繊維によって内部に保持され、外部被覆部材からの飛び出しが阻止される。
【0016】
第3の発明は、第1又は第2の発明の伸縮性コードにおいて、前記弾性繊維は、ポリウレタン繊維で形成している。
【0017】
第4の発明は、伸縮性コードにおいて、撚合された複数本の絶縁電線と、前記複数本の絶縁電線の外周を、直接又は保護被覆部材を介して覆う弾性チューブと、前記複数本の絶縁電線及び前記弾性チューブに所定の張力をかけた状態で、該弾性チューブの外周に沿って、繊維が所定の編組密度で編まれた外部被覆部材とを有し、前記弾性チューブ及び前記外部被覆部材が、加熱処理によりカール状に塑性変形されている。
【0018】
これにより、弾性チューブ及び外部被覆部材がカール状に塑性変形されているので、伸縮性コードに張力がかからない時には、コード全体の長さが縮んでいる。引張りや引掛け等によって伸縮性コードに張力がかかると、弾性チューブが弾性変形して伸びると共に、繊維で編まれた外部被覆部材の編組密度が小さく(即ち、粗く)なって該弾性チューブに追従して伸びていき、コード全体が伸びる。張力が解除されると、弾性チューブの復元力によって該弾性チューブがカール状に縮むと共に、これに追従して外部被覆部材の編組密度が大きくなり、コード全体の長さが元の長さに縮む。
【0019】
第5の発明は、伸縮性コードにおいて、1本又は複数本の補強繊維と共に撚合された複数本の絶縁電線と、前記1本又は複数本の補強繊維と前記複数本の絶縁電線との外周を、直接又は保護被覆部材を介して覆う弾性チューブと、前記1本又は複数本の補強繊維、前記複数本の絶縁電線、及び前記弾性チューブに所定の張力をかけた状態で、該弾性チューブの外周に沿って、繊維が所定の編組密度で編まれた外部被覆部材とを有し、前記弾性チューブ及び前記外部被覆部材が、加熱処理によりカール状に塑性変形されている。
これにより、1本又は複数本の補強繊維が複数本の絶縁電線と共に撚合されているので、該補強繊維によって引張力等の機械的強度が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の参考例)
図3(a)〜(c)は本発明の第1の参考例を示す単芯の伸縮性コードの構成図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は張力をかけた時の縦断面図、及び同図(c)は張力をかけない時の縦断面図である。
【0021】
この単芯の伸縮性コード10は、例えば、外径が1mm程度であり、中心に外径が0.8mm程度の1本又は複数本の弾性繊維11が設けられている。弾性繊維11は、伸び率数百%の伸縮性を有し、張力をかけると、図1(b)に示すように、弾性変形により長さが伸びて外径が小さくなり、張力を解除すると、図1(c)に示すように、弾性復元力により元の長さに縮んで外径が大きくなる繊維であり、例えば、ポリウレタン繊維等で形成されている。
【0022】
弾性繊維11の外周は、編組12で被覆されている。編組12は、単線又は撚線の銅線等の金属線12aで編まれたものである。銅線等の金属線12aは、例えば、外径が0.06mm程度であり、裸線、あるいはポリウレタン等の合成樹脂で被覆された被覆線で構成されている。編組12は、弾性繊維11に所定の張力をかけた状態で、該弾性繊維11の外周に沿って金属線12aが所定の編組密度で編まれ、張力が解除されると、弾性繊維11の弾性復元力で該弾性繊維11が縮むことによって該金属線12aの編組密度が大きくなり、該弾性繊維11の外周面を圧接した状態で被覆している。
【0023】
このような単芯の伸縮性コード10は、例えば、次のようにして製造される。
予め、弾性繊維11をドラムに巻取っておくと共に、金属線12aをボビンに巻取っておく。編組打ち機に、金属線12aが巻かれたボビンを複数個セットし、ドラムから繰出された弾性繊維11を中央にセットし、図1(b)に示すように、この弾性繊維11に所定の張力をかけた状態で、該弾性繊維11の周囲に金属線12aを複数打ちして編組12を形成する。編組12を形成した後、弾性繊維11への張力を小さくすると、図1(c)に示すように、弾性復元力によって弾性繊維11が縮んで外径が大きくなり、この周りを覆っている編組12の長さを縮めつつ外径方向に押拡げようとするので、該編組12の編組密度が大きくなり(即ち、編まれた金属線間の距離が小さくなり)、この編組12が圧接した状態で弾性繊維11の外周面に保持される。弾性繊維11の外周を編組12で被覆した後、ドラムに巻取れば、伸縮性コード10の製造が終了する。
【0024】
このようにして製造された単芯の伸縮性コード10を使用する場合、用途に応じて所定の長さに切断し、ヘッドホンやプラグ等に半田付け等で接続すれば、この伸縮性コード10によってヘッドホン等の電気信号の伝送が行える。又、第2の実施形態で説明するように、この伸縮性コード10の外周を絶縁性被覆部材で被覆し、種々の用途に使用するようにしてもよい。
【0025】
この第1の参考例では、次の(1)、(2)のような作用、効果がある。
(1)伸び率数百%の伸縮性を有する弾性繊維11の外周を、金属線12aからなる編組12で被覆しているので、張力をかけない時には、編組密度の大きな編組12が弾性繊維11の外周面を圧接し、張力をかけた時には、弾性繊維11が伸びるが、これに圧接している編組12も、編組密度が小さくなって伸びる。この際、編組12によって弾性繊維11が中心軸方向へ締付けられ、該弾性繊維11の伸びが数倍に抑えられるので、該弾性繊維11の切断を防止できる。しかも、曲げ応力や張力が加わっても、これに対応して伸縮性コード10が弾性変形するので、切断しにくく、屈曲強度及び引張り強度等の機械的強度が大きい。
【0026】
(2)引張りや引掛け等によって伸縮性コード10に張力が加わっても、これに対応して伸縮性コード10が伸縮するので、プラグや機器等との接続箇所が断線しなくなる。しかも、弾力性があるので、絡まりにくく、使い勝手がよい。
【0027】
(第2の参考例)
図4(a)〜(c)は本発明の第2の参考例を示す単芯の伸縮性コードの構成図であり、同図(a)は斜視図、同図(b)は張力をかけた時の縦断面図、及び同図(c)は張力をかけない時の縦断面図であり、第1の参考例を示す図3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0028】
この単芯の伸縮性コード20は、図3の伸縮性コード10の外周が被覆部材21で絶縁被覆された外径が1.2mm程度の絶縁電線である。
即ち、弾性繊維11の外周に編まれた金属線12aからなる編組12を有する図3の伸縮性コード10の外周が、被覆部材21で被覆されている。被覆部材21は、太さが数十デニール(但し、デニールは9000mが1gの糸を1とした数値)の絶縁性繊維(例えば、地球環境に優しい非塩化ビニール系のポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の合成繊維等)21aで編まれた編組で形成されている。被覆部材21は、図4(b)に示すように、弾性繊維11及び編組12に所定の張力をかけた状態で、該編組12の外周に沿って絶縁性繊維21aが所定の編組密度で編まれ、図4(c)に示すように、張力が解除されると、弾性繊維11の弾性復元力で該弾性繊維11が縮むことによって該絶縁性繊維21aの編組密度が大きくなり、該編組12の外周面を圧接した状態で被覆している。
【0029】
このような単芯の伸縮性コード20は、例えば、次のようにして製造される。
予め、弾性繊維11及び編組12からなる図3の伸縮性コード10を、ドラムに巻取っておく。編組打ち機に、絶縁性繊維21aが巻かれたボビンを複数個セットし、ドラムから繰出された図1の伸縮性コード10を中央にセットし、図4(b)に示すように、この伸縮性コード10に所定の張力をかけた状態で、該伸縮性コード10の周囲に絶縁性繊維21aを複数打ちして編組を施して被覆部材21を形成する。被覆部材21を形成した後、伸縮性コード10への張力を小さくすると、図4(c)に示すように、弾性繊維11の弾性復元力により伸縮性コード10の長さが縮んで外径が大きくなり、その縮みによって編組12の外周面に圧接している被覆部材21の編組密度が大きくなる。伸縮性コード10の外周を被覆部材21で被覆した後、ドラムに巻取れば、伸縮性コード20の製造が終了する。
【0030】
このようにして製造された伸縮性コード20を使用する場合、用途に応じて所定の長さに切断する。切断された伸縮性コード20の両端部の被覆部材21を剥離し、金属線12aからなる編組12を露出させる。そして、この露出させた編組12を、半田付け等によってヘッドホンやプラグ等に接続すれば、この伸縮性コード20によってヘッドホン等の電気信号の伝送が行える。
【0031】
この第2の参考例では、第1の参考例の作用、効果の他に、さらに次の(a)のような作用、効果がある。
(a)被覆部材21を、絶縁性繊維21aによる編組で形成しているので、コード全体を軽量化できると共に、機械的強度を向上できる。このため、コード全体の軽量化により、首等にかけた時の身体への負担等を軽減できる。
【0032】
(第3の参考例)
図5は、本発明の第3の参考例を示す3芯の伸縮性コードの斜視図であり、第2の参考例を示す図4中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0033】
この3芯の伸縮性コード30は、図4の単芯の伸縮性コード20でそれぞれ構成された3本の絶縁電線20−1〜20−3を有し、この3本の絶縁電線20−1〜20−3の外周が外部被覆部材31で被覆されている。外部被覆部材31は、絶縁性繊維(例えば、地球環境に優しい非塩化ビニール系のポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の合成繊維等)31aで編まれた編組で形成されている。外部被覆部材31は、3本の絶縁電線20−1〜20−3に所定の張力をかけた状態で、この絶縁電線20−1〜20−3の外周に沿って絶縁性繊維31aが所定の編組密度で編まれ、張力が解除されると、絶縁電線20−1〜20−3の弾性復元力で該絶縁電線20−1〜20−3が縮むことによって該絶縁性繊維31aの編組密度が大きくなり、該絶縁電線20−1〜20−3の外周面を圧接した状態で被覆している。
【0034】
このような3芯の伸縮性コード30は、例えば、次のようにして製造される。
予め、3本の絶縁電線20−1〜20−3をドラムに巻取っておく。編組打ち機に、絶縁性繊維31aが巻かれたボビンを複数個セットし、ドラムから繰出された絶縁電線20−1〜20−3を中央にセットし、この絶縁電線20−1〜20−3に所定の張力をかけて長さを伸ばした状態で、該絶縁電線20−1〜20−3の周囲に絶縁性繊維31aを複数打ちして編組を施して外部被覆部材31を形成する。その後、張力を小さくすると、絶縁電線20−1〜20−3の弾性復元力により長さが縮んで外径が大きくなるので、これをドラムに巻取れば、伸縮性コード30の製造が終了する。
このようにして製造された3芯の伸縮性コード30は、種々の用途に使用できる。
【0035】
この第3の参考例では、第1及び第2の参考例の作用、効果の他に、さらに次の(b)、(c)のような作用、効果がある。
(b)図2の単芯の伸縮性コード20に対し、3芯用に適した用途に使用できる。
【0036】
(c)絶縁電線20−1〜20−3の被覆部材21の色彩や編み方等を変えることにより、自由度の高いデザインを施すことが可能となり、これによって装飾的価値を向上できる。
【0037】
(第1の実施形態)
図1(a)、(b)は本発明の第1の実施形態を示す3芯の伸縮性コードの構成図であり、同図(a)は斜視図、及び同図(b)は縦断面図である。
この3芯の伸縮性コード40は、3本の絶縁電線41−1〜41−3を有している。各絶縁電線41−1〜41−3は、単線又は撚線の銅線等の金属線41aを有し、この金属線41aがポリウレタン等の合成樹脂等で形成された被覆部材41bによって被覆されている。絶縁電線41−1〜41−3の周りには、この絶縁電線41−1〜41−3に沿って、複数本の弾性繊維42が配設されている。各弾性繊維42は、図3の弾性繊維11とほぼ同様に、例えば、外径が0.8mm程度のポリウレタン繊維等で形成され、伸び率数百%の伸縮性を有し、張力をかけると、弾性変形により長さが伸びて外径が小さくなり、張力を解除すると、弾性復元力により元の長さに縮んで外径が大きくなる繊維である。
【0038】
複数本の弾性繊維42の外周は、外部被覆部材43で被覆されている。外部被覆部材43は、図5の外部被覆部材31とほぼ同様に、絶縁性繊維(例えば、地球環境に優しい非塩化ビニール系のポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の合成繊維等)43aで編まれた編組で形成されている。外部被覆部材43は、複数本の弾性繊維42にのみ所定の張力をかけた状態で、この複数本の弾性繊維42の外周に沿って、絶縁性繊維43aが所定の編組密度で編まれ、張力が解除されると、弾性繊維42の弾性復元力で該弾性繊維42が縮むことによって該絶縁性繊維43aの編組密度が大きくなり、該弾性繊維42の外周面を圧接した状態で被覆している。
【0039】
複数本の弾性繊維42内の3本の絶縁電線41−14〜41−3は、外部被覆部材43からの飛び出しを防止するために、撚合せた構造にすることが望ましい。
【0040】
このような3芯の伸縮性コード40は、例えば、次のようにして製造される。
3本の絶縁電線41−1〜41−3をバンチャーで撚合せてドラムに巻取る。ドラムに巻取られた3本の絶縁電線41−1〜41−3を繰出し、この外周を複数本の弾性繊維42で覆うように、該弾性繊維42を配置してドラムに巻取る。一方、編組用の絶縁性繊維43aをボビンに巻取っておく。編組打ち機に、絶縁性繊維43aが巻かれたボビンを複数個セットし、ドラムから繰出された、絶縁電線41−1〜41−3を覆う複数本の弾性繊維42を中央にセットし、この複数本の弾性繊維42にのみ所定の張力をかけて引伸ばした状態で、この複数本の弾性繊維42の周囲に絶縁性繊維43aを複数打ちして編組を施して外部被覆部材43を形成する。
【0041】
複数本の弾性繊維42に対する張力を解除すると、該弾性繊維42の弾性復元力により該弾性繊維42の長さが縮んで外径が大きくなり、その縮みによって外部被覆部材43の編組密度が大きくなる。弾性繊維42の外径が大きくなると、この周りの外部被覆部材43によって該弾性繊維42が圧接された状態になる。これをドラムに巻取れば、伸縮性コード40の製造が終了する。
【0042】
この第1の実施形態では、次の(i)〜(iii)のような作用、効果がある。
(i)張力がかからない状態では、複数本の弾性繊維42が縮み、これに伴って内部の絶縁電線41−1〜41−3も屈曲して縮んでいる。張力がかかると、複数本の弾性繊維42が伸びると共に、内部の絶縁電線41−1〜41−3も伸びる。これにより、図5の伸縮性コード30に比べて伸縮率が若干劣るが、この伸縮性コード30とほぼ同様の作用、効果が得られる。
【0043】
(ii)各絶縁電線41−1〜41−3の被覆部材41bを、例えば、合成樹脂等で形成した場合、図5の絶縁電線20−1〜20−3に比べて製造が容易になり、これによって伸縮性コード40の製造が簡単になる。
【0044】
(iii)3本の絶縁電線41−1〜41−3を撚合せた構造にすると、屈曲や 引張りの繰返しにより、該絶縁電線41−1〜41−3が編組からなる外部被覆部材43から飛び出すことを、防止できる。しかも、撚合せた絶縁電線41−1〜41−3の周りを複数本の弾性繊維42で囲っているので、伸縮性コード40の断面形状がほぼ円形になる。
【0045】
(第2の実施形態)
図2(a)、(b)は本発明の第2の実施形態を示すカール状の伸縮性コードの構成図であり、同図(a)は斜視図、及び同図(b)はコード部分の縦断面図である。
【0046】
このカール状の伸縮性コード50は、単芯又は複数芯(例えば、3芯)のカール状コードであり、1本又は複数本の補強繊維51と共に、3本の絶縁電線52−1〜52−3が撚合されている。各絶縁電線52−1〜52−3は、図1の絶縁電線41−1〜41−3とほぼ同様に、単線又は撚線の銅線等の金属線52aを有し、この金属線52aがポリウレタン等の合成樹脂等で形成された被覆部材52bによって被覆されている。撚合された補強繊維51及び絶縁電線52−1〜52−3の外周は、紙等の保護被覆部材53を介して、弾性チューブ54で被覆されている。弾性チューブ54は、弾力性のある合成ゴム等で形成されている。
【0047】
弾性チューブ54の外周は、外部被覆部材55で被覆されている。外部被覆部材55は、繊維(例えば、地球環境に優しい非塩化ビニール系のポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等の合成繊維等)55aで編まれた編組で形成されている。外部被覆部材55は、補強繊維51、絶縁電線52−1〜52−3、保護被覆部材53、及び弾性チューブ54に所定の張力をかけた状態で、該弾性チューブ54の外周に沿って、繊維55aが所定の編組密度で編まれた編組で形成されている。そして、弾性チューブ54及び外部被覆部材55が、加熱処理によりカール状に塑性変形されている。
【0048】
このような3芯の伸縮性コード50は、例えば、次のようにして製造される。
補強芯線51及び絶縁電線52−1〜52−3をバンチャーで撚合せ、この外側に保護被覆部材53を巻付けて、ドラムに巻取る。ドラムに巻取られた補強繊維51、絶縁電線52−1〜52−3及び保護被覆部材53を繰出し、押出し機によって弾性チューブ54で被覆してドラムに巻取る。一方、編組用の繊維55aをボビンに巻取っておく。編組打ち機に、繊維55aが巻取られたボビンを複数個セットし、ドラムから繰出された弾性チューブ54を中央にセットし、この弾性チューブ54の全体に張力をかけた状態で、外周に繊維55aを複数打ちして編組を施して外部被覆部材55を形成し、ドラムに巻取る。これをドラムから繰出し、外部被覆部材55及び弾性チューブ54を加熱しつつカール状に塑性変形すれば、伸縮性コード50の製造が終了する。
【0049】
このようにして製造されたカール状の伸縮性コード50では、張力が加わると、カール部分のピッチが広がって長さが伸び、張力を解除すると、弾性復元力によってカール部分のピッチが狭くなって縮まる。
【0050】
この第2の実施形態では、次の(イ)、(ロ)のような作用、効果がある。
(イ)張力をかけることによってカール部分が伸縮する。この際、弾性チューブ54が、これに圧接する編組からなる外部被覆部材55で被覆されているので、軽量で、屈曲や引張りに対する機械的強度が大きい。
【0051】
(ロ)補強芯線51はコードの機械的強度を向上させるものであり、又、保護被覆部材53は、撚合せた絶縁電線52−1〜52−3を弾性チューブ54で被覆する際の製造を容易にする等のために設けられる。しかし、外側を編組からなる外部被覆部材55で機械的強度を向上させているので、補強繊維51を省略することも可能である。又、製造方法を工夫すること等により、保護被覆部材53を省略することも可能である。このように補強繊維51や保護被覆部材53を省略すれば、製造材料が少なくなって低コスト化が可能となる。
【0052】
(変形例)
本発明は、上記の参考例や実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次の(I)、(II)のようなものがある。
(I)図5、図1及び図2の伸縮性コード30,40,50は、3芯のコードであるが、これらを2芯や4芯等のコードに変更することも可能である。
(II)参考例や実施形態の伸縮性コード10,20,30,40,50の形状、寸法、材料等は、種々のものに変更することが可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、第1の発明によれば、弾性繊維が設けられ、曲げ応力や張力が加わってもコード全体が弾性変形するので、屈曲強度や引張り強度等の機械的強度が大きく、断線しにくく、弾力性によって絡まりにくく、軽量で使い勝手がよい伸縮性コードを提供できる。
【0055】
第2の発明によれば、複数本の絶縁電線が撚合されているので、屈曲等によって絶縁電線が、編組からなる外部被覆部材から飛び出すことを、防止できる。
【0056】
第3の発明によれば、弾性繊維をポリウレタン繊維で形成しているので、伸縮率を大きくできる。
【0057】
第4及び第5の発明によれば、伸縮可能なカール状部分の弾性チューブの外周は、編組からなる外部被覆部材が圧接した状態で被覆されているので、この外部被覆部材によって機械的強度が向上する。従って、軽量で、機械的強度が大きく、絡まりにくく、使い勝手のよい伸縮性コードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す3芯の伸縮性コードの構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示すカール状の伸縮性コードの構成図である。
【図3】本発明の第1の参考例を示す単芯の伸縮性コードの構成図である。
【図4】本発明の第2の参考例を示す単芯の伸縮性コードの構成図である。
【図5】本発明の第3の参考例を示す3芯の伸縮性コードの斜視図である。
【符号の説明】
10,20,30,40,50 伸縮性コード
11,42 弾性繊維
12 編組
12a,41a,52a 金属線
21,41b,52b 被覆部材
20−1〜20−3,41−1〜41−3,52−1〜52−3 絶縁電線
21a,31a,43a 絶縁性繊維
31,43,55 外部被覆部材
51 補強繊維
53 保護被覆部材
54 弾性チューブ
55a 繊維
Claims (5)
- 単線又は撚線からなる複数本の絶縁電線と、
前記複数本の絶縁電線の周りに該絶縁電線に沿って配設され、伸び率数百%の伸縮性を有し、張力をかけると、弾性変形により長さが伸びて外径が小さくなり、該張力を解除すると、弾性復元力により元の長さに縮んで外径が大きくなる複数本の弾性繊維と、
前記複数本の絶縁電線の周りに配設された前記複数本の弾性繊維にのみ所定の張力をかけた状態で、該複数本の弾性繊維の外周に沿って、絶縁性繊維が所定の編組密度で編まれ、該張力が解除されると、該弾性繊維の弾性復元力により該弾性繊維の外径が大きくなって該絶縁性繊維の編組密度が大きくなる外部被覆部材と、
を備えたことを特徴とする伸縮性コード。 - 請求項1記載の伸縮性コードにおいて、
前記複数本の絶縁電線は、撚合されていることを特徴とする伸縮性コード。 - 請求項1又は2記載の伸縮性コードにおいて、
前記弾性繊維は、ポリウレタン繊維で形成したことを特徴とする伸縮性コード。 - 撚合された複数本の絶縁電線と、
前記複数本の絶縁電線の外周を、直接又は保護被覆部材を介して覆う弾性チューブと、
前記複数本の絶縁電線及び前記弾性チューブに所定の張力をかけた状態で、該弾性チューブの外周に沿って、繊維が所定の編組密度で編まれた外部被覆部材とを有し、
前記弾性チューブ及び前記外部被覆部材が、加熱処理によりカール状に塑性変形されていることを特徴とする伸縮性コード。 - 1本又は複数本の補強繊維と共に撚合された複数本の絶縁電線と、
前記1本又は複数本の補強繊維と前記複数本の絶縁電線との外周を、直接又は保護被覆部材を介して覆う弾性チューブと、
前記1本又は複数本の補強繊維、前記複数本の絶縁電線、及び前記弾性チューブに所定の張力をかけた状態で、該弾性チューブの外周に沿って、繊維が所定の編組密度で編まれた外部被覆部材とを有し、
前記弾性チューブ及び前記外部被覆部材が、加熱処理によりカール状に塑性変形されていることを特徴とする伸縮性コード。
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