JP3581990B2 - スキー用表面部材の製法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、繊維強化プラスチックス(以下、これをFRPと略記する)を強度部材としたスキー板の製造に用いられるスキ−用表面部材の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のスキ−板の製法においては、例えば特開平1−284272号などに開示された先行技術を有するものがある。
【0003】
このようなスキー板は、図5に示すように、スキー本体1をスキー上側構成要素1Aとスキー下側構成要素1Bで形成し、このスキー上側構成要素1Aを中芯材2と、この中芯材2の上面部から左右両側面部に亘って連続的に積層された表面材3及びFRP強度部材4とからなる表面部材5とで構成する一方、前記スキー下側構成要素1Bを滑走面材6と、この滑走面材6の左右両端部に添設られたソールエッジ部材7,7と、FRP強度部材8とで構成されている。
【0004】
そして、上記したスキー板を製造するには、図6及び図7に示すように、下金型11の所望のスキー形状のキャビティ12上にスキー上側構成要素1Aの主要部材としての表面成形用素材(ポリアミドエラストマー)31及びFRP成形用素材(プリプレグ:例えばガラス繊維からなる補強繊維にエポキシ樹脂からなるマトリックス樹脂を含浸して必要に応じ半硬化状態に熟成したもの称す)41をそれぞれ順に配置し、この下金型11の上方からスキー上側構成要素1Aの補助部材としての中芯成形用素材(予めスキー中芯形状に成形加工されたウレタン発泡体)21が仮保持された上型13を型締めして加圧Pし、加熱処理を施すことにより、中芯材2と表面部材5とを互いに一体化して、図8に示すような所望のスキー上側構成要素1Aを予備成形する。
【0005】
一方、スキー下側構成要素1Bは、図9に示すように、滑走面成形用素材(ポリエチレン樹脂)61、スチール製のエッジ部材71,71及びFRP81を接着または型成形にて一体化することにより予め別途成形され、このスキー下側構成要素1Bとスキー上側構成要素1Aとを、図10に示すように、互いに接着剤aを介して接着することにより、図5に示すようなスキー本体1の成形が行なわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような従来のスキー板の製法にあっては、予めスキー中芯形状に成形加工されたウレタン発泡体からなる中芯成形用素材21によって、スキー上側構成要素1Aの主要部材である表面部材5を形成する表面成形用素材31及びFRP成形用素材41に三次元な形状を直接付与しているのが現状である。
【0007】
このため、中芯成形用素材21による表面成形用素材31及びFRP成形用素材41への賦形力が弱いばかりでなく、表面成形用素材31及びFRP成形用素材41の下金型11への位置決めも困難で、成形後の中芯材2と表面部材5とが互いにずれて一体化され易く、特に、表面部材5に模様付けが施されていると、形状と模様の位置がずれてしまい、不良品となって廃棄しなければならず、これによって、成形用材料を無駄にする。
【0008】
しかも、製造工程がスキー上側構成要素1Aの予備成形時の中芯材2と表面部材5との接着、及び中芯材2とスキー下側構成要素1Bとの接着による2工程で行なうことになるために、温度及び圧力の調整に手間が掛かり、工程管理が大変であるばかりでなく、製造時間も長くなるという問題があった。
【0009】
【発明の目的】
この発明の目的は、成形用材料の無駄を防止するとともに、工数の削減化及び製造時間の短縮化を図ることができるようにしたスキ−用表面部材の製法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、この発明は、所望のスキー形状のキャビティを有する下金型上に表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材からなるスキー上側構成要素の主要部材をそれぞれ配置する工程と、
これら表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材が配置された下金型全体を袋体にて被包し封止する工程と、
この袋体内の空気を外部に排気し加熱しながら、前記表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材を前記下金型のキャビティ形状に沿って加圧し三次元形状に曲成した後に冷却する工程とからなることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
すなわち、この発明は、上記の構成を採用することによって、中芯材を除くスキー上側構成要素の主要部材を形成する表面部材の所望のスキー形状に対応する三次元形状の成形が容易に行なえる。
【0012】
また、表面部材を予め所望のスキー形状に対応する三次元形状に形成してなるために、スキー上側構成要素の補助部材である中芯材及びスキー下側構成要素との接着工程における表面部材の位置決めが容易に行なえるとともに、それらの接着も1工程にて行なえる。
【0013】
さらに、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材の加熱成形時における雰囲気が袋体による封止と袋体内の空気の排気による減圧下にて行なうことにより、成形後のFRP中のボイドの残留が少ない。
【0014】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図1から図4に示す図面に基づいて詳細に説明する。なお、この発明に係る図示の実施例において、図5から図10に示すような従来のスキー板の製造工程中における構成が重複する部分は同一符号を用いて説明する。
【0015】
図1から図4は、この発明に係るスキー用表面部材の製造工程を示すものであり、図1に示すように、まず、下金型11のキャビティ12上にスキー上側構成要素1Aの主要部材としての表面成形用素材31、FRP成形用素材41としてのマトリックス樹脂素材41A及び補強繊維素材41Bをそれぞれ配置した後、全体を袋体(真空パックシート)14にて被包し封止する。(マトリックス樹脂素材41Aと補強繊維素材41Bの配置順は、どちらが先であっても良い。)
【0016】
次いで、図2及び図3に示すように、この袋体14内の空気を図示しない減圧装置にて外部に排気し加熱(80〜110℃)しながら、袋体14で表面成形用素材31、マトリックス樹脂素材41A及び補強繊維素材41Bを下金型11のキャビティ12の内壁面形状に沿って押圧し曲成した後に冷却することによって、図4に示すような所望のスキー形状に応じた三次元形状の表面部材5を成形してなるものである。
【0017】
この場合、前記表面成形用素材31としては、例えばポリアミドエラストマー、PET樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂あるいはアイオノマー等の合成樹脂のシート状のものが好適に用いられる。
【0018】
また、マトリックス樹脂素材41Aとしては、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性合成樹脂をシート状にしたものが好適に用いられるが、ペレットあるいは粉末のもの、あるいは熱可塑性樹脂でも良い。
【0019】
さらに、補強繊維素材41Bとしては、例えばガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維あるいは金属繊維等の繊維が単独またはそれらの適宜の組合せにて好適に用いられ、これらの繊維形態は、例えばクロス、マット、ロービング、モノフィラメントあるいはチョップドフィラメントなどが単独またはそれらの適宜の組合せにて好適に用いられる。
【0020】
さらにまた、袋体14の素材としては、例えばポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂との混合物、EVA樹脂とポリエチレン樹脂との混合物、ポリアミド樹脂とアイオノマーとの混合物あるいはポリアミド樹脂とEVA樹脂とポリエチレン樹脂との混合物等が好適に用いられる。
【0021】
そして、袋体14内の排気による減圧度は、高ければ高いほど良いが、実用上は、相対圧で−755mmHg程度に設定されているもので、減圧度が増すほど、表面成形用素材31の賦形度及びマトリックス樹脂素材41Aの補強繊維素材41Bへの樹脂含浸度が増す。
【0022】
また、この場合の加熱処理は、80−110℃程度の温度であり、加熱方法としては、例えば温調液への浸漬あるいは高周波加熱等の任意の方法で良いが、短時間でマトリックス樹脂素材41Aが軟化する程度の温度に加熱することができる高周波加熱が好ましい。
【0023】
さらに、冷却方法は、任意であるが、単に加熱を中止して自然に放冷させるだけでも良い。
【0024】
しかして、上記の構成によれば、中芯材2を除くスキー上側構成要素1Aの主要部材を形成する表面部材5を予め所望のスキー形状に対応する三次元形状に形成してなるために、スキー上側構成要素1Aの補助部材である中芯材2及びスキー下側構成要素1Bとの接着工程における成形型への表面部材5の位置決めが容易に行なえ、それらの接着も1工程にて行なえる。
【0025】
また、表面部材5のみを予備成形することにより、形状と模様の位置がずれても、表面部材5が熱可塑性合成樹脂素材からなるために、加熱すれば再度形状を付与することが可能となり、これによって、成形材料を無駄にすることがない。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、所望のスキー形状のキャビティを有する下金型上に表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材からなるスキー上側構成要素の主要部材をそれぞれ順に配置した後、下金型全体を袋体にて被包し封止するとともに、この袋体内の空気を外部に排気し加熱しながら、その減圧による吸引作用により表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材を下金型のキャビティ形状に沿って加圧し三次元形状に曲成した後、冷却してなるために、中芯材を除くスキー上側構成要素の主要部材を形成する表面部材の所望のスキー形状に対応する三次元形状の成形を容易に行なうことができる。
【0027】
また、表面部材を予め所望のスキー形状に対応する三次元形状に形成してなるために、スキー上側構成要素の補助部材である中芯材及びスキー下側構成要素との接着工程における表面部材の位置決めを容易に行なうことができるとともに、それらの接着も1工程にて行なうことができ、これによって、接着工程における温度及び圧力の調整を容易に行なうことができるとともに、工数の削減化及び製造時間の短縮化を図ることができる。
【0028】
さらに、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材の加熱成形時における雰囲気が袋体による封止と袋体内の空気の排気による減圧下にて行なうことにより、表面部材の成形後のFRP中のボイドの残留を少なくすることができ、これによって、強度及び性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るスキー用表面部材の製法の一実施例を示す製造工程中におけるスキー上側構成要素の下金型への配置状態と袋体による封止状態の説明図。
【図2】同じく製造工程中における袋体内の空気の排気状態を示す説明図。
【図3】同じく製造工程中の袋体内の空気の排気状態における補強繊維素材へのマトリックス樹脂素材の含浸状態を示す説明図。
【図4】同じく予備成形後の表面部材の断面図。
【図5】従来のスキー板の断面図。
【図6】同じく従来のスキー板の製造工程を示すスキー上側構成要素の下金型及び上金型への配置状態の説明図。
【図7】同じく従来の製造工程中におけるスキー上側構成要素の型締め加圧・加熱状態を示す説明図。
【図8】同じく従来のスキー上側構成要素を示す断面図。
【図9】同じく従来のスキー下側構成要素を示す断面図。
【図10】同じく従来のスキー上側構成要素とスキー下側構成要素との接着状態を示す説明図。
【符号の説明】
1……スキー本体、1A……スキー上側構成要素、1B……スキー下側構成要素、2……中芯材、3……表面材、4……FRP強度部材、5……表面部材、6……滑走面材、7,7……ソールエッジ部材、11……下金型、12……キャビティ、13……上金型、14……袋体(真空パックシート)、31……表面成形用素材、41……FRP成形用素材、41A……マトリックス樹脂素材、41B……補強繊維素材。
【産業上の利用分野】
この発明は、繊維強化プラスチックス(以下、これをFRPと略記する)を強度部材としたスキー板の製造に用いられるスキ−用表面部材の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のスキ−板の製法においては、例えば特開平1−284272号などに開示された先行技術を有するものがある。
【0003】
このようなスキー板は、図5に示すように、スキー本体1をスキー上側構成要素1Aとスキー下側構成要素1Bで形成し、このスキー上側構成要素1Aを中芯材2と、この中芯材2の上面部から左右両側面部に亘って連続的に積層された表面材3及びFRP強度部材4とからなる表面部材5とで構成する一方、前記スキー下側構成要素1Bを滑走面材6と、この滑走面材6の左右両端部に添設られたソールエッジ部材7,7と、FRP強度部材8とで構成されている。
【0004】
そして、上記したスキー板を製造するには、図6及び図7に示すように、下金型11の所望のスキー形状のキャビティ12上にスキー上側構成要素1Aの主要部材としての表面成形用素材(ポリアミドエラストマー)31及びFRP成形用素材(プリプレグ:例えばガラス繊維からなる補強繊維にエポキシ樹脂からなるマトリックス樹脂を含浸して必要に応じ半硬化状態に熟成したもの称す)41をそれぞれ順に配置し、この下金型11の上方からスキー上側構成要素1Aの補助部材としての中芯成形用素材(予めスキー中芯形状に成形加工されたウレタン発泡体)21が仮保持された上型13を型締めして加圧Pし、加熱処理を施すことにより、中芯材2と表面部材5とを互いに一体化して、図8に示すような所望のスキー上側構成要素1Aを予備成形する。
【0005】
一方、スキー下側構成要素1Bは、図9に示すように、滑走面成形用素材(ポリエチレン樹脂)61、スチール製のエッジ部材71,71及びFRP81を接着または型成形にて一体化することにより予め別途成形され、このスキー下側構成要素1Bとスキー上側構成要素1Aとを、図10に示すように、互いに接着剤aを介して接着することにより、図5に示すようなスキー本体1の成形が行なわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したような従来のスキー板の製法にあっては、予めスキー中芯形状に成形加工されたウレタン発泡体からなる中芯成形用素材21によって、スキー上側構成要素1Aの主要部材である表面部材5を形成する表面成形用素材31及びFRP成形用素材41に三次元な形状を直接付与しているのが現状である。
【0007】
このため、中芯成形用素材21による表面成形用素材31及びFRP成形用素材41への賦形力が弱いばかりでなく、表面成形用素材31及びFRP成形用素材41の下金型11への位置決めも困難で、成形後の中芯材2と表面部材5とが互いにずれて一体化され易く、特に、表面部材5に模様付けが施されていると、形状と模様の位置がずれてしまい、不良品となって廃棄しなければならず、これによって、成形用材料を無駄にする。
【0008】
しかも、製造工程がスキー上側構成要素1Aの予備成形時の中芯材2と表面部材5との接着、及び中芯材2とスキー下側構成要素1Bとの接着による2工程で行なうことになるために、温度及び圧力の調整に手間が掛かり、工程管理が大変であるばかりでなく、製造時間も長くなるという問題があった。
【0009】
【発明の目的】
この発明の目的は、成形用材料の無駄を防止するとともに、工数の削減化及び製造時間の短縮化を図ることができるようにしたスキ−用表面部材の製法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、この発明は、所望のスキー形状のキャビティを有する下金型上に表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材からなるスキー上側構成要素の主要部材をそれぞれ配置する工程と、
これら表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材が配置された下金型全体を袋体にて被包し封止する工程と、
この袋体内の空気を外部に排気し加熱しながら、前記表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材を前記下金型のキャビティ形状に沿って加圧し三次元形状に曲成した後に冷却する工程とからなることを特徴とするものである。
【0011】
【作用】
すなわち、この発明は、上記の構成を採用することによって、中芯材を除くスキー上側構成要素の主要部材を形成する表面部材の所望のスキー形状に対応する三次元形状の成形が容易に行なえる。
【0012】
また、表面部材を予め所望のスキー形状に対応する三次元形状に形成してなるために、スキー上側構成要素の補助部材である中芯材及びスキー下側構成要素との接着工程における表面部材の位置決めが容易に行なえるとともに、それらの接着も1工程にて行なえる。
【0013】
さらに、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材の加熱成形時における雰囲気が袋体による封止と袋体内の空気の排気による減圧下にて行なうことにより、成形後のFRP中のボイドの残留が少ない。
【0014】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図1から図4に示す図面に基づいて詳細に説明する。なお、この発明に係る図示の実施例において、図5から図10に示すような従来のスキー板の製造工程中における構成が重複する部分は同一符号を用いて説明する。
【0015】
図1から図4は、この発明に係るスキー用表面部材の製造工程を示すものであり、図1に示すように、まず、下金型11のキャビティ12上にスキー上側構成要素1Aの主要部材としての表面成形用素材31、FRP成形用素材41としてのマトリックス樹脂素材41A及び補強繊維素材41Bをそれぞれ配置した後、全体を袋体(真空パックシート)14にて被包し封止する。(マトリックス樹脂素材41Aと補強繊維素材41Bの配置順は、どちらが先であっても良い。)
【0016】
次いで、図2及び図3に示すように、この袋体14内の空気を図示しない減圧装置にて外部に排気し加熱(80〜110℃)しながら、袋体14で表面成形用素材31、マトリックス樹脂素材41A及び補強繊維素材41Bを下金型11のキャビティ12の内壁面形状に沿って押圧し曲成した後に冷却することによって、図4に示すような所望のスキー形状に応じた三次元形状の表面部材5を成形してなるものである。
【0017】
この場合、前記表面成形用素材31としては、例えばポリアミドエラストマー、PET樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂あるいはアイオノマー等の合成樹脂のシート状のものが好適に用いられる。
【0018】
また、マトリックス樹脂素材41Aとしては、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱硬化性合成樹脂をシート状にしたものが好適に用いられるが、ペレットあるいは粉末のもの、あるいは熱可塑性樹脂でも良い。
【0019】
さらに、補強繊維素材41Bとしては、例えばガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維あるいは金属繊維等の繊維が単独またはそれらの適宜の組合せにて好適に用いられ、これらの繊維形態は、例えばクロス、マット、ロービング、モノフィラメントあるいはチョップドフィラメントなどが単独またはそれらの適宜の組合せにて好適に用いられる。
【0020】
さらにまた、袋体14の素材としては、例えばポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂とポリエチレン樹脂との混合物、EVA樹脂とポリエチレン樹脂との混合物、ポリアミド樹脂とアイオノマーとの混合物あるいはポリアミド樹脂とEVA樹脂とポリエチレン樹脂との混合物等が好適に用いられる。
【0021】
そして、袋体14内の排気による減圧度は、高ければ高いほど良いが、実用上は、相対圧で−755mmHg程度に設定されているもので、減圧度が増すほど、表面成形用素材31の賦形度及びマトリックス樹脂素材41Aの補強繊維素材41Bへの樹脂含浸度が増す。
【0022】
また、この場合の加熱処理は、80−110℃程度の温度であり、加熱方法としては、例えば温調液への浸漬あるいは高周波加熱等の任意の方法で良いが、短時間でマトリックス樹脂素材41Aが軟化する程度の温度に加熱することができる高周波加熱が好ましい。
【0023】
さらに、冷却方法は、任意であるが、単に加熱を中止して自然に放冷させるだけでも良い。
【0024】
しかして、上記の構成によれば、中芯材2を除くスキー上側構成要素1Aの主要部材を形成する表面部材5を予め所望のスキー形状に対応する三次元形状に形成してなるために、スキー上側構成要素1Aの補助部材である中芯材2及びスキー下側構成要素1Bとの接着工程における成形型への表面部材5の位置決めが容易に行なえ、それらの接着も1工程にて行なえる。
【0025】
また、表面部材5のみを予備成形することにより、形状と模様の位置がずれても、表面部材5が熱可塑性合成樹脂素材からなるために、加熱すれば再度形状を付与することが可能となり、これによって、成形材料を無駄にすることがない。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、所望のスキー形状のキャビティを有する下金型上に表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材からなるスキー上側構成要素の主要部材をそれぞれ順に配置した後、下金型全体を袋体にて被包し封止するとともに、この袋体内の空気を外部に排気し加熱しながら、その減圧による吸引作用により表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材を下金型のキャビティ形状に沿って加圧し三次元形状に曲成した後、冷却してなるために、中芯材を除くスキー上側構成要素の主要部材を形成する表面部材の所望のスキー形状に対応する三次元形状の成形を容易に行なうことができる。
【0027】
また、表面部材を予め所望のスキー形状に対応する三次元形状に形成してなるために、スキー上側構成要素の補助部材である中芯材及びスキー下側構成要素との接着工程における表面部材の位置決めを容易に行なうことができるとともに、それらの接着も1工程にて行なうことができ、これによって、接着工程における温度及び圧力の調整を容易に行なうことができるとともに、工数の削減化及び製造時間の短縮化を図ることができる。
【0028】
さらに、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材の加熱成形時における雰囲気が袋体による封止と袋体内の空気の排気による減圧下にて行なうことにより、表面部材の成形後のFRP中のボイドの残留を少なくすることができ、これによって、強度及び性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るスキー用表面部材の製法の一実施例を示す製造工程中におけるスキー上側構成要素の下金型への配置状態と袋体による封止状態の説明図。
【図2】同じく製造工程中における袋体内の空気の排気状態を示す説明図。
【図3】同じく製造工程中の袋体内の空気の排気状態における補強繊維素材へのマトリックス樹脂素材の含浸状態を示す説明図。
【図4】同じく予備成形後の表面部材の断面図。
【図5】従来のスキー板の断面図。
【図6】同じく従来のスキー板の製造工程を示すスキー上側構成要素の下金型及び上金型への配置状態の説明図。
【図7】同じく従来の製造工程中におけるスキー上側構成要素の型締め加圧・加熱状態を示す説明図。
【図8】同じく従来のスキー上側構成要素を示す断面図。
【図9】同じく従来のスキー下側構成要素を示す断面図。
【図10】同じく従来のスキー上側構成要素とスキー下側構成要素との接着状態を示す説明図。
【符号の説明】
1……スキー本体、1A……スキー上側構成要素、1B……スキー下側構成要素、2……中芯材、3……表面材、4……FRP強度部材、5……表面部材、6……滑走面材、7,7……ソールエッジ部材、11……下金型、12……キャビティ、13……上金型、14……袋体(真空パックシート)、31……表面成形用素材、41……FRP成形用素材、41A……マトリックス樹脂素材、41B……補強繊維素材。
Claims (1)
- 所望のスキー形状のキャビティを有する下金型上に表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材からなるスキー上側構成要素の主要部材をそれぞれ配置する工程と、
これら表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材が配置された下金型全体を袋体にて被包し封止する工程と、
この袋体内の空気を外部に排気し加熱しながら、前記表面成形用素材、マトリックス樹脂素材及び補強繊維素材を前記下金型のキャビティ形状に沿って加圧し三次元形状に曲成した後に冷却する工程とからなることを特徴とするスキー用表面部材の製法。
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