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JP3581438B2 - 自動変速機の締結要素 - Google Patents

自動変速機の締結要素 Download PDF

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JP3581438B2
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  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車などの自動変速機に用いる遊星歯車列の締結要素であって、特に、第1ピストンが押圧した場合にケースまたは他の遊星歯車メンバーと遊星歯車メンバーとを一方の回転方向にのみ締結し、第2ピストンが押圧した場合には回転方向にかかわらず両者を締結する機能を有する自動変速機の締結要素に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動変速機の締結要素としては、図7に示すような前進3段の遊星歯車列に用いられているものがある。
図7において、26はサンギアであり、サンギア26をケース80に固定する手段として、第1ブレーキ40と第2ブレーキ48が用いられる。
【0003】
前進第1速にするためには、第2クラッチ32を締結する。第2クラッチ32を締結すると、第2遊星歯車組24の第2キャリア24Cは第2ワンウェイクラッチ(以下、ワンウェイクラッチをOWCという)36を介してケース80に固定される。この前進第1速においては、第2クラッチ32により入力軸10と第1遊星歯車組22の第1リングギア22Aとが連結され、入力軸10から第1リングギア26Aに入力したトルクは、第1ピニオン26B、第1キャリア22Cを経て出力軸12に伝達され、一方、第1リングギア22A、第1ピニオン22B、サンギア26を経て第2ピニオン24Bに入ったトルクは、第2キャリア24Cで止められる。
【0004】
この前進第1速から、前進第2速にするためには、第1ブレーキ40を締結する。すると、第1OWC14を介してサンギア26をケース80に固定するので、サンギア26が入力軸10の回転と逆の方向に回転しようとするのを固定することになる。このため、第2速では自動車を加速する方向にのみ動力伝達可能になる。一方、第2ブレーキ48を締結すると、サンギア26が回転方向にかかわらずケース80に固定されるので、エンジンブレーキなどの減速方向の場合でも動力伝達が可能になる。
【0005】
このような締結要素としては、図8のように第1ピストン84の押圧により第1OWC14と連結した第1ブレーキ40を締結して、サンギア26とケース80との間を一方の回転方向にのみ動力を伝達し、第2ピストン88の押圧により第2ブレーキ48を締結して回転方向にかかわらず動力を伝達するものが実用化されている。
【0006】
これらの回転方向による締結手段の使い分けは、通常の「Dレンジ」での変速時のショックを出にくくするための手段として用いられている。すなわち、一方の回転方向のみ締結する機能を有することによって、上位段に変速する場合の締結要素の解除を不要にすることで、締結要素を解除するタイミングの制御も必要がなくなり、変速ショックが出にくくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の自動変速機の締結要素にあっては、OWCを含めた部品点数が多いため、構造が複雑で製造コストが高く、また、一般に多板クラッチがその締結要素として用いられるため、締結が解除された非作動状態における摩擦板と摩擦板との間の引きずり抵抗が大きく、この引きずり抵抗が自動変速機の動力伝達効率を低くし、自動車の燃料消費率を悪化させるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、従来のOWCと2組の多板クラッチに代えて、1組の円錐摩擦要素を有する締結要素にするとともに、ヘリカルスプラインを用いて従来と同様にOWCの機能を持たせることにより、製造コストの低減と引きずり抵抗の削減を図ることができる自動変速機の締結要素を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、次のように構成する。
まず、本発明は、遊星歯車列とブレーキやクラッチなどの締結要素を用いて複数の変速比を得る自動変速機のケースと遊星歯車メンバーとの連結または遊星歯車メンバー同士間の連結を断続する締結要素を対象とする。
【0010】
このような締結要素について、本発明は、遊星歯車メンバーに連結されたインナーリングの円錐面と接する円錐面を有するとともに、第2ピストンにより押圧されるアウターリングと、アウターリングとヘリカルスプラインで連結されるとともにケースまたは他の遊星歯車メンバーに連結され、アウターリングに対して軸方向に動く範囲が制限され、かつケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して動く範囲が制限される第1ピストンにより押圧されるとき軸方向に動くスラストリングと、を備えている。
【0011】
また、本発明においては、アウターリングに、スラストリングがアウターリングに対して軸方向に動く範囲を制限する肩部とスナップリングを設けている。
また、本発明においては、スラストリングを押圧する第1ピストンがケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して軸方向に動く範囲を制限するスナップリングをケースに設けている。
【0012】
また、本発明は、遊星歯車列とブレーキやクラッチなどの締結要素を用いて複数の変速比を得る自動変速機のケースと遊星歯車メンバーとの連結または遊星歯車メンバー同士間の連結を断続する締結要素であって、遊星歯車メンバーに連結されたプレートに一端が嵌合するとともに円錐外面と円錐内面を有するコーンリングと、円錐外面に接する円錐内面を有するとともにヘリカルスプラインによりスラストリングに連結され、スプラインでインナーコーンリングに連結され、かつ第2ピストンとにより押圧されるアウターリングと、アウターリングとヘリカルスプラインで連結されるとともにケースまたは他の遊星歯車メンバーに連結され第1ピストンに押圧されるとき軸方向に動く範囲が制限されたスラストリングと、コーンリングの円錐内面にその円錐外面が接するとともに軸方向の一端がプレートに接しアウターリングとスプラインで連結されたインナーコーンリングと、を備えている。
【0013】
本発明においては、スラストリングを押圧する第1ピストンがケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して軸方向に動く範囲を制限するスナップリングをケースまたは他の遊星歯車メンバーに設けている。
さらに本発明においては、アウターリングとスラストリングを連結するヘリカルスプラインに代えて斜面を形成した接触面で連結するかまたは斜面間にボールを介在させて連結するようにしても良い。
【0014】
このような構成を有する本発明の自動変速機の締結要素によれば、遊星歯車メンバーに連結されたインナーリングの円錐面と接する円錐面を有するとともに、第2ピストンにより押圧されるアウターリングと、アウターリングとヘリカルスプラインで連結されるとともにケースまたは他の遊星歯車メンバーに連結され、アウターリングに対して軸方向に動く範囲が制限され、かつケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して動く範囲が制限される第1ピストンにより押圧されるとき軸方向に動くスラストリングと、を備えているので、第1ピストンを押圧した場合にケースまたは他の遊星歯車メンバーと遊星歯車メンバーとを一方の回転方向にのみ締結し、第2ピストンを押圧した場合には回転方向にかかわらず両者を締結することができ、製造コストの低減と引きずり抵抗の削減を図ることができる。
【0015】
また、アウターリングに、スラストリングがアウターリングに対して軸方向に動く範囲を制限する肩部とスナップリングを設け、また、スラストリングを押圧する第1ピストンがケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して軸方向に動く範囲を制限するスナップリングをケースまたは他の遊星歯車メンバーに設けているので、第1ピストンでスラストリングを押圧するとき、遊星歯車メンバーが入力軸と逆の回転方向にはセルフロックにすることができる。
【0016】
また、遊星歯車メンバーに連結されたプレートに一端が嵌合するとともに円錐外面と円錐内面を有するコーンリングと、円錐外面に接する円錐内面を有するとともにヘリカルスプラインによりスラストリングに連結され、スプラインでインナーコーンリングに連結され、かつ第2ピストンとにより押圧されるアウターリングと、アウターリングとスプラインで連結されるとともにケースまたは他の遊星歯車メンバーに連結され第1ピストンにより軸方向に動く範囲が制限されたスラストリングと、コーンリングの円錐内面にその円錐外面が接するとともに軸方向の一端がプレートに接しアウターリングとスプラインで連結されたインナーコーンリングと、を備えているので、前記効果に加えて締結要素としての容量を大きくすることができる。
【0017】
また、スラストリングを押圧する第1ピストンがケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して軸方向に動く範囲を制限するスナップリングをケースまたは他の遊星歯車メンバーに設けているので、スラストリングの動く範囲を制限することができ、第1ピストンでスラストリングを押圧したとき、遊星歯車メンバーが入力軸と逆の回転方向にはセルフロックにすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の締結要素を示す断面図、図2は本発明の締結要素を適用した遊星歯車列の一例を示すスケルトン図、図3は図2の遊星歯車列の作動説明図である。
【0020】
まず、図2の遊星歯車列を説明する。
図2において、10は入力軸、12は出力軸である。20は遊星歯車列であり、遊星歯車列20は第1遊星歯車組22と第2遊星歯車組24により構成される。
第1遊星歯車組22は、第1リングギア22A、第1ピニオン22B、第1キャリア22Cおよび共通のサンギア26により構成され、第2遊星歯車組24は、第2リングギア24A、第2ピニオン24B、第2キャリア24Cおよび共通サンギア26により構成される。
【0021】
入力軸10は、第2クラッチ32を介して第1リングギア22Aに連結され、また、第1クラッチ30を介してサンギア26に連結される。
第1ブレーキ40は、入力軸10と逆方向にサンギア26が回転すると、セルフロックとなり、サンギア26がケース80に固定される。
すなわち、第1ブレーキ40は、第1ピストン84を作動したとき、入力軸10と逆方向にサンギア26が回転すると、セルフロックとなり、また、第1ピストン84と第2ピストン88を作動したときは、入力軸10の回転方向にかかわらず、締結される。
【0022】
また、第1クラッチ30を締結すると、第2キャリア24CはOWC36を介してケース80に固定される。また、第2ブレーキ34を締結すると、第2キャリア24Cはケース80に固定される。第1キャリア22Cは出力軸12に連結され、また、第2リングギア24Aも出力軸12に連結されている。
次に、図2の遊星歯車列は図3の作動説明図に示すように、Dレンジ,Lレンジなどの変速ポジションにおいて各摩擦要素を締結させることにより、前進3段後進1段の変速比を、Lレンジでの前進2段の変速比を得る。
【0023】
なお、図3の表中、P,R,N,D,Lは運転者が操作する操作レバーの位置を示し、D,L欄の数字は前進の変速段を示す。「○」印は各摩擦要素の締結を表し、「△」印は後述するように自動車が前進で加速する際にセルフロックで締結することを表す。また、「(○)」は動力伝達に関係ないことを示す。
「ピストン油圧」は第1ピストン84および第2ピストン88を作動させる油圧のオン、オフを表し、例えば第1ピストン84の油圧をオンすると第1ブレーキ40に作用するが、第2速にあっては加速方向の動力伝達の場合のみの締結であり、Dレンジの第3速にあっては後述のように締結が解除されて動力伝達には関係ないことを表す。
【0024】
次に、図1に基づいて本発明の第1ブレーキ40について説明する。
図1において、42はインナーリングであり、インナーリング42は図2におけるサンギア26に連結されるとともに、軸方向にはスラストワッシャー92および第1スナップリング90を介して自動変速機のケース80に左側への移動が阻止されている。インナーリング42は円錐外面44を有しており、円錐内面52を有するアウターリング50がインナーリング42の円錐外面44に接触して配置されている。
【0025】
アウターリング50の外側にはスラストリング60が設けられ、スラストリング60は外周スプライン62でケース80に係合されている。また、スラストリング60とアウターリング50とはヘリカルスプライン54で連結され、スラストリング60は第3スナップリング70によりアウターリング50に対して軸方向にはGで示す間隙だけしか動くことができず、その移動が制約されている。
【0026】
ヘリカルスプライン54は、アウターリング50がスラストリング60に対して入力軸10の回転方向と逆の方向に回転すると、アウターリング50がスラストリング60に対し左側へ移動する(または、スラストリング60がアウターリング50に対して右側に移動する)方向に捩じれたスプラインになっている。逆に、アウターリング50が入力軸10と同じ方向に回転すると、アウターリング50はその肩部56がスラストリング60に突き当たるまで右側へ移動(またはスラストリング60がアウターリング50に対して左側へ移動)する。
【0027】
ケース80に形成された第1シリンダー82には第1ピストン84が装着されている。第1ピストン84は、第1油路110に供給される油圧により、作動する。ケース80には第2スナップリング94が装着され、第1ピストン84の左側への移動を制限する。
すなわち、第1ピストン84の移動量は、第2スナップリング94によりEで示す間隙に制限される。この間隙Eは、カラー102とスラストリング60との間隙Fより大きいが、間隙Fとアウターリング50の肩部56とスラストリング50の間隙Gとの合計よりもやや小さいので、第1ピストン54がカラー102を介してスラストリング60を押しても、間隙Gが詰まるだけでアウターリング50をインナーリング42に押圧することにならない。この状態において、インナーリング42が入力軸10の回転方向と逆の方向に回転しようとすると、第1ブレーキ40がセルフロックすることになる。
【0028】
第1ピストン84の内側には、第2シリンダー86が形成され、第2ピストン88が装着されている。第2ピストン88は、第2油路112に油圧を供給することにより、作動する。第2ピストン88は第1リターンスプリング98により右側へ押し戻されており、第1ピストン84も第2ピストン88に押されて右側にある。したがって、第1ピストン84はカラー102を介してスラストリング60を押圧することが可能であるが、図1の状態は押圧していない。第2ピストン88は皿バネ104を介してアウターリング50を押圧することが可能であるが、図1の状態は押圧していない。
【0029】
したがって、図1の状態ではインナーリング42の円錐外面44とアウターリング50の円錐内面52とはごく軽く接触しているが、インナーリング42は自由に回転することができる。第2ピストン88が皿バネ104を介してアウターリング50を押圧すると、入力軸10の回転方向にかかわらず、第1ブレーキ40は作動し、インナーリング42、サンギア38はケース80に固定される。
【0030】
次に、図1の作用を説明する。
図示しない制御回路から、第1油路110を経て第1シリンダー82に油圧を作用させると、第1ピストン84は第2スナップリング94に突き当たるまで左側へ動き、カラー102を介してスラストリング60を押す。
図1において、第1ピストン84と第2スナップリング94との間の間隙Eは、カラー102とスラストリング60との間隙Fよりは大きいが、間隙Fとアウターリング50とスラストリング60との間隙Gとの合計よりもやや小さいので、第1ピストン84がカラー102を介してスラストリング60を押しても、間隙Gが詰まるだけで直ちにアウターリング50をインナーリング42に押圧することにはならない。
【0031】
しかし、その状態からインナーリング42が入力軸10の回転方向と逆の方向に回転しようとすると、円錐内外面44,52が接しているので、微小な摩擦によりアウターリング50がインナーリング42に引きずられて回転し、ヘリカルスプライン54の作用で、スラストリング60はアウターリング50に対して右側へ動こうとし、結果的にアウターリング50とスラストリング60とはインナーリング42とカラー102との間で突っ張って、アウターリング50の円錐内面52はインナーリング42の円錐外面44に押し付けられる。
【0032】
ここで、インナーリング42の円錐外面44およびアウターリング50の円錐内面52の円錐角と、ヘリカルスプライン54の捩れ角を適切に設定すると、円錐外面44、円錐内面52での摩擦トルクに対して、その摩擦トルクを発生させるのに必要な押圧力よりやや大きな推力がヘリカルスプライン54で生じる。つまり、円錐内外面44,52での摩擦がある限りヘリカルスプライン54で生ずる推力が増大し続け、やがてインナーリング42はアウターリング50により回転を止められてしまう。すなわち、ヘリカルスプライン54の作用でインナーリング42は静止部であるケース80にセルフロックすることになる。
【0033】
この作用は、前述のようにインナーリング42が入力軸10と逆の回転方向に回転する場合にのみ生じ、入力軸10と同じ回転方向の場合にはブレーキ作用が生じないので、OWCを介してブレーキ作用が働いたのと同じことになる。
つまり、図1,図2,図3において、第2クラッチ32が締結され、OWC36が加速側に連結されるDレンジの第1速から第2速に変速する場合に、すでに締結されている第2クラッチ32はそのままに第1油路110に油圧を加えれば自動車を加速する方向にのみ第1ブレーキ40が締結し、同時にOWC36が自動的に解除されて第2速に切り替わる。次に第2速から第3速に変速するには第2クラッチ32の締結および第1油路110の油圧はそのままにして、第1クラッチ30を締結すれば、インナーリング42は自由に回転できる方向に回ろうとするので、自動的に第1ブレーキ40は解除されて第3速に切り替わる。
【0034】
この場合は前述の加速する場合と逆になって、ヘリカルスプライン54には入力軸10と同じ回転方向にトルクが作用し、アウターリング50を右側へ、スラストリング60を左側へ動かす方向にスラストが発生し、結果としてヘリカルスプライン54の作用でアウターリング50は右側へ引き寄せられる。
そのため、アウターリング50とインナーリング42とは離反し、セルフロックも解除されてインナーリング42、サンギア26は入力軸10と同じ方向に自由に回転できるようになり、前進第3速に切り替わる。このようにインナーリング42が自由に回転する状態(ブレーキとしては非作動)ではインナーリング42とアウターリング50とが離反することと、摩擦面の数が少ないため、第1ブレーキとしての引きずり抵抗は従来の多板ブレーキに比べ小さくなる。
【0035】
また、Lレンジの第2速にする場合には、第2クラッチ32を締結し、第1油路110の油圧と併せて第2油路112に油圧を加えると第2ピストン88が皿バネ104を介してアウターリング50を直接押圧するので、インナーリング42の回転方向にかかわらずブレーキ作用が生じ、第2速の減速方向でも動力伝達が行われて、いわゆるエンジンブレーキを利かせることが可能になる。
【0036】
以上の説明で明らかなように、インナーリング42、アウターリング50およびスラストリング60は、油圧によって一方向にのみセルフロックするワンウェイクラッチを備えたブレーキ機能と、両方向に利くブレーキの機能とを併せ持っていることが分かる。
一方、第1ブレーキ40が非作動の場合は、前述のようにインナーリング42の円錐外面44とアウターリング50の円錐内面52とはごく軽く接触しているだけで、摩擦面の数も1個と少ないので、第3速での走行時などにおける引きずりによる回転抵抗は、接触面の数が多い従来の多板クラッチ型のブレーキに比べて大幅に小さい。
【0037】
次に、図4は本発明の他の締結要素を示す断面図、図5は本発明の他の締結要素の適用例である前進4段の遊星歯車列のスケルトン図、図6は図5の遊星歯車列の作動説明図である。表示の仕方は図3と同じである。
本発明においては、第3クラッチ46は第1キャリア22Cと第2リングギア24Aとの連結機能を持っているが、前述のものと同じように第1ピストン84の作動により加速する方向にのみ締結する場合と、第2ピストン88の作動により回転方向にかかわりなく締結する場合とに使い分けることができる。
【0038】
したがって、従来の2個の多板クラッチ1個のOWCとを有するのと同じ機能を持っており、従来例に比して構造が簡単になるとともに第1実施例と同様に非作動時の引きずり抵抗も小さくできる。
図4の第3クラッチ46について詳細に説明する。
図1に示したものとの大きな違いは、ともに回転する第1キャリア22Cの延伸部材22Dとサンギア26とを連結する締結要素であることと、円錐摩擦面を2個有することである。
【0039】
すなわち、サンギア26と連結されたプレート41は軸方向左側への移動をスラストワッシャー92により阻止されている。プレート41には円周上の数箇所に角穴41aが設けられ、この角穴41aにコーンリング42の爪43が嵌合している。コーンリング42はその外周に円錐外面44を内周に円錐内面45を有している。アウターリング50はその円錐内面52がコーンリング42の円錐外面44と接し、スプライン55でインナーコーンリング53と噛み合っている。インナーコーンリング53はその円錐外面57がコーンリング42の円錐内面45と接しており、軸方向左側はプレート41に接している。
【0040】
アウターリング50はヘリカルスプライン54でスラストリング60と噛み合っている。スラストリング60はスプライン62で延伸部材22Dと係合しており、装着されたスナップリング64により、アウターリング50に対する軸方向の移動は左右とも制約されている。第1ピストン84は第1油路110からの油圧により左側へ動いて皿バネ85およびスラストワッシャー87を介してスラストリング60を押圧できるが、スナップリング94で移動量が制限されている。第2ピストン88は第2油路112からの油圧により皿バネ104を介してアウターリング50を左側へ押圧することができる。
【0041】
次に、作用を説明すると、基本的には前記のものと同じであり、スプライン55でアウターリング50とインナーコーンリング53とが回転方向に連結されているため、円錐内外面45,57,44,52で生ずる微小な摩擦トルクによりアウターリング50が入力軸の回転と逆の方向に回転すると、ヘリカルスプライン54の作用でアウターリング50を左側へ押圧する力が生ずる。アウターリング50が左側へ押圧されると、その円錐内面52がコーンリング42の円錐外面44を押し、コーンリング42の円錐内面45がインナーコーンリング53の円錐外面57を左側へ押圧する。
【0042】
ここで、これらの円錐内外面45,57,44,52の円錐角とヘリカルスプライン捩れ角とを適切に設定しておけば、円錐内外面45,57,44,52で生ずる摩擦トルクにより、それらのトルクを生じさせる推力以上の推力がヘリカルスプライン54で生じて、結果として円錐内外面45,57,44,52でセルフロックして、延伸部材22Dとサンギア26とは入力軸10の回転と逆の方向にのみ連結される。
【0043】
また、油路112に油圧を作用させることで、第2ピストン88がアウターリング50を左側へ押圧するので、回転方向に関係なく延伸部材22Dとサンギア26とを連結することができる。
本発明においては摩擦する円錐面を2カ所としたため、締結要素としての容量を多くすることができる。その他の効果は前記のものと同じである。
【0044】
以上の説明では、アウターリング50とスラストリング60とをヘリカルスプライン54で連結する構造で説明したが、両者の間に何らかの斜面を設けて摩擦トルクが作用した場合に推力が発生するようにしてもよい。また、両者の間の斜面間にボールなどを介在させても同様の効果が得られる。
本発明は、自動車の自動変速機に用いられる一般的な遊星歯車列に適用が可能であり、特に例示はしないが、当業者の一般的な知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、従来の多板ブレーキ2個とOWCとの組み合わせに代えて、第1ピストンを押圧したとき、遊星歯車メンバーとケースとを一方の回転方向にのみ締結し、第2ピストンを押圧したときには回転方向にかかわらず、両者を締結するようにしたため、部品点数の削減でコストを安くするだけでなく、摩擦面の数が減るためブレーキが非作動の状態における引きずり抵抗が低減することができる。
【0046】
その結果、自動車の燃料消費率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の締結要素を示す断面図
【図2】本発明の締結要素を適用する遊星歯車列のスケルトン図
【図3】図2の遊歯車列の作動説明図
【図4】本発明の他の締結要素を示す断面図
【図5】本発明の他の締結要素を適用する遊星歯車列のスケルトン図
【図6】図5の遊星歯車列の作動説明図
【図7】従来の自動変速機の遊星歯車列のスケルトン図
【図8】従来の第1ブレーキの断面図
【符号の説明】
10:入力軸
12:出力軸
20:遊星歯車組
22:第1遊星歯車組
22A:第1リングギア
22B:第1ピニオン
22C:第1キャリア
22D:延伸部材
24:第2遊星歯車組
24A:第2リングギア
24B:第2ピニオン
24C:第2キャリア
26:サンギア
30:第1クラッチ
32:第2クラッチ
34:第2ブレーキ
36:OWC
40:第1ブレーキ
41:プレート
41a:角穴
42:インナーリングまたはコーンリング
44:円錐外面
45:円錐内面
46:第3クラッチ
50:アウターリング
52:円錐内面
53:インナーコーンリング
54:ヘリカルスプライン
55:スプライン
56:肩部
60:スラストリング
62:外周スプライン
64:スナップリング
70:第3スナップリング
80:ケース
82:第1シリンダー
84:第1ピストン
85,104:皿バネ
86:第2シリンダー
87:スラストワッシャー
88:第2ピストン
90:第1スナップリング
92:スラストワッシャー
94:第2スナップリング
98:リターンスプリング
102:カラー
110:第1油路
112:第2油路

Claims (5)

  1. 遊星歯車列とブレーキやクラッチなどの締結要素を用いて複数の変速比を得る自動変速機のケースと遊星歯車メンバーとの連結または遊星歯車メンバー同士間の連結を断続する締結要素であって、
    前記遊星歯車メンバーに連結されたインナーリングの円錐面と接する円錐面を有するとともに、第2ピストンにより押圧されるアウターリングと、
    該アウターリングとヘリカルスプラインで連結されるとともに前記ケースまたは他の遊星歯車メンバーに連結され、アウターリングに対して軸方向に動く範囲が制限され、かつ前記ケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して動く範囲が制限される第1ピストンにより押圧されるとき軸方向に動くスラストリングと、
    を備えたことを特徴とする自動変速機の締結要素。
  2. 前記アウターリングに、前記スラストリングが前記アウターリングに対して軸方向に動く範囲を制限する肩部とスナップリングを設けたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の締結要素。
  3. 前記スラストリングを押圧する前記第1ピストンが前記ケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して軸方向に動く範囲を制限するスナップリングを前記ケースまたは他の遊星歯車メンバーに設けたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の締結要素。
  4. 遊星歯車列とブレーキやクラッチなどの締結要素を用いて複数の変速比を得る自動変速機のケースと遊星歯車メンバーとの連結または遊星歯車メンバー同士間の連結を断続する締結要素であって、
    前記遊星歯車メンバーに連結されたプレートに一端が嵌合するとともに円錐外面と円錐内面を有するコーンリングと、
    前記円錐外面に接する円錐内面を有するとともにヘリカルスプラインによりスラストリングに連結され、スプラインでインナーコーンリングに連結され、かつ第2ピストンとにより押圧されるアウターリングと、
    該アウターリングと前記ヘリカルスプラインで連結されるとともに前記ケースまたは他の遊星歯車メンバーに連結され第1ピストンにより押圧されるとき軸方向に動く範囲が制限されたスラストリングと、
    前記コーンリングの前記円錐内面にその円錐外面が接するとともに軸方向の一端が前記プレートに接し前記アウターリングと前記スプラインで連結されたインナーコーンリングと、
    を備えたことを特徴とする自動変速機の締結要素。
  5. 前記スラストリングを押圧する前記第1ピストンが前記ケースまたは他の遊星歯車メンバーに対して軸方向に動く範囲を制限するスナップリングを前記ケースまたは他の遊星歯車メンバーに設けたことを特徴とする請求項4記載の自動変速機の締結要素。
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