JP3578948B2 - モータ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば記録ディスクを回転駆動するモータ、とりわけ流体動圧軸受を備えたモータであって、動圧軸受部間で潤滑油の保持量にアンバランスが生じた場合に再配分が可能な流体動圧軸受を備えたモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロータを回転自在に軸支持するための軸受手段として、例えばシャフトの両端部に一対のスラストプレートを固着し、スラストプレートの軸線方向面とこれと軸線方向に対向する面との間に潤滑油(オイル)を保持し、ロータの回転によってこの潤滑油中に動圧を発生するための動圧発生用溝を形成して一対のスラスト動圧軸受部を構成してモータにかかるスラスト方向の荷重を支持するとともに、シャフトの外周面とこれと半径方向に対向するロータの内周面との間にスラスト動圧軸受部に隣接して潤滑油を保持し、ロータの回転によってこの潤滑油中に動圧を発生するための動圧発生用溝を形成し一対のラジアル動圧軸受部を構成してモータにかかるラジアル方向の荷重を支持する流体動圧軸受を備えたモータが従来から知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造の例として特開平9―217735号公報に開示される流体動圧軸受を備えたモータにおいては、シャフトの上下端部に固着された一対のスラストプレートの軸線方向内側面とこれと対向するスリーブの軸線方向外側面との間に潤滑油を保持してスラスト動圧軸受部を一対構成し、また各スラスト動圧軸受部に隣接し且つシャフトの外周面とスリーブの内周面との間に各スラスト動圧軸受部に保持される潤滑油に連続して潤滑油を保持するとともに潤滑油中に発生した気泡を軸受外部に排出するために空気が充満する空間部を介してラジアル動圧軸受部が軸線方向に離間して一対構成されている。このように、上部スラスト動圧軸受部及び上部ラジアル動圧軸受部とで構成される上部動圧軸受部に保持される潤滑油と下部スラスト動圧軸受部と下部ラジアル動圧軸受部とで構成される下部動圧軸受部に保持される潤滑油とは、モータの組立完了後は空間部に充満する空気によって完全に分離された状態となる。
【0004】
上記流体動圧軸受を備えたモータでは、各スラスト動圧軸受部の動圧発生用溝を半径方向内方に潤滑油を圧送する形状のスパイラル状溝とし、各ラジアル動圧軸受部の動圧発生用溝を各スラスト動圧軸受部方向(軸線方向外側)に潤滑油圧送する軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝とするとともに各軸受端部に隣接してテーパ状に間隙寸法が漸次変化しシール部を配置することで、潤滑油の軸受外部への漏出を防止する構成を備えている。このような構成においては、テーパシール部によって潤滑油を各軸受部内に留めようとする作用が働くが、潤滑油の分子レベルでは、潤滑油の特性によってスラスト動圧軸受部を構成するスラストプレート及びロータの表面に沿って、またラジアル動圧軸受部ではシャフト及びスリーブの表面に沿って軸受部から潤滑油の無い(存在しない)部分に拡散しようとするいわゆるオイルマイグレーション現象が発生する。
【0005】
上記オイルマイグレーション現象は潤滑油と接触する部材の材質、表面精度等により各動圧軸受部によって発生状態が一定化せず、潤滑油の散逸量は各動圧軸受部によって異なる。ため、上記モータのように上部動圧軸受部に保持される潤滑油と下部動圧軸受部の潤滑油とがモータの組立後、完全に分離された状態で保持されると、上部動圧軸受部に保持される潤滑油と下部動圧軸受部に保持される潤滑油との間で保持量に差が生じアンバランスな状態となる。また、モータをベースプレートが下側となるよう(正立状態)に設置した場合、上側に位置するラジアル動圧軸受部の潤滑油には重力が作用し。オイルマイグレーション現象が助長されて潤滑油の漏出、散逸量が増大してしまう。
【0006】
更に、上部スラスト動圧軸受部の潤滑油に対するモータ回転時の遠心力の作用及び上部ラジアル動圧軸受部の潤滑油に対する軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝による上部スラスト動圧軸受部方向へのポンピング作用によって、上部ラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油が上部スラスト動圧軸受部側へと移動し潤滑油の下側界面が引き上げられ、ヘリングボーン状溝の下端部が空間部に充満する空気に露出して、潤滑油の界面とヘリングボーン状溝によって形成されるシャフトあるいはスリーブ表面の凹凸とが接触することによって振動が生じ、この振動によりあるいはモータに対する外的な振動、衝撃の印加によって、上部ラジアル動圧軸受部に保持されていた潤滑油が滴下して漏出し、上下各軸受部における潤滑油保持量の差異が大きくなるおそれもある。
【0007】
上部動圧軸受部と下部動圧軸受部との間で潤滑油の保持量にアンバランスが生じると、潤滑油の保持量の少ない方の軸受部の動圧発生用溝が外気に露出し、発生する動圧が低下することで上部動圧軸受部と下部動圧軸受部間で軸受剛性に差異が生じ、モータの安定した回転を得ることが困難になるおそれがある。また、オイルマイグレーション現象その他に起因する軸受部からの潤滑油の漏出、散逸は、軸受部に保持される潤滑油の早期の枯渇を招来し、モータの耐久性、信頼性を損なう原因となる。
【0008】
このように上部及び下部動圧軸受部の潤滑油保持量に差異が生じても、一対のラジアル動圧軸受部が空間部に充満する空気を介して完全に分離されているため、保持量が均一化されるよう上部及び下部動圧軸受部で潤滑油を再配分することはこれまでは事実上不可能なことであった。尚、上述の上部及び下部動圧軸受部間の潤滑油保持量のアンバランスは、軸受部への潤滑油注入時の作業誤差等によっても生じる。
【0009】
本発明は、気体介在部を介して分離して一対のラジアル動圧軸受部を構成する場合にも、各軸受部に保持される潤滑油の保持量を均一化するとともにラジアル動圧軸受部から漏出、散逸した潤滑油を捕捉し再度軸受部に環流することで、安定した回転を得ることができるとともに長期間にわたって使用可能なモータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明は、シャフトの両端部近傍に固着された一対の円盤状スラストプレートと、前記シャフトの外周面にラジアル微少間隙を介して対向するラジアル内周面、前記一対のスラストプレートの相互に対向する側の軸線方向面にそれぞれスラスト微少間隙を介して対向する一対のスラスト面及び前記一対のスラストプレートの外周面とそれぞれ軸線方向外方側に向かって拡大するテーパ状の間隙を介して半径方向に対向する一対の囲繞内周面を有するスリーブ部材と、前記一対のスラストプレートの前記軸線方向面とこれらと対向する前記スリーブ部材のスラスト面との間に規定される前記スラスト微小間隙中に潤滑油を保持してなる一対のスラスト動圧軸受部と、該一対のスラスト動圧軸受部に隣接し前記シャフトの外周面と前記スリーブ部材のラジアル内周面との間に規定される前記ラジアル微小間隙中に前記スラスト動圧軸受部に保持される潤滑油に連続して潤滑油を保持してなる一対のラジアル動圧軸受部とを備えたモータにおいて、前記スラスト微小間隙に保持される潤滑油は、前記スラストプレートの外周面と前記スリーブの囲繞内周面との間に形成される間隙内において外気に臨み、前記一対のラジアル微少間隙の略中央部には空気が保持されると共に、前記一対のラジアル微小間隙から離間するにしたがって拡大する一対のテーパ状の間隙を有する環状の気体介在部が設けられるとともに前記一対のラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油は、該気体介在部に保持される空気によって分離され、前記シャフトには、前記気体介在部に開口し該気体介在部とモータ外部とを連通するための呼吸孔が形成されており、前記スラスト動圧軸受部とラジアル動圧軸受部との間に連続して保持される潤滑油は、前記スラストプレートの外周面と前記スリーブの囲繞内周面との間に形成されるテーパ状の間隙及び前記環状の気体介在部のテーパ状の間隙において、前記潤滑油の表面張力と外気圧とがバランスする位置にそれぞれメニスカスを形成して保持されており、また、前記スリーブ部材には、前記一対のスラスト動圧軸受部を構成する前記スラスト面間を軸線方向に貫通し且つ前記一対のスラスト動圧軸受部に連続して潤滑油が保持される連通孔が少なくとも一つ形成されており、一方の前記スラスト動圧軸受部及びこれに隣接する前記ラジアル動圧軸受部に連続して保持されている潤滑油と他方の前記スラスト動圧軸受部及びこれに隣接する前記ラジアル動圧軸受部に連続して保持されている潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合に、前記メニスカスの曲率半径が実質的に同等となるよう前記連通孔を通じて前記潤滑油が移動することを特徴とする。
【0011】
この構成において、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油は、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合、一対のラジアル動圧軸受部並びにこれらに隣接するスラスト動圧軸受部のそれぞれに保持される潤滑油の表面張力、外気の大気圧等が相互にバランスしようとすることによって、これに応じて連通孔を通じて潤滑油の保持量が多い軸受部側から少ない側の軸受部への移動圧力が生じて、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部間で連通孔を通じて潤滑油の保持量が均等になるための再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消される。
【0012】
すなわち、一対のラジアル動圧軸受部及び一対のスラスト動圧軸受部の各潤滑油の境界面とが同じ大気圧に晒されることとなるので、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油は、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油に量的なアンバランスが生じた場合、より多くの潤滑油を保持する側の潤滑油の境界面がテーパ状の間隙中のより間隙の拡大した部分に位置するようになり、潤滑油の表面張力、潤滑油の分子とテーパ状の間隙を構成する各部材の分子とが分子間力によって引き合う力及び外気の大気圧とがバランスすることによって形成される潤滑油の境界面のメニスカス(湾曲面)の断面の曲率半径に差異が生じる。
【0013】
つまり、潤滑油が多く保持される側のメニスカスは潤滑油が少ない側のメニスカスよりも当然に大きな間隙部分にあるから、間隙が小の部分、即ち断面の曲率半径が小のメニスカスでの潤滑油の表面張力と潤滑油の分子とテーパ状の間隙を構成する各部材の分子とが引き合う力の差圧は、間隙大の部分、即ち断面の曲率半径が大のメニスカスのそれよりも大きくなるので、それぞれのメニスカスに隣接する潤滑油の圧力に差を生じる。これに応じて連通孔を通じて潤滑油の保持量が多い軸受部側から少ない側の軸受部への移動圧力が 生じて、各テーパ状の間隙中に形成される潤滑油の境界面のメニスカスの断面の曲率半径が同等となり大気圧による押圧力が釣り合うようになるまで、つまりテーパ状の間隙中の潤滑油の境界面が同等の間隙位置になるまで、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部間で連通孔を通じて潤滑油の再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消される。
【0014】
このような連通孔による再配分機能はモーターの停止時,回転時ともに機能する。また、オイルマイグレーション現象によってスラストプレート及びスリーブの表面に拡散しようとする潤滑油は、モータの回転時に遠心力の作用で半径方向外方に圧送され、スラスト動圧軸受部に保持される潤滑油に環流されて、モータ外部に漏出することが防止される。
【0015】
加えて、スラスト動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油を半径方向内方に圧送する形状のスパイラル状溝を形成し、これに隣接し連続して潤滑油を保持するラジアル動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油をスラスト動圧軸受部方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝を形成することで、ラジアル動圧軸受部側に位置する潤滑油の境界面からスラスト動圧軸受部側に位置する潤滑油の境界面に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる潤滑油の境界面から大気中に排除される構成となる。
【0016】
また、スラスト動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油を半径方向内方に圧送する形状のスパイラル状溝を形成し、これに隣接し連続して潤滑油を保持するラジアル動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油をスラスト動圧軸受部方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝を形成して、潤滑油に含まれる気泡が自動的に圧力が最小となるラジアル動圧軸受部側及びスラスト動圧軸受部側に位置する潤滑油の境界面から大気中に排除される構成とすることで、例えばラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部の双方にヘリングボーン状溝を形成した場合には、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部の境界部付近で動圧が極小となり気泡が滞留しがちとなるため、これを排出するためにスラストプレートに形成されていた呼吸孔や循環孔等が不要となり、またスラストプレートが小径化されることでシャフトにスラストプレートを取付ける際の直角度等の要求精度が幾分緩和され、スラストプレートの加工及び組立が容易になりモータの低コスト化に寄与することができる他、スラストプレートの周速が小さくなり、潤滑油の粘性抵抗を抑制することができるのでモータの電気的効率が向上する。
【0017】
更に、一対のスラストプレートの軸線方向外側面とこれと軸線方向に対向する一対のカウンタプレートとの間に形成される軸線方向間隙を半径方向内方に向かって拡大するよう構成することで、二次的なテーパシール部が形成される。
【0018】
この場合、モータの回転時に潤滑油に遠心力等の作用によって、潤滑油が半径方向外方に圧送され、潤滑油の外気との境界面がテーパシール部からスラストプレートの軸線方向外側面とこれと軸線方向に対向するカウンタプレートとの間に移動し、潤滑油の外気との境界面はこのシール部において潤滑油の表面張力と外気の大気圧とがバランスし保持されることから、オイルマイグレーション現象によってスラストプレート及びカウンタプレートの表面を半径方向内方に向かって拡散した潤滑油が、モータの回転時に遠心力の作用によって半径方向外方に圧送されることでこの二次的なシール部に保持される潤滑油に環流され、モータ外部への漏出が更に防止される。
【0019】
また、一対のカウンタプレートには中央部にシャフトが微小間隙を介して遊挿される円形開口が形成されており、シャフトの外周面と円形開口の内周面との間の微小間隙の半径方向の寸法を、可能な限り小に設定することによって、潤滑油が気化することによって発生した蒸気の外部への流出抵抗を大にして潤滑油の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油の蒸散が有効に阻止される。
【0020】
一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を、スラスト面のうち、スラスト動圧軸受部の外周端部近傍に開口するよう形成することで、上述の大気圧による押圧力に加えて、モータの回転によって潤滑油に作用する遠心力を潤滑油を再配分するための移動圧力として利用することができるようになり、連通孔を通じての再配分機能をより高めることができる。
【0021】
尚、スリーブを、外周面に軸線方向に延設される切り欠きが形成され且つ一対のスラスト動圧軸受部の一部を構成するスラスト面及び一対のラジアル動圧軸受部の一部を構成するラジアル内周面を有する円筒状のスリーブ部材とこの部材の外周面が嵌合される円筒内周面を備えた外筒部の二つの部材から構造することによって、内筒部を外筒部の円筒内周面に嵌合することで内筒部の切り欠きと外筒部の円筒内周面との間に空隙が形成されて連通孔を構成することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るモータの実施形態について、記録ディスク駆動用モータとして使用する場合を例にとり、図1及び図2(a)、(b)を参照して説明するが、本発明は以下に示す各実施例に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のモータの概略構成を模式的に示す縦断面図、また、図1のモータのスリーブ部材の概略構成を模式的に示し、図2(a)はスリーブ部材の外周部の一部を切り落とすことにより連通孔を形成する場合の斜視図であり、(b)はスリーブ部材の外周部の一部を切り欠くことにより連通孔を形成する場合の斜視図である。
【0024】
図1において、この記録ディスク駆動用モータ1は、ブラケット2と、このブラケット2の中央開口2a内に一方の端部が外嵌固定されるシャフト4と、このシャフト4に対して相対的に回転自在なロータ6とを備える。ロータ6は、外周部に記録ディスクDが載置されるロータハブ6aと、ロータハブ6aに形成された円形貫通孔である中央孔6a1の内周面に嵌着され、潤滑油8が保持される微少間隙を介してシャフト4に軸支持されるスリーブ部材6bとを備えている。また、ロータハブ6aの内周部には接着等の手段によってロータマグネット10が固着されており、このロータマグネット10と半径方向に対向してブラケット2にステータ12が装着されている。
【0025】
スリーブ部材6bの略中央部には内周面がシャフト4の外周面との間に潤滑油8が保持される微少間隙を形成するようスリーブ部材6bを軸線方向に貫通する貫通孔6cが形成されている。シャフト4の上部及び下部には半径方向外方に突出する円盤状の上部スラストプレート4a及び下部スラストプレート4bがそれぞれ取付けられており、中央孔6a1の上部スラストプレート4a及び下部スラストプレート4bに対応する部位には、各スラストプレート4a及び4bの外径よりも大径な上部開口6d及び下部開口6eが中央孔6a1の内周面とスリーブ部材6bの軸線方向両端面である上部スラスト面6fと下部スラスト面6gとによって規定されている。この上部開口6d及び下部開口6eは、中央部にシャフト4が挿通される開口7a2、7b2を有するリング状の上部カウンタプレート7a及び下部カウンタプレート7bによって閉塞されている。
【0026】
貫通孔6c内周部から上部開口6dの外周部に至るスリーブ部材6bの上部スラスト面6fと、上部スラストプレート4aの下面(軸線方向内側面)との間には、潤滑油8が保持される微少間隙が形成されており、上部スラストプレート4aの下面には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するための一群のスパイラル状溝14が並列状に形成され上部スラスト動圧軸受部16が構成されている。また、貫通孔6c内周部から下部開口6eの外周部に至る下部スラスト面6gと、下部スラストプレート4bの上面(軸線方向内側面)との間には、潤滑油8が保持される微少間隙が形成されており、下部スラストプレート4bの上面には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するための一群のスパイラル状溝14が並列状に形成され下部スラスト動圧軸受部18が構成される。これら上部及び下部スラスト動圧軸受部16、18に形成されるスパイラル状溝14は、それぞれ潤滑油8に半径方向内方に向かって圧送するポンピング作用が発生するよう半径方向内方を向く形状を有している。
【0027】
上部スラストプレート4aの外周面4a1は軸線方向外側に向かって、これと半径方向に対向するロータ6の上部開口6dの内周面との間の間隙が拡大するよう、テーパ状に形成されており、上部スラスト動圧軸受部16に保持される潤滑油8は、モータ1の停止時において、この上部スラストプレート4aの外周面4a1とロータ6の上部開口6dの内周面との間の間隙中で大気との境界面を形成している。同様に、下部スラストプレート4bの外周面4b1は軸線方向外側に向かって、これと半径方向に対向するロータ6の下部開口6eの内周面との間の間隙が拡大するよう、テーパ状に形成されており、下部スラスト動圧軸受部18に保持される潤滑油8は、モータ1の停止時において、この下部スラストプレート4bの外周面4b1とロータ6の下部開口6eの内周面との間の間隙中で大気との境界面を形成している。
【0028】
上部及び下部スラスト動圧軸受部16、18に保持される潤滑油8を上部及び下部スラストプレート4a、4bの外周面4a1、4b1とこれと半径方向に対向するロータ6の上部開口6d及び下部開口6eの内周面との間の間隙中に大気との境界面を形成するよう保持することで、モータ1の回転時に遠心力の作用等によって潤滑油8が半径方向外方に押圧されて移動した場合でも上部開口6d及び下部開口6eの内周面によってさらなる移動が阻止される。また、オイルマイグレーション現象によって上部及び下部スラストプレート4a、4b及びロータ6の表面に拡散した潤滑油8は、遠心力の作用で半径方向外方に圧送されて、大気との境界面から潤滑油8に環流され、モータ1の外部への潤滑油8の漏出が防止される。
【0029】
この場合、上部及び下部スラストプレート4a、4bの外周面4a1、4b1とこれと半径方向に対向するロータ6の上部開口6d、6eの内周面との間の間隙が軸線方向外側に向かって拡大するよう構成することで、上部第1テーパシール部17a及び下部第1テーパシール部19aとが形成され、潤滑油8の表面張力と大気圧とがバランスして保持されている。
【0030】
上部カウンタプレート7aの下面7a1は、半径方向内方に向かうにつれて上部スラストプレート4aの上面(軸線方向外側面)との間の軸線方向間隙が拡大するテーパ状に形成され、上部第2テーパシール部17bが形成されている。この上部テーパシール部17bは開口7a2とシャフト4の外周面との間の間隙を通じて外気に連通開放されており、モータ1の回転時において、潤滑油8は、上部第2テーパシール部17bにおいて外気との境界面を形成して保持されている。また、下部カウンタプレート7bの上面7b1は、半径方向内方に向かうにつれて下部スラストプレート4bの下面(軸線方向外側面)との間の軸線方向間隙が拡大するテーパ状に形成されており下部第2テーパシール部19bが形成される。この下部第2テーパシール部19bも同様に、開口7b2とシャフト4の外周面との間の間隙を通じて外気に連通開放されており、モータ1の回転時において、潤滑油8は、下部第2テーパシール部19bにおいて外気との境界面を形成して保持されている。
【0031】
このように、モータ1の回転時において、潤滑油8の境界面が半径方向内方を向く各第2テーパシール部17b、19b中にあることから、モータ1の回転時に潤滑油8に作用する遠心力によって、オイルマイグレーション現象で拡散した潤滑油8が半径方向外方に向かって圧送され、各第2テーパシール部17b、19bに保持される潤滑油8に環流され、モータ1の外部への漏出が更に防止される。
【0032】
シャフト4の外周面の略中央部には、貫通孔6cの内周面との間の間隙が拡大する間隙拡大部が形成されるよう、環状凹部4cが形成されており、この凹部4cにはシャフト4中に形成された外気と連通する連通孔20が開口し、この開口部より微少間隙中に取り込まれた外気は凹部4cと貫通孔6cの内周面との間に環状の気体介在部22を形成する。この気体介在部22に保持される外気によってシャフト4の外周面と貫通孔6cの内周面との間の微少間隙中に保持された潤滑油8は軸線方向上下に分割されることとなる。
【0033】
貫通孔6cの内周面の、凹部4cに保持される外気によって軸線方向上下に分割されて保持される潤滑油8に対応する部位には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するための一群のヘリングボーン状溝24が並列状に形成され上部ラジアル動圧軸受部26及び下部ラジアル動圧軸受部28が構成されている。これら上部及び下部ラジアル動圧軸受部26、28に形成されるヘリングボーン状溝24は、互いに逆方向のスパイラル状溝を連結したものであり、それぞれ発生する動圧の圧力ピークが、軸線方向外側に偏倚して現れるよう、つまり上部及び下部ラジアル動圧軸受部26、28に形成されるヘリングボーン状溝24による潤滑油8に対するポンピング作用が上部及びスラスト動圧軸受部16、18側に向かって作用するよう、軸線方向外側に位置するスパイラル状溝が軸線方向内側に位置するスパイラル状溝に比べて短い軸線方向にアンバランスな形状に構成されている。
【0034】
この構成において、各スラスト動圧軸受部16、18には形成される動圧発生手段はスパイラル形状の溝であるのでそれのみでは必要な軸線方向の荷重支持圧を発生できないが、隣接する各ラジアル動圧軸受部26、28のヘリングボーン状溝24を、発生する動圧の圧力ピークが軸線方向外側(各スラスト動圧軸受部16、18側)に偏倚する形状とすることで両軸受部の協働によりスラスト部に必要な動圧を発生せしめて負荷を支持している。この場合、ロータ6の回転時にラジアル動圧軸受部26、28近傍の潤滑油8の気体介在部22側端部境界面がラジアル動圧軸受部26、28内に移動してアンバランスなヘリングボーン状溝24の一部を大気中に露出せしめてスラスト動圧軸受部16、18の動圧と平衡するよう溝諸元を設定する。
【0035】
また、上部及び下部ラジアル動圧軸受部26、28は隣接するスラスト動圧軸受部16、18とは潤滑油8が連続して保持されており、片方の潤滑油8の境界面(気体介在部22中に保持される外気との境界面)から他方の潤滑油8の境界面(第2テーパシール部17b、19b中の外気との境界面)に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油8中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる境界面から容易に大気中に排除する構成とすることができる。
【0036】
このように、各動圧軸受部16、18、26及び28に保持される潤滑油8中に生じた気泡は、順次低圧側に移動し、各潤滑油8の境界面より大気中に開放されるため、気泡が潤滑油8中に滞留することがなく、モータ1の温度上昇時に気泡が熱膨張し潤滑油8が軸受外部に漏出することが防止される。
【0037】
また、上部及び下部スラスト動圧軸受部16、18間に位置するスリーブ部材6bの内周面には、一対のスラスト動圧軸受部16、18間を連通する連通孔9が形成されている。この連通孔9は、両端部が各スラスト動圧軸受部16、18の外周端部近傍に開口しており、各スラスト動圧軸受部16、18に保持される潤滑油8に連続して潤滑油8が毛細管現象によって保持されている。
【0038】
上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受部26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8との間に、量的なアンバランスが生じた場合、潤滑油8の境界面はモータ1の停止時においては第1テーパシール部17a、19a中の、また、モータ1の回転時においては第2テーパシール部17b、19b中のより間隙が拡大した部分に位置するようになり、上部第1テーパシール部17a又は上部第2テーパシール部17b中において、潤滑油8の表面張力、潤滑油8の分子と上部第1テーパシール部17a又は上部第2テーパシール部17bの潤滑油8との接触面を構成する部材の分子とが引き合う力及び外気の大気圧とがバランスすることで形成される潤滑油8の境界面のメニスカスの間隙と、下部第1テーパシール部19a又は下部第2テーパシール部19b中において、潤滑油8の表面張力、下部第1テーパシール部19a又は下部第2テーパシール部19bと外気の大気圧とがバランスすることで形成される潤滑油8の境界面のメニスカス断面の曲率半径に差異が生じる。
【0039】
潤滑油8が多く保持される側のメニスカスは、潤滑油8が少ない側のメニスカスよりも当然に第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b中の大きな間隙部分にあることから、間隙が小の部分、即ち断面の曲率半径が小のメニスカスでの潤滑油8の表面張力と潤滑油8の分子と第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19bの潤滑油8との接触面を構成する部材の分子とが引き合う力との間の差圧は、間隙が大の部分、即ち断面の曲率半径が大のメニスカスの差圧よりも大きくなるので、それぞれのメニスカスに隣接する潤滑油8の圧力に差を生じる。
【0040】
これに応じて潤滑油8の保持量が多い側から少ない側への移動圧力、即ち潤滑油8の境界面を第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b側から各スラスト動圧軸受部16、18側へと押圧するより大きな圧力が生じ、第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b中に形成される潤滑油8の境界面のメニスカスの断面の曲率半径が同等となり大気圧による押圧力が釣り合うようになるまで、つまり第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b中の潤滑油8の境界面が同等の間隙位置になるまで、連通孔9を通じて潤滑油8の再配分が行われて、上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受部26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8との間の量的なアンバランスが解消される。
【0041】
特に、連通孔9内には常時各スラスト動圧軸受部16、18に保持される潤滑油8に連続して潤滑油8が毛細管現象によって保持されており、モータ1の回転時においては、上述の大気圧による各テーパシール部17a、17b、19a及び19bから各スラスト動圧軸受部16、18側への押圧力に加えて、モータ1の回転による遠心力が潤滑油8の外気との境界面のメニスカスに作用することとなるため、連通孔9を上下スラスト面6f、6gのうち各スラスト動圧軸受部16、18の外周端部近傍に開口するよう形成することで潤滑油8に対してより大きな移動圧力が付与されることとなり、モータ1に印加される外的な振動、衝撃等に起因して一方の軸受部に保持されていた潤滑油8が多量に他方に移動した場合でも、潤滑油8が過小となった軸受部側に速やかに潤滑油8を再配分することができる。
【0042】
このように、上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8が移動可能となり、保持される潤滑油8に量的なアンバランス生じた場合に連通孔9を通じて潤滑油8の再配分が行われることで、上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8の保持量が均一化され、モータ1の安定した回転を得ることができる。
【0043】
また、連通孔9は、図2(a)に示すとおり、スリーブ部材6bの外周面の一部を上部スラスト面6fから下部スラスト面6gにわたって厚み寸法で約50から100μm程度切り落とすことによって平面9aを形成し、このスリーブ部材6bをロータハブ6aの円形貫通孔である中央孔6a1内に嵌入することで平面9aと中央孔6a1の内周面との間に空隙を規定して連通孔9を構成する、あるいは図2(b)に示すとおり、スリーブ部材6bの外周面に深さが約50から100μm程度で軸線方向に延設される断面略V字状の溝9bを形成し、このスリーブ部材6bをロータハブ6aの中央孔6a1内に嵌入することで溝9bと中央孔6a1との間に空隙を規定して連通孔9を構成することが可能である。
【0044】
尚、ロータ6が一つの部材から形成される場合、各スラスト動圧軸受部16、18を構成する上部スラスト面6fから下部スラスト面6gに至る直径が約50から100μm程度の貫通孔を形成することによって、連通孔9を形成することも可能である。加えて、図1及び図2(a)、(b)においては、連通孔9を周方向に2箇所形成する構成した場合を図示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、周方向等間隔に複数の連通孔9を構成する、あるいは連通孔9を一つのみ構成することも可能である。
【0045】
上部及び下部カウンタプレート7a、7bの内周面7a2、7b2とシャフト4の外周面との間の半径方向の間隙を可能な限り小さく設定することによって、モータ1の回転時に各スラストプレート4a、4bの軸線方向外側面とカウンタプレート7a、7bの上面7a1及び下面7b1との間に規定される軸線方向間隙とシャフト4の外周面と各カウンタプレート7a、7bの円形開口の内周面7a2、7b2との間に規定される半径方向間隙とで発生する空気流の流速に差異が生じることで、潤滑油8が気化することによって生じた蒸気(オイルミスト)のモータ1の外部への流出抵抗を大きくして潤滑油8の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油8の蒸散を防止することができる。尚、これら各面に例えばフッ素系材料からなる撥油剤を塗布しておくと、上記シール効果に加えて潤滑油8に遠心力の作用しないモータ1の停止時に潤滑油8がオイルマイグレーション現象によって上部及び下部カウンタプレート7a、7bの内周面7a2、7b2とシャフト4の外周面との間の半径方向の間隙を通じてモータ1の外部に漏出することを防止できる。
【0046】
また、各スラスト動圧軸受部16、18とこれらに隣接する各ラジアル動圧軸受部26、28に連続して保持する潤滑油8中の動圧が極小となる点が存在しないことから、各スラスト動圧軸受部16、18と各ラジアル動圧軸受部26、28の境界部にあたるシャフト4と各スラストプレート4a、4bとの締結部付近と外気とを連通する、例えば呼吸孔等をスラストプレートに設けることが不要となる。
【0047】
更に、呼吸孔等の構成の廃止及びスパイラル状溝14の採用等によって、スラストプレート4a、4bの外径を小径化することができるためる、スラストプレートの構成を簡略化し加工工数が削減されることでモータの低コスト化に寄与するとともに、モータ1の回転時にスラストプレート4a、4bの周速が小さくなり、潤滑油8の粘性抵抗による軸受損が抑制されて、モータ1の電気的効率を高め、消費電力を抑制することができる。
【0048】
加えて、スラストプレート4a、4bを小径化することができることで、下部スラスト動圧軸受部18がロータマグネット10及びステータ12からなる磁気回路部に与える影響を少なくすることができ、換言するとロータマグネット10及びステータ12からなる磁気回路部に十分なスペースを確保することができるため、十分な駆動トルクを得ることができる。
【0049】
以上、本発明に従う記録ディスク駆動用モータの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のモータによれば、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合、一対のラジアル動圧軸受部並びにこれらに隣接するスラスト動圧軸受部のそれぞれに保持される潤滑油の表面張力、外気の大気圧等が相互にバランスしようとすることによって、潤滑油の保持量が多い側から少ない側への移動圧力が誘起され、この移動圧力により一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を通じて潤滑油の保持量が均等になるまで再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消され、モータの安定した回転を得ることができる。
【0051】
すなわち、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合、テーパ状の間隙部中に規定される潤滑油と外気との境界面に形成されるメニスカスの位置が移動し、潤滑油の表面張力、潤滑油の分子とテーパ状の間隙を構成する各部材の分子とが引き合う力及び外気の大気圧とがバランスすることにより形成されるメニスカスの断面の曲率半径に差異が生じることで、潤滑油の保持量が多い側から少ない側への移動圧力が誘起されて、各テーパシール部中に形成される潤滑油の境界面のメニスカスの断面の曲率半径が同等になるまで、この移動圧力により一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を通じて潤滑油の再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消される。
【0052】
本発明の請求項2に記載のモータによれば、ラジアル動圧軸受部側の潤滑油の境界面からスラスト動圧軸受部側の潤滑油の境界面に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる潤滑油の境界面から大気中に排除する構成とすることができる。
【0053】
また、スラスト動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油を半径方向内方に圧送する形状のスパイラル状溝を形成し、これに隣接し連続して潤滑油を保持するラジアル動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油をスラスト動圧軸受部方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝を形成して、潤滑油に含まれる気泡を自動的に圧力が最小となる潤滑油の境界面から大気中に排除する構成とすることで、例えばラジアル動圧軸受部とこれに隣接するスラスト動圧軸受部との境界部を外気に連通するためにスラストプレートに形成されていた呼吸孔や循環孔等が不要となり、スラストプレートが小径化されることで、シャフトにスラストプレートを固定する際の直角度等の要求精度が幾分緩和されてスラストプレートの加工や組立が容易になりモータの低コスト化に寄与することができるとともにスラストプレートの周速が小さくなり、潤滑油の粘性抵抗を抑制することができるのでモータの電気的効率を向上することができる。
【0054】
本発明の請求項3に記載のモータによれば、オイルマイグレーション現象によってスラストプレート及びカウンタプレートの表面に拡散した潤滑油がこのモータの回転時に遠心力によって潤滑油に環流され、モータ外部への漏出が更に防止される。
【0055】
本発明の請求項4に記載のモータによれば、潤滑油が気化することによって生じた蒸気の外部への流出抵抗を大にして潤滑油の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油の蒸散を有効に阻止することができる。
【0056】
本発明の請求項5に記載のモータによれば、モータの回転時に潤滑油に遠心力が作用することで潤滑油を再配分するための移動圧力が高くなり、連通孔を通じての潤滑油の再配分機能をより向上することができ、モータに印加された外的な振動、衝撃等に起因して一方の軸受部側に保持されていた潤滑油が他方側の軸受部へと移動した場合であっても、潤滑油が過小となった側の軸受部へ潤滑油を速やかに環流することができる。
【0057】
本発明の請求項6に記載のモータによれば、一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を比較的容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のモータの概略構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1のモータのスリーブ部材の概略構成を模式的に示し(a)はスリーブ部材の外周部の一部を切り落とし平面を形成することにより連通孔を形成する場合の斜視図であり、(b)はスリーブの外周部の一部にV字状溝を形成することにより連通孔を形成する場合の斜視図である。
【符号の説明】
1 モータ
4 シャフト
4a、4b スラストプレート
6b スリーブ部材
9 連通孔
16、18 スラスト動圧軸受部
22 気体介在部
26、28 ラジアル動圧軸受部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば記録ディスクを回転駆動するモータ、とりわけ流体動圧軸受を備えたモータであって、動圧軸受部間で潤滑油の保持量にアンバランスが生じた場合に再配分が可能な流体動圧軸受を備えたモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ロータを回転自在に軸支持するための軸受手段として、例えばシャフトの両端部に一対のスラストプレートを固着し、スラストプレートの軸線方向面とこれと軸線方向に対向する面との間に潤滑油(オイル)を保持し、ロータの回転によってこの潤滑油中に動圧を発生するための動圧発生用溝を形成して一対のスラスト動圧軸受部を構成してモータにかかるスラスト方向の荷重を支持するとともに、シャフトの外周面とこれと半径方向に対向するロータの内周面との間にスラスト動圧軸受部に隣接して潤滑油を保持し、ロータの回転によってこの潤滑油中に動圧を発生するための動圧発生用溝を形成し一対のラジアル動圧軸受部を構成してモータにかかるラジアル方向の荷重を支持する流体動圧軸受を備えたモータが従来から知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造の例として特開平9―217735号公報に開示される流体動圧軸受を備えたモータにおいては、シャフトの上下端部に固着された一対のスラストプレートの軸線方向内側面とこれと対向するスリーブの軸線方向外側面との間に潤滑油を保持してスラスト動圧軸受部を一対構成し、また各スラスト動圧軸受部に隣接し且つシャフトの外周面とスリーブの内周面との間に各スラスト動圧軸受部に保持される潤滑油に連続して潤滑油を保持するとともに潤滑油中に発生した気泡を軸受外部に排出するために空気が充満する空間部を介してラジアル動圧軸受部が軸線方向に離間して一対構成されている。このように、上部スラスト動圧軸受部及び上部ラジアル動圧軸受部とで構成される上部動圧軸受部に保持される潤滑油と下部スラスト動圧軸受部と下部ラジアル動圧軸受部とで構成される下部動圧軸受部に保持される潤滑油とは、モータの組立完了後は空間部に充満する空気によって完全に分離された状態となる。
【0004】
上記流体動圧軸受を備えたモータでは、各スラスト動圧軸受部の動圧発生用溝を半径方向内方に潤滑油を圧送する形状のスパイラル状溝とし、各ラジアル動圧軸受部の動圧発生用溝を各スラスト動圧軸受部方向(軸線方向外側)に潤滑油圧送する軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝とするとともに各軸受端部に隣接してテーパ状に間隙寸法が漸次変化しシール部を配置することで、潤滑油の軸受外部への漏出を防止する構成を備えている。このような構成においては、テーパシール部によって潤滑油を各軸受部内に留めようとする作用が働くが、潤滑油の分子レベルでは、潤滑油の特性によってスラスト動圧軸受部を構成するスラストプレート及びロータの表面に沿って、またラジアル動圧軸受部ではシャフト及びスリーブの表面に沿って軸受部から潤滑油の無い(存在しない)部分に拡散しようとするいわゆるオイルマイグレーション現象が発生する。
【0005】
上記オイルマイグレーション現象は潤滑油と接触する部材の材質、表面精度等により各動圧軸受部によって発生状態が一定化せず、潤滑油の散逸量は各動圧軸受部によって異なる。ため、上記モータのように上部動圧軸受部に保持される潤滑油と下部動圧軸受部の潤滑油とがモータの組立後、完全に分離された状態で保持されると、上部動圧軸受部に保持される潤滑油と下部動圧軸受部に保持される潤滑油との間で保持量に差が生じアンバランスな状態となる。また、モータをベースプレートが下側となるよう(正立状態)に設置した場合、上側に位置するラジアル動圧軸受部の潤滑油には重力が作用し。オイルマイグレーション現象が助長されて潤滑油の漏出、散逸量が増大してしまう。
【0006】
更に、上部スラスト動圧軸受部の潤滑油に対するモータ回転時の遠心力の作用及び上部ラジアル動圧軸受部の潤滑油に対する軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝による上部スラスト動圧軸受部方向へのポンピング作用によって、上部ラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油が上部スラスト動圧軸受部側へと移動し潤滑油の下側界面が引き上げられ、ヘリングボーン状溝の下端部が空間部に充満する空気に露出して、潤滑油の界面とヘリングボーン状溝によって形成されるシャフトあるいはスリーブ表面の凹凸とが接触することによって振動が生じ、この振動によりあるいはモータに対する外的な振動、衝撃の印加によって、上部ラジアル動圧軸受部に保持されていた潤滑油が滴下して漏出し、上下各軸受部における潤滑油保持量の差異が大きくなるおそれもある。
【0007】
上部動圧軸受部と下部動圧軸受部との間で潤滑油の保持量にアンバランスが生じると、潤滑油の保持量の少ない方の軸受部の動圧発生用溝が外気に露出し、発生する動圧が低下することで上部動圧軸受部と下部動圧軸受部間で軸受剛性に差異が生じ、モータの安定した回転を得ることが困難になるおそれがある。また、オイルマイグレーション現象その他に起因する軸受部からの潤滑油の漏出、散逸は、軸受部に保持される潤滑油の早期の枯渇を招来し、モータの耐久性、信頼性を損なう原因となる。
【0008】
このように上部及び下部動圧軸受部の潤滑油保持量に差異が生じても、一対のラジアル動圧軸受部が空間部に充満する空気を介して完全に分離されているため、保持量が均一化されるよう上部及び下部動圧軸受部で潤滑油を再配分することはこれまでは事実上不可能なことであった。尚、上述の上部及び下部動圧軸受部間の潤滑油保持量のアンバランスは、軸受部への潤滑油注入時の作業誤差等によっても生じる。
【0009】
本発明は、気体介在部を介して分離して一対のラジアル動圧軸受部を構成する場合にも、各軸受部に保持される潤滑油の保持量を均一化するとともにラジアル動圧軸受部から漏出、散逸した潤滑油を捕捉し再度軸受部に環流することで、安定した回転を得ることができるとともに長期間にわたって使用可能なモータを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、本発明は、シャフトの両端部近傍に固着された一対の円盤状スラストプレートと、前記シャフトの外周面にラジアル微少間隙を介して対向するラジアル内周面、前記一対のスラストプレートの相互に対向する側の軸線方向面にそれぞれスラスト微少間隙を介して対向する一対のスラスト面及び前記一対のスラストプレートの外周面とそれぞれ軸線方向外方側に向かって拡大するテーパ状の間隙を介して半径方向に対向する一対の囲繞内周面を有するスリーブ部材と、前記一対のスラストプレートの前記軸線方向面とこれらと対向する前記スリーブ部材のスラスト面との間に規定される前記スラスト微小間隙中に潤滑油を保持してなる一対のスラスト動圧軸受部と、該一対のスラスト動圧軸受部に隣接し前記シャフトの外周面と前記スリーブ部材のラジアル内周面との間に規定される前記ラジアル微小間隙中に前記スラスト動圧軸受部に保持される潤滑油に連続して潤滑油を保持してなる一対のラジアル動圧軸受部とを備えたモータにおいて、前記スラスト微小間隙に保持される潤滑油は、前記スラストプレートの外周面と前記スリーブの囲繞内周面との間に形成される間隙内において外気に臨み、前記一対のラジアル微少間隙の略中央部には空気が保持されると共に、前記一対のラジアル微小間隙から離間するにしたがって拡大する一対のテーパ状の間隙を有する環状の気体介在部が設けられるとともに前記一対のラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油は、該気体介在部に保持される空気によって分離され、前記シャフトには、前記気体介在部に開口し該気体介在部とモータ外部とを連通するための呼吸孔が形成されており、前記スラスト動圧軸受部とラジアル動圧軸受部との間に連続して保持される潤滑油は、前記スラストプレートの外周面と前記スリーブの囲繞内周面との間に形成されるテーパ状の間隙及び前記環状の気体介在部のテーパ状の間隙において、前記潤滑油の表面張力と外気圧とがバランスする位置にそれぞれメニスカスを形成して保持されており、また、前記スリーブ部材には、前記一対のスラスト動圧軸受部を構成する前記スラスト面間を軸線方向に貫通し且つ前記一対のスラスト動圧軸受部に連続して潤滑油が保持される連通孔が少なくとも一つ形成されており、一方の前記スラスト動圧軸受部及びこれに隣接する前記ラジアル動圧軸受部に連続して保持されている潤滑油と他方の前記スラスト動圧軸受部及びこれに隣接する前記ラジアル動圧軸受部に連続して保持されている潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合に、前記メニスカスの曲率半径が実質的に同等となるよう前記連通孔を通じて前記潤滑油が移動することを特徴とする。
【0011】
この構成において、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油は、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合、一対のラジアル動圧軸受部並びにこれらに隣接するスラスト動圧軸受部のそれぞれに保持される潤滑油の表面張力、外気の大気圧等が相互にバランスしようとすることによって、これに応じて連通孔を通じて潤滑油の保持量が多い軸受部側から少ない側の軸受部への移動圧力が生じて、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部間で連通孔を通じて潤滑油の保持量が均等になるための再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消される。
【0012】
すなわち、一対のラジアル動圧軸受部及び一対のスラスト動圧軸受部の各潤滑油の境界面とが同じ大気圧に晒されることとなるので、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油は、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油に量的なアンバランスが生じた場合、より多くの潤滑油を保持する側の潤滑油の境界面がテーパ状の間隙中のより間隙の拡大した部分に位置するようになり、潤滑油の表面張力、潤滑油の分子とテーパ状の間隙を構成する各部材の分子とが分子間力によって引き合う力及び外気の大気圧とがバランスすることによって形成される潤滑油の境界面のメニスカス(湾曲面)の断面の曲率半径に差異が生じる。
【0013】
つまり、潤滑油が多く保持される側のメニスカスは潤滑油が少ない側のメニスカスよりも当然に大きな間隙部分にあるから、間隙が小の部分、即ち断面の曲率半径が小のメニスカスでの潤滑油の表面張力と潤滑油の分子とテーパ状の間隙を構成する各部材の分子とが引き合う力の差圧は、間隙大の部分、即ち断面の曲率半径が大のメニスカスのそれよりも大きくなるので、それぞれのメニスカスに隣接する潤滑油の圧力に差を生じる。これに応じて連通孔を通じて潤滑油の保持量が多い軸受部側から少ない側の軸受部への移動圧力が 生じて、各テーパ状の間隙中に形成される潤滑油の境界面のメニスカスの断面の曲率半径が同等となり大気圧による押圧力が釣り合うようになるまで、つまりテーパ状の間隙中の潤滑油の境界面が同等の間隙位置になるまで、気体介在部に保持される外気によって分離された一対のラジアル動圧軸受部及びこれらに隣接するスラスト動圧軸受部間で連通孔を通じて潤滑油の再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消される。
【0014】
このような連通孔による再配分機能はモーターの停止時,回転時ともに機能する。また、オイルマイグレーション現象によってスラストプレート及びスリーブの表面に拡散しようとする潤滑油は、モータの回転時に遠心力の作用で半径方向外方に圧送され、スラスト動圧軸受部に保持される潤滑油に環流されて、モータ外部に漏出することが防止される。
【0015】
加えて、スラスト動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油を半径方向内方に圧送する形状のスパイラル状溝を形成し、これに隣接し連続して潤滑油を保持するラジアル動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油をスラスト動圧軸受部方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝を形成することで、ラジアル動圧軸受部側に位置する潤滑油の境界面からスラスト動圧軸受部側に位置する潤滑油の境界面に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる潤滑油の境界面から大気中に排除される構成となる。
【0016】
また、スラスト動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油を半径方向内方に圧送する形状のスパイラル状溝を形成し、これに隣接し連続して潤滑油を保持するラジアル動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油をスラスト動圧軸受部方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝を形成して、潤滑油に含まれる気泡が自動的に圧力が最小となるラジアル動圧軸受部側及びスラスト動圧軸受部側に位置する潤滑油の境界面から大気中に排除される構成とすることで、例えばラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部の双方にヘリングボーン状溝を形成した場合には、ラジアル動圧軸受部とスラスト動圧軸受部の境界部付近で動圧が極小となり気泡が滞留しがちとなるため、これを排出するためにスラストプレートに形成されていた呼吸孔や循環孔等が不要となり、またスラストプレートが小径化されることでシャフトにスラストプレートを取付ける際の直角度等の要求精度が幾分緩和され、スラストプレートの加工及び組立が容易になりモータの低コスト化に寄与することができる他、スラストプレートの周速が小さくなり、潤滑油の粘性抵抗を抑制することができるのでモータの電気的効率が向上する。
【0017】
更に、一対のスラストプレートの軸線方向外側面とこれと軸線方向に対向する一対のカウンタプレートとの間に形成される軸線方向間隙を半径方向内方に向かって拡大するよう構成することで、二次的なテーパシール部が形成される。
【0018】
この場合、モータの回転時に潤滑油に遠心力等の作用によって、潤滑油が半径方向外方に圧送され、潤滑油の外気との境界面がテーパシール部からスラストプレートの軸線方向外側面とこれと軸線方向に対向するカウンタプレートとの間に移動し、潤滑油の外気との境界面はこのシール部において潤滑油の表面張力と外気の大気圧とがバランスし保持されることから、オイルマイグレーション現象によってスラストプレート及びカウンタプレートの表面を半径方向内方に向かって拡散した潤滑油が、モータの回転時に遠心力の作用によって半径方向外方に圧送されることでこの二次的なシール部に保持される潤滑油に環流され、モータ外部への漏出が更に防止される。
【0019】
また、一対のカウンタプレートには中央部にシャフトが微小間隙を介して遊挿される円形開口が形成されており、シャフトの外周面と円形開口の内周面との間の微小間隙の半径方向の寸法を、可能な限り小に設定することによって、潤滑油が気化することによって発生した蒸気の外部への流出抵抗を大にして潤滑油の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油の蒸散が有効に阻止される。
【0020】
一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を、スラスト面のうち、スラスト動圧軸受部の外周端部近傍に開口するよう形成することで、上述の大気圧による押圧力に加えて、モータの回転によって潤滑油に作用する遠心力を潤滑油を再配分するための移動圧力として利用することができるようになり、連通孔を通じての再配分機能をより高めることができる。
【0021】
尚、スリーブを、外周面に軸線方向に延設される切り欠きが形成され且つ一対のスラスト動圧軸受部の一部を構成するスラスト面及び一対のラジアル動圧軸受部の一部を構成するラジアル内周面を有する円筒状のスリーブ部材とこの部材の外周面が嵌合される円筒内周面を備えた外筒部の二つの部材から構造することによって、内筒部を外筒部の円筒内周面に嵌合することで内筒部の切り欠きと外筒部の円筒内周面との間に空隙が形成されて連通孔を構成することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るモータの実施形態について、記録ディスク駆動用モータとして使用する場合を例にとり、図1及び図2(a)、(b)を参照して説明するが、本発明は以下に示す各実施例に限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態のモータの概略構成を模式的に示す縦断面図、また、図1のモータのスリーブ部材の概略構成を模式的に示し、図2(a)はスリーブ部材の外周部の一部を切り落とすことにより連通孔を形成する場合の斜視図であり、(b)はスリーブ部材の外周部の一部を切り欠くことにより連通孔を形成する場合の斜視図である。
【0024】
図1において、この記録ディスク駆動用モータ1は、ブラケット2と、このブラケット2の中央開口2a内に一方の端部が外嵌固定されるシャフト4と、このシャフト4に対して相対的に回転自在なロータ6とを備える。ロータ6は、外周部に記録ディスクDが載置されるロータハブ6aと、ロータハブ6aに形成された円形貫通孔である中央孔6a1の内周面に嵌着され、潤滑油8が保持される微少間隙を介してシャフト4に軸支持されるスリーブ部材6bとを備えている。また、ロータハブ6aの内周部には接着等の手段によってロータマグネット10が固着されており、このロータマグネット10と半径方向に対向してブラケット2にステータ12が装着されている。
【0025】
スリーブ部材6bの略中央部には内周面がシャフト4の外周面との間に潤滑油8が保持される微少間隙を形成するようスリーブ部材6bを軸線方向に貫通する貫通孔6cが形成されている。シャフト4の上部及び下部には半径方向外方に突出する円盤状の上部スラストプレート4a及び下部スラストプレート4bがそれぞれ取付けられており、中央孔6a1の上部スラストプレート4a及び下部スラストプレート4bに対応する部位には、各スラストプレート4a及び4bの外径よりも大径な上部開口6d及び下部開口6eが中央孔6a1の内周面とスリーブ部材6bの軸線方向両端面である上部スラスト面6fと下部スラスト面6gとによって規定されている。この上部開口6d及び下部開口6eは、中央部にシャフト4が挿通される開口7a2、7b2を有するリング状の上部カウンタプレート7a及び下部カウンタプレート7bによって閉塞されている。
【0026】
貫通孔6c内周部から上部開口6dの外周部に至るスリーブ部材6bの上部スラスト面6fと、上部スラストプレート4aの下面(軸線方向内側面)との間には、潤滑油8が保持される微少間隙が形成されており、上部スラストプレート4aの下面には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するための一群のスパイラル状溝14が並列状に形成され上部スラスト動圧軸受部16が構成されている。また、貫通孔6c内周部から下部開口6eの外周部に至る下部スラスト面6gと、下部スラストプレート4bの上面(軸線方向内側面)との間には、潤滑油8が保持される微少間隙が形成されており、下部スラストプレート4bの上面には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するための一群のスパイラル状溝14が並列状に形成され下部スラスト動圧軸受部18が構成される。これら上部及び下部スラスト動圧軸受部16、18に形成されるスパイラル状溝14は、それぞれ潤滑油8に半径方向内方に向かって圧送するポンピング作用が発生するよう半径方向内方を向く形状を有している。
【0027】
上部スラストプレート4aの外周面4a1は軸線方向外側に向かって、これと半径方向に対向するロータ6の上部開口6dの内周面との間の間隙が拡大するよう、テーパ状に形成されており、上部スラスト動圧軸受部16に保持される潤滑油8は、モータ1の停止時において、この上部スラストプレート4aの外周面4a1とロータ6の上部開口6dの内周面との間の間隙中で大気との境界面を形成している。同様に、下部スラストプレート4bの外周面4b1は軸線方向外側に向かって、これと半径方向に対向するロータ6の下部開口6eの内周面との間の間隙が拡大するよう、テーパ状に形成されており、下部スラスト動圧軸受部18に保持される潤滑油8は、モータ1の停止時において、この下部スラストプレート4bの外周面4b1とロータ6の下部開口6eの内周面との間の間隙中で大気との境界面を形成している。
【0028】
上部及び下部スラスト動圧軸受部16、18に保持される潤滑油8を上部及び下部スラストプレート4a、4bの外周面4a1、4b1とこれと半径方向に対向するロータ6の上部開口6d及び下部開口6eの内周面との間の間隙中に大気との境界面を形成するよう保持することで、モータ1の回転時に遠心力の作用等によって潤滑油8が半径方向外方に押圧されて移動した場合でも上部開口6d及び下部開口6eの内周面によってさらなる移動が阻止される。また、オイルマイグレーション現象によって上部及び下部スラストプレート4a、4b及びロータ6の表面に拡散した潤滑油8は、遠心力の作用で半径方向外方に圧送されて、大気との境界面から潤滑油8に環流され、モータ1の外部への潤滑油8の漏出が防止される。
【0029】
この場合、上部及び下部スラストプレート4a、4bの外周面4a1、4b1とこれと半径方向に対向するロータ6の上部開口6d、6eの内周面との間の間隙が軸線方向外側に向かって拡大するよう構成することで、上部第1テーパシール部17a及び下部第1テーパシール部19aとが形成され、潤滑油8の表面張力と大気圧とがバランスして保持されている。
【0030】
上部カウンタプレート7aの下面7a1は、半径方向内方に向かうにつれて上部スラストプレート4aの上面(軸線方向外側面)との間の軸線方向間隙が拡大するテーパ状に形成され、上部第2テーパシール部17bが形成されている。この上部テーパシール部17bは開口7a2とシャフト4の外周面との間の間隙を通じて外気に連通開放されており、モータ1の回転時において、潤滑油8は、上部第2テーパシール部17bにおいて外気との境界面を形成して保持されている。また、下部カウンタプレート7bの上面7b1は、半径方向内方に向かうにつれて下部スラストプレート4bの下面(軸線方向外側面)との間の軸線方向間隙が拡大するテーパ状に形成されており下部第2テーパシール部19bが形成される。この下部第2テーパシール部19bも同様に、開口7b2とシャフト4の外周面との間の間隙を通じて外気に連通開放されており、モータ1の回転時において、潤滑油8は、下部第2テーパシール部19bにおいて外気との境界面を形成して保持されている。
【0031】
このように、モータ1の回転時において、潤滑油8の境界面が半径方向内方を向く各第2テーパシール部17b、19b中にあることから、モータ1の回転時に潤滑油8に作用する遠心力によって、オイルマイグレーション現象で拡散した潤滑油8が半径方向外方に向かって圧送され、各第2テーパシール部17b、19bに保持される潤滑油8に環流され、モータ1の外部への漏出が更に防止される。
【0032】
シャフト4の外周面の略中央部には、貫通孔6cの内周面との間の間隙が拡大する間隙拡大部が形成されるよう、環状凹部4cが形成されており、この凹部4cにはシャフト4中に形成された外気と連通する連通孔20が開口し、この開口部より微少間隙中に取り込まれた外気は凹部4cと貫通孔6cの内周面との間に環状の気体介在部22を形成する。この気体介在部22に保持される外気によってシャフト4の外周面と貫通孔6cの内周面との間の微少間隙中に保持された潤滑油8は軸線方向上下に分割されることとなる。
【0033】
貫通孔6cの内周面の、凹部4cに保持される外気によって軸線方向上下に分割されて保持される潤滑油8に対応する部位には、ロータ6の回転にともない潤滑油8中に動圧を発生するための一群のヘリングボーン状溝24が並列状に形成され上部ラジアル動圧軸受部26及び下部ラジアル動圧軸受部28が構成されている。これら上部及び下部ラジアル動圧軸受部26、28に形成されるヘリングボーン状溝24は、互いに逆方向のスパイラル状溝を連結したものであり、それぞれ発生する動圧の圧力ピークが、軸線方向外側に偏倚して現れるよう、つまり上部及び下部ラジアル動圧軸受部26、28に形成されるヘリングボーン状溝24による潤滑油8に対するポンピング作用が上部及びスラスト動圧軸受部16、18側に向かって作用するよう、軸線方向外側に位置するスパイラル状溝が軸線方向内側に位置するスパイラル状溝に比べて短い軸線方向にアンバランスな形状に構成されている。
【0034】
この構成において、各スラスト動圧軸受部16、18には形成される動圧発生手段はスパイラル形状の溝であるのでそれのみでは必要な軸線方向の荷重支持圧を発生できないが、隣接する各ラジアル動圧軸受部26、28のヘリングボーン状溝24を、発生する動圧の圧力ピークが軸線方向外側(各スラスト動圧軸受部16、18側)に偏倚する形状とすることで両軸受部の協働によりスラスト部に必要な動圧を発生せしめて負荷を支持している。この場合、ロータ6の回転時にラジアル動圧軸受部26、28近傍の潤滑油8の気体介在部22側端部境界面がラジアル動圧軸受部26、28内に移動してアンバランスなヘリングボーン状溝24の一部を大気中に露出せしめてスラスト動圧軸受部16、18の動圧と平衡するよう溝諸元を設定する。
【0035】
また、上部及び下部ラジアル動圧軸受部26、28は隣接するスラスト動圧軸受部16、18とは潤滑油8が連続して保持されており、片方の潤滑油8の境界面(気体介在部22中に保持される外気との境界面)から他方の潤滑油8の境界面(第2テーパシール部17b、19b中の外気との境界面)に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油8中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる境界面から容易に大気中に排除する構成とすることができる。
【0036】
このように、各動圧軸受部16、18、26及び28に保持される潤滑油8中に生じた気泡は、順次低圧側に移動し、各潤滑油8の境界面より大気中に開放されるため、気泡が潤滑油8中に滞留することがなく、モータ1の温度上昇時に気泡が熱膨張し潤滑油8が軸受外部に漏出することが防止される。
【0037】
また、上部及び下部スラスト動圧軸受部16、18間に位置するスリーブ部材6bの内周面には、一対のスラスト動圧軸受部16、18間を連通する連通孔9が形成されている。この連通孔9は、両端部が各スラスト動圧軸受部16、18の外周端部近傍に開口しており、各スラスト動圧軸受部16、18に保持される潤滑油8に連続して潤滑油8が毛細管現象によって保持されている。
【0038】
上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受部26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8との間に、量的なアンバランスが生じた場合、潤滑油8の境界面はモータ1の停止時においては第1テーパシール部17a、19a中の、また、モータ1の回転時においては第2テーパシール部17b、19b中のより間隙が拡大した部分に位置するようになり、上部第1テーパシール部17a又は上部第2テーパシール部17b中において、潤滑油8の表面張力、潤滑油8の分子と上部第1テーパシール部17a又は上部第2テーパシール部17bの潤滑油8との接触面を構成する部材の分子とが引き合う力及び外気の大気圧とがバランスすることで形成される潤滑油8の境界面のメニスカスの間隙と、下部第1テーパシール部19a又は下部第2テーパシール部19b中において、潤滑油8の表面張力、下部第1テーパシール部19a又は下部第2テーパシール部19bと外気の大気圧とがバランスすることで形成される潤滑油8の境界面のメニスカス断面の曲率半径に差異が生じる。
【0039】
潤滑油8が多く保持される側のメニスカスは、潤滑油8が少ない側のメニスカスよりも当然に第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b中の大きな間隙部分にあることから、間隙が小の部分、即ち断面の曲率半径が小のメニスカスでの潤滑油8の表面張力と潤滑油8の分子と第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19bの潤滑油8との接触面を構成する部材の分子とが引き合う力との間の差圧は、間隙が大の部分、即ち断面の曲率半径が大のメニスカスの差圧よりも大きくなるので、それぞれのメニスカスに隣接する潤滑油8の圧力に差を生じる。
【0040】
これに応じて潤滑油8の保持量が多い側から少ない側への移動圧力、即ち潤滑油8の境界面を第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b側から各スラスト動圧軸受部16、18側へと押圧するより大きな圧力が生じ、第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b中に形成される潤滑油8の境界面のメニスカスの断面の曲率半径が同等となり大気圧による押圧力が釣り合うようになるまで、つまり第1テーパシール部17a、19a又は第2テーパシール部17b、19b中の潤滑油8の境界面が同等の間隙位置になるまで、連通孔9を通じて潤滑油8の再配分が行われて、上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受部26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8との間の量的なアンバランスが解消される。
【0041】
特に、連通孔9内には常時各スラスト動圧軸受部16、18に保持される潤滑油8に連続して潤滑油8が毛細管現象によって保持されており、モータ1の回転時においては、上述の大気圧による各テーパシール部17a、17b、19a及び19bから各スラスト動圧軸受部16、18側への押圧力に加えて、モータ1の回転による遠心力が潤滑油8の外気との境界面のメニスカスに作用することとなるため、連通孔9を上下スラスト面6f、6gのうち各スラスト動圧軸受部16、18の外周端部近傍に開口するよう形成することで潤滑油8に対してより大きな移動圧力が付与されることとなり、モータ1に印加される外的な振動、衝撃等に起因して一方の軸受部に保持されていた潤滑油8が多量に他方に移動した場合でも、潤滑油8が過小となった軸受部側に速やかに潤滑油8を再配分することができる。
【0042】
このように、上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8が移動可能となり、保持される潤滑油8に量的なアンバランス生じた場合に連通孔9を通じて潤滑油8の再配分が行われることで、上部スラスト動圧軸受部16並びに上部ラジアル動圧軸受26に保持される潤滑油8と下部スラスト動圧軸受部18並びに下部ラジアル動圧軸受部28に保持される潤滑油8の保持量が均一化され、モータ1の安定した回転を得ることができる。
【0043】
また、連通孔9は、図2(a)に示すとおり、スリーブ部材6bの外周面の一部を上部スラスト面6fから下部スラスト面6gにわたって厚み寸法で約50から100μm程度切り落とすことによって平面9aを形成し、このスリーブ部材6bをロータハブ6aの円形貫通孔である中央孔6a1内に嵌入することで平面9aと中央孔6a1の内周面との間に空隙を規定して連通孔9を構成する、あるいは図2(b)に示すとおり、スリーブ部材6bの外周面に深さが約50から100μm程度で軸線方向に延設される断面略V字状の溝9bを形成し、このスリーブ部材6bをロータハブ6aの中央孔6a1内に嵌入することで溝9bと中央孔6a1との間に空隙を規定して連通孔9を構成することが可能である。
【0044】
尚、ロータ6が一つの部材から形成される場合、各スラスト動圧軸受部16、18を構成する上部スラスト面6fから下部スラスト面6gに至る直径が約50から100μm程度の貫通孔を形成することによって、連通孔9を形成することも可能である。加えて、図1及び図2(a)、(b)においては、連通孔9を周方向に2箇所形成する構成した場合を図示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、周方向等間隔に複数の連通孔9を構成する、あるいは連通孔9を一つのみ構成することも可能である。
【0045】
上部及び下部カウンタプレート7a、7bの内周面7a2、7b2とシャフト4の外周面との間の半径方向の間隙を可能な限り小さく設定することによって、モータ1の回転時に各スラストプレート4a、4bの軸線方向外側面とカウンタプレート7a、7bの上面7a1及び下面7b1との間に規定される軸線方向間隙とシャフト4の外周面と各カウンタプレート7a、7bの円形開口の内周面7a2、7b2との間に規定される半径方向間隙とで発生する空気流の流速に差異が生じることで、潤滑油8が気化することによって生じた蒸気(オイルミスト)のモータ1の外部への流出抵抗を大きくして潤滑油8の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油8の蒸散を防止することができる。尚、これら各面に例えばフッ素系材料からなる撥油剤を塗布しておくと、上記シール効果に加えて潤滑油8に遠心力の作用しないモータ1の停止時に潤滑油8がオイルマイグレーション現象によって上部及び下部カウンタプレート7a、7bの内周面7a2、7b2とシャフト4の外周面との間の半径方向の間隙を通じてモータ1の外部に漏出することを防止できる。
【0046】
また、各スラスト動圧軸受部16、18とこれらに隣接する各ラジアル動圧軸受部26、28に連続して保持する潤滑油8中の動圧が極小となる点が存在しないことから、各スラスト動圧軸受部16、18と各ラジアル動圧軸受部26、28の境界部にあたるシャフト4と各スラストプレート4a、4bとの締結部付近と外気とを連通する、例えば呼吸孔等をスラストプレートに設けることが不要となる。
【0047】
更に、呼吸孔等の構成の廃止及びスパイラル状溝14の採用等によって、スラストプレート4a、4bの外径を小径化することができるためる、スラストプレートの構成を簡略化し加工工数が削減されることでモータの低コスト化に寄与するとともに、モータ1の回転時にスラストプレート4a、4bの周速が小さくなり、潤滑油8の粘性抵抗による軸受損が抑制されて、モータ1の電気的効率を高め、消費電力を抑制することができる。
【0048】
加えて、スラストプレート4a、4bを小径化することができることで、下部スラスト動圧軸受部18がロータマグネット10及びステータ12からなる磁気回路部に与える影響を少なくすることができ、換言するとロータマグネット10及びステータ12からなる磁気回路部に十分なスペースを確保することができるため、十分な駆動トルクを得ることができる。
【0049】
以上、本発明に従う記録ディスク駆動用モータの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のモータによれば、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合、一対のラジアル動圧軸受部並びにこれらに隣接するスラスト動圧軸受部のそれぞれに保持される潤滑油の表面張力、外気の大気圧等が相互にバランスしようとすることによって、潤滑油の保持量が多い側から少ない側への移動圧力が誘起され、この移動圧力により一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を通じて潤滑油の保持量が均等になるまで再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消され、モータの安定した回転を得ることができる。
【0051】
すなわち、一方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油と他方のスラスト動圧軸受部及びこれに隣接するラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合、テーパ状の間隙部中に規定される潤滑油と外気との境界面に形成されるメニスカスの位置が移動し、潤滑油の表面張力、潤滑油の分子とテーパ状の間隙を構成する各部材の分子とが引き合う力及び外気の大気圧とがバランスすることにより形成されるメニスカスの断面の曲率半径に差異が生じることで、潤滑油の保持量が多い側から少ない側への移動圧力が誘起されて、各テーパシール部中に形成される潤滑油の境界面のメニスカスの断面の曲率半径が同等になるまで、この移動圧力により一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を通じて潤滑油の再配分が行われ、各ラジアル動圧軸受部及びそれらに隣接するスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油との間の量的なアンバランスが解消される。
【0052】
本発明の請求項2に記載のモータによれば、ラジアル動圧軸受部側の潤滑油の境界面からスラスト動圧軸受部側の潤滑油の境界面に至るまで動圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せず、従って、潤滑油中に気泡が含まれていても自動的に圧力が最小となる潤滑油の境界面から大気中に排除する構成とすることができる。
【0053】
また、スラスト動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油を半径方向内方に圧送する形状のスパイラル状溝を形成し、これに隣接し連続して潤滑油を保持するラジアル動圧軸受部に動圧発生手段として潤滑油をスラスト動圧軸受部方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝を形成して、潤滑油に含まれる気泡を自動的に圧力が最小となる潤滑油の境界面から大気中に排除する構成とすることで、例えばラジアル動圧軸受部とこれに隣接するスラスト動圧軸受部との境界部を外気に連通するためにスラストプレートに形成されていた呼吸孔や循環孔等が不要となり、スラストプレートが小径化されることで、シャフトにスラストプレートを固定する際の直角度等の要求精度が幾分緩和されてスラストプレートの加工や組立が容易になりモータの低コスト化に寄与することができるとともにスラストプレートの周速が小さくなり、潤滑油の粘性抵抗を抑制することができるのでモータの電気的効率を向上することができる。
【0054】
本発明の請求項3に記載のモータによれば、オイルマイグレーション現象によってスラストプレート及びカウンタプレートの表面に拡散した潤滑油がこのモータの回転時に遠心力によって潤滑油に環流され、モータ外部への漏出が更に防止される。
【0055】
本発明の請求項4に記載のモータによれば、潤滑油が気化することによって生じた蒸気の外部への流出抵抗を大にして潤滑油の境界面近傍に於ける蒸気圧を高く保てるので更なる潤滑油の蒸散を有効に阻止することができる。
【0056】
本発明の請求項5に記載のモータによれば、モータの回転時に潤滑油に遠心力が作用することで潤滑油を再配分するための移動圧力が高くなり、連通孔を通じての潤滑油の再配分機能をより向上することができ、モータに印加された外的な振動、衝撃等に起因して一方の軸受部側に保持されていた潤滑油が他方側の軸受部へと移動した場合であっても、潤滑油が過小となった側の軸受部へ潤滑油を速やかに環流することができる。
【0057】
本発明の請求項6に記載のモータによれば、一対のスラスト動圧軸受部間を連通する連通孔を比較的容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のモータの概略構成を模式的に示す縦断面図である。
【図2】図1のモータのスリーブ部材の概略構成を模式的に示し(a)はスリーブ部材の外周部の一部を切り落とし平面を形成することにより連通孔を形成する場合の斜視図であり、(b)はスリーブの外周部の一部にV字状溝を形成することにより連通孔を形成する場合の斜視図である。
【符号の説明】
1 モータ
4 シャフト
4a、4b スラストプレート
6b スリーブ部材
9 連通孔
16、18 スラスト動圧軸受部
22 気体介在部
26、28 ラジアル動圧軸受部
Claims (6)
- シャフトの両端部近傍に固着された一対の円盤状スラストプレートと、
前記シャフトの外周面にラジアル微小間隙を介して対向するラジアル内周面、前記一対のスラストプレートの相互に対向する側の軸線方向面にそれぞれスラスト微小間隙を介して対向する一対のスラスト面及び前記一対のスラストプレートの外周面とそれぞれ軸線方向外方側に向かって拡大するテーパ状の間隙を介して半径方向に対向する一対の囲繞内周面を有するスリーブと、
前記一対のスラストプレートの前記軸線方向面とこれらと対向する前記スリーブのスラスト面との間に規定される前記スラスト微小間隙中に潤滑油を保持してなる一対のスラスト動圧軸受部と、
該一対のスラスト動圧軸受部に隣接し前記シャフトの外周面と前記スリーブのラジアル内周面との間に規定される前記ラジアル微小間隙中に前記スラスト動圧軸受部に保持される潤滑油に連続して潤滑油を保持してなる一対のラジアル動圧軸受部と
を備えたモータにおいて、
前記スラスト微小間隙に保持される潤滑油は、前記スラストプレートの外周面と前記スリーブの囲繞内周面との間に形成される間隙内において外気に臨み、
前記シャフトの外周面とこれに対向する前記ラジアル内周面との間隙は、前記一対のラジアル動圧軸受部の中間において拡大し、該拡大部分はテーパ状の間隙を介して前記ラジアル微小間隙に接続し、かつ、該拡大部には空気が保持されて環状の気体介在部が設けられると共に、前記一対のラジアル動圧軸受部に保持される潤滑油は、該気体介在部に保持される空気によって分離され、
前記シャフトには、前記気体介在部に開口し該気体介在部とモータ外部とを連通するための呼吸孔が形成されており、
前記スラスト動圧軸受部とラジアル動圧軸受部との間に連続して保持される潤滑油は、前記スラストプレートの外周面と前記スリーブの囲繞内周面との間に形成されるテーパ状の間隙及び前記環状の気体介在部のテーパ状の間隙において、前記潤滑油の表面張力と外気圧とがバランスする位置にそれぞれメニスカスを形成して保持されており、また、
前記スリーブには、前記一対のスラスト動圧軸受部を構成する前記スラスト面間を軸線方向に貫通し且つ前記一対のスラスト動圧軸受部に連続して潤滑油が保持される連通孔が少なくとも一つ形成されており、
一方の前記スラスト動圧軸受部及びこれに隣接する前記ラジアル動圧軸受部に連続して保持されている潤滑油と他方の前記スラスト動圧軸受部及びこれに隣接する前記ラジアル動圧軸受部に連続して保持されている潤滑油との間に量的なアンバランスが生じた場合に、前記メニスカスの曲率半径が実質的に同等となるよう前記連通孔を通じて前記潤滑油が移動することを特徴とするモータ。 - 前記スラスト動圧軸受部には動圧発生手段として潤滑油を半径方向内方に押圧する形状のスパイラル状溝が形成され、前記ラジアル動圧軸受部には動圧発生手段として潤滑油を該スラスト動圧軸受部方向に圧送するよう軸線方向にアンバランスな形状のヘリングボーン状溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
- 前記一対のスラストプレートの軸線方向外方には、中央部に前記シャフトが微小間隙を介して遊挿される円形開口が形成され前記一対のスラストプレートとの間に軸線方向寸法が半径方向内方に向かって拡大する間隙を介して対向するスラスト外面を有する一対のカウンタプレートが配設され、モータの回転時において前記一対のスラスト動圧軸受部に保持される潤滑油の外気との境界面は該スラストプレートと該カウンタプレートとの間に規定される間隙中に存在することを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ。
- 前記シャフトの外周面と前記一対のカウンタプレートの円形開口の内周面との間に規定される微小間隙の半径方向寸法は、十分に微小として、該シャフトの外周面と一対のカウンタプレートの円形開口の内周面との間に規定される微小間隙と前記一対のスラストプレートと一対のカウンタプレートのスラスト外面との間に規定される間隙との間に流通抵抗を発生させ、該流通抵抗によって気化した前記潤滑油がモータの外部へと流出することを防止するシール手段を構成するとともに、前記一対のスラスト動圧軸受部は該シール手段を通じてのみ外気に開放されていることを特徴とする請求項3に記載のモータ。
- 前記連通孔は、前記スラスト面のうち前記一対のスラスト動圧軸受部の外周端部近傍に開口するよう形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のモータ。
- 前記スリーブは、外周面に軸線方向の切欠きが形成され且つ前記スラスト面及び前記ラジアル内周面を有する円筒状のスリーブ部材と該スリーブ部材の外周面が嵌合される円筒内周面を備えた外筒部とから構成され、前記連通孔は該軸線方向の切欠きと該円筒内周面とによって規定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のモータ。
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