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JP3575134B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置 Download PDF

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JP3575134B2
JP3575134B2 JP26527195A JP26527195A JP3575134B2 JP 3575134 B2 JP3575134 B2 JP 3575134B2 JP 26527195 A JP26527195 A JP 26527195A JP 26527195 A JP26527195 A JP 26527195A JP 3575134 B2 JP3575134 B2 JP 3575134B2
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英明 藤岡
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のアンチスキッド制御装置、特に車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを備えたアンチスキッド制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のアンチスキッド制御装置において、例えば4輪駆動車に使用される場合、該4輪駆動車は、4輪それぞれが互いに拘束されているため、4輪揃ってロック状態に向かいやすく、アンチスキッド制御を行う上で、推定車体速度を正確に算出することが困難である。そのため、車体の前後方向に発生する力を間接的に検出するもので、該力を電気信号に変換して車体の前後方向の減速度を検出する加速度センサ(以下、Gセンサと呼ぶ)や、多段階出力式の加速度スイッチ(以下、Gスイッチと呼ぶ)からなる前後加速度センサ(以下、前後Gセンサと呼ぶ)が使用され、推定車体速度を算出するための一情報として該前後Gセンサからの情報を参照する。上記前後Gセンサは、加速又は減速により生じた力を振動子の変位量に変換し、該変位量を抵抗体、ピエゾ素子又は差動トランス等を用いて電気信号に変換するものであり、半導体式や光式や電磁気式のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記前後Gセンサは、車体の前後方向の減速度を検出するためのものであるが、車両が坂道を走行する場合、車体が前後方向に傾いている分、すなわち坂道の傾斜分が前後Gセンサからの出力値に含まれてしまう。
図1は、坂道においてブレーキペダルを踏まずに車両が自然減速する際における、推定車体速度Vref、各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmax、前後Gセンサの出力値(以下、前後Gセンサ値と呼ぶ)Gsns及び実際に車体が受ける減速度である車体車輪減速度の関係を示した図である。
【0004】
図1において、坂道の傾斜角をθ、重力加速度をg(以下、gは重力加速度を示す)とすると、該坂道によって、坂道上を走行する車体が受ける減速度は、(sinθ)×gとなるが、前後Gセンサ値はゼロとなる。また、推定車体速度Vrefは、下記(1)式のように、各車輪の車輪速度のうち、最も大きい車輪速度Vmaxから下記(1)式を用いて算出される。
(Vref)=Vmax+{Vmax−(Vref)n−1}/k ………………………(1)
上記(1)式において、kはk>1の定数であり、(Vref)は今回の制御サイクルでのVref値であり、(Vref)n−1は前回の制御サイクルでのVref値である。
【0005】
また、上記(1)式において、前後Gセンサ値Gsnsは、車両が加速する方向の値を正とし、減速する方向の値を負とすると、{Vmax−(Vref)n−1}が前後Gセンサ値Gsnsによって決定される所定値{h(Gsns−m)}よりも小さいときには、{Vmax−(Vref)n−1}が該所定値{h(Gsns−m)}で置き換えられて、今回の制御サイクルでのVref値を算出する。なお、上記hはh>0の比例定数であり、上記mはm>0であり減速度が制動中の路面μの値よりもmだけ大きな値とする。
【0006】
ここで、実際の車体速度は最大車輪速度Vmaxであるのに対して、上記のように前後Gセンサ値Gsnsはゼロであり、上記(1)式より推定車体速度Vrefは最大車輪速度Vmax、すなわち実際の車体速度よりも大きくなり浮き上がった状態となる。例えば、減速時は上記(1)式の{Vmax−(Vref)n−1}は負の値となり、該{Vmax−(Vref)n−1}が上記所定値{h(Gsns−m)}で置き換えられた場合、該Gsnsは0となることから、上記(1)式で算出される今回の制御サイクルにおける推定車体速度(Vref)は実際の車体速度よりも大きく算出され、浮き上がった状態となる。
【0007】
図2は、上記図1で示した状態において、車両が坂道を走行中に軽くブレーキペダルを踏んだ場合における、推定車体速度Vref、最大車輪速度Vmax、前後Gセンサ値Gsns及び車体車輪減速度の関係を示した図である。
図2において、例えば、坂道によって車体が受ける減速度を0.3gとし、ブレーキペダルを踏んで制動を開始したことによって車体に0.1gの減速度が加わったとすると、実際に車体に加わる減速度は0.4gとなるのに対して、前後Gセンサ値Gsnsは0.1gとなり、摩擦係数μが0.1程度の路面にいるときのABS制御が行われる。なお、上記図1及び図2において、減速度は加速する方向の値を正とし、減速する方向の値を負として示している。
【0008】
一般的に、想定された路面μが低ければ低いほど、ブレーキ液圧の減圧信号の継続時間が長くなるようなABS制御が行われ、上記前後Gセンサとして上記Gセンサを使用した車両が坂道を走行中に軽くブレーキペダルを踏んだ場合、Gセンサが検出した減速度に対して坂道分の補正が行われずにこのような制御がより高いμの路面において行われると、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合が生じる。また、上記前後Gセンサとして上記多段階出力式のGスイッチを使用した場合においても、該多段階出力式のものは離散値の出力を行うため、上記坂道によって生じる減速度のみを取り除くことができないことから、上記と同様に、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合が生じる。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、上記不具合の直接の原因となる推定車体速度の低下遅れを解消する装置を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び効果】
本発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定する差速度判定手段と、上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定するVref判定手段と、所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定する頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うVrefリセット手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0011】
このように、車両が坂道を走行している場合において、上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度が所定値以上になると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができ、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0012】
本願の特許請求の範囲の請求項2に記載の発明において、上記請求項1のVrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とする。
【0013】
このように、車両が坂道を走行している場合において、上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段を用いて測定し、該測定値が所定値α以上になり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができ、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本願の特許請求の範囲の請求項3に記載の発明において、上記請求項2の差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記請求項2のVref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記カウント手段は、フラグFs及びフラグFvがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外はカウントダウンすることを特徴とする。
【0015】
このように、車両が坂道を走行している場合において、上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段を用いて測定し、該測定値が所定値α以上になり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができ、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0016】
本願の特許請求の範囲の請求項4に記載の発明において、上記請求項1のVrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とする。
【0017】
このように、車両が坂道を走行している場合において、上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段を用いて測定し、該測定値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下になり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができ、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0018】
本願の特許請求の範囲の請求項5に記載の発明において、上記請求項4の差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記請求項4のVref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記請求項4のカウント手段は、フラグFs及びフラグFvがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外はカウントアップすることを特徴とする。
【0019】
このように、車両が坂道を走行している場合において、上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段によって測定し、該測定値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下となり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができ、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0020】
本願の特許請求の範囲の請求項6に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定する差速度判定手段と、上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定するVref判定手段と、上記最大車輪速度Vmaxの減速度を算出し、該減速度が所定値C以上であるか否かを判定するVmax減速度判定手段と、所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定し、かつ算出した減速度が所定値C以上であると上記Vmax減速度判定手段が判定する頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うVrefリセット手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0021】
このように、上記Vmax減速度判定手段は、最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出すると坂道であると判定することにより、低μ路と坂道を識別し、車両が坂道を走行していると該Vmax減速度判定手段が判定し、かつ上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度が所定値以上になると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。更に、車両が坂道でない低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができ、これらのことから、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0022】
本願の特許請求の範囲の請求項7に記載の発明において、上記請求項6のVrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定し、かつ算出した減速度が所定値C以上であると上記Vmax減速度判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とする。
【0023】
このように、上記Vmax減速度判定手段は、最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出すると坂道であると判定することにより、低μ路と坂道を識別し、車両が坂道を走行していると該Vmax減速度判定手段が判定し、かつ上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段によって測定し、該測定値が所定値α以上になり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。更に、車両が坂道でない低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができ、これらのことから、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0024】
本願の特許請求の範囲の請求項8に記載の発明において、上記請求項7の差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記請求項7のVref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記請求項7のVmax減速度判定手段は、算出した減速度が所定値C以上であると判定するとフラグFgをセットし、上記請求項7のカウント手段は、フラグFs、フラグFv及びフラグFgがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外はカウントダウンすることを特徴とする。
【0025】
このように、上記Vmax減速度判定手段は、最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出すると坂道であると判定することにより、低μ路と坂道を識別し、車両が坂道を走行していると該Vmax減速度判定手段が判定し、かつ上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段によって測定し、該測定値が所定値α以上になり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。更に、車両が坂道でない低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができ、これらのことから、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0026】
本願の特許請求の範囲の請求項9に記載の発明において、上記請求項6のVrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定し、かつ算出した減速度が所定値C以上であると上記Vmax減速度判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とする。
【0027】
このように、上記Vmax減速度判定手段は、最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出すると坂道であると判定することにより、低μ路と坂道を識別し、車両が坂道を走行していると該Vmax減速度判定手段が判定し、かつ上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段によって測定し、該測定値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下になり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。更に、車両が坂道でない低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができ、これらのことから、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0028】
本願の特許請求の範囲の請求項10に記載の発明において、上記請求項9の差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記請求項9のVref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記請求項9のVmax減速度判定手段は、算出した減速度が所定値C以上であると判定するとフラグFgをセットし、上記請求項9のカウント手段は、フラグFs、フラグFv及びフラグFgがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外はカウントアップすることを特徴とする。
【0029】
このように、上記Vmax減速度判定手段は、最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出すると坂道であると判定することにより、低μ路と坂道を識別し、車両が坂道を走行していると該Vmax減速度判定手段が判定し、かつ上記差速度判定手段と上記Vref判定手段により、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、上記Vrefリセット手段は、該状態を検出した頻度を上記カウント手段によって測定し、該測定値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下になり、上記頻度が所定値以上になったことを検出すると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。更に、車両が坂道でない低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができ、これらのことから、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0030】
本願の特許請求の範囲の請求項11に記載の発明において、上記請求項2、請求項3、請求項7及び請求項8のVrefリセット手段は、上記カウント手段のカウント値が上記所定値αよりも小さい値の所定値β以上になると、上記最大車輪速度Vmaxが0のときには上記推定車体速度Vrefを0にするリセット動作を行うことを特徴とする。このように、上記Vrefリセット手段は、上記カウント手段により測定された測定値が所定値αよりも小さい値の所定値β以上になり、上記頻度がより小さい値の所定値以上になったことを検出すると共に車両が停止した状態を検出したときには、上記推定車体速度Vrefを0にすることから、車両が停止したことを早く検出することができ、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、これらのことから、坂道走行中の車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合をより確実に防止することができる。
【0031】
本願の特許請求の範囲の請求項12に記載の発明において、上記請求項4、請求項5、請求項9及び請求項10のVrefリセット手段は、上記カウント手段のカウント値が上記所定値γよりも大きく、かつ該カウント手段の初期値よりも小さい所定値δ以下になると、上記最大車輪速度Vmaxが0のときには上記推定車体速度Vrefを0にするリセット動作を行うことを特徴とする。このように、上記Vrefリセット手段は、上記カウント手段により測定された測定値が所定値γよりも大きく、かつ該カウント手段の初期値よりも小さい所定値δ以下になり、上記頻度がより小さい値の所定値以上になったことを検出すると共に車両が停止した状態を検出したときには、上記推定車体速度Vrefを0にすることから、車両が停止したことを早く検出することができ、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、これらのことから、坂道走行中の車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合をより確実に防止することができる。
【0032】
本願の特許請求の範囲の請求項13に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定し、上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定し、所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定した頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0033】
このように、車両が坂道を走行している場合において、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、該状態を検出した頻度が所定値以上になると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができ、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0034】
本願の特許請求の範囲の請求項14に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるとフラグFsをセットし、上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいとフラグFvをセットし、所定の制御サイクルにおいて、上記フラグFsと上記フラグFvがすべてセットされた頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供するものである。
【0035】
このように、車両が坂道を走行している場合において、すべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、該状態を検出した頻度が所定値以上になると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができ、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0036】
本願の特許請求の範囲の請求項15に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定し、上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定し、上記最大車輪速度Vmaxの減速度を算出し、該減速度が所定値C以上であるか否かを判定し、所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定し、かつ最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上であると判定した頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供することにある。
【0037】
このように、最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出すると坂道であると判定することにより、低μ路と坂道を識別し、車両が坂道を走行していると判定し、かつすべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、該状態を検出した頻度が所定値以上になると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。更に、車両が坂道でない低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができ、これらのことから、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0038】
本願の特許請求の範囲の請求項16に記載の発明は、各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるとフラグFsをセットし、上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいとフラグFvをセットし、上記最大車輪速度Vmaxの減速度を算出し、該減速度が所定値C以上であるとフラグFgをセットし、所定の制御サイクルにおいて、上記フラグFs、フラグFv及びフラグFgがすべてセットされた頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置を提供することにある。
【0039】
このように、最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出すると坂道であると判定することにより、低μ路と坂道を識別し、車両が坂道を走行していると判定し、かつすべての車輪がスキッドせずに、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、該状態を検出した頻度が所定値以上になると、推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。更に、車両が坂道でない低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができ、これらのことから、ABS制御の信頼性を向上させることができる。
【0040】
本願の特許請求の範囲の請求項17に記載の発明において、上記請求項13から請求項16の頻度が上記所定値よりも小さい値の所定値以上であり、かつ上記最大車輪速度Vmaxが0のときには、推定車体速度Vrefを0にするリセット動作を行うことを特徴とする。このように、上記頻度がより小さい値の所定値以上になったことを検出すると共に車両が停止した状態を検出したときには、上記推定車体速度Vrefを0にすることから、車両が停止したことを早く検出することができ、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、これらのことから、坂道走行中の車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合をより確実に防止することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図3は、本発明における第1の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示す概略の制御系統図であり、図4は、本発明における第1の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示した概略ブロック図であり、最初に図3及び図4を用いて本発明のアンチスキッド制御装置における第1の実施の形態の概略を説明する。
【0042】
図3及び図4に示す本発明の第1の実施の形態に係るアンチスキッド制御装置の制御対象は4輪自動車であって、マスターシリンダ1とそれぞれ左右前輪及び左右後輪に対応するホイルシリンダ2A,2B,2C,2Dの間にON/OFF型電磁バルブからなるインレット・バルブ3A,3B,3C,3Dを配置する一方、ホイルシリンダ2A〜2DからON/OFF型電磁バルブよりなるアウトレット・バルブ4A,4B,4C,4D及びポンプ・モータ6を介してマスターシリンダ1に還流する還流ライン7を設けている。該還流ライン7のアウトレット・バルブ4A〜4Dとポンプ・モータ6との間にはバッファチャンバ8を配置している。なお、ホイルシリンダ、インレット・バルブ及びアウトレット・バルブを示す符号のA,B,C,Dは、それぞれ車両の左右前輪及び左右後輪を示している。
【0043】
車輪速度センサS0〜S3及び前後Gセンサ5は後述する信号処理装置10に接続されており、該車輪速度センサS0,S1,S2,S3は、左右前輪及び左右後輪のそれぞれの速度を検出し、該検出した速度を車輪速度信号として信号処理装置10に送る。また、前後Gセンサ5は、車体の前後方向の減速度を検出し、該検出した減速度を前後Gセンサ値Gsnsとして信号処理装置10に送る。
【0044】
信号処理装置10は、マイクロコンピュータからなり、図4に示すように基本制御量演算部11、差速度判定部12、Vref判定部13、Vrefリセット部14及びソレノイド指令出力部15を備え、上記車輪速度信号及び前後Gセンサ5からの信号に所定の処理を行って、上記インレット・バルブ3A〜3D及びアウトレット・バルブ4A〜4Dを備えたアクチュエータACT0,ACT1,ACT2,ACT3に加減圧信号Siを出力する。なお、添字iはi=0,1,2,3であり、車輪速度センサ及びアクチュエータを示す符号の添字0、1、2、3と共にそれぞれ車両の左右前輪及び左右後輪を示している。また、図3においては、マスターシリンダ1及び信号処理装置10以外は、4輪自動車の4輪の内、任意の1輪を例にして図示したものであり、説明に必要なものは符号で4輪分を示している。
【0045】
上記車輪速度センサS0〜S3及び前後Gセンサ5は上記基本制御量演算部11に接続され、基本制御量演算部11は差速度判定部12、Vref判定部13及びソレノイド指令出力部15に接続され、差速度判定部12及びVref判定部13はVrefリセット部14に接続されている。更に、該Vrefリセット部14はソレノイド指令出力部15に接続され、該ソレノイド指令出力部15はアクチュエータACT0〜ACT3にそれぞれ接続されている。
【0046】
上記基本制御量演算部11は、上記車輪速度センサS0〜S3から入力される車輪速度信号に基づいて、車輪及び車体挙動を表す各車輪の車輪速度SPEEDiを算出し、上記前後Gセンサ5から入力される前後Gセンサ値Gsnsから車体減速度を算出し、該車輪速度SPEEDiと該車体減速度から推定車体速度Vrefを算出すると共に、該各算出値をソレノイド指令出力部15に出力する。ここで、車輪速度SPEEDi及び推定車体速度Vrefを算出する方法は公知であり、車輪速度SPEEDiを算出する方法の一例として、所定時間Δt内に発生した車輪速度センサからのパルス信号の数pから、下記(2)式より算出する。
SPEEDi=p/Δt×a ………………………(2)
上記(2)式において、aは比例定数である。また、推定車体速度Vrefを算出する方法の一例として上記(1)式を用いて算出する。
【0047】
ソレノイド指令出力部15は、上記基本制御量演算部11から入力された車輪速度SPEEDiと推定車体速度Vrefから、例えばVref−SPEEDi≧(3+Vref/32)km/hであり、かつd/dt(SPEEDi)≦−1.5gであれば、ロック兆候検出であると判断し、各アクチュエータACT0〜ACT3に対してブレーキ液圧を減圧する加減圧信号Siを出力し、それ以外のロック兆候が検出されない場合には、ブレーキ液圧を加圧又は保持する加減圧信号Siを出力する。
【0048】
ソレノイド指令出力部15からの加減圧信号Siが「減圧」であれば、アクチュエータACT0〜ACT3のアウトレット・バルブ4A〜4Dは開弁すると共にインレット・バルブ3A〜3Dは閉弁し、上記ソレノイド指令出力部15からの加減圧信号Siが「保持」であれば、アウトレット・バルブ4A〜4D及びインレット・バルブ3A〜3Dは閉弁し、上記ソレノイド指令出力部15からの加減圧信号Siが「加圧」であれば、インレット・バルブ3A〜3Dは開弁すると共にアウトレット・バルブ4A〜4Dは閉弁する。
【0049】
また、上記基本制御量演算部11は、算出した各車輪における車輪速度SPEEDiの内から最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminを選定し、該最大車輪速度Vmaxと該最小車輪速度Vminを上記差速度判定部12に出力し、算出した推定車体速度Vrefと上記最大車輪速度VmaxをVref判定部13に出力する。
【0050】
上記差速度判定部12は、上記基本制御量演算部11から入力された最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下である場合、例えば2km/h以下である場合、差速度ΔSが所定値A以下であることを示す差速度判定フラグFsをセットする。このように、差速度判定部12は、4輪自動車における4輪すべてがスキッドせずに路面にグリップしている状況を検出するために、4輪の各車輪速度が所定の範囲内にあることを検出する。
【0051】
上記Vref判定部13は、上記基本制御量演算部11から入力された最大車輪速度Vmax及び推定車体速度Vrefより、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxよりも所定値B以上大きい場合、例えば4km/h以上大きい場合、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxよりも所定値B以上大きいことを示すVref判定フラグFvをセットする。このように、Vref判定部13は、推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きな値を示す浮いた状態を検出する。
【0052】
上記Vrefリセット部14は、上記差速度判定フラグFs及び上記Vref判定フラグFvがすべてセットされていることを検出した場合、推定車体速度Vrefが過大に算出されていると判断して、内蔵する検出カウンタCTRをインクリメントし、それ以外の場合、すなわち差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合、推定車体速度Vrefが過大に算出されていないと判断して、上記検出カウンタCTRをデクリメントする。このようにして、Vrefリセット部14は、上記差速度判定フラグFs及び上記Vref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出した頻度を上記検出カウンタCTRを用いて測定する。
【0053】
また、Vrefリセット部14は、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値α以上、例えば制御サイクルが8msecの場合、該カウンタ値が0.5secを示す64以上になる、すなわち差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出した頻度が所定値以上になると、車両が坂道を走行中であると判断して推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を上記ソレノイド指令出力部15に対して行う。更に、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値αに達していなくとも、該カウンタ値が所定値αよりも小さい値の所定値β以上、例えば制御サイクルが8msecの場合32以上であり、かつ車両が停止して最大車輪速度Vmaxが0である場合、推定車体速度Vrefを0にリセットする。
【0054】
なお、上記基本制御量演算部11は選定手段をなし、上記差速度判定部12は差速度判定手段をなし、上記Vref判定部13はVref判定手段をなし、上記検出カウンタCTRはカウント手段をなし、上記Vrefリセット部14はVrefリセット手段をなす。
【0055】
次に、図5は、上記図4で示したアンチスキッド制御装置において、車両が坂道を走行しているか否かを判断し、坂道を走行している場合における推定車体速度Vrefを補正する動作例を示したフローチャートであり、図5を用いて本発明の第1の実施の形態の装置における推定車体速度Vrefを補正する動作例を説明する。
図5において、基本制御量演算部11は、最初にステップS1で、各車輪の車輪速度SPEEDiを算出し、ステップS2で該算出した各車輪速度SPEEDiの内から最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminを選定し、ステップS3で推定車体速度Vrefを算出し、最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminを差速度判定部12に出力し、算出した推定車体速度Vrefと上記最大車輪速度VmaxをVref判定部13に出力する。
【0056】
次にステップS4で、差速度判定部12は、基本制御量演算部11から入力された最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminから上記差速度ΔSを算出し、該算出した差速度ΔSが2km/h以下であるか否かを調べ、2km/h以下である場合(YES)、ステップS5に進み、ステップS5で、差速度判定部12は、差速度ΔSが所定値以下であることを示す差速度判定フラグFsをセットした後、ステップS6に進む。また、ステップS4で、2km/h以下でない場合(NO)、ステップS6に進む。
【0057】
ステップS6において、Vref判定部13は、基本制御量演算部11から入力された最大車輪速度Vmax及び推定車体速度Vrefから、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxよりも4km/h以上大きいか否かを調べ、4km/h以上大きい場合(YES)、ステップS7に進み、ステップS7で、Vref判定部13は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxよりも所定値以上大きいことを示すVref判定フラグFvをセットした後、ステップS8に進む。また、ステップS6で、4km/h以上大きくない場合(NO)、ステップS8に進む。
【0058】
ステップS8において、Vrefリセット部14は、上記差速度判定フラグFs及び上記Vref判定フラグFvがすべてセットされているか否かを調べ、すべてセットされていることを検出した場合(YES)、ステップS9に進み、ステップS9で、Vrefリセット部14は、推定車体速度Vrefが過大に算出されていると判断して、上記検出カウンタCTRをインクリメントした後、ステップS11に進む。また、ステップS8で、差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合(NO)、ステップS10に進み、ステップS10で、Vrefリセット部14は、推定車体速度Vrefが過大に算出されていないと判断して、上記検出カウンタCTRをデクリメントして、ステップS11に進む。
【0059】
ステップS11において、Vrefリセット部14は、上記検出カウンタCTRのカウンタ値を調べ、該カウンタ値が所定値α以上、例えば制御サイクルを8msecとした場合該カウンタ値が0.5secを示す64(検出カウンタCTRのカウンタ値の最大値を255とし、最小値を0とする)以上になると(YES)、ステップS12に進み、ステップS12で、Vrefリセット部14は、車両が坂道を走行中であると判断して推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を上記ソレノイド指令出力部15に行わせ、検出カウンタCTRを0クリアした後、ステップS13に進む。また、ステップS11で、カウンタ値が64以上でない場合(NO)、ステップS13に進む。
【0060】
ステップS13において、Vrefリセット部14は、上記検出カウンタCTRのカウンタ値を調べ、該カウンタ値が所定値β以上、例えば制御サイクルを8msecとした場合該カウンタ値が32以上であり、かつ最大車輪速度Vmaxが0で車両が停止している場合(YES)、ステップS14に進み、ステップS14で、Vrefリセット部14は、上記ソレノイド指令出力部15に対して推定車体速度Vrefを0にリセットさせ、検出カウンタCTRを0クリアした後、ステップS1に戻る。また、ステップS13で、カウンタ値が32以上でかつ最大車輪速度Vmaxが0でない場合(NO)、ステップS1に戻る。
【0061】
このように、本発明の第1の実施の形態における装置においては、車両が坂道を走行している場合において、図6で示すように、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっている状態を検出し、該状態を検出した頻度を測定する検出カウンタCTRのカウント値が所定値α以上になると、すなわち上記状態を検出した頻度が所定値以上になると推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行う。また、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値αに達していなくとも、該カウンタ値が所定値αよりも小さい値の所定値β以上であり、かつ車両が停止して最大車輪速度Vmaxが0である場合、推定車体速度Vrefを0にリセットする。これらのことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、坂道走行中の車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。
【0062】
また、上記第1の実施の形態のアンチスキッド制御装置において、検出カウンタCTRは、差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出するとインクリメントしてカウントアップし、差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvのうち1つでもセットされていない状態を検出するとデクリメントしてカウントダウンしたが、差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出するとデクリメントしてカウントダウンし、差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvのうち1つでもセットされていない状態を検出するとインクリメントしてカウントアップするようにしてもよい。
【0063】
この場合、Vrefリセット部14は、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値γ以下、すなわち差速度判定フラグFs及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出した頻度が所定値以上になると、車両が坂道を走行中であると判断して推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を上記ソレノイド指令出力部15に対して行う。更に、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値γ以下でなくとも、該カウンタ値が所定値γよりも大きい値の所定値δ以下であり、かつ車両が停止して最大車輪速度Vmaxが0である場合、推定車体速度Vrefを0にリセットする。なお、上記所定値δは、検出カウンタCTRの初期値よりも小さい値である。
【0064】
次に、上記第1の実施の形態におけるアンチスキッド制御装置において、車両が低μ路を走行している際に、Vrefリセット部がソレノイド指令出力部に対して誤って上記リセット動作を行わせる可能性があり、その場合、車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合が生じる。そこで、上記第1の実施の形態におけるアンチスキッド制御装置に、更に、最大車輪速度Vmaxから減速度を算出し、該算出した減速度から車両が低μ路を走行中に誤って上記リセット動作を行うことを低減させる機能を追加し、これを本発明の第2の実施の形態におけるアンチスキッド制御装置とする。
【0065】
図7は、本発明における第2の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示した概略ブロック図であり、図7を用いて本発明のアンチスキッド制御装置における第2の実施の形態の概略を説明する。なお、本第2の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示した概略の制御系統図は、信号処理装置10を信号処理装置30にした以外は上記図3と同じであるので省略する。また、図7において、上記図4と同じものは同じ符号で示しており、ここではその説明を省略すると共に、上記図4との相違点のみ説明する。
【0066】
図7における図4との相違点は、図4の信号処理装置10に、最大車輪速度Vmaxを微分して減速度を算出し、該算出した減速度が所定値以上であるか否かを判定するVmax減速度判定部32を追加し、図4の基本制御量演算部11は、最大車輪速度Vmaxを該Vmax減速度判定部32に出力するようにし、図4のVrefリセット部14は、該Vmax減速度判定部31の判定と、上記差速度判定フラグFsと、上記Vref判定フラグFvとからソレノイド指令出力部15に対して上記リセット動作を行わせるか否かの判定を行うようにしたことにあり、これによって、図4の基本制御量演算部11を基本制御量演算部31とし、図4のVrefリセット部14をVrefリセット部33とし、これらに伴って、図4の信号処理装置10を信号処理装置30としたことにある。
【0067】
図7において、車輪速度センサS0〜S3及び前後Gセンサ5は後述する信号処理装置30に接続されており、該車輪速度センサS0〜S3は、左右前輪及び左右後輪のそれぞれの速度を検出し、該検出した速度を車輪速度信号として信号処理装置30に送る。また、前後Gセンサ5は、車体の前後方向の減速度を検出し、該検出した減速度を前後Gセンサ値Gsnsとして信号処理装置30に送る。
【0068】
信号処理装置30は、マイクロコンピュータからなり、基本制御量演算部31、差速度判定部12、Vmax減速度判定部32、Vref判定部13、Vrefリセット部33及びソレノイド指令出力部15を備え、上記車輪速度信号及び前後Gセンサ5からの信号に所定の処理を行って、上記アクチュエータACT0,ACT1,ACT2,ACT3に加減圧信号Siを出力する。
【0069】
上記基本制御量演算部31は差速度判定部12、Vref判定部13、Vmax減速度判定部32及びソレノイド指令出力部15に接続され、差速度判定部12及びVref判定部13はVrefリセット部33に接続されている。更に、該Vrefリセット部33はソレノイド指令出力部15に接続され、該ソレノイド指令出力部15はアクチュエータACT0〜ACT3にそれぞれ接続されている。
【0070】
上記基本制御量演算部31は、上記車輪速度センサS0〜S3から入力される車輪速度信号に基づいて、車輪及び車体挙動を表す各車輪の車輪速度SPEEDiを算出し、上記前後Gセンサ5から入力される前後Gセンサ値Gsnsから車体減速度を算出し、該車輪速度SPEEDiと該車体減速度から推定車体速度Vrefを算出する。ここで、車輪速度SPEEDi及び推定車体速度Vrefを算出する方法及び推定車体速度Vrefを算出する方法は上記第1の実施の形態と同様であるのでここでは省略する。
【0071】
ソレノイド指令出力部15は、上記基本制御量演算部31から入力された車輪速度SPEEDiと推定車体速度Vrefから、上記第1の実施の形態と同様に各アクチュエータACT0〜ACT3に対して上記加減圧信号Siを出力し、各アクチュエータACT0〜ACT3は、該加減圧信号Siに従って上記第1の実施の形態と同様な動作を行う。
【0072】
また、上記基本制御量演算部31は、算出した各車輪における車輪速度SPEEDiの内から最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminを選定し、該最大車輪速度Vmaxと該最小車輪速度Vminを上記差速度判定部12に出力し、最大車輪速度Vmaxを上記Vmax減速度判定部32に出力する。更に、基本制御量演算部31は、算出した推定車体速度Vrefと上記最大車輪速度VmaxをVref判定部13に出力する。なお、上記差速度判定部12及びVref判定部13の動作は、上記速度データが基本制御量演算部31から入力される以外は上記第1の実施の形態と同じであるのでその説明を省略する。また、上記基本制御量演算部31は選定手段をなす。
【0073】
上記Vmax減速度判定部32は、上記基本制御量演算部31から入力された最大車輪速度Vmaxを微分して減速度を算出し、該算出した減速度が所定値C以上である場合、例えばd/dt(Vmax)≦−0.75gである場合、算出した減速度が所定値C以上であることを示すVmax減速度判定フラグFgをセットする。このように、Vmax減速度判定部32は、車両が低μ路を走行中においてVrefリセット部33がソレノイド指令出力部15に対して誤って上記リセット動作を行うことを低減させる。なお、減速度は加速する方向の値を正とし、減速する方向の値を負とする。また、上記Vmax減速度判定部32はVmax減速度判定手段をなす。
【0074】
上記Vrefリセット部33は、上記差速度判定フラグFs、上記Vmax減速度判定フラグFg及び上記Vref判定フラグFvがすべてセットされていることを検出した場合、推定車体速度Vrefが過大に算出されていると判断して、検出カウンタCTRをインクリメントし、それ以外の場合、すなわち差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合、推定車体速度Vrefが過大に算出されていないと判断して、上記検出カウンタCTRをデクリメントする。このようにして、Vrefリセット部33は、上記差速度判定フラグFs、上記Vmax減速度判定フラグFg及び上記Vref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出した頻度を上記検出カウンタCTRを用いて測定する。
【0075】
また、Vrefリセット部33は、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値α以上、例えば制御サイクルが8msecの場合、該カウンタ値が0.5secを示す64以上になる、すなわち差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出した頻度が所定値以上になると、車両が坂道を走行中であると判断して推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を上記ソレノイド指令出力部15に対して行う。更に、Vrefリセット部33は、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値αに達していなくとも、該カウンタ値が所定値αよりも小さい値の所定値β以上、例えば制御サイクルが8msecの場合32以上であり、かつ車両が停止して最大車輪速度Vmaxが0である場合、推定車体速度Vrefを0にリセットする。なお、上記Vrefリセット部33はVrefリセット手段をなす。
【0076】
次に、図8は、上記図7で示したアンチスキッド制御装置において、車両が坂道を走行しているか否かを判断し、坂道を走行している場合における推定車体速度Vrefを補正する動作例を示したフローチャートであり、図8を用いて本発明の第2の実施の形態の装置における推定車体速度Vrefを補正する動作例を説明する。なお、図8において、基本制御量演算部11を基本制御量演算部31とし、Vrefリセット部14をVrefリセット部33とした以外は上記図5と同じ処理を行うフローは同じ符号で示しており、ここではその説明を省略すると共に、上記図5との相違点のみ説明する。
【0077】
図8における図5との相違点は、図5のステップS4,S5と、ステップS6との間にステップS21及びステップS22の処理を追加したことと、図5のステップS3をステップS20の処理に置き換え、図5のステップS8をステップS23の処理に置き換えたことにある。
図8において、基本制御量演算部31は、ステップS2の処理を行った後、ステップS20に進み、ステップS20で推定車体速度Vrefを算出し、最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminを差速度判定部12に出力し、最大車輪速度Vmaxを上記Vmax減速度判定部32に出力し、更に、算出した推定車体速度Vrefと上記最大車輪速度VmaxをVref判定部14に出力した後、ステップS4に進む。
【0078】
ステップS4で、差速度ΔSが2km/h以下でない場合(NO)、ステップS21に進み、また、ステップS5の処理を行った後、ステップS21に進む。ステップS21において、Vmax減速度判定部32は、基本制御量演算部31から入力された最大車輪速度Vmaxを微分して減速度d/dt(Vmax)を算出し、該算出した減速度d/dt(Vmax)が−0.75g以下であるか否かを調べ、−0.75g以下である場合(YES)、ステップS22に進み、ステップS22で、Vmax減速度判定部32は、減速度d/dt(Vmax)が所定値以上であることを示すVmax減速度判定フラグFgをセットした後、ステップS6に進む。また、ステップS21で、−0.75g以下でない場合(NO)、ステップS6に進む。
【0079】
ステップS6で、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxよりも4km/h以上大きくない場合(NO)、ステップS23に進み、また、ステップS7の処理を行った後、ステップS23に進む。ステップS23において、Vrefリセット部33は、上記差速度判定フラグFs、上記Vmax減速度判定フラグFg及び上記Vref判定フラグFvがすべてセットされているか否かを調べ、すべてセットされていることを検出した場合(YES)、ステップS9に進み、差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvのいずれか1つでもセットされていないことを検出した場合(NO)、ステップS10に進み、ステップS10以降の処理を行う。
【0080】
このように、本発明の第2の実施の形態における装置においては、車両が坂道を走行している場合において、上記図6で示したように、算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも所定値B以上大きくなっており、かつ最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上である状態を検出し、該状態を検出した頻度を測定する検出カウンタCTRのカウント値が所定値α以上になると、すなわち上記状態を検出した頻度が所定値以上になると推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行う。また、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値αに達していなくとも、該カウンタ値が所定値αよりも小さい値の所定値β以上であり、かつ車両が停止して最大車輪速度Vmaxが0である場合、推定車体速度Vrefを0にリセットする。
【0081】
これらのことから、坂道を走行中に軽くブレーキを踏んだときに算出した推定車体速度Vrefが実際の車体速度よりも大きくなって生じる誤ったABS制御の実施を防ぐことができ、坂道走行中の車両の停止距離が延び、更には車両が坂道を後退するという不具合を防止することができる。また、車両が低μ路を走行中に、誤って上記リセット動作を行うことを低減することができ、低μ路において車輪がロックしスキッドしやすくなるという不具合の発生を低減することができる。
【0082】
また、上記第2の実施のアンチスキッド制御装置において、検出カウンタCTRは、差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出するとインクリメントしてカウントアップし、差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvのうち1つでもセットされていない状態を検出するとデクリメントしてカウントダウンしたが、差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出するとデクリメントしてカウントダウンし、差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvのうち1つでもセットされていない状態を検出するとインクリメントしてカウントアップするようにしてもよい。
【0083】
この場合、Vrefリセット部33は、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値γ以下、すなわち差速度判定フラグFs、Vmax減速度判定フラグFg及びVref判定フラグFvがすべてセットされた状態を検出した頻度が所定値以上になると、車両が坂道を走行中であると判断して推定車体速度Vrefを最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を上記ソレノイド指令出力部15に対して行う。更に、上記検出カウンタCTRのカウンタ値が所定値γ以下でなくとも、該カウンタ値が所定値γよりも大きい値の所定値δ以下であり、かつ車両が停止して最大車輪速度Vmaxが0である場合、推定車体速度Vrefを0にリセットする。なお、上記所定値δは、検出カウンタCTRの初期値よりも小さい値である。
【0084】
なお、上記第1及び第2の実施の形態におけるアンチスキッド制御装置においては、検出カウンタCTRを1ずつカウントアップ又はカウントダウンを行ったが、1回にカウントアップ又はカウントダウンする数を、上記差速度ΔSや推定車体速度Vrefの値等その他の諸変数で可変するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】坂道においてブレーキペダルを踏まずに車両が自然減速する際に、従来のアンチスキッド制御装置が受ける影響を示した図である。
【図2】車両が坂道を走行中に、軽くブレーキを踏んだ際に、従来のアンチスキッド制御装置が受ける影響を示した図である。
【図3】本発明における第1の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示す概略の制御系統図である。
【図4】本発明における第1の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示した概略ブロック図である。
【図5】図4で示した装置において、推定車体速度Vrefを算出し補正する動作例を示したフローチャートである。
【図6】本発明における第1の実施の形態のアンチスキッド制御装置を使用した場合における坂道走行時のVrefを示した図である。
【図7】本発明における第2の実施の形態のアンチスキッド制御装置を示した概略ブロック図である。
【図8】図7で示した装置において、推定車体速度Vrefを算出し補正する動作例を示したフローチャートである。
【符号の説明】
5 前後Gセンサ
10,30 信号処理装置
11,31 基本制御量演算部
12 差速度判定部
13 Vref判定部
14,33 Vrefリセット部
15 ソレノイド指令出力部
32 Vmax減速度判定部
S0,S1,S2,S3 車輪速度センサ
ACT0,ACT1,ACT2,ACT3 アクチュエータ
CTR 検出カウンタ

Claims (17)

  1. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、
    上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定する差速度判定手段と、
    上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定するVref判定手段と、
    所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定する頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うVrefリセット手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 請求項1に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記Vrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  3. 請求項2に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記Vref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記カウント手段は、フラグFs及びフラグFvがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外はカウントダウンすることを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  4. 請求項1に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記Vrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  5. 請求項4に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記Vref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記カウント手段は、フラグFs及びフラグFvがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外はカウントアップすることを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  6. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定する選定手段と、
    上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定する差速度判定手段と、
    上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定するVref判定手段と、
    上記最大車輪速度Vmaxの減速度を算出し、該減速度が所定値C以上であるか否かを判定するVmax減速度判定手段と、
    所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定し、かつ算出した減速度が所定値C以上であると上記Vmax減速度判定手段が判定する頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うVrefリセット手段とを備えたことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  7. 請求項6に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記Vrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定し、かつ算出した減速度が所定値C以上であると上記Vmax減速度判定手段が判定した場合にカウントアップし、それ以外はカウントダウンを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が所定値α以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  8. 請求項7に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記Vref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記Vmax減速度判定手段は、算出した減速度が所定値C以上であると判定するとフラグFgをセットし、上記カウント手段は、フラグFs、フラグFv及びフラグFgがすべてセットされるとカウントアップし、それ以外はカウントダウンすることを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  9. 請求項6に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記Vrefリセット手段は、差速度ΔSが所定値A以下であると上記差速度判定手段が判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと上記Vref判定手段が判定し、かつ算出した減速度が所定値C以上であると上記Vmax減速度判定手段が判定した場合にカウントダウンし、それ以外はカウントアップを行うカウント手段を有し、該カウント手段のカウント値が該カウント手段の初期値よりも小さい所定値γ以下になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  10. 請求項9に記載のアンチスキッド制御装置にして、上記差速度判定手段は、上記差速度ΔSが所定値A以下であると判定するとフラグFsをセットし、上記Vref判定手段は、推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定するとフラグFvをセットし、上記Vmax減速度判定手段は、算出した減速度が所定値C以上であると判定するとフラグFgをセットし、上記カウント手段は、フラグFs、フラグFv及びフラグFgがすべてセットされるとカウントダウンし、それ以外はカウントアップすることを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  11. 請求項2、請求項3、請求項7又は請求項8のいずれかに記載のアンチスキッド制御装置にして、上記Vrefリセット手段は、上記カウント手段のカウント値が上記所定値αよりも小さい値の所定値β以上になると、上記最大車輪速度Vmaxが0のときには上記推定車体速度Vrefを0にするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  12. 請求項4、請求項5、請求項9又は請求項10のいずれかに記載のアンチスキッド制御装置にして、上記Vrefリセット手段は、上記カウント手段のカウント値が上記所定値γよりも大きく、かつ該カウント手段の初期値よりも小さい所定値δ以下になると、上記最大車輪速度Vmaxが0のときには上記推定車体速度Vrefを0にするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  13. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、
    上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定し、
    上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定し、
    所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定した頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  14. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、
    上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるとフラグFsをセットし、
    上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいとフラグFvをセットし、
    所定の制御サイクルにおいて、上記フラグFsと上記フラグFvがすべてセットされた頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  15. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、
    上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるか否かを判定し、
    上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいか否かを判定し、
    上記最大車輪速度Vmaxの減速度を算出し、該減速度が所定値C以上であるか否かを判定し、
    所定の制御サイクルにおいて、差速度ΔSが所定値A以下であると判定し、かつ推定車体速度Vrefが最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいと判定し、かつ最大車輪速度Vmaxの減速度が所定値C以上であると判定した頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  16. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度センサと、車体の前後方向の減速度を検出する前後Gセンサを有し、該車輪速度センサで検出された各車輪の車輪速度と該前後Gセンサで検出された減速度から車体速度の推定値Vrefを算出し、該推定車体速度Vrefを基にABS制御を行うアンチスキッド制御装置において、
    上記各車輪の車輪速度のうち最大値である最大車輪速度Vmaxと、最小値である最小車輪速度Vminを選定し、
    上記最大車輪速度Vmaxと最小車輪速度Vminとの差である差速度ΔSを算出し、該差速度ΔSが所定値A以下であるとフラグFsをセットし、
    上記推定車体速度Vrefが上記最大車輪速度Vmaxより所定値B以上大きいとフラグFvをセットし、
    上記最大車輪速度Vmaxの減速度を算出し、該減速度が所定値C以上であるとフラグFgをセットし、
    所定の制御サイクルにおいて、上記フラグFs、フラグFv及びフラグFgがすべてセットされた頻度が所定値以上になると、上記推定車体速度Vrefを上記最大車輪速度Vmaxにするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  17. 請求項13から請求項16のいずれかに記載のアンチスキッド制御装置にして、上記頻度が上記所定値よりも小さい値の所定値以上であり、かつ上記最大車輪速度Vmaxが0のときには、推定車体速度Vrefを0にするリセット動作を行うことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
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