JP3573364B2 - 新規なn−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体 - Google Patents
新規なn−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3573364B2 JP3573364B2 JP25875494A JP25875494A JP3573364B2 JP 3573364 B2 JP3573364 B2 JP 3573364B2 JP 25875494 A JP25875494 A JP 25875494A JP 25875494 A JP25875494 A JP 25875494A JP 3573364 B2 JP3573364 B2 JP 3573364B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cinnamylaminoethyl
- naphthalenesulfonamide
- solution
- chloroform
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体およびその酸付加塩に関する。
本発明の化合物は、広範囲の抗菌スペクトルを有するので、抗菌剤、抗カビ剤、あるいは除草剤の有効成分として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、スルフォンアミド誘導体については、そのキノリンスルフォンアミド誘導体及びイソキノリンスルフォンアミド誘導体が気管支拡張効果を有することが知られている〔特開平3−258763号公報〕。
また、N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−イソキノリンスルフォンアミド(H−88)及びN−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−5−イソキノリンスルフォンアミド(H−89)がプロテインキナーゼ阻害効果を有することが知られている〔The Journal of Biological Chemistry, vol.265, pp.5267−5272, 1990〕。
しかしながら、N−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体に関する報告は未だ無く、したがって、これらの化合物の生理活性についても知られていない現状にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、広範囲の抗菌スペクトルを有する物質について研究を進めていたところ、合成により得られた一連のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体にこのような性質があることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の課題は、広範囲の抗菌スペクトルを有する新規なN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の一般式(I)
【化2】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示し、Xは水素またはハロゲン原子を示す。〕
で表されるN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体またはその酸付加塩に関する。
炭素数1〜5のアルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基等がある。
【0005】
本発明の化合物(I)は、次の一般式(II)
【化3】
〔式中、Xは水素またはハロゲン原子を示し、Yはハロゲン原子を示す。〕
で表されるシンナミル誘導体を1,2−ジアミノエタンと縮合させることにより得られる次の一般式 (III)
【化4】
〔式中、Xは水素またはハロゲン原子を示す。〕
で表される化合物を次の一般式 (IV)
【化5】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示す。〕
で表されるナフタレンスルフォニルクロリド誘導体と、酸受容体の存在下または非存在下に、縮合させることにより得ることができる。
【0006】
また、本発明の化合物(I)は、次の一般式 (IV)
【化6】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示す。〕
で表されるナフタレンスルフォニルクロリド誘導体を1,2−ジアミノエタンと縮合させることにより得られる次の一般式 (V)
【化7】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示す。〕
で表される化合物を次の一般式 (II)
【化8】
で表されるシンナミル誘導体と、酸受容体の存在下または非存在下に、縮合させることにより得ることができる。
【0007】
上記の反応に用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであればいかなるものでもよく、例えば、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。また、上記の反応に用いる酸受容体としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなどを挙げることができる。さらに、上記の反応は、氷冷下から溶媒の還流温度までの温度範囲で行うことができる。
【0008】
そして、得られた本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体を反応液から単離精製するには、通常の化合物の単離精製に用いられている化学操作、すなわち、抽出、濃縮、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィーなどを適宜用いて行うことができる。
【0009】
本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体は、必要に応じて、常法により酸付加塩とすることもできる。なお、酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、炭酸などの無機酸、あるいは、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸を用いることができる。
【0010】
また、本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体を医薬として使用する場合には、適当な賦形剤、担体、希釈剤などを用いて錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末または注射剤などの剤形とし、経口または非経口的に投与することができる。また、除草剤として使用する場合にも適当な賦形剤、担体、希釈剤などを用いて散布することができる。
【0011】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を具体例によって理解し易くするためのものであり、本発明については実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−1−ナフタレンスルフォンアミド
1,2−ジアミノエタン(200ml) のクロロホルム溶液(1500ml)に、シンナミルクロリド(50ml)のクロロホルム溶液(500ml) を氷水浴中で滴下し、室温で2時間撹拌した後、10%塩酸で抽出(700ml×3回) した。そして、クロロホルム層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮してシンナミルアミノエチルアミンを定量的に得た。
次に、シンナミルアミノエチルアミン(3.26g) のクロロホルム溶液(65ml)にナフタレン−1−スルフォニルクロリド(3.90g) のクロロホルム溶液(65ml)を滴下し、室温で一晩攪拌した後、析出物を濾別し、その濾液に10%水酸化ナトリウム溶液を加え、クロロホルム(100ml×3回)で抽出した。そして、クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(7.01g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル200g、溶媒:10%メタノール/クロロホルム)で精製し、以下の物性を有する標題化合物
2.21g (収率:35.1%)を油状物として得た。
【0012】
MS: 366 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3300,3050,3030,2850,1600,1450,1320,1160,1135,770
1H−NMR(CDCl3)δ:2.59(2H,t,J=5.8Hz),2.97(2H,t,J=5.8Hz),3.04(2H,dd,J=6.4Hz,1.4Hz),5.97(1H,dt,J=15.8Hz,6.4Hz),6.29(1H,d,J=15.8Hz),7.19−7.30(5H,m),7.49(1H,dd,J=7.9Hz,7.9Hz),7.54(1H,dd,J=7.9Hz,7.9Hz),7.63(1H,ddd,J=7.3Hz,7.3Hz,1.2Hz),7.90(1H,d,J=8.0Hz),8.02(1H,d,J=8.2Hz),8.35(1H,dd,J=7.3Hz,1.2Hz),8.69(1H,d,J=8.6Hz)
【0013】
【実施例2】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−2−ナフタレンスルフォンアミド塩酸 塩
実施例1で中間体として得られたシンナミルアミノエチルアミン(3.15g) のクロロホルム溶液(60ml)に、ナフタレン−1−スルフォニルクロリド(3.84g) のクロロホルム溶液(60ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、析出物を濾別し、その濾液に10%水酸化ナトリウム溶液を加え、クロロホルム(100ml×3回)で抽出した。そして、クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(5.31g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g、溶媒:クロロホルム)で精製し、白色粉末 1.60gを得た。
このようにして得られた白色粉末をメタノールに溶解し、液性が酸性になるまで4N塩酸/ジオキサン溶液を加えた。そして、析出物を濾取し、2−プロパノールから再結晶して、以下の物性を有する標題化合物を得た。
【0014】
融点: 206〜210 ℃
MS: 366 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3300,2950,2780,2410,1585,1435,1410,1320,1160,745
1H−NMR(DMSO−d6)δ:3.00(2H,t,J=6.0Hz),3.10(2H,t,J=6.0Hz),3.70(2H,d,J=7.0Hz),6.27(1H,dt,J=15.8Hz,7.0Hz),6.76(1H,d,J=15.8Hz),7.29−7.43(5H,m),7.65−7.73(2H,m),8.05(1H,d,J=7.0Hz),8.14−8.19(2H,m),8.47(1H,d,J=1.5Hz)
【0015】
【実施例3】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
実施例1で中間体として得られたシンナミルアミノエチルアミン(1.36g) のピリジン溶液(25ml)に、1−ジメチルアミノナフタレン−5−スルフォニルクロリド(1.02g) のジクロルメタン溶液(25ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、溶媒を留去し、残渣に水(30ml)を加え、ジクロルメタン (30ml×2回)で抽出した。そして、ジクロルメタン層を飽和食塩水(30ml)で洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(2.20g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 40g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 1.14gを油状物として得た。
【0016】
MS: 409 (M + )
IR:νKBr cm−1: 2950,2830,1590,1575,1460,1320,1160,1140,790
1H−NMR(CDCl3)δ:2.56(2H,t,J=5.5Hz),2.80(6H,s),2.98(2H,t,J=6.4Hz),2.99(2H,t,J=6.1Hz),5.94(1H,dt,J=15.9Hz,6.4Hz),6.27(1H,d,J=15.8Hz),7.09(1H,d,J=7.3Hz),7.16−7.27(5H,m),7.46(1H,dd,J=7.4Hz,8.6Hz),7.51(1H,dd,J=7.6Hz,8.5Hz),8.26(1H,dd,J=1.2Hz,7.4Hz),8.39(1H,d,J=8.9Hz),8.50(1H,d,J=8.6Hz)
【0017】
【実施例4】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
実施例1で中間体として得られたシンナミルアミノエチルアミン(0.54g) のピリジン溶液(10ml)に、1−ジブチルアミノナフタレン−5−スルフォニルクロリド(1.00g) のピリジン溶液(10ml)を滴下し、室温で 1.5時間撹拌した後、溶媒を留去し、残渣に水(10ml)を加え、ジクロルメタン (20ml×2回)で抽出した。そして、ジクロルメタン層を飽和食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(1.50g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 30g、溶媒:クロロホルム)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 0.35gを油状物として得た。
【0018】
MS: 493 (M + )
IR:νKBr cm−1: 2950,2930,1575,1460,1325,1160,1140,790
1H−NMR(CDCl3)δ:0.78(6H,t,J=7.3Hz),1.20(4H,dt,J=15.0Hz,J=7.3Hz),1.38(4H,dt,J=15.0Hz,J=7.3Hz),2.57(2H,dd,J=5.5Hz,5.5Hz),2.93(2H,dd,J=5.5Hz,5.5Hz),2.98(2H,dd,J=1.2Hz,6.4Hz),3.03(4H,dd,J=7.3Hz,7.3Hz),5.97(2H,dt,J=15.8Hz,6.4Hz),6.29(1H,d,J=15.8Hz),7.15−7.27(6H,m),7.45(1H,dd,J=7.3Hz,8.5Hz),7.53(1H,dd,J=7.6Hz,8.5Hz),8.21(1H,dd,J=1.5Hz,7.3Hz),8.31(1H,d,J=8.8Hz),8.59(1H,d,J=8.5Hz)
【0019】
【実施例5】
N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−1−ナフタレンスルフォンアミド
p−ブロモシンナミックアシッド(100.21g) のテトラヒドロフラン溶液(400ml)に、チオニルクロリド(100ml、163.8g) のテトラヒドロフラン溶液(100ml)を室温で滴下し、滴下終了後、反応液を3時間加熱還流し、減圧濃縮した。得られた残渣をテトラヒドロフラン(800ml) に溶解し、氷浴中で水素化リチウムアルミニウム(10.00g)を少量ずつ加えた。そして、0℃で1時間撹拌した後、水(60ml)を加えて室温で30分撹拌した。この反応液に、さらに水(200ml) を加え、10%塩酸で酸性とし、水層とテトラヒドロフラン層を分離した後、水層を酢酸エチル(300ml×3回) で抽出した。この酢酸エチル層とテトラヒドロフラン層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml) 及び飽和食塩水(300ml) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 1000g、溶媒:ジクロロメタン)で精製し、p−ブロモシンナミルアルコール72.00g (収率76.3%)を得た。
【0020】
p−ブロモシンナミルアルコール(50.14g)のエーテル溶液(300ml) に、チオニルクロリド (50ml、81.9g)のエーテル溶液(200ml) を滴下し、室温で一晩撹拌した。この反応液を減圧濃縮して得られた油状物のクロロホルム溶液(800ml) を、1,2−ジアミノエタン(150ml) のクロロホルム溶液(1,500ml) に加え、2時間加熱還流した。そして、反応液を10%塩酸(800ml×4回)で抽出した後、水層に水酸化ナトリウムを加え、アルカリ性とした。この水層をクロロホルム(400ml×4回)で抽出した後、飽和食塩水(300ml) で洗浄し、無水炭酸カリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた油状物をアセトンに溶解し、飽和塩化水素メタノール溶液を加え、析出物を濾取した。この析出物をアセトンで洗浄し、乾燥してp−ブロモシンナミルアミノエチルアミン塩酸塩 36.84g(収率53.7%)を白色粉末として得た。このp−ブロモシンナミルアミノエチルアミン塩酸塩をアルカリ性の条件下でクロロホルム抽出し、溶媒を減圧留去してp−ブロモシンナミルアミノエチルアミンとした。
【0021】
p−ブロモシンナミルアミノエチルアミン(2.05g) のピリジン溶液(20ml)に、ナフタレン−1−スルフォニルクロリド(1.00g) のクロロホルム溶液(30ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水(80ml)を加え、クロロホルム (60ml×3回)で抽出した。このクロロホルム層を飽和食塩水(60ml×3回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 30g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 0.86g (収率43.8%) を淡黄色粉末として得た。
【0022】
融点: 79〜82℃
MS: 446 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3290,2840,1485,1320,1160,1135,770
1H−NMR(CDCl3)δ:2.55(2H,t,J=5.8Hz),2.96(2H,t,J=5.8Hz),2.98(2H,dd,J=6.1Hz,1.2Hz),5.91(1H,dt,J=15.9Hz,6.1Hz),6.17(1H,d,J=15.9Hz),7.06(2H,d,J=8.5Hz),7.34(2H,d,J=8.6Hz),7.45(1H,dd,J=7.3Hz,8.2Hz),7.49(1H,ddd,J=1.2Hz,7.0Hz,7.9Hz),7.58(1H,ddd,J=1.2Hz,6.7Hz,8.2Hz),7.86(1H,d,J=7.9Hz),7.98(1H,d,J=8.2Hz),8.23(1H,dd,J=1.2Hz,7.3Hz),8.68(1H,d,J=8.6Hz)
【0023】
【実施例6】
N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−2−ナフタレンスルフォンアミド
実施例5で中間体として得られたp−シンナミルアミノエチルアミン(1.97g) のピリジン溶液(20ml)に、ナフタレン−2−スルフォニルクロリド(1.15g) のクロロホルム溶液(40ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 30g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 1.21g (収率52.9%) を白色粉末として得た。
【0024】
融点: 121〜122 ℃
MS: 446 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3320,1490,1300,1150,1130,1100,1075
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.71(2H,t,J=5.5Hz),3.04(2H,t,J=5.8Hz),3.23(2H,dd,J=1.2Hz,J=6.1Hz),6.10(1H,dt,J=15.9Hz,6.9Hz),6.32(1H,d,J=15.9Hz),7.13(2H,d,J=8.5Hz),7.38(2H,d,J=8.5Hz),7.48(1H,ddd,J=8.2Hz,7.9Hz,1.2Hz),7.64(1H,ddd,J=8.2Hz,7.0Hz,1.2Hz),7.82(1H,dd,J=8.5Hz,J=1.2Hz),7.87(1H,d,J=8.5Hz),7.92(1H,d,J=8.6Hz),7.93(1H,d,J=7.9Hz),8.42(1H,d,J=1.5Hz)
【0025】
【実施例7】
N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
実施例5で中間体として得られたp−シンナミルアミノエチルアミン(1.81g) のピリジン溶液(20ml)に、1−ジブチルアミノナフタレン−5−スルフォニルクロリド(1.00g) のクロロホルム溶液(40ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水(100ml) を加え、クロロホルム(50ml×3回)で抽出した。このクロロホルム層を飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 35g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 1.31g (収率81.7%) を油状物として得た。
【0026】
MS: 572 (M + )
IR:νKBr cm−1: 2950,2930,2860,1590,1575,1490,1460,1320,1160,1140,790 1H−NMR(CDCl3)δ:0.81(6H,t,J=7.3Hz),1.22(2H,q,J=7.3Hz),1.25(2H,q,J=7.3Hz),1.41(2H,q,J=7.3Hz),1.43(2H,q,J=7.3Hz),2.61(2H,t,J=5.5Hz),2.99(2H,t,J=5.5Hz),3.02(2H,dd,J=6.1Hz,1.2Hz),3.07(4H,t,J=7.3Hz),6.00(2H,dt,J=15.9Hz,6.1Hz),6.26(1H,d,J=15.9Hz),7.11(2H,d,J=8.5Hz),7.23(1H,d,J=7.3Hz),7.37(2H,d,J=8.2Hz),7.47(1H,dd,J=8.5Hz,7.3Hz),7.54(1H,dd,J=7.6Hz,J=7.6Hz),8.24(1H,dd,J=7.3Hz,J=0.9Hz),8.37(1H,d,J=8.5Hz)
【0027】
【試験例1】
実施例1〜7で得られた本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体について、抗菌活性試験を行った。
化合物 (1):N−(2−シンナミルアミノエチル)−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (2):N−(2−シンナミルアミノエチル)−2−ナフタレンスルフォンアミド塩酸塩
化合物 (3):N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (4):N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (5):N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (6):N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−2−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (7):N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
【0028】
本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体の抗菌活性試験は、田中信夫、中村昭四郎の方法に従って測定した〔抗生物質大要、化学と生物活性、第4版、東京大学出版会、p17(感受性ディスク法)、1992年〕。すなわち、ジメチルスルフォキシドを溶媒として、 10mg/mlの濃度となるように調製した上記の被験化合物を8mm径のペーパーディスク当たり 200μg(20μl)含有させ、表1に示した12種の細菌及び糸状菌を検定プレートに接種して、各々の適温にて培養後、生じた阻止円の大きさを測定した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体は、広範囲の抗菌スペクトルを有するので、抗菌剤、抗カビ剤、あるいは除草剤の有効成分として有用である。
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体およびその酸付加塩に関する。
本発明の化合物は、広範囲の抗菌スペクトルを有するので、抗菌剤、抗カビ剤、あるいは除草剤の有効成分として有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、スルフォンアミド誘導体については、そのキノリンスルフォンアミド誘導体及びイソキノリンスルフォンアミド誘導体が気管支拡張効果を有することが知られている〔特開平3−258763号公報〕。
また、N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−イソキノリンスルフォンアミド(H−88)及びN−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−5−イソキノリンスルフォンアミド(H−89)がプロテインキナーゼ阻害効果を有することが知られている〔The Journal of Biological Chemistry, vol.265, pp.5267−5272, 1990〕。
しかしながら、N−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体に関する報告は未だ無く、したがって、これらの化合物の生理活性についても知られていない現状にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、広範囲の抗菌スペクトルを有する物質について研究を進めていたところ、合成により得られた一連のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体にこのような性質があることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明の課題は、広範囲の抗菌スペクトルを有する新規なN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の一般式(I)
【化2】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示し、Xは水素またはハロゲン原子を示す。〕
で表されるN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体またはその酸付加塩に関する。
炭素数1〜5のアルキル基には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基等がある。
【0005】
本発明の化合物(I)は、次の一般式(II)
【化3】
〔式中、Xは水素またはハロゲン原子を示し、Yはハロゲン原子を示す。〕
で表されるシンナミル誘導体を1,2−ジアミノエタンと縮合させることにより得られる次の一般式 (III)
【化4】
〔式中、Xは水素またはハロゲン原子を示す。〕
で表される化合物を次の一般式 (IV)
【化5】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示す。〕
で表されるナフタレンスルフォニルクロリド誘導体と、酸受容体の存在下または非存在下に、縮合させることにより得ることができる。
【0006】
また、本発明の化合物(I)は、次の一般式 (IV)
【化6】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示す。〕
で表されるナフタレンスルフォニルクロリド誘導体を1,2−ジアミノエタンと縮合させることにより得られる次の一般式 (V)
【化7】
〔式中、R1 は水素または−NR2 R3 基(R2,R3 は水素または炭素数1〜5のアルキル基で、同一であってもよく異なっていてもよい。)を示す。〕
で表される化合物を次の一般式 (II)
【化8】
で表されるシンナミル誘導体と、酸受容体の存在下または非存在下に、縮合させることにより得ることができる。
【0007】
上記の反応に用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであればいかなるものでもよく、例えば、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。また、上記の反応に用いる酸受容体としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウムなどを挙げることができる。さらに、上記の反応は、氷冷下から溶媒の還流温度までの温度範囲で行うことができる。
【0008】
そして、得られた本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体を反応液から単離精製するには、通常の化合物の単離精製に用いられている化学操作、すなわち、抽出、濃縮、結晶化、濾過、再結晶、各種クロマトグラフィーなどを適宜用いて行うことができる。
【0009】
本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体は、必要に応じて、常法により酸付加塩とすることもできる。なお、酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、炭酸などの無機酸、あるいは、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸を用いることができる。
【0010】
また、本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体を医薬として使用する場合には、適当な賦形剤、担体、希釈剤などを用いて錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末または注射剤などの剤形とし、経口または非経口的に投与することができる。また、除草剤として使用する場合にも適当な賦形剤、担体、希釈剤などを用いて散布することができる。
【0011】
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これは本発明を具体例によって理解し易くするためのものであり、本発明については実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−1−ナフタレンスルフォンアミド
1,2−ジアミノエタン(200ml) のクロロホルム溶液(1500ml)に、シンナミルクロリド(50ml)のクロロホルム溶液(500ml) を氷水浴中で滴下し、室温で2時間撹拌した後、10%塩酸で抽出(700ml×3回) した。そして、クロロホルム層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮してシンナミルアミノエチルアミンを定量的に得た。
次に、シンナミルアミノエチルアミン(3.26g) のクロロホルム溶液(65ml)にナフタレン−1−スルフォニルクロリド(3.90g) のクロロホルム溶液(65ml)を滴下し、室温で一晩攪拌した後、析出物を濾別し、その濾液に10%水酸化ナトリウム溶液を加え、クロロホルム(100ml×3回)で抽出した。そして、クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(7.01g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル200g、溶媒:10%メタノール/クロロホルム)で精製し、以下の物性を有する標題化合物
2.21g (収率:35.1%)を油状物として得た。
【0012】
MS: 366 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3300,3050,3030,2850,1600,1450,1320,1160,1135,770
1H−NMR(CDCl3)δ:2.59(2H,t,J=5.8Hz),2.97(2H,t,J=5.8Hz),3.04(2H,dd,J=6.4Hz,1.4Hz),5.97(1H,dt,J=15.8Hz,6.4Hz),6.29(1H,d,J=15.8Hz),7.19−7.30(5H,m),7.49(1H,dd,J=7.9Hz,7.9Hz),7.54(1H,dd,J=7.9Hz,7.9Hz),7.63(1H,ddd,J=7.3Hz,7.3Hz,1.2Hz),7.90(1H,d,J=8.0Hz),8.02(1H,d,J=8.2Hz),8.35(1H,dd,J=7.3Hz,1.2Hz),8.69(1H,d,J=8.6Hz)
【0013】
【実施例2】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−2−ナフタレンスルフォンアミド塩酸 塩
実施例1で中間体として得られたシンナミルアミノエチルアミン(3.15g) のクロロホルム溶液(60ml)に、ナフタレン−1−スルフォニルクロリド(3.84g) のクロロホルム溶液(60ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、析出物を濾別し、その濾液に10%水酸化ナトリウム溶液を加え、クロロホルム(100ml×3回)で抽出した。そして、クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(5.31g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100g、溶媒:クロロホルム)で精製し、白色粉末 1.60gを得た。
このようにして得られた白色粉末をメタノールに溶解し、液性が酸性になるまで4N塩酸/ジオキサン溶液を加えた。そして、析出物を濾取し、2−プロパノールから再結晶して、以下の物性を有する標題化合物を得た。
【0014】
融点: 206〜210 ℃
MS: 366 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3300,2950,2780,2410,1585,1435,1410,1320,1160,745
1H−NMR(DMSO−d6)δ:3.00(2H,t,J=6.0Hz),3.10(2H,t,J=6.0Hz),3.70(2H,d,J=7.0Hz),6.27(1H,dt,J=15.8Hz,7.0Hz),6.76(1H,d,J=15.8Hz),7.29−7.43(5H,m),7.65−7.73(2H,m),8.05(1H,d,J=7.0Hz),8.14−8.19(2H,m),8.47(1H,d,J=1.5Hz)
【0015】
【実施例3】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
実施例1で中間体として得られたシンナミルアミノエチルアミン(1.36g) のピリジン溶液(25ml)に、1−ジメチルアミノナフタレン−5−スルフォニルクロリド(1.02g) のジクロルメタン溶液(25ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、溶媒を留去し、残渣に水(30ml)を加え、ジクロルメタン (30ml×2回)で抽出した。そして、ジクロルメタン層を飽和食塩水(30ml)で洗浄し、無水炭酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(2.20g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 40g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 1.14gを油状物として得た。
【0016】
MS: 409 (M + )
IR:νKBr cm−1: 2950,2830,1590,1575,1460,1320,1160,1140,790
1H−NMR(CDCl3)δ:2.56(2H,t,J=5.5Hz),2.80(6H,s),2.98(2H,t,J=6.4Hz),2.99(2H,t,J=6.1Hz),5.94(1H,dt,J=15.9Hz,6.4Hz),6.27(1H,d,J=15.8Hz),7.09(1H,d,J=7.3Hz),7.16−7.27(5H,m),7.46(1H,dd,J=7.4Hz,8.6Hz),7.51(1H,dd,J=7.6Hz,8.5Hz),8.26(1H,dd,J=1.2Hz,7.4Hz),8.39(1H,d,J=8.9Hz),8.50(1H,d,J=8.6Hz)
【0017】
【実施例4】
N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
実施例1で中間体として得られたシンナミルアミノエチルアミン(0.54g) のピリジン溶液(10ml)に、1−ジブチルアミノナフタレン−5−スルフォニルクロリド(1.00g) のピリジン溶液(10ml)を滴下し、室温で 1.5時間撹拌した後、溶媒を留去し、残渣に水(10ml)を加え、ジクロルメタン (20ml×2回)で抽出した。そして、ジクロルメタン層を飽和食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣(1.50g) をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 30g、溶媒:クロロホルム)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 0.35gを油状物として得た。
【0018】
MS: 493 (M + )
IR:νKBr cm−1: 2950,2930,1575,1460,1325,1160,1140,790
1H−NMR(CDCl3)δ:0.78(6H,t,J=7.3Hz),1.20(4H,dt,J=15.0Hz,J=7.3Hz),1.38(4H,dt,J=15.0Hz,J=7.3Hz),2.57(2H,dd,J=5.5Hz,5.5Hz),2.93(2H,dd,J=5.5Hz,5.5Hz),2.98(2H,dd,J=1.2Hz,6.4Hz),3.03(4H,dd,J=7.3Hz,7.3Hz),5.97(2H,dt,J=15.8Hz,6.4Hz),6.29(1H,d,J=15.8Hz),7.15−7.27(6H,m),7.45(1H,dd,J=7.3Hz,8.5Hz),7.53(1H,dd,J=7.6Hz,8.5Hz),8.21(1H,dd,J=1.5Hz,7.3Hz),8.31(1H,d,J=8.8Hz),8.59(1H,d,J=8.5Hz)
【0019】
【実施例5】
N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−1−ナフタレンスルフォンアミド
p−ブロモシンナミックアシッド(100.21g) のテトラヒドロフラン溶液(400ml)に、チオニルクロリド(100ml、163.8g) のテトラヒドロフラン溶液(100ml)を室温で滴下し、滴下終了後、反応液を3時間加熱還流し、減圧濃縮した。得られた残渣をテトラヒドロフラン(800ml) に溶解し、氷浴中で水素化リチウムアルミニウム(10.00g)を少量ずつ加えた。そして、0℃で1時間撹拌した後、水(60ml)を加えて室温で30分撹拌した。この反応液に、さらに水(200ml) を加え、10%塩酸で酸性とし、水層とテトラヒドロフラン層を分離した後、水層を酢酸エチル(300ml×3回) で抽出した。この酢酸エチル層とテトラヒドロフラン層を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200ml) 及び飽和食塩水(300ml) で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 1000g、溶媒:ジクロロメタン)で精製し、p−ブロモシンナミルアルコール72.00g (収率76.3%)を得た。
【0020】
p−ブロモシンナミルアルコール(50.14g)のエーテル溶液(300ml) に、チオニルクロリド (50ml、81.9g)のエーテル溶液(200ml) を滴下し、室温で一晩撹拌した。この反応液を減圧濃縮して得られた油状物のクロロホルム溶液(800ml) を、1,2−ジアミノエタン(150ml) のクロロホルム溶液(1,500ml) に加え、2時間加熱還流した。そして、反応液を10%塩酸(800ml×4回)で抽出した後、水層に水酸化ナトリウムを加え、アルカリ性とした。この水層をクロロホルム(400ml×4回)で抽出した後、飽和食塩水(300ml) で洗浄し、無水炭酸カリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた油状物をアセトンに溶解し、飽和塩化水素メタノール溶液を加え、析出物を濾取した。この析出物をアセトンで洗浄し、乾燥してp−ブロモシンナミルアミノエチルアミン塩酸塩 36.84g(収率53.7%)を白色粉末として得た。このp−ブロモシンナミルアミノエチルアミン塩酸塩をアルカリ性の条件下でクロロホルム抽出し、溶媒を減圧留去してp−ブロモシンナミルアミノエチルアミンとした。
【0021】
p−ブロモシンナミルアミノエチルアミン(2.05g) のピリジン溶液(20ml)に、ナフタレン−1−スルフォニルクロリド(1.00g) のクロロホルム溶液(30ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水(80ml)を加え、クロロホルム (60ml×3回)で抽出した。このクロロホルム層を飽和食塩水(60ml×3回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 30g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 0.86g (収率43.8%) を淡黄色粉末として得た。
【0022】
融点: 79〜82℃
MS: 446 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3290,2840,1485,1320,1160,1135,770
1H−NMR(CDCl3)δ:2.55(2H,t,J=5.8Hz),2.96(2H,t,J=5.8Hz),2.98(2H,dd,J=6.1Hz,1.2Hz),5.91(1H,dt,J=15.9Hz,6.1Hz),6.17(1H,d,J=15.9Hz),7.06(2H,d,J=8.5Hz),7.34(2H,d,J=8.6Hz),7.45(1H,dd,J=7.3Hz,8.2Hz),7.49(1H,ddd,J=1.2Hz,7.0Hz,7.9Hz),7.58(1H,ddd,J=1.2Hz,6.7Hz,8.2Hz),7.86(1H,d,J=7.9Hz),7.98(1H,d,J=8.2Hz),8.23(1H,dd,J=1.2Hz,7.3Hz),8.68(1H,d,J=8.6Hz)
【0023】
【実施例6】
N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−2−ナフタレンスルフォンアミド
実施例5で中間体として得られたp−シンナミルアミノエチルアミン(1.97g) のピリジン溶液(20ml)に、ナフタレン−2−スルフォニルクロリド(1.15g) のクロロホルム溶液(40ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 30g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 1.21g (収率52.9%) を白色粉末として得た。
【0024】
融点: 121〜122 ℃
MS: 446 (M + )
IR:νKBr cm−1: 3320,1490,1300,1150,1130,1100,1075
1H−NMR(DMSO−d6)δ:2.71(2H,t,J=5.5Hz),3.04(2H,t,J=5.8Hz),3.23(2H,dd,J=1.2Hz,J=6.1Hz),6.10(1H,dt,J=15.9Hz,6.9Hz),6.32(1H,d,J=15.9Hz),7.13(2H,d,J=8.5Hz),7.38(2H,d,J=8.5Hz),7.48(1H,ddd,J=8.2Hz,7.9Hz,1.2Hz),7.64(1H,ddd,J=8.2Hz,7.0Hz,1.2Hz),7.82(1H,dd,J=8.5Hz,J=1.2Hz),7.87(1H,d,J=8.5Hz),7.92(1H,d,J=8.6Hz),7.93(1H,d,J=7.9Hz),8.42(1H,d,J=1.5Hz)
【0025】
【実施例7】
N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
実施例5で中間体として得られたp−シンナミルアミノエチルアミン(1.81g) のピリジン溶液(20ml)に、1−ジブチルアミノナフタレン−5−スルフォニルクロリド(1.00g) のクロロホルム溶液(40ml)を滴下し、室温で一晩撹拌した後、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水(100ml) を加え、クロロホルム(50ml×3回)で抽出した。このクロロホルム層を飽和食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。さらに、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 35g、溶媒:酢酸エチル)で精製し、以下の物性を有する標題化合物 1.31g (収率81.7%) を油状物として得た。
【0026】
MS: 572 (M + )
IR:νKBr cm−1: 2950,2930,2860,1590,1575,1490,1460,1320,1160,1140,790 1H−NMR(CDCl3)δ:0.81(6H,t,J=7.3Hz),1.22(2H,q,J=7.3Hz),1.25(2H,q,J=7.3Hz),1.41(2H,q,J=7.3Hz),1.43(2H,q,J=7.3Hz),2.61(2H,t,J=5.5Hz),2.99(2H,t,J=5.5Hz),3.02(2H,dd,J=6.1Hz,1.2Hz),3.07(4H,t,J=7.3Hz),6.00(2H,dt,J=15.9Hz,6.1Hz),6.26(1H,d,J=15.9Hz),7.11(2H,d,J=8.5Hz),7.23(1H,d,J=7.3Hz),7.37(2H,d,J=8.2Hz),7.47(1H,dd,J=8.5Hz,7.3Hz),7.54(1H,dd,J=7.6Hz,J=7.6Hz),8.24(1H,dd,J=7.3Hz,J=0.9Hz),8.37(1H,d,J=8.5Hz)
【0027】
【試験例1】
実施例1〜7で得られた本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体について、抗菌活性試験を行った。
化合物 (1):N−(2−シンナミルアミノエチル)−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (2):N−(2−シンナミルアミノエチル)−2−ナフタレンスルフォンアミド塩酸塩
化合物 (3):N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジメチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (4):N−(2−シンナミルアミノエチル)−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (5):N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−1−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (6):N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−2−ナフタレンスルフォンアミド
化合物 (7):N−〔2−(p−ブロモシンナミルアミノ)エチル〕−5−ジブチルアミノ−1−ナフタレンスルフォンアミド
【0028】
本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体の抗菌活性試験は、田中信夫、中村昭四郎の方法に従って測定した〔抗生物質大要、化学と生物活性、第4版、東京大学出版会、p17(感受性ディスク法)、1992年〕。すなわち、ジメチルスルフォキシドを溶媒として、 10mg/mlの濃度となるように調製した上記の被験化合物を8mm径のペーパーディスク当たり 200μg(20μl)含有させ、表1に示した12種の細菌及び糸状菌を検定プレートに接種して、各々の適温にて培養後、生じた阻止円の大きさを測定した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明のN−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体は、広範囲の抗菌スペクトルを有するので、抗菌剤、抗カビ剤、あるいは除草剤の有効成分として有用である。
Claims (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25875494A JP3573364B2 (ja) | 1994-09-28 | 1994-09-28 | 新規なn−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25875494A JP3573364B2 (ja) | 1994-09-28 | 1994-09-28 | 新規なn−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0892199A JPH0892199A (ja) | 1996-04-09 |
JP3573364B2 true JP3573364B2 (ja) | 2004-10-06 |
Family
ID=17324630
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25875494A Expired - Fee Related JP3573364B2 (ja) | 1994-09-28 | 1994-09-28 | 新規なn−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3573364B2 (ja) |
-
1994
- 1994-09-28 JP JP25875494A patent/JP3573364B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0892199A (ja) | 1996-04-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP0208210B1 (en) | Pyridonecarboxylic acid derivatives and process for their preparation | |
TW201725207A (zh) | 一種btk激酶抑制劑的結晶形式及其製備方法 | |
HUT72110A (en) | 3,5-disubstituted tetrahydrofuran-2-one | |
IL124337A (en) | Pyrido-oxazine derivatives, pharmaceutical preparations containing them and a method for their preparation | |
JP2021513982A (ja) | P300/cbp hat阻害剤及びそれらの使用の方法 | |
JP2601008B2 (ja) | ナフチルオキサゾリドン誘導体、その製法及びその合成中間体 | |
JP2018535260A (ja) | キナーゼ阻害剤およびその中間体の調製方法 | |
EA008801B1 (ru) | Получение арилалкилкарбаматных производных и их применение в терапии | |
EP3821947A1 (en) | Heterocyclic trpml1 agonists | |
WO2010137620A1 (ja) | フェノキシエチルアミン誘導体 | |
RU2137769C1 (ru) | Способ получения эпоксида | |
EP0443498A1 (en) | Isoindoline derivatives | |
CH639078A5 (fr) | Amides derives d'acides carboxyliques-5 pyrimidiniques, leur preparation et medicaments les contenant. | |
JP4486892B2 (ja) | ペプチドデホルミラーゼ阻害剤 | |
KR100814092B1 (ko) | 히스톤 디아세틸라제 저해활성을 갖는 알킬카바모일나프탈렌일옥시 옥테노일 하이드록시아마이드 유도체, 이의제조방법 및 이를 유효성분으로 하는 항암제용 약학조성물 | |
JP3573364B2 (ja) | 新規なn−(2−シンナミルアミノエチル)ナフタレンスルフォンアミド誘導体 | |
US20060229341A1 (en) | Peptide deformylase inhibitors | |
HU197723B (en) | Process for production of derivatives of substituated amin-methil-5,6,7,8-tetrahydro-oxi-acetic acid and medical preparatives containing them | |
US5106854A (en) | Quinolinecarboxylic acids | |
EP1630159A1 (en) | 5-HT7 receptor antagonists | |
EP4301746A1 (en) | Diazepine derivatives useful in the treatment of clostridium difficile | |
US5440036A (en) | 1,4-benzoxazine derivatives | |
CA2012569A1 (en) | Benzothiopyranylamines | |
HRP980291A2 (en) | Crystalline roxifiban | |
CA2084162A1 (en) | Quinolylmethoxyphenyl-acetamides |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040623 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040625 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |