JP3568351B2 - プラズマ式溶融炉の再起動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ごみ焼却炉から排出される焼却灰や建設廃材などの固体廃棄物を無害加、減容化を目的として加熱溶融するプラズマ式溶融炉における再起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のツイントーチ式あるいは3本以上のプラズマトーチを有するプラズマ式溶融炉は、炉本体の底部にベースメタルを収容し、炉本体の天壁部に複数のプラズマトーチをベースメタルに接近自在に垂下し、ベースメタルとプラズマトーチの間にプラズマアークを発生させることにより、ベースメタル上に投入される焼却灰や廃棄物を加熱溶融し、溶融スラグをオーバーフローさせて冷却水槽に投入し、水砕スラグを形成することにより焼却灰や廃棄物の無害加、減容化を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このプラズマ式溶融炉の立ち上げ(起動)は、炉本体の底部にベースメタルとなる鉄片を投入し、この鉄片とプラズマトーチとの間にプラズマアークを発生されて加熱溶融しベースメタルを形成した後、灰や廃棄物を投入している。
【0004】
しかし、運転停止後のベースメタルおよび溶融スラグは炉本体が冷えることにより凝固し、凝固したベースメタル上に固化スラグ層が形成される。このスラグは溶融状態では導電性を有するが、固化すると導電性が無くなる。そのため、再立ち上げ(再起動)を行う際に、プラズマアークの形成ができず、再起動が困難となるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決して、残留固化したスラグ層があっても容易に再起動可能なプラズマ式溶融炉の再起動方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、炉底部にベースメタルを収容するとともに、炉天部から陰極トーチと陽極トーチからなる複数のプラズマトーチがベースメタルに接近して垂下され、ベースメタルとプラズマトーチとの間でプラズマアークを発生させてベースメタル上に投入された灰や廃棄物を加熱溶融しスラグを生成するプラズマ式溶融炉を停止後に再起動するに際し、ベースメタル上で固化したスラグ層上の陰極トーチと陽極トーチの間に、前記陰極トーチと陽極トーチの電極間距離L(m)に対して、10×L(kg)以上で30×L(kg)以下の粒状カーボンを投入した後、プラズマトーチに電圧を印加してプラズマアークを形成するものである。
【0007】
上記構成によれば、固化スラグ層上に投入した粒状カーボンにより導電性のある粒状カーボン層を形成し、プラズマトーチと粒状カーボン層との間にプラズマアークを容易に安定して形成することができ、このプラズマアークにより固化スラグ層およびベースメタルを再溶融してプラズマアアークを安定して継続させることができ、溶融炉の再起動を確実に行うことができる。また粒状カーボンとすることで、安価で運転コストも小さく、炉内への投入や取り扱いも容易で、また運転に及ぼす影響も小さい。さらに粒状カーボンの投入量を、陰極トーチと陽極トーチの電極間の距離L(m)に対して、10×L(kg)以上で30×L(kg)以下とすることにより、起動時のプラズマアークの途切れや断続状態もなくなり、また投入された粒状カーボンが炉内に残留する量をわずかにすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
ここで、本発明に係るプラズマ式灰溶融炉の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0013】
図1,図2に示すように、架台1上には、支持ピン2aを中心に傾動シリンダ2bにより傾動可能なベースメタル排出用傾動装置2を介して炉本体3が配設されている。この炉本体3の底壁部3aには、ベースメタル4を収容するメタル収容部5が形成されている。また。炉本体3の傾動シリンダ2b側の前壁部3bには、炉本体3のベースメタル4上に焼却灰Aを投入する灰供給口6が形成され、この灰供給口6の入口に臨んで灰供給ホッパ7と灰プッシャー8とが設けられている。また炉本体3の支持ピン2a側の後壁部3cには、ベースメタル4上で溶融された溶融スラグFSを排出するスラグ排出通路9が形成され、スラグ排出通路9下部に溶融スラグFSを水冷して水砕スラグWSを生成するスラグ冷却装置11が配設されている。12はスラグ排出通路9の入口に設けられた排出堰9aに対向して配置された予熱バーナである。
【0014】
炉本体3の上部は水冷ジャケット13で覆われると共に、天壁部3dにたとえば2個のトーチ挿入口14A,14Bが前後方向に所定距離離れて形成され、灰供給口6側のトーチ挿入口14Aにプラズマトーチである陽極トーチ15Aが、スラグ排出通路9側のトーチ挿入口14Bにプラズマトーチである陰極トーチ15Bが垂下されている。これら両プラズマトーチ15A,15Bには安価なカーボン電極が使用され、下端部の消耗に対応して下降させベースメタル4または溶融スラグFSとの距離を所定に保持するトーチ昇降装置16にそれぞれ支持されている。さらに両プラズマトーチ15A,15Bには直流電源装置17が接続されるとともに、作動ガス供給装置18が接続され、両プラズマトーチ15A,15B内を通して炉本体3内に作動ガス(たとえば窒素ガス)を供給するように構成されている。19は一方の側壁部3eに形成された排ガス口で、排ガス処理装置に接続される。
【0015】
また炉本体3の天壁部3dには、再起動時に固化したスラグ層CS上に粒状カーボンCを投入する導電体供給装置21が配設されている。この導電体供給装置21は、側壁部3e寄りでトーチ挿入口14A,14Bの間にプラズマトーチ15A,15Bの下端中央部に向くように傾斜して貫設された導電体供給ノズル21aと、この導電体供給ノズル21aの上端部に投入バルブ21bを介して配設された導電粒体ホッパー21cとで構成される。
【0016】
上記構成において、炉の運転を停止した後、再起動する場合、凝固ベースメタル4上に溶融スラグが固化して固化スラグ層CSが形成されており、トーチ昇降装置16によりプラズマトーチ15A,15Bをそれぞれ少し上昇させた後、導電体供給装置21の投入バルブ21bを開けて炉本体1内に粒状カーボンCを所定量投入し、プラズマトーチ15A,15B間の固化スラグ層CS上に堆積させて粒状カーボン層Cを形成する。そして作動ガス供給装置18からプラズマトーチ15A,15Bを介して炉本体3内に作動ガスを供給するとともに、直流電源装置17からプラズマトーチ15A,15Bに起動電圧を印加して粒状カーボン層Cとプラズマトーチ15A,15Bの間にプラズマアークを発生させ、この熱により固化スラグ層CSを加熱溶融させさらにベースメタル4を溶融させる。
【0017】
上記再起動における粒状カーボンの適正使用量は、上記灰溶融炉を使用して実験した結果、粒状カーボンCの投入量とカーボン残量の関係(図3に示す)が明瞭となった。このグラフの縦軸には、再起動10時間後の炉本体3内のカーボンの残留量が示され、横軸には、電極間距離Lの1m当りの粒状カーボンの投入量が示されている。ここで投入量が少ない3kg/mのa点では、プラズマアークが発生せず、点火できなかった。また投入量6kg/mのb点では、プラズマアークは発生するが不安定で断続し、途中でプラズマアークが消失した。投入量10kg/mのc点および投入量17kg/mのd点では、プラズマアークが良好に発生して再起動がスムーズに行えた。さらに投入量33kg/mのe点では、プラズマアークが良好に発生して再起動がスムーズに行えたが、再起動10時間後にカーボンの残留物が固形物の状態で投入量の約10%程度あるのが確認された。さらにまたf点では、再起動がスムーズであるが、10時間後のカーボン残留量が固形物の状態で投入量の約75%程度あるのが確認された。
【0018】
したがって、粒状カーボンCの投入量は、電極間距離1m当り10〜30kgが適正量であり、この範囲ではプラズマアークが良好に発生して再起動がスムーズに行える。しかし、粒状カーボンCの投入量が10kg未満では、プラズマアークが不安定でプラズマアークが消失しやすい。また、粒状カーボンCの投入量が30kg以上になると、粒状カーボンCがプラズマトーチ15A,15B間ばかりでなく炉全体に広がり、理由はよく分からないが、再起動した時にスラグ層が溶融してもカーボンが溶融せずに溶融スラグ層上部に粒状カーボン層ができ、その上に投入された灰がこのカーボン層に載って溶融しない現象が発生するためである。さらに粒状カーボンCの投入量が65kgを越えると、炉本体3内に固形物の状態で残留するカーボン量が著しく増大する。
【0019】
上記実施の形態によれば、導電性のない固化スラグ層CS上に所定量の粒状カーボンCを投入して導電性のある粒状カーボン層Cを形成し、プラズマトーチ15A,15Bとこの粒状カーボン層Cとの間にプラズマアークを形成するので、プラズマアークを容易に安定して形成することができ、この熱によりその周囲の固化スラグ層CSおよび凝固ベースメタル4を溶融してさらに導電性を改善し、再起動を確実に行うことができる。
【0021】
【発明の効果】
以上に述べたごとく本発明によれば、固化スラグ層上に投入した粒状カーボンにより導電性のある粒状カーボン層を形成し、プラズマトーチと粒状カーボン層との間にプラズマアークを容易に安定して形成することができ、このプラズマアークにより固化スラグ層およびベースメタルを再溶融してプラズマアアークを安定して継続させることができ、溶融炉の再起動を確実に行うことができる。また粒状カーボンとすることで、安価で運転コストも小さく、炉内への投入や取り扱いも容易で、また運転に及ぼす影響も小さい。さらに粒状カーボンの投入量を、陰極トーチと陽極トーチの電極間の距離L(m)に対して、10×L(kg)以上で30×L(kg)以下とすることにより、起動時のプラズマアークの途切れや断続状態もなくなり、また投入された粒状カーボンが炉内に残留する量をわずかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る灰溶融炉の実施の形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すI−I断面図である。
【図3】粒状カーボン投入量と10時間後のカーボン残留量を示すグラフである。
【符号の説明】
3 炉本体
3d 天壁部
4 ベースメタル
6 灰供給口
9 スラグ排出通路
14A,14B トーチ挿入口
15A プラズマトーチ(陽極トーチ)
15B プラズマトーチ(陰極トーチ)
16 トーチ昇降装置
21 導電体供給装置
21a 導電体供給ノズル
21b 投入バルブ
21c 導電粒体ホッパ
A 灰
FS 溶融スラグ
CS 固化スラグ層
C 粒状カーボン(粒状カーボン層)
Claims (1)
- 炉底部にベースメタルを収容するとともに、炉天部から陰極トーチと陽極トーチからなる複数のプラズマトーチがベースメタルに接近して垂下され、ベースメタルとプラズマトーチとの間でプラズマアークを発生させてベースメタル上に投入された灰や廃棄物を加熱溶融しスラグを生成するプラズマ式溶融炉を停止後に再起動するに際し、
ベースメタル上で固化したスラグ層上の陰極トーチと陽極トーチの間に、前記陰極トーチと陽極トーチの電極間距離L(m)に対して、10×L(kg)以上で30×L(kg)以下の粒状カーボンを投入した後、プラズマトーチに電圧を印加してプラズマアークを形成することを特徴とするプラズマ式溶融炉の再起動方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP05970597A JP3568351B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | プラズマ式溶融炉の再起動方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05970597A JP3568351B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | プラズマ式溶融炉の再起動方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10253266A JPH10253266A (ja) | 1998-09-25 |
JP3568351B2 true JP3568351B2 (ja) | 2004-09-22 |
Family
ID=13120908
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP05970597A Expired - Lifetime JP3568351B2 (ja) | 1997-03-14 | 1997-03-14 | プラズマ式溶融炉の再起動方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4095774B2 (ja) * | 2001-01-22 | 2008-06-04 | 三菱重工業株式会社 | プラズマ灰溶融炉の再起動方法 |
JP4446429B2 (ja) * | 2003-02-25 | 2010-04-07 | 財団法人電力中央研究所 | 廃棄物処理用プラズマ溶融処理装置の運転方法 |
-
1997
- 1997-03-14 JP JP05970597A patent/JP3568351B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH10253266A (ja) | 1998-09-25 |
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