[go: up one dir, main page]

JP3568054B2 - ポリフェニレンスルフィドの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィドの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3568054B2
JP3568054B2 JP33755794A JP33755794A JP3568054B2 JP 3568054 B2 JP3568054 B2 JP 3568054B2 JP 33755794 A JP33755794 A JP 33755794A JP 33755794 A JP33755794 A JP 33755794A JP 3568054 B2 JP3568054 B2 JP 3568054B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mol
reaction
polymerization
alkali metal
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP33755794A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08183858A (ja
Inventor
道寿 宮原
浩幸 佐藤
義克 佐竹
Original Assignee
呉羽化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 呉羽化学工業株式会社 filed Critical 呉羽化学工業株式会社
Priority to JP33755794A priority Critical patent/JP3568054B2/ja
Priority to CA002165594A priority patent/CA2165594C/en
Priority to EP95309467A priority patent/EP0720998B1/en
Priority to DE69520202T priority patent/DE69520202T2/de
Publication of JPH08183858A publication Critical patent/JPH08183858A/ja
Priority to US08/888,599 priority patent/US5744576A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3568054B2 publication Critical patent/JP3568054B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G75/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing sulfur with or without nitrogen, oxygen, or carbon in the main chain of the macromolecule
    • C08G75/02Polythioethers
    • C08G75/0204Polyarylenethioethers
    • C08G75/025Preparatory processes
    • C08G75/0254Preparatory processes using metal sulfides

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記)の製造方法に関し、さらに詳しくは、高分子量かつ粒状のPPSを短時間に効率よく、しかも高収率で製造する方法に関する。また、本発明は、PPSを工業的規模で安全かつ経済的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
PPSは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械的強度、電気的特性、寸法安定性等に優れたエンジニアリングプラスチックであり、射出成形、押出成形、圧縮成形等の各種成形法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であるため、電気・電子機器、自動車機器等の広範な分野において幅広く用いられている。
【0003】
PPSの製造方法として、特公昭45−3368号には、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒中で、硫化ナトリウム等のアルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼン等のジハロ芳香族化合物とを反応させる方法が提案されている。しかしながら、該公報に開示された方法では、低分子量で溶融粘度が小さいPPSしか得ることができない。このような低分子量PPSは、重合後、空気の存在下で加熱し、酸化硬化(キュアー)すれば高分子量化することができるが、得られた硬化PPSは、機械的物性が不十分であり、しかも線状ではないため、シート、フィルム、繊維などに成形加工することが困難である。
【0004】
近年、重合時に高分子量のPPSを得るために、前記方法を改善した各種の製造方法が提案されされている。PPSの重合方法の改善手段として、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させるに際し、各種の重合助剤を添加する方法が提案されている。例えば、重合助剤として、アルカリ金属カルボン酸塩(特公昭52−12240号)、芳香族カルボン酸のアルカリ土類金属(特開昭59−219332号)、アルカリ金属ハライド(米国特許第4,038,263号)、脂肪族カルボン酸のナトリウム塩(特開平1−161022号)などを使用する方法が提案されている。
【0005】
これらの方法によれば、重合により線状で高分子量のPPSを得ることができるが、比較的多量の重合助剤を添加しなければならない。前記各文献には、重合助剤の添加量について、少量から多量までの幅広い範囲が示されているが、十分に高分子量のPPSを得るには、比較的多量の重合助剤の添加が必要である。しかも、より高分子量のPPSを得るためには、重合助剤のなかでも高価な酢酸リチウムや安息香酸ナトリウムを多量に使用することが必要であり、そのため、重合助剤の回収に多大のコストがかかり、工業的規模での生産方法として望ましいものではない。
【0006】
これに対して、特公昭63−33775号には、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPPSを得る方法において、特定の二段階重合法を採用することが提案されている。即ち、該公報には、前段重合工程として、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.4モルの水が存在する状態で、180〜235℃の温度で反応させて、ジハロ芳香族化合物の転化率を50〜98モル%として低粘度のプレポリマーを生成させた後、後段重合工程として、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.5〜7モルの水が存在する状態となるように反応系に水を添加するとともに、245〜290℃の温度に昇温して、反応を継続する二段階重合法が提案されている。
【0007】
この二段階重合法によれば、重合助剤を添加しなくとも、高分子量のPPSを得ることができる。しかしながら、この方法では、前段重合工程での重合温度が低いため、比較的長時間の重合時間が必要である。重合時間を短縮するために、前段重合工程の重合温度を高くすると、急激な発熱反応の進行に伴い望ましくない副反応が生じ、生成ポリマー及び溶媒の変質が起こり易く、ポリマー品質が低下したりする等の問題を引き起こす。また、前段重合工程の重合温度を高くすると、反応が暴走して、急激な反応缶内圧力の上昇を引き起こす危険性が大きい。後段重合工程では、比較的低温で水を添加するため、反応系の温度が急に低下して、生成したプレポリマーが析出し、その結果、反応速度が低下したり、重合反応が不均一になる等の問題点がある。したがって、高分子量かつ粒状のPPSを短時間に効率よく高収率で製造するためのより改善された方法が強く望まれている。
【0008】
特開平4−255721号には、有機極性溶媒中でアルカリ金属硫化物等の硫黄源とポリハロゲン化芳香族化合物とを反応させてPPSを得る方法において、反応溶液を220℃以下の温度から260℃以上に昇温する時に、硫黄源中のS(硫黄原子)1モル当たり0.3モル未満の水とアルカリ金属カルボン酸塩の存在下、平均して0.5℃/分以下の昇温速度で反応を行なう方法が提案されている。しかしながら、この方法では、重合助剤として多量のアルカリ金属カルボン酸塩を使用する必要があり、しかも水を硫黄源中の硫黄原子1モル当たり0.3モル未満にしなければならないため、脱水時のエネルギーコストが高くなり、かつ脱水時間が長くなる等問題点が多い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高分子量かつ粒状のポリフェニレンスルフィドを短時間に効率よく、しかも高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、白色度に優れた高品位のポリフェニレンスルフィドの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、特定の二段階重合法によりPPSを製造する方法において、前段重合工程における重合反応を170〜270℃の温度範囲で行うとともに、220〜240℃の間を平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応させることにより、急激な発熱反応を抑制しながら、全体の重合時間を大幅に短縮することができ、高分子量かつ粒状のPPSを高収率で得られることを見いだした。本発明の方法によれば、重合条件を選択することにより、従来よりも白色度の高いPPSを得ることが可能である。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0010】
【問題を解決するための手段】
本発明によれば、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法において、該反応を少なくとも下記の工程1及び2により行うことを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法が提供される。
【0011】
(1)工程1:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの水を含有する有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度範囲内で反応させ、その際、少なくとも220℃から240℃までの間を平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応させ、さらに必要に応じて240〜270℃の温度範囲内で反応を継続して、ジハロ芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるようにし、ポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
(2)工程2:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.1〜10モルの水が存在する状態となるように、反応系に水を少なくとも235℃以上の温度で添加するとともに、245〜290℃の温度範囲内で0.5〜10時間反応を継続して、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換する工程。
【0012】
以下、本発明について詳述する。
アルカリ金属硫化物
本発明で使用されるアルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、及びこれらの2種以上の混合物を好ましいものとして挙げることができる。特に好ましいものは、硫化ナトリウムである。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系においてin situで調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。
本発明では、仕込みアルカリ金属硫化物の量は、脱水操作などにより反応開始前にアルカリ金属硫化物の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
【0013】
ジハロ芳香族化合物
本発明で使用されるジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼンなどのジハロベンゼン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基をも含むジハロ芳香族化合物などが挙げられる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロベンゼンを主成分にするジハロ芳香族化合物が好ましい。特に好ましくは、p−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものである。また、異なる2種以上のジハロ芳香族化合物を組み合わせて、共重合体とすることも可能である。
【0014】
分子量調節剤、分岐・架橋剤
生成重合体の末端を形成させ、あるいは重合反応や分子量を調節する等のために、モノハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)を併用することができる。また、分岐または架橋重合体を形成させるために、トリハロ以上のポリハロ化合物(必ずしも芳香族化合物でなくともよい)、活性水素含有ハロゲン芳香族化合物、ハロゲン芳香族ニトロ化合物等を併用することも可能である。
【0015】
重合溶媒
本発明では、重合溶媒として有機アミド溶媒を使用する。有機アミド溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン等のN−アルキルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム等のカプロラクタム類、1,3−ジアルキル−2−イミダゾリジノン、テトラアルキル尿素、ヘキサアルキル燐酸トリアミド等、に代表されるアプロチック有機アミド溶媒、及びこれらの混合物等が、反応の安定性が高いために好ましい。これらの中でもN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記)は、特に好ましい。
本発明における重合溶媒の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.2〜1kgの範囲が好ましい。
【0016】
重合助剤
本発明では、必要に応じて反応を促進させ、高重合度のPPSをより短時間で得るために、重合助剤を用いることができる。重合助剤の具体例としては、一般にPPSの重合助剤として知られているアルカリ金属カルボン酸塩、ハロゲン化リチウム等を挙げることができる。特に好ましいものは、アルカリ金属カルボン酸塩である。重合助剤の使用量は、比較的少量でよい。
【0017】
アルカリ金属カルボン酸塩は、一般式R(COOM)(式中、Rは、炭素数1〜20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、またはアリールアルキル基である。Mは、リチリウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムから選ばれるアルカリ金属である。nは、1〜3の整数である。)で表される化合物である。アルカリ金属カルボン酸塩は、水和物または水溶液としても用いることができる。アルカリ金属カルボン酸塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、吉草酸リチリウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、p−トルイル酸カリウム、及びそれらの混合物などを挙げることができる。アルカリ金属カルボン酸塩は、有機アミド溶媒中で、有機酸と、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属塩、及び重炭酸アルカリ金属塩よりなる群から選ばれる一種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して、反応させることにより形成させてもよい。アルカリ金属カルボン酸塩の中でも、安価で入手し易いことから、特に、酢酸ナトリウムが好ましく用いられる。
【0018】
これら重合助剤の使用量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対し、通常、0.02モル以上、好ましくは0.02〜0.2モル、より好ましくは0.03〜0.15モル、特に好ましくは0.04〜0.10モルである。0.02モル未満では、効果が不十分であり、0.2モル超過では、経済的に不利益である。これら重合助剤は、少なくとも後段重合工程(工程2)における反応系に含有されていればよい。したがって、その添加時期は、前段重合開始前の脱水工程の前か、前段重合開始時から後段重合途中の間、あるいはこれらの任意の組合せの時期でよい。
【0019】
重合安定剤
重合反応系を安定化し、副反応の防止を目的として重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制する。副反応の一つの目安としてチオフェノールの生成が挙げられる、重合安定剤の添加によりチオフェノールの生成を抑えることができる。重合安定剤の具体例としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩などの化合物が挙げられる。そのなかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化リチウムなどのアルカリ金属水酸化物が好ましい。前述のアルカリ金属カルボン酸塩も重合安定剤として作用するので、本発明で使用する安定剤の一つに入る。
【0020】
これら重合安定剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。重合安定剤は、仕込みアルカリ金属硫化物1モルに対して、通常、0.05〜0.2モル、好ましくは0.055〜0.1モル、より好ましくは0.06〜0.09モルの割合で使用する。この割合が少ないと安定化効果が不十分であり、逆に多すぎても経済的に不利益であったり、粒状ポリマー収率が低下するので好ましくない。重合安定剤の添加時期は、前段重合開始前の脱水工程の前か、前段重合開始時から後段重合途中の間、あるいはこれらの任意の組合わせの時期でよい。好ましくは脱水工程の前あるいは前段重合開始時である。
なお、脱水操作時にアルカリ金属硫化物の一部が分解して、硫化水素が発生する場合、その結果、生成したアルカリ金属水酸化物も重合安定剤となり得る。
【0021】
重合反応
本発明では、有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてPPSを製造する方法において、該反応を少なくとも下記の工程1及び2で行なう。前処理工程や後処理工程等の付加的な工程があってもよい。
【0022】
<工程1>
工程1(前段重合工程)では、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの水を含有する有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度範囲内で反応させ、その際、少なくとも220℃から240℃までの間を平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応させ、さらに必要に応じて240〜270℃の温度範囲内で反応を継続して、ジハロ芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるようにし、PPSのプレポリマーを生成させる。
【0023】
工程1を開始するに際し、望ましくは不活性ガス雰囲気下、常温〜220℃、好ましくは100〜220℃の温度範囲で、有機アミド溶媒にアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を加える。これらの原料の仕込み順序は、順不同であってもよく、同時でもさしつかえない。アルカリ金属硫化物は、通常、水和物の形で使用されるが、その含有水量が仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5モルより少ない場合には、必要量を添加して補充する。アルカリ金属硫化物の含有水量が多すぎる場合には、ジハロ芳香族化合物を添加する前に、有機アミド溶媒とアルカリ金属化合物を含む混合物を昇温し、過剰量の水を系外に除去する。この操作により水を除去し過ぎた場合には、不足分を添加して補充する。
【0024】
工程1における反応系の共存水量は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モル、好ましくは1.0〜1.9モルの範囲である。共存水量が0.5モル未満では、生成PPSの分解等の望ましくない反応が起こり易く、逆に、2.0モルを超過すると、重合速度が著しく小さくなったり、有機アミド溶媒や生成PPSの分解が生じ易くなるので、いずれも好ましくない。
重合は、170〜270℃、好ましくは180〜265℃の温度範囲内で行なわれる。重合温度が低すぎると、重合速度が遅くなり過ぎ、逆に、270℃を越える高温になると、生成PPSと有機アミド溶媒が分解を起こし易く、生成するPPSの重合度が極めて低くなる。
【0025】
本発明の方法では、220℃から240℃までの間を連続的に限定された速度で昇温する。即ち、220℃から240℃までの温度範囲は、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物との反応が急激に起こり、反応熱の発生量が非常に大きくなるため、制御された速度で昇温する。より具体的には、平均して0.1〜1℃/分、好ましくは0.15〜0.6℃/分、より好ましくは0.2〜0.5℃/分の昇温速度で昇温する。昇温速度が0.1℃/分以下では、反応時間が長くなり効率的でなく、1℃/分超過では、急激な発熱反応が起こるので、いずれも好ましくない。
【0026】
ここで、連続的に昇温するとは、二段階以上の多段階的に昇温する場合をも含むものとする。段階的に昇温する場合には、急激な発熱反応を避けるために、好ましくは三段階以上、より好ましくは四段階以上の多段階で昇温することが好ましい。反応操作上は、一定の昇温速度で連続昇温することが特に好ましい。
170〜220℃までの昇温速度は、任意であるが、急激な反応を避けるために、1℃/分以下の昇温速度で昇温することが好ましい。また、240℃まで連続的に昇温した後、必要に応じて240〜270℃の温度範囲内で反応を継続することができるが、240℃超過の温度にまで昇温する場合には、急激な反応を避けるために、1℃/分以下の昇温速度で昇温することが好ましい。
170〜220℃の温度範囲では、ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率を通常0〜45%、好ましくは20〜40%、より好ましくは25〜35%とする。220℃に昇温後、240℃まで連続的に昇温する際のジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は、通常60〜90%、好ましくは70〜85%になるように反応させることが望ましい。これらの反応率の設定によって、より安定した反応を行なうことができる。
【0027】
ジハロ芳香族化合物の使用量(仕込み量)は、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり、通常0.9〜2.0モル、好ましくは0.95〜1.5モルの範囲とすることが、高分子量のPPSを得るのに望ましい。この使用割合が0.9モル未満または2.0モル超過の場合には、加工に適した高粘度(高重合度)のPPSを得ることが困難となるので好ましくない。
工程1から工程2に切り換える時点は、系内のジハロ芳香族化合物の転化率が70〜98モル%に達した時点である。転化率が70モル%未満では、工程2における後段重合の際、分解等の望ましくない反応が起こり易く、逆に、転化率が98モル%を超過すると、後段重合を行なっても高重合度のPPSを得難い。転化率を85〜95モル%程度とすることが、安定的に高重合度のPPSが得られるので好ましい。
【0028】
ここで、ジハロ芳香族化合物(DHAと略記)の転化率は、以下の式で算出した値である。DHA残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ジハロ芳香族化合物をアルカリ金属硫化物に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率=〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)−DHA過剰量(モル)〕
(b)上記(a)以外の場合
転化率=〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕
【0029】
ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率とは、アルカリ金属硫化物の2倍のモル数に対する生成ハロゲン塩のモル数の割合である。生成ハロゲン塩のモル数は、例えば、硝酸銀滴定法によって求めることができる。
工程1では、通常、溶融粘度(310℃、剪断速度1200/secで測定)が0.1〜30Pa・s程度の比較的低分子量のPPSが生成する。そこで、この段階で生成するPPSをプレポリマーと称する。
【0030】
<工程2>
工程2(後段重合工程)では、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.1〜10モルの水が存在する状態となるように反応系に水を添加し、かつ、245〜290℃の温度範囲内で0.5〜10時間反応を継続し、ジハロ芳香族化合物の転化率を上昇させるとともに、工程1で生成したPPSプレポリマーを高分子量PPSに転換する。本発明では、少なくとも後段重合時に、反応系にアルカリ金属カルボン酸塩等の重合助剤を仕込むことが、それによって、重合時間をさらに短縮できたり、高重合度化が可能となるため、好ましい。
【0031】
工程2において、反応系中の共存水量が2.1モル未満または10モル超過になると、生成PPSの重合度が低下する。特に、共存水量が2.2〜7モルの範囲で後段重合を行なうと、高重合度のPPSが得られ易いので好ましい。工程2での重合温度が245℃未満では、高重合度のPPSが得られにくく、290℃を越えると、生成PPSや有機アミド溶媒が分解するおそれがある。特に、250〜270℃の温度範囲が高重合度のPPSが得られ易いので好ましい。本発明における後段重合工程は、前段重合工程で生成したPPSプレポリマーの単なる分別・造粒の工程ではなく、PPSプレポリマーの重合度の上昇を起こさせるためのものである。
【0032】
工程2の重合時間は、0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間、より好ましくは1〜5時間である。後段重合工程での重合時間が短過ぎると、低重合度のPPSしか得られず、逆に、長過ぎても生成PPSや有機アミド溶媒の分解が起こり易くなる。前段重合工程から後段重合工程への切り換えは、前段重合工程で得られたスラリーを別の反応容器に移して後段重合工程の条件にして行なってもよいし、前段重合工程と後段重合工程とを同一の反応容器中で重合条件を変更することによって行なってもよい。水を添加する時期は、前段重合工程の後、反応系を後段重合工程の温度にする直前でもよいし、あるいは後段重合工程の温度にしてからでもよいが、その後、0.5時間以上重合を続けることが望まれる。
本発明の二段階工程による重合反応により、通常1Pa・s以上、好ましくは30〜100Pa・s、場合によっては、それ以上の溶融粘度(310℃、剪断速度1200/secで測定)を有する高分子量PPSを得ることができる。
【0033】
後処理
本発明の重合方法における後処理は、常法によって行なうことができる。例えば、後段重合反応の終了後、冷却した生成物スラリーをそのまま、あるいは水分などで稀釈してから濾別し、水洗濾過を繰り返して乾燥することにより、PPSを得ることができる。
生成物スラリーは、高温状態のままでポリマーを篩分してもよい。また、上記濾別・篩分後、PPSを重合溶媒と同じ有機アミド溶媒やケトン類、アルコール類等の有機溶媒、及び高温水で洗浄処理してもよい。PPSを酸や塩化アンモニウムのような塩で処理することもできる。
【0034】
生成PPS
本発明の方法により、平均粒径150〜3000μmで、計量等の各種取り扱いや成形加工が容易な粒状PPSが収率よく得ることができる。本発明の方法により得られるPPSは、直鎖状に高分子量化されているので、射出成形品のみならず、押出成形により、シート、フィルム、繊維、パイプ等の押出成形品に成形することができる。また、本発明の方法により、白色度に優れ、調色が容易な高品位のPPSを得ることが可能である。本発明の方法により得られるPPSは、単独でも使用できるが、所望により各種無機充填剤、繊維状充填剤、各種合成樹脂を配合して用いてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明についてさらに具体的に説明する。なお、物性の測定は以下の通りである。
(1)粒状ポリマーの収率
重合反応終了後の生成物は、次のように目開きの異なるスクリーンで篩別し、分別した。目開き径150μm(100メッシュ)のスクリーンで捕集したものを「粒状ポリマー」とし、100メッシュを通過したが、目開き径38μm(390メッシュ)のスクリーンで捕集したものを「微粉体」とした。粒状ポリマーと微粉体の収率は、脱水工程後のオートクレーブ中の硫化ナトリウムが全てPPSに転化したと仮定した重量(理論量)を基準とした。硫化ナトリウムがジハロ芳香族化合物よりも過剰に仕込まれた場合は、すべてPPSに転化することはあり得ない場合もあるが、その場合でも一応硫化ナトリウムの量を基準として考えることとする。
(2)ポリマーの白色度
ポリマーの白色度は、YI(黄色度)で表す。YIは、JIS K−7103に準拠して測定する。ポリマー2.2gを内径32mm、高さ5mmのアルミリングに入れ、油圧成形機で圧縮する。このようにして得られたタブレットについて、その表面のYI(黄色度)を色差計で測定する。
【0036】
[実施例1]
20Lのオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)6000g、46.20重量%の硫化ナトリウム(NaS)を含む硫化ナトリウム・5水塩結晶を3800g、及び純度97%の水酸化ナトリウム9.5gを仕込み、窒素ガスで置換後、約3.5時間かけて、撹拌機の回転数を250rpmで撹拌しながら、徐々に200℃まで昇温して、水1542g、NMP1116g、及び0.440モルの硫化水素を留出させた。缶内の硫化ナトリウム(仕込み硫化ナトリウム)は、22.05モルとなり、硫化ナトリウム1モル当たりの水酸化ナトリウムの量は、0.05モルとなった。
【0037】
上記脱水工程の後、170℃まで冷却し、p−ジクロロベンゼン(以下、p−DCBと略記)3371g(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)と、NMP3385g、及び水109gを加えたところ(缶内の合計水量=1.5モル/硫化ナトリウム1モル)、缶内温度は140℃になった。引き続き撹拌機の回転数250rpmで撹拌しながら180℃まで30分かけて昇温し、さらに、180℃から220℃までの間は、60分間かけて昇温した(ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は、29%となった)。次いで、220℃から240℃まで間を60分間かけて連続昇温(平均昇温速度0.33℃/分)した(ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は、78%となった)。さらに、240℃から260℃までの間を30分かけて昇温し(平均昇温速度0.67℃/分)、前段重合を行なった。別途、同じ手順で前段重合を行ない、得られた重合スラリーをサンプリングし、残存p−DCB量をガスクロマトグラフ法によって測定した。そして、前記の転化率の算出式(a)に従って転化率を求めたところ、91.8%であった。
【0038】
前段重合終了後、ただちに撹拌機の回転数を400rpmに上げ、水449gを260℃で圧入した(缶内の合計水量=2.7モル/硫化ナトリウム1モル)。水圧入後、缶内温度は243℃まで低下したが、255℃まで昇温し、その温度で4時間反応させ後段重合を行なった。後段重合時のp−DCBの転化率は、100%であった。前段重合工程における重合温度220℃の時点から後段重合終了までの合計時間は、約6時間であった。
後段重合終了後、反応混合物を室温付近まで冷却してから、内容物を100メッシュのスクリーンで粒状ポリマーを篩別し、アセトン洗いして、さらに水洗を3回行い、洗浄ポリマーを得た。この洗浄ポリマーを2%塩化アンモニウム水溶液に浸漬し、40℃で30分間処理した後、水洗した。粒状ポリマーは、105℃で3時間乾燥した。このようにして得られた粒状PPSポリマーは、平均粒子径528μm、収率81%、溶融粘度64Pa・sであった。このポリマーのYI値は、6であった。
【0039】
[実施例2]
水酸化ナトリウム30.8gをさらに加えた他は実施例1と同様に仕込み、脱水工程を行なったところ、水1603g、NMP1046g、及び0.458モルのHSが留出した。缶内の硫化ナトリウム(仕込み硫化ナトリウム)は、22.04モルとなり、硫化ナトリウム1モルに対する水酸化ナトリウムの量は、0.075モルとなった。次いで、実施例1と同様にして、p−DCB3369g(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP3311g、及び水170gを加えたところ(缶内の合計水量=1.5モル/硫化ナトリウム1モル)、缶内温度は約140℃になった。180℃まで30分かけて昇温し、さらに180℃から220℃までの間を60分間かけて昇温した(ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は、約30%となった)。そして、220℃から240℃までの間を60分間かけて連続昇温(平均昇温速度0.33℃/分)した(ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は、約80%となった)。さらに、240℃から260℃までの間を30分かけて昇温(平均昇温速度0.67℃/分)し、前段重合を行なった。実施例1と同様にして求めた前段重合終了時のp−DCBの転化率は、91.7%であった。
【0040】
前段重合終了後、ただちに撹拌機の回転数を400rpmに上げ、水488gを圧入し(缶内の合計水量=2.8モル/硫化ナトリウム1モル)、265℃に昇温し、2時間反応させ、後段重合を行なった。後段重合時のp−DCBの転化率は、100%であった。前段重合220℃から後段重合終了までの合計温度は約4時間であった。実施例1と同様に生成物を処理し、平均粒子径485μm、溶融粘度49Pa・sの粒状ポリマーを収率92%で得た。このポリマーのYI値は、5であった。
【0041】
[実施例3]
実施例1と同一の処方で仕込み、脱水工程を行なったところ、水1532g、NMP1040g、及び0.481モルのHSが留出した。缶内の有効硫化ナトリウム(仕込み硫化ナトリウム)は、22.01モルとなった。次いで、実施例1と同様にして、p−DCB3365g(1.04モル/硫化ナトリウム1モル)、NMP3294g、及び水99gを加えたところ(缶内の合計水量=1.5モル/硫化ナトリウム1モル)、缶内温度は約140℃になった。180℃まで30分かけて昇温し、さらに180℃から220℃までの間を60分間かけて昇温した(ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は、約30%となった)。そして、220℃から240℃までの間を60分間かけて連続昇温(平均昇温速度0.33℃/分)した(ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率は、約80%となった)。次いで、240℃から260℃までの間を30分かけて昇温し(平均昇温速度0.67℃/分)、前段重合を行なった。前段重合終了時のp−DCBの転化率は、91.7%であった。
【0042】
前段重合終了後、ただちに撹拌機の回転数を400rpmに上げ、酢酸ナトリウム無水物(純度98.5%)183g(0.1モル/硫化ナトリウム1モル)と水448gからなる混合液を圧入し(缶内の合計水量=2.8モル/硫化ナトリウム1モル)、低下した缶内温度を255℃に昇温し、4時間反応させ、後段重合を行なった。後段重合時のp−DCBの転化率は、100%であった。前段重合の220℃から後段重合終了までの合計時間は、約6時間であった。実施例1と同様に生成物を処理し、平均粒子径1630μm、溶融粘度78Pa・sの粒状ポリマーを収率87%で得た。このポリマーのYI値は、7であった。
【0043】
[比較例1]
実施例2と同様に仕込み、脱水工程及び前段重合を行なった。ただし前段重合は、220℃に昇温した後、この温度に保持して行なった。p−DCBの反応率が実施例1と同様の91.8%になるには、4時間30分が必要であった。前段重合終了後、ただちに撹拌機の回転数を400rpmに上げ、水488gを圧入した(缶内の合計水量=2.8モル/硫化ナトリウム1モル)。重合缶内の温度は210℃まで低下した。別の実験から、この水の添加期間中、プレポリマーの析出が観察された。実施例1と単位時間当たり同じ熱量を加えても、210℃から255℃に昇温するのに約1時間かかった。255℃で4時間反応させ、後段重合を行った。後段重合時のp−DCBの転化率は、100%であった。前段重合の220℃から後段重合終了までの合計時間は9時間30分であった。
実施例1と同様に生成物を処理し、平均粒子径550μm、溶融粘度51Pa・sの粒状ポリマーを収率83%で得た。このポリマーのYI値は、13であった。
【0044】
[比較例2]
比較例1と同様にして、仕込み、脱水工程、前段重合、及び後段重合を行なった。ただし、後段重合時間を1時間に短縮した。前段重合の220℃から後段重合終了までの合計時間は6時間30分であった。
実施例1と同様に生成物を処理し、平均粒子径500μm、溶融粘度30Pa・sの粒状ポリマーを収率71%で得た。
【0045】
[比較例3]
比較例1と同様にして、仕込み、脱水工程、及び前段重合を行なった。ただし、重合時間を短縮をするため、前段重合の220℃から240℃までの間を昇温速度2℃/分で昇温した。しかし、途中から急激な発熱反応のため、昇温速度が急に速くなり、反応温度の制御が不可能になった。圧力も急上昇したため、前段重合を緊急停止した。
【0046】
これらの実施例及び比較例の結果から、本発明のように特定の条件下で重合反応を行なうことにより、高分子量かつハンドリング性に優れる粒状ポリマーを短時間(実施例1〜3と比較例1の比較)で高収率(実施例1〜3と比較例2の比較)で製造可能なことがわかる。また、特定量の重合安定剤(実施例2)や重合助剤(実施例3)を用いると、さらに収率が向上し、重合度やポリマー粒子径を大きくすることが可能である。本発明の方法によれば、ポリマーの白色度がより高いポリマーが得られる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、高分子量かつ粒状のPPSを短時間に効率よく、しかも高収率で製造する方法が提供される。したがって、本発明の製造方法は、工業的規模でのPPSの製造方法として好適である。

Claims (4)

  1. 有機アミド溶媒中でアルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させてポリフェニレンスルフィドを製造する方法において、該反応を少なくとも下記の工程1及び2により行うことを特徴とするポリフェニレンスルフィドの製造方法。
    (1)工程1:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.5〜2.0モルの水を含有する有機アミド溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを170〜270℃の温度範囲内で反応させ、その際、少なくとも220℃から240℃までの間を平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温させながら反応させ、さらに必要に応じて240〜270℃の温度範囲内で反応を継続して、ジハロ芳香族化合物の転化率が70〜98モル%になるようにし、ポリフェニレンスルフィドのプレポリマーを生成させる工程、及び
    (2)工程2:仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり2.1〜10モルの水が存在する状態となるように、反応系に水を少なくとも235℃以上の温度で添加するとともに、245〜290℃の温度範囲内で0.5〜10時間反応を継続して、前記プレポリマーを高分子量ポリフェニレンスルフィドに転換する工程。
  2. 工程1において、170〜220℃の温度範囲内でジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率が0〜45%になるよう反応させた後、少なくとも220℃から240℃までの間を平均0.1〜1℃/分の昇温速度で昇温して、ジハロ芳香族化合物のハロゲン基の反応率が60〜90%になるまで反応させる請求項1に記載の製造方法。
  3. 工程1及び工程2の少なくとも一方において、反応系に、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.05〜0.2モルの割合で存在させる請求項1〜2に記載の製造方法。
  4. 工程1及び工程2の少なくとも一方において、反応系に、アルカリ金属カルボン酸塩及びハロゲン化リチウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たり0.02〜0.2モルの割合で存在させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
JP33755794A 1994-12-28 1994-12-28 ポリフェニレンスルフィドの製造方法 Expired - Lifetime JP3568054B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33755794A JP3568054B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 ポリフェニレンスルフィドの製造方法
CA002165594A CA2165594C (en) 1994-12-28 1995-12-19 Process for producing poly (phenylene sulfide)
EP95309467A EP0720998B1 (en) 1994-12-28 1995-12-27 Process for producing poly(phenylene sulfide)
DE69520202T DE69520202T2 (de) 1994-12-28 1995-12-27 Verfahren zur Herstellung von Polyphenylensulfid
US08/888,599 US5744576A (en) 1994-12-28 1997-07-07 Process for producing poly(phenylene sulfide)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33755794A JP3568054B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 ポリフェニレンスルフィドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08183858A JPH08183858A (ja) 1996-07-16
JP3568054B2 true JP3568054B2 (ja) 2004-09-22

Family

ID=18309772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33755794A Expired - Lifetime JP3568054B2 (ja) 1994-12-28 1994-12-28 ポリフェニレンスルフィドの製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US5744576A (ja)
EP (1) EP0720998B1 (ja)
JP (1) JP3568054B2 (ja)
CA (1) CA2165594C (ja)
DE (1) DE69520202T2 (ja)

Families Citing this family (34)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3625569B2 (ja) * 1996-04-16 2005-03-02 出光興産株式会社 ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP2002020488A (ja) * 2000-07-07 2002-01-23 Petroleum Energy Center ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP4894090B2 (ja) * 2001-03-14 2012-03-07 東レ株式会社 ポリフェニレンスルフィドの製造方法および押し出し成形品
JP2002293938A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Petroleum Energy Center ポリアリーレンスルフィドの連続製造方法
JP2002293939A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Petroleum Energy Center ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP4055491B2 (ja) * 2001-07-19 2008-03-05 東ソー株式会社 粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP4039137B2 (ja) * 2001-07-26 2008-01-30 東レ株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂、フィルムおよび繊維の製造方法
KR101131233B1 (ko) * 2002-12-27 2012-03-30 가부시끼가이샤 구레하 폴리아릴렌 술피드 및 그의 제조 방법
JP4777610B2 (ja) * 2003-12-26 2011-09-21 株式会社クレハ ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法
JP4782383B2 (ja) 2004-02-12 2011-09-28 株式会社クレハ ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法
WO2006027985A1 (ja) * 2004-09-06 2006-03-16 Kureha Corporation ポリアリーレンスルフィドの製造方法
US7312300B2 (en) * 2005-02-22 2007-12-25 Chevron Phillips Chemical Company Lp Inferred water analysis in polyphenylene sulfide production
JP4893436B2 (ja) * 2007-04-12 2012-03-07 東ソー株式会社 ポリアリーレンスルフィドの製造方法
EP2308915A4 (en) 2008-07-31 2015-08-05 Kureha Corp METHOD FOR PRODUCING GRANULATED POLYARYLENE SULFIDE
JP5018970B2 (ja) * 2009-08-27 2012-09-05 東レ株式会社 ポリアリーレンスルフィドおよびその製造方法
US9604156B2 (en) 2013-09-25 2017-03-28 Ticona Llc Method and system for separation of a polymer from multiple compounds
US9403948B2 (en) 2013-09-25 2016-08-02 Ticona Llc Salt byproduct separation during formation of polyarylene sulfide
WO2015047721A1 (en) 2013-09-25 2015-04-02 Ticona Llc Scrubbing process for polyarylene sulfide formation
US9587074B2 (en) 2013-09-25 2017-03-07 Ticona Llc Multi-stage process for forming polyarylene sulfides
US9562139B2 (en) 2013-09-25 2017-02-07 Ticona Llc Process for forming low halogen content polyarylene sulfides
US9388283B2 (en) 2013-09-25 2016-07-12 Ticona Llc Method of polyarylene sulfide crystallization
WO2016133739A1 (en) 2015-02-19 2016-08-25 Ticona Llc Method for forming a high molecular weight polyarylene sulfide
WO2016133740A1 (en) 2015-02-19 2016-08-25 Ticona Llc Method of polyarylene sulfide precipitation
JP6803844B2 (ja) 2015-02-19 2020-12-23 ティコナ・エルエルシー 低粘度のポリアリーレンスルフィドを形成する方法
WO2016153610A1 (en) 2015-03-25 2016-09-29 Ticona Llc Technique for forming a high melt viscosity polyarylene sulfide
KR101969258B1 (ko) * 2015-06-12 2019-04-15 가부시끼가이샤 구레하 입상 폴리아릴렌 설파이드를 제조하는 방법, 및 입상 폴리아릴렌 설파이드
US10800884B2 (en) 2017-02-28 2020-10-13 Kureha Corporation Method of producing polyarylene sulfide
KR101977936B1 (ko) 2017-11-30 2019-05-13 한국화학연구원 폴리페닐렌 설파이드의 용액 중합법 및 이로부터 제조된 폴리페닐렌 설파이드 중합체
KR102250242B1 (ko) 2018-07-04 2021-05-10 주식회사 엘지화학 폴리아릴렌 설파이드의 제조 방법
JP2020094147A (ja) * 2018-12-13 2020-06-18 株式会社クレハ ポリアリーレンスルフィドの製造方法
US11407861B2 (en) 2019-06-28 2022-08-09 Ticona Llc Method for forming a polyarylene sulfide
WO2021126543A1 (en) 2019-12-20 2021-06-24 Ticona Llc Method for forming a polyarylene sulfide
CN117916002A (zh) 2021-09-08 2024-04-19 提克纳有限责任公司 从聚芳硫醚废淤浆中回收有机溶剂的萃取技术
CN117916001A (zh) 2021-09-08 2024-04-19 提克纳有限责任公司 从聚芳硫醚废污泥中回收有机溶剂的反溶剂技术

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3354129A (en) * 1963-11-27 1967-11-21 Phillips Petroleum Co Production of polymers from aromatic compounds
JPS453368B1 (ja) * 1964-11-27 1970-02-04
US3919177A (en) * 1973-11-19 1975-11-11 Phillips Petroleum Co P-phenylene sulfide polymers
US4038263A (en) * 1975-05-27 1977-07-26 Phillips Petroleum Company Production of p-phenylene sulfide polymers
JPS5212240A (en) * 1975-07-18 1977-01-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd Process for preparing transparent coating compounds
JPS59219332A (ja) * 1983-05-30 1984-12-10 Dainippon Ink & Chem Inc ポリフェニレンスルフィドの製造方法
US4645826A (en) * 1984-06-20 1987-02-24 Kureha Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Process for production of high to ultra-high molecular weight linear polyarylenesulfides
JPH0717750B2 (ja) * 1986-04-28 1995-03-01 呉羽化学工業株式会社 ポリアリ−レンスルフイドの製造方法
JPS6333775A (ja) * 1986-07-28 1988-02-13 シャープ株式会社 ライトボックス
JPH07121985B2 (ja) * 1986-08-04 1995-12-25 呉羽化学工業株式会社 ポリアリ−レンスルフイドの製造法
JP2575430B2 (ja) * 1987-12-18 1997-01-22 東ソー株式会社 ポリ(p−フェニレンスルフィド)の製造方法
JP2514832B2 (ja) * 1988-05-26 1996-07-10 呉羽化学工業株式会社 ポリアリ―レンスルフィド架橋重合体の製造方法
JP2513513B2 (ja) * 1990-01-19 1996-07-03 呉羽化学工業株式会社 ポリアリ―レンスルフィドの製造方法
JP2924202B2 (ja) * 1991-02-07 1999-07-26 東レ株式会社 ポリアリーレンスルフィドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP0720998B1 (en) 2001-02-28
JPH08183858A (ja) 1996-07-16
DE69520202T2 (de) 2001-06-13
CA2165594C (en) 1999-09-07
US5744576A (en) 1998-04-28
DE69520202D1 (de) 2001-04-05
EP0720998A2 (en) 1996-07-10
EP0720998A3 (en) 1997-10-29
CA2165594A1 (en) 1996-06-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3568054B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドの製造方法
JP5623277B2 (ja) 粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP5731196B2 (ja) 末端ハロゲン基含量が低減されたポリアリーレンスルフィドの製造方法
US10647818B2 (en) Polyarylene sulfide production method and polyarylene sulfide
CN107636045B (zh) 制造粒状聚亚芳基硫醚的方法、以及粒状聚亚芳基硫醚
JP5221877B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
CN108602954B (zh) 粒状聚亚芳基硫醚的制造方法、粒状聚亚芳基硫醚的平均粒径增大方法、粒状聚亚芳基硫醚的粒子强度提高方法以及粒状聚亚芳基硫醚
US10072123B2 (en) Polyarylene sulfide production method and polyarylene sulfide
JP6418852B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法及びポリアリーレンスルフィド
JP2004244619A (ja) ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法
JP3779021B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP3153657B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドの製造方法
JP4894090B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドの製造方法および押し出し成形品
JP2001261832A (ja) ポリフェニレンスルフィドの製造方法および押し出し成形品
JP6889271B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
CN115485320B (zh) 聚亚芳基硫醚的制造方法
KR102472752B1 (ko) 폴리아릴렌 설파이드의 제조 방법
JP7357695B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
CN113015761A (zh) 聚亚芳基硫醚的制造方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040609

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080625

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090625

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110625

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110625

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120625

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120625

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term