JP3566229B2 - セミクローラ形走行装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタに使用されるセミクローラ形走行装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラクタ、特に、農用トラクタを走行装置によって分類すると、車輪形(ホイール形)と履帯形(クローラ形)に大別でき、車輪形は2軸4車輪で四輪駆動形、後輪駆動形、前輪駆動形等に細分類することができ、クローラ形はフルクローラ形およびセミクローラ形とに細分類することができる(新版農業機械ハンドブック第257ページ〜259ページ参照)。
車輪形トラクタは、三点リンク、PTO軸および油圧制御装置等を装備させることによって、耕耘、播種、中耕、除草、収穫、運搬等の広範囲に使用可能であって、季節を問わず各作業の動力車とされて農業機械化の主流である。
【0003】
また、フルクローラ形トラクタは、接地面積が大きいため接地圧が車輪形トラクタに比べて小さく、柔軟地など不整地での走行が可能で、また、重量が大きく粘着係数も大きいため、牽引力を必要とする重作業に適し、例えば、車輪形トラクタでは作業不能な湿田等における排水性確保のためのサブソイラー等による農地造成、土地改良用として専ら使用される所謂季節即定形の専用機である。
一方、セミクローラ形トラクタは、後輪と交換して履帯ユニットを装着した車輪形トラクタの補助装置であって柔軟地では車輪形とフルクローラ形の中間の性能をもっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車輪形トラクタは、機動性に富み、広範囲な作業に適するけれども、秋の天候不順と春先の雪の影響等によって耕耘時期(春耕しといわれ、作物の成育、収穫等を加味すればその時期はほぼ春の一定期間となる)に、圃場が乾かなければ、該車輪形トラクタが圃場に入ることが実質的に不可能となって耕耘ができなくなるという課題があった。
一方、フルクローラ形トラクタは、前述の事態のとき、すなわち、悪条件下や各地の強湿田において威力を発揮するけれども、機動性に欠け、しかも専用機であることから、限られた作業にしか適用できず、乾田等での収穫作業に用いると過度に圃場を荒らすことになり、結局、車輪形トラクタとフルクローラ形トラクタの双方を用意しなければならず、これでは農業経営上における投資が甚大となるという課題がある。
【0005】
このような理由から、セミクローラ形トラクタが例えば、特開平4−25778号公報(従来例の1)、実公昭6−5974号及び実開昭63−70488号公報(従来例の2)等が提案されている。
しかし、従来例の1では、後輪の後方に転輪を設け、両輪に亘ってクローラベルト(無端回走体)を掛装したものであり、トラクタ車体より後方に走行装置(転輪)が大きく突出するため、三点リンクを利用した作業機の装着に支障をきたすし、又、ホイールベースが過大となって旋回性能に劣るだけでなく、不整地等を走破するとき、車体のピッチングがあってこれでは、作業姿勢がくずれて運転者が疲れ易くなるのは勿論、作業機トラクタ車体との相対姿勢が崩れて作業姿勢の安定と仕上がり精度の向上が期待でき難いという課題があった。
【0006】
従来例の2では、セミクローラを揺動自在に装着していることから、凹凸圃場等での作業においては、ある程度の順応性はあるものの、コンバイン、ハーベスタ等の専用機に適用されたものであって、車輪形トラクタの後輪との履き替えには到底利用することはできず、機動性、汎用性に欠けるという課題があった。
また、後輪をセミクローラに履き替えたとき、該クローラの無端回走体が起動回転体等から脱れ易く、所謂脱輪し易いという課題があった。
そこで本発明は、セミクローラはこれを揺動させることによってピッチングが少なく、機動性、走破性等に優れかつ前輪の浮上り等を防止したことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、操向可能な左右の前輪と、駆動可能な左右のセミクローラとを備えているセミクローラ形走行装置において、前記左右のセミクローラは、回転駆動体とこの回転駆動体の下方においてトラックフレームに軸架されている前後の回転従動体と前記回転駆動体および前後の回転従動体とにわたって掛装されている無端回走体とを備えて側面視でおむすび形に構成され、前記トラックフレームは、揺動支軸を介して上下方向に揺動自在としてトラクタ車体に支持され、この揺動支軸の軸心を通る鉛直線を基準として前接地長さが大で後接地長さが小とされていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0008】
すなわち、秋の天候不順と春先の雪の影響等によって車輪形では耕耘時期を先するとき等においては、左右のセミクローラによって、所謂春耕しが可能となり、このとき、該セミクローラは上下に揺動することが可能であることから、トラクタのピッチング現象は少なく、従って、作業者(運転者)の疲労も過度でなくなるし、作業姿勢が安定し作業精度も確保できるのである。
また、セミクローラであることから、後輪にくらべて接地圧が低く、しかも、牽引力は増進できるだけでなく、傾斜地での作業であっても横滑りが少なくなって等高線に沿った作業ができるのである。
【0009】
更に、前記トラックフレームは、揺動支軸を介して上下方向に揺動自在としてトラクタ車体に支持され、この揺動支軸の軸心を通る鉛直線を基準として前接地長さが大で後接地長さが小とされていることにより、例えば、秋の天候不順等によって圃場に排水溝を例えばサブソイラ等を用いて造成することもセミクローラ形とすることによって可能となったのであり、このとき、トラクタ車体よりセミクローラが大きく後方に突出されないので装着手段を介しての作業機の装着が容易でありながら、充分な接地長を確保しての横滑りを阻止するのである。
【0010】
更に、前記回動駆動体はその中心が後車軸に取着され、前記揺動支持軸は後車軸の下方でこの後車軸の軸心を通る鉛直線上に位置していることが推奨される(請求項2)。
これによって、重心を下げての安定走行を可能にするのである。すなわち、左右のセミクローラで雪路、超湿田、不整地等を走行中に左右の前輪の浮上りを防止しての走破が可能となるのである。
また、前記無端回走体の接地部が水面上にあるときを基準として前回転従動体の上下揺動範囲が同じか又は前方側において下方揺動より上方揺動が大きく設定されていることが推奨され(請求項3)、更に、トラックフレームの揺動制限手段を備え、この揺動制限手段は左右方向の横振れ制限部を備えていることが推奨される(請求項4)。
【0011】
また、左右の前輪と左右のセミクローラはその周速をほぼ等速にして駆動可能か又は左右の前輪が非駆動状態に切替可能であることが推奨される(請求項5)。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。
後輪に替えてセミクローラに履き替えた全体側面図を示す図1および背面図を示す図2並びに走行伝動系の構成を示す図3において、本発明に係るトラクタ1は、ステアリングハンドル2の操作で操向可能な左右の前輪3を備え、トラクタ車体4に内蔵している走行速度を複数段に変速可能な変速装置5と後輪デフ装置6とを備えている後輪走行伝動系7により駆動される左右の後車軸8に、左右の後輪9と左右のセミクローラ10とを履き替え自在に備えている。
【0013】
前記左右のセミクローラ10は、後車軸8の軸端に取着される回転駆動体11とトラックフレーム12に軸架されている前後の回転従動体13,14と前記回転駆動体11と前後の回転従動体13,14に掛装されている無端回走体15とを備え、前記トラックフレーム12は、揺動支軸16を介して上下方向に揺動自在としてトラクタ車体4に支持されている。
ハンドル2の後方には運転席17が備えられて操縦装置18を構成しており、該操縦装置18はキャビン19によって包囲されており、該キャビン19はトラクタ車体4に搭載されている。
【0014】
キャビン19は箱形に枠組みされている骨格体20と、該骨格体20の前面に装着されているフロントガラス要素21と、骨格体20の後面に装着されているリヤガラス要素22と、運転席17の左右両側で骨格体20に装着されているサイドガラス要素23と、該サイドガラス要素23の前方でヒンジ手段24によって縦軸心廻りで開閉される左右の開閉ドア25を備え、該開閉ドア25が乗降ステップ30とともに実質的に操縦装置18への乗降手段の一部を構成している。トラクタ車体4は、エンジン26とこのエンジン26の後面に連設されているミッションケース27とで主構成されていて、エンジン26はボンネット28で覆われており、ミッションケース27には主クラッチ要素29、この主クラッチ要素29を介してエンジン動力を受入れる走行伝動系7および図示省略したPTO伝動系等が内蔵されている。
【0015】
走行変速装置5は、走行速度を複数段に変速可能な主変速装置31と、レバー32によって走行速度を高低に変速可能な副変速装置33および図示していないがシャトル変速装置、クリープ変速装置等を備え、ベベルピニオン軸で例示するデフ駆動軸34を介して後輪デフ装置6に連動されている。
後輪デフ装置6の左右出力軸6Aは、ブレーキ装置35、減速装置36を介して左右の後車軸8に連動されており、該後車軸8は、図2で示すように後車軸ケース37に挿通支持されていて、該左右の後車軸ケース37に、左右の後輪フェンダ38およびキャビン19の後部等が支持されている。
【0016】
図4〜図7で示すようにセミクローラ10は、トラクタ車体4の下面に装着した平面視方形に枠組みされた取付フレーム39を介してトラクタ車体4に装着されている。
取付フレーム39は、トラクタ車体4の左右立面に添接されてボルト等によって着脱自在とされる左右の前取付具40とトラクタ車体4より突出した後車軸ケース37の下面に添接されてボルト等によって着脱自在とされる左右の後取付具41を有し、これら前・後取付具40,41を介してボルト等によってトラクタ車体4の下腹部に取付フレーム39が固定されているのである。
【0017】
このように、トラクタ車体4にセミクローラ10を直接支持するのではなく、取付フレーム39を介して支持するようにしたのは、トラクタ車体4を構成するミッションケース27等は通常鋳物製であって、繰返し外力等によって亀裂等するおそれがあることから、鋼製の方形枠組みした取付フレーム39を介して支持しているのである。
取付フレーム39の後取付具41には左右方向に突出する揺動支軸16が備えられ、一方、トラックフレーム12には、該左右の揺動支軸16をその軸心廻りに回動可能として受入れる軸受筒42が備えられ、該揺動支軸16および軸受筒42によりセミクローラ10のトラックフレーム12が取付フレーム39を介してトラクタ車体4に揺動自在として装着されている。
【0018】
なお、セミクローラ10はトラクタ車体4に揺動自在に支持すればよいことから、揺動支軸16をトラックフレーム12に、軸受筒42をトラクタ車体4側に設けたものであってもよい。
更に、揺動支軸16は後車軸8と軸心が平行であればその位置は自由であるが、本実施例では、図1で示すように後車軸8の軸心を通る鉛直線V−Vの下方に揺動支軸16が位置しており、このように、揺動支軸16が接地側に近くなることによって凹凸圃場等を走破するときの揺動振幅は小さくなってピッチング現象を効果的におさえることができて有利となる。
【0019】
セミクローラ10における回転駆動体11は、ドラム形、ローラ形、スプロケット形等を選択できるが図示の例ではスプロケット形であり、図10で示すように後車軸8の軸端フランジ8Aに複数本のボルト等で取着される。
回転駆動体11はその軸心に外方へ突出する支軸43を一体に備え、該支軸43の外端には支持アーム44の軸受部44Aが外嵌されており、支持アーム44の下部は、トラックフレーム12に突出されたブラケット45に別の揺動支軸47を介して支持されている。
【0020】
この別の揺動支軸47は、前述した揺動支軸16の軸心延長上にあり、ここに、トラックフレーム12は回転駆動体11を挟む内外2ヶ所の共通軸心とされた揺動支軸16,47で支持されることになって横振れなどを確実に防止するのである。
前記支持アーム44には、回転駆動体11を支えかつトラックフレーム12との相対揺動をロックするロック手段48が備えられており、該ロック手段48は、支持アーム44に形成したロック孔48Aと、ブラケット45に形成した受孔48Bと、両孔48A,48Bが合致したとき、両孔に挿脱するロックピン48Cとからなり、図示例では揺動支軸47の下方に形成しているが、上方に形成したものであってもよく、ロック孔48A,48Bをそれぞれ複数形成して複数本のロックピン48Cを挿脱するものであってもよく、ロックピンはこれをボルト・ナットにすることもできる。
【0021】
従って、セミクローラ10を後車軸8に履き替えするときには、ロック手段48で揺動を拘束して定形化しておき、回転駆動体11を後車軸8に取着するとともに、揺動支軸16の位置決めを容易としており、該セミクローラ10を履き替えした後に、ロック手段48をアンロックして揺動自在とするのである。
なお、図10において、49は抜け止めカラーであって、軸受部44Aに嵌合されて支軸43の軸端面にボルト50によって止着されている。また、軸受部44Aはボール軸受で示しているが、ピローブロック軸受等その他の軸受とすることもできる。
【0022】
後車軸8に履き替えられた左右のセミクローラ10は、図1および図8に示すように側面視において所謂おむすび形であり、後車軸8の軸心を通る鉛直線V−Vを基準として前後接地長L1,L2が異なっており、図では前接地長L1が大で、後接地長L2が小とされ、ここに、トラクタ車体4よりセミクローラ10が後方に大きく突出されるのを防止して該トラクタ車体4の後部に備えている三点リンク等の装着手段を介しての作業機(ロータリ、プラウ、サブソイラー、ブロードキャスタ等)の装着を容易としているとともに、充分な接地長を確保しての傾斜地での横滑りを阻止し、大きな牽引力を約束している。
【0023】
左右のセミクローラ10における無端回走体15は外周に接地ラグ15Aを列設して備え、内周にガイド突起15Bを列設して備えている弾性クローラ(ゴムクローラ)であって、回転駆動体11と前回転従動体13に亘って前下がり傾斜状として掛装され、前回転従動体13が乗降ステップ30の近傍に位置づけられている。
このような構成を採用することによって、無端回走体15を乗降補助ステップとして利用することができるし、ヒンジ手段24を中心にドア25を開閉するにも無端回走体15が障害となることもなく、軸間距離(前輪3と後輪9との間隔)も、セミクローラ形トラクタ1であってもホイール形トラクタとほぼ同距離となって、セミクローラ形トラクタであっても、旋回性能は小回りとできるのである。
【0024】
図1に示すように、回転駆動体11が矢印Fの方向に回転駆動されることでトラクタ1は前進となり、矢印Fと反対方向に回転駆動されることでトラクタ1は後進となるが、前進走行に際して弛み側となる回転駆動体11を前回転従動体13と掛装されている無端回走体15は、トラックフレーム12の揺動に伴う緊張弛緩を調整するため、前回転従動体13には張力調整手段51が備えられている。
この張力調整手段51は、図8に示すように、前回転従動体13の支持フォーク52を、コイルスプリング53とテンションシリンダ54等で自動張力調整するものとされてトラックフレーム12に備えられている。
【0025】
トラックフレーム12には複数個、図では4個の案内輪55が列設されており、また、回転駆動体11を前回転従動体13とに掛装された無端回走体15の内周面に接してその弛みを防止するガイド手段(クローラサポート)56が備えられている。
このガイド手段56は、テンションシリンダ54上に着脱自在として備えられていて、図7で示すように、その先端のガイド部56Aは2又に分岐されており、例えばSS330等の弾性帯板で作成されている。
【0026】
左右のセミクローラ10は、揺動支軸16を支点にそのトラックフレーム12が上下方向に揺動運動することによって、凹凸圃場、不整地、雪路等でのトラクタ車体4のピッチング現象を吸収して走破するが、該トラックフレーム12の上下方向の揺動範囲を制限する揺動制限手段57が備えられている。
この揺動制限手段57は、図4、図7および図9で示すように、トラックフレーム12に取着されていて上下方向の案内部58Aを有する箱形ブラケット58と、該案内部58Aに挿入されていてかつ転動するローラ59Aを有し、トラクタ車体4に取付フレーム39を介して取着される固定ブラケット59とで構成されており、該固定ブラケット59は取付フレーム39に固着している受けブラケットにボルトによって着脱自在に取着される。
【0027】
これによって、案内部58Aとローラ59Aとによって左右方向の横振れを制限する横振れ制御部を備えているのである。
更に、揺動制限手段57は、前後の回転従動体13,14に掛装した無端回走体15の接地部が水平面上にあるときを基準として上下揺動範囲が同じか又は下方揺動より上方揺動が大きく設定されていて、図示例では前側が上方へ8°、下方へ5°傾斜するものとされている。
なお、この揺動制限手段57は、箱形ブラケット58を取付フレーム39に、固定ブラケット59をトラックフレーム12に備えたものであっても良く、また、ローラ59Aに代えて摺動シュ形としても良い。
【0028】
図3を参照すると、後輪デフ駆動軸34から前輪走行伝動系60が分岐されていて、該伝動系60に備えている前輪デフ装置61を介して左右の前輪3を駆動可能としている。
前輪走行伝動系60は、後輪デフ駆動軸34に備えているシフトギヤ62を有し、第1伝動軸63上のギヤ63Aに対して選択咬合可能とされている。
第1伝動軸63の軸心延長上にはギヤ64A,64Bを有する第2伝動軸64が軸架されており、第1・2伝動軸63,64間には、前輪3を駆動状態と非駆動状態に切換えるクラッチ手段65が備えられており、セミクローラ10に履き替えて直進走行するときは前記クラッチ手段65を断にして前輪3を非駆動状態(所謂後輪駆動で、前輪は空転する)にし、旋回走行するときは前記クラッチ手段65を接にして前輪3を駆動状態(4輪駆動状態)にする人為操作手段を備えている。
【0029】
この人為操作手段は、運転席の近傍に備えられていて、クラッチ手段65が図示のシフトギヤであるときは、シフト操作レバーであり、クラッチ手段65が油圧クラッチであるときは、シフト操作レバーであり、クラッチ手段65が油圧クラッチであるときは、該クラッチを入切制御する電磁制御弁の操作レバーである。
前輪走行伝導系60には、第2伝動軸64と前輪デフ駆動軸61Aとの間に、セミクローラ10における回転駆動体11の周速と前輪3の周速とをほぼ等速にする走行伝動体66が備えられている。
【0030】
すなわち、左右の後輪9に対して左右のセミクローラ10に履き替えたとき、後輪9の直径よりも回転駆動体11の直径がほぼ半分となり、後輪走行伝動系7をそのまま用いると、回転駆動体11の周速は後輪9のほぼ1/2倍(略半分)となり、この状態で前輪3を駆動すると、該前輪3は早期に磨滅することになる。
そこで、後輪走行系7をそのまま利用して後輪9をセミクローラ10に履き替えたときは、前輪走行系60に備えたクラッチ手段65を断にして前輪3を非駆動状態(遊転)にするか若しくは走行伝動体66を組み込んで回転駆動体11と前輪3との周速をほぼ等速にするのである。
【0031】
図3に示した実施形態では、前輪デフ駆動軸61A又はこれと同軸心上に、第1油圧クラッチ67と第2油圧クラッチ68を前後に並設して備え、第1油圧クラッチ67のギヤ67Aは第2伝動軸64上の第1ギヤ64Aに、第2油圧クラッチ68のギヤ68Aは第2伝動軸64上の第2ギヤ64Bに咬合しており、この際、ギヤ64Aと67Aのギヤ比は、セミクローラの回転駆動体11と前輪3との周速をほぼ等速にするための減速比に設定され、ギヤ64Bと68Aのギヤ比は後輪9と前輪3とを同速又は前輪3を増速するギヤ比とされている。
【0032】
従って、セミクローラ10に履き替えたときには、減速装置64A,67Aの第1油圧クラッチ67を入にしてセミクローラと前輪とをほぼ等速駆動しているのである。
なお、第1・2油圧クラッチ67,68をともに断にすることで前輪3は非駆動となることから、該クラッチ67,68は4輪駆動と後輪駆動との切換え用のクラッチ手段ともなる。
図11〜13はセミクローラ10と前輪3との周速をほぼ等速にする走行伝動体66の第2実施例であり、前輪走行伝動系60の伝動軸64およびデフ駆動軸61A上に、油圧式のDTクラッチ(4輪駆動の入切クラッチ)69と油圧式の倍速クラッチ(前輪が後輪の約1.6倍の速さで回転する)70とを前後に並設して備え、該クラッチの下部に伝動軸64上に空転自在なギヤ70Aとデフ駆動軸61Aに固定しているギヤ61Bとに咬合うギヤ71A,71Bを有する倍速軸71をトラクタ車体4の下腹部に着脱自在にするカセットケース72に組込むとともに、倍速軸71と同軸心として走行伝動体66のための伝動軸66Aをカセットケース72に軸架している。
【0033】
更に、伝動軸64上には走行伝動体66用の入力ギヤ64Aが備えられ、この入力ギヤ64Aに咬合するギヤ66Bが伝動軸66Aに備えられており、伝動軸66Aと倍速軸71とはシフターで示すクラッチ手段66Cによって入切自在とされている。
この第2実施例では、後輪9に対してセミクローラ10に履き替えたときは、クラッチ手段66Cを入(接)にして、ギヤ64A,66B、倍速軸71、ギヤ71B,61Bを経由して前輪デフ駆動軸61Aに伝達し、回転駆動体11と前輪3との周速がほぼ同速になるように、前輪走行伝動系60の走行伝動体66で減速しているのである。
【0034】
なお、この第2実施例においては、後車軸8に後輪9を装着したときには、図13で示すように作用する。
すなわち、ステアリングハンドルの操作で前輪3の切れ角が約34°以上になると、前輪ケースサポート左の取付けられた切れ角検出スイッチ73がONし、DT/倍速ソレノイドバルブ74が倍速側に作動して倍速クラッチ70を「入」に切換える。これにより、前輪は後輪の約1.6倍の速さで回転する。
DT/倍速切換えスイッチ75は、前輪への動力伝達の種類を切換えるスイッチで、「DT(4WD=4輪駆動)・OFF」、「DT・ON」、「倍速」の3段階の切換えを行える。倍速ターンを作動させるには、このスイッチを「倍速」位置にセットしておけば良い。また、「DT・ON」または「OFF」にセットすると、ソレノイドバルブの働きにより倍速油圧クラッチ70と一体のDT油圧クラッチ69が作動し、4輪駆動の入・切が切換わる。
【0035】
図14および図15は走行伝動体66の第3実施例であり、前輪デフ駆動軸(これに連動する前輪推進軸でもよい)を第1・2軸76,77として構成し、第1・2軸76,77を断接するシフトギヤ78を第1軸76にスプライン等で摺動自在に設け、第1・2軸76,77上のギヤ78,79に咬合するギヤ80A,80Bを有する伝動軸80をケース81に組込んだものであり、後輪9に対してセミクローラ10を履き替えたときには、シフトギヤ78を断にし、ギヤ78,80A,80B,79を経由して前輪デフ61を減速することでセミクローラ10の回転駆動体11と前輪3との周速をほぼ等速にしているのであり、後輪9を装着したときは、シフトギヤ78によって第1・2軸76,77を直結するのである。
【0036】
この第3実施例において、図12等で示した倍速ターンを図15で示すように備えさせることができる。
図16は走行伝動体66の第4実施例であり、後輪走行伝動系7にセミクローラ10の回転駆動体11を増速に切換え可能として備えたものである。
図16において、左右の後車軸8を、第1軸82,83とに分割し、両軸82,83をバルブ84Aで断接される第1油圧クラッチ84を介して接合分離自在とし、一方、増速用副軸85上にバルブ86Aで断接される第2油圧クラッチ86を組込み、第1・2軸82,83のギヤ82A,83Aにそれぞれ咬合するギヤ85A,85Bを副溝85に備えている。
【0037】
この第4実施例においては、後輪9をセミクローラ10に履き替えたときは、第1油圧クラッチ84を断にし、第2油圧クラッチ86を接にすることでギヤ82A,85A,85B,83Aを経由して左右の後車軸、すなわち、第2軸83を増速駆動することで回転駆動体11と前輪3との周速をほぼ等速にしているのであり、一方、後輪9を装着したときには、第2油圧クラッチ86を断にし、第1油圧クラッチ84を接にして第1・2軸82,83を直結するのである。
なお、第4実施例の走行伝動体66は、後車軸ケース37の上・下のいずれかに着脱自在に組付けることが望ましい。
【0038】
更に、図3、図11〜16において、図13で示しているように、左右の前輪3の操向角を検出する検出スイッチ(検出装置)73と、左右のセミクローラ10を同時と独立に制御可能な例えば油圧ブレーキ装置35を備え、前記のスイッチ73が前輪3の操向角が所定角以上に操作されたことを検出するとその検出信号で旋回内側のセミクローラ10のブレーキ装置35を独立して制動するようなコントローラ(制御装置)87を備えることによってセミクローラトラクタであっても小回り性能を向上しているのであり、この旋回走行するとき、左右の前輪3を増速駆動に切換えることが望ましい。
【0039】
すなわち、本発明に係るトラクタは、ハンドルの操作で操向可能であるとともに前輪走行伝動系により駆動可能な左右の前輪を備え、トラクタ車体に内蔵している変速装置と後輪デフ装置を有する後輪走行伝動系により駆動される左右の後車軸に、左右の後輪と左右のセミクローラとを履き替え自在に備え、前記セミクローラに履き替えたとき、該セミクローラにおける回転駆動体の周速と前記前輪の周速とをほぼ等速にする走行伝動体を備えているのであり、前記走行伝動体は、前輪走行伝動系に備えられていて前輪の回転駆動を減速に切換え可能な減速装置である場合、前記走行伝動体は、後輪走行伝動系に備えられていてセミクローラにおける回転駆動体の回転駆動を増速に切換え可能な減速装置である場合とされている。
【0040】
更に、前輪走行伝動系に、前輪を駆動状態と非駆動状態に切換えるクラッチ手段が備えられ、セミクローラに履き替えて直進走行するときは前記クラッチ手段を断にして前輪を非駆動状態にし、旋回走行するときは前記クラッチ手段を接にして前輪を駆動状態にするクラッチ手段の人為操作手段を備えているのであり、また、左右の前輪の操向角を検出する操向角検出装置と左右のセミクローラを独立して制動する一対のブレーキ装置とを備え、前輪の操向角が所定角以上に操作されたことを前記操向角検出装置が検出したとき、旋回内側のセミクローラのブレーキ装置を制動する制御装置を備えており、この旋回走行するとき左右の前輪を増速駆動に切換えることが望ましく、また、走行伝動体は、着脱自在として組込まれていることが望ましい。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明のセミクローラ形走行装置は、そのトラックフレームがトラクタ車体に固定されず揺動自在に支持されているので、走行中のセミクローラ形トラクタはピッチング現象を起こすことが少なく、接地圧が低く、湿田性能を向上しつつ作業姿勢の安定と仕上がり精度が向上できる。
更に、前記トラックフレームは、揺動支軸を介して上下方向に揺動自在としてトラクタ車体に支持され、この揺動支軸の軸心を通る鉛直線を基準として前接地長さが大で後接地長さが小とされていることから、雪路、傾斜地、不整地等を走破中に、前輪の浮上り等を確実に防止して安定走行ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セミクローラ形トラクタの側面図である。
【図2】セミクローラ形トラクタの背面図である。
【図3】走行伝動系の全体構成図である。
【図4】左右のセミクローラの分解斜視図である。
【図5】左右のセミクローラの平面図である。
【図6】図5のA−A矢示立面図である。
【図7】図5のB−B矢示立面図である。
【図8】セミクローラの側面図である。
【図9】揺動規制手段の斜視図である。
【図10】揺動支軸の拡大断面図である。
【図11】走行伝動系の第2実施例を示す全体構成図である。
【図12】図11の部分拡大図である。
【図13】DT/倍速ターンの切換等を示す構成図である。
【図14】走行伝動系の第3実施例を示す全体構成図である。
【図15】図14の部分拡大図である。
【図16】走行伝動系の第4実施例を示す背面構成図である。
【符号の説明】
1 トラクタ
2 ステアリングハンドル
3 前輪
4 トラクタ車体
8 後車軸
9 後輪
10 セミクローラ
11 回転駆動体
12 トラックフレーム
13 前回転従動体
14 後回転従動体
15 無端回走体
16 揺動支軸
Claims (4)
- 操向可能な左右の前輪と、駆動可能な左右のセミクローラとが備えられ、前記左右のセミクローラは、回転駆動体と、この回転駆動体の下方においてトラックフレームの前端部と後端部とに軸架されている前後の回転従動体と、前後回転従動体間に配置されている案内輪と、前記回転駆動体および前後の回転従動体とにわたって緊張状態で掛装されている無端回走体とを備えて側面視でおむすび形に構成され、前記回転駆動体はその中心が後車軸に取着され、この後車軸の下方に前記トラックフレームを上下方向に揺動自在としてトラクタ車体に支持する揺動支軸が配置され、この揺動支軸の軸心を通る鉛直線を基準として前接地長さが大で後接地長さが小とされ、前記トラックフレームとトラクタ車体との間にトラックフレームの上下揺動範囲を制限する揺動制限手段が設けられ、この揺動制限手段によって無端回走体の接地部が水平上にあるときを基準として前回転従動体の上下揺動範囲が下方揺動より上方揺動が大きく設定されていることを特徴とするセミクローラ形走行装置。
- 前記揺動支軸は後車軸の下方でこの後車軸の軸心を通る鉛直線上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のセミクローラ形走行装置。
- 前記揺動制限手段は左右方向の横振れ制限部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のセミクローラ形走行装置。
- 左右の前輪と左右のセミクローラはその周速をほぼ等速にして駆動可能か又は左右の前輪が非駆動状態に切替可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセミクローラ形走行装置。
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