JP3565521B2 - 重合性化合物およびそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子または高分子壁に囲まれた液晶領域を有する液晶層を備えた液晶表示素子において、高分子または高分子壁と液晶領域内に存在する液晶材料との界面における液晶分子の配向規制力を高めるための重合性化合物、およびそれを用いた液晶表示素子に関する。本発明の液晶表示素子は、液晶分子の配向規制力を向上せしめる効果を有する重合性化合物を含む単量体から形成される高分子または高分子壁を具備することにより、液晶領域内の液晶分子の軸対称状配向状態が従来よりも優れたものとなる。そのことにより視角特性が改善されているだけでなく表示品位が高い平面ディスプレイを提供し得る。本発明の具体的な利用分野としては、広視野角特性を活かしたディスプレイ(パソコン、ワープロ、液晶テレビ、カーナビゲーション用表示パネルなど)などが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
(液晶材料と高分子材料とを用いた液晶表示素子)
▲1▼ 特表昭58−501631号公報には、高分子材料でカプセル化された液晶材料を有する高分子分散型液晶表示素子が開示されている。この液晶表示素子では、液晶材料と高分子材料との屈折率の違いを利用して、電圧無印加時には散乱状態を表示し、電圧印加時には液晶分子の屈折率の変化により透明状態を表示する。また、特表昭61−502128号公報には、液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物に紫外線を照射して、液晶材料と硬化した樹脂とを3次元的に相分離させて作製した液晶層を有する液晶表示素子が開示されている。これらの素子は、基本的に、液晶層の入射光の散乱(白濁)−透過(透明)状態の変化を電気的に制御する液晶表示素子である。
【0003】
▲2▼ 特開平1−269922号公報には、液晶組成物と光硬化性樹脂(高分子材料)との混合物に対してホトマスク越しに、1段目の露光を行い、さらに、ホトマスクを除いて2段目の紫外線照射をすることにより、1段目においてホトマスクで遮光した領域に紫外線を照射して、異なる特性の領域を作製する技術が開示されている。こうして得られる素子は基本的に散乱型素子である。
【0004】
一方、特開平5−257135号公報には、配向規制力を有する配向膜付きの基板間に、液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物を注入し、基板上に配設したホトマスク越しに紫外線を照射することにより得られる液晶層を有する液晶素子が開示されている。この素子は、ホトマスクが配置されていた内側部分と外側部分とで液晶領域の電圧印加による光学特性が異なることを利用して、ホトマスクのパターンの絵模様が液晶層に反映するように形成される。この素子は、各基板上に設けられた電極間に印加する電圧により、液晶層の光線透過率を制御するスタティック駆動用液晶素子である。従って、後述する本発明の素子のようなマトリックス駆動用液晶素子とは構成が異なる。
【0005】
(液晶表示素子の視角特性の改善の原理)
液晶表示素子の視角特性を改善するためには、画素(液晶領域)内で少なくとも3方向以上の方向に液晶分子を配向させることが必要である。この視角特性の改善の原理を、図13および図14を参照して説明する。
【0006】
図13は、高分子壁を有さないTNモードの液晶表示素子の断面模式図であり、図14は、高分子壁で囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子の断面図である。図13の液晶表示素子は、対向配設された基板1と、この基板1間に挟まれた液晶層10とを有する。液晶層10では、液晶分子は一方向に配向している。一方、図14の液晶表示素子は、対向配設された基板1と、この基板1に挟まれた液晶層2とを有し、液晶層2は、高分子壁21に囲まれた液晶領域20とからなる。液晶領域20では、液晶分子は、軸Xに対して軸対称状に配向している。図13および図14において、(1)は、液晶層10、2に電圧を印加していない状態を示し、(2)は、液晶層10、2に電圧を印加して中間調を表示している状態を示し、(3)は、液晶層10、2に飽和電圧を印加した状態を示す。
【0007】
図13(2)からわかるように、中間調表示状態では、液晶表示素子を方向Aから見た場合の液晶分子の屈折率と、方向Bから見た場合の液晶分子の屈折率とが異なる。従って、方向Aから見た場合と、方向Bから見た場合とでは、コントラストが異なる。一方、図14(2)からわかるように、液晶分子が軸対称状に配向している場合は、中間調表示状態で、方向Aから見た場合と、方向Bから見た場合の液晶分子の見かけ上の屈折率が平均化されて、両方向AおよびBから見た場合のコントラストが等しくなる。
【0008】
このように、図14で示すように、液晶分子が軸対称状に配向している液晶表示素子の視角特性は、図13で示すTNモードの液晶表示素子の視角特性と比べて改善されることになる。
【0009】
(広視角モードを有する素子の具体例)
▲1▼ 特開平4−338923号公報および特開平4−212928号公報には、前述の高分子分散型液晶表示セルに互いに直交する偏光子を組み合わせた広視野角モードの液晶表示素子に関する技術が開示されている。
【0010】
▲2▼ 特開平5−27242号公報には、非散乱型で偏光板を用いて液晶表示素子の視角特性を改善する方法として、液晶と光硬化性樹脂との混合物から相分雑により、液晶と高分子体との複合材料を作製する方法が開示されている。この方法では、生成した高分子体の影響により液晶ドメインの配向状態がランダム状態になる。従って、電圧印加時に個々の液晶ドメインで液晶分子の立ち上がる方向が異なるために、各方向から見た液晶分子の見かけ上の屈折率が等しくなり、中間調表示状態での視角特性が改善される。
【0011】
▲3▼ 特開平6−265902号公報および特開平6−324337号公報には、液晶表示セルを構成する基板の各画素毎に、同心円状または軸対称状の配向処理を施すことにより、広視野角モードの液晶表示素子を実現する技術が開示されている。これらの技術では、各画素毎に液晶分子の配向を制御することが重要であるが、そのためのプロセスが複雑であり、極めて制御性が低いことが問題である。
【0012】
▲4▼ 最近、本発明者らは、特開平6−301015号公報にて、視角特性が改善された液晶表示素子を提案している。この液晶表示素子は、液晶組成物と光硬化性樹脂とを含有する液晶表示セル中に、ホトマスクを介して光照射をすることにより作製される。作製された液晶表示素子では、マスクの遮光領域に当たる画素部で液晶分子が全方向的な配向状態(軸対称状配向)となった液晶領域が形成され、マスクの透光部で主に光硬化性樹脂からなる高分子壁が形成される。この液晶表示素子では、液晶分子が全方向的な配向状態を形成しており、図14で説明したような電圧応答挙動で動作することにより、視角特性が著しく改善されている。
【0013】
図15に、図14に示した液晶表示素子の、電圧印加時の平面図を示す。図において、素子作製時にホトマスクを設けた位置を破線23で示す。図15からわかるように、液晶領域20は、ほぼホトマスクの形状を反映して形成される。このように、液晶領域20に存在する液晶分子が、軸(図14(1)で示す基板面に対して垂直方向の軸X)に対して対称状に配向している場合、通常、電圧印加時の液晶領域20外周部などにリバースチルトによるディスクリネーションライン22が発生する。
【0014】
▲5▼ そこで、本発明者らは引き続いて、特願平6−132288号にて、上記▲4▼で説明した液晶表示素子で問題となった電圧印加時で発生するディスクリネーションを改善するために、液晶組成物と光硬化性樹脂との混合物に、液晶類似骨格を有する重合性化合物を添加することを提案している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記▲4▼で説明した液晶表示素子では、高分子壁と液晶領域との界面において、液晶分子のリバースティルトによるディスクリネーションが発生するという問題がある。このディスクリネーションが輝線として表示されるために黒状態での表示特性が低下する。
【0016】
一方、このディスクリネーションの発生を抑制するために、上記▲5▼で提案したような重合性化合物を用いた液晶表示素子では、次のような2つの問題が認められている。第1に、液晶領域における液晶分子のプレティルトが大きくなり、電圧無印加時に明るさが減少するという問題がある。第2に、高分子−液晶複合層および高分子壁と液晶領域との界面に存在する相互作用などにより、液晶素子の応答速度の劣化、ならびに電圧−透過率特性の閾値特性および急峻性の劣化などの問題が認められる。
【0017】
さらに、上記▲4▼などの液晶表示素子においては、視角特性改善に必要な画素内で全方位配向を取らせるための液晶の配向制御を行う方法と、液晶と高分子との界面で起こる散乱による脱偏光によるコントラストの低下を防ぐ方法とが問題となる。液晶と高分子との界面で起こる散乱を抑制するには、画素内に液晶と高分子との界面を少なくする方法が考えられる。しかし、従来の方法では、3次元高分子マトリクス中に生成する液晶ドロップレットのサイズ、形成位置などを制御することが極めて困難である。
【0018】
これらの問題点を解決するために、ディスクリネーション発生の抑制だけでなく、応答速度および電圧−透過率特牲の劣化がないような重合性化合物を選択することは重要であり、あわせて、画素に少なくとも1つの液晶ドロッフレットを作成することが有用である。すなわち、従来の液晶表示モードを疑似固体化した液晶表示素子を実現するためには、上述の液晶配向の制御と散乱強度の抑制という問題を両方又は単独に解決する必要がある。
【0019】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、ディスクリネーションラインを発生させず、応答速度および電圧−透過率特性の劣化が少なく、しかも電圧無印加時にも明るい特性を有する液晶表示素子が得られる重合性化合物、およびそのような液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明者らは、液晶に類似した骨格を有する重合性化合物の構造と液晶−高分子界面での液晶分子の配向状態との関係を鋭意検討した結果、ディスクリネーションラインの発生がなく、応答速度および電圧−透過率特性の劣化が少なく、しかも電圧無印加時にも明るい特性を有する液晶表示素子を得られ得る重合性化合物を見いだした。
【0021】
すなわち、本発明は、下式(I)で表される重合性化合物である。そのことにより上記目的が達成される。
【0022】
【化2】
【0023】
ここで、Xは水素原子またはメチル基であり;lは0〜14の整数であり;mおよびnは、それぞれ独立して0または1であり;pは0〜6の整数であり;qは0〜9の整数であり;lが0の時mは0であり、lが0でない時mは1である。本発明の好適実施態様においては、上記式(I)においてlは0でない重合性化合物である。
【0024】
また、本発明は、少なくとも一方が透明である一対の基板と、該一対の基板間に挟まれた、高分子と該高分子で囲まれた液晶領域を有する液晶層とを有し、該高分子が、少なくとも請求項1または2に記載の重合性化合物を含む単量体から形成される液晶表示素子である。そのことにより上記目的が達成される。
【0025】
本発明の好適実施態様においては、上記液晶領域内の液晶分子の配向状態は、軸対称状、放射状、または同心円状配向、ランダム配向、もしくは渦巻状配向である。
【0026】
本発明の好適実施態様においては、上記高分子は上記基板上に液晶分子の配向状態を規制する絶縁膜としての機能を備える。
【0027】
本発明の好適実施態様においては、上記基板上に、上記液晶領域に対応して、一軸性の一様な液晶分子の配向状態を実現するための絶縁膜配向層をさらに具備し、該液晶領域の配向状態および該素子の全体構成が、TN、STN、ECB、またはSSFLCモードに適した配置とされる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本明細書において「高分子と該高分子で囲まれた液晶領域とを有する液晶層」とは、完全に液晶領域が高分子で囲まれたり、覆われたりした液晶領域を有する液晶層、柱状または壁状の高分子により区切られた液晶領域を有する液晶層、または、高分子が形成する3次元網目構造によって区切られた液晶領域を有する液晶層など、液晶領域の液晶分子が高分子に接して区切られた構造を有する液晶層をいう。
【0029】
(重合性化合物)
本発明の重合性化合物は、分子中に液晶に類似した骨格と重合性の官能基とフッ素化アルキル基を有する化合物群である。
【0030】
本発明の重合性化合物の構造は特に限定されないが、好ましくは上記式(I)で表される構造を有する。この重合性化合物は、液晶性を有するメソーゲン骨格にエチレン性不飽和基とフッ素化アルキル基とが連結基を介すかまたは介さないで結合している。
【0031】
本発明の重合性化合物は、分子中にメソーゲン骨格を有するため、本発明の重合性化合物を含む単量体から形成された高分子には、メソーゲン骨格が導入される。そのことにより、配向膜の配向規制力が液晶領域内の液晶分子にまで及び得るため、液晶分子の配向状態が安定化する。また、液晶分子のプレティルトが発生するため、電圧印加時にディスクリネーションラインの発生が抑制される。
【0032】
本発明の重合性化合物は、分子中にフッ素化アルキル基を有する。このフッ素化アルキル基の効果について以下に詳細に述べる。
【0033】
一般に、液晶材料と重合性化合物との混合物から重合反応を伴う相分離により作製される液晶表示素子には、表1に示すような問題点がある。
【0034】
【表1】
【0035】
上記問題点の原因は、高分子壁に対する液晶分子のアンカリング強度が強いこと、および高分子材料と液晶材料との相溶性がよいことにある。これらの問題は、高分子材料にフッ素化部分を導入することによって解決され得る。このようなフッ素化された高分子部分は、フッ素化されていない高分子部分と界面自由エネルギーが異なるため、高分子表面に出てくる。その結果、高分子表面の界面自由エネルギーは低下するため、液晶分子のアンカリング強度が低下し液晶の配向状態を安定化する。また、フッ素化された高分子部分と液晶材料とは界面自由エネルギーが異なるため、高分子材料と液晶材料との相溶性が低下する。
【0036】
高分子中のフッ素化部分は、大きい方がより上記効果の大きいことが期待される。従って、本願発明の上記(I)式で表される重合性化合物において、qは0〜9の整数、好ましくは2〜8が好ましい。
【0037】
本発明の重合性化合物のメソーゲン骨格とエチレン性不飽和基とは連結基を介すかまたは介さないで結合している。連結基として、−(CH2)l−(O)m−が好ましい。lは、0〜14、好ましくは2〜12の整数である。lが0の場合、mは0であることが好ましい。また、lが0でない場合、mは1であることが好ましい。lが14より大きい場合、液晶層を構成する高分子表面から本発明の重合性化合物のメソーゲン部分が突出して、液晶分子と応答を共にすることなどの理由のために応答速度を低下させてしまう。また、ディスクリネーションライン発生を抑制する効果は、鎖長が長いほど少量で効果を発揮する傾向が認められるが、同時にプレティルトも大きくなり、セルの透過率を低下させる。
【0038】
本発明の重合性化合物のメソーゲン骨格とフッ素化アルキル基とは連結基を介すかまたは介さないで結合している。連結基として、−(O)n−(CH2)p−が好ましい。pは、0〜6、好ましくは0〜4の整数である。pが6より大きい場合、液晶層を構成する高分子表面から本発明の重合性化合物のフッ素化アルキル部分が突出しやすくなり、上述した界面状態を形成しやすくなるが、一方、アルキル鎖長が長くなることにより、液晶分子の高プレティルト化や、温度環境の変化などに伴う耐熱性の低下などの悪影響が顕著になり問題となる。そのため、アルキル鎖長pの値は、上記範囲内が適している
本発明の重合性化合物を用いて液晶層を構成する高分子を得る場合、本発明の重合性化合物は、単独または他の重合性単量体と共重合され得る。他の重合性単量体としては、アルキル基またはベンゼン環を有するアクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを含む単官能性単量体、および2官能性以上の多官能性単量体、例えば、ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオ−ルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、R−684(日本化薬社製)などを挙げることができる。
【0039】
他の重合性単量体と共重合する場合、本発明の重合性化合物は、全単量体重量の3重量%〜60重量%、好ましくは3重量%〜40重量%使用し得る。
【0040】
(本発明の重合性化合物の合成方法)
次に、本発明の重合性化合物の合成方法について説明する。以下に示す合成経路は一例であり、これらにより本発明は限定されない。
【0041】
(合成経路1)
上記式(I)において、n=1、p=q=0の場合を説明する。図1に、合成経路1を模式的に示す。
【0042】
まず、化合物(2)を、下記化3に示すベンジルブロマイドまたは下記化4に示すベンジルクロライドを用いて常法によりエーテル化反応を行うことにより、化合物(3)を得る。この化合物(3)のグリニャール試薬に、ほう酸トリメチル[B(OCH3)3]を作用させた後、希硫酸で加水分解することにより、化合物(4)を得る。
【0043】
【化3】
【0044】
【化4】
【0045】
次に、化合物(4)と化合物(1)とを、パラジウム触媒下、カップリング反応させることにより、化合物(5)を得る。この化合物(5)をパラジウム触媒を用いて、水素ガスによる脱ベンジル化を行うことにより、化合物(6)を得る。化合物(6)と化合物(A)とのエーテル化により、化合物(7)を得る。この化合物(7)に、化合物(B)を反応させることにより、目的とする化合物(8)が得られ得る。
【0046】
なお、メソーゲン基とエチレン性不飽和基との間に連結基を有さない場合(l=0)は、化合物(6)に、直接化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(9)が得られ得る。
【0047】
(合成経路2)
上記式(I)において、n=1、p=0の場合を説明する。図2に、合成経路2を模式的に示す。
【0048】
まず、化合物(10)に、五塩化リンを作用させることにより、化合物(11)を得る。この化合物(11)と化合物(2)とのエステル化反応により化合物(12)を得る。この化合物(12)を、William A. Sheppardら、J.Org.Chem.,29(1)1(1964)に記載の方法に従ってフッ素化することにより、化合物(13)を得る。
【0049】
次に、化合物(13)と化合物(4)とを、パラジウム触媒下、カップリング反応を行うことにより、化合物(14)を得、続いてパラジウム触媒下での水素ガスによる脱ベンジル化により、化合物(15)を得る。
【0050】
最後に、化合物(15)と化合物(A)とのエーテル化により、化合物(16)を得る。この化合物(16)に、化合物(B)を作用させることにより、目的物である化合物(17)が得られ得る。
【0051】
なお、メソーゲン基とエチレン性不飽和基との間に連結基を有さない場合(l=0)は、化合物(15)に、直接、化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(18)が得られ得る。
【0052】
(合成経路3)
上記式(I)において、n=1、p≠0の場合を説明する。図3に、合成経路3を模式的に示す。
【0053】
まず、化合物(19)に、無水トリフルオロメタンスルホン酸を作用させ、化合物(20)を得た後、これと化合物(22)とのエーテル化反応を行うことにより、化合物(23)を得る。化合物(23)を、パラジウム触媒下、水素ガスによる脱ベンジル化を行うことにより、化合物(24)を得る。なお、この化合物(24)は、化合物(21)と化合物(20)とのエーテル化反応によっても得ることができる。
【0054】
次に、この化合物(24)と化合物(A)とのエーテル化反応により、化合物(25)を得る。さらに、化合物(25)と化合物(B)とによるエステル化反応を行うことにより、目的物である化合物(26)が得られ得る。
【0055】
なお、メソーゲン基とエチレン性不飽和基との間に連結基を有さない場合(l=0)は、化合物(24)に、直接、化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(27)が得られ得る。
【0056】
(合成経路4)
上記式(I)において、n=0、p=0、q≠0の場合を説明する。図4に、合成経路4を模式的に示す。
【0057】
まず、化合物(28)と化合物(11)とのフリーデル・クラフト反応により、化合物(29)を得た後、これにエタンジチオールを作用させることにより、化合物(30)を得る。
【0058】
次に、この化合物(30)を、フッ化水素−ピリジン溶液でフッ素化することにより、化合物(31)を得た後、パラジウム触媒下、化合物(4)とのカップリング反応により、化合物(35)を得る。なお、この化合物(35)で表される化合物は、化合物(32)をベンジル化して得られる化合物(33)と化合物(34)との銅触媒を用いたカップリング反応によっても得ることができる。
【0059】
最後に、化合物(35)を、パラジウム触媒下、水素ガスによる脱ベンジル化を行うことにより、化合物(36)を得た後、化合物(A)とのエーテル化反応により、化合物(37)を得、続いて、化合物(B)とのエステル化反応により目的とする化合物(38)が得られ得る。
【0060】
なお、メソーゲン基とエチレン性不飽和基との間に連結基を有さない場合(l=0)は、化合物(36)に、直接、化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(39)が得られ得る。
【0061】
(合成経路5)
上記式(I)において、n=p=q=0の場合を説明する。図5に、合成経路5を模式的に示す。
【0062】
まず、化合物(40)と化合物(4)とを、パラジウム触媒下、カップリング反応させることにより、化合物(41)を得、続いて、これをパラジウム触媒下、水素ガスによる脱ベンジル化することにより、化合物(42)を得る。この化合物(42)と化合物(A)とのエーテル化反応により、化合物(43)を得た後、これに化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(44)が得られ得る。
【0063】
なお、メソーゲン基とエチレン性不飽和基との間に連結基を有さない場合(l=0)は、化合物(42)に、直接、化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(45)が得られ得る。
【0064】
(合成経路6)
上記式(I)において、n=0、p≠0の場合を説明する。図6に、合成経路6を模式的に示す。
【0065】
まず、化合物(28)と化合物(46)とのフリーデル・クラフト反応により、化合物(47)を得る。続いて、パラジウム触媒下、化合物(47)と化合物(4)とのカップリング反応により、化合物(48)を得る。この化合物(48)を還元することにより、化合物(49)を得た後、これを脱ベンジル化することにより、化合物(50)を得る。
【0066】
次いで、化合物(50)と化合物(A)とのエーテル化反応により、化合物(51)を得た後、これに化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(52)が得られ得る。
【0067】
なお、メソーゲン基とエチレン性不飽和基との間に連結基を有さない場合(l=0)は、化合物(50)に、直接、化合物(B)を作用させることにより、目的とする化合物(53)が得られ得る。
【0068】
本発明の化合物の合成に用い得るフルオロアルキル化合物は、市販されているか、または市販の化合物より誘導し得る。例えば、CkF2k+1COOH(k=1〜10)、CkF2k+1I(k=2、3、4、6、7、8または10)、CkF2k+1CH2OH(k=1、2、3、8、9または10)、CkF2k+1CH2CH2OH(k=4、6、8または10)、およびCkF2k+1(CH2)6OH(k=2、4、6または8)は、(株)ダイキンファインケミカル研究所、PCR社、アルドリッチ社、フルオロケミ社などから市販されている。また、これらの市販化合物を出発物質として、当該技術分野では公知の炭素鎖長伸長法、酸化反応、還元反応、カップリング反応などを用いることにより、目的とするフルオロアルキル化合物を誘導し得る。
【0069】
(液晶表示素子)
本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方が透明である一対の基板とその基板間に挟まれた、高分子または高分子壁とこの高分子または高分子壁で囲まれた液晶領域とを有する液晶層とを有し、この高分子または高分子壁は、重合前駆体として本発明の重合性化合物を少なくとも1種類を含む単量体から形成される。
【0070】
本発明に用いられる液晶材料は、常温付近で液晶状態を示す有機物混合体であれば特に制限されないが、好ましい液晶材料としてネマティック液晶(2周波駆動用液晶、△ε<0の液晶を含む)、コレステリック液晶(特に、可視光に選択反射特性を有する液晶)、もしくはスメクティック液晶、強誘電性液晶、デスコティック液晶などを挙げることができる。これらのうち特に、ネマティック液晶もしくは、コレステリック液晶、またはカイラル剤の添加されたネマティック液晶が特性上好ましい。カイラル剤の添加されたネマティック液晶においては、ヒステリシス、均一性、d・△n(位相差)による着色の問題などから10μm以上の螺旋ピッチを持つようにカイラル剤を添加することが好ましい。また、加工時に光重合反応を伴うため耐化学反応性に優れた液晶が好ましい。具体的には、化合物中、フッ素原子などの官能基を有する液晶であり、ZLI−4801−000、ZLI−4801−001、ZLI−4792(メルク社製)などを挙げることができる。これらの液晶材料は、混合して用い得る。
【0071】
液晶材料と少なくとも本発明の重合性化合物を含む単量体との混合比は、液晶材料と単量体との重量比(液晶材料:重合性化合物)が、97:3〜60:40の範囲であるのが好ましい。60:40より単量体が多くなると、液晶素子の電極電圧に対して変化する液晶領域が減少しコントラストが取れなくなる。97:3より単量体が少なくなると、高分子壁が十分に形成できなくなり、パネルの耐強度が不十分となり実用上問題である。
【0072】
本発明の液晶表示素子の好適な形成方法は、まず、ITO(酸化インジュウムおよび酸化スズ複合物、膜厚50nm)を透明電極とする液晶セルを作製し、その上に所定のホトマスクを配置する。セル中に少なくとも本発明の重合性化合物を含む単量体および液晶材料の均一混合物を毛管注入する。その後、透明電極間に電圧を印加しながらホトマスク側から平行光線を得られる高圧水銀ランプで紫外線を照射して単量体を硬化させて、液晶表示素子を形成する。
【0073】
上記のようにして本発明の重合性化合物を用いて得られる液晶素子は、1)飽和電圧印加時に液晶分子が基板に対してほぼ直立(Δε>0の場合)しているために、偏光板が視角特性を持っていること、および2)液晶層がリタデーションd・△nを持っているために偏光板の偏光軸から45°方向に視角特性が悪い領域が存在しやすい。2)の原因は、軸方向から入った光は、液晶層の屈折率楕円体を横切る時、常光もしくは異常光のみの成分しか有さないが、偏光板の偏光軸から45°方向から光が入った場合、液晶層の屈折率楕円体を横切る時、常光と異常光との両成分を有するために(見かけ上、互いに直交した偏光板の偏光軸が互いに開いた状態に対応している。)、楕円偏光となり光の漏れが顕著になるためである。従って、液晶層のリタデーションは、なるべく小さくし、楕円偏光を生じにくくすることが好ましい。しかし、電圧印加しない時の透過率T0が、液晶層のリタデーションに影響されるため、300nm〜650nmであることが、視角特性の全方位性とセルの明るさを確保する観点から好ましい(300nm以下では、電圧OFF時の明るさが確保できず暗い表示となる)。ツイスト角は、45〜150°が好ましく、特に、ファーストミニマム条件を満たす90°付近が最も明るく好ましい。
本発明の重合性化合物を用いて液晶素子を形成すると、液晶分子の配向性が良好になるが、さらに、種々の配向法を用いて液晶分子の配向を制御することができる。本発明で使用し得る配向法としては、液晶セルを形成する基板にポリイミドなどの高分子材料や無機材料を塗布後、布で擦るラビング法、表面張力の低い化合物を塗布する垂直配向法、SiO2などの斜め蒸着による斜め配向法、また、ラビング処理を行わない水平配向膜、または無処理基板(基板に透明電極を設置した基板)などを使用し得る。
【0074】
本発明の液晶表示素子で使用し得る基板としては、透明固体であるガラス板、高分子フィルムなどのプラスティック基板などが使用できる。一方、非透明固体としては、金属薄膜つき基板、Si基板などが利用できる。反射型の液晶表示素子とする場合は、金属薄膜つき基板が有効である。プラスティック基板としては、可視光を吸収しない材料で形成することが好ましく、例えば、PET、アクリル系ポリマー、スチレン、ポリカーボネートが挙げられる。また、プラスティック基板を使用する場合は、基板自身に偏光能を付与し得る。さらに、これらの異種の基板を2種組み合わせた積層基板を使用し得、また、同種異種を問わず厚みの異なった基板を2枚組み合わせた積層基板を使用し得る。
【0075】
上記形成方法によって形成される液晶素子に、さらに従来のラビング、SiO2斜方蒸着などの液晶配向技術を適用した場合、本液晶素子を2枚の偏光板で挟むことにより、ハイコントラストで駆動電圧の急峻な従来の配向制御型表示素子(TN、STN、ECB、強誘電性液晶素子など)をポリマー中に疑似固体化した液晶素子を作製し得る。
上記形成方法によって形成される液晶素子、またはこれを2枚の偏光板で挟んだ液晶素子は、特に限定されないが、単純マトリックス駆動、a−SiTFT、p−Si TFT、MIMなどのアクティブ駆動などの駆動法で駆動し得る。
【0076】
【作用】
液晶材料と光硬化性樹脂などの重合性樹脂材料との混合物から、基板上の配向規制力を制御した表示モードの液晶表示素子を作製する場合、通常、配向膜と液晶領域との間に高分子と液晶が混在した高分子層が形成される。この高分子層は、一般に配向膜の液晶分子に対する配向規制力を弱める傾向がある。これに対して、この高分子層中に本発明の重合性化合物を含む単量体から形成された高分子を含有させると、この高分子中の本発明の重合性化合物に由来する部分が側鎖に液晶材料に類似し骨格を有し、かつ、その末端にフッ素化アルキル基を有するため、高分子層に液晶領域内の液晶分子に対して配向規制効果を及ぼす能力が出現する。その結果、液晶の配向状態が安定化される。
【0077】
液晶領域内の液晶分子が軸(基板面に対して垂直方向の軸)対称状に配向した液晶表示素子においては、多くの場合、電圧印加時の液晶領域外周部にリバースティルト(図15参照)によるディスクリネーションラインが発生する。しかし、本発明の重合性化合物を用いることにより、黒表示レベルを悪化させていた電圧印加時のディスクリネーションラインの発生が抑制され得る。さらに、本発明の重合性化合物を用いることによりフルオロアルキル化された基が液晶層を構成する高分子に導入されるため、液晶分子の高分子へのアンカリング力が低減され得、そのことにより、従来問題となっていた応答速度の劣化および電圧−透過率特性の閾地特性および急峻性の劣化などに伴う問題が改善され得る。これらのことにより、液晶表示素子の表示特性(視野角特性、コントラスト、応答速度、閾値特性および急峻性など)の飛躍的な向上が可能となる。
【0078】
本発明者らは、上述したような重合性化合物の検討と併せて、この重合性化合物と液晶材料とを組み合わせることにより、高分子に囲まれた液晶滴(液晶領域)の大きさを画素とほぼ同じ大きさにし、1画素に対してほぼ1つの液晶滴が規則的に配置される手法についても検討した結果、以下の2方法が極めて有効であることを見いだした。
【0079】
▲1▼ 加工時に規則的で、かつ、画素の大きさとほぼ同等の液晶滴径に近いUV照度むらをもつUV光を、画素の大部分に当たる領域を遮光してUV光が当たらないように照射することで、高分子(高分子)壁に囲まれた液晶領域を有する液晶層を備えた液晶表示素子を作製する方法、および
▲2▼ 液晶相と等方相とに対する界面自由エネルギーの異なる材料を予め基板上にパターニングして形成しておき、この表面パターンに基づいて液晶相を配置するなどの、界面自由エネルギーをパターン化して制御することで高分子壁に囲まれた液晶領域を有する液晶表示素子を作製する方法。
【0080】
【実施例】
(実施例)
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例中に記載の略記号の意味は下記の通りである。
【0081】
GC:ガスクロマトグラフィー
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
TLC:薄層クロマトグラフィー
IR:赤外線吸収スペクトル
Mass:質量スペクトル
b.p:沸点
m.p:融点
Y:収率
C:結晶
SA:スメクティックA相
Sx:同定できなかったスメクティック相
Ne:ネマティック相
Iso:等方性液体
?:不明確で特定できなかった温度
(実施例1)
下記化5に示す本発明の重合性化合物を合成した。
【0082】
【化5】
【0083】
以下に合成手順を示す。
【0084】
(a)CF3(CF2)3CH2CH2OSO2CF3の合成:
内部をアルゴン置換したフラスコに、2−(パーフルオロブチル)エタノール66.0g、および塩化メチレン180mlを仕込み、この溶液に、5℃以下で88.3gの無水トリフルオロメタンスルホン酸、次いで、トリエチルアミン31.7gを滴下した。反応液を室温に戻して、一昼夜攪拌した後、反応液を水75ml、3%希硫酸75ml、水75mlの順で洗浄し、溶媒を留去した。残留分を減圧蒸留することにより、2−(パーフルオロブチル)エチル トリフルオロメタンスルホネート88.3g(Y:92%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで94%であり、b.pは、88〜90℃/28mmHgであった。
【0085】
(b)下記化6に示す化合物の合成:
【0086】
【化6】
【0087】
まず、内部をアルゴン置換したシュレンク管に、60%水素化ナトリウム9.0g、および乾燥ジメトキシエタン400mlを仕込み、これに、氷水冷下で4,4’−ジヒドロキシビフェニル29.8gを加えた後、室温にもどして2時間攪拌した。再び、反応液を−60℃まで冷却して、2−(パーフルオロブチル)エチル トリフルオロメタンスルホネート86gを滴下した後、この反応液を室温にもどして一昼夜攪拌した。続いて、反応液を希塩酸に注加して、有機層をベンゼンで抽出した。ベンゼン層を水洗し、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ベンゼン)にて精製し、さらにトルエンより再結晶することにより、4−ヒドロキシ−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル18.8g(Y:27.1%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで98.4%であった。
【0088】
(c)下記化7に示す化合物の合成:
【0089】
【化7】
【0090】
フラスコに、4−ヒドロキシ−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル1.7g、およびテトラヒドロフラン10mlを仕込み、これに、1N水酸化カリウム水溶液3.9mlを加えてしばらく攪拌した。溶媒を減圧下に留去した後、メタノール15ml、8−ブロモオクタノール0.85gを加えて、還流下に12時間攪拌した。次に、反応液に水を加えて、有機層をエーテルで抽出し、エーテル層を希塩酸、水の順で洗浄した。溶媒を留去して、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ベンゼン/酢酸エチル=9/1)にて精製した。最後に、トルエンより再結晶することにより、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル1.5g(Y:67.2%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで98.8%であった。
【0091】
(d)上記化5に示す化合物の合成:
内部をアルゴン置換したフラスコに、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル1.5g、トリエチルアミン0.3g、およびテトラヒドロフラン16mlを仕込み、これに、氷水冷下、アクリル酸クロライド0.3gを滴下した。室温に戻して3時間攪拌した後、反応液を水に注加して、有機層をベンゼンで抽出した。ベンゼン層を水洗して、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。最後に、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ベンゼン)にて精製し、さらにアセトンより再結晶することにより、4−[8−(アクリロイルオキシ)オクチルオキシ]−4’−[(2−パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル0.7g(Y:44.4%)を得た。得られた物質の相転移温度は、下記表2に示す通りであった。また、純度は、GCで98.4%、HPLCで99.4%であり、TLCで1スポットであった。
【0092】
【表2】
【0093】
また、IR測定の結果、Mass分析で614に分子イオンピークが認められたこと、および用いた原料の関係から、得られた物質が上記化5に示す化合物であることを確認した。
【0094】
(実施例2)
下記化8に示す本発明の重合性化合物を合成した。
【0095】
【化8】
【0096】
以下に合成手順を示す。
【0097】
(a)CF3CF2CH2OSO2CF3の合成:
上記実施例1の(a)の合成工程において、2−(パーフルオロブチル)エタノール66.0gの代わりに、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノール37.5gを用いた他は、実施例1の(a)における操作と同様に操作することにより、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル トリフルオロメタンスルホネート64.0g(Y:90.7%)を得た。得られた化合物のb.pは、97〜98℃であった。
【0098】
(b)下記化9に示す化合物の合成:
【0099】
【化9】
【0100】
上記実施例1の(b)の合成工程において、2−(パーフルオロブチル)エチルトリフルオロメタンスルフォネート86gの代わりに、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル トリフルオロメタンスルホネート63.2gを用いた他は、実施例1の(b)における操作と同様に操作することにより、4−ヒドロキシ−4’−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ)ビフェニル24.9g(Y:35.0%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで98.8%であった。
【0101】
(c)下記化10に示す化合物の合成:
【0102】
【化10】
【0103】
上記実施例1の(c)の合成工程において、4−ヒドロキシ−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル1.7gに代えて、4−ヒドロキシ−4’−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ)ビフェニル1.24gを用いた他は、実施例1の(c)における操作と同様に操作することにより、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ)ビフェニル1.1g(Y:64.2%)を得た。
【0104】
(d)上記化8に示す化合物の合成:
上記実施例1の(d)の合成工程において、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル1.5gの代わりに、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ)ビフェニル1.1gを用いた他は、実施例1の(d)における操作と同様に操作することにより、4−[8−(アクリロイルオキシ)オクチルオキシ]−4’−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルオキシ)ビフェニル0.5g(Y:40.6%)を得た。得られた物質のm.pは、73.7℃であった。また、純度は、GCで98.2%、HPLCで98.0%であり、TLCで1スポットであった。
【0105】
また、IR測定の結果、Mass分析で500に分子イオンピークが認められたこと、および用いた原料の関係から、得られた物質が上記化8に示す化合物であることを確認した。
【0106】
(実施例3)
下記化11に示す本発明の重合性化合物を合成した。
【0107】
【化11】
【0108】
以下に合成手順を示す。
【0109】
(a)下記化12に示す化合物の合成:
【0110】
【化12】
【0111】
フラスコに、ベンジルブロマイド25g、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル36.4g、炭酸カリウム40.4g、および2−ブタノン300mlを仕込み、還流下に、6時間攪拌した。反応液を水に注加して、有機層をトルエンで抽出した後、トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させた。溶媒を留去し、残留分をアセトンより再結晶することにより、4−ブロモ−4’−ベンジルオキシビフェニル42.5g(Y:85.8%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで99.0%であった。
【0112】
(b)下記化13に示す化合物の合成:
【0113】
【化13】
【0114】
まず、内部をアルゴン置換したフラスコに、4−ブロモ−4’−ベンジルオキシビフェニル13.5g、銅粉12.6g、および無水ジメチルスルホキシド40mlを仕込み、これに、60℃でパーフルオロブチルヨーダイド15.2gを滴下した後、60℃で2時間、110℃で4時間攪拌した。放冷後、反応液にクロロホルムを投入し、不溶物を濾過して除いた後、濾液を水洗し、芒硝で乾燥させた。最後に、溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:へキサン/トルエン=6/1)にて精製した後、アセトンより再結晶することにより、4−パーフルオロブチル−4’−ベンジルオキシビフェニル17.1g(Y=89.8%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで96.2%であり、そのm.pは、128〜134℃であった。
【0115】
(c)下記化14に示す化合物の合成:
【0116】
【化14】
【0117】
オートクレーブに、4−パーフルオロブチル−4’−ベンジルオキシビフェニル16.6g、10%パラジウム−カーボン1g、およびテトラヒドロフラン110mlを仕込み、水素加圧下、24時間攪拌した。反応液を濾過して、触媒を除いた後、濾液を濃縮して、残留分をアセトンより再結晶することにより、4−パーフルオロブチル−4’−ヒドロキシビフェニル9.4g(Y:69.8%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで98.3%であり、そのm.pは、131〜134℃であった。
【0118】
(d)下記化15に示す化合物の合成:
【0119】
【化15】
【0120】
フラスコに、4−パーフルオロブチル−4’−ヒドロキシビフェニル8g、テトラヒドロフラン50ml、および1N水酸化カリウム水溶液25mlを仕込み、しばらく攪拌した後、溶媒を留去した。これに、8−ブロモオクタノール5.3g、およびメタノール60mlを添加し、還流下に、15時間攪拌した。反応液を水に注加して、有機層をトルエンで抽出した後、トルエン層を水洗し、芒硝で乾燥させた。溶媒を留去し、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/酢酸エチル=12/1)にて精製し、最後に、アセトンより再結晶することにより、4−パーフルオロブチル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル4.5g(Y:42.3%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで92.2%であり、そのm.pは、102〜104℃であった。
【0121】
(e)上記化11に示す化合物の合成:
フラスコに、4−パーフルオロブチル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル4.1g、トリエチルアミン0.9g、およびテトラヒドロフラン40mlを仕込み、これに、氷水冷下、アクリル酸クロライド0.8gを滴下した。室温に戻して2時間攪拌した後、反応液を水に注加して、有機層をベンゼンで抽出した。ベンゼン層を水洗して、芒硝で乾燥させた後、溶媒を留去した。最後に、残留分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ベンゼン)にて精製し、さらにヘキサンより再結晶することにより、4−[8−(アクリロイルオキシ)オクチルオキシ]−4’−パーフルオロブチルビフェニル2.6g(Y:57.7%)を得た。得られた物質のm.pは、45.0℃であった。また、純度は、GCで99.8%、HPLCで99.9%であり、TLCで1スポットであった。
【0122】
また、IR測定の結果、Mass分析で570に分子イオンピークが認められたこと、および用いた原料の関係から、得られた物質が上記化11に示す化合物であることを確認した。
【0123】
(実施例4)
下記化16に示す本発明の重合性化合物を合成した。
【0124】
【化16】
【0125】
以下に合成手順を示す。
【0126】
(a)下記化17に示す化合物の合成:
【0127】
【化17】
【0128】
上記実施例3の(b)の合成工程において、パーフルオロブチルヨーダイド15.2gに代えて、パーフルオロヘキシルヨーダイド19.6gを用た他は、実施例3の(b)における操作と同様に操作することにより、4−パーフルオロヘキシル−4’−ベンジルオキシビフェニル12.8g(Y:50.4%)を得た。得られた化合物のm.pは、137〜143℃であった。
【0129】
(b)下記化18に示す化合物の合成:
【0130】
【化18】
【0131】
上記実施例3の(c)の合成工程において、4−パーフルオロブチル−4’−ベンジルオキシビフェニル16.6gに代えて、4−パーフルオロヘキシル−4’−ベンジルオキシビフェニル12.5gを用いた他は、実施例3の(c)における操作と同様に操作することにより、4−パーフルオロヘキシル−4’−ヒドロキシビフェニル10.0g(Y:94.9%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで98.5%であり、そのm.pは、142〜147℃であった。
【0132】
(c)下記化19に示す化合物の合成:
【0133】
【化19】
【0134】
上記実施例3の(d)の合成工程において、4−パーフルオロブチル−4’−ヒドロキシビフェニル8gに代えて、4−パーフルオロヘキシル−4’−ヒドロキシビフェニル10gを用いた他は、実施例3の(d)における操作と同様に操作することにより、4−パーフルオロヘキシル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル6.3g(Y:49.9%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで95.4%であった。
【0135】
(d)上記化16に示す化合物の合成:
上記実施例3の(e)の合成工程において、4−パーフルオロブチル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル4.1gに代えて、4−パーフルオロヘキシル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル4.9gを用いた他は、実施例3の(e)における操作と同様に操作することにより、4−[8−(アクリロイルオキシ)オクチルオキシ]−4’−パーフルオロヘキシルビフェニル3.3g(Y:62%)を得た。得られた物質のm.pは、54.3℃であった。また、純度は、GCで99.3%、HPLCで99.5%であり、TLCで1スポットであった。
【0136】
また、IR測定の結果、Mass分析で670に分子イオンピークが認められたこと、および用いた原料の関係から、得られた物質が上記化16に示す化合物であることを確認した。
【0137】
(実施例5)
下記化20に示す本発明の重合性化合物を合成した。
【0138】
【化20】
【0139】
以下に合成手順を示す。
【0140】
(a)下記化21に示す化合物の合成:
【0141】
【化21】
【0142】
上記実施例3の(b)の合成工程において、パーフルオロブチルヨーダイド15.2gに代えて、パーフルオロオクチルヨーダイド24.0gを用いた他は、実施例3の(b)における操作と同様に操作することにより、4−パーフルオロオクチル−4’−ベンジルオキシビフェニル16.1g(Y=54.0%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで97.6%であった。
【0143】
(b)下記化22に示す化合物の合成:
【0144】
【化22】
【0145】
上記実施例3の(c)の合成工程において、4−パーフルオロブチル−4’−ベンジルオキシビフェニル16.6gに代えて、4−パーフルオロオクチル−4’−ベンジルオキシビフェニル16.0gを用いた他は、実施例3の(c)における操作と同様に操作することにより、4−パーフルオロオクチル−4’−ヒドロキシビフェニル12.7g(Y:92%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで97.6%であり、そのm.pは、162.5〜164.5℃であった。
【0146】
(c)下記化23に示す化合物の合成:
【0147】
【化23】
【0148】
上記実施例3の(d)の合成工程において、4−パーフルオロブチル−4’−ヒドロキシビフェニル8gに代えて、4−パーフルオロオクチル−4’−ヒドロキシビフェニル12.1gを用い、その他は、実施例3の(d)における操作と同様に操作することにより、4−パーフルオロオクチル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル5.9g(Y:40.1%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで98%であった。
【0149】
(d)上記化20に示す化合物の合成:
上記実施例3の(e)の合成工程において、4−パーフルオロブチル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル4.1gに代えて、4−パーフルオロオクチル−4’−(8−ヒドロキシオクチル)オキシビフェニル5.7gを用いた他は、実施例3の(e)における操作と同様に操作することにより、4−[8−(アクリロイルオキシ)オクチルオキシ]−4’−パーフルオロオクチルビフェニル1.6g(Y:26%)を得た。得られた物質のm.pは、75.5℃であった。また、純度は、GCで98.2%、HPLCで99.0%であり、TLCで1スポットであった。
【0150】
また、IR測定の結果、Mass分析で770に分子イオンピークが認められたこと、および用いた原料の関係から、得られた物質が上記化20に示す化合物であることを確認した。
【0151】
(実施例6)
下記化24に示す本発明の重合性化合物を合成した。
【0152】
【化24】
【0153】
以下に合成手順を示す。
【0154】
(a)CF3(CF2)5CH2CH2OSO2CF3の合成:
上記実施例1の(a)の合成工程において、2−(パーフルオロブチル)エタノール66.0gに代えて、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール91gを用いた他は、実施例1の(a)における操作と同様に操作することにより、2−(パーフルオロヘキシル)エチル トリフルオロメタンスルフォネート98.9g(Y:80%)を得た。得られた化合物のb.pは、64℃/0.7mmHgであった。
【0155】
(b)下記化25に示す化合物の合成:
【0156】
【化25】
【0157】
上記実施例1の(b)の合成工程において、2−(パーフルオロブチル)エチルトリフルオロメタンスルフォネート86gに代えて、2−(パーフルオロヘキシル)エチル トリフルオロメタンスルフォネート107.6gを用いた他は、実施例1の(b)における操作と同様に操作することにより、4−ヒドロキシ−4’−〔2−(パーフルオロヘキシル)エチルオキシ〕ビフェニル35.7g(Y:31%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで99.7%であり、その相転移温度は、下記表3に示す通りであった。
【0158】
【表3】
【0159】
(c)下記化26に示す化合物の合成:
【0160】
【化26】
【0161】
上記実施例1の(c)の合成工程において、4−ヒドロキシ−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル1.7gに代えて、4−ヒドロキシ−4’−[2−(パーフルオロヘキシル)エチルオキシ]ビフェニル2.1gを用いた他は、実施例1の(c)における操作と同様に操作することにより、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−[2−(パーフルオロヘキシル)エチルオキシ]ビフェニル2.0g(Y:78%)を得た。得られた化合物の純度は、GCで74.8%であり、その相転移温度は、下記表4に示す通りであった。
【0162】
【表4】
【0163】
(d)上記化24に示す化合物の合成:
上記実施例1の(d)の合成工程において、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−[2−(パーフルオロブチル)エチルオキシ]ビフェニル1.5gに代えて、4−(8−ヒドロキシオクチルオキシ)−4’−[2−(パーフルオロヘキシル)エチルオキシ]ビフェニル1.76gを用いた他は、実施例1の(d)における操作と同様に操作することにより、4−[8−(アクリロイルオキシ)オクチルオキシ]−4’−[2−(パーフルオロヘキシル)エチルオキシ]ビフェニル1.1g(Y:58%)を得た。得られた物質の相転移温度は、下記表5に示す通りであった。また、純度は、HPLCで99.9%であり、TLCで1スポットであった。
【0164】
【表5】
【0165】
また、IR測定の結果、Mass分析で714に分子イオンピークが認められたこと、および用いた原料の関係から、得られた物質が上記化24に示す化合物であることを確認した。
【0166】
(実施例7〜10)
実施例7〜10として、上記重合性化合物を用いた液晶表示素子を、マスクパターン露光によって作製した。以下に、その作製方法を詳述する。
【0167】
まず、ITO(酸化インジュウムおよび酸化スズの混合物、膜厚50nm)を透明電極として有する、厚さ1.1mmのガラス基板2枚を対向させ、この2枚の基板間に、平均粒径5μmのスペーサーを狭持させることにより、セル厚が保たれたセルを作製した。作製したセルの片面上に、図7に示すように、遮光部31および透光部32を有するホトマスク3を配置した。この遮光部31は、画素に対応するように設けた。
【0168】
次に、このセル中に、高分子(壁)を構成するための樹脂組成物として、イソボルニルアクリレート0.65g、1,4−ブタンジオールアクリレート0.15g、p−フェニルスチレン0.10g、および下記表6に示す重合性化合物X0.10gと、液晶組成物として、ZLI−4792(メルク社製:△n=0.094)13.3gと、光重合開始剤Irgacure651 0.04gとの混合物を均一に混合した後、毛管注入して液晶セルとした。
【0169】
【表6】
【0170】
その後、透明電極間に±4Vの電圧を印加しながら、ホトマスクを介して平行光線を得られる高圧水銀ランプ下10mW/cm2のところで100℃、8分照射した。なお、この状態で、紫外線は、液晶セルに対して空間的に規則性を有したパターンとして照射されている。
【0171】
次いで、電圧は、そのまま印加した状態で、液晶セルを、10℃/hrの冷却速度で、25℃(この温度では、液晶はネマティック状態となる。)まで徐々に冷却し、さらに3分間連続して紫外線を照射することにより、樹脂組成物を硬化させた。
【0172】
作製した液晶セルを偏光顕微鏡で観察したところ、図8に示すように、ほぼ30を反映した液晶領域20が形成され、かつ、液晶分子が液晶領域20の中央を中心軸とした軸対称伏の配向状態になっていることが観察された。
【0173】
最後に、この液晶セルの各基板に偏光板を互いに直交するように貼り合わせて、液晶表示素子とした。
【0174】
液晶表示素子の電気光学特性の評価は、液晶特性評価システムLCD−5000(大塚電子社製)を用いて、上記ガラス基板を2枚貼り合わせただけの空セルの両側に偏光板を平行ニコルに配置して作製したセルをリファレンスとして、電圧−透過率特性および液晶セルの応答速度を測定した。ここで、応答速度は、電圧10Vを印加による光線透過率変化が、初期透過率から90%変化するのに要した時間を立ち上がりの応答速度τr(ms)と、また、印加電圧遮断による光線透過率変化が、黒状態透過率から90%変化するのに要した時間を立ち下がりの応答速度τd(ms)としたとき、それらの応答速度の和τr+τd(ms)として評価した。また、駆動特性の急峻性については、全透過率変化幅の10%および90%の透過率変化をおこす電圧をそれぞれV10およびV90としたとき、この電圧の比(V90/V10)の絶対値αとして評価した。
【0175】
実施例7および実施例8の液晶表示素子の電気光学特性についての測定結果を下記表7に示す。また、実施例8で得られた液晶表示素子の電圧−透過率特性を図9に示す。なお、他の実施例についてもほぼ同じ傾向であった。
【0176】
【表7】
【0177】
ディスクリネーションラインは、実施例8〜10の液晶表示素子では完全に発生が抑制されており、実施例7の液晶表示素子では、わずかのディスクリネーションラインが発生したのみであった。
【0178】
(実施例11〜14)
実施例11〜14として、上記重合性化合物を用いた液晶表示素子を、絶縁体パターン露光によって作製した。以下に、その作製方法を詳述する。
【0179】
まず、ガラス基板(厚さ1.1mm)上に、ITO(50nm)を透明電極として有する第1の基板および第2の基板を使用した。第一の基板は、所定のレジスト塗布、焼成、図7のホトマスク3を用いた露光工程、現像、リンス、および焼成の各工程を経てレジスト材料(OMR83:東京応化社製)を用いて、図10の(a)平面図、および(b)断面図に示すような絶縁性物質のパターニング壁40を形成した。なお、このパターニング壁40は、そのパターニング壁40が形成されない部分が画素に対応するように設けた。一方、第2の基板には、ポリイミド絶縁膜AL4552(日本合成ゴム社製)を塗布、形成した(ラビングは未処理)。作製した第1および第2の基板を対向させ、この2枚の基板間に、平均粒径5μmのスペーサーを狭持させることにより、セル厚が保たれたセルを作製した。
【0180】
なお、ITOおよびレジストの界面自由エネルギーは、それぞれ 93mN/mおよび35mN/mであり、この自由エネルギーの差を利用して、液晶領域を画素に対応した所望の領域に形成する。
【0181】
次に、このセル中に、高分子(壁)を構成するための光重合性樹脂組成物として、イソボルニルアクリレート0.65g、ネオペンチルジアクリレート0.15g、p−メチルスチレン0.10g、および下記表8に示す重合性化合物Z 0.10gと、液晶組成物として、ZLI−4792(メルク社製:△n=0.094)13.3gと、光重合開始剤Irgacure651 0.04gとを混合した均一混合物を、減圧下から真空注入した。
【0182】
【表8】
【0183】
その後、液晶セルの温度を110℃に保って、かつ、透明電極間に実効電圧2.5V:60Hzの電圧を印加しながら、第1の基板側から高圧水銀ランプ下10mW/cm2のところで、5分間紫外線を照射することにより、樹脂組成物を硬化させた。
【0184】
次いで、電圧は、そのまま印加した状態で、液晶セルを、5時間かけて40℃まで冷却した後、室温(25℃)に戻してからさらに同じ紫外線照射装置で紫外線照射をして硬化を促進させた。
【0185】
最後に、この液晶セルの前後に互いに直交する2枚の偏光板(検光子および偏光子)を貼り合わせて、高分子壁に囲まれた液晶領域を有する液晶層を備えた液晶表示素子を作製した。
【0186】
図11に、作製した液晶表示素子を、偏光顕微鏡で観察したところを示す。図11から分かるように、画素外のレジストをパターニングした部分(パターニング壁40形成部分以外の部分)に高分子壁が形成されていた。また、ITOの領域に一区画ごとに、液晶領域20が、モノドメイン状態で、かつ液晶分子が軸対称状に配向して形成されていた。これは、2枚の偏光板を固定して液晶表示素子とした状態で液晶セルを回転させたところ、液晶領域20のシュリーレン模様(消光模様)の位置が一定で、周りの高分子壁だけが回転しているように観察されたことからわかる。
【0187】
作製した液晶表示素子の電気光学特性評価結果を、上記表7に示す。本発明の液晶表示素子では、後述する比較例1に示す従来のTNモード液晶表示素子で見られるような反転現象は見られず、飽和電圧印加時の高視角方向での透過率の増加も見られなかった。また、さらに、中間調表示状態においても、ざらつきは観察されなかった。
【0188】
(実施例15)
実施例15として、上記重合性化合物を用いた、TNモード液晶表示素子を作製した。以下に、その作製方法を詳述する。
【0189】
IT0(50nm)透明電極付きガラス基板(厚さ1.1mm)上に、ポリイミド配向膜(AL4552:日本合成ゴム社製)をスピンコート法により塗布した後、ナイロン布により所定のラビング処理を行った。作製した2枚の基板を互いにラビング方向が直交するように、平均粒径5μmのLCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0190】
このように構成したセル上に、図7に示すホトマスク3を配置し、さらに、セル中に、上記実施例8と同じ重合性樹脂組成物、液晶材料ZLI−4792(メルク社製:△n=0.094)、および光重合開始剤Irgacure 651を同様の比率で調合した混合物を、毛管注入により注入した。その後、本発明の他の実施例と同様の方法に従って、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0191】
作製した液晶セルに、偏光軸がラビング方向と一致するように2枚の偏光板を貼り合わせて、TMモードの液晶表示素子を得た。
【0192】
本実施例で作製した液晶表示素子では、液晶材料は均一な配向状態を有するTN配向となっていた。また、本実施例の液晶表示素子は、液晶領域が高分子によって囲まれているために、後述する比較例1に示した従来のTNモード液晶表示素子に比べて、表示面上をペンなどで押しても、表示特性に変化が認められず、液晶表示素子の耐圧力性が飛躍的に向上することが確かめられた。
【0193】
(実施例16)
実施例16として、上記重合性化合物を用いた、STNモード液晶表示素子を作製した。以下に、その作製方法を詳述する。
【0194】
IT0(50nm)透明電極付きガラス基板(厚さ1.1mm)上に、ポリイミド配向膜(サンエバー:日産化学社製)をスピンコート法により塗布した後、ナイロン布により所定のラビング処理を行った。作製した2枚の基板を互いにラビング方向が240゜になるように、平均粒径9μmのLCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0195】
このように構成したセル上に、図7に示すホトマスク3を配置し、さらに、セル中に、上記実施例7と同じ重合性樹脂組成物、液晶材料ZLI−4427(メルク社製)、および光重合開始剤Irgacure651を同様の比率で調合した混合物を、毛管注入により注入した。その後、本発明の他の実施例と同様の方法に従って、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0196】
作製した液晶セルに、偏光軸がラビング方向から45゜、かつ、互いに105゜となるように2枚の偏光板を貼り合わせて、STNモードの液晶表示素子を得た。
【0197】
本実施例で作製した液晶表示素子では、液晶材料は均一な配向状態を有するSTN配向となっていた。また、本実施例の液晶表示素子は、液晶領域が高分子によって囲まれているために、従来のSTNモードの液晶表示素子に比べて、表示面上をペンなどで押しても表示特性に変化が認められず、液晶表示素子の耐圧力性が飛躍的に向上することが確かめられた。
【0198】
(実施例17)
実施例17として、上記重合性化合物を用いた、SSFLCモード液晶表示素子を作製した。以下に、その作製方法を詳述する。
【0199】
ITO(50nm)透明電極付きガラス基板(厚さ1.1mm)上に、ポリイミド配向膜(サンエバー:日産化学社製)をスピンコート法により塗布した後、ナイロン布により所定のラビング処理を行った。作製した2枚の基板を互いにラビング方向が直交するように、平均粒径2μmのLCDスペーサーを介して貼り合わせた。
【0200】
このように構成したセル上に、図7に示すホトマスク3を配置し、さらに、セル中に、重合性樹脂組成物として、ポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−200:新中村化学工業社製)0.02g、ラウリルアクリレート0.09g、スチレン0.01g、および実施例10で使用した化合物X 0.08gと、液晶材料として、ZLI−4003(メルク社製)0.80gと、光重合開始剤としてIrgacure651 0.005gとの混合物を、均一に混合した後、加熱状態で減圧下から真空注入した。その後、本発明の他の実施例と同様の方法に従って、高分子に囲まれた液晶領域を有する液晶セルを作製した。
【0201】
作製した液晶セルに、偏光軸が互いに90゜になるように2枚の偏光板を貼り合わせて、FLCモード(SSF型の配向)の液晶表示素子を得た。
【0202】
作製した液晶表示素子は、偏光顕微鏡下で観察したところ、均一なSSFLC配向状態を実現していた。さらに、本実施例で得られた液晶表示素子の表示面をペンなどで押しても、表示特性に変化が認められなかった。また、通常のFLCモードの液晶表示素子で認められて問題となる外力による配向乱れについても、本実施例の液晶表示素子では確認されず、液晶表示素子の耐圧力性が飛躍的に向上した高速応答液晶デバイスを創出できることが認められた。
【0203】
(比較例・参考例)
以下、本発明の実施例の効果を検証するために有効な比較例および参考例を説明する。
【0204】
(比較例1)
比較例1として、従来のTNモード液晶表示素子を作製した。
【0205】
上記実施例7と同様のITO付き基板に、ポリイミド絶縁膜AL4552を成膜後、ナイロン布によりラビングすることにより配向処理を行った。この配向処理を行った2枚の基板を、配向方向が互いに直交状態になるように配置し、実施例7と同様に、平均粒径5μmのスペーサーを用いて貼り合わせた。
【0206】
次に、作製したセルに、実施例7と同様の液晶材料ZLI−4792(カイラル剤としてS−811(メルク社製)を0.3重量%含有)を注入して液晶セルとした。この液晶セルの前後に、偏光軸がラビング方向と一致するようにし、偏光板を互いに直交配置して貼り合わせて、従来のTNモード液晶表示素子を作製した。
【0207】
この液晶セルの電気光学特性を表7に示し、視角特性を図12に示す。従来のTNモード液晶表示素子では、中間調表示状態で反転現象が生じていることがわかる。
【0208】
(比較例2)
比較例2として、本発明の重合性化合物を含まない重合性樹脂組成物を用いて液晶表示素子を作製した。
【0209】
上記実施例7と同様に作製した空セルの上に、図7に示すホトマスク3を配置した。このセル中に、重合性樹脂組成物として、ステアリルアクリレート0.75g、1,4−ブタンジオール0.15g、およびp−フェニルスチレン0.10gと、液晶材料として、ZLI−4792(メルク社製:△n=0.094)13.3gと、光重合開始剤としてIrgacure651 0.04gとの均一混合物を毛管注入した。その後、上記実施例7〜実施例10と同様に電圧を印加しながら、ホトマスクを介してUV露光して光重合相分離を進行させて液晶セルを作製した。次いで、作製した液晶セルに偏光板を直交ニコルに配置して貼り合わせて液晶表示素子とした。
【0210】
作製した液晶表示素子の電気光学特性の評価は、実施例7と同様に行った。その結果を、表7に示す。
【0211】
本比較例で作製した液晶セルでは、液晶と高分子との相分離が不十分であり、液晶領域中に樹脂材料の混在が認められ、しかも、電圧印加時にディスクリネーションラインの発生が観察されて表示特性の点で満足できるものではない。10V電圧印加時の透過率は1.5%であった。この値は、実施例7〜実施例14の液晶セルの値よりも大きい。これは、ディスクリネーションラインの発生が大きな原因であると思われる。
【0212】
(参考例1〜2)
参考例1〜2として、液晶類似骨格を分子中に有する重合性化合物を含む重合性樹脂組成物を用いて液晶表示素子を作製した。
【0213】
実施例11と同様に、第1のガラス基板上に絶縁性物質のパターニングを形成した後、第1および第2の両基板を平均粒径5μmのスペーサーによりセル厚を保持させて液晶セルを構成した。次いで、このセル中に、光重合性樹脂材料として、イソボルニルアクリレート0.65g、ネオペンチルジアクリレート0.15g、p−メチルスチレン0.10g、および下記表9に示す重合性化合物A 0.10gと、液晶組成物として、ZLI−4792(メルク社製:△n=0.094)13.3gと、光重合開始剤としてIrgacure651 0.04gとを混合した均一混合物を、減圧下から真空注入した。
【0214】
【表9】
【0215】
その後、上記実施例11〜実施例14と同様に電圧を印加しながら、UV露光して光重合相分離を進行させて液晶セルを作製した。次いで、作製した液晶セルに偏光板を直交ニコルに配置して貼り合わせて液晶表示素子とした。
【0216】
作製した液晶表示素子の電気光学特性の評価は、実施例11などと同様に行った。その結果を表7に示す。
【0217】
本参考例で作製した液晶セルでは、液晶類似骨格を分子中に有する重合性化合物の添加により、偏光顕微鏡観察において電圧印加時でのディスクリネーションラインの発生が抑制されていることが観察された。そのため、10V電圧印加時の透過率は0.7%と比較的良好な黒状態表示となっていた。しかしながら、本参考例と上記実施例とを比較した場合、応答速度τr+τdおよび駆動特性の急峻性α値において、参考例では不十分であることが確かめられた。すなわち、本発明の重合性化合物を用いることによって、問題となっていた課題が解決できることが推定される。
【0218】
以上、比較例および参考例から、本発明の重合性化合物を用いた液晶表示素子では、黒レベルの表示特性と共に、応答速度および電圧−透過率特性の閾値特性および急峻性の改善効果が確認できる。
【0219】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、分子末端中にフッ化アルキル基を導入した液晶類似骨格を有する本発明の重合性化合物によれば、液晶−高分子複合体から構成され、液晶領域が軸対称状の配向状態をした液晶デバイスを作製する際に、液晶と重合性化合物との分離性を向上させて液晶材料中への重合性化合物の混入を抑制し、かつ、高分子と液晶分子との表面でのアンカリングを低下させることが可能となる。また、本発明の重合性化合物を添加して作製した液晶表示素子では、黒レベルを悪化させていた電圧印加時のディスクリネーションラインの発生を抑えることができ、液晶表示素子のコントラストを飛躍的に向上させることができ、さらに、液晶分子の配向を安定化し、均一な配向状態が得られる。あわせて、これらの重合性化合物の添加で従来問題となっていた応答速度の劣化、ならびに電圧−透過率特性における閾値特性および急峻性の劣化などに伴う問題に対しても大きく改善でき、特性の向上に効果があることが認められた。
【0220】
また、本発明の液晶表示素子は、軸対称状の配向状態をしているために、視角特性が良好で、かつ、高分子壁をセル中に有するために、酎衝撃性に優れており、特に、大画面表示体やペン入力型の液晶表示素子などに広く応用することができる。また、基板上の配向規制力を液晶領域内に生かせる液晶表示素子においては、配向状態が均一化し、かつ、ペン入力などの外圧に対して耐圧性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重合性化合物の合成経路1を示す図である。
【図2】本発明の重合性化合物の合成経路2を示す図である。
【図3】本発明の重合性化合物の合成経路3を示す図である。
【図4】本発明の重合性化合物の合成経路4を示す図である。
【図5】本発明の重合性化合物の合成経路5を示す図である。
【図6】本発明の重合性化合物の合成経路6を示す図である。
【図7】実施例7などで使用したホトマスク3の概念図である。
【図8】実施例7などで作製された液晶表示素子の偏光顕微鏡による観察図である。
【図9】実施例8で作製された液晶表示素子の電気光学特性(視角特性)を示す図である。
【図10】実施例11などでパターニング形成した液晶セルを構成する基板の概略図であって、(a)は平面図を示し、(b)は(a)中のA−A’線による断面図を示す。
【図11】実施例11などで作製された液晶表示素子の液晶領域の配向状態を示す観察図である。
【図12】比較例1のTNモード液晶表示素子の電気光学特性(視角特性)を示す図である。
【図13】TNモードの液晶表示素子の視角によるコントラスト変化を説明するための図である。
【図14】広視角モードの液晶表示素子の視角によるコントラスト変化を説明するための図である。
【図15】電圧印加時のディスクリネーションラインの発生状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 液晶層
3 ホトマスク
20 液晶領域(斜線部は消光部を示す。)
21 高分子壁
22 ディスクリネーションライン
30 ホトマスクのパターン(画素エリアに対応)
31 ホトマスクの遮光部
32 ホトマスクの透光部
40 レジストのパターニング壁
Claims (5)
- 少なくとも一方が透明である一対の基板と、該一対の基板間に挟まれた、高分子と該高分子で囲まれた液晶領域を有する液晶層とを有し、該高分子が、少なくとも請求項1に記載の重合性化合物を含む単量体から形成される、液晶表示素子。
- 前記液晶領域内の液晶分子の配向状態が、軸対称状、放射状、または同心円状配向、ランダム配向、もしくは渦巻状配向である、請求項2に記載の液晶表示素子。
- 前記高分子が前記基板上に液晶分子の配向状態を規制する絶縁膜としての機能を備える、請求項2または3に記載の液晶表示素子。
- 前記基板上に、前記液晶領域に対応して、一軸性の一様な液晶分子の配向状態を実現するための絶縁膜配向層をさらに具備し、
該液晶領域の配向状態および該素子の全体構成が、TN、STN、ECB、またはSSFLCモードに適した配置とされる、請求項2に記載の液晶表示素子。
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