JP3563399B2 - ガス分析計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、NOXなどの測定すべきガス成分が結合酸素を有するものを測定するガス分析計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、被測定ガス中の所望のガス成分の濃度を知るために、各種の測定方法や装置が提案されてきており、例えば、燃焼ガス等の被測定ガス中のNOXを測定する方法としては、RhのNOX還元性を利用し、ジルコニア等の酸素イオン伝導性の固体電解質上にPt電極及びRh電極を形成せしめてなるセンサを用いて、それら両電極間の起電力を測定するようにした手法が知られている。しかし、そのようなセンサは、被測定ガスである燃焼ガス中に含まれる酸素濃度の変化によって、起電力が大きく変化するばかりでなく、NOXの濃度変化に対して起電力変化が小さく、そのためにノイズの影響を受けやすい。
又、NOXの還元性を引き出すためには、CO等の還元ガスが必須となるところから、一般に大量のNOXが発生する燃料過少の燃焼条件下では、COの発生量がNOXの発生量を下回るようになるため、そのような燃焼条件下に形成される燃焼ガスでは、測定が出来ないという欠点があった。
【0003】
又、Pt電極と酸素イオン伝導性の固体電解質よりなる一組の電気化学的ポンプセルとセンサセル、及びRh電極と酸素イオン伝導性の固体電解質よりなるもう一組の電気化学的ポンプセルとセンサセルを組合せ、各々のポンプ電流値の差により、NOXを測定する方式が明らかにされている(特許文献1及び特許文献2参照)。
更に、一対の電気化学的ポンプセルとセンサセルを二組用意し、一方の一組のポンプセルとセンサセルからなるセンサにて、NOXが還元されない酸素分圧下で、限界ポンプ電流を測定すると共に、他方の一組のポンプセルとセンサセルからなるセンサにて、NOXが還元される酸素分圧下で限界ポンプ電流を測定し、それら限界ポンプ電流の差を求めたり、一組のポンプセルとセンサセルからなるセンサを用い、被測定ガス中の酸素分圧をNOXが還元される酸素分圧と還元され得ない酸素分圧とに切り換えて、限界電流の差を測定する方法が提案されている(特許文献3及び特許文献4参照)。
【0004】
しかしながら、前述のNOX測定方式において、通常、限界電流の値は、大量に含まれる酸素による電流が大部分を占め、目的とするNOXに基づく電流は極めて小さいことから、二つの大きな電流値の差より、NOXに相当する小さな電流値を求めることになる。このため、一組のセンサを切り換えて測定する場合では、連続測定が出来なかったり、応答性や精度が劣る等という問題が生じる。又、二組のセンサを用いる場合では、被測定ガス中の酸素濃度が大きく変化すると、測定値に誤差が生じ易く、被測定ガスの酸素濃度が大きく変化する場合には、使用できない。これは、一方のセンサのポンプ電流の酸素濃度依存性と他方のセンサのポンプ電流の酸素濃度依存性とが、それぞれ異なるためである。
【0005】
更に、二組のセンサの特性の経時変化に差が生じると、それがそのまま誤差となり、長時間の使用に耐えない欠点もあった。
このように、被測定ガス中に存在する酸素は、NOXやそれ以外の他の被測定ガス成分の測定に際して、測定精度の低下等といった問題の原因となっている。
【0006】
このため、本発明者らは、上記の問題を解消すべく、被測定ガス中のNOX等の結合酸素を有する被測定ガス成分を、直列的に配してなる第一及び第二の電気化学的ポンプセルを利用して、被測定ガス中の酸素濃度あるいはその変化に影響を受けることなく、連続的に応答性がよく、且つ長時間正確に測定可能とした新しい測定方法を提案した(特許文献5参照)。
【0007】
この新しい測定方法は、外部の被測定ガス存在空間より、測定されるべき結合酸素を有する被測定ガス成分を含む被測定ガスを、それぞれ所定の拡散抵抗の下に、第一及び第二の処理ゾーンへ順次導き入れ、まず、第一の処理ゾーンにおいて、雰囲気中の酸素を第一の電気化学的ポンプセルにて前記被測定ガス成分量の測定に実質的に影響が無い低い酸素分圧値に制御する一方、第二の処理ゾーンにおいて、該第一の処理ゾーンから導かれた雰囲気中の被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素を、第二の電気化学的ポンプセルによる酸素のポンピング作用にて汲み出すことにより、かかる第二の電気化学的ポンプセルに流れるポンプ電流を検出して、その検出値より、被測定ガス中の被測定ガスの成分量を求めるようにしたものである。
【0008】
【特許文献1】
特開昭63−38154号公報
【特許文献2】
特開昭64−39545号公報
【特許文献3】
特開平1−277751号公報
【特許文献4】
特開平2−1543号公報
【特許文献5】
特許第2885336号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した測定方法の更なる改良にかかるものであり、その目的とするところは、被測定ガス中の酸素濃度が高くなっても、それに影響を受けることなく、連続的に応答性が良く、且つ長時間正確な測定を可能とするとともに、低濃度の被測定ガス成分の測定に際しても高いS/N比が得られ、且つ大きな信号変化を得ることの出来るガス分析計を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、外部の被測定ガス存在空間より、測定されるべき結合酸素を有する被測定ガス成分を含む被測定ガスを、所定の拡散抵抗の下に第一の処理ゾーンに導き、前記第一の処理ゾーンにおいて、第一の電気化学的ポンプセルによる酸素のポンピング作用にて、前記第一の処理ゾーン内の雰囲気の酸素分圧を所定の酸素分圧に制御せしめた後、所定の拡散抵抗の下に第二の処理ゾーンに導き入れ、前記第二の処理ゾーンにおいて、更に酸素を第二の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記雰囲気の酸素分圧を、被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値に制御せしめ、更にその後、第三の処理ゾーンに導き、前記第三の処理ゾーンにおいて、前記第二の処理ゾーンから導かれた雰囲気中の前記被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素を第三の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を検出するガスセンサと、前記ガスセンサにおける前記第一乃至第三の処理ゾーンを酸素ポンピングするための駆動部と、前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を被測定ガス値に演算するとともに、前記第一の処理ゾーンでのポンピング電流を導き、被測定雰囲気の酸素量、若しくは不足酸素量、又は当量を演算する演算部と、前記演算部にて演算された値を表示するか、又は電気的出力として外部へ取り出す表示出力部と、前記ガスセンサを所定温度に加熱するヒータ駆動部と、を備えたことを特徴とするガス分析計が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、外部の被測定ガス存在空間より、測定されるべき結合酸素を有する被測定ガス成分を含む被測定ガスを、所定の拡散抵抗の下に第一の処理ゾーンに導き、前記第一の処理ゾーンにおいて、第一の電気化学的ポンプセルによる酸素のポンピング作用にて、前記第一の処理ゾーン内の雰囲気の酸素分圧を所定の酸素分圧に制御せしめた後、所定の拡散抵抗の下に第二の処理ゾーンに導き入れ、前記第二の処理ゾーンにおいて、更に酸素を第二の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記雰囲気の酸素分圧を、被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値に制御せしめ、更にその後、第三の処理ゾーンに導き、前記第三の処理ゾーンにおいて、前記第二の処理ゾーンから導かれた雰囲気中の前記被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素を第三の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を検出するガスセンサと、前記ガスセンサにおける前記第一乃至第三の処理ゾーンを酸素ポンピングするための駆動部と、前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を被測定ガス値に演算するとともに、前記第一の処理ゾーンでのポンピング電流、前記第二の処理ゾーンでのポンピング電流及び前記第三の処理ゾーンでのポンピング電流を導き、被測定雰囲気の酸素量、若しくは不足酸素量、又は当量を演算する演算部と、前記演算部にて演算された値を表示するか、又は電気的出力として外部へ取り出す表示出力部と、前記ガスセンサを所定温度に加熱するヒータ駆動部と、を備えたことを特徴とするガス分析計が提供される。
【0012】
演算出力した前記被測定雰囲気の酸素量若しくは不足酸素量の値、又は当量値により、測定した被測定ガス成分を補正することが好ましい。また、前記被測定ガス成分はNO X であることが好ましい。
尚、少なくとも前記駆動部が前記ガスセンサと一体的に構成されていることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガス分析計を詳細かつ具体的に説明する。
まず、本発明のガス分析計を構成する構成要素であるガスセンサについて詳しく説明する。
【0016】図3は、本発明のガス分析計を構成する構成要素のNOXセンサの一例を示す構成図であって、図3(a)は平面説明図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A断面図における要部拡大説明図である。
図3に示すように、2は細長な長尺の板状体形状を呈するセンサ素子であって、センサ素子2は、図3(b)より明らかなように、緻密な気密の複数の酸素イオン伝導性の固体電解質層4a、4b、4c、4d、4e、4fを含んで積層せしめられてなる一体構造の板状体とされている。尚、各固体電解質層4a〜4fは、何れも、ジルコニア磁器等の公知の酸素イオン伝導性の固体電解質材料を用いて形成されることとなる。そして、この一体構造のセンサ素子2は、従来と同様に、未焼成の固体電解質の積層物を一体焼成することにより製造されることとなる。
【0017】
そして、かかる一体構造のセンサ素子2内には、それぞれ、矩形形状の平面形態を呈する第一の内部空所6、第二の内部空所7及び第三の内部空所8が、素子先端側に該第一の内部空所6が位置し、素子基端側には該第三の内部空所8が位置するようにして、外部から区画された形態にて、別個に形成され、それぞれ、第一の処理ゾーン、第二の処理ゾーン及び第三の処理ゾーンを構成しているとともに、それら第一、第二及び第三の内部空所6、7、8とは独立した形態において且つ上下に重なり合う形態において、基準ガス存在空所としての基準空気導入通路10がセンサ素子2の長手方向に延びるように設けられ、また該基準空気導入通路10は、センサ素子2の基部側の端部において開口し、大気に連通せしめられるようになっている。尚、ここでは、第一、第二、第三の内部空所6、7、8は、固体電解質層4bに形成された対応する空所が上下の固体電解質層4a、4cにて覆蓋されることによって、略同一平面上に位置する状態において形成されており、また基準空気導入口10は、固体電解質層4dに形成された対応する空所が固体電解質層4c、4eにて上下から覆蓋されることによって、形成されている。
【0018】
また、第一の内部空所6を外部の被測定ガス存在空間に連通せしめる第一の拡散律速手段たる第一の拡散律速通路12が、固体電解質層4bを切り欠いて、センサ素子2の先端部に開口するように設けられており、この第一の拡散律速通路12を通じて、所定の拡散抵抗の下に、被測定ガス成分としてNOXを含む被測定ガスが、第一の内部空所6内に導き入れられるようになっている。更に、第一の内部空所6と第二の内部空所7との間に位置する固体電解質層4b部分や、第二の内部空所7と第三の内部空所8との間に位置する固体電解質層4b部分にも、それぞれ、溝状の切欠きが設けられて、それぞれ、第二、第三の拡散律速手段を構成する第二、第三の拡散律速通路13、14が形成されている。尚、これら第二、第三の拡散律速通路13、14内には、アルミナ等からなる多孔質体が充填、配置されて、それら通路の拡散抵抗が前記第一の拡散律速抵抗12における拡散抵抗よりも大きくされている。そして、第二の拡散律速通路13を通じて、第一の内部空所6内の雰囲気が、所定の拡散抵抗の下に、第二の内部空所7内に導き入れられるようになっており、更に、第二の内部空所7内の雰囲気が、所定の拡散抵抗の下に、第三の内部空所8内に導かれるようになっている。
【0019】
固体電解質層4aの第一の内部空所6内に露呈する部分には、それに接して、矩形形状の多孔質サーメット電極からなる第一内側ポンプ電極16が設けられ、更に該第一内側ポンプ電極16に対応する固体電解質層4aの外面部位には、それに接するように、同様な矩形形状の多孔質サーメット電極からなる第一外側ポンプ電極18が設けられており、それら電極16、18と固体電解質層4aとによって第一の電気化学的ポンプセルが構成されている。そして、この第一の電気化学的ポンプセルの二つの電極16、18間に、外部の可変電源20にて、所望の電圧を印加せしめ、第一外側ポンプ電極18から第一内側ポンプ電極16の方向に電流を流すことによって、第一の内部空所6内の雰囲気中の酸素を外部の被測定ガス存在空間に汲み出し得るとともに、逆に電流を流すことにより外部の被測定ガス存在空間から酸素を汲み入れ得るようになっている。尚、多孔質サーメット電極は、Pt等の金属とZrO2等のセラミックスとから構成されることとなるが、被測定ガスに接触する第一の内部空所6内に配置される第一内側ポンプ電極16は、被測定ガス中のNOX成分の還元性を弱めた或は還元性のない金属を用いる必要があり、例えばPt−Au合金とZrO2とのサーメットにて構成されていることが好ましい。
【0020】
更に、固体電解質層4cの第一の内部空所6内に露呈する部分には、それに接して、第一内側ポンプ電極16と同様な多孔質サーメット電極からなる測定電極22が設けられ、又、該固体電解質層4cの基準空気導入通路10内の露呈する部分には、それに接して、第一外側ポンプ電極18と同様な多孔質サーメット電極からなる基準電極24が設けられており、それら測定電極22と基準電極24と固体電解質層4cとによって、酸素分圧検出手段としての電気化学的セル、即ち電気化学的センサセルが構成され、周知のように、第一の内部空所6内の雰囲気と基準空気導入通路10内の基準空気(大気)との間の酸素濃度差に基づいて、測定電極22と基準電極24との間に発生する起電力を、電位差計26にて測定することにより、第一の内部空所6内の雰囲気の酸素分圧が検出されるようになっている。そして、この電位差計26にて検出された、第一の内部空所6内における雰囲気の酸素分圧の値に基づいて、可変電源20の電圧が制御され、よって第一の内部空所6内の雰囲気の酸素分圧が、次の第二の内部空所7において酸素分圧の制御を行い得るに充分な低い所定の値となるように、第一の電気化学的ポンプセルのポンプ作動が制御されるようになっている。
【0021】
一方、第二の内部空所7内に位置するように、固体電解質層4c上には、それに接して、第一内側ポンプ電極16と同様な多孔質サーメット電極からなる第二内側ポンプ電極28が設けられており、また、この内側ポンプ電極28に対応する固体電解質層4cの基準空気導入通路10内に露呈する部分には、第一外側ポンプ電極18と同様な多孔質サーメット電極からなる第二外側ポンプ電極30が設けられ、それら内側ポンプ電極28と外側ポンプ電極30と固体電解質層4cとによって、第二の電気化学的ポンプセルが構成されている。そして、この第二の電気化学的ポンプセルの二つの電極28、30間に、外部の直流電源32にて所望の電圧を印加せしめ、第二外側ポンプ電極30側より第二内側ポンプ電極28側に電流を流すことによって、第二の内部空所7内の雰囲気の酸素分圧が、実質的に被測定ガス成分(NOX)が還元乃至は分解され得ない状況下において、被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がない、低い酸素分圧値に制御されるようになっている。
【0022】
更に、第三の内部空所8内において、そこに露呈する固体電解質層4c部分には、それに接して、矩形形状の第三内側ポンプ電極36が設けられている。この第三内側ポンプ電極36は、被測定ガス成分たるNOXを還元し得る金属であるRhとセラミックスとしてのZrO2とからなる多孔質サーメットにて構成され、これにより、第三の内部空所8内の雰囲気中に存在するNOXを還元せしめ得るNOX還元触媒として機能する一方、内側ポンプ電極36に対応して、基準空気導入通路10内に配置された第三外側ポンプ電極38との間に、直流電源34により一定電圧が印加せしめられることによって、第三の内部空所8内の雰囲気中の酸素を基準空気導入通路10内に汲み出すようになっている。従って、ここでは、第三内側ポンプ電極36と第三外側ポンプ電極38と固体電解質層4cとによって、第三の電気化学的ポンプセルが構成されている。そして、この電気化学的ポンプセルのポンプ作動によって流れるポンプ電流は、電流計40によって検出されるようになっている。尚、前記した定電圧(直流)電源34は、第三の拡散律速通路14による制限されたNOX流入下において、第三の電気化学的ポンプセルにてのNOX分解時に生成した酸素のポンピングに対して、限界電流を与える大きさの電圧を印加することができるようになっている。
【0023】
尚、センサ素子2内には、固体電解質層4e、4fにて上下から挟まれた形態において、外部からの給電によって発熱せしめられるヒータ42が埋設されている。又、このヒータ42の上下面には、図示はされていないが、固体電解質層4e、4fとの電気的絶縁を得るために、アルミナ等のセラミックス層が薄層において形成されている。そして、ヒータ42は、図3(b)に示すように、第一の内部空所6から第三の内部空所8の全体に亙って配設されており、これによって、それら内部空所6、7、8が、それぞれ、所定の温度に加熱されることにより、第一、第二及び第三の電気化学的ポンプセルは勿論、電気化学的センサセルも、それぞれ、所定の温度に加熱、保持されるようになっている。
【0024】
従って、このような構成のセンサ素子2にあっては、その先端部側が、被測定ガス存在空間内に配置されるのであり、これによって、被測定ガスは、センサ素子2に設けられた第一の拡散律速通路12を通って、所定の拡散抵抗の下に、第一の内部空所6内に導き入れられる。そして、第一の内部空所6内に導かれた被測定ガスは、第一の電気化学的ポンプセルを構成する二つの電極16、18間に所定の電圧が印加せしめられることによって惹起される酸素のポンピング作用を受け、その酸素分圧が所定の値になるように制御される。
【0025】
尚、第一の内部空所6内の雰囲気の酸素分圧を所定の値とするためには、よく知られているネルンストの式に基づいて、電気化学的センサセルにおける測定電極22と基準電極24との間の起電力を電位差計26にて測定し、第一の電気化学的ポンプセルの二つの電極16、18間に印加する電圧(可変電圧20)を制御する手法が採用される。
即ち、第一の内部空所6における所定酸素濃度と基準空気の酸素濃度との差に相当する起電力となるように、第一の電気化学的ポンプセルの電圧を制御すればよい。ここで、第一の拡散律速通路12は、第一の電気化学的ポンプセルに電圧を印加した際、被測定ガス中の酸素が測定空間(第一の内部空所6)に拡散流入する量を絞り込み、第一の電気化学的ポンプセルに流れる電流を抑制する働きをしている。
なお、被測定ガス中の酸素濃度が所定以上に高い場合には、第一の電気化学的ポンプセルの酸素ポンピング作用により酸素を汲み出し、一方、被測定ガス中の酸素濃度が所定以上に低い、あるいはゼロの場合には、第一の電気化学的ポンプセルの酸素ポンピング作用により外部空間から酸素を汲み入れして、第一の処理ゾーン内の雰囲気の酸素分圧を所定の酸素分圧に制御することになる。
【0026】
また、第一の内部空所6内においては、外部の被測定ガスによる加熱、更に、ヒータ42による加熱環境下においても、内側ポンプ電極16や測定電極22にて雰囲気中のNOXが還元されない酸素分圧下の状態、例えば、NO→1/2N2+1/2O2の反応が起こらない酸素分圧下の状況が形成されている。けだし、第一の内部空所6内において、被測定ガス(雰囲気)中のNOXが還元されると、後の第三の内部空所8内でのNOXの正確な測定が出来なくなるからであり、この意味において、第一の内部空所6内において、NOXの還元に関与する成分(ここでは、内側ポンプ電極16や測定電極22の金属成分)にてNOXが還元され得ない状況を形成する必要があるのである。
【0027】
このため、第二の内部空所7に対して、その内部の雰囲気の酸素分圧を常に一定の低い酸素分圧値にすることが出来るように、第二の電気化学的ポンプセル(4c、28、30)を設けて、このポンプ作動により、第一の内部空所6から導き入れられる雰囲気の酸素分圧が、被測定ガスの酸素濃度に応じて変化しても、第二の内部空所7内の雰囲気の酸素分圧を常に一定の低い値とすることができ、これにより、NOXの測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値に制御することができる。
【0028】
尚、この第二の内部空所7内においても、第一の内部空所6内と同様に、外部の被測定ガスによる加熱やヒータ42による加熱環境下において、第二内側ポンプ電極28にて、雰囲気中のNOXが還元されない酸素分圧下の状態が形成されている。このため、第二内側ポンプ電極28にあっても、第一内側ポンプ電極16や測定電極22と同様に、被測定ガスに対する還元性のない、又は還元性を弱めた電極材質が用いられることとなる。
【0029】
上記のようにして、第二の内部空所7内において酸素分圧が制御された被測定ガスは、第三の拡散律速通路14を通って、所定の拡散抵抗の下に、第三の内部空所8内に導かれる。そして、この第三の内部空所8内に導き入れられた被測定ガスは、第三の電気化学的ポンプセルを構成する第三内側ポンプ電極36と第三外側ポンプ電極38との間に、酸素が第三の内部空所8から基準空気導入通路10側に汲み出される方向に、所定の電圧が印加せしめられることによって、酸素のポンピング作用を受け、これにより、第三の内部空所8においては、特に、第三内側ポンプ電極36の三相界面において、更に酸素濃度が低下せしめられ、NOX還元触媒としても機能する内側ポンプ電極36の周りにおいて、NOXが還元される状態に制御される。このとき、第三の電気化学的ポンプセルに流れる電流は、第三の内部空所8に導かれる雰囲気中の酸素濃度、即ち、第二の内部空所7内の雰囲気中の酸素濃度と第三内側ポンプ電極36にてNOXが還元されて発生した酸素濃度との和に比例した値となるのであるが、第二の内部空所7内の雰囲気中の酸素濃度は、第二の電気化学的ポンプセルにて一定に制御されていることから、第三の電気化学的ポンプセルに流れる電流は、NOXの濃度に比例することとなる。そして、そのNOXの濃度は、第三の拡散律速通路14にて制限されるNOXの拡散量に対応しているのであり、かくしてNOX濃度の測定が可能となる。
【0030】
図4は、本発明のガス分析計を構成する構成要素のNOXセンサの変形例を示す断面説明図である。
図4に示す変形例においては、図3の例と異なり、第二の内部空所7と第三の内部空所8とが一体化されて、一つの細隙な平坦空間からなる合体内部空所9とされ、そこに、第二内側ポンプ電極28及び第三内側ポンプ電極36が配されており、かつ、基準空気導入通路10内に配置される電気化学的センサセルの基準電極24と、第二の電気化学的ポンプセルにおける第二外側ポンプ電極30と、第三の電気化学的ポンプセルにおける第三外側ポンプ電極38とが、一つの共通極44にて構成されていることろに特徴がある。
【0031】
この変形例では、合体内部空所9は、第二の処理ゾーンと第三の処理ゾーンを含んで構成され、第二の拡散律速通路13を通って第一の内部空所6から導き入れられた被測定ガスは、合体内部空所9の入口側部位に配された第二内側ポンプ電極28、第二外側ポンプ電極30、及び固体電解質層4a、4b、4cにて構成される第二の電気化学的ポンプセルによる酸素のポンプ作用を受けることにより、低い一定の酸素分圧値に制御せしめられる一方、かかる合体内部空所9の細隙な平坦空間にて規定される所定の拡散抵抗の下に拡散して、該合体内部空所9の奥側部位に配置された第三の電気化学的ポンプセルに至り、そこで、被測定ガス成分たるNOXの還元が第三内側ポンプ電極36にて行なわれるとともに、かかる第三内側ポンプ電極36から第三外側ポンプ電極38への酸素の汲み出しが行なわれることにより、第三の電気化学的ポンプセルのポンプ電流が電流計40にて検出される。
【0032】
次に、上記したようなガスセンサを組み込んだ本発明に係るガス分析計を説明する。
図1は、本発明に係るガス分析計の構成の一例を示すブロック図であり、本発明に係るガス分析計は、ガスセンサ100と、このガスセンサ100を酸素ポンピングする駆動部101と、ガスセンサ100の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を被測定ガス値に演算する演算部102と、演算部102にて演算された値を表示するか、又は電気的出力として外部へ取り出す表示出力部103と、ガスセンサ100を所定温度に加熱するヒータ駆動部104とから基本的に構成されている。
【0033】
ここで、演算部102においては、第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を被測定ガス値に演算する機能を有するが、演算部102では、更に、第一の処理ゾーンでのポンピング電流(Ip1)を導入するか、又は、前記第一の処理ゾーンでのポンピング電流(Ip1)、前記第二の処理ゾーンでのポンピング電流(Ip2)及び前記第三の処理ゾーンでのポンピング電流(Ip3)を導入して、該演算部102にて演算することにより、被測定ガス中の酸素量、若しくは不足酸素量、又は当量を演算出力する。ここで、被測定ガスの当量としては、具体的には、酸素過剰率(ラムダ値)、または空燃比(A/F値)を挙げることができる。
これは、(A*Ip1+B*Ip2+C*Ip3)が被測定ガス中の全酸素量に比例することに基づき、求めることができる。なお、A、B、Cはそれぞれ定数で、Ip3は第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流、即ち、第三の処理ゾーンでのポンピング電流である。
【0034】
そして、本発明においては、被測定ガス中の酸素量若しくは不足酸素量の値、又は当量値により、被測定ガス中のNOX濃度を補正することが好ましい。この場合、NOX濃度を補正するための酸素量、不足酸素量、あるいは当量(酸素過剰率、空燃比など)として、(Ip1+Ip2+Ip3)に基づいて演算された値を用いることが好ましく、簡便的には(Ip1)あるいは(Ip1+Ip2)に基づいて演算された値を用いても良い。
例えば、第三の処理ゾーンでのポンピング電流(Ip3)は、被測定ガス中の酸素濃度に依存する。図6に示すように、被測定ガス中の酸素濃度により、被測定ガス中のNOX濃度が高い場合には、多少変動する。そこで、予め、ポンピング電流(Ip3)と被測定ガス中の酸素濃度との依存度を測定し、この測定データを演算部102に取り込んでおいて、被測定ガス中のNOX濃度を補正することが好ましい。
尚、図6では酸素依存性についての補正を例として説明したが、他の例として横軸を当量(酸素過剰率、空燃比など)とすれば、還元性ガス、中性ガス、酸化性ガスにおけるNOX濃度測定値の依存性を補正することも可能である。
【0035】
図2は、本発明に係るガス分析計の構成の他の例を示すブロック図である。図2に示すガス分析計では、ガスセンサと、演算部などの受信器ユニットが離れている場合の構成を示しており、ガスセンサ100と、ガスセンサ100を酸素ポンピングする駆動部101と、駆動部101により得られるポンピング電流を増幅する増幅器105とを一体的に配置して、センサプローブ110を構成しており、このセンサプローブ110から離れた位置において、演算部102、表示出力部103及びヒータ駆動部104とからなる受信器ユニット120が配設されている。
【0036】
図5は、図2にブロック図として示したガス分析計を具体化したガス分析計である。
図5において、ガス分析計50は、被測定ガス導入部60とNOX検出部70とから構成されている。被測定ガス導入部60において、円筒形状のプローブ62の先端側方には、ガス取入口63とガス排出口64とが形成されている。ガス取入口63とガス排出口64には、それぞれ格子65、66が所定間隔で設けられている。プローブ62内には、フランジ67aを有する内管67をプローブ62と同心円状に設けている。そして、図中矢印で示すように、ガス取入口63から取り入れられる被測定ガスは内管67の内部を通り侵入し、内管67の端部で内管67とプローブ62との間を戻り、ガス排出口64からプローブ62外へ排出される。
【0037】
NOX検出部70は、検出部本体72内にNOXセンサユニット73を収納して構成されている。NOXセンサユニット73は、板状のNOXセンサ74を一端に露出させて設けるとともに、他端にはNOXセンサ74の外部との電気的接続を取るのに使用される端子台75をネジ込み等の手段により一体化して設けている。検出部本体72の端部の外周部には、被測定ガス導入部60とNOX検出部70とを接続するためのフランジ77を設けている。
検出部本体72の中間部には、校正ガスをNOXセンサ74に供給するための校正ガス取入口78を設ける。また、検出部本体72のNOXセンサ74を設けた端部と反対側の端部には、端子台75を収納するためのフランジ79と蓋80とを設けている。そして、フランジ79の側面には、端子台75からの電極など(後述の駆動部等の配線)を外部へ導出するための配線口81を設けている。又、NOXセンサユニット73には、測定ガスが端子台75へ漏れないようにOリング82によるガスシール部が設けられている。なお、端子台75には、端子台75とNOXセンサユニット73をNOX検出部70に固定する端子ネジ86が取り付けられている。
【0038】
この端子台75には、増幅器を含む駆動部85が備えられ、この駆動部85は、演算部、表示出力部等を含む受信器90に電気的に接続され、NOXセンサ74のポンピングや、所定の演算及び表示・出力が行われるようになっている。
このように、駆動部をガスセンサの近傍に一体的に構成することにより、駆動部におけるポンピング電流を増幅器にて増幅して演算部に導くことによって、電気的ノイズを低減することができる。
【0039】
また、本発明のガス分析計においては、複数の既知の被測定ガス成分量に対するポンピング電流(Ip3)を測定し、検量線を作成して、本ガス分析計を校正することが好ましい。すなわち、ガス分析計の演算部内に、複数の既知の被測定ガス成分量に対するポンピング電流(Ip3)のデータを蓄積し、このデータに基づき、目的とする被測定ガス成分のポンピング電流(Ip3)から被測定ガス成分量への変換、校正を行うようにする。
例えば、図7に示すように、a、b、cという各濃度の校正ガス(標準ガス)を用いて測定を行い、その時のポンピング電流(Ia、Ib、Ic)をそれぞれ求め、検量線を作成することにより、行うことができる。検量線は、1次直線、あるいは複次曲線などとなり、演算部において、自動的に検量線を作成することも可能である。
また、先に記載した酸素依存性あるいは当量依存性も測定して、検量線の補正を行うことは更に好ましいことである。
【0040】
本発明のガス分析計は、上記のように検量線を用いて校正することが好ましいが、その際に用いる既知の被測定ガス成分(校正ガス)として、当該既知の被測定ガス成分の他に、少なくともH2O、CO2のいずれか1種類のガス成分を含むガスを用いることが好ましい。
すなわち、図8に示すように、H2OまたはCO2を含まない校正ガスを用いると、固体電解質の発生起電力が低くなって、ポンピング電流(Ip3)が増大し、時には不安定になり、測定すべきガス濃度の数値に対する信頼性が低下することが生じる。一方、少なくともH2O、CO2のいずれか1種類のガス成分を含む校正ガスを用いると、ポンピング電流(Ip3)が安定する。この理由は不明であるが、固体電解質の電極の表面状態の変化、あるいは安定化によるものと推定される。
H2O、CO2の添加量としては、それぞれ又は合量で、0.1vol%以上が望ましく、1vol%以上が更に望ましい。
【0041】
また、本発明のガス分析計においては、使用前あるいは使用後の所定時期に、電気化学的ポンプセルを構成する固体電解質の電極上に、CO、OHあるいは被毒性物質が過剰に吸着し、ガス分析計の分析精度を低下させることがある。
そこで、ガス分析計において、検量線を測定する前に、固体電解質の電極から被毒性物質等を脱離させて、電極を正常状態にして校正することが好ましい。
脱離方法としては、大別して、センサの高温化と強制通電が挙げられる。
すなわち、電気化学的ポンプセルを備えたセンサをその稼動温度より50℃以上に、一定時間高めた後、稼動温度に戻して、校正ガスによる検量線の作成を行う方法が、好ましく用いられる(センサの高温化方法)。ここで、センサを高温化に保持する時間は、約10分程度で十分である。
又、センサの強制通電方法としては、センサを駆動部から切り離し、第一〜第三の処理ゾーンの各電極対間に交番電源を接続し、例えば、1Hz以上の交番電流を一定時間流した後、センサを駆動状態に戻し、校正ガスによる検量線の作成を行う方法も好ましく用いられる。ここで、交番電流を流す時間は約10分程度で十分である。
【0042】
以上、本発明を具体的に説明してきたが、本発明が、当業者の知識に基づいて種々の変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得ることは言うまでもないことであり、更に、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、本発明の範ちゅうに属するものであることが理解されるべきである。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガス分析計によれば、目的とするNOXなどの被測定ガスの濃度に対応する安定したポンピング電流や起電力を得ることができ、被測定ガス成分濃度を正確に測定することができる。また、被測定ガスの酸素濃度が高くなっても、それに影響を受けることなく、連続的に応答性が良く、且つ長時間正確な測定が可能で、しかも低濃度の被測定ガス成分の測定に際しても高いS/N比が得られ、大きな信号変化を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス分析計の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るガス分析計の構成の他の例を示すブロック図である。
【図3】本発明のガス分析計を構成する構成要素のNOXセンサの一例を示す構成図で、(a)は平面説明図、(b)は(a)のA−A断面図における要部拡大説明図である。
【図4】本発明のガス分析計を構成する構成要素のNOXセンサの変形例を示す断面説明図である。
【図5】図2にブロック図として示したガス分析計を具体化したガス分析計である。
【図6】被測定ガス中の酸素濃度とポンピング電流(Ip3)との関係を示すグラフである。
【図7】検量線を示すグラフである。
【図8】校正ガス中のH2O、CO2の含有量とポンピング電流(Ip3)の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2…センサ素子、4a,4b,4c,4d,4e,4f…固体電解質層、6…第一の内部空所、7…第二の内部空所、8…第三の内部空所、9…合体内部空所、10…基準空気導入通路、12…第一の拡散律速通路、13…第二の拡散律速通路、14…第三の拡散律速通路、16…第一内側ポンプ電極、18…第一外側ポンプ電極、20…可変電源、22…測定電極、24…基準電極、26…電位差計、28…第二内側ポンプ電極、30…第二外側ポンプ電極、36…第三内側ポンプ電極、38…第三外側ポンプ電極、42…ヒータ、44…共通極、50…ガス分析計、60…被測定ガス導入部、70…NOX検出部、62…プローブ、63…ガス取入口、64…ガス排出口、67a…フランジ、67…内管、72…検出部本体、73…NOXセンサユニット、74…NOXセンサ、75…端子台、77…フランジ、78…校正ガス取入口、79…フランジ、80…蓋、81…配線口、82…Oリング、85…駆動部、86…端子ネジ、90…受信器、100…ガスセンサ、101…駆動部、102…演算部、103…表示出力部、104…ヒータ駆動部、105…増幅器、110…センサプローブ、120…受信器ユニット。
Claims (5)
- 外部の被測定ガス存在空間より、測定されるべき結合酸素を有する被測定ガス成分を含む被測定ガスを、所定の拡散抵抗の下に第一の処理ゾーンに導き、前記第一の処理ゾーンにおいて、第一の電気化学的ポンプセルによる酸素のポンピング作用にて、前記第一の処理ゾーン内の雰囲気の酸素分圧を所定の酸素分圧に制御せしめた後、所定の拡散抵抗の下に第二の処理ゾーンに導き入れ、前記第二の処理ゾーンにおいて、更に酸素を第二の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記雰囲気の酸素分圧を、被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値に制御せしめ、更にその後、第三の処理ゾーンに導き、前記第三の処理ゾーンにおいて、前記第二の処理ゾーンから導かれた雰囲気中の前記被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素を第三の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を検出するガスセンサと、
前記ガスセンサにおける前記第一乃至第三の処理ゾーンを酸素ポンピングするための駆動部と、
前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を被測定ガス値に演算するとともに、前記第一の処理ゾーンでのポンピング電流を導き、被測定雰囲気の酸素量、若しくは不足酸素量、又は当量を演算する演算部と、
前記演算部にて演算された値を表示するか、又は電気的出力として外部へ取り出す表示出力部と、
前記ガスセンサを所定温度に加熱するヒータ駆動部と、
を備えたことを特徴とするガス分析計。 - 外部の被測定ガス存在空間より、測定されるべき結合酸素を有する被測定ガス成分を含む被測定ガスを、所定の拡散抵抗の下に第一の処理ゾーンに導き、前記第一の処理ゾーンにおいて、第一の電気化学的ポンプセルによる酸素のポンピング作用にて、前記第一の処理ゾーン内の雰囲気の酸素分圧を所定の酸素分圧に制御せしめた後、所定の拡散抵抗の下に第二の処理ゾーンに導き入れ、前記第二の処理ゾーンにおいて、更に酸素を第二の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記雰囲気の酸素分圧を、被測定ガス成分量の測定に実質的に影響がない低い酸素分圧値に制御せしめ、更にその後、第三の処理ゾーンに導き、前記第三の処理ゾーンにおいて、前記第二の処理ゾーンから導かれた雰囲気中の前記被測定ガス成分を還元乃至は分解せしめ、その際に発生する酸素を第三の電気化学的ポンプセルにて汲み出すことにより、前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を検出するガスセンサと、
前記ガスセンサにおける前記第一乃至第三の処理ゾーンを酸素ポンピングするための駆動部と、
前記第三の電気化学的ポンプセルに流れるポンピング電流を被測定ガス値に演算するとともに、前記第一の処理ゾーンでのポンピング電流、前記第二の処理ゾーンでのポンピング電流及び前記第三の処理ゾーンでのポンピング電流を導き、被測定雰囲気の酸素量、若しくは不足酸素量、又は当量を演算する演算部と、
前記演算部にて演算された値を表示するか、又は電気的出力として外部へ取り出す表示出力部と、
前記ガスセンサを所定温度に加熱するヒータ駆動部と、
を備えたことを特徴とするガス分析計。 - 前記被測定雰囲気の酸素量若しくは不足酸素量の値、又は当量値により、測定した前記被測定ガス成分を補正する請求項1又は2に記載のガス分析計。
- 前記被測定ガス成分がNOXである請求項1〜3のいずれかに記載のガス分析計。
- 少なくとも前記駆動部を前記ガスセンサと一体的に構成した請求項1〜4のいずれかに記載のガス分析計。
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