JP3562460B2 - 電気泳動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、極微量のタンパク質や核酸、薬物などを高速かつ高分解能に分析する電気泳動に用いる電気泳動装置に関し、さらに詳しくは板状部材の内部に形成された流路で電気泳動を行なうチップデバイスを用いる電気泳動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
極微量のタンパク質や核酸などを分析する場合には、従来から電気泳動装置が用いられており、その代表的なものとしてキャピラリー電気泳動装置がある。キャピラリー電気泳動装置は、内径が100μm以下のガラスキャピラリー内に泳動媒体を充填し、一端側にサンプルを導入した後、両端間に高電圧を印加して分析対象物をキャピラリー内で分離展開させるものである。キャピラリー内は容積に対して表面積が大きい、すなわち冷却効率が高いことから、高電圧の印加が可能となり、DNAなどの極微量サンプルを高速かつ高分解能にて分析することができる。
【0003】
キャピラリーはその外径が100〜500μm程度と細く破損しやすいため、ユーザーが行なうべきキャピラリー交換時の取扱いが容易でないという問題を有する。そこで、取扱いが煩雑なキャピラリーに代わって、分析の高速化、装置の小型化が期待できる形態として、D. J. Harrison et al./ Anal. Chem. 1993, 283, 361−366に示されているように、2枚の基板を接合して形成されたマイクロチップが提案されている。そのマイクロチップの例を図4に示す。
【0004】
マイクロチップ1は、一対の透明板状の無機材料(例えばガラス、石英、シリコンなど)又はプラスチックからなる基板1a,1bからなり、半導体フォトリソグラフィー技術又はマイクロマシニング技術により、一方の基板1bの表面に互いに交差する泳動用キャピラリー溝3,5を形成し、他方の基板1aにはその溝3,5の端に対応する位置に貫通穴をアノードリザーバ7a、カソードリザーバ7c、サンプルリザーバ7s、ウエイストリザーバ7wとして設けたものである。マイクロチップ1は、両基板1a,1bを(C)に示すように重ねて接合した状態で使用される。このようなマイクロチップは2本の溝(channel)が交差して形成されていることから、Cross−channel Micro−chipとも呼ばれる。
【0005】
このマイクロチップ1を用いて電気泳動を行なう場合には、分析に先立って、例えばシリンジを使った圧送により、いずれかのリザーバ、例えばアノードリザーバ7aから溝3,5内及びリザーバ7a,7c,7s,7w内に泳動媒体を充填する。次いで、リザーバ7a,7c,7s,7w内に充填された泳動媒体を除去し、短い方の溝(サンプル注入用流路)3の一方の端に対応するサンプルリザーバ7sにサンプルを注入し、他のリザーバ7a、7c,7wにバッファ液を注入する。
【0006】
泳動媒体、サンプル及びバッファ液を注入したマイクロチップ1を電気泳動装置に装着する。各リザーバ7a,7c,7s,7wに所定の電圧を印加し、サンプルを溝3中に泳動させて両溝3,5の交差部9に導く。各リザーバ7a,7c,7s,7wに印加する電圧を切り換えて、長い方の溝(分離用流路)5の両端のリザーバ7a,7c間の電圧により、交差部分9に存在するサンプルを溝5内に注入する。溝5内にサンプルを注入した後、リザーバ7s内に収容されているサンプルをバッファ液で置換する。その後、各リザーバ7a,7c,7s,7wに電気泳動用の電圧を印加して、溝5内に注入したサンプルを溝5内で分離させる。溝5の適当な位置に検出器を配置しておくことにより、電気泳動により分離されたサンプルを検出する。検出は、吸光光度法や蛍光光度法、電気化学的又は電気伝導度法などの手段により行なわれる。
【0007】
また、マイクロチップ1の流路デザインや泳動媒体の組成などの分析条件は用途やサンプルに応じて異なる。他の流路デザインのマイクロチップとしては、例えば、Yining Shi et al./ Anal. Chem. 1999, 71, 5354−5361に示されているように、放射状に多数の分離用流路を備えた電気泳動用マイクロプレートがある。近年はマイクロチップよりもサイズの大きいものや、複数のチャンネルを備えたもの、さらにはチャンネルの交差部をもたないストレートチャンネルを備えたものも使用されている。本発明におけるチップデバイスはこれらを全て包含したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来、マイクロチップへの泳動媒体充填、リザーバ内の泳動媒体除去、リザーバへのサンプル及びバッファ液注入、分離用流路へのサンプル注入後のリザーバ内のサンプル除去、及びサンプル除去後のリザーバへのバッファ液注入は全て手操作で行なっていた。
しかし、これらの操作をシリンジ等を使って手操作で行なうのはオペレータにとって煩雑であった。
そこで本発明は、これらの操作のうちの少なくとも一部を自動化した電気泳動装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気泳動装置は、板状部材の内部に互いに交差するサンプル注入用流路と分離用流路が形成され、その板状部材の一表面の流路に対応する位置に流路に達する穴がリザーバとして形成されたチップデバイスを用いる電気泳動装置であって、チップデバイスを保持するためのチップ保持機構と、チップデバイスのリザーバを介して流路及びリザーバに泳動媒体を充填するための泳動媒体充填機構と、リザーバ内にサンプルを注入するためのサンプル注入機構と、各リザーバに電圧を供給するための電圧供給機構と、流路内で分離されたサンプルを検出する検出機構と、これらの機構を自動で動作するように制御するための制御部とを備えたものである。
【0010】
チップ保持機構にチップデバイスが保持された後、制御部により泳動媒体充填機構を作動させて、チップデバイスの流路内及びリザーバ内に泳動媒体を充填する。サンプル注入機構を作動させて、サンプル用のリザーバにサンプルを注入する。電圧供給機構を作動させて、各リザーバに電圧を供給して、流路内でサンプルを分離させる。検出機構を作動させて、分離されたサンプルを検出する。
【0011】
本発明は、リザーバ内に充填された泳動媒体を除去するための、リザーバのそれぞれに対応して設けられた泳動媒体吸引機構と、泳動媒体が除去された後の各リザーバ内にバッファ液を同時に注入するための、リザーバのそれぞれに対応して設けられたバッファ液注入機構とをさらに備え、制御部は、泳動媒体吸引機構及びバッファ液注入機構も自動で動作するように制御する。
電極と直接接触させて電圧を印加することができない泳動媒体を用いる場合、泳動媒体充填機構を作動させてチップデバイスの流路内及びリザーバ内に泳動媒体を充填した後、泳動媒体吸引機構を作動させて、リザーバに充填された泳動媒体を除去する。バッファ液注入機構を作動させて、サンプル用のリザーバを除く泳動媒体が除去された後のリザーバにバッファ液を注入する。サンプル注入機構を作動させて、泳動媒体が除去された後のサンプル用のリザーバにサンプルを注入する。これにより、泳動バッファを介して泳動媒体に電圧を印加することができるようになる。その後、電圧供給機構及び検出機構を作動させて、分離されたサンプルを検出する。
【0013】
【発明の実施の形態】
【実施例】
図1は本発明にかかる電気泳動装置の一実施例を示す概略構成斜視図である。図1に示すマイクロチップ1は図4のものと同じである。
チップデバイスとしてのマイクロチップ1を保持するチップ保持機構(図示は省略)が設けられており、チップ1はチップ保持機構に設けられた移動機構により図中矢印11の方向に沿ってポジションA,B,C間で移動させられる。
【0014】
ポジションAの上方に、泳動媒体吸引及びバッファ液注入ポート13が設けられている。ポート13はノズル固定部材15と、チップ1がポジションAに位置決めされたときのリザーバ7a,7c,7s,7wの配置に対応して部材15に固定された4組の吸引ノズル17及び吐出ノズル19を備えている。吸引ノズル17及び吐出ノズル19は独立したシリンジ(図示は省略)にそれぞれ接続されている。さらに、ポート13は部材15を昇降させる昇降機構(図示は省略)を備えており、部材15は図中矢印21の方向に昇降される。その昇降機構により、チップ1がポジションAに位置しているときに、ノズル17,19の先端がリザーバ7a,7c,7s,7w内に進入するように部材15が下降される。
【0015】
本発明を構成する泳動媒体吸引機構とバッファ液注入機構は泳動媒体吸引及びバッファ液注入ポート13、シリンジ並びに昇降機構により構成される。
ノズル17,19としては、例えば樹脂製のキャピラリーを用いることができる。ただし、ノズル17,19は樹脂製のキャピラリーに限定されるものではなく、例えばガラスキャピラリーなど、他の材料からなるキャピラリーを用いることができる。
【0016】
ポジションBの上方に、サンプル注入機構を構成するサンプルローディングシリンジ23及び泳動媒体充填機構を構成する泳動媒体ローディングポート25が設けられている。
サンプル注入機構は、チップ1がポジションBに位置決めされたときのサンプルリザーバ7sの位置に対応して設けられたシリンジ23と、シリンジ23を3次元方向(図中矢印27参照)に移動させるための移動機構(図示は省略)と、シリンジ23の吸引吐出を行なわせるためのシリンダ駆動機構(図示は省略)とを備えている。シリンジ23はサンプル注入機構を構成する移動機構により、チップ1がポジションBに位置しているときにシリンジ23の吸引吐出口がサンプルリザーバ7sに進入される。
【0017】
ポート25は泳動媒体を収容するシリンジ(図示は省略)に接続され、チップ1がポジションBに位置決めされたときのアノードリザーバ7aの位置に対応して設けられたノズル31を備えている。ノズル31の先端にはシール材33が設けられている。泳動媒体充填機構は、ポート25と、泳動媒体をノズル31から押し出すためのシリンジと、ポート25を図中矢印35の方向に昇降させるための昇降機構(図示は省略)により構成される。その昇降機構により、ポート25はチップ1がポジションBに位置しているときに下降され、ノズル31の先端がシール材33によりアノードポート7aに密着される。
【0018】
ポジションCの上方に、電極ポート37が設けられている。ポート37は電極固定部材39と、チップ1がポジションCに位置決めされたときのリザーバ7a,7c,7s,7wの配置に対応して部材39に固定された4本の電極41を備えている。電極41は高電圧供給装置(図示は省略)に接続されている。さらに、ポート37は部材39を昇降させる昇降機構(図示は省略)を備えており、部材15は図中矢印43の方向に昇降される。電圧供給機構は、電極ポート37、高電圧供給装置及び昇降機構により構成される。その昇降機構により、チップ1がポジションCに位置しているときに、電極41の先端がリザーバ7a,7c,7s,7w内に進入するように部材39が下降される。
【0019】
ポジションCの下方に、検出光学系(検出機構)45が設けられている。検出光学系45は、チップ1がポジションCに位置しているときに、交差部9、アノードリザーバ7a間の分離用流路5の検出位置に検出光47を照射し、紫外線吸収量により分離したサンプルを検出するものである。
チップ保持機構、泳動媒体吸引及びバッファ液注入ポート13、サンプル注入機構、泳動媒体充填機構、電圧供給機構及び検出光学系45は制御部(図示は省略)により制御される。
【0020】
図2は、この実施例の動作例を示すフローチャートである。図1及び図2を参照してこの実施例の動作を説明する。ここでは泳動媒体として有機ポリマーを含有するもの(以下、単にポリマーという)を用いた。
チップ1をポジションBに置く(ステップS1)。
泳動媒体ローディングポート25が下降し、ノズル31の先端がシール材33によりチップ1のアノードリザーバ7aに密着する。ポリマーを収容したシリンジからノズル31及びアノードリザーバ7aを介してチップ1のチャンネル内及びリザーバ7c,7s,7w内にポリマーを加圧充填する。リザーバ7c,7s,7wの全てからポリマーが出たら充填を終了する(ステップS2)。
【0021】
泳動媒体ローディングポート25を上へ戻し、チップ1をポジションAへ移動させる(ステップS3)。
泳動媒体吸引及びバッファ液注入ポート13が下降し、ノズル17,19をリザーバ7a,7c,7s,7wに収容されたポリマーに進入させる。吸引ノズル17につながる吸引機構が動作し、各リザーバ7a,7c,7s,7wに収容されているポリマーを吸引ノズル17を介して吸引除去する(ステップS4)。ポリマー除去後、リザーバ7c,7a,7wに対応する吐出ノズル19につながる吐出機構が動作し、サンプルリザーバ7sを除くリザーバ7c,7a,7wに吐出ノズル19からバッファ液を注入する(ステップS5)。
【0022】
ポート13を上へ戻し、チップ1をポジションBへ移動させる(ステップS6)。
シリンジ23が移動し、空になっているサンプルリザーバ7sにシリンジ23の吸引吐出口を進入させる。シリンジ23が吐出動作し、予めサンプルポート(図示は省略)からシリンジ23内に吸引したサンプルをサンプルリザーバ7sに注入する(ステップS7)。
【0023】
シリンジ23を上へ戻し、チップ1をポジションCへ移動させる(ステップS8)。
電極ポート37が下降し、電極41をリザーバ7a,7c,7s,7w内に収容されたバッファ液又はサンプルに接触させる。リザーバ7a,7c,7s,7w内に収容されたバッファ液又はサンプルに電極41を介して所定の電圧を印加してサンプルをサンプル導入用流路と分離用流路の交差部に導いた後、電圧を切り換えて分離用流路にサンプルを注入する(ステップS9)。
【0024】
ポート37を上へ戻し、チップ1をポジションAへ移動させる(ステップS10)。
ポート13が下降し、ノズル17,19をリザーバ7a,7c,7s,7wに収容されたサンプル又はバッファ液に進入させる。サンプルリザーバ7sに対応する吸引ノズル17につながる吸引機構が動作し、サンプルリザーバ7sに残った余分なサンプルを吸引ノズル17を介して吸引除去する(ステップS11)。サンプル除去後、サンプルリザーバ7sに対応する吐出ノズル19につながる吐出機構が動作し、サンプルリザーバ7sに吐出ノズル19からバッファ液を注入する(ステップS12)。
【0025】
ポート13を上へ戻し、チップ1をポジションCへ移動させる(ステップS13)。
電極ポート37が下降し、電極41をリザーバ7a,7c,7s,7w内に収容されたバッファ液に接触させる。電極41を介してリザーバ7a,7c,7s,7wに所定の電圧を印加して分離用流路に注入されているサンプルの泳動分離を行ない、分離したサンプルを検出光学系45により検出する(ステップS14)。
【0026】
このように、この実施例ではマイクロチップへのポリマー充填、リザーバ内のポリマー除去、リザーバへのサンプル及びバッファ液注入、分離用流路へのサンプル注入後のリザーバ内のサンプル除去、サンプル除去後のリザーバへのバッファ液注入、並びにサンプルの分離及び検出を全て自動で行なうことができる。
【0027】
図3は、この実施例の他の動作例を示すフローチャートである。図1及び図3を参照してこの実施例の動作を説明する。ここでは泳動媒体として無機イオン性バッファ(以下、泳動バッファという)を用いた。
チップ1をポジションBに置く(ステップS21)。
泳動媒体ローディングポート25が下降し、ノズル31の先端がシール材33によりチップ1のアノードリザーバ7aに密着する。泳動バッファを収容したシリンジからノズル31及びアノードリザーバ7aを介してチップ1のチャンネル内及びリザーバ7c,7s,7w内に泳動バッファを充填する。リザーバ7c,7s,7wの全てから泳動バッファが出たら充填を終了する(ステップS22)。ここでは泳動媒体ローディングポート25により泳動バッファの充填を行なっているが、チップ1をポジションAへ移動させて、泳動媒体吸引及びバッファ液注入ポート13、吐出ノズル19並びに吐出ノズル19につながる吐出機構を使用して泳動バッファの充填を行なうようにしてもよい。
【0028】
泳動媒体ローディングポート25が上へ戻った後、シリンジ23が移動し、サンプルリザーバ7s内のサンプル導入用流路3入口近傍にシリンジ23の吸引吐出口を進入させる。シリンジ23が吐出動作し、予めサンプルポート(図示は省略)からシリンジ23内に吸引したサンプルをサンプルリザーバ7sに注入する(ステップS23)。
【0029】
シリンジ23を上へ戻し、チップ1をポジションCへ移動させる(ステップS24)。
電極ポート37が下降し、電極41をリザーバ7a,7c,7s,7w内に収容された泳動バッファ又はサンプルに接触させる。リザーバ7a,7c,7s,7w内に収容された泳動バッファ又はサンプルに電極41を介して所定の電圧を印加してサンプルをサンプル導入用流路と分離用流路の交差部に導いた後、電圧を切り換えて分離用流路にサンプルを注し(ステップS25)、続けてサンプルの泳動分離を行ない、分離したサンプルを検出光学系45により検出する(ステップS26)。
このように、この実施例ではマイクロチップへの泳動バッファ充填、リザーバへのサンプル注入、並びにサンプルの分離及び検出を全て自動で行なうことができる。
【0030】
ここでチップ1のチャンネルデザインは任意である。
泳動媒体は特に限定されるものではなく、トリス−ホウ酸などの無機イオン性バッファなどの泳動バッファや、ヒドロキシメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリルアミドなどの有機ポリマーを含有するものなど、どのような泳動媒体を用いてもよい。
また、泳動バッファ及びバッファ液は特に限定されるものではなく、トリス−ホウ酸−EDTA(エチレンジアミン四酢酸)(TBE)系や、トリス−TAPS(tetrapentylammonium 3−{tris (hydroxymethyl) methylamino}−1−propanesulfate)−EDTA(TTE)系など、泳動媒体や測定条件などに応じて適当なものを用いることができる。
【0031】
この実施例では、吸引ノズル17に接続する吸引機構としてシリンジを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の吸引機構、例えば真空ポンプやアスピレータなど、他の吸引機構を用いてもよい。
また、この実施例では吸引ノズル17は独立したシリンジにそれぞれ接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくともサンプルリザーバ7s用の吸引ノズル17を独立したシリンジに接続すれば、他のリザーバ7a,7b,7w用の吸引ノズル17を共通のシリンジに接続してもよい。これはシリンジに代えて他の吸引機構を用いた場合も同様である。
【0032】
この実施例では、吐出ノズル19に接続する吐出機構としてシリンジを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の吐出機構、例えばペリスターポンプや気体による加圧機構など、他の吐出機構を用いてもよい。
また、この実施例では吐出ノズル19は独立したシリンジにそれぞれ接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくともサンプルリザーバ7s用の吐出ノズル19を独立したシリンジに接続すれば、他のリザーバ7a,7b,7w用の吐出ノズル19を共通のシリンジに接続してもよい。これはシリンジに代えて他の吐出機構を用いた場合も同様である。
この実施例では吸引ノズル17用のシリンジと吐出ノズル19用のシリンジをそれぞれ設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの共通のシリンジと、共通のシリンジを吸引ノズル17と吐出ノズル19に切り換えて接続する切換えバルブを設け、切換えバルブの切換え及び共通のシリンジの動作により、吸引ノズル17からの吸引及び吐出ノズル19からの吐出を行なうようにしてもよい。これはシリンジに代えて他の吸引及び吐出機構を用いた場合も同様である。
【0033】
この実施例では、検出機構として紫外線吸収により分離したサンプルを検出するものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1色又は多色の蛍光による検出や照射した検出光の散乱による検出など、他の検出原理を用いた検出機構を用いてもよい。
また、この実施例では検出機構として一点の検出位置でサンプルを検出するものを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、分離用流路の所定範囲でイメージ検出するものを用いてもよい。
【0034】
この実施例では、マイクロチップをポジションA,B,C間で移動させているが、本発明はこれに限定されるものではなく、マイクロチップをチップ保持機構に固定し、泳動媒体充填機構、泳動媒体吸引機構、バッファ液注入機構、サンプル注入機構、サンプル吸引機構、電圧供給機構もしくは検出機構又はこれらの組合せを固定されたマイクロチップ上又は下に移動させるようにしてもよい。
【0035】
この実施例では4つのリザーバを備えたマイクロチップを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、5つ以上のリザーバを備えたマイクロチップにも適用できる。すなわち、多数の分離用流路を備えたマイクロチップにも本発明を適用できる。
また、この実施例では、互いに交差するサンプル導入用流路と分離用流路が形成されたチップデバイスを用いているが、本発明で用いるチップデバイスはこれに限定されるものではなく、例えば、交差する流路が存在しない分離用流路が形成されたものや、分離用流路に複数の流路が交差して形成されているもの、マルチチャンネル、大型のものなど、他のチップデバイスにも本発明を適用できる。これらの場合、リザーバの配置に応じて泳動媒体充填機構、泳動媒体吸引機構、バッファ液注入機構、サンプル注入機構及びサンプル吸引機構のノズル構成を変更することが好ましい。
【0036】
この実施例では、バッファ液及びサンプルに進入させる電極41を備えた電圧供給機構を備えているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばマイクロチップ表面にリザーバに通電するチップ側電極が形成されている場合にはそのチップ側電極に接続するための電極を備えた電圧供給機構を用いることができる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の電気泳動装置では、チップ保持機構と、泳動媒体充填機構と、サンプル注入機構と、電圧供給機構と、検出機構と、これらの機構を制御するための制御部とを備え、制御部によりこれらの機構を動作させるようにしたので、チップデバイスへの泳動媒体充填、リザーバへのサンプル注入、並びにサンプルの分離及び検出を自動で行なうことができる。
【0038】
リザーバ内に充填された泳動媒体を除去するための泳動媒体吸引機構と、泳動媒体が除去された後のリザーバ内にバッファ液を注入するためのバッファ液注入機構とをさらに備え、制御部は、泳動媒体吸引機構及びバッファ液注入機構も自動で動作するように制御するようにし、泳動媒体吸引機構によりリザーバ内の泳動媒体を除去し、泳動媒体が除去された後のリザーバ内にバッファ液注入機構によりバッファ液を注入するので、電極と直接接触させて電圧を印加することができない泳動媒体を用いる場合であっても、バッファ液を介して泳動媒体に電圧を印加することができるようになる。
また、サンプル注入機構と泳動媒体吸引機構、バッファ液注入機構を分けて設けることにより、ノズルの洗浄工程を省略できるなど、分析サイクルタイムの短縮を大幅に図ることができ、結果として高スループット化を図ることができる。
また、各リザーバに同時にバッファ液を満たすことができるので、ヘッド差(水頭差)の影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例を示す概略構成斜視図である。
【図2】同実施例の動作例を示すフローチャートである。
【図3】同実施例の他の動作例を示すフローチャートである。
【図4】マイクロチップの一例を表す図であり、(A)は一方の基板の上面図、(B)は他方の基板の上面図、(C)は両基板を重ね合わせた状態での側面図である。
【符号の説明】
1 マイクロチップ
3 サンプル注入用流路
5 分離用流路
7a アノードリザーバ
7c カソードリザーバ
7s サンプルリザーバ
7w ウエイストリザーバ
13 泳動媒体吸引及びバッファ液注入ポート
15 ノズル固定部材
17 吸引ノズル
19 吐出ノズル
23 サンプルローディングシリンジ
25 泳動媒体ローディングポート
31 ノズル
33 シール材
37 電極ポート
39 電極固定部材
41 電極
45 検出光学系
Claims (1)
- 板状部材の内部に流路が形成され、その板状部材の一表面の流路に対応する位置に流路に達する穴がリザーバとして形成されたチップデバイスを用いる電気泳動装置において、
チップデバイスを保持するためのチップ保持機構と、
チップデバイスの前記リザーバを介して前記流路及び前記リザーバに泳動媒体を充填するための泳動媒体充填機構と、
前記リザーバ内にサンプルを注入するためのサンプル注入機構と、
前記各リザーバに電圧を供給するための電圧供給機構と、
前記流路内で分離されたサンプルを検出する検出機構と、
前記リザーバ内に充填された泳動媒体を除去するための、前記リザーバのそれぞれに対応して設けられた泳動媒体吸引機構と、
泳動媒体が除去された後の前記各リザーバ内にバッファ液を同時に注入するための、前記リザーバのそれぞれに対応して設けられたバッファ液注入機構と、
これらの機構を自動で動作するように制御するための制御部と、を備えたことを特徴とする電気泳動装置。
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