JP3562123B2 - アルミニウム材への無彩色系灰色着色方法 - Google Patents
アルミニウム材への無彩色系灰色着色方法 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金材(以下、アルミニウム材という。)の陽極酸化皮膜の着色法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム材は、軽量で加工性が良くかつ耐食性があるためサッシや内装パネル材などの建材、あるいは車両部品などに広く用いられているが、その耐食性向上のため陽極酸化皮膜処理を行うことが一般である。この皮膜は耐食性に優れているが、そのままでは金属地金の白色系の色合いであるため、多様な用途における色彩環境に合わない場合があり、また単調で趣味性に乏しいきらいがある。このため用途に応じて、各種の色の塗装や着色処理が施されることが多くなっている。中でも、電解着色処理は、陽極酸化処理によって形成された酸化皮膜の微細なポアー中に化学的に安定な金属塩類を析出せしめて着色するため環境に対して極めて安定しており、長期間に亘って屋外においても変色したり褪色することがなく、広く普及を見ている。
【0003】
また、最近では、建材や車両部品などアルミニウム材の用途が広まるにつれ、着色の色合いやその濃度等にも様々な要求が寄せられるようになってきている。例えば、従来建築用途向けにはブロンズ色などの濃い色調が主流であったが、近年、灰色系統のいわゆる無彩色系統の落ち着いた色調が好まれるようになってきている。従来の電解着色法によってはこれに応えて、このような色調を出そうとすることは困難であった。
【0004】
すなわち、従来のこのような灰色着色法として、特開昭61−143593号公報に記載されるNi−Zn浴中で電解着色する方法がある。この着色法によれば、あらかじめ陽極酸化処理を施したアルミニウム材をニッケル塩及び亜鉛塩を主成分として含有する着色浴に、グルコン酸等のニッケルイオンのマスキング剤、硫酸アンモニウムなどの支持電解質を添加してpH4.5以上に調整した電解着色浴中で、交流、直流または矩形波電流により電解着色することによって、陽極酸化皮膜を単純グレー色、または若干着色されたグレー系統の色調の着色皮膜を得る。この電解着色法の他の特徴は、ニッケル塩の陽極酸化皮膜の微細なポアー中への析出分散度を高めることにあって、これによって、その耐食性、耐摩耗性や付き廻り性も従来の電解着色皮膜に比して優れたものであり、他の方法によってこれ以上の着色効果を得ることは困難である。
しかしながら、このNi−Zn浴中でアルミニウム材の陽極酸化皮膜を電解着色して灰色の色調とする方法によっても、この着色法が本来ブロンズ系着色法であるため、電解条件などを種々変えて調整しても、得られる灰色にはなお黄色味が強く、より純粋な無彩色の灰色の色調を求める市場の要求を満足できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、このNi−Zn浴法によって得られる耐食性、均一性に優れた電解着色皮膜を簡単な方法で安価に無彩色の灰色に転換することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本第一の発明は、その目的を達成するため、アルミニウム材の陽極酸化皮膜をNi−Zn浴法によって電解着色した後で、モリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかからなる混合原子価錯体を吸着させることによって灰色に着色させるものである。また本第二の発明は、アルミニウム材の陽極酸化膜にモリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかからなる混合原子価錯体を吸着させて着色後、Ni−Zn浴法によって電解着色することによって灰色に着色させるものである。
【0007】
【作用】
本発明がその基礎とする第一工程のNi−Zn浴による電解着色法は、陽極酸化皮膜の微細な孔に、金属NiとZnとを還元して合金析出させて皮膜を灰色に着色するものである。この方法で着色した皮膜の分光反射率について見ると、図1に示すように明確なピークは現れず、長波長側でやや高くなる傾向を示す。このためこの皮膜の色は長波長側の光を若干多く反射して、黄みを帯びた灰色となる。
本発明の他の工程は、陽極酸化皮膜にモリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかの混合原子価錯体を吸着させ、その混合原子価錯体色を発色させるものである。モリブデン酸を例にとると、モリブデン酸のアンモニウム塩などの水溶液にアルミニウム陽極酸化材を浸漬して、六価のモリブデン酸イオンを陽極酸化皮膜に吸着させ、次いで、塩化スズ、硫酸スズなどの二価のスズによって還元し、Mo(V)−O−Mo(VI)の混合原子価錯体をポアー中で形成させる。この原子価錯体は、モリブデン原子間の電子移動により青色に発色し、一般にモリブデンブルーと呼ばれる色を呈する。この方法で着色した皮膜の分光反射率特性は図2に示すように、明確なピークは表れず、長波長になるほど低くなる傾向があることが解る。
【0008】
このNi−Zn浴の電解着色皮膜に青色浸漬着色法を行うことにより、これら二つの分光反射率特性を重ね合わせることができる。すなわち、陽極酸化皮膜に対してこれら二つの着色法を順次行って後、その分光反射率特性を見ると、図3のようにこれら二つの分光反射率特性が重なって平坦な反射スペクトルとなり、特定の波長の色の表われない無彩色の灰色とすることができる。また、この着色皮膜の無彩色灰色の明度は、これらの各々の着色皮膜の反射強度から明かなように、これらの二つの着色工程の着色条件をそれぞれ調整することによって容易に制御することができる。
Ni−Zn浴電解着色法による着色皮膜は耐候性、耐光性及び均一性に優れており、上記第二の工程による着色皮膜もそれ自体が耐候性、耐光性に優れているため、本発明の着色皮膜は、従来の優れたNi−Zn浴電解着色法を利用しつつ、容易かつ安価にこれらの特性を兼ね備えた着色皮膜を得ることができる。
【0009】
【実施の形態】
本発明の着色法は、前半の工程として被処理材のアルミニウム材の脱脂処理、アルカリエッチング処理、脱スマット処理等の前処理を行い、硫酸等の酸性水溶液中で陽極酸化処理を行って、所定の膜厚の多孔性陽極酸化皮膜を形成する。これにNi−Zn浴法による電解着色処理及び浸漬着色処理を行って、灰〜黒の所要の無彩色に着色し、最後にアクリル樹脂によるクリヤー塗装を行って焼き付け処理して仕上げるか、または、沸騰水浸漬、封孔助剤入りの水に浸漬して封孔処理を行う。あるいは、上記工程において、電解着色処理と浸漬処理による着色処理の工程を前後入れ替えて行う。
【0010】
本発明に用いられるアルミニウム材は陽極酸化皮膜が形成可能であれば何でもよいが、JIS A1100材等の純Al系、JIS A6063材等のAl−Mg−Fe−Si系等の材質で、板、管、押出形材等の建材に用いられるものが好ましい。陽極酸化皮膜処理は、硫酸、蓚酸、スルホン酸等の通常の陽極酸化処理浴が使用できるが、慣用されている硫酸浴が好適である。硫酸浴法による場合10〜300g/l,浴温−5〜30℃で、膜厚3〜40μmの多孔性陽極酸化皮膜を形成する。
電解着色は、特開昭61−143593号公報記載のようなNi−Zn浴法すなわち、NiとZnの硫酸塩等を含む水溶液中で交流法、直流法あるいはパルス波形を用いる電解法等で行う。
【0011】
本発明の第一工程のNi−Zn浴による電解着色処理を具体的に説明すると、電解浴組成を、ニッケル塩として、硫酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、酢酸ニッケル、スルファミン酸ニッケルを10〜200g/l、亜鉛塩として、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛を1〜50g/l(ただし、Ni:Znの濃度比=1:0.1〜0.5)、キレート化剤(NiとZnの電析速度を調節)として、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、硼酸を1〜50g/l、支持電解質(浴の通電性を向上)として、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウムを1〜200g/l、アルミニウムイオン隠蔽剤として、酒石酸、クエン酸を4〜12g/l(Al化合物の析出による皮膜欠陥の誘発防止のため、Alイオン500PPM以下に維持)、からなるよう調整し、更に、規制成分として、1価の陽イオン(Na,K,NH4 )を20PPM以下(スポーリング発生の誘発防止)、浴のpHを4.5以上好ましくは5〜9(pHが4.5以下ではNi、Znの析出が困難)の範囲に維持する。陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム材を上記電解浴中で、浴温15〜30℃、交流の周波数5〜100Hz、電解電圧10〜30V、で10秒〜15分間電解着色する。
【0012】
第2工程のモリブデン、タングステン、バナジウム等の混合原子価錯体の陽極酸化皮膜への吸着は、陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム材を、モリブデン酸、タングステン酸、またはバナジン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩の水溶液からなる第1浴に浸漬してポアー中に吸着させた後、無機酸塩製還元剤としてスズ、鉄等の塩化物、硫酸塩の水溶液等からなる第2浴に浸漬してポアー中で部分的に還元処理して混合原子価錯体を生成・吸着させて行う。
混合原子価錯体による吸着処理浴の浴成分とその呈する色との関係を示すと以下のようになる。
Mo:(5−6価の混合系)・・・モリブデン酸のオキソ酸イオン、例えば(NH4 )2 MoO4 :モリブデンブルー、Moは、2〜6価の状態を取り得る、pHによって各種のポリ酸イオンが形成される。
W:(5−6価の混合系)・・・タングステン酸のオキソ酸イオン、例えばNa2 WO4 、タングステンブルー
V:(4−5価の混合系)・・・バナジン酸のオキソ酸イオン、例えば、Na3 VO4 、バナジンブルー
浴濃度は、飽和濃度までの任意の濃度でよいが、薄い場合は浸漬時間を長くすれば濃色化できる。例えば、第一浴と第2浴との濃度及び浸漬時間を、それぞれモリブデン酸アンモニウムが0.1〜400g/l、浴温0〜60℃で浸漬時間0.5〜15分、及び、硫酸スズ(II)0.1〜150g/l、浴温0〜60℃で浸漬時時間0.5〜15分間の範囲で、それぞれの濃度に合わせて浸漬時間を調節して着色処理を行う。
【0013】
ここで生じる反応は、陽極酸化皮膜の微細ポアー中に吸着されたモリブデン酸アンモニウムと浴中の硫酸スズとが反応して青色のMo(V)とMo(IV)の混合原子価錯体(モリブデンブルー)が生成するものであるが、どの程度のものが5価となっているかは現時点では確認手段がなく、明らかでない。
この混合原子価錯体は、陽極酸化皮膜中に吸着できればどのような方法でもよいが、混合原子価錯体は水溶液中では安定的に存在せず、また、沈澱し易いため、このように二浴方式での浸漬工程で混合原子価錯体を生成すると同時に吸着させる方法がよい。
この吸着工程により、電解着色により着色された陽極酸化皮膜は、その黄みをおびた灰色から無彩色の灰色となる。この方法によれば、これら電解着色と混合原子価錯体の吸着による着色との二つの工程について、それぞれ適当な条件を選ぶことにより灰〜黒色の明度の制御が容易にできる。
着色処理後は、目的に応じて封孔処理または電着塗装等の所要の処理を行う。
【0014】
実施例1
JIS A6063アルミニウム材を硫酸浴中で電流密度1.5A/dm2 で23分間電解して、10μmの陽極酸化皮膜を生成させた後、硼酸30g/l、硫酸ニッケル20g/l、硫酸亜鉛6g/l、硫酸マグネシウム25g/l、硫酸アンモニウム40g/lからなる電解着色浴(pH6.5)中で、商用交流17V定電圧で2分間電解して、黄みを帯びた灰色に着色した。
次いで、モリブデン酸アンモニウム20g/lの水溶液に5分間浸漬し、引き続いて、硫酸スズ(II)8g/lの水溶液に5分間浸漬して、モリブデンブルーを発色させ、封孔処理を施し、無彩色の灰色材を得た。測色値はL* =74.52、a* =0.05、b* =0.06であった。
ここで、L* 、a* 、b* は、日本工業規格(JIS Z8729)によるL* a* b* 表色系表示で、Ni−Zn浴による灰色着色皮膜は、L* 値で24〜80、a* は−1〜1、b* は1〜10のレベルであり、また、本発明での無彩色系の灰色は、L* 値で24〜80、a* は−1〜1、b* は−1〜1の範囲のものである。
【0015】
実施例2
JIS A6063アルミニウム材を硫酸浴中で電流密度1.5A/dm2 で23分間電解して、10μmの陽極酸化皮膜を生成させた後、モリブデン酸アンモニウム20g/lの水溶液に5分間浸漬し、引き続いて硫酸スズ(II)8g/lの水溶液に5分間浸漬して、モリブデンブルーを発色させた。
次いで、硼酸30g/l、硫酸ニッケル20g/l、硫酸亜鉛6g/l、硫酸マグネシウム25g/l、硫酸アンモニウム40g/lからなる電解着色浴(pH6.5)中で、商用交流17V定電圧で2分間電解して、封孔処理を施し、無彩色の灰色皮膜材を得た。測色値はL* =75.32、a* =0.06、b* =−0.1であった。
【0016】
実施例3
JIS A1100アルミニウム材を用いた以外は、実施例1と同様の条件で着色し、無彩色の灰色着色材が得られた。測色値はL* =68.42、a* =0.00、b* =0.12であった。
【0017】
実施例4
電解着色処理を4分間行った以外は、実施例1と同様の条件で着色し、濃い灰色材を得た。測色値はL* =52.22、a* =0.05、b* =0.18であった。
【0018】
実施例5
混合原子価錯体としてタングステン酸ナトリウム20g/lを用いた以外は、実施例1と同様の条件で着色し、灰色着色材を得た。測色値はL* =73.62、a* =0.02、b* =−0.06であった。
【0019】
実施例6
混合原子価錯体としてバナジン酸アンモニウム5g/lを用いた以外は、実施例1と同様の条件で着色し、灰色着色材を得た。測色値はL* =72.62、a* =0.02、b* =0.12であった。
【0020】
比較例
JIS A6063アルミニウム材を硫酸浴中で電流密度1.5A/dm2 で23分間電解して、10μmの陽極酸化皮膜を生成させた後、硼酸30g/l、硫酸ニッケル20g/l、硫酸亜鉛6g/l、硫酸マグシウム25g/l、硫酸アンモニウム40g/lからなる電解着色浴(pH6.5)中で、商用交流17V定電圧で2分間電解した。得られた試料の測色値はL* =76.68、a* =0.38、b* =3.25であって、黄みを帯びた灰色であった。
Ni−Zn浴電解着色法では、明度によって異なるものの、一般にb* は3以上となった。L* =75のときb* =3であって、L* が小さくなるにつれてb* は大きくなるため、明度が変わっても黄みを帯びた色となる。したがって、Ni−Zn浴電解着色法では、どの明度でも、無彩色の灰色を得ることはできない。
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、アルミニウム材の陽極酸化膜をNi−Zn浴電解着色法により着色して得られる耐候性、耐光性及び均一性に優れた着色皮膜を容易かつ安価に無彩色の灰色に転換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni−Zn浴電解着色法により着色したアルミニウム材の陽極酸化皮膜の分光反射率
【図2】モリブデン酸アンモニウム浸漬着色法により着色したアルミニウム材の陽極酸化皮膜の分光反射率
【図3】本発明の着色皮膜の分光反射率
【産業上の利用分野】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金材(以下、アルミニウム材という。)の陽極酸化皮膜の着色法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム材は、軽量で加工性が良くかつ耐食性があるためサッシや内装パネル材などの建材、あるいは車両部品などに広く用いられているが、その耐食性向上のため陽極酸化皮膜処理を行うことが一般である。この皮膜は耐食性に優れているが、そのままでは金属地金の白色系の色合いであるため、多様な用途における色彩環境に合わない場合があり、また単調で趣味性に乏しいきらいがある。このため用途に応じて、各種の色の塗装や着色処理が施されることが多くなっている。中でも、電解着色処理は、陽極酸化処理によって形成された酸化皮膜の微細なポアー中に化学的に安定な金属塩類を析出せしめて着色するため環境に対して極めて安定しており、長期間に亘って屋外においても変色したり褪色することがなく、広く普及を見ている。
【0003】
また、最近では、建材や車両部品などアルミニウム材の用途が広まるにつれ、着色の色合いやその濃度等にも様々な要求が寄せられるようになってきている。例えば、従来建築用途向けにはブロンズ色などの濃い色調が主流であったが、近年、灰色系統のいわゆる無彩色系統の落ち着いた色調が好まれるようになってきている。従来の電解着色法によってはこれに応えて、このような色調を出そうとすることは困難であった。
【0004】
すなわち、従来のこのような灰色着色法として、特開昭61−143593号公報に記載されるNi−Zn浴中で電解着色する方法がある。この着色法によれば、あらかじめ陽極酸化処理を施したアルミニウム材をニッケル塩及び亜鉛塩を主成分として含有する着色浴に、グルコン酸等のニッケルイオンのマスキング剤、硫酸アンモニウムなどの支持電解質を添加してpH4.5以上に調整した電解着色浴中で、交流、直流または矩形波電流により電解着色することによって、陽極酸化皮膜を単純グレー色、または若干着色されたグレー系統の色調の着色皮膜を得る。この電解着色法の他の特徴は、ニッケル塩の陽極酸化皮膜の微細なポアー中への析出分散度を高めることにあって、これによって、その耐食性、耐摩耗性や付き廻り性も従来の電解着色皮膜に比して優れたものであり、他の方法によってこれ以上の着色効果を得ることは困難である。
しかしながら、このNi−Zn浴中でアルミニウム材の陽極酸化皮膜を電解着色して灰色の色調とする方法によっても、この着色法が本来ブロンズ系着色法であるため、電解条件などを種々変えて調整しても、得られる灰色にはなお黄色味が強く、より純粋な無彩色の灰色の色調を求める市場の要求を満足できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、このNi−Zn浴法によって得られる耐食性、均一性に優れた電解着色皮膜を簡単な方法で安価に無彩色の灰色に転換することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本第一の発明は、その目的を達成するため、アルミニウム材の陽極酸化皮膜をNi−Zn浴法によって電解着色した後で、モリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかからなる混合原子価錯体を吸着させることによって灰色に着色させるものである。また本第二の発明は、アルミニウム材の陽極酸化膜にモリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかからなる混合原子価錯体を吸着させて着色後、Ni−Zn浴法によって電解着色することによって灰色に着色させるものである。
【0007】
【作用】
本発明がその基礎とする第一工程のNi−Zn浴による電解着色法は、陽極酸化皮膜の微細な孔に、金属NiとZnとを還元して合金析出させて皮膜を灰色に着色するものである。この方法で着色した皮膜の分光反射率について見ると、図1に示すように明確なピークは現れず、長波長側でやや高くなる傾向を示す。このためこの皮膜の色は長波長側の光を若干多く反射して、黄みを帯びた灰色となる。
本発明の他の工程は、陽極酸化皮膜にモリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかの混合原子価錯体を吸着させ、その混合原子価錯体色を発色させるものである。モリブデン酸を例にとると、モリブデン酸のアンモニウム塩などの水溶液にアルミニウム陽極酸化材を浸漬して、六価のモリブデン酸イオンを陽極酸化皮膜に吸着させ、次いで、塩化スズ、硫酸スズなどの二価のスズによって還元し、Mo(V)−O−Mo(VI)の混合原子価錯体をポアー中で形成させる。この原子価錯体は、モリブデン原子間の電子移動により青色に発色し、一般にモリブデンブルーと呼ばれる色を呈する。この方法で着色した皮膜の分光反射率特性は図2に示すように、明確なピークは表れず、長波長になるほど低くなる傾向があることが解る。
【0008】
このNi−Zn浴の電解着色皮膜に青色浸漬着色法を行うことにより、これら二つの分光反射率特性を重ね合わせることができる。すなわち、陽極酸化皮膜に対してこれら二つの着色法を順次行って後、その分光反射率特性を見ると、図3のようにこれら二つの分光反射率特性が重なって平坦な反射スペクトルとなり、特定の波長の色の表われない無彩色の灰色とすることができる。また、この着色皮膜の無彩色灰色の明度は、これらの各々の着色皮膜の反射強度から明かなように、これらの二つの着色工程の着色条件をそれぞれ調整することによって容易に制御することができる。
Ni−Zn浴電解着色法による着色皮膜は耐候性、耐光性及び均一性に優れており、上記第二の工程による着色皮膜もそれ自体が耐候性、耐光性に優れているため、本発明の着色皮膜は、従来の優れたNi−Zn浴電解着色法を利用しつつ、容易かつ安価にこれらの特性を兼ね備えた着色皮膜を得ることができる。
【0009】
【実施の形態】
本発明の着色法は、前半の工程として被処理材のアルミニウム材の脱脂処理、アルカリエッチング処理、脱スマット処理等の前処理を行い、硫酸等の酸性水溶液中で陽極酸化処理を行って、所定の膜厚の多孔性陽極酸化皮膜を形成する。これにNi−Zn浴法による電解着色処理及び浸漬着色処理を行って、灰〜黒の所要の無彩色に着色し、最後にアクリル樹脂によるクリヤー塗装を行って焼き付け処理して仕上げるか、または、沸騰水浸漬、封孔助剤入りの水に浸漬して封孔処理を行う。あるいは、上記工程において、電解着色処理と浸漬処理による着色処理の工程を前後入れ替えて行う。
【0010】
本発明に用いられるアルミニウム材は陽極酸化皮膜が形成可能であれば何でもよいが、JIS A1100材等の純Al系、JIS A6063材等のAl−Mg−Fe−Si系等の材質で、板、管、押出形材等の建材に用いられるものが好ましい。陽極酸化皮膜処理は、硫酸、蓚酸、スルホン酸等の通常の陽極酸化処理浴が使用できるが、慣用されている硫酸浴が好適である。硫酸浴法による場合10〜300g/l,浴温−5〜30℃で、膜厚3〜40μmの多孔性陽極酸化皮膜を形成する。
電解着色は、特開昭61−143593号公報記載のようなNi−Zn浴法すなわち、NiとZnの硫酸塩等を含む水溶液中で交流法、直流法あるいはパルス波形を用いる電解法等で行う。
【0011】
本発明の第一工程のNi−Zn浴による電解着色処理を具体的に説明すると、電解浴組成を、ニッケル塩として、硫酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、酢酸ニッケル、スルファミン酸ニッケルを10〜200g/l、亜鉛塩として、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛を1〜50g/l(ただし、Ni:Znの濃度比=1:0.1〜0.5)、キレート化剤(NiとZnの電析速度を調節)として、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、硼酸を1〜50g/l、支持電解質(浴の通電性を向上)として、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウムを1〜200g/l、アルミニウムイオン隠蔽剤として、酒石酸、クエン酸を4〜12g/l(Al化合物の析出による皮膜欠陥の誘発防止のため、Alイオン500PPM以下に維持)、からなるよう調整し、更に、規制成分として、1価の陽イオン(Na,K,NH4 )を20PPM以下(スポーリング発生の誘発防止)、浴のpHを4.5以上好ましくは5〜9(pHが4.5以下ではNi、Znの析出が困難)の範囲に維持する。陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム材を上記電解浴中で、浴温15〜30℃、交流の周波数5〜100Hz、電解電圧10〜30V、で10秒〜15分間電解着色する。
【0012】
第2工程のモリブデン、タングステン、バナジウム等の混合原子価錯体の陽極酸化皮膜への吸着は、陽極酸化皮膜を形成したアルミニウム材を、モリブデン酸、タングステン酸、またはバナジン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩の水溶液からなる第1浴に浸漬してポアー中に吸着させた後、無機酸塩製還元剤としてスズ、鉄等の塩化物、硫酸塩の水溶液等からなる第2浴に浸漬してポアー中で部分的に還元処理して混合原子価錯体を生成・吸着させて行う。
混合原子価錯体による吸着処理浴の浴成分とその呈する色との関係を示すと以下のようになる。
Mo:(5−6価の混合系)・・・モリブデン酸のオキソ酸イオン、例えば(NH4 )2 MoO4 :モリブデンブルー、Moは、2〜6価の状態を取り得る、pHによって各種のポリ酸イオンが形成される。
W:(5−6価の混合系)・・・タングステン酸のオキソ酸イオン、例えばNa2 WO4 、タングステンブルー
V:(4−5価の混合系)・・・バナジン酸のオキソ酸イオン、例えば、Na3 VO4 、バナジンブルー
浴濃度は、飽和濃度までの任意の濃度でよいが、薄い場合は浸漬時間を長くすれば濃色化できる。例えば、第一浴と第2浴との濃度及び浸漬時間を、それぞれモリブデン酸アンモニウムが0.1〜400g/l、浴温0〜60℃で浸漬時間0.5〜15分、及び、硫酸スズ(II)0.1〜150g/l、浴温0〜60℃で浸漬時時間0.5〜15分間の範囲で、それぞれの濃度に合わせて浸漬時間を調節して着色処理を行う。
【0013】
ここで生じる反応は、陽極酸化皮膜の微細ポアー中に吸着されたモリブデン酸アンモニウムと浴中の硫酸スズとが反応して青色のMo(V)とMo(IV)の混合原子価錯体(モリブデンブルー)が生成するものであるが、どの程度のものが5価となっているかは現時点では確認手段がなく、明らかでない。
この混合原子価錯体は、陽極酸化皮膜中に吸着できればどのような方法でもよいが、混合原子価錯体は水溶液中では安定的に存在せず、また、沈澱し易いため、このように二浴方式での浸漬工程で混合原子価錯体を生成すると同時に吸着させる方法がよい。
この吸着工程により、電解着色により着色された陽極酸化皮膜は、その黄みをおびた灰色から無彩色の灰色となる。この方法によれば、これら電解着色と混合原子価錯体の吸着による着色との二つの工程について、それぞれ適当な条件を選ぶことにより灰〜黒色の明度の制御が容易にできる。
着色処理後は、目的に応じて封孔処理または電着塗装等の所要の処理を行う。
【0014】
実施例1
JIS A6063アルミニウム材を硫酸浴中で電流密度1.5A/dm2 で23分間電解して、10μmの陽極酸化皮膜を生成させた後、硼酸30g/l、硫酸ニッケル20g/l、硫酸亜鉛6g/l、硫酸マグネシウム25g/l、硫酸アンモニウム40g/lからなる電解着色浴(pH6.5)中で、商用交流17V定電圧で2分間電解して、黄みを帯びた灰色に着色した。
次いで、モリブデン酸アンモニウム20g/lの水溶液に5分間浸漬し、引き続いて、硫酸スズ(II)8g/lの水溶液に5分間浸漬して、モリブデンブルーを発色させ、封孔処理を施し、無彩色の灰色材を得た。測色値はL* =74.52、a* =0.05、b* =0.06であった。
ここで、L* 、a* 、b* は、日本工業規格(JIS Z8729)によるL* a* b* 表色系表示で、Ni−Zn浴による灰色着色皮膜は、L* 値で24〜80、a* は−1〜1、b* は1〜10のレベルであり、また、本発明での無彩色系の灰色は、L* 値で24〜80、a* は−1〜1、b* は−1〜1の範囲のものである。
【0015】
実施例2
JIS A6063アルミニウム材を硫酸浴中で電流密度1.5A/dm2 で23分間電解して、10μmの陽極酸化皮膜を生成させた後、モリブデン酸アンモニウム20g/lの水溶液に5分間浸漬し、引き続いて硫酸スズ(II)8g/lの水溶液に5分間浸漬して、モリブデンブルーを発色させた。
次いで、硼酸30g/l、硫酸ニッケル20g/l、硫酸亜鉛6g/l、硫酸マグネシウム25g/l、硫酸アンモニウム40g/lからなる電解着色浴(pH6.5)中で、商用交流17V定電圧で2分間電解して、封孔処理を施し、無彩色の灰色皮膜材を得た。測色値はL* =75.32、a* =0.06、b* =−0.1であった。
【0016】
実施例3
JIS A1100アルミニウム材を用いた以外は、実施例1と同様の条件で着色し、無彩色の灰色着色材が得られた。測色値はL* =68.42、a* =0.00、b* =0.12であった。
【0017】
実施例4
電解着色処理を4分間行った以外は、実施例1と同様の条件で着色し、濃い灰色材を得た。測色値はL* =52.22、a* =0.05、b* =0.18であった。
【0018】
実施例5
混合原子価錯体としてタングステン酸ナトリウム20g/lを用いた以外は、実施例1と同様の条件で着色し、灰色着色材を得た。測色値はL* =73.62、a* =0.02、b* =−0.06であった。
【0019】
実施例6
混合原子価錯体としてバナジン酸アンモニウム5g/lを用いた以外は、実施例1と同様の条件で着色し、灰色着色材を得た。測色値はL* =72.62、a* =0.02、b* =0.12であった。
【0020】
比較例
JIS A6063アルミニウム材を硫酸浴中で電流密度1.5A/dm2 で23分間電解して、10μmの陽極酸化皮膜を生成させた後、硼酸30g/l、硫酸ニッケル20g/l、硫酸亜鉛6g/l、硫酸マグシウム25g/l、硫酸アンモニウム40g/lからなる電解着色浴(pH6.5)中で、商用交流17V定電圧で2分間電解した。得られた試料の測色値はL* =76.68、a* =0.38、b* =3.25であって、黄みを帯びた灰色であった。
Ni−Zn浴電解着色法では、明度によって異なるものの、一般にb* は3以上となった。L* =75のときb* =3であって、L* が小さくなるにつれてb* は大きくなるため、明度が変わっても黄みを帯びた色となる。したがって、Ni−Zn浴電解着色法では、どの明度でも、無彩色の灰色を得ることはできない。
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、アルミニウム材の陽極酸化膜をNi−Zn浴電解着色法により着色して得られる耐候性、耐光性及び均一性に優れた着色皮膜を容易かつ安価に無彩色の灰色に転換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Ni−Zn浴電解着色法により着色したアルミニウム材の陽極酸化皮膜の分光反射率
【図2】モリブデン酸アンモニウム浸漬着色法により着色したアルミニウム材の陽極酸化皮膜の分光反射率
【図3】本発明の着色皮膜の分光反射率
Claims (2)
- アルミニウムまたはアルミニウム合金材の陽極酸化皮膜をNi−Zn浴によって電解着色した後で、モリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかからなる混合原子価錯体を吸着させることによって灰色に着色させることを特徴とするアルミニウム材への無彩色系灰色着色方法。
- アルミニウムまたはアルミニウム合金材の陽極酸化皮膜にモリブデン、タングステン、バナジウムのいずれかからなる混合原子価錯体を吸着させた後で、Ni−Zn浴によって電解着色することによって灰色に着色させることを特徴とするアルミニウム材への無彩色系灰色着色方法。
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