JP3561611B2 - 硬質炭素系被膜 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質炭素系被膜に関するものであり、電気シェーバー刃、コンプレッサの摺動部品、薄膜磁気ヘッド、弾性表面波素子等の保護膜及び絶縁膜、あるいはセンサ用薄膜などとして用いることができる耐摩耗性を有した硬質炭素系被膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンド状炭素被膜などの硬質炭素被膜は、硬度、絶縁性、化学的安定性等に優れているため、コーティング材料として注目されている。しかしながら、このような硬質炭素被膜は、一般に高い硬度を有する程、内部応力が高くなるので、膜厚の増加に伴い、基板からの剥離や、あるいは基板の反り等が問題となっていた。
【0003】
硬質炭素被膜の基板に対する接着性を高め、剥離を防止する方法として、基板と硬質炭素被膜の間にシリコンからなる中間層を設ける方法が提案されている(特開平1−317197号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の中間層を設ける方法によれば、硬質炭素被膜と基板との間の密着性が改善され、これによって基板からの剥離を防止することが可能であるが、硬質炭素被膜自身の内部応力による基板の反りの発生を防止することができなかった。
【0005】
このような基板の反りを防止する方法として、内部応力の低い硬質炭素被膜を形成する方法が考えられるが、一般に内部応力を低くすると、硬質炭素被膜の膜硬度が大幅に低下する傾向にある。従って、内部応力の低い硬質炭素被膜を用いると、十分に高い硬度が得られず、耐摩耗性等が不十分になるという問題を生じた。
【0006】
本発明の目的は、膜硬度が高く、かつ基板からの剥離や基板の反りの原因となる内部応力が低減した硬質炭素系被膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬質炭素系被膜は、水素を含有する非晶質炭素からなる硬質炭素層を少なくとも2層有し、該硬質炭素層の間に水素を含有しない炭素層からなる内部応力緩和層を配置した積層構造を有することを特徴としている。
【0008】
本発明に従う好ましい実施形態においては、積層構造が、少なくとも3層の硬質炭素層を有し、各硬質炭素層の間にそれぞれ内部応力緩和層を配置した積層構造である。
【0009】
本発明における硬質炭素層は、膜中に水素を含有しており、一般的に高い硬度を有する硬質炭素層である。硬質炭素層の硬度としては、3000Hv以上であることが好ましい。このような硬質炭素層は、例えばメタンガスのような炭化水素系ガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により形成することができる。
【0010】
本発明における内部応力緩和層は、硬質炭素層よりも低い内部応力を有する層であればよく、例えば、水素を含有しない炭素層をこのような内部応力緩和層として用いることができる。このような水素を含有しない炭素層は、例えば、グラファイトをターゲットとして用いたスパッタリング法により形成することができる。ここで、水素を含有しないとは、水素濃度が4原子%以下のものを意味している。
【0011】
スパッタリング法により形成した水素を含有しない炭素層の硬度は、一般に数百Hv程度であり、その内部応力も低い。
【0012】
本発明においては、上記の硬質炭素層の間に上記の内部応力緩和層を配置した積層構造を有している。本発明における硬質炭素系被膜の積層構造の最小単位は、硬質炭素層/内部応力緩和層/硬質炭素層の3層であり、硬質炭素層と内部応力緩和層の積層を複数回繰り返すことにより、さらに多層の積層構造としてもよい。
【0013】
本発明における各硬質炭素層の膜厚は、50Å〜5μm程度が好ましく、さらに好ましくは100Å〜1μm程度である。
また、本発明における各内部応力緩和層の膜厚は、5Å〜5μm程度が好ましく、さらに好ましくは10Å〜1μm程度である。
【0014】
各硬質炭素層の膜厚をa、各内部応力緩和層の膜厚をbとすると、その膜厚の比a/bは、1〜1000の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10〜500の範囲内である。
【0015】
本発明において、硬質炭素層と内部応力緩和層の硬度の比は、(硬質炭素層の硬度)/(内部応力緩和層の硬度)で10以上であることが好ましい。
また、硬質炭素層の内部応力と、内部応力緩和層の内部応力の比は、(硬質炭素層の内部応力)/(内部応力緩和層の内部応力)で100以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の硬質炭素系被膜は、硬質炭素層の間に内部応力緩和層を配置した積層構造を有している。従って、内部応力緩和層の存在により、その両側の硬質炭素層の内部応力が緩和され、硬質炭素層として高硬度の硬質炭素層を用いても、全体としての内部応力を低減させることができる。
【0017】
従って、従来の非晶質炭素被膜と同程度の硬度を有し、かつ従来よりも内部応力の低い硬質炭素系被膜とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従う硬質炭素系被膜の一実施例を示す断面図である。基板1の上には、硬質炭素層2が形成されており、この硬質炭素層2の上に、内部応力緩和層3が形成されている。その上には、さらに硬質炭素層2及び内部応力緩和層3の積層ユニットが繰り返し積層されており、最上層には、硬質炭素層2が設けられている。硬質炭素系被膜4は、このような硬質炭素層2と内部応力緩和層3の積層構造から構成されている。この硬質炭素系被膜4の積層構造においては、硬質炭素層2の間に内部応力緩和層3が配置されている。
【0019】
図2は、本発明に従う硬質炭素系被膜を形成するための装置の一例を示す概略断面図であり、ECRプラズマCVD法による薄膜形成と、スパッタリング法による薄膜形成を同一の装置内で行うことができる薄膜形成装置を示している。図2を参照して、真空チャンバー17内には、プラズマ発生室14と、基板18が設置される反応室とが設けられている。プラズマ発生室14には、導波管12を介してマイクロ波発生装置11が接続されている。導波管12とプラズマ発生室14の接続部には、マイクロ波導入窓13が設けられている。プラズマ発生室14には、プラズマ発生室14にアルゴン(Ar)等の放電ガスを導入するための放電ガス導入管15が接続されている。また、プラズマ発生室14を包囲して、プラズマ磁界発生装置16が設けられている。
【0020】
真空チャンバー17内の反応室には、基板ホルダー19が設置され、この基板ホルダー19の上に基板18が載せられている。また真空チャンバー17内の反応室には、プラズマCVD法の原料ガスとなる反応ガスを導入するための反応ガス導入管21が接続されている。基板ホルダー19には、基板18に自己バイアス電圧を発生させるための高周波電源20が接続されている。
【0021】
また、真空チャンバー17には、基板18上にスパッタリング法により薄膜を形成するためのターゲットを装着したスパッタ源22が設置されている。またこのスパッタ源22に高周波電力を供給するための高周波電源23が設けられている。真空チャンバー17内は、排気口24から排気されることにより、所定の圧力に設定される。
【0022】
図3は、図2に示す薄膜形成装置を用い、ECRプラズマCVD法により、硬質炭素層としてのダイヤモンド状炭素薄膜を形成した場合のダイヤモンド状炭素薄膜の膜中水素濃度、内部応力、及び硬度を示す図である。図3に示すデータは、高周波電源20により基板ホルダー19に印加する高周波電力を変え、基板18に発生する自己バイアス電圧を0から−200Vまで変化させてダイヤモンド状炭素薄膜を形成したときのデータを示している。
【0023】
膜中水素濃度は、二次イオン質量分析(SIMS)により測定した値である。また内部応力は、基板の変形量から測定した値である。薄い基板の上に応力のかかった状態で膜を形成すると、基板はその形と弾性定数によって決まるたわみを示すので、このたわみ量を検出することにより内部応力を測定することができる。このたわみ量については、例えば、「応力物理」第66巻,第7号(1987),923〜924頁に説明されている。ここでは、ニュートン環法により求めた基板のたわみの曲率半径から内部応力を算出した。
【0024】
硬度は、ビッカース硬度である。
図3から明らかなように、自己バイアス電圧の絶対値が大きくなるにつれて、膜中水素濃度が減少し、これと共に内部応力が増加し、硬度が高くなっていることがわかる。
【0025】
実施例1
図2に示す薄膜形成装置を用い、Si基板の上に、図1に示すような本発明に従う硬質炭素系被膜を形成した。硬質炭素系被膜の形成は、以下に示す硬質炭素層を形成する工程(1)と、内部応力緩和層を形成する工程(2)とを交互に繰り返すことにより行った。なお、本実施例では、内部応力緩和層として、グラファイトターゲットを用い、これをスパッタリングすることにより形成した、水素を実質的に含有しない非晶質炭素被膜を形成した。
【0026】
工程(1):図2に示す薄膜形成装置において、基板ホルダー19の上に基板18を取付け、真空チャンバー17内の内部を10-5〜10-7Torrに排気する。次に、放電ガス導入管15からArガスを5.7×10-4Torrで供給すると共に、マイクロ波発生装置11から2.45GHz、100Wのマイクロ波を供給して、プラズマ発生室14内にArプラズマを発生させ、このArプラズマを基板18の表面上に放射する。反応ガス導入管21からは、CH4 ガスを7.6×10-4Torrで供給する。反応ガス導入管21から供給されたCH4 ガスは、プラズマの作用により分解され、これによって生じた炭素が、反応性の高いイオンまたは中性の活性状態となって、基板18の表面に放射される。これと同時に、基板18に発生する自己バイアス電圧が−50Vとなるように、高周波電源20から周波数13.56MHzの高周波電力を基板ホルダー19に印加する。
以上の工程により、Si基板18の上に、1回の薄膜形成工程で、膜厚約900Åの硬質炭素層が形成される。
【0027】
工程(2):反応ガス導入管21からのCH4 ガスの供給を停止し、放電ガス導入管15からArガスを、1×10-3Torrとなるように供給し、高周波電源23から、スパッタ源22に、13.56MHzの高周波電力を印加し、スパッタ源22を動作させ、基板18上に、内部応力緩和層として膜厚約100Åの非晶質炭素層を形成する。
【0028】
上記工程(1)及び(2)のプロセスを10回繰り返し、最後に工程(1)を1回行うことにより、図1に示すような、基板1上に、硬質炭素層2と内部応力緩和層3からなるユニットを10回積層し、最後に硬質炭素層2を積層した、合計21層からなる硬質系炭素被膜4を形成した。この硬質系炭素被膜4のトータルの膜厚は1.09μmであった。
【0029】
比較例1
Si基板上に、実施例1における工程(1)で、硬質炭素層に相当する薄膜を膜厚1.09μmとなるように形成した。
【0030】
比較例2
Si基板上に、実施例1における工程(2)で、非晶質炭素層の薄膜を膜厚1.09μmとなるように形成した。
【0031】
ビッカース硬度及び内部応力の測定
上記実施例1並びに比較例1及び2で得られた被膜について、ビッカース硬度と内部応力を測定し、表1にその結果を示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかなように、本発明に従う実施例1の硬質炭素系被膜は、比較例1の硬質炭素層に相当するダイヤモンド状炭素被膜とほぼ同程度のビッカース硬度を有しているが、比較例1のダイヤモンド状炭素被膜に比べ、低い内部応力であることがわかる。
【0034】
図4は、比較例1及び比較例2の被膜について、ビッカース圧子の押し込み荷重を一定の割合で増加させながら、ビッカース圧子を被膜に押し込んだ場合の荷重と押し込み深さとの関係を示す図である。図4に示すように、比較例1のダイヤモンド状炭素被膜は、荷重に対する押し込み深さが小さく、比較例2のスパッタリング法により形成した非晶質炭素被膜に比べ高い硬度を有していることがわかる。
【0035】
図5は、実施例1の硬質炭素系被膜について、ビッカース圧子の押し込み荷重を一定の割合で増加させながら、ビッカース圧子を被膜に押し込んだ場合の荷重と押し込み深さとの関係を示す図である。点線は、実施例1の荷重と押し込み深さとの関係を示している。この点線の傾斜は、硬質炭素層に相当するAの部分と、内部応力緩和層に相当するBの部分をその膜厚割合で合計させた仮想曲線(実線)で表される傾斜と同程度の傾斜であることがわかる。従って、比較例1の勾配に近い勾配となり、高い硬度を有する。
【0036】
図6は、硬質炭素層の膜厚をa、内部応力緩和層の膜厚をbとしたときの膜厚比a/bを変化させて積層させた硬質炭素系被膜のビッカース硬度及び内部応力を示す図である。ビッカース硬度及び内部応力は、それぞれ比較例1のビッカース硬度及び内部応力を1とした場合の相対値で示している。全体の膜厚は1.09μmとし、実施例1と同様に、硬質炭素層を合計で11層、内部応力緩和層を合計で10層となるように積層している。
【0037】
図6の結果から明らかなように、膜厚の比a/bが1〜1000の範囲で硬度が高くなっており、a/bが10〜500の範囲で、さらに高い硬度が得られていることがわかる。
【0038】
参考例1
内部応力緩和層としてSi層を形成した。スパッタ源22として、Siターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、Siターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのSi層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とSi層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0039】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3050Hvであり、また比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.75であった。
【0040】
参考例2
内部応力緩和層としてW層を形成した。スパッタ源22として、Wターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、Wターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのW層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とW層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0041】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3000Hvであり、また、比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.73であった。
【0042】
参考例3
内部応力緩和層としてZr層を形成した。スパッタ源22として、Zrターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、Zrターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのZr層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とZr層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0043】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3000Hvであり、また比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.73であった。
【0044】
参考例4
内部応力緩和層としてSiC層を形成した。スパッタ源22として、Siターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、反応ガス導入管21からCH4 ガスを9.5×10-5Torrで供給し、Siターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのSiC層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とSiC層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0045】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3080Hvであり、また比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.8であった。
【0046】
上記実施例および参考例においては、内部応力緩和層としてスパッタリング法により形成した非晶質炭素層、Si層、W層、Zr層、及びSiC層を用いたが、上述のその他の内部応力緩和層を用いた場合にも、上記実施例と同様の約3000Hvのビッカース硬度を有し、比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値が約0.7である高硬度、低内部応力の硬質炭素系被膜が得られることを実験により確認している。
【0047】
【発明の効果】
本発明に従えば、高い膜硬度を有し、かつ内部応力の低い硬質炭素系被膜とすることができる。従って、電気シェーバー刃、コンプレッサにおける摺動部品等の保護膜として有用であり、さらには磁気薄膜ヘッドや弾性表面波素子の保護膜等として有用な硬質炭素系被膜とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う硬質炭素系被膜の一実施例を示す断面図。
【図2】本発明の硬質炭素系被膜を形成することができる薄膜形成装置の一例を示す概略断面図。
【図3】本発明の硬質炭素系被膜における硬質炭素層となるダイヤモンド状炭素被膜の膜中水素濃度、内部応力、及び硬度と、自己バイアス電圧との関係を示す図。
【図4】硬質炭素層(比較例1)と内部応力緩和層(比較例2)の圧子押し込み荷重と押し込み深さとの関係を示す図。
【図5】本発明に従う実施例1の硬質炭素系被膜の圧子押し込み荷重と押し込み深さとの関係を示す図。
【図6】本発明の実施例において硬質炭素層の膜厚aと内部応力緩和層の膜厚bとの比を変化させたときのビッカース硬度及び内部応力を示す図。
【符号の説明】
1…基板
2…硬質炭素層
3…内部応力緩和層
4…硬質炭素系被膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質炭素系被膜に関するものであり、電気シェーバー刃、コンプレッサの摺動部品、薄膜磁気ヘッド、弾性表面波素子等の保護膜及び絶縁膜、あるいはセンサ用薄膜などとして用いることができる耐摩耗性を有した硬質炭素系被膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンド状炭素被膜などの硬質炭素被膜は、硬度、絶縁性、化学的安定性等に優れているため、コーティング材料として注目されている。しかしながら、このような硬質炭素被膜は、一般に高い硬度を有する程、内部応力が高くなるので、膜厚の増加に伴い、基板からの剥離や、あるいは基板の反り等が問題となっていた。
【0003】
硬質炭素被膜の基板に対する接着性を高め、剥離を防止する方法として、基板と硬質炭素被膜の間にシリコンからなる中間層を設ける方法が提案されている(特開平1−317197号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の中間層を設ける方法によれば、硬質炭素被膜と基板との間の密着性が改善され、これによって基板からの剥離を防止することが可能であるが、硬質炭素被膜自身の内部応力による基板の反りの発生を防止することができなかった。
【0005】
このような基板の反りを防止する方法として、内部応力の低い硬質炭素被膜を形成する方法が考えられるが、一般に内部応力を低くすると、硬質炭素被膜の膜硬度が大幅に低下する傾向にある。従って、内部応力の低い硬質炭素被膜を用いると、十分に高い硬度が得られず、耐摩耗性等が不十分になるという問題を生じた。
【0006】
本発明の目的は、膜硬度が高く、かつ基板からの剥離や基板の反りの原因となる内部応力が低減した硬質炭素系被膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬質炭素系被膜は、水素を含有する非晶質炭素からなる硬質炭素層を少なくとも2層有し、該硬質炭素層の間に水素を含有しない炭素層からなる内部応力緩和層を配置した積層構造を有することを特徴としている。
【0008】
本発明に従う好ましい実施形態においては、積層構造が、少なくとも3層の硬質炭素層を有し、各硬質炭素層の間にそれぞれ内部応力緩和層を配置した積層構造である。
【0009】
本発明における硬質炭素層は、膜中に水素を含有しており、一般的に高い硬度を有する硬質炭素層である。硬質炭素層の硬度としては、3000Hv以上であることが好ましい。このような硬質炭素層は、例えばメタンガスのような炭化水素系ガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により形成することができる。
【0010】
本発明における内部応力緩和層は、硬質炭素層よりも低い内部応力を有する層であればよく、例えば、水素を含有しない炭素層をこのような内部応力緩和層として用いることができる。このような水素を含有しない炭素層は、例えば、グラファイトをターゲットとして用いたスパッタリング法により形成することができる。ここで、水素を含有しないとは、水素濃度が4原子%以下のものを意味している。
【0011】
スパッタリング法により形成した水素を含有しない炭素層の硬度は、一般に数百Hv程度であり、その内部応力も低い。
【0012】
本発明においては、上記の硬質炭素層の間に上記の内部応力緩和層を配置した積層構造を有している。本発明における硬質炭素系被膜の積層構造の最小単位は、硬質炭素層/内部応力緩和層/硬質炭素層の3層であり、硬質炭素層と内部応力緩和層の積層を複数回繰り返すことにより、さらに多層の積層構造としてもよい。
【0013】
本発明における各硬質炭素層の膜厚は、50Å〜5μm程度が好ましく、さらに好ましくは100Å〜1μm程度である。
また、本発明における各内部応力緩和層の膜厚は、5Å〜5μm程度が好ましく、さらに好ましくは10Å〜1μm程度である。
【0014】
各硬質炭素層の膜厚をa、各内部応力緩和層の膜厚をbとすると、その膜厚の比a/bは、1〜1000の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10〜500の範囲内である。
【0015】
本発明において、硬質炭素層と内部応力緩和層の硬度の比は、(硬質炭素層の硬度)/(内部応力緩和層の硬度)で10以上であることが好ましい。
また、硬質炭素層の内部応力と、内部応力緩和層の内部応力の比は、(硬質炭素層の内部応力)/(内部応力緩和層の内部応力)で100以上であることが好ましい。
【0016】
本発明の硬質炭素系被膜は、硬質炭素層の間に内部応力緩和層を配置した積層構造を有している。従って、内部応力緩和層の存在により、その両側の硬質炭素層の内部応力が緩和され、硬質炭素層として高硬度の硬質炭素層を用いても、全体としての内部応力を低減させることができる。
【0017】
従って、従来の非晶質炭素被膜と同程度の硬度を有し、かつ従来よりも内部応力の低い硬質炭素系被膜とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従う硬質炭素系被膜の一実施例を示す断面図である。基板1の上には、硬質炭素層2が形成されており、この硬質炭素層2の上に、内部応力緩和層3が形成されている。その上には、さらに硬質炭素層2及び内部応力緩和層3の積層ユニットが繰り返し積層されており、最上層には、硬質炭素層2が設けられている。硬質炭素系被膜4は、このような硬質炭素層2と内部応力緩和層3の積層構造から構成されている。この硬質炭素系被膜4の積層構造においては、硬質炭素層2の間に内部応力緩和層3が配置されている。
【0019】
図2は、本発明に従う硬質炭素系被膜を形成するための装置の一例を示す概略断面図であり、ECRプラズマCVD法による薄膜形成と、スパッタリング法による薄膜形成を同一の装置内で行うことができる薄膜形成装置を示している。図2を参照して、真空チャンバー17内には、プラズマ発生室14と、基板18が設置される反応室とが設けられている。プラズマ発生室14には、導波管12を介してマイクロ波発生装置11が接続されている。導波管12とプラズマ発生室14の接続部には、マイクロ波導入窓13が設けられている。プラズマ発生室14には、プラズマ発生室14にアルゴン(Ar)等の放電ガスを導入するための放電ガス導入管15が接続されている。また、プラズマ発生室14を包囲して、プラズマ磁界発生装置16が設けられている。
【0020】
真空チャンバー17内の反応室には、基板ホルダー19が設置され、この基板ホルダー19の上に基板18が載せられている。また真空チャンバー17内の反応室には、プラズマCVD法の原料ガスとなる反応ガスを導入するための反応ガス導入管21が接続されている。基板ホルダー19には、基板18に自己バイアス電圧を発生させるための高周波電源20が接続されている。
【0021】
また、真空チャンバー17には、基板18上にスパッタリング法により薄膜を形成するためのターゲットを装着したスパッタ源22が設置されている。またこのスパッタ源22に高周波電力を供給するための高周波電源23が設けられている。真空チャンバー17内は、排気口24から排気されることにより、所定の圧力に設定される。
【0022】
図3は、図2に示す薄膜形成装置を用い、ECRプラズマCVD法により、硬質炭素層としてのダイヤモンド状炭素薄膜を形成した場合のダイヤモンド状炭素薄膜の膜中水素濃度、内部応力、及び硬度を示す図である。図3に示すデータは、高周波電源20により基板ホルダー19に印加する高周波電力を変え、基板18に発生する自己バイアス電圧を0から−200Vまで変化させてダイヤモンド状炭素薄膜を形成したときのデータを示している。
【0023】
膜中水素濃度は、二次イオン質量分析(SIMS)により測定した値である。また内部応力は、基板の変形量から測定した値である。薄い基板の上に応力のかかった状態で膜を形成すると、基板はその形と弾性定数によって決まるたわみを示すので、このたわみ量を検出することにより内部応力を測定することができる。このたわみ量については、例えば、「応力物理」第66巻,第7号(1987),923〜924頁に説明されている。ここでは、ニュートン環法により求めた基板のたわみの曲率半径から内部応力を算出した。
【0024】
硬度は、ビッカース硬度である。
図3から明らかなように、自己バイアス電圧の絶対値が大きくなるにつれて、膜中水素濃度が減少し、これと共に内部応力が増加し、硬度が高くなっていることがわかる。
【0025】
実施例1
図2に示す薄膜形成装置を用い、Si基板の上に、図1に示すような本発明に従う硬質炭素系被膜を形成した。硬質炭素系被膜の形成は、以下に示す硬質炭素層を形成する工程(1)と、内部応力緩和層を形成する工程(2)とを交互に繰り返すことにより行った。なお、本実施例では、内部応力緩和層として、グラファイトターゲットを用い、これをスパッタリングすることにより形成した、水素を実質的に含有しない非晶質炭素被膜を形成した。
【0026】
工程(1):図2に示す薄膜形成装置において、基板ホルダー19の上に基板18を取付け、真空チャンバー17内の内部を10-5〜10-7Torrに排気する。次に、放電ガス導入管15からArガスを5.7×10-4Torrで供給すると共に、マイクロ波発生装置11から2.45GHz、100Wのマイクロ波を供給して、プラズマ発生室14内にArプラズマを発生させ、このArプラズマを基板18の表面上に放射する。反応ガス導入管21からは、CH4 ガスを7.6×10-4Torrで供給する。反応ガス導入管21から供給されたCH4 ガスは、プラズマの作用により分解され、これによって生じた炭素が、反応性の高いイオンまたは中性の活性状態となって、基板18の表面に放射される。これと同時に、基板18に発生する自己バイアス電圧が−50Vとなるように、高周波電源20から周波数13.56MHzの高周波電力を基板ホルダー19に印加する。
以上の工程により、Si基板18の上に、1回の薄膜形成工程で、膜厚約900Åの硬質炭素層が形成される。
【0027】
工程(2):反応ガス導入管21からのCH4 ガスの供給を停止し、放電ガス導入管15からArガスを、1×10-3Torrとなるように供給し、高周波電源23から、スパッタ源22に、13.56MHzの高周波電力を印加し、スパッタ源22を動作させ、基板18上に、内部応力緩和層として膜厚約100Åの非晶質炭素層を形成する。
【0028】
上記工程(1)及び(2)のプロセスを10回繰り返し、最後に工程(1)を1回行うことにより、図1に示すような、基板1上に、硬質炭素層2と内部応力緩和層3からなるユニットを10回積層し、最後に硬質炭素層2を積層した、合計21層からなる硬質系炭素被膜4を形成した。この硬質系炭素被膜4のトータルの膜厚は1.09μmであった。
【0029】
比較例1
Si基板上に、実施例1における工程(1)で、硬質炭素層に相当する薄膜を膜厚1.09μmとなるように形成した。
【0030】
比較例2
Si基板上に、実施例1における工程(2)で、非晶質炭素層の薄膜を膜厚1.09μmとなるように形成した。
【0031】
ビッカース硬度及び内部応力の測定
上記実施例1並びに比較例1及び2で得られた被膜について、ビッカース硬度と内部応力を測定し、表1にその結果を示した。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかなように、本発明に従う実施例1の硬質炭素系被膜は、比較例1の硬質炭素層に相当するダイヤモンド状炭素被膜とほぼ同程度のビッカース硬度を有しているが、比較例1のダイヤモンド状炭素被膜に比べ、低い内部応力であることがわかる。
【0034】
図4は、比較例1及び比較例2の被膜について、ビッカース圧子の押し込み荷重を一定の割合で増加させながら、ビッカース圧子を被膜に押し込んだ場合の荷重と押し込み深さとの関係を示す図である。図4に示すように、比較例1のダイヤモンド状炭素被膜は、荷重に対する押し込み深さが小さく、比較例2のスパッタリング法により形成した非晶質炭素被膜に比べ高い硬度を有していることがわかる。
【0035】
図5は、実施例1の硬質炭素系被膜について、ビッカース圧子の押し込み荷重を一定の割合で増加させながら、ビッカース圧子を被膜に押し込んだ場合の荷重と押し込み深さとの関係を示す図である。点線は、実施例1の荷重と押し込み深さとの関係を示している。この点線の傾斜は、硬質炭素層に相当するAの部分と、内部応力緩和層に相当するBの部分をその膜厚割合で合計させた仮想曲線(実線)で表される傾斜と同程度の傾斜であることがわかる。従って、比較例1の勾配に近い勾配となり、高い硬度を有する。
【0036】
図6は、硬質炭素層の膜厚をa、内部応力緩和層の膜厚をbとしたときの膜厚比a/bを変化させて積層させた硬質炭素系被膜のビッカース硬度及び内部応力を示す図である。ビッカース硬度及び内部応力は、それぞれ比較例1のビッカース硬度及び内部応力を1とした場合の相対値で示している。全体の膜厚は1.09μmとし、実施例1と同様に、硬質炭素層を合計で11層、内部応力緩和層を合計で10層となるように積層している。
【0037】
図6の結果から明らかなように、膜厚の比a/bが1〜1000の範囲で硬度が高くなっており、a/bが10〜500の範囲で、さらに高い硬度が得られていることがわかる。
【0038】
参考例1
内部応力緩和層としてSi層を形成した。スパッタ源22として、Siターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、Siターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのSi層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とSi層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0039】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3050Hvであり、また比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.75であった。
【0040】
参考例2
内部応力緩和層としてW層を形成した。スパッタ源22として、Wターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、Wターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのW層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とW層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0041】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3000Hvであり、また、比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.73であった。
【0042】
参考例3
内部応力緩和層としてZr層を形成した。スパッタ源22として、Zrターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、Zrターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのZr層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とZr層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0043】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3000Hvであり、また比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.73であった。
【0044】
参考例4
内部応力緩和層としてSiC層を形成した。スパッタ源22として、Siターゲットを装着したスパッタ源を用い、実施例1における工程(2)において、反応ガス導入管21からCH4 ガスを9.5×10-5Torrで供給し、Siターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚約100ÅのSiC層を内部応力緩和層として形成し、硬質炭素層とSiC層の積層構造からなる硬質炭素系被膜を形成した。
【0045】
得られた硬質炭素系被膜のビッカース硬度測定を行った結果、3080Hvであり、また比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値は0.8であった。
【0046】
上記実施例および参考例においては、内部応力緩和層としてスパッタリング法により形成した非晶質炭素層、Si層、W層、Zr層、及びSiC層を用いたが、上述のその他の内部応力緩和層を用いた場合にも、上記実施例と同様の約3000Hvのビッカース硬度を有し、比較例1の内部応力を1とした場合の内部応力の相対値が約0.7である高硬度、低内部応力の硬質炭素系被膜が得られることを実験により確認している。
【0047】
【発明の効果】
本発明に従えば、高い膜硬度を有し、かつ内部応力の低い硬質炭素系被膜とすることができる。従って、電気シェーバー刃、コンプレッサにおける摺動部品等の保護膜として有用であり、さらには磁気薄膜ヘッドや弾性表面波素子の保護膜等として有用な硬質炭素系被膜とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う硬質炭素系被膜の一実施例を示す断面図。
【図2】本発明の硬質炭素系被膜を形成することができる薄膜形成装置の一例を示す概略断面図。
【図3】本発明の硬質炭素系被膜における硬質炭素層となるダイヤモンド状炭素被膜の膜中水素濃度、内部応力、及び硬度と、自己バイアス電圧との関係を示す図。
【図4】硬質炭素層(比較例1)と内部応力緩和層(比較例2)の圧子押し込み荷重と押し込み深さとの関係を示す図。
【図5】本発明に従う実施例1の硬質炭素系被膜の圧子押し込み荷重と押し込み深さとの関係を示す図。
【図6】本発明の実施例において硬質炭素層の膜厚aと内部応力緩和層の膜厚bとの比を変化させたときのビッカース硬度及び内部応力を示す図。
【符号の説明】
1…基板
2…硬質炭素層
3…内部応力緩和層
4…硬質炭素系被膜
Claims (8)
- 水素を含有する非晶質炭素からなる硬質炭素層を少なくとも2層有し、該硬質炭素層の間に水素を含有しない炭素層からなる内部応力緩和層を配置した積層構造を有する硬質炭素系被膜。
- 前記積層構造が、少なくとも3層の前記硬質炭素層を有し、各硬質炭素層の間にそれぞれ前記内部応力緩和層を配置した積層構造である請求項1に記載の硬質炭素系被膜。
- 前記水素を含有しない炭素層がスパッタリング法により形成される炭素層である請求項1または2に記載の硬質炭素系被膜。
- 前記各硬質炭素層の膜厚をa、前記各内部応力緩和層の膜厚をbとすると、その比a/bが1〜1000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬質炭素系被膜。
- 前記硬質炭素層の硬度が3000Hv以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬質炭素系被膜。
- 前記硬質炭素層中の水素濃度が5〜40原子%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬質炭素系被膜。
- 前記硬質炭素系被膜全体としての硬度が3000Hv以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬質炭素系被膜。
- 前記水素を含有しない炭素層の水素濃度は4原子%以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬質炭素系被膜。
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