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JP3557027B2 - 自然分解性複合糸およびその製品 - Google Patents

自然分解性複合糸およびその製品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自然分解性であり、且つ優れた嵩高性、柔軟性および好ましい風合いを持つ繊維製品を製造することが出来る新規複合糸およびその製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂からなる従来の合成繊維は、自然環境下での分解速度が遅く、また焼却時の発熱量が多いため、自然環境保護の見地からの見直しが必要である。このため、脂肪族ポリエステルからなる自然分解性繊維が開発されつつあり、環境保護への貢献が期待されている。脂肪族ポリエステルのあるものは、優れた繊維性能を持ち、新しい特徴ある繊維素材として期待されるが、製品の嵩高性、柔軟性、風合いなどの面で不満足な点があり、その改善が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、自然分解性であり、且つ優れた嵩高性、柔軟性および好ましい風合いを持つ繊維製品を製造することが出来る新規複合糸およびそれらから得られる優れた製品を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、脂肪族ポリエステルを主成分とし融点100℃以上且つ溶融時の吸熱量が30ジュール/グラム以上の重合体(1)からなり、分子配向された繊維(A)と、脂肪族ポリエステルを主成分とし融点100℃以上且つ溶融時の吸熱量が該重合体(1)のそれよりも5ジユール/グラム以上少ない重合体(2)からなり、分子配向された繊維(B)とが、混合されている複合糸およびそれを応用した織物、編物などの繊維構造物によって達成される。
【0005】
ここで、脂肪族ポリエステルを主成分とする重合体とは、(1)グリコール酸、乳酸、ヒドロキシブチルカルボン酸などのようなヒドロキシアルキルカルボン酸、(2)グリコリド、ラクチド、ブチロラクトン、カプロラクトンなどの脂肪族ラクトン、(3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのような脂肪族ジオール、(4)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレン/プロピレングリコール、ジヒドロキシエチルブタンなどのようなポリアルキレンエーテルのオリゴマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンリコール、ポリブチレンエーテルなどのポリアルキレングリコール、(5)ポリプロピレンカーボネート、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキサンカーボネート、ポリオクタンカーボネート、ポリデカンカーボネートなどのポリアルキレンカーボネートグリコールおよびそれらのオリゴマー、(6)コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸など、脂肪族ポリエステル重合原料に由来する成分を主成分すなわち50重量%以上(特に60%以上)とするものであって、脂肪族ポリエステルのホモポリマー、脂肪族ポリエステルのブロック又は/及びランダム共重合ポリマー、および脂肪族ポリエステルに他の成分、例えば芳香族ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオルガノシロキサンなどを50重量%以下(ブロック又は/及びランダム)共重合したもの及び/又は混合したものをすべて包含する。
【0006】
脂肪族ポリエステルを共重合や混合によって変性する目的は、結晶性の低下、融点の低下(重合温度や成型温度の低下)、摩擦係数、柔軟性や弾性回復性の改良、耐熱性、ガラス転移温度や熱収縮性の低下または上昇、染色性、親水性や撥水性の改良、分解性の向上または抑制などが挙げられる。
【0007】
本発明複合糸は、溶融時の吸熱量の大きい重合体(1)からなる繊維(A)と、溶融時の吸熱量の小さい重合体(2)からなる繊維(B)とが混合された、繊維間複合体である。本発明複合糸の具体例としては、複数種の連続フィラメントが混合されている混合フィラメント(以下「混繊糸」と記す)、連続フイラメントとステープルとか複合された「長/短複合糸」、および複数種のステープルが混合され紡績された「混紡糸」の3つが代表的なものである。従来、これらの繊維間複合(混合)体において、収縮性の異なる繊維を組合わせると、嵩高性や柔軟性に優れた編織物などの製品が得られることは知られている。しかし、脂肪族ポリエステル繊維では、収縮性を制御する方法は未だほとんど知られておらず、まして収縮性の異なる繊維を複合することや、それを用いて織物や編み物の品質を改良することは、全く知られていない。
【0008】
本発明者らは、脂肪族ポリエステル繊維の織編物などの品質の改良について鋭意研究し、溶融時の吸熱量の大きい重合体(1)からなる繊維(A)は、加熱時の収縮性が小さく、他方、溶融時の吸熱量の小さい重合体(2)からなる繊維(B)は、加熱時の収縮性を大きくすることが可能であることを見出だし、両者を組合わせることにより優れた繊維構造物が得られることを明らかにし、本発明を完成したものである。
【0009】
ここで溶融時の吸熱量は、走査型示差熱量計(以下DSCと記す)を用い、十分に延伸、熱処理および乾燥した試料について、試料重量約10mg、窒素中、昇温速度10℃/minの条件で測定したものである。図7に、DSC曲線を模式的に示す。図はほとんど結晶化していない試料の測定例で、4はガラス転移によるベースラインの変化を示し、5は測定時の加熱による結晶化の発熱ピークを示し、6は結晶の溶融による吸熱ピークを示す。十分に結晶化している試料では、発熱ピーク5は消失し観測されない。本発明において、結晶の溶融による吸熱ピーク6の極小値(中心値)の温度を融点とし、吸熱ピーク6の全吸熱量(積分値、図7の斜線部の面積に比例する)を溶融時の吸熱量とする。吸熱量の単位は、ジュール/グラム(以下J/gと記す)とする。混合物やブロック共重合体などで、融点が複数存在する場合は、最も高いものを(本発明における)融点とする。但し、最も高温のピークの溶融吸熱量が例えば2J/g程度以下と無視できる程小さく、それよりも低温に溶融吸熱量が例えば20J/g以上の大きな主ピークがあれば、実質的な融点(ポリマーが極度に軟化、流動開始する温度)はその主ピークとみなされる場合もある。また溶融吸熱量は、全ての溶融吸熱ピークの合計とする。
【0010】
重合体(1)は、溶融吸熱量が大きく、熱収縮性の小さな成分である。重合体(1)に好適なものとしては、結晶性のホモポリマーおよび、それに対して結晶性をあまり損なわない程度に少量(例えば40重量%以下、特に30%以下)の第二成分や第三成分を共重合又は/及び混合したものが挙げられる。本発明繊維混合体の、強度、耐熱性および製品の風合いの見地から、重合体(1)の溶融時の吸熱量は、30J/g以上が必要であり、35J/g以上が特に好ましく、40J/g以上が最も好ましい。結晶性脂肪族ポリエステルのホモポリマーの溶融吸熱量は、多くの場合50J/g前後である。同様に、実用的見地から重合体(1)の融点は、100℃以上の必要があり、110℃以上が好ましく、130℃以上が特に好ましく、150℃以上が最も好ましい。
【0011】
重合体(1)に好ましいものの具体例としては、ポリブチレンサシサクシネート(融点約116℃)、ポリL−乳酸(同175℃)、ポリD−乳酸(同175℃)、ポリヒドロキシブチレート(同180℃)、ポリグリコール酸(同230℃)などのホモポリマー、およびそれらに少量の他成分を共重合又は/及び混合したものが挙げられる。一般に、ブロック共重合では結晶性や融点の変化は緩やかであり、共重合成分の比率は1〜50%、特に1〜40%、多くの場合1〜30%が好ましいが、ランダム共重合では結晶性や融点の変化が顕著で、共重合成分の比率は0.5〜10%、特に1〜5%が好ましいことが多い。勿論、共重合による融点や結晶性の変化は、共重合成分によって大きく変わるので、DSCによる結晶の溶融吸熱量及び融点に注意する必要がある。他成分の混合による融点や結晶性の変化も、混合成分や混合率により相当変わるが、ランダム共重合ほど顕著でないことが多い。
【0012】
重合体(2)は、溶融吸熱量が小さく熱収縮性の大きい成分である。重合体(2)に適するものとしては、共重合や混合によって結晶の溶融吸熱量を低下させたものが挙げられる。重合体(1)の溶融吸熱量と重合体(2)の溶融吸熱量の差は、十分な収縮率の差による良い風合いの製品を得るために、5J/g以上が必要であり、10J/g以上が好ましく15J/g以上が特に好ましく。20J/g以上が最も好ましい。なお5J/gは、結晶性脂肪族ホモポリエステルの溶融吸熱量の約10%に相当する。すなわち重合体(2)の結晶化度は、重合体(1)のそれの大略90%以下であると推定される。
【0013】
一般に、大きい嵩高性、伸縮性、柔軟性が必要とされる編織物物などは、収縮率差の大きい(例えば20〜50%)組合わせが好ましいが、ある程度抑制された、嵩高性や好ましい風合いを与えるためには、小さ目の収縮率差(5〜20%)が好ましいこともあり、使用目的に応じて、重合体(2)を選ぶことが出来る。また、実用的見地から、重合体(2)の融点は100℃以上であることが必要であり、110℃以上が好ましく、130℃以上が特に好ましく、135℃以上が最も好ましい。この様な比較的融点の高いものとしては、上記高融点ホモポリマーを主成分(50重量%以上)とする共重合体や混合体が挙げられる。共重合や混合に用いる成分は、上記脂肪族ポリエステルの重合原料から適宜選ぶことが出来る。特に好ましいブロック共重合や混合成分としては、弾性回復性に優れるガラス転移点が常温以下、特に0℃以下の脂肪族ポリエステル、例えばポリカプロラクトンの他、エチレングリコール、フプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール類の一種以上と、サクシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクタンジカルボン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸の一種以上を組み合わせて得られるポリエステル、例えばポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケートその他が挙げられる。
【0014】
重合体(2)は、上記のように溶融吸熱量が少なく低結晶性である必要がある。結晶性低下に最も効果的な方法は、ランダム共重合である。ランダム共重合が容易に可能な例としては、L−乳酸/D−乳酸、L−ラクチド(LLラクチド)/D−ラクチド(DDラクチド又は/及びDLラクチド)、乳酸/グリコール酸、ラクチド/グリコリド、ラクチド/カプロラクトンなど、異種ヒドロキシカルボン酸同志の組み合わせ、光学異性体、異種ラクトン同志の組み合わせ、又はヒドロキシカルボン酸、グリコール、ジカルボン酸などの2種以上を共重合する方法などが挙げられる。更に、ランダム共重合とブロック共重合や異種ポリマーとの混合を組み合わせたものも好ましい。重合体(2)は、結晶性でなくても良い。非晶性の(溶融吸熱が見られない)場合、融点は溶融粘度が10万ポイズになる温度とする。
【0015】
重合体(1)と重合体(2)とは、それぞれ別々に繊維化され、必要に応じて延伸、熱処理などにより分子配向され、繊維(A)および繊維(B)が製造される。繊維(A)および繊維(B)は、色々な手段で混合されて本発明の複合糸(繊維混合体)が得られる。混合方法は、とくに限定されないが、繊維(A)および繊維(B)が共にフィラメントの場合、同一または近接する紡糸口金から同時に紡糸し巻取る紡糸混繊、別々に紡糸後エアノズルなどを応用するエア混繊、単なる合糸、合撚、混繊仮撚(複合仮撚)などの方法が好ましく用いられる。繊維(A)および繊維(B)の一方がフィラメントで他方がステープルの場合は、紡績工程にフィラメントを供給するいわゆるコアスピニング法が応用される。繊維(A)および繊維(B)が共にステープルの場合、通常の混合綿、混合スライバー、混合ウェブなどの方法で混紡糸が容易に得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1〜6に混繊糸、コアスパン糸(長/短複合糸)、および混紡糸の横断面の例を示す。図において1は繊維(A)を示し、2は繊維(B)を示し、3はその他の繊維(C)を示す。図1は、円形断面の繊維(A)12本と、円形断面の繊維(B)12本が比較的均一に混合されている例、図2は、円形断面の繊維(A)12本と、円形断面の繊維(B)12本が偏心的(それぞれの重心が離れている状態)に配置されている例、図3は、円形断面の繊維(B)10本が内部に、円形断面の繊維(A)14本が外部に同心的に配置されている例である。図4は、円形断面の繊維(B)12本と、三角断面の繊維(A)15本とが、ほぼ均一に混合されている例、図5はやや太い繊維(B)6本と、やや細い三角断面の繊維(A)15本が心鞘型に配置されている例、図6は、やや太い繊維(B)4本と、細い3角断面の繊維(A)12本、更にそれらとはべつの円形断面の繊維(C)12本が混合されている例である。
【0017】
本発明において、繊維の断面形状、繊度、繊維(A)と繊維(B)との混合比率(重量比)などは、特に限定されず任意に選ぶことが出来る。繊維(A)と繊維(B)との混合比率は、目的とする製品によって選ばれるが、多くの場合10/1〜1/10、特に5/1〜1/5の範囲が好ましく、3/1〜1/3の範囲が最も広く用いられる。繊維(A)と繊維(B)との複合(混合)状態も限定されないが、図1に示すように両者が均一且つランダムに分散されたもの、図2に示すような偏心的配置、図3に示すような芯鞘または同心的配置の三種は、基本的かつ好ましいことが多く広く用いられる。また、図6のように別の繊維(C)を混合しても良い。繊維(C)としては、自然分解性の羊毛、綿および脂肪族ポリエステル繊維などが特に好ましい。
【0018】
従来、特に柔軟性を必要とするドレス、ブラウス、下着、裏地、コートそのほかの薄地または中肉の織編物などでは、染色仕上げ加工工程において、ポリエステル繊維からなる布を強アルカリ(水酸化ナトリウムの水溶液など)で処理し、ポリマーの一部(例えば5〜50%、特に10〜30%)を分解除去するアルカリ減量加工が広く行われる。脂肪族ポリエステル繊維もアルカリ減量加工可能である。しかし、一般に脂肪族ポリエステル繊維はアルカリに極めて敏感であり、従来の芳香族ポリエステル繊維に比べ、よりマイルドな条件(低アルカリ濃度、低PH、低温など)で行う。本発明複合糸を応用した編織物のアルカリ減量加工では、繊維(B)は繊維(A)に比べてアルカリ減量速度が大きい傾向がある。従って、アルカリ減量が予定されている場合、繊維(B)は、その減量速度に応じて繊維(A)よりも単糸(平均)繊度を大きく、例えば10%以上、特に20〜400%(5倍)程度大きくしておくことが望ましい。同様な目的の別の方法としては、繊維(B)を単位重量当たりの表面積が小さい円形またはそれに類似する断面とし、繊維(A)をそれよりも10%以上、特に20〜400%(5倍)程度表面積の大きな多角形や多葉形とすることが挙げられ、アルカリ減量加工後に繊維(A)および(B)が、それぞれ適切な繊度および混合比率となるように配慮することが好ましい。もちろん上記2つの方法を併用することもできる。しかし、アルカリ減量加工をする場合、脂肪族ポリエステル繊維のアルカリ減量加工は、アルカリの消費量が少なく、生成する分解物(乳酸)は容易に生物により分解されるので、環境への悪影響が極めて少ないという大きな利点がある。
【0019】
繊維(A)と繊維(B)との沸騰水収縮率(100℃沸騰水中、無荷重で10分間処理し、常温室内で自然乾燥したとき)の差は、特に限定されないが、通常3%以上、特に5〜50%程度が好ましく、10〜40%程度の範囲が最も広く用いられる。
【0020】
繊維(A)と繊維(B)の断面は、円形、長円形、ひょうたん形、多角形、多葉形、アルファベット形その他各種の非円形(異形)、中空形など任意に選ぶことが出来る。繊度も同様に使用目的に応じて任意に選ばれるが、通常の衣料用には、単糸繊度0.1〜50デニール(d)程度の範囲、特に0.5〜30dの範囲が好ましく用いられる。不織布、皮革、資材用などにはもっと細いものや太いものも用いられる。繊維(A)と繊維(B)は、それぞれ断面、繊度、収縮率
の異なる2種以上のものを混合したものでも良い。
【0021】
本発明複合糸は、重合体(1)および重合体(2)を用い、溶融、湿式、乾式、乾湿式その他の方法で紡糸して製造することが出来るが、特に溶融紡糸は能率が高く好ましい。溶融紡糸は、巻取速度500〜2000m/minの低速紡糸、巻取速度2000〜5000m/minの高速紡糸、巻取速度5000m/min以上の超高速紡糸が可能であり、更に必要に応じて延伸や熱処理をすることができる。一般に低速紡糸では3〜8倍程度、高速紡糸では1.5〜3倍程度の延伸を行い、超高速紡糸では延伸不要または2倍程度以下の延伸を行うことが多い。紡糸と延伸を連続して行ういわゆるスピンドロー方式も好ましく応用できる。
【0022】
本発明複合糸は、連続フィラメント混繊糸、合撚糸、複合仮撚糸、混紡糸およこびそれらに類似するものなど、使用目的に応じて任意の形態とすることが出来、それらを用いて編物、織物、不織布その他の繊維構造物を製造することが出来る。それらの製造工程や加工工程の中で、また製造後に適宜加熱又は膨潤することにより、繊維(A)と繊維(B)との間に収縮率の差を生じさせ、製品に好ましい嵩高性、柔軟性、伸縮性、風合いを与えることが出来る。加熱は乾熱、湿熱、赤外線、それらの併用その他任意である。膨潤は溶剤、膨潤剤や水を用いる。もちろん、必要に応じ糸状で仮撚や押込み法などで、機械的に巻縮を付与した後、加熱して収縮させることも出来る。また、例えば織物や編み物の染色仕上げ工程で、加熱収縮させることが広く行われる。一般に収縮処理は、弛緩状態で行うことが多いが、適度な緊張を加えて収縮を制御することが出来る。
【0023】
本発明複合糸を構成する繊維には、各種顔料、染料、着色剤、撥水剤、吸水剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属粒子、無機化合物粒子、結晶核剤、滑剤、可塑剤、抗菌剤、香料その他の添加剤を混合することが出来る。
【0024】
本発明繊維は単独で、又は他の繊維と混用して糸、紐、ロープ、編物、織物、不織布、紙、複合材料その他の構造物の製造に用いることが出来る。他の繊維と混用する場合、綿、羊毛、絹などの天然有機繊維、脂肪族ポリエステル繊維などの自然分解性繊維と混合使用すれば、完全に自然分解性の製品が得られるので特に好ましい。
【0025】
【実施例】
以下の実施例において、%、部は特に断らない限り重量比である。脂肪族ポリエステルの分子量は、試料の0.1%クロロホルム溶液のGPC分析において、分子量1000以下の成分を除く高分子成分の分散の重量平均値である。
【0026】
繊維の収縮率は、試料フィラメントを約1000デニール(950〜1050d)、長さ50cmの束にし、荷重50gを加えて1分後の長さL1を測定し、次に無荷重で沸騰水中で10分間処理した後吸取り紙で脱水し、23℃,65%RHの測定室中で無荷重で24時間以上自然乾燥した後、荷重50gを加えて1分後の長さL2を測定し、、[(L1−L2)/L1]×100(%)の式によって計算する。
【0027】
[実施例1]
分子量8000で両末端が水酸基のポリエチレングリコール(PEG)3部、L−ラクチド98部、オクチル酸錫100ppm、チバガイギー社の酸化防止剤イルガノックス1010の0.1部を混合し、窒素雰囲気中190゜Cで12分間、2軸押出機中で溶融攪拌重合し、冷却チップ化後、140゜C窒素雰囲気中で4時間処理(固相重合)して、ポリ乳酸とPEGのブロック共重合ポリマーP1を得た。ポリマーP1は、分子量153000、PEG成分の含有率約3%、融点175゜C、十分に配向結晶化した繊維の溶融吸熱量は55J/gであった。 ポリマーP1を230℃のスクリュウ押出し機で溶融し、225℃、直径0.2mmのオリフィスより紡出し空気中で冷却、オイリングしながら1500m/minの速度で巻取り、80℃で4.5倍延伸し緊張下110℃で熱処理し40デニール/12フィラメのント延伸糸A1を得た。延伸糸A1の強度は4.5g/d,伸度29%、沸騰水中の収縮率は12%である。
【0028】
ポリマーP1とほぼ同様にして、ただしラクチドとしてL−ラクチド95.5部、D−ラクチド2.5部の混合物を用い、ポリマーP2を得た。ポリマーP2は、分子量158000,融点163℃,溶融吸熱量は27J/gであった。
【0029】
ポリマーP2を220℃のスクリュウ押出し機で溶融し、225℃、直径0.2mmのオリフィスより紡出し空気中で冷却、オイリングしながら1500m/minの速度で巻取り、80℃で4.5倍延伸し、熱処理しないで60デニール/12フィラメのント延伸糸B1を得た。延伸糸B1の強度は4.4g/d,伸度33%、沸騰水中の収縮率は27%である。
【0030】
延伸糸A1および延伸糸B1を各1本ずつ用いエアノズルにより混合し、糸断面内で両者が均一に混合された混繊糸MY1を得た。混繊糸MY1を,600回/mで撚糸したものを経糸に、撚糸30T/mのものを緯糸に用い2/1の綾織物を作成し、精練後弛緩状態で120℃乾熱で15分間熱処理し、更に80℃の苛性ソーダ0.5%水溶液で10分間処理(減量加工)した。その後洗浄し柔軟仕上げ剤を0.2%付与し135℃で緊張下で熱処理して織物MF1を得た。
【0031】
比較のために、ポリマーP1とほぼ同様にして、但しPEGを用いないで得たポリ乳酸ホモポリマーをポリマーP3とする。ポリマーP3は分子量162000,融点175℃,溶融吸熱量55J/gであった。同じくポリマーP1と同様にして、但しPEGを6部、L−ラクチドを95部として得たポリマーをP4とする。ポリマーP4は、PEG成分を約6%含むが、融点174℃,溶融吸熱量は55J/gであった。ポリマーP3を用い、以下延伸糸A1とほぼ同様にして、40デニール/12フィラメントの延伸糸A2を得た。延伸糸A2の強度は4.6g/d,伸度30%,沸騰水中の収縮率は12%である。ポリマーP4を用い、以下延伸糸A1と同様にして、60デニール/12フィラメントの延伸糸B2を得た。延伸糸B2の強度は4.5g/d,伸度29%,沸騰水中の収縮率は15%である。延伸糸A2と延伸糸B2とを1本ずつエアノズルで均一に混繊し、混繊糸MY2を得た。混繊糸MY2を用い、以下織物MF1とほぼ同様にして、但しアルカリ減量加工を苛性ソーダ0.6%、処理時間30分として,織物MF2を得た。織物MF1、織物MF2の風合いなどを表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0003557027
【0033】
[実施例2]
実施例1のポリマーP1とほぼ同様にして、但しPEGの代わりに分子量127000、末端が水酸基のポリブチレンサクシネートを30部用い、ポリマーP5を得た。ポリマーP5は、分子量129000,融点162℃,溶融吸熱量は35J/gであった。同じくポリマーP1とほぼ同様にして、但しPEGの代わりに分子量129000、末端が水酸基のポリブチレンサクシネートを10部、L−ラクチドの代わりにL−ラクチド88.5部、D−ラクチド2.5部としてポリマーP6を得た。ポリマーP6は、分子量13400,融点151℃,溶融吸熱量は26J/gであった。
【0034】
ポリマーP5を用い、以下実施例1の延伸糸B1とほぼ同様にして、但し紡糸と延伸を連続して行うスピンドロー方式で、紡糸速度4000m/min,延伸温度80℃、延伸倍率1.6倍、熱処理なしで、延伸糸B3を得た。延伸糸B3の強度は4.7g/d,伸度33%,沸騰水中の収縮率は38%であった。
【0035】
実施例1のポリマーP1を用い、延伸糸B3とほぼ同様にして、但し延伸後120℃で熱処理して延伸糸A3を得た。延伸糸A3の強度は4.9g/d,伸度29%,沸騰水中の収縮率は13%であった。
【0036】
ポリマーP6を用い、以下延伸糸B3とほぼ同様にして、延伸糸B4を得た。延伸糸B4は、強度4.6g/d,伸度29%,沸騰水中の収縮率は35%であった。
【0037】
延伸糸A3と延伸糸B3とをエアノズルにより混繊し、以下実施例1の織物MF1と同様にして織物MF3を得た。織物MF3の柔軟性、嵩高性、風合いはいずれも優れていた。同様に、延伸糸B4および延伸糸A3の混繊糸から得た織物MF4の柔軟性、嵩高性、風合いはいずれも優れていた。
【0038】
【発明の効果】
本発明によって、自然分解性であり環境汚染することが少なく、しかも柔軟性、嵩高性、風合いにすぐれた編物、織物などを製造することが出来る新規複合糸が提供され、各種衣料、工業資材、産業資材、家庭用品などに好適に利用可能となった。一般に、脂肪族ポリエステル繊維は、自然環境下で分解するだけでなく、従来使われた合成繊維よりも燃焼時の発熱量が少なく、焼却も容易である。特に、乳酸は、農産物から発酵法などで得られ、自然の物質循環系の中に組み込まれるので、ポリ乳酸を主成分とする脂肪族ポリエステルは、環境保護の見地から最も好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】2種の円形断面繊維が均一に混合された本発明複合糸の断面図である。
【図2】2種の円形断面繊維が偏心的に混合された本発明複合糸の断面図である。
【図3】2種の円形断面繊維が同心的に混合された本発明複合糸の断面図である。
【図4】3角断面繊維と円形断面繊維が均一に混合された本発明複合糸の断面図である。
【図5】3角断面繊維と円形断面繊維が均一に混合された本発明複合糸の断面図である。
【図6】3角断面繊維、円形断面繊維および第3の繊維混合された本発明複合糸の断面図である。
【図7】走査型示差熱量計(DSC)による、結晶性ポリマーの昇温時の発熱および吸熱を示す曲線(DSC曲線)である。
【符号の説明】
1:重合体(1)よりなる繊維(A) 2:重合体(2)よりなる繊維(B)
3:第3の繊維(C) 4:ガラス転移によるベースラインの変化
5:ポリマーの結晶化による発熱ピーク
6:ポリマー(結晶)の溶融による吸熱ピーク

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステルを主成分とし融点100℃以上且つ溶融時の吸熱量が30ジュール/グラム以上の重合体(1)からなり、分子配向された繊維(A)と、脂肪族ポリエステルを主成分とし融点100℃以上且つ溶融時の吸熱量が該重合体(1)のそれよりも5ジユール/グラム以上少ない重合体(2)からなり、分子配向された繊維(B)とが混合されてなる複合糸。
  2. 重合体(1)が、融点が130℃以上、溶融時の吸熱量が40ジュール/グラム以上であり、且つ重合体(1)と重合体(2)の溶融時の吸熱量の差が10ジュール/グラム以上である、請求項1記載の複合糸。
  3. 繊維(B)の単糸繊度が繊維(A)のそれよりも10%以上大きい、又は/及び繊維(B)の単位重量当たりの表面積が繊維(A)のそれよりも10%以上小さい、請求項1記載の複合糸。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の複合糸を、少なくとも一部に用いて製造した織物および編物。
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