JP3555666B2 - 位置検出方法及び装置、並びに露光方法及び装置 - Google Patents
位置検出方法及び装置、並びに露光方法及び装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体ウエハ等の基板の表面に形成された周期的な凹凸のマーク(段差マーク)の位置検出を行うための位置検出方法及び装置に関し、例えば半導体素子又は液晶表示素子等を製造する際に使用される露光装置の所謂格子アライメント方式のアライメントセンサに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体素子はウエハ上に多数層の回路パターンを所定の位置関係で積み重ねて形成されるので、2層目以降の回路パターンをウエハ上に投影露光する際には、ウエハ上で既に回路パターンが形成されている各ショット領域とマスクとしてのレチクルのパターン像の投影位置(露光位置)との位置合わせ(アライメント)を高精度に行う必要がある。そのため、レチクルのパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するために使用されるステッパー等の露光装置では、ウエハ上の各ショット領域に付設されている位置合わせ用のアライメントマーク(ウエハマーク)の位置を検出するアライメントセンサと、その検出結果に基づいてウエハの位置決めを行うステージ機構とからなるアライメント装置が備えられている。
【0003】
従来のアライメントセンサ中で、特に高精度に位置検出を行うことができるセンサとして、例えば特開平2−227602号公報で開示されているような、回折格子状のウエハマークを検出対象とする所謂「格子アライメント方式」のセンサが知られている。この場合に検出対象とされるウエハマークは、ウエハ上に計測方向に所定ピッチで凹凸の回折格子(位相格子)状に形成されたマーク(段差マーク)である。そして、格子アライメント方式の光学系としては、主に次の3方式が知られている。
【0004】
▲1▼回折格子状のウエハマークに対してほぼ垂直にレーザビームを照射し、そのウエハマークからほぼ対称に射出される2つの回折光の干渉光を受光し、その干渉光の光電変換信号に基づいてそのウエハマークの位置を検出する。
▲2▼ウエハマークに対してほぼ対称に可干渉な2つのレーザビームを照射し、そのウエハマークからほぼ垂直上方に平行に射出される2つの回折光の干渉光を受光し、その干渉光の光電変換信号の位相に基づいてそのウエハマークの位置を検出する。この検出方式は、2光束干渉方式、又はLIA(Laser Interferometric Alignment)方式と呼ばれている。
【0005】
▲3▼ウエハマークに対してほぼ対称に可干渉な2つのレーザビームを照射し、そのウエハマークからの正反射光と、この正反射光の方向に発生する回折光との干渉光を受光し、その干渉光の光電変換信号の位相に基づいてそのウエハマークの位置を検出する。この検出方式は2光束干渉方式に含まれる。
また、これらの内で▲2▼及び▲3▼のようにウエハマークに2光束を照射する方式は、更にそれら2光束の周波数を僅かに異ならしめて、所定の周波数で変調されたビート信号を検出するヘテロダイン干渉方式と、それら2光束の周波数を同じにするホモダイン干渉方式とに分かれ、ホモダイン干渉方式を使用するときには位置検出のためにステージ、又は参照格子等を走査することが行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように格子アライメント方式では、計測方向に所定ピッチで形成された凹凸の回折格子状のウエハマークが検出対象とされる。
しかしながら、その回折格子状のウエハマークには、それまでの半導体プロセス(成膜工程、エッチング工程等)によって計測方向に対して或る程度の非対称性が生じている。その非対称性を全く無くすことはできず、その非対称性により、必ず或る程度の位置検出誤差が生じることとなる。特に金属のスパッタリングによる成膜工程においては、回折格子状のウエハマークの底部(凹部)の高さに関する非対称が大きくなり、位置検出時に誤差が大きくなるという不都合があった。
【0007】
図4は、金属のスパッタリングによる成膜工程で形成された、X方向を計測方向とする回折格子状のウエハマーク25の一例を示し、この図4において、領域Cで示す底部の高さが+X方向に次第に高くなって非対称となっている。このようなウエハマーク25では、特に領域Cで示す底部より生じる回折光の内で、その底部の中心(X=0の位置)より右側(+X方向)から生じる回折光と、左側(−方向)から生じる回折光とで強度、位相共に大きく異なったものとなるため、位置検出結果がX方向にずれてしまう。
【0008】
また、上記のように凹凸のウエハマークの底部に大きな非対称を有する工程だけではなく、ウエハマークの頂上部(凸部の上面)の高さに大きな非対称性が生じる工程も存在し、このような工程で形成されたウエハマークを使用する場合にも、位置検出誤差が生ずる恐れがある。
また、上述の格子アライメント方式のセンサのみならず、凹凸のウエハマークからの回折光を検出する他のアライメントセンサを使用する場合にも、そのウエハマークに非対称性があると、検出誤差が生ずる恐れがある。
【0009】
本発明は斯かる点に鑑み、ウエハ等の基板上の凹凸のマークからの回折光を検出することにより、そのマークの位置を検出する場合に、そのマークに非対称性がある場合でも位置検出誤差が小さい位置検出方法を提供することを目的とする。更に本発明は、そのような位置検出方法が実施できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による位置検出方法は、例えば図2に示すように、基板(W)上で検出方向(X方向)に周期的に凹凸パターンとして形成された位置合わせ用マーク(25)に、位置検出用の光束(Lm,Lp)を照射し、位置合わせ用マーク(25)から発生する回折光(Ld)に基づいて位置合わせ用マーク(25)の位置を検出する位置検出方法において、2以上の整数mを用いて、位置合わせ用マーク(25)の凸部(25c)、又は凹部(25a)の検出方向の幅dを、位置合わせ用マーク(25)の検出方向のピッチPに対して、次の範囲内に設定する。
【0011】
【数1】
0.9(P/m)≦d≦1.1(P/m)
そして、位置合わせ用マーク(25)からのm次の回折光を検出するものである。これは、位置合わせ用マーク(25)からのm次の回折光を検出する場合に、位置合わせ用マーク(25)の凸部(25c)、又は凹部(25a)の検出方向の幅dを、位置合わせ用マーク(25)の検出方向のピッチPに対してP/mの±10%以内に設定することを意味する。
【0012】
この場合、その幅dとしては、凸部(25c)、又は凹部(25a)の内の非対称性の大きい方の幅を使用してもよい。また、その整数mの値は3であることが望ましい。
また、本発明による位置検出装置は、例えば図2に示すように、基板(W)上で検出方向(X方向)にピッチPの周期的な凹凸パターンとして形成されると共に、2以上の整数mを用いて、凸部、又は凹部の検出方向の幅dが(数1)の範囲内に設定される位置合わせ用マーク(25)の位置を検出する位置検出装置であって、位置合わせ用マーク(25)に位置検出用の光束(Lp,Lm)を照射する照射光学系(21,28,26,23B,24)と、位置合わせ用マーク(25)から発生するm次の回折光(Ld)を含む光束を受光して光電変換する受光光学系(24,22,27)と、この受光光学系からの出力信号より位置合わせ用マーク(25)の位置を検出する信号処理手段(14)と、を有するものである。
次に、本発明による露光方法は、レチクル(R)上のパターンを露光用の照明光で照明し、そのパターンを投影光学系(3)を介して、基板(W)上の各ショット領域上に投影する露光方法であって、本発明の位置検出方法を用いて検出されたその位置合わせ用マークの位置に基づいて、そのショット領域の中心をその投影光学系の露光フィールドの中心に合わせ込むものである。
また、本発明による露光装置は、レチクル(R)上のパターンを露光用の照明光で照明し、そのパターンを投影光学系(3)を介して、基板(W)上の各ショット領域上に投影する露光装置であって、本発明の位置検出装置を備え、その位置検出装置を用いて検出されたその位置合わせ用マークの位置に基づいて、そのショット領域の中心をその投影光学系の露光フィールドの中心に合わせ込むものである。
【0013】
【作用】
斯かる本発明の原理につき図4を参照して説明する。以下では検出対象の位置合わせ用マークを、図4に示すように計測方向であるX方向にピッチPの凹凸パターンとして形成されたウエハマーク25であるとして、ウエハマーク25内で非対称な部分は底部の領域であるとする。この場合、ウエハマーク25に垂直に入射した検出光からの回折角θの回折光の振幅を、回折角θの正弦sin θの関数ψ(sin θ)で表すと、次のようになる。
【0014】
【数2】
【0015】
ここで、関数φ(x)は、計測方向の位置Xにおけるウエハマーク25の振幅反射率、λは検出光の波長を示す。(数2)中の前項の除算関数ψ1(sin θ)は、所謂「周期項」であって、Nはウエハマーク25の格子の本数(ピッチ数)を表す。格子アライメント方式においては、Nは例えば10以上程度と大きいので、その周期項はほとんど離散的に、sin θ=0,±λ/P,±2λ/P,…(即ち、0次、±1次、±2次、…)のみで所定の値を持ち、sin θの他の値に対しては、ほぼ0となる。
【0016】
また、図4に示すように、ウエハマーク25の1ピッチ分を計測方向に対して、凸部(頂部)の領域A、傾斜部の領域B、非対称な凹部(底部)の領域C、傾斜部の領域D、及び凸部(頂部)の領域Eに分割し、その(数2)中の後項の積分関数ψ2(sin θ)を、線型性より、次のように領域Aの積分関数ψ2A(sin θ)〜領域Eの積分関数ψ2E(sin θ)の和として表す。
【0017】
【数3】
【0018】
この場合、1ピッチ分の積分範囲[−P/2,P/2]に対して、領域Aの積分範囲を[−P/2,a]、領域Bの積分範囲を[a,b]、領域Cの積分範囲を[b,c]、領域Dの積分範囲を[c,d]、領域Eの積分範囲を[d,P/2]として、積分関数ψ2A(sin θ)〜積分関数ψ2E(sin θ)は次のように表される。
【0019】
【数4】
【0020】
ところで、図4のウエハマーク25の場合、これらの領域A〜領域Eのうち、ウエハマーク25の非対称性の影響を最も強く受けるのは底部の領域C部である。即ち、位置検出誤差の原因はこの底部の領域Cからの回折光であると言える。その非対称性の影響を定量化するために、前述の除算関数ψ1(sin θ)(即ち、周期項)と、その底部の領域Cからの回折光の振幅とを1つのグラフにまとめたものが図5である。
【0021】
図5において、横軸は回折光の回折角θの正弦(sin θ)を、周期Pのウエハマーク25に対する回折次数m(1,2,3,…)を単位として表し、縦軸は回折光の振幅(相対値)を表す。言い換えると、図5の横軸の単位はsin θ/(λ/P)である。そして、図5において、曲線31は、ウエハマーク25が11本のピッチPで配列された格子よりなる場合のその除算関数ψ1(sin θ)(即ち、周期項)を表す。また、曲線32Aは、図4に示すウエハマーク25の底部の領域Cの幅(c−b)がP/2のときの、その領域Cからの回折光の振幅を示し、曲線32Aは2次の回折光(m=2)の位置で0となっている。一方、曲線32Bは、その底部の領域Cの幅がP/3のときの、その領域Cからの回折光の振幅を示し、曲線32Bは3次の回折光(m=3)の位置で0となっている。
【0022】
そして、他の曲線32C,32Dでも示すように、一般にその底部の領域Cの幅がP/mのとき、その領域Cからの回折光の振幅はm次の回折光の位置で0となる。即ち、その非対称な底部の領域Cの幅がP/mのときには、ウエハマーク25から発生するm次の回折光は、対称性の高い他の領域A,B,D,Eからの回折光のみとみなすことができる。
【0023】
従って、そのようなウエハマーク25(非対称な領域Cの幅がマークのピッチPの1/mである位置合わせ用マーク)からの回折光のうち、m次の回折光成分を用いて格子アライメント方式でアライメントを行うと、m次の回折光は非対称性がほとんど0であるため、ウエハマーク25の非対称に影響されない、極めて高精度な位置検出が可能となる。更に、その非対称な領域Cの幅がマークピッチPの1/mの±10%以内であれば、その領域Cからのm次の回折光の振幅は十分に小さいとみなせるため、高精度な位置検出が可能である。これを数式化したものが(数1)の条件である。
【0024】
但し、m=1では、ウエハマーク25は1周期に渡って底部となり、凹凸のマークとしての意味をなさないので、mは2以上(m≧2)の整数に限定される。更に、mの値が大きい方が位置検出の分解能が高くなり、結果として位置検出精度が高くなる。逆に、回折光の次数が大きくなる程、検出系が複雑化する。そこで、mの値が3である(3次の回折光を利用する)ときに、検出系をあまり複雑化することなく、高い分解能で位置検出を行うことができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例につき図面を参照して説明する。以下の実施例は、投影露光装置に備えられるアライメントセンサに本発明を適用したものである。
先ず、図6は本実施例のアライメントセンサを備えた投影露光装置の一例を示し、この図6において、照明光学系1からの露光用の照明光ILはレチクルRの下面(パターン形成面)のパターンを均一な照度分布で照明し、そのパターンが投影光学系3により縮小されて、フォトレジストが塗布されたウエハW上の各ショット領域に投影される。ここでは、投影光学系3の光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図2の紙面に平行にX軸を取り、図2の紙面に垂直にY軸を取る。
【0026】
レチクルRは、このレチクルRをX方向、Y方向に位置決めすると共に、所望の角度だけ回転して固定するレチクルステージ2上に保持されている。また、ウエハWはウエハホルダ5を介してウエハステージ6上に保持され、ウエハステージ6は、X方向及びY方向にウエハWの位置決めを行うXYステージ、Z方向にウエハWを移動させるZステージ、回転を行うθステージ、並びにウエハWの傾斜角の補正を行うレベリングステージ等から構成されている。また、ウエハステージ6の上面に基準マーク部材5が固定され、基準マーク部材5の表面にアライメントの基準となる種々の基準マークが形成されている。
【0027】
更に、ウエハステージ6上に固定された2軸の移動鏡7(図2ではX軸用のみが示されている)と、対向するように配置された外部の2軸レーザ干渉計8とによりウエハステージ6のX座標、及びY座標が常時計測されている。このようにレーザ干渉計8により計測される座標に基づいて定まる座標系を、ステージ座標系(X,Y)、又は静止座標系と呼ぶ。レーザ干渉計8により計測された座標は装置全体の動作を統轄制御する主制御系9に供給され、この供給された座標に基づいて主制御系9は、ウエハステージ駆動系10を介してウエハステージ6の位置決め動作を制御する。
【0028】
また、図6の投影露光装置には、ウエハW上の各ショット領域に付設されたウエハマークの座標を検出するためのオフ・アクシス方式で且つ格子アライメント方式のアライメントセンサ11、及びTTL(スルー・ザ・レンズ)方式、且つレーザ・ステップ・アライメント方式(LSA方式)のアライメントセンサ15が設けられている。なお、TTL方式のアライメントセンサとしては、LSA方式の他に格子アライメント方式、又は撮像方式等のアライメントセンサも使用できる。同様に、オフ・アクシス方式のアライメントセンサ11としては、格子アライメント方式の他に、LSA方式等のアライメントセンサも使用できる。アライメントセンサ11の詳細な構成については後述する。
【0029】
本例のアライメントセンサ11はX軸用であり、アライメントセンサ11から出力される光電変換信号が信号処理系14に供給され、信号処理系14にはレーザ干渉計8で計測されるウエハステージ6の座標も供給されている。信号処理系14では、例えばその光電変換信号が所定の状態になるときのウエハステージ6の座標値を求め、この座標値を主制御系9に供給する。同様に、不図示のLIA方式のY軸用のアライメントセンサからの光電変換信号と、レーザ干渉計8で計測されるY座標とから、検出対象のウエハマークのY座標が検出される。
【0030】
また、アライメントセンサ11等の検出中心から投影光学系3の露光フィールドの中心(露光中心)までの距離であるベースラインは、予め求められて主制御系9内の記憶装置に記憶されている。従って、求められたウエハマークの座標をそのベースラインで補正して得られた座標に基づいてウエハステージ6を駆動することにより、そのウエハマークが属するショット領域の中心を露光中心に正確に合わせ込むことができる。
【0031】
一方、LSA方式のアライメントセンサ15から射出される位置検出用のレーザビームは、光路折り曲げ用のミラー16を経て投影光学系3に入射し、投影光学系3を通過したレーザビームは、X方向に長いスリット状の光スポット17としてウエハW上に集光される。そこで、ウエハステージ6を駆動して、光スポット17に対してウエハW上の検出対象のY軸用のウエハマークをY方向に横切るように移動させる。LSA用のY軸用のウエハマークは、それぞれX方向に所定ピッチで配列されたドット列状の凹凸パターンをY方向に複数列連ねたものであり、そのウエハマークが光スポット17を横切るときに所定の方向に回折光が射出されることから、そのウエハマークのY座標が検出される。
【0032】
図6において、ウエハW上の光スポット17のウエハマークによる回折光は、投影光学系3及びミラー16を経てアライメントセンサ15に戻り、アライメントセンサ15からLSA信号処理系18に対して、その回折光を光電変換して得られるLSA信号が供給される。LSA信号処理系18にはレーザ干渉計8で計測される座標(X,Y)も供給されており、LSA信号処理系18は、光スポット17がY軸用のウエハマークの中心位置にあるときのY座標を検出して主制御系9に供給する。また、Y軸用のアライメントセンサ(不図示)も設けられており、そのアライメントセンサ、及びアライメント信号処理系18によりY軸用のウエハマークに対応するY座標が検出され、このY座標も主制御系9に供給されている。LSA方式のアライメントセンサについても、検出中心と露光中心との距離(ベースライン)が主制御系9内の記憶装置に記憶されている。
【0033】
次に、本例で使用される格子アライメント方式のアライメントセンサ11の具体的な構成例につき説明する。
[第1実施例]
図1(a)はこの第1実施例のアライメントセンサを示し、この図1(a)において、レーザ光源21より出力された波長λの光束Lは、折り曲げミラー22により反射され、空間フィルタ23Aの中心の開口を通過した後、対物レンズ24を経てウエハW上の凹凸のマークよりなるX軸のウエハマーク25に入射する。
【0034】
図1(b)はウエハマーク25の断面の拡大図を示し、この図1(b)において、ウエハマーク25は金属のスパッタリング工程によりX方向にピッチPで形成された凹凸のマークであり、1ピッチ内が非対称な底部(凹部)25a、傾斜部25b、平坦な頂部(凸部)25c、及び傾斜部25dより形成されている。また、一方の傾斜部25bと他方の傾斜部25dとは互いに対称となっている。そして、2以上の整数mを用いて、非対称な底部25aのX方向の幅がP/mに設定されている。
【0035】
また、そのウエハマーク25にほぼ垂直に光束Lが照射され、ウエハマーク25からはその周期性により0次、±1次、±2次、…の離散的な回折光が発生する。そして、本実施例においては、それらの内で図1(b)の空間フィルタ23Aにより、+m次の回折光Lp、及び−m次の回折光Lmのみを選択する。±m次の回折光の回折角を±θとすると、(sinθ=mλ/P)が成立している。
【0036】
図1(a)に戻り、ウエハマーク25から発生した回折光は対物レンズ24を経て空間フィルタ23Aに達し、+m次の回折光Lp、及び−m次の回折光Lmのみが空間フィルタ23Aを通過する。そして、対物レンズ24の作用により、それら回折光Lm及びLpは参照格子26上で所定の交差角で集光して、X方向にピッチQの干渉縞が形成され、参照格子26を透過した光束Ldが光電センサ27によって受光される。この光電センサ27でその光束Ldを光電変換して得られる光電変換信号Sが信号処理系14に供給される。参照格子26は、透過部と遮光部とがその干渉縞のピッチQと同じピッチで繰り返し形成された強度透過格子(振幅格子)である。この場合、ウエハステージ6を駆動して、ウエハマーク25を計測方向であるX方向に移動(走査)すると、回折光Lpと回折光Lmとの位相関係は変化し、参照格子26とこの上に形成される干渉縞との位相関係も変化する。
【0037】
この結果、参照格子26を透過する光束Ldの光量は、ウエハマーク25の位置に応じて周期的に変化し、その光電センサ27からの光電変換信号Sと、図6のレーザ干渉計8により計測されるウエハステージ6のX座標とより、信号処理系14はウエハマーク25の位置を求める。ウエハマークの位置は、例えば光電変換信号Sが最大となる位置である。
【0038】
上述のように本実施例によれば、ウエハマーク25の非対称な底部25aの幅がピッチPの1/mに設定されているため、その底部25aからの±m次の回折光の強度はほぼ0となっている。そして、空間フィルタ23Aによって、±m次の回折光のみを抽出しているため、得られる光電変換信号Sはウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることのない信号となっている。従って、ウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることなく、格子アライメント方式で正確にウエハマーク25の位置検出が行われる。
【0039】
なお、本例では整数mの値が大きい程、位置検出の分解能が高くなって、より高精度に位置検出を行うことができる。しかしながら、図1(a)より分かるように整数mの値が大きくなる程、対物レンズ24の開口数を大きくする必要があり、検出光学系が大型化し、且つ複雑化する。そこで、検出精度及び検出光学系の製造コストを考慮したとき、整数mの値を3とすること、即ち、±3次の回折光を検出するのが望ましい。
【0040】
[第2実施例]
図2を参照して本発明の第2実施例につき説明する。この第2実施例は、図6のアライメントセンサ11として、2光束干渉方式(LIA方式)のアライメントセンサを使用するものである。この場合、信号処理系14はLIA方式のアライメントセンサからの信号を処理する系であるため、以下では「LIA信号処理系14」と呼ぶ。
図2(a)は本例のアライメントセンサを示し、この図2(a)において、レーザ光源21より出力された光束Lはミラー28で反射された後、参照格子26に入射する。参照格子26により回折された回折光の内、1以上の整数nを用いて特定の−n次の回折光Lm、及び+n次の回折光Lpのみが空間フィルタ23Bにより選択されて対物レンズ24に向かい、0次光L0、及びその他の回折光は空間フィルタ23Bで遮断される。なお、回折光の次数は反時計回りの回折角を有するものを正とする。
【0041】
そして、回折光Lm及びLpは、対物レンズ24の作用によりウエハW上のX方向にピッチPのウエハマーク25上にほぼ対称に所定の交差角で入射し、ウエハマーク25上に干渉縞が形成される。ウエハマーク25は、図2(b)に示すように第1実施例で使用されているのと同じマークである。本例では、2以上の整数mを用いて、その干渉縞の振幅のピッチ(強度のピッチの2倍)がウエハマーク25のピッチのm倍となるように、具体的には回折光Lm及びLpの入射角±θが、(sin θ=mλ/P)を満たすように、参照格子26のピッチ、選択する回折光の次数n、あるいは対物レンズ24と参照格子26及びウエハWとの相対位置を調整する。
【0042】
その入射角の条件が満たされると、一方の回折光Lmのウエハマーク25からの+m次回折光Lm(+m)、及び他方の回折光Lpのウエハマーク25からの−m次回折光Lp(−m)は、ウエハWに対してほぼ垂直上方に平行に発生して干渉光Ldとなり(図2(b)参照)、干渉光Ldは、対物レンズ24を経て折り曲げミラー22に反射されて光電センサ27に達する。その干渉光Ldを光電変換して得られる光電変換信号Sが、LIA信号処理系14に供給される。この場合にも、ウエハステージ6によるウエハマーク25の移動(走査)に伴って、2つの回折光Lm及びLpからの回折光の位相関係が変わるため、光電センサ27上の光強度(干渉光Ldの光強度)が変化し、光電変換信号Sの変化と図6のレーザ干渉計8で計測されるX座標とから、LIA信号処理系14はウエハマーク25の位置を検出できる。ウエハマーク25の位置は、例えば光電変換信号Sが最大となる位置である。
【0043】
この第2実施例においても、ウエハマーク25の非対称な底部25aの幅がピッチPの1/mに設定され、ウエハマーク25からの±m次の回折光のみが抽出されているため、得られる光電変換信号Sはウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることのない信号となっている。従って、ウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることなく、LIA方式で正確にウエハマーク25の位置検出が行われる。
【0044】
[第3実施例]
図3を参照して本発明の第3実施例につき説明する。この第3実施例は、第2実施例と同様のLIA方式のアライメントセンサであるが、第2実施例は±m次の回折光の干渉光を検出するのに対して、この第3実施例ではm次光と0次光との干渉光を検出するものである。
【0045】
図3は本例のアライメントセンサを示し、この図3において、レーザ光源21より出力された光束Lはミラー28で反射されて参照格子26に入射し、参照格子26からの−n次回折光Lm及び+n次回折光Lpのみが空間フィルタ23Bにより選択される。回折光Lm及びLpは、集光レンズ29A、ハーフミラー30、及び対物レンズ29Bにより、ウエハW上のウエハマーク25上に所定の交差角で集光され、ウエハマーク25上に干渉縞が形成される。ウエハマーク25は、図2(b)に示すウエハマークと同一である。
【0046】
本例では、2以上の整数mを用いて、ウエハマーク25上に形成される干渉縞の振幅のX方向へのピッチが、ウエハマーク25のピッチPのm/2倍となるように、参照格子26の周期、選択する回折光の次数n、並びに集光レンズ29A及び対物レンズ29Bと、参照格子26及びウエハWとの位置関係を調整する。具体的には、回折光Lm及びLpのウエハマーク25への入射角±θ’が、(sin θ’=mλ/(2P))を満たすように調整する。
【0047】
その入射角の条件が満たされると、一方の回折光Lpのウエハマーク25からの正反射光LP0と、他方の回折光Lmのウエハマーク25からの+m次回折光Lm(+m)とは、ウエハマーク25から平行に射出して干渉光Ldbとなる。そして、干渉光Ldbは、対物レンズ29B及びハーフミラー30を経て光電センサ27Bに入射し、光電センサ27Bからの光電変換信号SBがLIA信号処理系14に供給されている。また、他方の回折光Lmの正反射光Lm0と、回折光Lpの−m次回折光Lp(−m)とは、ウエハマーク25から平行に射出して干渉光Ldaとなる。そして、干渉光Ldaは、対物レンズ29B及びハーフミラー30を経て光電センサ27Aに入射し、光電センサ27Aからの光電変換信号SAがLIA信号処理系14に供給されている。
【0048】
そして、LIA信号処理系14では、供給される2つの光電変換信号SA及びSBの強度変化と、レーザ干渉計によって計測されるウエハステージ6の座標とにより、ウエハマーク25の位置を算出する。ウエハマーク25の位置は、例えば光電変換信号SAを最大とする位置と、光電変換信号SBを最大とする位置との平均値として求められる。
【0049】
この第3実施例においても、ウエハマーク25の非対称な底部25aの幅がピッチPの1/mに設定され、ウエハマーク25からの±m次の回折光及び0次光が抽出されているため、得られる光電変換信号はウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることのない信号となっている。従って、ウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることなく、LIA方式で正確にウエハマーク25の位置検出が行われる。
【0050】
なお、上記の第2実施例、又は第3実施例のLIA方式のアライメントセンサは、ホモダイン干渉方式であるため、位置検出を行うのにウエハステージ6を走査している。しかしながら、その代わりに、参照格子26を走査又は振動させることで光電センサ27,27A,27Bより発生する信号に強度変化を与え、その変化により位置検出を行うこともできる。あるいは、参照格子26の代わりに、音響光学素子(AOM)等を用いて周波数の僅かに異なる回折光を発生させてもよく、これによりヘテロダイン干渉方式で静止状態で位置検出を行うことができる。
【0051】
同様に第1実施例においても、ウエハステージ6の走査の代わりに参照格子26の走査又は振動を行ってもよい。
また、例えば図1(b)又は図2(b)に示すウエハマーク25とは逆に、それまでの工程によって、マークの頂部25cに大きな非対称を有するウエハマークを使用する際には、その頂部25cの幅をピッチPの1/mとすることで、同様に非対称の影響をほとんど受けることなく位置検出を行うことができる。
【0052】
このように、本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0053】
【発明の効果】
本発明の位置検出方法によれば、検出対象となる位置合わせ用マークの凸部、又は凹部のような非対称になり易い部分の幅をそのピッチPの1/mの±10%以内に設定して、その非対称になり易い部分からのm次の回折光成分を殆ど0としている。従って、その位置合わせ用マークからのm次の回折光を検出することにより、その位置合わせ用マークの非対称性に殆ど影響されない極めて高精度な位置検出を実現することができる。
【0054】
また、その整数mの値を3として、3次の回折光を検出する場合には、検出光学系をあまり複雑化することなく、且つ高い分解能で位置検出を行うことができる。
また、本発明の位置検出装置によれば、m次の回折光を含む光束を受光できるため、上述のように非対称になり易い部分からのm次の回折光の発生を抑制した位置合わせ用マークに対して高精度に位置検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1実施例のアライメントセンサを示す一部を断面とした構成図、(b)は第1実施例で使用されるウエハマークの断面構造を示す拡大図である。
【図2】(a)は本発明の第2実施例のアライメントセンサを示す一部を断面とした構成図、(b)は第2実施例で使用されるウエハマークの断面構造を示す拡大図である。
【図3】本発明の第3実施例のアライメントセンサを示す一部を断面とした構成図である。
【図4】非対称なウエハマークの一例を示す拡大断面図である。
【図5】図4のウエハマークからの回折光の振幅を示す図である。
【図6】実施例のアライメントセンサを備える投影露光装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
R レチクル
3 投影光学系
W ウエハ
6 ウエハステージ
11 アライメントセンサ
14 信号処理系(LIA信号処理系)
25 ウエハマーク
21 レーザ光源
23A,23B 空間フィルタ
24,24A 対物レンズ
26 参照格子
27,27A,27B 光電センサ
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体ウエハ等の基板の表面に形成された周期的な凹凸のマーク(段差マーク)の位置検出を行うための位置検出方法及び装置に関し、例えば半導体素子又は液晶表示素子等を製造する際に使用される露光装置の所謂格子アライメント方式のアライメントセンサに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体素子はウエハ上に多数層の回路パターンを所定の位置関係で積み重ねて形成されるので、2層目以降の回路パターンをウエハ上に投影露光する際には、ウエハ上で既に回路パターンが形成されている各ショット領域とマスクとしてのレチクルのパターン像の投影位置(露光位置)との位置合わせ(アライメント)を高精度に行う必要がある。そのため、レチクルのパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するために使用されるステッパー等の露光装置では、ウエハ上の各ショット領域に付設されている位置合わせ用のアライメントマーク(ウエハマーク)の位置を検出するアライメントセンサと、その検出結果に基づいてウエハの位置決めを行うステージ機構とからなるアライメント装置が備えられている。
【0003】
従来のアライメントセンサ中で、特に高精度に位置検出を行うことができるセンサとして、例えば特開平2−227602号公報で開示されているような、回折格子状のウエハマークを検出対象とする所謂「格子アライメント方式」のセンサが知られている。この場合に検出対象とされるウエハマークは、ウエハ上に計測方向に所定ピッチで凹凸の回折格子(位相格子)状に形成されたマーク(段差マーク)である。そして、格子アライメント方式の光学系としては、主に次の3方式が知られている。
【0004】
▲1▼回折格子状のウエハマークに対してほぼ垂直にレーザビームを照射し、そのウエハマークからほぼ対称に射出される2つの回折光の干渉光を受光し、その干渉光の光電変換信号に基づいてそのウエハマークの位置を検出する。
▲2▼ウエハマークに対してほぼ対称に可干渉な2つのレーザビームを照射し、そのウエハマークからほぼ垂直上方に平行に射出される2つの回折光の干渉光を受光し、その干渉光の光電変換信号の位相に基づいてそのウエハマークの位置を検出する。この検出方式は、2光束干渉方式、又はLIA(Laser Interferometric Alignment)方式と呼ばれている。
【0005】
▲3▼ウエハマークに対してほぼ対称に可干渉な2つのレーザビームを照射し、そのウエハマークからの正反射光と、この正反射光の方向に発生する回折光との干渉光を受光し、その干渉光の光電変換信号の位相に基づいてそのウエハマークの位置を検出する。この検出方式は2光束干渉方式に含まれる。
また、これらの内で▲2▼及び▲3▼のようにウエハマークに2光束を照射する方式は、更にそれら2光束の周波数を僅かに異ならしめて、所定の周波数で変調されたビート信号を検出するヘテロダイン干渉方式と、それら2光束の周波数を同じにするホモダイン干渉方式とに分かれ、ホモダイン干渉方式を使用するときには位置検出のためにステージ、又は参照格子等を走査することが行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように格子アライメント方式では、計測方向に所定ピッチで形成された凹凸の回折格子状のウエハマークが検出対象とされる。
しかしながら、その回折格子状のウエハマークには、それまでの半導体プロセス(成膜工程、エッチング工程等)によって計測方向に対して或る程度の非対称性が生じている。その非対称性を全く無くすことはできず、その非対称性により、必ず或る程度の位置検出誤差が生じることとなる。特に金属のスパッタリングによる成膜工程においては、回折格子状のウエハマークの底部(凹部)の高さに関する非対称が大きくなり、位置検出時に誤差が大きくなるという不都合があった。
【0007】
図4は、金属のスパッタリングによる成膜工程で形成された、X方向を計測方向とする回折格子状のウエハマーク25の一例を示し、この図4において、領域Cで示す底部の高さが+X方向に次第に高くなって非対称となっている。このようなウエハマーク25では、特に領域Cで示す底部より生じる回折光の内で、その底部の中心(X=0の位置)より右側(+X方向)から生じる回折光と、左側(−方向)から生じる回折光とで強度、位相共に大きく異なったものとなるため、位置検出結果がX方向にずれてしまう。
【0008】
また、上記のように凹凸のウエハマークの底部に大きな非対称を有する工程だけではなく、ウエハマークの頂上部(凸部の上面)の高さに大きな非対称性が生じる工程も存在し、このような工程で形成されたウエハマークを使用する場合にも、位置検出誤差が生ずる恐れがある。
また、上述の格子アライメント方式のセンサのみならず、凹凸のウエハマークからの回折光を検出する他のアライメントセンサを使用する場合にも、そのウエハマークに非対称性があると、検出誤差が生ずる恐れがある。
【0009】
本発明は斯かる点に鑑み、ウエハ等の基板上の凹凸のマークからの回折光を検出することにより、そのマークの位置を検出する場合に、そのマークに非対称性がある場合でも位置検出誤差が小さい位置検出方法を提供することを目的とする。更に本発明は、そのような位置検出方法が実施できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による位置検出方法は、例えば図2に示すように、基板(W)上で検出方向(X方向)に周期的に凹凸パターンとして形成された位置合わせ用マーク(25)に、位置検出用の光束(Lm,Lp)を照射し、位置合わせ用マーク(25)から発生する回折光(Ld)に基づいて位置合わせ用マーク(25)の位置を検出する位置検出方法において、2以上の整数mを用いて、位置合わせ用マーク(25)の凸部(25c)、又は凹部(25a)の検出方向の幅dを、位置合わせ用マーク(25)の検出方向のピッチPに対して、次の範囲内に設定する。
【0011】
【数1】
0.9(P/m)≦d≦1.1(P/m)
そして、位置合わせ用マーク(25)からのm次の回折光を検出するものである。これは、位置合わせ用マーク(25)からのm次の回折光を検出する場合に、位置合わせ用マーク(25)の凸部(25c)、又は凹部(25a)の検出方向の幅dを、位置合わせ用マーク(25)の検出方向のピッチPに対してP/mの±10%以内に設定することを意味する。
【0012】
この場合、その幅dとしては、凸部(25c)、又は凹部(25a)の内の非対称性の大きい方の幅を使用してもよい。また、その整数mの値は3であることが望ましい。
また、本発明による位置検出装置は、例えば図2に示すように、基板(W)上で検出方向(X方向)にピッチPの周期的な凹凸パターンとして形成されると共に、2以上の整数mを用いて、凸部、又は凹部の検出方向の幅dが(数1)の範囲内に設定される位置合わせ用マーク(25)の位置を検出する位置検出装置であって、位置合わせ用マーク(25)に位置検出用の光束(Lp,Lm)を照射する照射光学系(21,28,26,23B,24)と、位置合わせ用マーク(25)から発生するm次の回折光(Ld)を含む光束を受光して光電変換する受光光学系(24,22,27)と、この受光光学系からの出力信号より位置合わせ用マーク(25)の位置を検出する信号処理手段(14)と、を有するものである。
次に、本発明による露光方法は、レチクル(R)上のパターンを露光用の照明光で照明し、そのパターンを投影光学系(3)を介して、基板(W)上の各ショット領域上に投影する露光方法であって、本発明の位置検出方法を用いて検出されたその位置合わせ用マークの位置に基づいて、そのショット領域の中心をその投影光学系の露光フィールドの中心に合わせ込むものである。
また、本発明による露光装置は、レチクル(R)上のパターンを露光用の照明光で照明し、そのパターンを投影光学系(3)を介して、基板(W)上の各ショット領域上に投影する露光装置であって、本発明の位置検出装置を備え、その位置検出装置を用いて検出されたその位置合わせ用マークの位置に基づいて、そのショット領域の中心をその投影光学系の露光フィールドの中心に合わせ込むものである。
【0013】
【作用】
斯かる本発明の原理につき図4を参照して説明する。以下では検出対象の位置合わせ用マークを、図4に示すように計測方向であるX方向にピッチPの凹凸パターンとして形成されたウエハマーク25であるとして、ウエハマーク25内で非対称な部分は底部の領域であるとする。この場合、ウエハマーク25に垂直に入射した検出光からの回折角θの回折光の振幅を、回折角θの正弦sin θの関数ψ(sin θ)で表すと、次のようになる。
【0014】
【数2】
【0015】
ここで、関数φ(x)は、計測方向の位置Xにおけるウエハマーク25の振幅反射率、λは検出光の波長を示す。(数2)中の前項の除算関数ψ1(sin θ)は、所謂「周期項」であって、Nはウエハマーク25の格子の本数(ピッチ数)を表す。格子アライメント方式においては、Nは例えば10以上程度と大きいので、その周期項はほとんど離散的に、sin θ=0,±λ/P,±2λ/P,…(即ち、0次、±1次、±2次、…)のみで所定の値を持ち、sin θの他の値に対しては、ほぼ0となる。
【0016】
また、図4に示すように、ウエハマーク25の1ピッチ分を計測方向に対して、凸部(頂部)の領域A、傾斜部の領域B、非対称な凹部(底部)の領域C、傾斜部の領域D、及び凸部(頂部)の領域Eに分割し、その(数2)中の後項の積分関数ψ2(sin θ)を、線型性より、次のように領域Aの積分関数ψ2A(sin θ)〜領域Eの積分関数ψ2E(sin θ)の和として表す。
【0017】
【数3】
【0018】
この場合、1ピッチ分の積分範囲[−P/2,P/2]に対して、領域Aの積分範囲を[−P/2,a]、領域Bの積分範囲を[a,b]、領域Cの積分範囲を[b,c]、領域Dの積分範囲を[c,d]、領域Eの積分範囲を[d,P/2]として、積分関数ψ2A(sin θ)〜積分関数ψ2E(sin θ)は次のように表される。
【0019】
【数4】
【0020】
ところで、図4のウエハマーク25の場合、これらの領域A〜領域Eのうち、ウエハマーク25の非対称性の影響を最も強く受けるのは底部の領域C部である。即ち、位置検出誤差の原因はこの底部の領域Cからの回折光であると言える。その非対称性の影響を定量化するために、前述の除算関数ψ1(sin θ)(即ち、周期項)と、その底部の領域Cからの回折光の振幅とを1つのグラフにまとめたものが図5である。
【0021】
図5において、横軸は回折光の回折角θの正弦(sin θ)を、周期Pのウエハマーク25に対する回折次数m(1,2,3,…)を単位として表し、縦軸は回折光の振幅(相対値)を表す。言い換えると、図5の横軸の単位はsin θ/(λ/P)である。そして、図5において、曲線31は、ウエハマーク25が11本のピッチPで配列された格子よりなる場合のその除算関数ψ1(sin θ)(即ち、周期項)を表す。また、曲線32Aは、図4に示すウエハマーク25の底部の領域Cの幅(c−b)がP/2のときの、その領域Cからの回折光の振幅を示し、曲線32Aは2次の回折光(m=2)の位置で0となっている。一方、曲線32Bは、その底部の領域Cの幅がP/3のときの、その領域Cからの回折光の振幅を示し、曲線32Bは3次の回折光(m=3)の位置で0となっている。
【0022】
そして、他の曲線32C,32Dでも示すように、一般にその底部の領域Cの幅がP/mのとき、その領域Cからの回折光の振幅はm次の回折光の位置で0となる。即ち、その非対称な底部の領域Cの幅がP/mのときには、ウエハマーク25から発生するm次の回折光は、対称性の高い他の領域A,B,D,Eからの回折光のみとみなすことができる。
【0023】
従って、そのようなウエハマーク25(非対称な領域Cの幅がマークのピッチPの1/mである位置合わせ用マーク)からの回折光のうち、m次の回折光成分を用いて格子アライメント方式でアライメントを行うと、m次の回折光は非対称性がほとんど0であるため、ウエハマーク25の非対称に影響されない、極めて高精度な位置検出が可能となる。更に、その非対称な領域Cの幅がマークピッチPの1/mの±10%以内であれば、その領域Cからのm次の回折光の振幅は十分に小さいとみなせるため、高精度な位置検出が可能である。これを数式化したものが(数1)の条件である。
【0024】
但し、m=1では、ウエハマーク25は1周期に渡って底部となり、凹凸のマークとしての意味をなさないので、mは2以上(m≧2)の整数に限定される。更に、mの値が大きい方が位置検出の分解能が高くなり、結果として位置検出精度が高くなる。逆に、回折光の次数が大きくなる程、検出系が複雑化する。そこで、mの値が3である(3次の回折光を利用する)ときに、検出系をあまり複雑化することなく、高い分解能で位置検出を行うことができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例につき図面を参照して説明する。以下の実施例は、投影露光装置に備えられるアライメントセンサに本発明を適用したものである。
先ず、図6は本実施例のアライメントセンサを備えた投影露光装置の一例を示し、この図6において、照明光学系1からの露光用の照明光ILはレチクルRの下面(パターン形成面)のパターンを均一な照度分布で照明し、そのパターンが投影光学系3により縮小されて、フォトレジストが塗布されたウエハW上の各ショット領域に投影される。ここでは、投影光学系3の光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図2の紙面に平行にX軸を取り、図2の紙面に垂直にY軸を取る。
【0026】
レチクルRは、このレチクルRをX方向、Y方向に位置決めすると共に、所望の角度だけ回転して固定するレチクルステージ2上に保持されている。また、ウエハWはウエハホルダ5を介してウエハステージ6上に保持され、ウエハステージ6は、X方向及びY方向にウエハWの位置決めを行うXYステージ、Z方向にウエハWを移動させるZステージ、回転を行うθステージ、並びにウエハWの傾斜角の補正を行うレベリングステージ等から構成されている。また、ウエハステージ6の上面に基準マーク部材5が固定され、基準マーク部材5の表面にアライメントの基準となる種々の基準マークが形成されている。
【0027】
更に、ウエハステージ6上に固定された2軸の移動鏡7(図2ではX軸用のみが示されている)と、対向するように配置された外部の2軸レーザ干渉計8とによりウエハステージ6のX座標、及びY座標が常時計測されている。このようにレーザ干渉計8により計測される座標に基づいて定まる座標系を、ステージ座標系(X,Y)、又は静止座標系と呼ぶ。レーザ干渉計8により計測された座標は装置全体の動作を統轄制御する主制御系9に供給され、この供給された座標に基づいて主制御系9は、ウエハステージ駆動系10を介してウエハステージ6の位置決め動作を制御する。
【0028】
また、図6の投影露光装置には、ウエハW上の各ショット領域に付設されたウエハマークの座標を検出するためのオフ・アクシス方式で且つ格子アライメント方式のアライメントセンサ11、及びTTL(スルー・ザ・レンズ)方式、且つレーザ・ステップ・アライメント方式(LSA方式)のアライメントセンサ15が設けられている。なお、TTL方式のアライメントセンサとしては、LSA方式の他に格子アライメント方式、又は撮像方式等のアライメントセンサも使用できる。同様に、オフ・アクシス方式のアライメントセンサ11としては、格子アライメント方式の他に、LSA方式等のアライメントセンサも使用できる。アライメントセンサ11の詳細な構成については後述する。
【0029】
本例のアライメントセンサ11はX軸用であり、アライメントセンサ11から出力される光電変換信号が信号処理系14に供給され、信号処理系14にはレーザ干渉計8で計測されるウエハステージ6の座標も供給されている。信号処理系14では、例えばその光電変換信号が所定の状態になるときのウエハステージ6の座標値を求め、この座標値を主制御系9に供給する。同様に、不図示のLIA方式のY軸用のアライメントセンサからの光電変換信号と、レーザ干渉計8で計測されるY座標とから、検出対象のウエハマークのY座標が検出される。
【0030】
また、アライメントセンサ11等の検出中心から投影光学系3の露光フィールドの中心(露光中心)までの距離であるベースラインは、予め求められて主制御系9内の記憶装置に記憶されている。従って、求められたウエハマークの座標をそのベースラインで補正して得られた座標に基づいてウエハステージ6を駆動することにより、そのウエハマークが属するショット領域の中心を露光中心に正確に合わせ込むことができる。
【0031】
一方、LSA方式のアライメントセンサ15から射出される位置検出用のレーザビームは、光路折り曲げ用のミラー16を経て投影光学系3に入射し、投影光学系3を通過したレーザビームは、X方向に長いスリット状の光スポット17としてウエハW上に集光される。そこで、ウエハステージ6を駆動して、光スポット17に対してウエハW上の検出対象のY軸用のウエハマークをY方向に横切るように移動させる。LSA用のY軸用のウエハマークは、それぞれX方向に所定ピッチで配列されたドット列状の凹凸パターンをY方向に複数列連ねたものであり、そのウエハマークが光スポット17を横切るときに所定の方向に回折光が射出されることから、そのウエハマークのY座標が検出される。
【0032】
図6において、ウエハW上の光スポット17のウエハマークによる回折光は、投影光学系3及びミラー16を経てアライメントセンサ15に戻り、アライメントセンサ15からLSA信号処理系18に対して、その回折光を光電変換して得られるLSA信号が供給される。LSA信号処理系18にはレーザ干渉計8で計測される座標(X,Y)も供給されており、LSA信号処理系18は、光スポット17がY軸用のウエハマークの中心位置にあるときのY座標を検出して主制御系9に供給する。また、Y軸用のアライメントセンサ(不図示)も設けられており、そのアライメントセンサ、及びアライメント信号処理系18によりY軸用のウエハマークに対応するY座標が検出され、このY座標も主制御系9に供給されている。LSA方式のアライメントセンサについても、検出中心と露光中心との距離(ベースライン)が主制御系9内の記憶装置に記憶されている。
【0033】
次に、本例で使用される格子アライメント方式のアライメントセンサ11の具体的な構成例につき説明する。
[第1実施例]
図1(a)はこの第1実施例のアライメントセンサを示し、この図1(a)において、レーザ光源21より出力された波長λの光束Lは、折り曲げミラー22により反射され、空間フィルタ23Aの中心の開口を通過した後、対物レンズ24を経てウエハW上の凹凸のマークよりなるX軸のウエハマーク25に入射する。
【0034】
図1(b)はウエハマーク25の断面の拡大図を示し、この図1(b)において、ウエハマーク25は金属のスパッタリング工程によりX方向にピッチPで形成された凹凸のマークであり、1ピッチ内が非対称な底部(凹部)25a、傾斜部25b、平坦な頂部(凸部)25c、及び傾斜部25dより形成されている。また、一方の傾斜部25bと他方の傾斜部25dとは互いに対称となっている。そして、2以上の整数mを用いて、非対称な底部25aのX方向の幅がP/mに設定されている。
【0035】
また、そのウエハマーク25にほぼ垂直に光束Lが照射され、ウエハマーク25からはその周期性により0次、±1次、±2次、…の離散的な回折光が発生する。そして、本実施例においては、それらの内で図1(b)の空間フィルタ23Aにより、+m次の回折光Lp、及び−m次の回折光Lmのみを選択する。±m次の回折光の回折角を±θとすると、(sinθ=mλ/P)が成立している。
【0036】
図1(a)に戻り、ウエハマーク25から発生した回折光は対物レンズ24を経て空間フィルタ23Aに達し、+m次の回折光Lp、及び−m次の回折光Lmのみが空間フィルタ23Aを通過する。そして、対物レンズ24の作用により、それら回折光Lm及びLpは参照格子26上で所定の交差角で集光して、X方向にピッチQの干渉縞が形成され、参照格子26を透過した光束Ldが光電センサ27によって受光される。この光電センサ27でその光束Ldを光電変換して得られる光電変換信号Sが信号処理系14に供給される。参照格子26は、透過部と遮光部とがその干渉縞のピッチQと同じピッチで繰り返し形成された強度透過格子(振幅格子)である。この場合、ウエハステージ6を駆動して、ウエハマーク25を計測方向であるX方向に移動(走査)すると、回折光Lpと回折光Lmとの位相関係は変化し、参照格子26とこの上に形成される干渉縞との位相関係も変化する。
【0037】
この結果、参照格子26を透過する光束Ldの光量は、ウエハマーク25の位置に応じて周期的に変化し、その光電センサ27からの光電変換信号Sと、図6のレーザ干渉計8により計測されるウエハステージ6のX座標とより、信号処理系14はウエハマーク25の位置を求める。ウエハマークの位置は、例えば光電変換信号Sが最大となる位置である。
【0038】
上述のように本実施例によれば、ウエハマーク25の非対称な底部25aの幅がピッチPの1/mに設定されているため、その底部25aからの±m次の回折光の強度はほぼ0となっている。そして、空間フィルタ23Aによって、±m次の回折光のみを抽出しているため、得られる光電変換信号Sはウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることのない信号となっている。従って、ウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることなく、格子アライメント方式で正確にウエハマーク25の位置検出が行われる。
【0039】
なお、本例では整数mの値が大きい程、位置検出の分解能が高くなって、より高精度に位置検出を行うことができる。しかしながら、図1(a)より分かるように整数mの値が大きくなる程、対物レンズ24の開口数を大きくする必要があり、検出光学系が大型化し、且つ複雑化する。そこで、検出精度及び検出光学系の製造コストを考慮したとき、整数mの値を3とすること、即ち、±3次の回折光を検出するのが望ましい。
【0040】
[第2実施例]
図2を参照して本発明の第2実施例につき説明する。この第2実施例は、図6のアライメントセンサ11として、2光束干渉方式(LIA方式)のアライメントセンサを使用するものである。この場合、信号処理系14はLIA方式のアライメントセンサからの信号を処理する系であるため、以下では「LIA信号処理系14」と呼ぶ。
図2(a)は本例のアライメントセンサを示し、この図2(a)において、レーザ光源21より出力された光束Lはミラー28で反射された後、参照格子26に入射する。参照格子26により回折された回折光の内、1以上の整数nを用いて特定の−n次の回折光Lm、及び+n次の回折光Lpのみが空間フィルタ23Bにより選択されて対物レンズ24に向かい、0次光L0、及びその他の回折光は空間フィルタ23Bで遮断される。なお、回折光の次数は反時計回りの回折角を有するものを正とする。
【0041】
そして、回折光Lm及びLpは、対物レンズ24の作用によりウエハW上のX方向にピッチPのウエハマーク25上にほぼ対称に所定の交差角で入射し、ウエハマーク25上に干渉縞が形成される。ウエハマーク25は、図2(b)に示すように第1実施例で使用されているのと同じマークである。本例では、2以上の整数mを用いて、その干渉縞の振幅のピッチ(強度のピッチの2倍)がウエハマーク25のピッチのm倍となるように、具体的には回折光Lm及びLpの入射角±θが、(sin θ=mλ/P)を満たすように、参照格子26のピッチ、選択する回折光の次数n、あるいは対物レンズ24と参照格子26及びウエハWとの相対位置を調整する。
【0042】
その入射角の条件が満たされると、一方の回折光Lmのウエハマーク25からの+m次回折光Lm(+m)、及び他方の回折光Lpのウエハマーク25からの−m次回折光Lp(−m)は、ウエハWに対してほぼ垂直上方に平行に発生して干渉光Ldとなり(図2(b)参照)、干渉光Ldは、対物レンズ24を経て折り曲げミラー22に反射されて光電センサ27に達する。その干渉光Ldを光電変換して得られる光電変換信号Sが、LIA信号処理系14に供給される。この場合にも、ウエハステージ6によるウエハマーク25の移動(走査)に伴って、2つの回折光Lm及びLpからの回折光の位相関係が変わるため、光電センサ27上の光強度(干渉光Ldの光強度)が変化し、光電変換信号Sの変化と図6のレーザ干渉計8で計測されるX座標とから、LIA信号処理系14はウエハマーク25の位置を検出できる。ウエハマーク25の位置は、例えば光電変換信号Sが最大となる位置である。
【0043】
この第2実施例においても、ウエハマーク25の非対称な底部25aの幅がピッチPの1/mに設定され、ウエハマーク25からの±m次の回折光のみが抽出されているため、得られる光電変換信号Sはウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることのない信号となっている。従って、ウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることなく、LIA方式で正確にウエハマーク25の位置検出が行われる。
【0044】
[第3実施例]
図3を参照して本発明の第3実施例につき説明する。この第3実施例は、第2実施例と同様のLIA方式のアライメントセンサであるが、第2実施例は±m次の回折光の干渉光を検出するのに対して、この第3実施例ではm次光と0次光との干渉光を検出するものである。
【0045】
図3は本例のアライメントセンサを示し、この図3において、レーザ光源21より出力された光束Lはミラー28で反射されて参照格子26に入射し、参照格子26からの−n次回折光Lm及び+n次回折光Lpのみが空間フィルタ23Bにより選択される。回折光Lm及びLpは、集光レンズ29A、ハーフミラー30、及び対物レンズ29Bにより、ウエハW上のウエハマーク25上に所定の交差角で集光され、ウエハマーク25上に干渉縞が形成される。ウエハマーク25は、図2(b)に示すウエハマークと同一である。
【0046】
本例では、2以上の整数mを用いて、ウエハマーク25上に形成される干渉縞の振幅のX方向へのピッチが、ウエハマーク25のピッチPのm/2倍となるように、参照格子26の周期、選択する回折光の次数n、並びに集光レンズ29A及び対物レンズ29Bと、参照格子26及びウエハWとの位置関係を調整する。具体的には、回折光Lm及びLpのウエハマーク25への入射角±θ’が、(sin θ’=mλ/(2P))を満たすように調整する。
【0047】
その入射角の条件が満たされると、一方の回折光Lpのウエハマーク25からの正反射光LP0と、他方の回折光Lmのウエハマーク25からの+m次回折光Lm(+m)とは、ウエハマーク25から平行に射出して干渉光Ldbとなる。そして、干渉光Ldbは、対物レンズ29B及びハーフミラー30を経て光電センサ27Bに入射し、光電センサ27Bからの光電変換信号SBがLIA信号処理系14に供給されている。また、他方の回折光Lmの正反射光Lm0と、回折光Lpの−m次回折光Lp(−m)とは、ウエハマーク25から平行に射出して干渉光Ldaとなる。そして、干渉光Ldaは、対物レンズ29B及びハーフミラー30を経て光電センサ27Aに入射し、光電センサ27Aからの光電変換信号SAがLIA信号処理系14に供給されている。
【0048】
そして、LIA信号処理系14では、供給される2つの光電変換信号SA及びSBの強度変化と、レーザ干渉計によって計測されるウエハステージ6の座標とにより、ウエハマーク25の位置を算出する。ウエハマーク25の位置は、例えば光電変換信号SAを最大とする位置と、光電変換信号SBを最大とする位置との平均値として求められる。
【0049】
この第3実施例においても、ウエハマーク25の非対称な底部25aの幅がピッチPの1/mに設定され、ウエハマーク25からの±m次の回折光及び0次光が抽出されているため、得られる光電変換信号はウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることのない信号となっている。従って、ウエハマーク25の非対称性の影響を殆ど受けることなく、LIA方式で正確にウエハマーク25の位置検出が行われる。
【0050】
なお、上記の第2実施例、又は第3実施例のLIA方式のアライメントセンサは、ホモダイン干渉方式であるため、位置検出を行うのにウエハステージ6を走査している。しかしながら、その代わりに、参照格子26を走査又は振動させることで光電センサ27,27A,27Bより発生する信号に強度変化を与え、その変化により位置検出を行うこともできる。あるいは、参照格子26の代わりに、音響光学素子(AOM)等を用いて周波数の僅かに異なる回折光を発生させてもよく、これによりヘテロダイン干渉方式で静止状態で位置検出を行うことができる。
【0051】
同様に第1実施例においても、ウエハステージ6の走査の代わりに参照格子26の走査又は振動を行ってもよい。
また、例えば図1(b)又は図2(b)に示すウエハマーク25とは逆に、それまでの工程によって、マークの頂部25cに大きな非対称を有するウエハマークを使用する際には、その頂部25cの幅をピッチPの1/mとすることで、同様に非対称の影響をほとんど受けることなく位置検出を行うことができる。
【0052】
このように、本発明は上述実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【0053】
【発明の効果】
本発明の位置検出方法によれば、検出対象となる位置合わせ用マークの凸部、又は凹部のような非対称になり易い部分の幅をそのピッチPの1/mの±10%以内に設定して、その非対称になり易い部分からのm次の回折光成分を殆ど0としている。従って、その位置合わせ用マークからのm次の回折光を検出することにより、その位置合わせ用マークの非対称性に殆ど影響されない極めて高精度な位置検出を実現することができる。
【0054】
また、その整数mの値を3として、3次の回折光を検出する場合には、検出光学系をあまり複雑化することなく、且つ高い分解能で位置検出を行うことができる。
また、本発明の位置検出装置によれば、m次の回折光を含む光束を受光できるため、上述のように非対称になり易い部分からのm次の回折光の発生を抑制した位置合わせ用マークに対して高精度に位置検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1実施例のアライメントセンサを示す一部を断面とした構成図、(b)は第1実施例で使用されるウエハマークの断面構造を示す拡大図である。
【図2】(a)は本発明の第2実施例のアライメントセンサを示す一部を断面とした構成図、(b)は第2実施例で使用されるウエハマークの断面構造を示す拡大図である。
【図3】本発明の第3実施例のアライメントセンサを示す一部を断面とした構成図である。
【図4】非対称なウエハマークの一例を示す拡大断面図である。
【図5】図4のウエハマークからの回折光の振幅を示す図である。
【図6】実施例のアライメントセンサを備える投影露光装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
R レチクル
3 投影光学系
W ウエハ
6 ウエハステージ
11 アライメントセンサ
14 信号処理系(LIA信号処理系)
25 ウエハマーク
21 レーザ光源
23A,23B 空間フィルタ
24,24A 対物レンズ
26 参照格子
27,27A,27B 光電センサ
Claims (10)
- 基板上で検出方向に周期的に凹凸パターンとして形成された位置合わせ用マークに、位置検出用の光束を照射し、前記位置合わせ用マークから発生する回折光に基づいて前記位置合わせ用マークの位置を検出する位置検出方法において、
2以上の整数mを用いて、前記位置合わせ用マークの凸部、又は凹部の検出方向の幅dを、前記位置合わせ用マークの検出方向のピッチPに対して、
0.9(P/m)≦d≦1.1(P/m)
の範囲内に設定し、
前記位置合わせ用マークからのm次の回折光を検出することを特徴とする位置検出方法。 - 請求項1記載の位置検出方法であって、
整数mの値は3であることを特徴とする位置検出方法。 - 基板上で検出方向にピッチPの周期的な凹凸パターンとして形成されると共に、2以上の整数mを用いて、凸部、又は凹部の検出方向の幅dが
0.9(P/m)≦d≦1.1(P/m)
の範囲内に設定される位置合わせ用マークの位置を検出する位置検出装置であって、
前記位置合わせ用マークに位置検出用の光束を照射する照射光学系と、
前記位置合わせ用マークから発生するm次の回折光を含む光束を受光して光電変換する受光光学系と、
該受光光学系からの出力信号より前記位置合わせ用マークの位置を検出する信号処理手段と、を有することを特徴とする位置検出装置。 - 前記位置合わせ用マークに対して、前記位置検出用の光束をほぼ垂直に照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出方法。
- 前記位置合わせ用マークから発生する前記m次の回折光を参照格子上で集光させるとともに、該参照格子を透過した光束を受光し、該受光した光束に基づいて前記位置合わせ用マークの位置を検出することを特徴とする請求項1、2、又は4に記載の位置検出方法。
- レチクル上のパターンを露光用の照明光で照明し、前記パターンを投影光学系を介して、基板上の各ショット領域上に投影する露光方法であって、
請求項1、2、4又は5に記載の位置検出方法を用いて検出された前記位置合わせ用マークの位置に基づいて、前記ショット領域の中心を前記投影光学系の露光フィールドの中心に合わせ込むことを特徴とする露光方法。 - 前記照射光学系は、前記位置検出用の光束を前記位置合わせ用マークに対してほぼ垂直に照射することを特徴とする請求項3に記載の位置検出装置。
- 前記受光光学系は、前記位置合わせ用マークから発生する前記m次の回折光が集光される参照格子を含み、前記参照格子を透過した光束を受光して光電変換を行うことを特徴とする請求項3又は7に記載の位置検出装置。
- レチクル上のパターンを露光用の照明光で照明し、前記パターンを投影光学系を介して、基板上の各ショット領域上に投影する露光装置であって、
請求項3、7又は8に記載の位置検出装置を備え、
前記位置検出装置を用いて検出された前記位置合わせ用マークの位置に基づいて、前記ショット領域の中心を前記投影光学系の露光フィールドの中心に合わせ込むことを特徴とする露光装置。 - 前記位置検出装置はオフ・アクシス方式の位置検出装置であることを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
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