JP3554626B2 - 熱応答性マイクロカプセル、及びそれを用いた感熱記録材料及び多色感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に利用することができる熱応答性マイクロカプセル、このマイクロカプセルを用いた感熱記録材料及び多色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリやプリンター等の記録媒体として普及している感熱記録材料は、主として支持体上に電子供与性染料前駆体の固体分散物を塗布乾燥させた材料を使用している。電子供与性染料前駆体を使用した記録方式は、材料も入手し易くかつ高い発色濃度や発色速度を示すとの利点を有するが、記録後の保存条件や加熱あるいは溶剤等の付着により発色し易く、記録画像の保存性や信頼性に問題があり、多くの改良が検討されてきた。
【0003】
記録画像の保存性を改善するための一つの方法として、電子供与性染料前駆体をマイクロカプセル中に内包し、記録層中で顕色剤と該染料前駆体とを隔離することにより、画像の保存性を高める方式が提案されている。この方式によって高い発色性と画像安定性を得ることができる。
【0004】
上記以外の感熱記録材料としては、ジアゾニウム塩を利用した、いわゆるジアゾ型の感熱記録材料も研究されている。このジアゾニウム塩は、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物など(カプラー)と反応して染料を形成するものであるが(通常、塩基性化合物が反応促進剤として用いられる)、同時に感光性も有し、光照射によりその活性を失うものである。これらの性質を利用して最近では感熱記録材料にも応用され、ジアゾニウム塩とカプラーを熱で反応させて画像を形成し、その後、光照射して定着させることができる光定着型感熱記録材料が提案されている(佐藤弘次ら「画像電子学会誌」、第11巻、第4号(1982)、290−296頁、など)。
【0005】
しかし、ジアゾニウム塩を用いた記録材料は、化学的活性が高いため、低温であっても保存中にジアゾニウム塩とカプラーとが徐々に反応し、貯蔵寿命(シェルフライフ)が短いとの欠点があった。これに対する一つの解決手段として、ジアゾニウム塩をマイクロカプセルに封入し、カプラーや水、塩基性化合物から隔離する方法が提案されている(宇佐美智正ら「電子写真学会誌」、第26巻、第2(1987)、115〜125頁)。
【0006】
また、感熱記録材料の応用分野の一つとして、多色感熱記録材料が注目されてきている。感熱記録による多色画像の再現は、電子写真記録方式やインクジェット方式に比べて難しいと言われてきたが、この点に関してはすでに、支持体上にマイクロカプセル内に封入された電子供与性染料前駆体と顕色剤とを主成分とする感熱発色層又はマイクロカプセル内に封入されたジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と加熱時に反応して発色するカプラーを含有する感熱発色層を2層以上積層することによって多色感熱記録材料を得られることが見い出されている。このような多色感熱記録材料においては、単色の感熱記録材料に比べて、優れた色再現性を得るためにマイクロカプセルの熱発色特性を高度に制御することが要求される。
【0007】
従来、電子供与性染料前駆体やジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル中に封入させるには、一般に有機溶媒中にこれらの化合物を溶解させ(油相)、これを水溶性高分子の水溶液中(水相)に加えて乳化分散させている。このとき、壁材となるモノマーあるいはプレポリマーを有機溶媒相側か水相側の何れかに添加しておくことにより、有機溶媒相と水相との界面に高分子壁を形成させ、マイクロカプセル化することができる。これらの方法については「マイクロカプセル」(近藤朝士、日刊工業新聞社(1970))及び「マイクロカプセル」(近藤保ら、三共出版(1977))に詳しく記載されている。形成されるマイクロカプセル壁としては、ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリアミド(ナイロン)など様々なものが使用可能である。中でも、ポリウレアやポリウレタンは、そのガラス転移温度が室温乃至200℃程度にあるためカプセル壁が熱応答性を示し、感熱記録材料を設計するのに好適である。
【0008】
マイクロカプセルの製法としては、ポリウレタンあるいはポリウレア壁を有するマイクロカプセルを得る場合、まず有機溶媒中にジアゾニウム塩や電子供与性染料前駆体を溶解し、これに多価イソシアネート化合物を添加し、この有機相溶液を水溶性高分子水溶液中で乳化させる。その後、水相に重合反応促進の触媒を添加するかまたは乳化液の温度を上げて多価イソシアネート化合物を水等の活性水素を有する化合物と重合させてカプセル壁を形成させる方法が従来から知られている。
【0009】
上記ポリウレアあるいはポリウレタン壁の形成材料である多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシナネートとトリメチロールプロパンの付加体、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加体が主として使用されている(特開昭62−212190号公報及び特開平4−26189号公報)。
しかしながら、上記のような多価イソシアネート化合物を用いたポリウレアあるいはポリウレタンのカプセル壁であっても、前述したジアゾニウム塩を用いた際の短いシェルフライフについてはまだ充分に改善されていない。即ち、シェルフライフが充分に長くない感熱記録材料は、製造後、使用するまでの間に、例えば高温高湿の条件下に曝された場合に、「かぶり」と呼ばれる地肌の発色が現われ、印字画像の視認性を低下させる。従って、高い発色性を維持しながらシェルフライフを更に向上させることが求められている。
【0010】
前記多色感熱記録材料においては、シアン、マゼンタ及びイエローのそれぞれの感熱記録層が設けられており、これらは異なった加熱温度の付与により印字されることから、通常の感熱記録材料の感熱記録層に比べて更に優れた熱応答性が求められる。上記従来のポリウレアあるいはポリウレタンのカプセル壁は、この要求を充分に満たすとは言えない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、高い発色性を維持しながらシェルフライフをさらに向上させるため、また多色感熱記録材料において要求されるマイクロカプセルの高度に制御可能な熱発色特性を満足できる上記発色性を得るために、電子供与性染料前駆体やジアゾニウム塩などのマイクロカプセルの芯形成材料、マイクロカプセル壁形成材料、界面活性剤などの種類、添加方法などの検討の中から、特にマイクロカプセル壁形成材料について鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
本発明は、感熱記録材料および多色感熱記録材料に好適に使用することができるカプラーあるいは顕色剤との接触により高い発色性を示し、かつ貯蔵性(長いシェルフライフ)に優れた熱応答性マイクロカプセルを提供することを目的とする。
また本発明は、高感度で、高い発色性と優れた貯蔵性を有する感熱記録材料を提供することを目的とする。
さらに本発明は、高感度で、色再現性及び貯蔵性に優れた多色感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ジアゾ化合物または電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルあって、
該マイクロカプセルのカプセル壁が、下記一般式(1):
【0013】
【化6】
[但し、R1 およびR2 は、それぞれ独立に水素原子、メチル基、メトキシメチル基または炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表わし、
R3 は、水素原子、メチル基または
【0014】
【化7】
(但し、R1 およびR2 は上記と同義であり、そしてnは1又は2である)表わし、
R4 は、メチル基または
【0015】
【化8】
(但し、R1 およびR2 は上記と同義であり、そしてnは0、1又は2である)を表わし、
R5 は、
【0016】
【化9】
(但し、R1 およびR2 は上記と同義である)を表わし、
但し、R5 がヒドロキシル基を一個有する基を表わす場合は、R3 とR4 のいずれか又は両方がヒドロキシル基を有する基を表わす。]
又は一般式(2):
【0017】
【化10】
[但し、R6 は、水素原子、メチル基、フェニル基又はシクロヘキシル基を表わし、R7 およびR8 は、それぞれ独立に水素原子、メチル基、メトキシメチル基または炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表わし、そしてmは、0又は1を表わす。]
で表される分子中に3個以上のヒドロキシル基を有する多価フェノール化合物からなるポリヒドロキシル化合物と分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能イソシアネートとの付加物からなるイソシアネート化合物と;
活性水素を有する化合物との重合により得られるポリマー(通常ポリウレタン又はポリウレタン/ポリウレアであり、一般に水が反応に関与するのでポリウレタン/ポリウレアである)からなることを特徴とする熱応答性マイクロカプセルにある。
【0018】
また本発明は、支持体、及びその上に設けられたジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、あるいは電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含む感熱記録層からなる感熱記録材料であって、該マイクロカプセルが、上記の熱応答性マイクロカプセルであることを特徴とする感熱記録材料にもある。
【0019】
更に、透明支持体、及びその上に設けられたシアン、マゼンタ及びイエローの各感熱記録層を有し、各記録層がジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、あるいは電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含んでいる多色感熱記録材料であって、該マイクロカプセルが、上記の熱応答性マイクロカプセルであることを特徴とする多色感熱記録材料にもある。
【0020】
本発明のマイクロカプセルの好ましい態様は下記のとおりである。
1)一般式(1)または(2)で表わされる多価フェノール化合物が、(無機性)/(有機性)の値が0.3〜1.0の範囲にある化合物である。
2)上記ポリヒドロキシル化合物が、一般式(1)又は一般式(2)で表わされる多価フェノール化合物と、該多価フェノール化合物の等モル以下の量の分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する脂肪族多価アルコール化合物とからなる。
3)上記イソシアネート化合物が、上記ポリヒドロキシル化合物(多価フェノール化合物又は多価フェノール化合物と脂肪族多価アルコール化合物との組み合わせ)と2官能イソシアネートとの付加物(A)と、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物(B)とからなる。付加物(A)と多官能イソシアネート化合物(B)の混合比率(A/B)が、重量比で2/8〜10/0の範囲内であることが好ましく、5/5〜9/1の範囲内であることが特に好ましい。
4)一般式(1)において、R1 およびR2 が、それぞれ独立に水素原子、メチル基、メトキシメチル基またはシクロヘキシル基を表わす。
5)一般式(2)において、R6 が、メチル基又はシクロヘキシル基を表わし、R7 およびR8 が、それぞれ独立に水素原子またはシクロヘキシル基を表わしそしてmは0を表わす。
6)上記マイクロカプセルのカプセル壁形成で使用される活性水素原子を有する化合物が、水である。
7)ジアゾニウム塩または電子供与性染料前駆体が、高沸点溶媒に溶解されてマイクロカプセルに内包されている。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の熱応答性マイクロカプセルは、ジアゾニウム塩または電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルである。
また本発明の感熱記録材料は、支持体上に上記マイクロカプセルを含む感熱記録層が設けられた基本構成を有する。
更に、本発明の多色感熱記録材料は、透明支持体上にシアン、マゼンタ及びイエローの上記マイクロカプセルを含む感熱記録層が設けられた基本構成を有する(所望により透明支持体の裏面にブラックの感熱記録層が設けられても良い)。
【0022】
本発明の熱応答性マイクロカプセルは、ジアゾニウム塩を内包するマイクロカプセル、あるいは電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルで、カプセル壁は上記一般式(1)又は(2)で表される分子中に3個以上のヒドロキシル基を有する多価フェノール化合物あるいはこの多価フェノール化合物及び脂肪族多価アルコール化合物の組み合わせからなるポリヒドロキシル化合物と、分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能イソシアネートとの付加物からなるイソシアネート化合物と、水などの活性水素を有する化合物との重合により得られるポリマー(ポリウレタンまたはポリウレタン/ポリウレア)である。
【0023】
本発明の上記一般式(1)又は(2)によって表わされる多価フェノール化合物の具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
【化13】
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】
【化17】
【0031】
【化18】
【0032】
【化19】
【0033】
【化20】
【0034】
【化21】
【0035】
【化22】
【0036】
【化23】
【0037】
【化24】
【0038】
特に、P−1、P−2、P−3、P−4及びP−13の化合物が好ましい。
【0039】
本発明では、上記一般式(1)または(2)で表わされる多価フェノール化合物の中で、(無機性)/(有機性)の値が0.3〜1.0の値を有する化合物を使用することが好ましい。上記具体例中の括弧内に示す数字は(無機性)/(有機性)の値を示し、「有機概念図−基礎と応用」(甲田善生著、三共出版(株)、1984)に基づいて計算することにより求めた。
上記(無機性)/(有機性)の(有機性)の増大は、主として有機化合物の炭素原子数に依存し、炭素原子1個を20として計算する。また(無機性)の増大は、主として有機化合物の置換基に依存し、ヒドロキシル基1個を100とし、その基の沸点への影響力を基準に定められている。
上記範囲の(無機性)/(有機性)の値は、フェノールが1.0であり、上記範囲の多価フェノール化合物は、フェノールに比較して炭化水素の比率が同じか高いものであるといえる。この化合物から得られるイソシアネート付加物(多官能イソシアネート)を用いて得られるカプセル壁は、含水率が低く適度な疎水性を有するため、高温、高湿の環境下でもカプセルに内包されたジアゾニウム塩などがカプセル壁内に入り込んだり、カプセル壁外に出たりすることはほとんどない。
【0040】
本発明のポリヒドロキシル化合物は、上記一般式(1)または(2)で表わされる多価フェノール化合物と共にこの多価フェノール化合物以外の2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を、上記多価フェノール化合物に対して等モル以下の範囲で使用することができる。併用するポリヒドロキシル化合物としては、脂肪族多価アルコール化合物が好ましい。このような上記多価フェノール化合物以外の2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を併用することにより、特に高湿下でのかぶりを低減させることができる。
本発明において、上記多価フェノール化合物と併用することができる脂肪族多価アルコール化合物としては、鎖式化合物でも環式化合物でも良く、アリール基等の置換基を有していても良い。また、脂肪族多価アルコール化合物としては、2〜5個(特に3〜4個)のヒドロキシル基を有する化合物が好ましい。更に、脂肪族多価アルコール化合物は、鎖式化合物または環式化合物で、炭素原子数2〜12(特に3〜8)のものが好ましい。また分子中に(特に、メチン基とヒドロキシル基の間に)オキシエチレン基、オキシプロピレン基等のオキシアルキレン基(好ましくは1〜3個)を有していても良い。
【0041】
上記脂肪族多価アルコール化合物の例としては;
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ピナコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール、1,4−ベンゼンジメタノール、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’−スピロビスインダン−5,5’,6,6’−テトロール等を挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパン、1,3,5−シクロヘキサントリオールが好ましく、特にトリメチロールプロパンが好ましい。
【0042】
上記多価フェノール化合物等のポリヒドロキシル化合物と反応して付加物を形成する、分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能イソシアネートとして公知の化合物を使用することができる。それらは、芳香族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物などが挙げることができ、特に芳香族イソシアネート化合物が好ましい。具体的には、下記のものを挙げることができる。
【0043】
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メチルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン。
これらの中で、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート及びキシリレン−1,3−ジイソシアネートが好ましく、特にキシリレン−1,4−ジイソシアネート及びキシリレン−1,3−ジイソシアネートが好ましい。
【0044】
上記一般式(1)または(2)で表される分子中に3個以上のヒドロキシル基を有する多価フェノール化合物と分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能イソシアネートとの付加物(A−1)は、例えば、多価フェノール化合物と2官能イソシアネートを有機溶剤中で、攪拌しながら加熱(50〜100℃)することにより、あるいはオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら比較的低温(40〜70℃)で加熱して、得ることができる。一般に、多価フェノール化合物のヒドロキシル基のモル数の0.8〜1.5倍のモル数の2官能イソシアネートが使用される。
【0045】
また、上記多価フェノール化合物と脂肪族多価アルコール化合物の組み合わせと分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能イソシアネートとの付加物(A−2)も、上記と同様に、例えば、上記多価フェノール化合物、脂肪族多価アルコール化合物と2官能イソシアネートを有機溶剤中で、攪拌しながら加熱(50〜100℃)することにより、あるいはオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら比較的低温(40〜70℃)で加熱して、得ることができる。一般に、多価フェノール化合物及び脂肪族多価アルコール化合物等の全部のポリヒドロキシル化合物のヒドロキシル基のモル数の0.8〜1.5倍のモル数の2官能イソシアネートが使用される。
あるいは、上記付加物(A−2)は、上記多価フェノール化合物と分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能イソシアネートとの付加物を得た後に、更に該付加物と脂肪族多価アルコール化合物を有機溶剤中で、攪拌しながら加熱(50〜100℃)することにより、あるいはオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら比較的低温(40〜70℃)で加熱して、得ることができる。
また、脂肪族多価アルコール化合物と分子中に2官能イソシアネートとの付加物をオクチル酸第1錫等の触媒を添加しながら比較的低温(40〜70℃)で加熱して得た後に、更に該付加物と上記多価フェノール化合物の付加物を同様の方法で反応させることにより得ることができる。
【0046】
付加物(A−2)を得るために使用される上記多価フェノール化合物と脂肪族多価アルコール化合物との使用量の比は、モル比で99:1〜50:50(フェノール:アルコール)が一般的で、90:10〜60:40が好ましく、特に80:20〜60:40が好ましい。
【0047】
マイクロカプセルの原料であるイソシアネート化合物として、本発明の多価フェノール化合物と2官能イソシアネートとの付加物(A−1)又は上記多価フェノール化合物と脂肪族多価アルコール化合物の組み合わせと2官能イソシアネートとの付加物(A−2)と組み合わせて、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する他の多官能イソシアネート化合物とを併用することができる。このような分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物としては、キシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物、およびイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネーなどの公知の化合物が挙げることができる。更にこれらの化合物を主原料としこれらの3量体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他トリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体(付加物)として多官能としたもの、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物なども用いることができる。
特に、キシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートおよびその水添物を主原料としこれらの3量体(ビューレットあるいはイソシヌレート)の他トリメチロールプロパンとのアダクト体として多官能としたもの好ましい。これらの化合物については「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(1987))に記載されている。
【0048】
本発明において、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物として、下記一般式で表される2官能イソシアネート化合物を適当な割合で併用して用いることもできる。これらの2官能イソシアネート化合物については特願平5−233536号明細書、特願平6−4714号明細書に記載されている。
【0049】
【化25】
【0050】
[式中、Arはアリーレン基を、Xは単結合または2価の基を、Rはアルキレン基、アラルキレン基またはアリーレン基を、pは0〜20の整数を表わす。]
【0051】
【化26】
【0052】
[式中、Rは水素原子またはアルキル基を、Xはアリール基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン化アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキル置換カルボニル基またはアリール置換アミノカルボニル基を、Yはアリーレン基、アルキレン基またはアラルキレン基を、kは0または1を、pは0〜12の整数を、そしてqは10〜200の整数を表わす。]
【0053】
本発明のマイクロカプセル中に内包される電子供与性染料前駆体としてはトリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられるが、特にトリアリールメタン系化合物及びキサンテン系化合物が、発色濃度が高く有用である。
【0054】
これらの具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3′−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0055】
上記電子供与性染料前駆体と組み合わせて用いられる電子受容性化合物(顕色剤(マイクロカプセルには内包されない))としてはビスフェノール類等のフェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル誘導体等が挙げられる。これらの中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノールを挙げることができる。本発明においては、これらの電子受容性化合物を2種以上任意の比率で併用することもできる。
【0056】
電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物からなる感熱記録層には、その反応を促進するための増感剤を添加することが好ましい。増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましい。その具体例としては、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等が挙げられる。本発明においては、これらの増感剤を2種以上任意の比率で併用することもできる。
【0057】
本発明マイクロカプセルに内包されるジアゾニウム塩は、公知のものを使用することができる。ジアゾニウム塩とは下記一般式:
ArN2 X−
[式中Arはアリール基を表わし、そしてX− は酸アニオンを表す。]
で表わされる化合物をいう。
【0058】
上記ジアゾニウム塩は、フェノール化合物あるいは活性メチレンを有する化合物と反応し、いわゆる染料を形成し、さらに光(一般的には紫外線)照射により分解し、脱窒素してその活性を失うものである。
ジアゾニウム塩の具体例としては、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−クロルベンゼンチオジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウム、4−N,N−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、及び4−N−ヘキシル−N−トリルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウムの塩を挙げることができる。
【0059】
ジアゾニウム塩の酸アニオンには、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、1,5−ナフタレンスルホネート、パーフルオロアルキルカルボネート、パーフルオロアルキルスルフォネート、塩化亜鉛及び塩化錫などの酸アニオンを用いることができる。好ましくは、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレートおよび1,5−ナフタレンスルホネートの酸アニオンが、水溶性が低く、有機溶剤に可溶であるので好適である。本発明においては、異なる2種以上のジアゾニウム塩を任意の比率で混合して用いることができる。
【0060】
ジアゾニウム塩を内包するマイクロカプセルを用いた感熱記録層においては、アリールスルフォンアミド化合物などの公知の熱増感剤が添加されていても良い。具体的には、トルエンスルホンアミドやエチルベンゼンスルホンアミドなどが挙げられる。また本発明においては、異なる2種以上の熱増感剤を混合して用いることもできる。
【0061】
ジアゾニウム塩と反応して色素を形成するカプラーは、乳化分散及び/又は固体分散することにより微粒子化して使用される。カプラーの具体例としてはレゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)−2−メチルカーボネイトシクロヘキサン−3,5−ジオン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)シクロヘキサン−3,5−ジオン、N−フェニル−N−ドデシルバルビツール酸、及びN−フェニル−N−(3−ステアリルオキシ)ブチルバルビツール酸を挙げることができる。これらのカプラーは2種以上併用し目的の発色色相を得ることもできる。
【0062】
さらに、色素形成反応を促進させるために、乳化分散及び/又は固体分散して微粒子化した塩基化合物を添加するのが一般的である。塩基物質としては無機あるいは有機の塩基化合物のほか、加熱時に分解等によりアルカリ物質を放出するような化合物も含まれる。代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素およびチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物があげられる。これらの具体例としてはトリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、及び2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールを挙げることができる。これらは、2種以上併用することもできる。
【0063】
本発明の熱応答性マイクロカプセルは、例えば下記のようにして作製することができる。
マイクロカプセルの芯を形成するための疎水性溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。具体的には、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、ジフェニルエタンアルキル付加物、アルキルビフェニル、塩素化パラフィン、リン酸トリクレジルなどの燐酸系誘導体、マレイン酸−ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸エステル類、及びアジピン酸エステル類などを挙げることができる。これらは2種以上混合して用いてもよい。ジアゾニウム塩や電子供与性染料前駆体のこれらの疎水性溶媒に対する溶解度が充分でない場合は、更に低沸点溶剤を併用することができる。併用する低沸点有機溶媒としては、沸点40〜100℃の有機溶媒が好ましく、具体的には酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン及びアセトンなどを挙げることができる。また、これらを2種以上混合して用いてもよい。低沸点(沸点約100℃以下のもの)の溶媒のみをカプセル芯に用いた場合には、溶媒は蒸散し、カプセル壁とジアゾニウム塩や電子供与性染料前駆体のみが存在するいわゆるコアレスカプセルが形成され易い。
【0064】
ジアゾニウム塩の種類によってはマイクロカプセル化反応中の水相側へ移動する場合があり、これを抑制するために、あらかじめ酸アニオンを水溶性高分子溶液中に適宜添加しても良い。この酸アニオンとしては、PF6 −、B(−Ph)4 −[Phはフェニル基]、ZnCl2 −、Cn H2n+1COO− (nは1〜9の整数)及びCp F2p+1SO3 −(pは1〜9の整数)を挙げることができる。
【0065】
本発明においてマイクロカプセル化の際、マイクロカプセル壁を形成するための多価イソシアネート化合物と反応する活性水素を有する化合物としては、一般に水が使用されるが、ポリオールを芯となる有機溶媒中あるいは分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、上記活性水素を有する化合物(マイクロカプセル壁の原料の一つ)として用いることができる。具体的にはプロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンなどが挙げられる。またポリオールの代わりに、あるいは併用してジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のアミン化合物を使用しても良い。これらの化合物も先の「ポリウレタン樹脂ハンドブック」に記載されている。
【0066】
マイクロカプセルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム及びアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物との反応しないか、極めて反応し難いものが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
【0067】
マイクロカプセル化において、界面活性剤を油相あるいは水相の何れに添加して使用しても良いが、有機溶媒に対する溶解度が低いために水相に添加する方が容易である。添加量は油相の重量に対し0.1〜5重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。一般に乳化分散に用いる界面活性剤は、比較的長鎖の疎水基を有する界面活性剤が優れているとされており「界面活性剤便覧」(西一郎ら、産業図書発行(1980))、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのアルカリ金属塩を用いることができる。
【0068】
本発明において、界面活性剤(乳化助剤)として芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物や芳香族カルボン酸塩のホルマリン縮合物などの化合物を使用することもできる。具体的には、下記一般式:
【0069】
【化27】
【0070】
[Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を、XはSO3 −またはCOO− を、Mはナトリウム原子またはカリウム原子を、そしてpは1〜20の整数を表わす]で表わされる化合物である。上記化合物については特願平5−83721号明細書に記載されている。
【0071】
またアルキルグルコシド系化合物の化合物も同様に使用することができる。具体的には、下記の一般式:
【0072】
【化28】
【0073】
[Rは炭素原子数4〜18のアルキル基を、qは0〜2の整数を表わす]で表される化合物である。本発明においては、いずれの界面活性剤も単独で使用しても二種以上適宜併用しても良い。
【0074】
上記ジアゾニウム塩(あるいは電子供与性染料前駆体)、高沸点溶媒等からなる溶液と本発明の多官能イソシアネート化合物(付加物)との混合液(油相)を、界面活性剤及び水溶性高分子からなる水溶液(水相)に添加する。その際、水溶液をホモジナイサー等の高シェア攪拌装置で攪拌させながら、添加することにより乳化分散させする。乳化後、イソシアネート化合物の重合反応触媒を添加するか、乳化物の温度を上昇させてカプセル壁形成反応を行なう。
【0075】
調製されたジアゾニウム塩を内包したマイクロカプセル液には、更にカップリング反応失活剤を適宜添加することができる。この反応失活剤としての例としては、ハイドロキノン、重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、次亜リン酸、塩化第1スズ及びホルマリンを挙げることができる。これらの化合物については、特開昭60−214992号公報に記載されている。また通常、カプセル化の過程で、水相中にジアゾニウム塩が溶出することが多いが、これを除去する方法として、濾過処理、イオン交換処理、電気泳動処理、クロマト処理、ゲル濾過処理、逆浸透処理、限外濾過処理、透析処理、活性炭処理などの方法を利用することができる。この中でもイオン交換処理、逆浸透処理、限外濾過処理及び透析処理が好ましく、特に、陽イオン交換体による処理、陽イオン交換体と陰イオン交換体の併用による処理が好ましい。これらの方法については、特開昭61−219688号公報に記載されている。
【0076】
本発明においては、感熱発色層中に電子受容性化合物、熱増感剤、カプラー及び塩基性化合物などを添加することができる。これらは、適宜混合して、別々に乳化分散、あるいは固体分散、微粒化して添加、あるいは適宜混合してから、乳化分散あるいは固体分散、微粒化して添加することができる。乳化分散する方法は、有機溶媒中にこれらの化合物を溶解し、水溶性高分子水溶液をホモジナイザー等で攪拌中に添加する。微粒子化を促進するにあたり、前述の疎水性有機溶媒、界面活性剤、水溶性高分子を使用することが好ましい。
【0077】
カプラーおよび塩基性物質、電子受容性化合物、熱増感剤などを固体分散するには、これらの粉末を水溶性高分子水溶液中に投入しボールミル等の公知の分散手段を用いて微粒子化し、使用することができる。
微粒子化に際しては、熱感度、保存性、記録層の透明性、製造適性などの多色感熱記録材料及びその製造方法に必要な特性を満足しうる粒子直径を得るように行なうことが好ましい。
【0078】
上記マイクロカプセル液と、上記熱増感剤、電子受容性化合物、カプラー及び塩基性化合物等の調製液とは、適当な割合で混合され支持体上に塗布される。一般には、ジアゾニウム塩1モルに対して、カプラー1〜10モル、2〜6モルが適当である。塩基性化合物の最適添加量は塩基性の強度により異なるがジアゾニウム塩の0.5〜5モルが一般的である。電子受容性化合物(顕色剤)は、電子供与性染料前駆体1モルに対して0.5〜30モルの範囲内で一般に添加するが、好ましくは1〜20モルの範囲で添加する。さらに好ましく3〜15モルの範囲内で添加する。熱増感剤は、電子供与性染料前駆体に対して一般に0.1〜20モルの範囲内で添加するが、好ましくは0.5〜10モルの範囲で添加する。
【0079】
これらの塗布液を塗布する支持体としては、感熱記録材料の支持体として公知の材料を使用することができる。例えば、紙、紙上にクレー等を塗布した塗工紙、ポリエチレン、ポリエステル等を紙上にラミネートしたラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルムを挙げることができる。また透明支持体としては、上記のポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、さらにポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
【0080】
本発明には、光堅牢性などを更に改善するために感熱発色層の上に保護層を設けてもよい。また、多色感熱材料においては、色再現性を更に良くするために感熱記録層の間に中間層を設けてもよい。これらに用いられる層の素材としては、水溶性高分子化合物もしくは疎水性高分子化合物のエマルジョン(ラテックス)が好ましい。
【0081】
多色感熱記録材料及びその記録方法について述べる。
支持体上に、第3感熱記録層、第2感熱記録層及び第1感熱記録層が順に形成された多色感熱記録材料を、最外層から順に発色させ、画像を形成する。
まず初めに低エネルギーの熱記録でジアゾニウム塩を含有する最外層の感熱層(第1感熱記録層、通常イエロー発色層)を発色させた後、該感熱層に含有されるジアゾニウム塩の吸収波長域の光を放出する光源を用いて全面光照射して、最上層の感熱層中に残存するジアゾニウム塩を光分解させる。
【0082】
次いで、前回より高エネルギーで、第1層に含有されるジアゾニウム塩の吸収波長域の光とは異なった光吸収波長域を有するジアゾニウム塩を含有する第2層目の感熱層(第2感熱記録層、通常マゼンタ発色層)を発色させた後、該ジアゾニウム塩の吸収波長域の光を放出する光源を用いて再度全面光照射し、これによって第2層目の加熱層中に残存するジアゾニウム塩を光分解させる。最後に、更に高エネルギーで、最内層(第3感熱記録層、通常シアン発色層)の電子供与性染料前駆体を含有する層(第3層)を発色させて画像記録を完了する。
【0083】
上記の場合には、最外層及び第2層を透明な感熱層とすることが、各発色が鮮やかになるので好ましい。
また本発明においては、支持体として透明な支持体を用い、上記3層のうち何れか一層を透明な支持体の裏面に塗布することにより、多色画像を得ることもできる。この場合には、画像を見る側と反対側の最上層の感熱層は透明である必要はない。
【0084】
上記ジアゾニウム塩の光分解に使用する光源としては、通常紫外線ランプを使用する。紫外線ランプは管内に水銀蒸気を充填した蛍光管であり、管の内壁に塗布する蛍光体の種類により種々の発光波長を有する蛍光管を得ることができる。
【0085】
多色感熱記録材料においては、上記第3感熱記録層を適当なジアゾニウム塩とカプラー化合物との組合せで作成することも可能である。
【0086】
以下に実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は全て重量部を示す。
【0087】
【実施例】
【0088】
[実施例1]
(I)感熱記録層(B)の塗布液の調製
(1)イソシアネート付加物の合成
m−キシリレンジイソシアネート(m−XDI)301.1g(1.60モル)と前記化合物(P−2、I/O値:0.62)で示される多価フェノール化合物169.6g(0.40モル)との酢酸エチル(470.7g)懸濁溶液に、オクチル酸第一錫(スタノクト、吉富製薬(株)製)471mgを酢酸エチル10gに溶解した溶液を、撹拌しながら1時間にわたって滴下した。滴下後、撹拌を2時間続け、次いで50℃で3時間撹拌を行なった。こうして、イソシアネート付加物(1)の溶液(50重量%)を得た。
【0089】
上記反応で得られた末端イソシアネート体をメタノールでメチルウレタン化して分子量(ポリスチレン換算値)を測定した。得られた値は、数平均分子量で2720であった。
【0090】
(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製
ジアゾニウム塩として365nmに分解の最大吸収波長をもつ下記(B−1)に示す化合物2.8部、硫酸ジブチル2.8部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651、チバ・ガイギー(株)製)0.56部を酢酸エチル10.0部に溶解した。さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル5.9部およびリン酸トリクレジル2.5部を添加し、加熱して均一に混合した。
【0091】
【化29】
【0092】
カプセル壁形成材料として、上記(1)のイソシアネート付加物(1)5.7部とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、武田薬品(株)製)3.8部を上記混合液にさらに添加し、均一に攪拌した。別途、10%重量ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2.0部を加えた6重量%ゼラチン(商品名:MGP−9066、ニッピゼラチン工業(株)製)水溶液64部を用意し、上記ジアゾニウム塩の混合液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。
【0093】
(3)カプセル化反応
得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、攪拌しながら40℃で30分反応させ、この後60℃に昇温し、3時間カプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ社製)6.5部、アンバーライトIRC50(オルガノ社製)13部を加え、更に1時間撹拌した。その後イオン交換樹脂をろ過して目的のカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.64μmであった。
【0094】
(4)カプラー乳化分散液の調製
カプラーとして、下記に示す化合物(B−2)3.0部、トリフェニルグアニジン8.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサンを8.0部、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール8.0部、下記に示す化合物(B−3)2.0部、及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン2.0部を、酢酸エチル10.5部に溶解し、更に高沸点溶媒のリン酸トリクレジル0.48部、マレイン酸ジエチル0.24部及びパイオニンA41C(竹本油脂(株)製)1.27部を添加した後、加熱し均一に混合した。この混合物を、8重量%ゼラチン(#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)水溶液93部中に加えてホモジナイザーにて乳化分散した。この乳化液から残存する酢酸エチルを蒸発させ、目的とする乳化分散液を得た。
【0095】
【化30】
【0096】
【化31】
【0097】
(5)塗布液の調製
上記のジアゾニウム塩カプセル液、カプラー乳化分散液及びスチレン/ブタジエンゴム(SBR−SN307、住友ノーガッタ(株)製)をそれぞれ、ジアゾニウム塩/カプラーの比率が1/2、且つジアゾニウム塩/スチレン−ブタジエンゴムの比率が1/6.4となるように混合し、目的の塗布液である感熱記録層(B)の塗布液を調製した。
【0098】
(II)感熱保護層(D)の塗布液の調製
5.0重量%のイタコン酸変性ポリビニルアルコール(KL−318、クラレ(株)製)水溶液61部に、20.5重量%のステアリン酸亜鉛分散液(ハイドリンF115、中京油脂(株)製)2.0重量部を添加し、下記に示す化合物(D−1)の2重量%水溶液8.4部、フッ素系離型剤(ME−313、ダイキン社製)8.0部、小麦粉澱粉(KF−4、籠島澱粉(株)製)0.5部を添加し均一に撹拌した。これを母液と呼ぶ。
【0099】
【化32】
【0100】
別途、イオン交換した20重量%のカオグロス(白石工業(株)製)水溶液12.5部、ポイズ532A(花王(株)製)0.06部、ハイドリンZ−7(中京油脂(株)製)1.87部、10重量%のポリビニルアルコール(PVA105、クラレ(株))水溶液1.25部、2重量%のドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.39部を混合し、ダイノミルにて微分散を行なった。この液を顔料液と呼ぶ。
上記母液80部に、顔料液4.4部を加え、30分以上撹拌した。その後、Wetmaster500(東邦化学(株)製)2.8部を添加し、更に30分以上撹拌して目的とする感熱保護層(D)の塗布液を得た。
【0101】
(III) 塗布
上質紙上にポリエチレンをラミネートして得られた印画紙用支持体上に、ワイヤーバーで上記感熱記録層(B)の塗布液及び保護層(D)の塗布液の順に順次塗布、乾燥を行い、感熱記録材料を得た。固形分としての塗布量は1m2当たり各々8gと1gであった。
【0102】
[実施例2]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに、イソシアネート付加物(1)の合成に於て多価フェノール化合物(前記化合物:P−2)の代わりに同量の多価フェノール化合物(前記化合物:P−3、I/O値:0.553)を用いて得られるイソシアネート付加物(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0103】
[実施例3]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに、イソシアネート付加物(1)の合成に於て多価フェノール化合物(前記化合物:P−2)の代わりに同量の多価フェノール化合物(前記化合物:P−1、I/O値:0.546)を用いて得られるイソシアネート付加物(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0104】
[実施例4]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに、イソシアネート付加物(1)の合成に於て多価フェノール化合物(前記化合物:P−2)の代わりに同量の多価フェノール化合物(前記化合物:P−4、I/O値:0.323)を用いて得られるイソシアネート付加物(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0105】
[実施例5]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに、イソシアネート付加物(1)の合成に於て多価フェノール化合物(前記化合物:P−2)の代わりに多価フェノール化合物(前記化合物:P−11、I/O値:0.395)を284.4g(0.40モル)用いて得られるイソシアネート付加物を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0106】
[実施例6]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに、イソシアネート付加物(1)の合成に於て多価フェノール化合物(前記化合物:P−2)の代わりに多価フェノール化合物(前記化合物:P−9、I/O値:0.793)を132.0g(0.30モル)用いて得られるイソシアネート付加物を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0107】
[実施例7]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに、イソシアネート付加物(1)の合成に於て多価フェノール化合物(前記化合物:P−2)の代わりに多価フェノール化合物(前記化合物:P−10、I/O値:0.750)を167.1g(0.30モル)用いて得られるイソシアネート付加物を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0108】
[実施例8]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに、イソシアネート付加物(1)の合成に於て多価フェノール化合物(前記化合物:P−2)の代わりに多価フェノール化合物(前記化合物:P−14、I/O値:0.436)を250.0g(0.40モル)用いて得られるイソシアネート付加物を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0109】
[実施例9]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の代わりに下記に示されるイソシアネート付加物(5)を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
多価イソシアネート化合物(5)の合成
m−キシリレンジイソシアネート(m−XDI)249.9g(1.33モル)、多価フェノール化合物(前記化合物:P−14、I/O値:0.436)206.2g(0.33モル)とトリメチロールプロパン14.4g(0.11モル)との酢酸エチル(470.7g)、懸濁溶液にオクチル酸第1錫(スタノクト、吉富製薬(株)製)391mgを酢酸エチル10gに溶解した溶液を、攪拌しながら1時間にわたって滴下した。滴下後、攪拌を2時間続け、次いで50℃で3時間攪拌を行なった。こうして、イソシアネート付加物(5)の溶液(50重量%)を得た。
【0110】
[実施例10]
実施例1において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニルとリン酸トリクレジルとの代わりにイソプロピルビフェニル4.2部およびリン酸トリクレジルを4.2部を用い、そしてカプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(1)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりにイソシアネート付加物(1)11.4部を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0111】
[実施例11]
実施例2おいて、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニルとリン酸トリクレジルとの代わりにイソプロピルビフェニル4.2部およびリン酸トリクレジルを4.2部を用い、そしてカプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(2)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)の代わりにイソシアネート付加物(2)11.4部を用いた以外は実施例2と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0112】
[実施例12]
実施例3において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニルとリン酸トリクレジルとの代わりにイソプロピルビフェニル4.2部およびリン酸トリクレジル4.2部を用い、そしてカプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(3)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりにイソシアネート付加物(3)11.4部を用いた以外は実施例3と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0113】
[実施例13]
実施例1において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、カプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(1)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりに、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)4.5部と特願平5−233536号明細書に記載の方法にしたがって合成したキシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.5部との混合物5.7部とイソシアネート付加物(1)5.7部を混合して用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0114】
[実施例14]
実施例2において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、カプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(2)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりに、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)4.5部と特願平5−233536号明細書に記載の方法にしたがって合成したキシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.5部との混合物5.7部とイソシアネート付加物(2)5.7部を混合して用いた以外は実施例2と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0115】
[実施例15]
実施例3において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、カプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(3)部とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりに、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)4.5部と特願平5−233536号明細書に記載の方法にしたがって合成したキシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.5部との混合物5.7部とイソシアネート付加物(3)5.7部を混合して用いた以外は実施例3と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0116】
[実施例16]
実施例4において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、カプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(4)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりに、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)4.5部と特願平5−233536号明細書に記載の方法にしたがって合成したキシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.5部との混合物5.7部とイソシアネート付加物(4)5.7部を混合して用いた以外は実施例4と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0117】
[実施例17]
実施例1において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、カプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(1)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりに、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)4.5部と特願平5−233536号明細書に記載の方法にしたがって合成したキシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.5部との混合物2.28部とイソシアネート付加物(1)7.98部を混合して用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0118】
[比較例1]
実施例1において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、カプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(1)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりに、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75重量%酢酸エチル溶液、タケネートD110N、武田薬品工業(株)製)7.6部を用いた他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0119】
[比較例2]
実施例1において、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、カプセル壁形成材料として、多価イソシアネート化合物(1)の合成に用いた多価フェノール化合物(P−2)の代わりに同量の下記の(RP−1)で示される多価フェノール化合物(本発明の範囲外の化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0120】
【化33】
【0121】
[比較例3]
実施例1おいて、(2)ジアゾニウム塩カプセル乳化液の調製で、高沸点溶媒としてイソプロピルビフェニルとリン酸トリクレジルとの代わりにイソプロピルビフェニル4.2部およびリン酸トリクレジルを4.2部を用い、そしてカプセル壁形成材料として、イソシアネート付加物(1)とキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)との代わりに比較例2で得られたイソシアネート付加物11.4部を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0122】
[比較例4]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の合成に用いた多価フェノール化合物(P−2)の代わりに同量の下記の(RP−2)で示される多価フェノール化合物(本発明の範囲外の化合物)を0.30モル用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0123】
【化34】
【0124】
[比較例5]
実施例1において、感熱記録層(B)の塗布液の調製で、イソシアネート付加物(1)の合成に用いた多価フェノール化合物(P−2)の代わりに同量の下記の(RP−3)で示される多価フェノール化合物(本発明の範囲外の化合物)を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作成した。
【0125】
【化35】
【0126】
(IV)熱記録特性の評価
サーマルヘッドKST型(京セラ(株)製)を用い、下記のように上記感熱記録材料の熱記録特性を評価した。
(1)単位面積あたりの記録エネルギーが40mJ/mm2となるように、サーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を設定し、該感熱記録材料に印字して、マゼンタの画像を記録した。
(2)その記録材料を発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプで15秒間照射し、未印字部分の画像を定着させた。マゼンタ画像の発色濃度は、マクベス濃度計(RD918型)にて発色した印字部分の光学反射濃度を測定した。値が大きい程良好。
(3)またシェルフライフ(生保存性)の評価は、得られた感熱記録材料を、40℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に24時間保存した後、非印字部分を定着して非印字部分(地肌部分)の光学反射濃度を測定した。値が小さいほど良好。
上記結果を表1に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
[実施例18]
(感熱記録層(A)の塗布液の調製)
(1)ジアゾニウム塩カプセル液の調製
ジアゾニウム塩として420nmに分解の最大吸収波長をもつ下記の化合物(A−1)3.5部及び化合物(A−2)0.9部を酢酸エチル16.4部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル9.8部を添加し、加熱して均一に混合した。
【0129】
【化36】
【0130】
【化37】
【0131】
上記混合物に、カプセル壁形成材料として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液)4.5部と特願平5−233536記載の方法にしたがって合成したキシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.5部との混合物9部をさらに添加し、均一に攪拌した。別途、ScraphAG−8(日本精化(株)製)0.36部が添加された6重量%ゼラチン水溶液77部を用意し、前記ジアゾニウム塩混合液(溶液)を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃にて攪拌しながら、3時間カプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ(株)製)6.5部、アンバーライトIRC50(オルガノ(株)製)13部を加え更に一時間撹拌した。この後イオン交換樹脂をろ過した後、カプセル液10部に対して0.4部の1重量%のハイドロキノン水溶液を添加して撹拌した。このようにしてジアゾニウム塩のカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.91μmであった。
【0132】
(2)カプラー分散液の調製
カプラーとして下記の化合物(A−3)2.4部とトリフェニルグアニジン4.1部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン4.1部、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール3.6部及び下記の化合物(A−4)0.8部を、酢酸エチル8.0部に溶解し、パイオニンA41C(竹本油脂(株)製)1.0部を添加した後、加熱し均一に混合した。
【0133】
【化38】
【0134】
【化39】
【0135】
上記混合物を、別途調製したゼラチン(#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)10重量%水溶液75.0部中に加えて、ホモジナイザーにて乳化分散した。この乳化液から残存する酢酸エチルを蒸発させ、目的とする乳化分散液を得た。
【0136】
(3)塗布液の調製
上記のジアゾニウム塩カプセル液、カプラー乳化分散液、スチレン−ブタジエンゴム(商品名SBR−SN307、住友ノーガッタック(株)製)をジアゾニウム塩とカプラーの比率が1/3.2となるように、またスチレン/ブタジエンゴムの重量が塗布液のゼラチン重量と等しくなるように混合し、目的の塗布液を調製した。
【0137】
(感熱記録層(C)の塗布液の調製〕
(4)電子供与性染料前駆体カプセル乳化液の調製
電子供与性染料前駆体として3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド0.39部、紫外線吸収剤として285nmに最大吸収波長を持つ2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.19部及び酸化防止剤として2、5−tert−オクチルハイドロキノン0.29部を、酢酸エチル0.93部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるフェネチルクメン0.54部を添加し、加熱して均一に混合した。カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N)1.0部を、この溶液に更に添加し、均一に撹拌した。別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.07部が添加された6重量%ゼラチン(MGP−9066、ニッピゼラチン工業(株)製)水溶液36.4部を用意し、前記の電子供与性染料前駆体溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。このようにして得られた乳化分散液を一次乳化分散液と呼ぶ。
別途3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド6.0部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン3.0部及び2、5−tert−オクチルハイドロキノン4.4部を、酢酸エチル14.4部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるフェネチルクメン8.4部を添加し、均一に撹拌した溶液に、先に用いたタケネートD110Nを7.8部及びメチレンジイソシアネート(ミリオネートMR200、日本ポリウレタン(株)製)5.9部を添加し、均一に撹拌した。このようにして得られた溶液と、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液1.2部を前記の一次乳化分散液に添加しホモジナイザーにて乳化分散した。このようにして得られる液を二次乳化分散液と呼ぶ。
この二次乳化分散液に、水60.0部及びジエチレントリアミン0.4部を加えて均一化した後、攪拌しながら65℃に昇温し、3.5時間カプセル化反応を行い、目的のカプセル乳化液を得た。カプセルの平均粒子径は1.9μmであった。
【0138】
(5)電子受容性化合物分散液の調製
電子受容性化合物としてビスフェノールP30部をゼラチン(MGP−9066、ニッピゼラチン工業(株)製)2.0重量%水溶液82.5部中に添加し、さらに2重量%の2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム水溶液7.5部を加え、得られた混合物をボールミルにて24時間分散して分散液を作製した。この分散液に15重量%ゼラチン(#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)水溶液36.0部を加え均一に撹拌して電子受容性化合物分散液を得た。分散液中の電子受容性化合物の平均粒径は0.5μmであった。
【0139】
(6)塗布液の調製
次に上記の電子供与性染料前駆体カプセル液、電子受容性化合物分散液、15重量%のゼラチン(#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)水溶液及びスチルベン系蛍光増白剤(Whitex−BB、住友化学(株)製)を、電子供与性染料前駆体/電子受容性化合物の比率が1/14、電子供与性染料前駆体/#750ゼラチン=1.1/1、そして電子供与性染料前駆体/蛍光増白剤=5.3/1となるように混合し、目的の塗布液を調製した。
【0140】
(7)中間層(E)液の調液
14重量%のゼラチン(#750ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)水溶液に4重量%ほう酸水溶液8.2部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2重量%水溶液1.2部及び下記の化合物(E−1)2重量%水溶液7.5部を添加し、均一に撹拌し目的の塗布液を調製した。
【0141】
【化40】
【0142】
(8)塗布
上質紙上にポリエチレンがラミネートされた印画紙用支持体の表面に、ワイヤーバーで上記感熱記録層(C)、中間層(E)、実施例1記載の感熱記録層(B)、中間層(E)、感熱記録層(A)及び保護層(D)を、この順に塗布、乾燥を行い目的の多色感熱記録材料を得た。固形分としての塗布量は1m2あたり各々7g、3g、8g、3g、6g、1gであった。
【0143】
[実施例19]
実施例18において、感熱発色層(B)に用いるジアゾニウム塩カプセル液として、実施例2に記載の(2)ジアゾニウム塩カプセル液を用いた以外は実施例18と同様にして多色感熱記録材料を得た。
【0144】
(9)熱記録特性の評価
サーマルヘッドKST型(京セラ(株)製)を用い、下記のように上記感熱記録材料の熱記録特性を評価した。
(1)単位面積あたりの記録エネルギーが35mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を調整し、該感熱記録材料に印字して、イエローの画像を記録した。
(2)その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒間照射し、(3)再度単位面積あたりの記録エネルギーが80mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決め、印字して、マゼンタの画像を記録した。
さらに(4)発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプで15秒間照射し、(5)再度単位面積あたりの記録エネルギーが140mJ/mm2となるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を調整し、印字してシアンの画像を記録した。
この結果、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色画像の他に、イエローとマゼンタの記録が重複した記録部分は赤色に、マゼンタとシアンが重複した部分は青色に、イエローとシアンが重複した部分は緑色に、そしてイエロー、マゼンタ、シアンの記録が重複した画像部分は黒色に発色した。未記録部は、灰白色であった。
イエロー、マゼンタ、シアンの各発色部分の光学反射濃度をマクベスRD918型濃度計で測定した。
シェルフライフ(貯蔵性)の評価は、得られた多色感熱記録材料を40℃、相対湿度90%に保った恒温恒湿槽に24時間放置した後、定着し、地肌部分の光学反射濃度を測定した。
【0145】
上記で得られた結果を表2に示す。
【0146】
【表2】
【0147】
【発明の効果】
本発明の熱応答性マイクロカプセルは、熱に対する感度が高く、カプラーあるいは顕色剤との接触により高い発色性示し、また芯材料としてジアゾニウム塩を用いた場合は優れた貯蔵性(長いシェルフライフ)を示すとの優れた特性を有する。
従って、上記マイクロカプセルを感熱記録材料の感熱記録層に使用した場合、感度及び発色性が高く、そしてジアゾニウム塩を用いた場合は貯蔵性に優れた記録材料を得ることができる。さらに、上記マイクロカプセルを感熱記録層(特に高い感度が要求されるシアン発色層に用いると効果的である)に用いると、高感度で、色再現性及び貯蔵性に優れた多色感熱記録材料を得ることができる。
Claims (4)
- ジアゾニウム塩または電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルあって、
該マイクロカプセルのカプセル壁が、下記一般式(1):
R3 は、水素原子、メチル基または
R4 は、メチル基または
R5 は、
但し、R5 がヒドロキシル基を一個有する基を表わす場合は、R3 とR4 のいずれかあるいは両方がヒドロキシル基を有する基を表わす。]
又は一般式(2):
で表わされる分子中に3個以上のヒドロキシル基を有する多価フェノール化合物からなるポリヒドロキシル化合物と分子中に2個のイソシアネート基を有する2官能イソシアネートとの付加物からなるイソシアネート化合物と;
分子中に2個以上の活性水素を有する化合物との重合により得られるポリマーからなることを特徴とする熱応答性マイクロカプセル。 - 該ポリヒドロキシル化合物が、一般式(1)又は一般式(2)で表わされる多価フェノール化合物と、該多価フェノール化合物の等モル以下の量の分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する脂肪族多価アルコール化合物とからなることを特徴とする請求項1に記載の熱応答性マイクロカプセル。
- 支持体、及びその上に設けられたジアゾニウム塩を内包するマイクロカプセルとカプラー、あるいは電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含む感熱記録層からなる感熱記録材料であって、該マイクロカプセルが、請求項1又は請求項2に記載の熱応答性マイクロカプセルであることを特徴とする感熱記録材料。
- 透明支持体、及びその上に設けられたシアン、マゼンタ及びイエローの各感熱記録層を有し、各記録層がジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、あるいは電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含んでいる多色感熱記録材料であって、該マイクロカプセルが請求項1又は請求項2に記載の熱応答性マイクロカプセルであることを特徴とする多色感熱記録材料。
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